JP3336587B2 - 光線路特性の自動解析方法 - Google Patents
光線路特性の自動解析方法Info
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(OTDR)を用いて光線路の光学特性を測定し、コン
ピュータを利用して測定データの自動解析を行い、光線
路の接続損失を求めて表示する方法に関するものであ
る。
としては、OTDRを用いて接続点の両側区間の後方散
乱光の近似直線の段差から求める方法が知られている
(例えば、中村他「光パルス試験波形データ自動解析
法」(1990年電子情報通信学会春季全国大会予稿集、B-
899 )参照)。
路の接続損失を求めることができるが、通信を行ってい
る光線路(現用心線)の光パルス試験を行う場合(イン
サービス試験)、通信波長より長波長側の試験波長帯の
光を用いて、通信に影響を与えないようにして光パルス
試験を行っている(例えばN.Tomita他,"Design andPerf
ormance of a Novel Automatic Fiber Line Testing Sy
stem with OTDR forOptical Subscriber Loops",(Journ
al of Lightwave Technology, Vol.12,No.5,pp.717-72
6,May,1994)参照)。因みに、現在、通信波長としては
1.31μm 、試験波長帯としては1.55μm 帯の波長が用い
られており、将来的には1.55μm 帯も通信波長として使
用し、試験波長帯としては1.65μm 帯の波長を用いるこ
とが検討されている。
路の良否を判定するために必要な通信波長における接続
損失を直接測定することができず、試験波長における光
パルス試験の測定結果から一次関数の換算式を用いる等
により通信波長における接続損失を推定していた。
信波長における接続損失Yとの関係を、 Y=aX+b の一次式で表している。係数a及びbは、実際に複数の
接続点で測定した各波長における接続損失の値から、 (Y−aX−b)2 が最小になるように最小自乗法を用いて求めている(恩
田他「光加入者線路の1.65μm 帯及び1.48μm 帯試験波
長に関する検討」(1995年電子情報通信学会総合大会、
B-1048)参照)。このようにして得られた一次式を用い
て、試験波長における接続損失から通信波長における接
続損失を算出していた。
ファイバのモードフィールド径及びカットオフ波長等の
ファイバパラメータ、融着接続又はコネクタ接続の際に
生じる光ファイバの軸ずれ、間隙又は接続角度等の接続
状態パラメータ等に依存し(Nemoto S,Makimoto T,"Ana
lysis of splice loss in single-mode fibers usinga
Gaussian field approximation",(Optical Quantum Ele
ctronics 11,pp.447-457,1979) 参照)、各パラメータ
が変化することにより接続損失及び接続損失の波長依存
係数も変化する。そのため、実験データから統計的に近
似した一次関数を用いて算出する方法では、通信波長に
おける接続損失を過剰又は過少に算出する場合がある。
における接続損失から通信波長における接続損失を算出
し、光線路の接続点の良否の判定を行う場合、実際には
通信波長において許容できる接続損失より大きい接続損
失が生じていても判定をパスしてしまうことがあるとい
う問題があった。
の問題点に鑑み、試験波長帯の波長における光線路の接
続損失を測定し、その測定結果から高精度に通信波長に
おける接続損失を求めて表示する光線路特性の自動解析
方法を提供することにある。
動解析方法は、上記の目的を達成するため、光パルス試
験を行う試験波長帯の複数の波長で、後方散乱光の受光
レベルの段差量を測定し、その測定データから計算され
た光ファイバの接続点における接続損失及び光パルス試
験を行った波長と接続損失との関係から求められる接続
損失の波長依存係数をそれぞれ正規化した値を入力と
し、任意の波長における接続損失を出力とするニューラ
ルネットワークを用いて、光ファイバの接続点における
任意の波長での接続損失を算出する処理を含むことを特
徴とする。
は、複数の波長において光パルス試験を行い、測定した
各波長における接続損失をニューラルネットワークの入
力とし、このニューラルネットワークの各ニューロン間
の重み及びニューロンの入出力関係として定義される非
線形飽和関数(シグモイド関数)の形状を学習すること
により、任意の波長における接続損失を算出する。
