JP3333858B2 - コリオリ式質量流量計の鑞付け方法 - Google Patents

コリオリ式質量流量計の鑞付け方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、コリオリ式質量
流量計の製造において、その検出部を構成するために、
薄肉直管に正確に位置決めして厚肉支持円板やセンシン
グ手段及びドライブ手段のアダプタピンを鑞付けする方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】コリオリ式質量流量計は、直接に質量流
量が計測でき、しかも高精度であるという特長をもつた
め普及してきた。更に、耐環境性や信頼性の向上に対す
る要求も強くなってきた。このコリオリ式質量流量計
は、振動する金属管内を流体が流れる際に発生するコリ
オリ力を利用して質量流量を計測するものであり、工業
用などの過酷な条件下においてオンラインで直接に質量
流量を計測することができる唯一の方法である。
【0003】図8はその原理構造を示す断面図で、図8
によりその構成と動作について説明する。図8は左半分
を示したもので、右半分は省略したがドライブ部を中心
として対象な構造をしている。薄肉直管(図では薄肉
管)3の内部には質量流量の計測対象流体が流される。
この薄肉直管3にはその両端に第2の肉厚支持円板4が
鑞付けされており、第2の肉厚支持円板4より内側に第
1の肉厚支持円板2が鑞付けされており、第2の肉厚支
持円板4より内側には、2つの第2の肉厚支持円板4の
中央にドライブ用マグネット65を保持しているドライブ
用アダプタピン6が、そのアダプタピン6の両側に等間
隔でセンシング用マグネット55を保持しているセンシン
グ用アダプタピン5が鑞付けされている。第1の肉厚支
持円板2にはセルケース18が溶接されている。このセル
ケース18のセンシング用アダプタピン5に対応する位置
にはセンシング用コイル56が保持部材によって保持さ
れ、アダプタピン5に保持されているマグネット55とで
センシング部50を構成している。同様に、セルケース18
に保持されているドライブ用コイル66とアダプタピン6
に保持されているマグネット65とでドライブ部60を構成
している。このような構成のセル部が第2の肉厚支持円
板4に溶接されているハウジング17内に収納され、セン
シング部50とドライブ部60はハウジング17に取り付けら
れている図示していない電源・アンプ部に接続されてい
る。
【0004】このような構成のコリオリ式質量流量計に
おいて、薄肉直管3の内部に計測対象流体が流され、ド
ライブ部60のコイル66に所定の周波数の交流電流が流さ
れると薄肉直管3が振動し、その振動と流体の流れによ
ってコリオリ力が発生し、ドライブ部60の前後の薄肉直
管3の振動状態が変わってくる。この振動状態の変化
を、ドライブ部60の前後に等間隔で配置されている2つ
のセンシング部50で計測して振動の位相差として検出
し、その位相差より薄肉直管3の内部を流れている流体
の質量流量を知ることができるのである。
【0005】したがって、この流量計を精度よく動作さ
せるためには、ドライブ部60を中心として対称性よく製
作することが必要である。一方、過酷な条件の例として
は、腐食性流体の計測のために耐食性材料の管でなけれ
ばならないこと、気温の変化や寒冷地・熱帯地方などで
の使用にも対応可能であること、高温使用に耐えること
などあり、このような過酷な条件下において安定に長期
間使用可能であることが要求される。
【0006】このような過酷な条件への対応の例として
は、例えば、酸性流体を計測する場合であれば、管の材
料としてステンレス系の材料あるいはニッケル系合金材
料(例えば、ハステロイ系材料)などが使われる。この
ような過酷な条件や材料の制限の下においても薄肉直管
3に異常な応力や変形を発生させないことが、この流量
計を精度よく動作させるためのもう1つの条件となる。
【0007】薄肉直管3に肉厚支持円板やアダプタピン
を接合する方法で、従来技術による方法の一つとしては
