JP3333673B2 - 軽合金材料の射出成形方法およびその装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、固体状の軽合金材
料を加熱、溶融して射出する射出成形方法およびその装
置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】 従来、用いられている軽合金材料の射
出成形装置は、図２に示されているように、外周部にヒ
ータｃが設けられているシリンダバレルａ、シリンダヘ
ッドｇ、ノズルｈ、シリンダバレルａ内で回転および軸
方向に駆動されるスクリュｂ、このスクリュｂを軸方向
に駆動する油圧ピストン・シリンダ機構ｆ、油圧回路等
から構成されている。

【０００３】したがって、油圧モータｊによりスクリュ
ｂを回転駆動すると共に、ホッパｅから固体状の軽合金
材料をシリンダバレルａに供給すると、軽合金材料はヒ
ータｃから加えられる熱等により混練・溶融され、そし
てシリンダバレルａの前方に送られ計量される。所定量
計量した後、電磁弁ｒを切り換えることにより、油圧ポ
ンプｋとアキュムレータｑから圧油が油圧ピストン・シ
リンダ機構ｆの油圧室ｉに供給され、計量された溶融状
態の軽合金材料は高速でシリンダヘッドｇ、ノズルｈの
流路を通過し、型締めされた金型ｌに射出される。金型
１に射出された軽合金材料はノズルｈの先端に形成され
たプラグと共にスプルｍを通過後、プラグキャッチャｎ
にプラグを残し、ランナｏを通してキャビティｐヘと射
出され、成形品を得ることができる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の射出成形方法で
は、軽合金材料は１つのノズルを通過して金型に射出さ
れるため、次のような問題が存在していた。すなわち、
溶融状態の軽合金材料の固化速度は極めて早いので、金
型内での流動長には限界があり、大型成形品が得られな
いという問題があった。また、軽合金材料の充填性とい
った成形品の品質の面にも問題があった。

【０００５】一般の樹脂成形用射出成形機においては、
こうした問題を解決するために、金型に加熱体を内蔵し
たホットランナ金型を使用して、スプル、ランナがない
成形品を成形する方法があるが、軽合金材料の場合、高
温域でのシビアな温度制御が必要なため、ホットランナ
金型を適用できる可能性は低い。

【０００６】また、その他に、２台の射出装置から１つ
の金型に射出する方法も考えられるが、たとえば０．０
２秒といった超高速射出を行う場合、２台の射出装置の
射出制御の同期が困難となり、ゲートバランスの不良と
いった問題が発生することが考えられる。

【０００７】本発明は、従来の技術の有するこのような
問題点を解決するためになされたものであって、高品質
の大型成形品を容易に成形できる軽合金材料の射出成形
方法およびその装置を提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、所定量の溶融
状態の軽合金材料を所定時間内に金型に射出するために
は、１つのノズルより、複数のノズルから射出するほう
がよいことに着目して、複数本のノズルを使用して前記
目的を達成しようとするものである。すなわち、本発明
による軽合金材料の射出成形方法は、シリンダバレル内
で加熱、溶融された軽合金材料を、スクリュにより、複
数の溶融金属流路を有するシリンダヘッドを介して、複
数のノズルより、金型に形成されている複数のスプルと
該スプルに接続されているランナを介して１つのキャビ
ティに射出して、接合された成形品を得ることを特徴と
する。

【０００９】

【００１０】本発明による軽合金材料の射出成形装置
は、ノズルと接合される複数のスプルと、該スプルと接
続されるランナと、該ランナが合流する１つのキャビテ
ィが形成されている金型に対して、溶融状態の軽合金材
料を射出するスクリュが内挿されているシリンダバレル
の前部に複数の溶融金属流路を有するシリンダヘッドが
接続され、該シリンダヘッドの前部に溶融金属流路のそ
れぞれに対して前記ノズルが取り付けられていることを
特徴とする。

【００１１】

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例にもとづき図面を参照して説明する。本実施例に係わ
る射出装置は、シリンダバレル１、このシリンダバレル
１内に軸方向と回転方向とに駆動自在に設けられている
スクリュ２、このスクリュ２を軸方向に駆動する油圧ピ
ストン・シリンダ機構５、この油圧ピストン・シリンダ
機構５を作動する油圧回路、スクリュ２を回転方向に駆
動する油圧モータ９等から構成されている。前記油圧回
路は、油圧ポンプ１１とアキュムレータ１７からの圧油
を電磁切替弁１８を介して、前記油圧ピストン・シリン
ダ機構５の油圧室８に供給するものである。

【００１３】前記スクリュ２の後端部はシリンダバレル
１から外方ヘ延び、油圧ピストン・シリンダ機構５のピ
ストンロッドと接続されている。

【００１４】前記シリンダバレル１の前部には、複数の
溶融金属流路２２を有するシリンダヘッド６が接続さ
れ、該シリンダヘッド６の前部には、前記溶融金属流路
２２のそれぞれに対してノズル７がオサエガネ１０によ
って取り付けられている。前記シリンダバレル１、シリ
ンダヘッド６およびノズル７の外周部には、個々に精密
に温度制御されるヒータ３が設けられている。また、シ
リンダバレル１の後方上部には、軽合金材料を供給する
ホッパ４が設けられている。