例を詳細に説明する。図1は、本発明による光線路特性
の自動解析方法を実施するシステムの構成を示すブロッ
ク図であり、1は光パルス試験部、2は光線路、3は制
御・演算部、4はデータ処理部、5は結果の表示部であ
る。
する。光ファイバ2に光を入射した場合に、光ファイバ
2の途中から入射端に戻って来る光には、コネクタ接続
点等によるフレネル反射光、及び光ファイバ中で起こる
レイリー散乱光の一部が光ファイバ入射端へ戻る後方散
乱光がある。
って得られた光パルスを光ファイバ2に入射すると、光
ファイバ2中で発生した後方散乱光及びフレネル反射は
入射端から各発生位置の距離に比例した時間後に入射端
に戻る。戻った光を受光素子で電気信号に変換すれば、
信号波形を求めることができる。表示方法としては、通
常、光パルス試験器1が受光した受光電力を対数変換し
てデシベル(dB)で表示した受光レベルを縦軸に、距離
を横軸にとって表す。この際、光パルス試験部1に用い
られている半導体レーザとして、複数の波長で出力する
ことができる波長可変半導体光源を使用すれば複数の波
長における光パルス試験を行うことができる。これは通
常波長可変OTDRと呼ばれる。
信波長における接続損失を、ニューラルネットワークを
用いて算出する方法の手順を説明する。前述したよう
に、光ファイバの接続状態により、接続損失の波長依存
性は様々に変化する。そのため、波長可変OTDRを用
いて、様々な接続状態において複数の波長でのOTDR
波形を求め、このそれぞれのOTDR波形から接続損失
を求め、接続損失と測定波長との関係から接続損失の波
長依存係数を求める。このようにして求めた各状態にお
ける接続損失と波長依存係数とを、ニューラルネットワ
ークの学習用データとして用いる。ニューラルネットワ
ークの学習は、試験波長帯の複数の波長における接続損
失とその区間の波長依存係数とを正規化したものを入力
とし、通信波長における接続損失の真値を出力するよう
に行う。
ァイバの後方散乱光の受光レベルの段差について説明す
る。OTDRを用いて光線路の測定を行う場合、接続点
の両区間の後方散乱光の近似直線の段差から接続損失を
求めることができる。しかし、OTDRの後方散乱光の
受光レベルが各ファイバ毎に異なるため、図2に示すよ
うに、同一の接続点でも測定方向によって後方散乱光の
段差量(β及びγ)が異なることがある。図2の横軸は
距離、縦軸は受光レベルを表す。これらのOTDR片端
測定によって得られた接続損失は、通常、見掛け上の接
続損失と呼ばれる。同じ接続点を両方向から測定して求
めた見掛け上の接続損失の平均をとることにより、受光
レベルの違いに影響されることなく接続損失の真値を求
めることができる。
R波形から求めたコネクタ接続損失の波長依存性の一例
を示す。ここでは、試験波長帯の波長λn において、両
端測定から得た接続損失の真値をαn 、順及び逆方向か
ら片端測定で得られた見掛け上の接続損失をβn 及びγ
n とし、このαn 、βn 及びγn を用いて得られた波長
依存係数をそれぞれKα、Kβ及びKγとし、また、通
信波長における接続損失の真値をTk とする。
示す。ここでは、入力層のユニット数をi、中間層のユ
ニット数をj、出力層のユニット数をkとし、また、測
定データの中で通信波長における接続損失の真値の最大
値を1として、接続損失αn、βn 及びγn の正規化を
それぞれ行う。測定データの中で最大の波長依存係数を
1とし、試験波長帯の波長依存係数Kα、Kβ及びKγ
をそれぞれ正規化する。これらの正規化処理を行ったも
のを正規化データ列Ii としてニューラルネットワーク
の入力とする。但しi=n+1とする。また、ニューラ
ルネットワークの出力をOk 、通信波長における接続損
失の真値Tk を教師信号とする。
に、学習用データを入力してニューラルネットワークの
学習を行う。以下に、ニューラルネットワークの計算方
法について説明する。ここではバックプロパゲーション
型ニューラルネットワークを用いる。(ニューラルネッ
トワークの計算方法に関する詳細については、例えば、
中野他「ニューロンコンピュータの基礎」(コロナ社、
1990年)等が参考になる。)
り、中間層のユニット及び出力層のユニットはシグモイ
ド関数で表される入出力関係を持っている。シグモイド
関数f(p)は、 f(p)=1/(1+exp(−2p/u0 )) で定義される。但し、pはシグモイド関数の入力、u0
はシグモイド関数の形状を決定するパラメータである。
すると、ニューラルネットワークの中間層ユニットjの
出力Hj は、 Hj =f(ΣWij・Ii +φj ) で表される。但し、Wijは入力層と中間層との結合係