トーチ鑞付けがある。しかし、この方法は引張や圧縮応
力を発生したり、フラックス使用による腐食成分の残留
の問題などを有し、特に、トーチによる局部加熱による
熱応力の影響は管に亀裂を発生させる心配を有してい
る。
【0008】別の方法としては真空鑞付けがあるが、こ
の流量計の場合のように多数の鑞付け箇所がある場合に
は、それらの部品を位置決めする治具の製作及び位置決
め寸法精度の確保が重要な課題となる。更に、治具の容
積そのものが大きくなるため真空炉内に収容できる数が
少なくなることも問題である。小型の製品の場合では治
具の占める容積の方が大きくなることもある。しかも、
全体として大きくなるために炉内温度分布の問題や治具
の熱容量に伴う温度不均一の発生など、鑞付け品質にバ
ラツキを生じ易い。このように、時間と治具費が増大す
る割りには生産性や品質の確保が十分にはできない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前項に説明したよう
に、コリオリ式質量流量計の製造において、薄肉直管3
に肉厚支持円板やアダプタピンを接合するのに、従来方
法では、問題点が多く実用的ではなかった。この発明の
課題は、位置決め精度が確保できて、鑞付け品質が優
れ、治具費用が安く、生産性がよい、薄肉直管3に肉厚
支持円板やアダプタピンを接合する鑞付け方法を提供す
ることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明においては、ア
ダプタピンと、厚肉支持円板を位置決めするためのスト
ッパチップを、薄肉直管を固定保持するV溝形状をした
上部電極と、アダプタピンあるいはストッパチップの形
状に合わせた座ぐり孔をもつ下部電極とを用いたマイク
ロスポット溶接によって仮付けし、薄肉直管が垂直にな
るよう保持し、厚肉支持円板がストッパチップによって
位置決めされた状態において鑞付けする。
【0011】薄肉直管を垂直に保持し、重力を利用し
て、マイクロスポット溶接によるストッパチップによっ
て厚肉支持円板を位置決めし、アダプタピンはマイクロ
スポット溶接によって固定・位置決めすることにより、
鑞付け作業は鑞付け部にリング状の鑞材をセットし、そ
の状態で真空炉に入れ熱処理することで実施できる。し
たがって、薄肉直管を垂直に保持する治具さえあればこ
の方法を実施することができる。鑞付け時の加熱によっ
て部材が熱膨張しても、薄肉直管上にストッパチップも
アダプタピンもスポット溶接で固定されているので、加
熱により位置がズレることはない。なお、薄肉直管を垂
直に保持すれば、厚肉支持円板は水平となるので鑞材が
均一に拡がる。
【0012】更に、アダプタピン及びストッパチップを
薄肉直管に仮付けするマイクロスポット溶接を、下部ガ
イド板に正確に位置決めされている下部分離電極ガイド
孔に配置され,アダプタピンあるいはストッパチップを
座ぐり孔に収納している下部分離電極と、下部ガイド板
に正確に位置決めされている上部ガイド板に正確に位置
決めされている上部分離電極ガイド孔に配置されている
V溝形状をした上部分離電極とによって実施する。
【0013】この方法によれば、上下の分離電極が上下
のガイド板によって正確に薄肉直管に位置決めされてい
るので、溶接機の標準電極の位置が分離電極の加圧面内
でずれても正確に所定の位置にスポット溶接することが
できる。なお、薄肉直管をチタン合金のTi-3Al-2.5Vあ
るいはTi-6Al-4Vで形成し、厚肉支持円板をステンレス
SUS430で形成するという組合せが最も望ましい組合せで
ある。耐食性に優れ、線膨張係数が小さく、質量の小さ
いチタン合金のTi-3Al-2.5VあるいはTi-6Al-4Vが薄肉
直管用材料としては理想的であり、その材料に近い線膨
張係数をもち、入手容易でセルケースと溶接可能な厚肉
支持円板用材料としてステンレスSUS430が最も適してい
る。
【0014】
【発明の実施の形態】この発明は、アダプタピンと、厚
肉支持円板を位置決めするためのストッパチップを、薄