【００１５】上述した射出装置は図示されていない射出
台上に前後動可能に設けられ、この射出台には、前記射
出装置に対向して型締装置の固定盤１９が取り付けられ
ている。そして、この固定盤１９に金型１２が取り付け
られている。固定盤１９のシリンダバレル１側には駆動
棒２０が固定されている。この駆動棒２０はシリンダバ
レル１に固定されているピストン・シリンダ装置２１に
圧油を給排すると、シリンダバレル１すなわちノズル７
が金型１２ヘタッチする方向へ、あるいは金型１２から
離間する方向へ駆動されることになる。

【００１６】前記金型１２は固定金型１２ａとそれと対
をなす可動金型１２ｂとから構成され、固定金型１２ａ
には前記ノズル７と接合し、溶融状態の軽合金材料の流
入口となるスプル１３が、前記ノズル７と同数個設けら
れ、可動金型１２ｂにはノズル７の先端部にて形成され
たプラグを格納するためのプラグキャッチャ１４が各ス
プル１３に対応して設けられている。前記スプル１３は
多数のランナ１５を介してキャビティ１６に接続されて
いる。前記キャビティ１６は連続体であり、この１つの
キャビティ１６に多数のランナ１５を介して射出された
溶融状態の軽合金材料により成形品が形成される。な
お、前記射出装置および型締装置によって射出成形装置
が構成されている。

【００１７】次に、上述した射出成形装置を使用した軽
合金材料の射出成形方法について説明する。

【００１８】固体状の軽合金材料としては、融点が６５
０℃以下の金属元素単体もしくはこれらの金属を基にし
た合金が使用される。実際的な例としては、例えばアル
ミニウム、マグネシウム、亜鉛、錫、鉛、ビスマス、テ
ルビウム、テルル、カドミウム、タリウム、アスタチ
ン、ポロニウム、セレン、リチウム、インジウム、ナト
リウム、カリウム、ルビジュウム、セシウム、フランシ
ウム、ガリウム等を挙げることができるが、特にアルミ
ニウム、マグネシウム、鉛、亜鉛、ビスマス、錫の単体
およびこれらの金属を基にした合金が望ましい。これら
の軽合金材料は、いずれも上述した射出成形装置で混
練、溶融し、射出成形することができる。

【００１９】なお、射出成形装置に適した形状の軽合金
材料は、いろいろな方法で得ることができる。例えばイ
ンゴットをチッピングマシンでチップ化して得ることも
できる。あるいは切削マシンで切削して得られる切削粉
を利用することもできる。また、水などの冷却媒に溶融
金属を滴下して作ることもできる。これらの方法により
得られる軽合金材料は、適度に形状が小さく、粉体とは
異なり取扱いが容易で、シリンダバレル１内で先端部ヘ
送られる過程で容易に溶融する。さらには、従来周知の
還元法、回転消耗電極法により得ることもできる。

【００２０】上述のようにして準備した軽合金材料をホ
ッパ４より供給し、油圧モータ９によりスクリュ２を回
転駆動し、スクリュ２の先端に溶融状態の軽合金材料を
貯えながらスクリュ２が後退する。ピストン・シリンダ
装置２１により射出装置を前進させ、複数のノズル７を
金型１２のノズル挿入穴に位置合わせして、同時にタッ
チさせる。次に、油圧ピストン・シリンダ機構５の油圧
室８にアキュムレータ１７に蓄圧した圧油を供給してス
クリュ２を高速駆動し、溶融状態の軽合金材料を、複数
の溶融金属流路２２を有するシリンダヘッドを通して複
数ノズル７より、型締めされている金型１２の１つのキ
ャビティ１６に複数のスプル１３とランナ１５を介して
射出する。冷却固化を待って、金型１２を開いて成形品
を取り出す。以下、同様な動作を繰り返して成形する。

【００２１】

【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているため、次のように効果を得ることができる。すな
わち、溶融状態の軽合金材料を金型に射出して成形品を
得るとき、複数の溶融金属流路を有するシリンダヘッド
に取り付けられた複数個のノズルより１つのキャビティ
に射出するので、成形性がよくなり、高品質の大型成形
品を容易に成形することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による射出成形装置を示す断面構成図で
ある。

【図２】従来の射出成形装置を示す断面構成図である。

【符号の説明】

１ シリンダバレル ２ スクリュ ６ シリンダヘッド ７ ノズル 12 金型 13 スプル 15 ランナ 16 キャビティ 22 溶融金属流路

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固体状の軽合金材料を加熱、溶融して射
   出する射出成形方法において、 シリンダバレル（１）内で加熱、溶融された軽合金材料
   を、スクリュ（２）により、複数の溶融金属流路（２
   ２）を有するシリンダヘッド（６）を介して、複数のノ
   ズル（７）より、金型（１２）に形成されている複数の
   スプル（１３）と該スプル（１３）に接続されているラ
   ンナ（１５）を介して１つのキャビティ（１６）に射出
   して、接合された成形品を得ることを特徴とする軽合金
   材料の射出成形方法。
2. 【請求項２】 固体状の軽合金材料を加熱、溶融して射
   出する射出成形装置において、ノズル（７）と接合される複数のスプル（１３）と、該
   スプル（１３）と接続されるランナ（１５）と、該ラン
   ナ（１５）が合流する１つのキャビティ（１６）が形成
   されている金型（１２）に対して、 溶融状態の軽合金材
   料を射出するスクリュ（２）が内挿されているシリンダ
   バレル（１）の前部に複数の溶融金属流路（２２）を有
   するシリンダヘッド（６）が接続され、該シリンダヘッ
   ド（６）の前部に前記溶融金属流路（２２）のそれぞれ
   に対して前記ノズル（７）が取り付けられていることを
   特徴とする軽合金材料の射出成形装置。