数、φj は中間層のオフセットを表し、Σはiについて
の和を示すものとする。また、出力層ユニットkの出力
Ok は、 Ok =f(ΣVkj・Hj +ξk ) で表される。但し、Vkjは中間層と出力層との結合係
数、ξk は出力層のオフセットを表し、Σはjについて
の和を示すものとする。
出力値Ok 及び教師信号Tk により結合係数Wij、Vkj
及びオフセットφj 、ξk を変更する。以下にこの変更
の方法を説明する。先ず、出力値Ok 及び教師信号Tk
から誤差δk を δk =(Ok −Tk )・Ok ・(1−Ok ) によって求める。
係数Vkj、及び中間層の出力Hj から、中間層ユニット
jにつながる結合係数及び中間層ユニットのオフセット
に対する誤差σj を σj =Σδk ・Vkj・Hj ・(1−Hj ) によって求める。但し、Σはkについての和を示すもの
とする。
層ユニットjの出力Hj と定数εとの積を加算して、中
間層ユニットjから出力層ユニットkにつながる結合係
数Vkjを、誤差δk と定数ηとの積を加算して、出力層
ユニットkのオフセットξkを、それぞれ Vkj=Vkj+ε・δk ・Hj ξk =ξk +η・δk のように修正する。
層ユニットiの出力Ii と定数εとの積を加算して、入
力層ユニットiから中間層ユニットjにつながる結合係
数Wijを、誤差σj と定数ηとの積を加算して、中間層
ユニットjのオフセットφjを、それぞれ Wij=Wij+ε・σj ・Ii φj =φj +η・σj のように修正する。
びオフセットξk 、φj を変更する。ニューラルネット
ワークの学習は、教師信号Tk とニューラルネットワー
クの出力値Ok との差が充分に小さくなるまで行う。こ
のようにして事前に学習したニューラルネットワークに
試験波長帯の波長λn における接続損失とその区間の波
長依存係数を正規化した正規化データ列Ii を入力する
ことにより、通信波長における接続損失の真値を算出す
ることができる。
実際に測定して求めたデータにより試験波長帯における
接続損失から通信波長における接続損失を算出した場合
のニューラルネットワークの算出精度を検討する。
接続点における、接続損失の波長依存性を測定するため
の実験系を図5に示す。波長可変OTDR6を用いて、
4種類の光ファイバを様々に組合せてMTコネクタ7及
び8で接続し、接続点の接続損失の測定を光ファイバの
両端から行い、波長λを1.27μm から5nm間隔で1.35μ
m まで及び1.47μm から5nm間隔で1.65μm までの各波
長における見掛け上の接続損失及び接続損失の真値を得
た。その際、微動台9を用いて図6に示す軸ずれr、間
隙z、及び接続角度θのファイバの接続状態に関する3
つのパラメータをそれぞれ変化させ、波長が1.55μm に
おいて 3.0dB以下の接続損失を生じさせた。
損失の波長依存性を求め、各パラメータ毎に分類し、そ
れぞれの片端から測定した見掛け上の接続損失及び接続
損失の真値を一組のデータとして61組のデータを求
め、それをニューラルネットワークの学習用データとし
て35組及び汎用評価用データとして26組に振り分け
た。
いて説明する。この実施例で用いたニューラルネットワ
ークの入力層のユニット数は13、中間層のユニット数
は30、出力層のユニット数は1とした。また、試験波
長帯を1.52μm から 1.575μm までとし、試験波長を
(1.52+(n−1)×0.005 )μm とした。但し、n=1,
2,… 12とする。通信波長は1.31μm とした。
をCase 1、Case 2及びCase 3の3つに分類した。見掛け
上の接続損失βn 及びγn とそれらの波長依存係数Kβ
及びKγを正規化したものからなる正規化データ列をCa
se 1とし、Case 1のうち接続損失の真値とOTDR片端
測定で得られた見掛け上の接続損失との差が0.1dB 以下
である正規化データ列をCase 2とし、接続損失の真値で
あるαn 及びその波長依存係数Kαを正規化したものか
らなる正規化データ列をCase 3とした。この実施例にお
けるCase 1中の、接続損失の真値とOTDR片端測定で
得られた見掛け上の接続損失との差の最大値は0.23dBで
あった。これを表にすると図7のようになる。
データのCase 3に分類された35組の正規化データ列を
用いて行った。学習後のニューラルネットワークに26
組の汎用評価用データを入力してニューラルネットワー
クの精度を評価した。精度の評価は、ニューラルネット
ワークの出力値とOTDR両端測定で求めた通信波長の