肉直管を固定保持するV溝形状をした上部電極と、アダ
プタピンあるいはストッパチップの形状に合わせた座ぐ
り孔をもつ下部電極とを用いたマイクロスポット溶接に
よって仮付けし、薄肉直管が垂直になるよう保持し、厚
肉支持円板がストッパチップによって位置決めされた状
態において真空鑞付けすることが特徴である。
【0015】以下に更に詳しく説明する。工程順に従え
ば、仮付けマイクロスポット溶接が先であり、真空鑞付
けは後の工程となるが、この発明の最大のポイントはス
トッパチップによる厚肉支持円板の位置決めにあるの
で、真空鑞付け工程から説明する。図1は、この発明に
よるコリオリ式質量流量計の鑞付け方法における仮組み
状態(マイクロスポット溶接を終わって、治具で薄肉直
管が垂直になるよう保持した状態)を示す斜視図であ
り、この状態で真空炉に入れて鑞付けする。
【0016】図1の状態を更に詳しく説明すると、吊り
支え1で上側の第1の厚肉支持円板2の下面を水平に支
え、薄肉直管(図では薄肉管)3を垂直にする。薄肉直
管3を垂直にすると、最上部にある第2の厚肉支持円板
4はストッパチップ42によって支えられ位置決めされ
る。この状態においてリング鑞41が図のように第2の厚
肉支持円板4の上面に薄肉直管3に接触するようにセッ
トされている。吊り支え1で支えられている上側の第1
の厚肉支持円板2はストッパチップ22によりその上面部
で位置決めされている。鑞付けのためのリング鑞21は下
面部に薄肉直管3に接触するようにセットされている。
センシング用アダプタピン5及びドライブ用アダプタピ
ン6にもその根元にリング鑞51(図示せず)及び61がセ
ットされている。下側の第1の厚肉支持円板2及び第2
の厚肉支持円板4も同様にそれぞれの下面に接触してい
るストッパチップ22及び42によって位置決めされ、それ
ぞれの上面に薄肉直管3と接触してリング鑞21及び41が
セットされている。上側の第1の厚肉支持円板2用のリ
ング鑞21が下面にセットされているのは、下側の第1の
厚肉支持円板2との対称性を良くするためであり、図2
に示したように、上面にリング鑞21をセットすることも
できる。
【0017】ここで、鑞付け時のそれぞれの部品の伸び
について推定する。図1に示した第1の厚肉支持円板2
間の距離LA =420mm とし、炉の温度を 820℃とする
と、薄肉直管3がSUS304からなる場合には、約 6.3mmも
伸びる。この伸びは設計上で要求されているLA = 420
±0.1mm に比べて桁違いに大きく、従来方法による真空
鑞付け法では要求値を満たすことが相当に困難である。
この状況はアダプタピン間の距離についても同様であ
り、要求仕様は同様に厳しい。この厳しい要求仕様は製
品としてのコリオリ式質量流量計を調整する場合に容易
に調整ができるために必要な条件であり、これを越える
と調整が面倒になり、製品の性能のバラツキも大きくな
る。
【0018】図1の状態にセットされた薄肉直管3と厚
肉支持円板とアダプタピンなどが真空炉内で熱処理され
鑞付けされる。この方法の場合には仮組み状態のままで
膨張・収縮するので、マイクロスポット溶接によるスト
ッパチップとアダプタピンの位置精度で鑞付けされ、各
部品の相対位置精度は決まる。ここで、この相対位置精
度を決めるストッパチップとアダプタピンの仮付けマイ
クロスポット溶接方法(以下では溶接方法と略称する)
について図3から図7を用いて説明する。
【0019】図3は標準型のスポット溶接機の基本構成
図であり、図4及び図5はこの発明によるアダプタピン
及びストッパチップの溶接方法の原理構成とその結果を
説明する図であり、図6はこの発明による分離電極方式
の溶接方法における位置決め治具を説明するための分解
斜視図であり、図7は図6に示した分離電極方式の特長
を説明するための図である。
【0020】標準型のスポット溶接機は、加圧用エアシ
リンダ10により、上部標準電極8と下部標準電極9との
間に被溶接物11を挟み込み、加圧しながら電流を流して
スポット溶接する。この発明によるマイクロスポット溶
