JP3328409B2 - 可変断面押出用ダイスまたは中子 - Google Patents

可変断面押出用ダイスまたは中子

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、断面可変型の金属押出
用ダイスまたは中子に関する。
【0002】
【従来の技術】押出の分野において、可変断面はインラ
イン曲げと並び将来技術として注目を浴びており、研究
開発の対象となっている。可変断面の従来技術として
は、マンドレル先端を移動する事により内径を変化させ
るもの(特開平1−19241号公報)、ダイス先端に
開閉可能な環状流路を設ける事により厚さを変化させる
もの(特開昭62−28272号公報)を始めとし、様
々な技術が提唱されている。
【0003】可変断面技術の中では、ダイスを分割して
分割部分を独立に移動させる技術(特開昭60−247
503、特開平2−290614、特開平4−1430
97、特開平5−31527号公報)が多く提案されて
いる。これらの技術では、様々な形状のダイス分割部分
が、押出方向とは異なるある方向に徐々に移動する事に
より、材料の流路を変更して断面形状を長さ方向(即ち
押出方向)に対して変化させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この従来のダ
イス分割手法によると、汎用的に厚さや径等をパラメー
タとする簡単な変化を断面に対して付与する事が可能で
あるが、大きな断面変化や複雑な断面変化が与えにくい
と考えられる。即ち実際問題として、様々なニーズに対
応する事が困難である。一方で、多少コストが高くとも
使用意義のある大きく複雑に変化する断面形状に対する
要請は、例えば一部の構造材料や景観材料等を始め多く
存在する。
【0005】本発明は、この様なニーズを満足する為の
可変断面押出用可動分離型のダイスおよび中子を提供す
る事を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この問題に対して、目的
の断面変化を丁度写真のネガフィルムの様に凹凸を逆に
した状態のダイスを作製し、このダイスを予め分割して
おき、適宜分離しながら押出手法を提案する。ダイスの
分離時に断面変化部分が作製され、その他の工程では直
管部分が作製される。本発明の手法は従来技術の様に汎
用的ではないが、ある特殊な、しかし使用意義の高い断
面変化材に対応可能な手法として、今後広く活用できる
ものである。
【0007】本発明の要旨は、次の通りである。 (1)押出方向に変化する断面を有し、押出方向に対し
て二以上に分割されており、該分割された各部分が各々
独立して押出方向に押出部材長さ以上可動な、可変断面
押出用ダイスまたは中子。 (2)押出方向以外の方向に対しても少なくとも一箇所
以上分割された、上記の押出用ダイスまたは中子。 (3)該分割された部分の内少なくとも一部分以上が押
出方向以外に可動な、上記の押出用ダイスまたは中子。
【0008】
【作用】本手段による可変断面押出工程を、ダイスのみ
が分離可動型である例を挙げて、図1および2に基づい
て説明する。図1は使用するダイス(固定ダイス1、可
動ダイス2)と中子3を示している。ダイスは図1中に
示す位置aにおいて分割されており、この様な二分割は
最も単純な本発明の一例である。この図1の構造を用い
て実際の押出工程を行う場合を図2にて説明する。
【0009】ダイス1および2を接続させたまま押し
出しを開始する。ここでは、図中4の断面形状で押し出
される。 所定の長さだけ断面形状4の管部を押し出す(図2の
(a) (b) )。 可動ダイス2を固定ダイス1から分離し、押出速度と
同じ速度で押出方向に移動させる。この過程において、
断面形状は図中4から5へと変更され、ダイス形状に従
って断面変化部が作製される(図2の (c) )。 所定の長さだけ断面形状5の管部を押し出す(図2の
(d) )。 押出終了後、押出材を取り出し、分離されたダイスを
元に戻す。
【0010】この手法では、以上の説明で明らかな様
に、分離された全てのダイス分割部分が押出材に対して
それらを外せる全ての形状に関して、可変断面が実現可
能となる。また、上記過程の内およびに関しては、