接続損失の真値との誤差によって行った。この評価の結
果を図8及び図9に示す。
1、Case 2及びCase 3のそれぞれの正規化データ列を入
力した場合のニューラルネットワーク(NN)の精度を
示す表である。最も誤差が大きいCase 1の場合でも誤差
は0.32dBであった。従来の一次関数の換算式を用いた方
法で算出した場合の誤差は最大0.73dBであり、これと比
較すると、本発明による方法が優れていることが分か
る。
度を累積相対度数で示す図である。横軸はニューラルネ
ットワークの出力と通信波長における接続損失の真値と
の誤差の値、縦軸は累積相対度数をそれぞれ表す。この
図から、従来の接続損失の波長相関性から近似した一次
関数の換算方式に比較して、本発明によるニューラルネ
ットワークを用いて算出する方法が、明らかに精度が向
上していることが分かる。
とし、試験波長帯を1.55μm 帯としたが、それぞれ、こ
れらの波長以外の波長を選択しても、同様の手順でニュ
ーラルネットワークの学習を行うことができることは勿
論であり、本発明によれば、任意の波長における接続損
失の算出を行うことができることは明らかである。
れば、光線路の試験波長帯における複数の接続損失から
通信波長における接続損失の算出をニューラルネットワ
ークを用いて行うことにより、従来用いられていた一次
関数の換算式を用いた方法より高精度に通信波長の接続
損失を算出することができる。また、通信波長における
接続損失が高精度に算出できることにより、接続損失の
規格値に過剰な余裕を持たせる必要がなくなるので、線
路設計の精度が著しく向上する。
するシステムの構成を示すブロック図である。
を説明する図である。
長依存性の一例を示す図である。
る。
の波長依存性を測定するための実験系を示す図である。
を説明する図である。
表である。
ークを評価した時の誤差の最大値を示す表である。
で示す図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 光パルス試験器を用いて複数の光ファイ
バが接続された光線路の距離及び光強度からなる光学特
性を測定し、その測定データから光ファイバの接続点に
おける接続損失を計算する光線路特性の自動解析方法に
おいて、 光パルス試験を行う試験波長帯の複数の波長で、後方散
乱光の受光レベルの段差量を測定し、その測定データか
ら計算された光ファイバの接続点における接続損失及び
光パルス試験を行った波長と接続損失との関係から求め
られる接続損失の波長依存係数をそれぞれ正規化した値
を入力とし、任意の波長における接続損失を出力とする
ニューラルネットワークを用いて、光ファイバの接続点
における任意の波長での接続損失を算出する処理を含む
ことを特徴とする光線路特性の自動解析方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4052097A JP3336587B2 (ja) | 1997-02-25 | 1997-02-25 | 光線路特性の自動解析方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4052097A JP3336587B2 (ja) | 1997-02-25 | 1997-02-25 | 光線路特性の自動解析方法 |
Publications (2)
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JPH10239214A JPH10239214A (ja) | 1998-09-11 |
JP3336587B2 true JP3336587B2 (ja) | 2002-10-21 |
Family
ID=12582795
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP4052097A Expired - Fee Related JP3336587B2 (ja) | 1997-02-25 | 1997-02-25 | 光線路特性の自動解析方法 |
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-
1997
- 1997-02-25 JP JP4052097A patent/JP3336587B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH10239214A (ja) | 1998-09-11 |
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