接法においては、図4(a)に示すように、上部電極80
は、薄肉管3を保持し易いようにV溝形状とし、必要に
応じて接触面を薄肉管3のRに合わせている。下部電極
90は、アダプタピン5やストッパチップ22を嵌め込むた
めの孔加工が施されており、アダプタピン5の場合を図
4(a)に示し、ストッパチップ22の場合を図5(a)
に示す。アダプタピン5及びストッパチップ22のの上面
中央部には高さ30〜80μm のプロジェクション(突起)
53あるいは23が設けられている。
【0021】アダプタピン5の仮付けマイクロスポット
溶接は、まずアダプタピン5をアダプタピン5用の下部
電極90の所定の孔にきっちりと嵌め込み、下部電極90の
加圧面94でアダプタピン5の押しつけ部54を均一に加圧
できるようにする。この状態で上部電極80が上から下が
ってきて、薄肉管3を介して荷重がかけられ、アダプタ
ピン5のプロジェクション53が薄肉管3に押しつけら
れ、この状態で溶接電流が流され、プロジェクション53
部でマイクロスポット溶接される。図4(b)はこのよ
うにして溶接された薄肉管3とアダプタピン5の外観を
示す。なお、上部電極80に設けられている逃げ孔81は、
図1に示したドライブ用アダプタピン6の2つ目の溶接
の時に、1つ目のアダプタピン6を逃げるための孔であ
る。
【0022】ストッパチップ22の場合には、図5(a)
に示すような下部電極95を使う以外は同様であるので詳
細説明を省略する。図5(b) はストッパチップ22を薄
肉管3に溶接した状態の外観を示す。ストッパチップ22
の大きさは、例えばφ3mmで厚さ1mmである。以上は基
本的な電極構造及び部品構造に関する説明であるが、次
に、位置決め方法について図6を用いて説明する。
【0023】図6はアダプタピン6及びストッパチップ
22の仮付けマイクロスポット溶接用治具の外観を示す分
解斜視図である。精度よく部品を位置決めでき、しかも
量産性も良いように配慮されている。下部電極及びV溝
形状の上部電極は、独立に分離されていて、下部分離電
極96及び上部分離電極86が、薄肉管3のそれぞれの位置
に対応して明けられた、下部ガイド板13及び上部ガイド
板12の下部分離電極ガイド孔131 及び上部分離電極ガイ
ド孔121 に、個々に収納されている。厚肉支持円板が嵌
め込まれた薄肉管3が、厚肉支持円板が支持円板用孔13
2 に入るよう、ガイド14に位置決めされて下部ガイド板
13にセットされ、上部ガイド板12の貫通孔123 が下部ガ
イド板13のボルト15に通され位置決めされ、クィックナ
ット16で締められて一体化され、治具へのセットが完了
する。溶接作業は、標準型のスポット溶接機の標準電極
が個々の分離電極の加圧面97及び87を加圧し、電流を流
すことによって実施される。
【0024】この分離電極方式による溶接法の特長を図
7を用いて説明する。図7(a)は従来方式の溶接法を
示すもので、図7(b)が分離電極方式による溶接法を
示すものである。従来方式においては、上部電極80及び
下部電極90は溶接装置に固定されているものであるか
ら、溶接する部品(図7(a)ではアダプタピン5)の
位置精度や溶接した部品間の相対位置精度を確保するた
めには、位置決めも送りも正確にする必要がある。図7
(a)で言えば、L1 及びL2 を正確に決めるための位
置調整が必要である。この調整のために要する時間及労
力は多大なものであり、生産性も悪い。
【0025】これに対して、(b)に示す分離方式であ
れば、治具によって個々の分離電極86及び96とそれにセ
ットされている部品(図7(b)ではアダプタピン5)
の位置精度が確保されているので、標準電極8及び9の
位置がずれても分離電極の加圧面87及び97を加圧できる
範囲内であれば、正確に位置決めされた溶接ができる。
このため、この分離電極方式によれば、煩わしい位置決
め作業が不要となり、しかも、必要な位置決め精度が確
保でき、高い生産性が得られる。
【0026】このようにして、この発明によれば、真空