自由に長さを設定する事が可能である。即ち、同一のダ
イスから同一の断面変化を有する異なる長さの押出材も
製造可能であり、図3に示す様に使用する事により、景
観部材として、あるいは場合によっては橋等の構造部材
として有効である。
【0011】
【実施例】本発明の実施例を、既に説明した図1から図
3に示すもの以外について、同様に図に基づいて説明す
る。
【0012】図4(a)および(b)は、三分割ダイス
を用いた多段可変断面押出の例で、各々ダイス1,2
A,2Bと中子3の断面と押出材形状を示す。押出工程
では、先ず断面形状材6が押し出され、前方可動ダイス
2Aが前方分離位置a−2より移動後、次ぎに断面形状
材7が押し出され、後方可動ダイス2Bが後方分離位置
a−1より移動し、最後に断面形状材8が押し出され
る。これは三段可変断面の一例であるが、ダイスの押出
方向長さの物理的制約の範囲で段数を増す事が可能であ
る。
【0013】図5(a)および(b)は、二分割ダイス
を用いて、外表面の半分にストライブ状にスリットを与
えた押出材を作製した例で、各々ダイスと中子の断面と
押出材形状を示す。ダイスが移動して押出材から離れる
事が可能な形状であれば、この例の様に特殊形状を作製
する事も可能となる。また、この様に特殊な形状を作製
する事は、本発明を最も有効に実施するところである。
【0014】同様な特殊形状を、中子に付与する事も可
能である。図6(a)および(b)は、内部に弁を挿入
した押出例で、各々ダイスと中子の断面と押出材形状を
示す。ダイスや中子が押出材から引き抜ける形状であれ
ば、全て押出材に反映する事ができる。
【0015】以上の系は、全てダイスの代わりに中子を
分割する事によっても、実現可能となる。中子の分割
は、分割後の可動中子3Bの移動が可動ダイスのそれよ
りも大掛かりとなりがちな事により、通常あまり用いら
れない。しかしながら、中子を分離した例を図7(a)
および(b)に示す。特殊な形状として非対称な断面変
化を与えた例で、各々中子とダイスの断面と押出材形状
を示す。以上の例は、全て請求項1に対応する。
【0016】図8(a)および(b)は、押出方向以外
に分割されたダイスを用い、左右非対称の部材を作製し
た例(請求項2に対応)であり、各々ダイスと中子の見
取り図と押出材形状を示す。この例では、先ず左右の可
動ダイス2C,2Dを分割せずに押し出し、押出長さが
(L3 −L2 )に達した時点で先ず右可動ダイス2Dを
分離し、押出長さが(L3 −L1 )に達した時点で次ぎ
に左可動ダイス2Cを分離する。全体長さL3 、左側断
面変化位置L1 および右側断面変化位置L2 は、任意に
変更出来る。
【0017】図9(a)、(b)および(c)は、管に
把手を付与した例(請求項3に対応)で、各々ダイスと
中子3の断面、前方可動ダイス2Fの分離後の状態およ
び押出材形状を示す。この例では、先ず図9(a)の状
態で押し出し、図9(b)の様に前方可動ダイス2Fを
左右に分割し取り除く。この状態で暫く押し出し、最後
に後方可動ダイス2Eを同様にして左右に分割し取り除
く。ダイスが押出方向以外に取り除ける事により、複雑
形状の付与が可能となる。
【0018】図10は、中子を細かく押出方向に分割
し、トリック状に中央を膨らませた押押出部材を作製し
た例(請求項3に対応)である。図10(a)は、中子
3′とダイス1,2の構造を示す。中子は、分割されて
軸9に対して伸縮脚10により支持されている。(図1
0のd)。この中子3′は、脚10が縮み、若干回転す
る事により、軸9に近づき半径r以内に収納される。ま
た、可動ダイス2は押出方向に移動する。工法では、先
ず図10(b)の様にダイスの移動により最初の可変断
面部が作製され、次に中子の収納により、図10(c)
の様に再び細い断面に変化する。押し出しに耐える様
に、中子の構造を十分強く設計する必要がある。
【0019】
【発明の効果】以上の本発明のダイスまたは中子により
得られる可変断面押出材は、ダイス作製段階において手
間とコストがかかるものの、様々な複雑且つ大幅な断面
変更が自由にできる。構造健全性の保証をする上で必要
な形状や、景観を重視した形状などに対して適切な対応