鑞付けの加熱時に生ずる熱膨張による部品間の位置ずれ
に伴う位置寸法の誤差を生じることがなく、また、複雑
な位置決め用治具を真空鑞付け時に使用することがない
ので量産性が高く、品質のバラツキが少ない鑞付け方法
を得ることができる。以下に、実施例について説明す
る。
【0027】〔第1の実施例〕この実施例は薄肉管3の
素材としてステンレス(SUS304)を使用した場合であ
る。ステンレスは真空鑞付けにおいて、鑞材としてJI
S銀鑞BAg8を用いる場合に、その鑞の拡がり性が必ず
しもよいものではなく、まだらな拡がりを示すことが多
い。鑞材の拡がり性を確保するために、ステンレス製の
薄肉管3には厚さ約5μm の無電解ニッケルメッキを付
けたものを使用した。
【0028】仮付けマイクロスポット溶接において、上
部電極80あるいは上部分離電極86には無酸素銅製とクロ
ム銅製のV溝形状電極を、下部電極90あるいは下部分離
電極96にはクロム銅を使用した。上部電極80あるいは上
部分離電極86にクロム銅製を使用した場合には接触表面
部に若干の熱変色が発生するが、無酸素銅製の場合には
全く何の痕跡も残さない。このことは無酸素銅がその固
さがクロム銅に比べて低いこと及び電気伝導性がクロム
銅に比べて大きいことが有効に働いているものと推定さ
れる。したがって、上部電極80あるいは上部分離電極86
としては無酸素銅製の方が優れている。また、V溝の角
度は90〜120 °が優れている。勿論、接触面をR形状と
して接触面積をより大きくすることはより有効である。
【0029】アダプタピン5及びストッパチップ22の表
面に設けたプロジェクョン53及び23の高さは、30〜80μ
m が望ましい。この範囲の高さのプロジェクョンにより
スポット溶接すると、仮付けスポットの剪断強度とし
て、肉厚 0.4〜0.7mm で外形φ6〜15mmの管の場合に20
〜40kgf が得られ、仮付け強度としては十分な値であ
る。また、スポット溶接の通電方式はコンデンサ式ある
いはインバータ式などの短時間通電方式で、しかも、ナ
ゲットの形成が始まるか否かの状態の溶接レベルが良
い。溶接部における明確なナゲットの形成は好ましくな
い。何故なら、ナゲットを形成させると薄肉管3の内側
にスポット溶接の圧痕が形成されること、スポット溶接
部を剥がすとナゲットの円形状の周辺に熱変色が僅かに
認められることによる。スポット溶接の圧痕は応力腐食
の点から望ましくなく、熱変色は熱応力だけではなく、
次工程の真空鑞付けにおいて鑞の拡がりを阻害するから
である。
【0030】〔第2の実施例〕第2の実施例は、薄肉管
3の素材としてチタン合金(Ti-3Al-2.5VあるいはTi-6
Al-4V)を使用した場合であり、厚肉支持円板2及び4
にはステンレス(SUS430)を使用した。ステンレスにSU
S430を使用するのは、チタン合金の小さな熱膨張係数に
合わせるためである。例えば、Ti-3Al-2.5Vの熱膨張係
数は 8.8×10-6/℃であるのに対して、SUS430の熱膨張
係数は 10.44×10-6/℃と近いが、SUS304の熱膨張係数
は17.3×10-6/℃と大きくずれるからである。実際に厚
肉支持円板2にSUS304を使用して真空鑞付けした場合に
発生する熱応力と、SUS430を使用した場合の熱応力とを
計算して比較すると、薄肉管3の厚肉支持円板2の接触
部の隅の部分において薄肉管3にかかる圧縮応力が、SU
S430の方がSUS304の場合の1/3となり、SUS430の優位
性が明確である。しかも、SUS430の場合の圧縮応力(10
kg/mm2弱)は薄肉管3の引張強度(69kg/mm2)に比べて
1/7以下と小さな値となる。
【0031】実際の真空鑞付けは、SUS430からなる厚肉
支持円板2及び4に厚さ約5μm の無電解ニッケルメッ
キを付け、第1の実施例と同様の方法で仮組みし真空鑞
付けし、巣の無い良好な鑞付け部を得た。また、チタン
合金からなる薄肉管3にも厚さ約5μm の無電解ニッケ
ルメッキを付け、同様に真空鑞付けした結果、鑞材の薄
肉管3への拡がりが更に均一となった。
【0032】なお、厚肉支持円板2及び4の材質を薄肉
管3と同じチタン合金にしないのは、チタン合金が高価
であることにもよるが、ステンレスで作られるセルケー
スと溶接できることが必要であることもその理由であ
る。また、リング鑞をセットする場合には締めつけるよ
うにして所定の位置に配置することは言うまでもない。
【0033】更にまた、以上では鑞付け方法として真空
鑞付け法を説明してきたが、微量の不活性ガスを炉中に
入れて鑞付けするキャリアガス法による鑞付け方法を採
用できることは言うまでもない。
【0034】
【発明の効果】この発明によれば、アダプタピンと、厚
肉支持円板を位置決めするためのストッパチップを、薄
肉直管を固定保持するV溝形状をした上部電極と、アダ
プタピンあるいはストッパチップの形状に合わせた座ぐ
り孔をもつ下部電極とを用いたマイクロスポット溶接に
よって仮付けし、薄肉直管が垂直になるよう保持し、厚
肉支持円板がストッパチップによって位置決めされた状
態において真空鑞付けする。
【0035】薄肉直管を垂直に保持し、マイクロスポッ
ト溶接によるストッパチップによって厚肉支持円板を位
置決めし、アダプタピンはマイクロスポット溶接によっ
て固定・位置決めすることにより、鑞付け作業は鑞付け
部にリング状の鑞材をセットし、その状態で真空炉に入
れ熱処理することで実施できる。したがって、薄肉直管
を垂直に保持する治具さえあればこの方法を実施するこ
とができる。鑞付け時の加熱によって部材が熱膨張して
も、薄肉直管上にストッパチップもアダプタピンもスポ
ット溶接で固定されているので、加熱により位置がずれ
ることはない。なお、薄肉直管を垂直に保持すれば、厚
肉支持円板は水平となるので鑞材が均一に拡がる。
【0036】更に、アダプタピン及びストッパチップを
薄肉直管に仮付けするマイクロスポット溶接を、下部ガ
イド板に正確に位置決めされている下部分離電極ガイド
孔に配置され,アダプタピンあるいはストッパチップを
座ぐり孔に収納している下部分離電極と、下部ガイド板
に正確に位置決めされている上部ガイド板に正確に位置
決めされている上部分離電極ガイド孔に配置されている
V溝形状をした上部分離電極とによって実施する。
【0037】この方法によれば、上下の分離電極が上下
のガイド板によって正確に薄肉直管に位置決めされてい
るので、溶接機の標準電極の位置が分離電極の加圧面内
でずれても正確に所定の位置にスポット溶接することが
できる。このように、この発明によれば、複雑で体積容
量の大きい治具を必要とせず、それだけ多く鑞付けが可
能となり、しかも、部品の位置精度及び鑞付け品質が格
段に向上する。更に、仮付けスポット溶接作業は、分離
電極を用いた治具に部品と分離電極をセットすることに
よって、標準型のスポット溶接機により素人でも簡単に
必要な精度を確保して実施することができ、作業時間が
短くなり、量産効果が極めて大きくなる。
【0038】なお、薄肉直管をチタン合金のTi-3Al-2.5
VあるいはTi-6Al-4Vで形成し、厚肉支持円板をステン
レスSUS430で形成するという組合せにより、線膨張係数
が小さく、質量の小さいチタン合金のTi-3Al-2.5Vある
いはTi-6Al-4Vが薄肉直管用材料としては使用でき、耐
食性に優れ、残留熱応力の極めて小さいコリオリ式質量
流量計を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるコリオリ式質量流量計の鑞付け
方法における仮組み状態を示す斜視図
【図2】別の仮組み状態を示す部分斜視図
【図3】標準型のスポット溶接機の基本構成図
【図4】この発明によるアダプタピンの溶接方法の原理
とその結果を示し、(a)は電極構成を示す説明図、
(b)はその溶接結果を示す図である。
【図5】この発明によるストッパチップの溶接方法の原
理とその結果を示し、(a)は下部電極にストッパチッ
プをセットした状態を示す図、(b)はその溶接結果を
示す図である。
【図6】この発明による分離電極方式の溶接方法に用い