が可能であり、本発明は有意義であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本手法を適用した、二分割の最も単純なダイス
と中子を示す。
【図2】本手法の工程を、図1に示すダイスと中子を用
いた場合について示す。
【図3】景観材料としての本手法により押出材の使用例
を示す。
【図4】(a)は本手法を適用した、三分割ダイスと中
子を示す。(b)は(a)による、三段可変断面押出材
の例を示す。
【図5】(a)は可変ダイス側にスリット形状を付与し
た、二分割ダイスと中子の例を示す。(b)は(a)に
よる、スリットを外表面に有する可変断面押出材の例を
示す。
【図6】(a)は固定中子側に弁形状を付与した、二分
割ダイスと中子の例を示す。(b)は(a)による、弁
を内表面に有する可変断面押出材の例を示す。
【図7】(a)は本手法を適用した、非対称形状の押出
用の二分割中子とダイスの例を示す。(b)は(a)に
よる、非対称形状の押出部材の例を示す。
【図8】(a)は本手法を適用した、左右分離取り外し
型二分割ダイスと中子の例を示す。(b)は(a)によ
る、左右非対称形状を有する押出部材の例を示す。
【図9】(a)は本手法を適用した、左右分離取り外し
型三分割ダイスと中子の例を示す。(b)は(a)を使
用した工法の途中経過図を示す。本図は、前方可動ダイ
スが取り外された時点を示す。(c)は(a)による、
把手付き形状を有する押出部材の例を示す。
【図10】(a)は本手法を適用した、中央部が凹む移
動をする九分割中子と、押出方向に二分割されたダイス
の例を示す。(b)は(a)を使用した工法の途中経過
図を示す。本図は、前方可動ダイスが取り外された時点
を示す。(c)は(a)を使用した工法の途中経過図を
示す。本図は、中子が凹み押出部材の断面が再び細くな
った時点を示す。
【符号の説明】
1 固定ダイス 2 可動ダイス 3 中子 4〜8 各種断面形状 3′ 可動中子 9 軸(可動中子の重量および負荷を支える芯) 10 伸縮脚(可動中子の位置および傾きを支持する
部材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−168248(JP,A) 特開 昭48−78070(JP,A) 特開 昭51−79673(JP,A) 特開 昭53−12761(JP,A) 特開 平5−7951(JP,A) 特開 平4−327314(JP,A) 特開 平5−293533(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21C 25/08 B21C 37/15

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 押出方向に一様でない断面を有し、かつ
    押出方向に対して二以上に分割されており、該分割され
    た各部分が各々独立して押出方向に押出部材長さ以上移
    動可能な可変断面押出用ダイスまたは中子。
  2. 【請求項2】 押出方向以外の方向に対しても二以上に
    分割された、請求項1記載の押出用ダイスまたは中子。
  3. 【請求項3】 該分割されたダイスまたは中子本体の少
    なくとも一部分が、押出方向以外の方向に対して移動可
    能な様に二以上に分割されている事を特徴とする、請求
    項1または2記載の押出用ダイスまたは中子。
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TWI597106B (zh) * 2015-12-01 2017-09-01 財團法人金屬工業研究發展中心 Double-acting variable cross-section extrusion device and extrusion method
DE102017114371A1 (de) * 2017-06-28 2019-01-03 Technische Universität Berlin Brückenwerkzeug zur erzeugung von strangpressprofilen mit variierendem querschnitt

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