る位置決め治具を説明するための分解斜視図
【図7】図6に示した分離電極方式の特長を示し、
(a)は従来方式を示す説明図、(b)は分離電極方式
を説明するための図である。
【図8】コリオリ式質量流量計の構成を示す概念断面図
【符号の説明】
1 吊り支え 2 第1の厚肉支持円板 21 リング鑞 22 ストッパチップ 23 プロジェクション 3 薄肉管 4 第2の厚肉支持円板 41 リング鑞 42 ストッパチップ 5 センシング用アダプタピン 53 プロジェクション 54 押しつけ部50 センシング部 55 センシング用マグネット 56 センシング用コイル 6 ドライブ用アダプタピン 61 リング鑞60 ドライブ部 65 ドライブ用マグネット 66 ドライブ用コイル 7 スポット溶接電源 8 上部標準電極 80 上部電極 81 逃げ孔 82 保持部 86 上部分離電極 87 上部加圧面 9 下部標準電極 90 下部電極 94 加圧面 95 下部電極 96 下部分離電極 97 下部加圧面 10 加圧用エアシリンダ 11 被溶接物 12 上部ガイド板 121 上部分離電極ガイド孔 122 支持円板用孔 123 貫通孔 13 下部ガイド板 131 下部分離電極ガイド孔 132 支持円板用孔 14 ガイド 15 ボルト 16 クィックナット 17 ハウジング 18 セルケース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−326205(JP,A) 特開 平6−201428(JP,A) 特表 平9−512341(JP,A) 特表 平8−506055(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01F 1/84

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薄肉直管の2箇所を厚肉支持円板により保
    持し、その支持円板間の中央部に薄肉直管を振動させる
    ドライブ手段を備え、その両側に薄肉直管の振動状態を
    検出するセンシング手段を備えており、ドライブ手段に
    より振動させられている薄肉直管の振動状態をセンシン
    グ手段で計測することにより、薄肉直管内に流れている
    流体の質量流量を計測するコリオリ式質量流量計におい
    て、薄肉直管に、厚肉支持円板と、ドライブ手段及びセ
    ンシング手段のアダプタピンを鑞付けする方法であっ
    て、 前記アダプタピンと、厚肉支持円板を位置決めするため
    のストッパチップが、薄肉直管を固定保持するV溝形状
    をした上部電極と、前記アダプタピンあるいはストッパ
    チップの形状に合わせた座ぐり孔をもつ下部電極とを用
    いたマイクロスポット溶接によって仮付けされ、 薄肉直管が垂直になるよう保持され、厚肉支持円板がス
    トッパチップによって位置決めされた状態において鑞付
    けされる、 ことを特徴とするコリオリ式質量流量計の鑞付け方法。
  2. 【請求項2】アダプタピン及びストッパチップを薄肉直
    管に仮付けするマイクロスポット溶接が、下部ガイド板
    に正確に位置決めされている下部分離電極ガイド孔に配
    置され,アダプタピンあるいはストッパチップを座ぐり
    孔に収納している下部分離電極と、下部ガイド板に正確
    に位置決めされる上部ガイド板に正確に位置決めされて
    いる上部分離電極ガイド孔に配置されているV溝形状を
    した上部分離電極とによって実施されることを特徴とす
    る請求項1に記載のコリオリ式質量流量計の鑞付け方
    法。
  3. 【請求項3】薄肉直管をチタン合金のTi-3Al-2.5Vある
    いはTi-6Al-4Vで形成し、厚肉支持円板をステンレスSU
    S430で形成することを特徴とする請求項1または請求項
    2に記載のコリオリ式質量流量計の鑞付け方法。
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