JP3326035B2 - 階層的伝送用スペクトル拡散時分割多重装置および時分割多重信号分離装置 - Google Patents

階層的伝送用スペクトル拡散時分割多重装置および時分割多重信号分離装置

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JP3326035B2
JP3326035B2 JP391595A JP391595A JP3326035B2 JP 3326035 B2 JP3326035 B2 JP 3326035B2 JP 391595 A JP391595 A JP 391595A JP 391595 A JP391595 A JP 391595A JP 3326035 B2 JP3326035 B2 JP 3326035B2
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  • Digital Transmission Methods That Use Modulated Carrier Waves (AREA)
  • Time-Division Multiplex Systems (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、衛星回線など非線形増
幅器を用いる場合のディジタル伝送において、降雨減衰
などに起因する急激な品質劣化を防ぐために階層的伝送
を行う場合の階層的伝送用スペクトル拡散時分割多重装
置および時分割多重信号分離装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、衛星回線など非線形増幅器を用い
る場合の階層的ディジタル伝送(階層的伝送とは、情報
を重要度の高いもの(下位層)と低いもの(上位層)と
に分けたうえで、重要度の高い情報に1ビットあたりの
エネルギーをより多く配分して伝送する方法を意味す
る)においては、時分割多重(TDM)方式を用い、変
調方式に従って畳み込み符号化率を変えたり、多値PS
Kの信号位相点の数を変えて階層化を行うことを前提と
している。
【0003】前者の公知例としては、J.Pailcot and J.
Veillard,"POSSIBLE CODING AND MODULATION APPROACHE
S TO IMPROVE SERVICE AVAILABILITY FOR DIGITAL HDTV
SATELLITE BROADCASTING AT 22GHz", IEEE Trans. on
Consumer Electronics, Vol.39, No.3, pp.660-667, Au
gust 1993.が、また後者の例としては、都竹,斉藤,福
地、“階層変調方式によるデータ伝送の検討”、199
3年信学春季大会、B−179,1993.がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
従来、衛星回線など非線形増幅器が介在する伝送路にお
けるディジタル変調方式としては、非線形の影響を受け
にくくするために信号を一定振幅として位相方向のみに
情報を乗せるQPSKや8相PSKなど位相シフトキー
イング(PSK)が広く使われている。従って、非線形
伝送路において階層的伝送を行う場合には、PSKを基
本としてこれをTDMする方式(TDM−PSK)が適
している。TDM−PSK方式における階層化は、符号
化率やPSKの多値数を時間別に変えることにより行わ
れている。しかし、TDM−PSK方式では、送受信で
正確なタイミング管理を必要とするうえ、システムを一
度決定してしまうと、各階層の情報量の配分と1ビット
あたりのエネルギーの配分(TDM−PSK方式では各
階層への時間割り当て、符号化率、信号位相点の数)が
限定されるために、可変レートの情報を扱うことが困難
であるなど、階層化伝送の自由度が小さく、階層化伝送
のメリットが余り発揮できないという欠点があった。
【0005】すなわち上記2件の公知例を含め、一般に
従来のTDM方式による階層化においては、きめ細かい
階層の設定が困難であること、一度設定した階層はフレ
キシブルに変更がきかないことなど自由度に欠けている
という問題があった。
【0006】本発明の目的は、これらの問題を解決する
ため、衛星回線など非線形増幅器を用いる場合の階層的
ディジタル伝送において、階層化の広さおよび深さに関
し、TDM方式を用いながらも自由度の高い階層的伝送
を可能にする階層的伝送用スペクトル拡散時分割多重装
置および時分割多重信号分離装置を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明による階層的伝送用スペクトル拡散時分割多
重装置は、重要度の高い情報ほど情報レートが低くなる
ように複数段階に階層符号化された階層的ディジタル情
報をスペクトル拡散時分割多重する装置であって、該装
置は、前記階層的ディジタル情報を取り込むとともに、
それら取り込んだディジタル情報のそれぞれに誤り検出
用の検査情報を付加する検査情報付加手段と、前記ディ
ジタル情報の各階層の情報レート間の比が2のべき乗の
関係となるようにレート変換を行って各階層の情報を時
間的に重複することなく出力するレート変換手段と、ス
イッチング回路をN段直列に接続したスイッチング手段
を具え、前記レート変換手段からの出力情報のうち、最
低レートの情報から順次レートの高くなる方向に、前記
出力情報が前記スイッチング手段の対応したレートの段
の前記スイッチング回路の入力端子に入力されるととも
に、前記スイッチング手段の各段の前記スイッチング回
路では前記入力された情報を情報レートの2倍の早さで
符号反転するようにスイッチングし、前記スイッチング
手段のそれぞれの段の前記スイッチング回路で見かけ上
2倍の情報レートとなるようにスペクトル拡散して出力
することにより、レートの低い段の前記スイッチング回
路に入力された情報ほど大きな処理利得が得られるよう
にしたスペクトル拡散時分割多重手段とを少なくとも具
えてなることを特徴とするものである。
【0008】また、本発明による階層的伝送用スペクト
ル逆拡散時分割多重信号分離装置は、重要度の高い情報
ほど情報レートが低くなるように複数段階に階層符号化
された階層的ディジタル情報のスペクトル拡散された時
分割多重信号からそれぞれ信号を分離する装置であっ
て、該装置は、積算回路をN段直列に接続した積算手段
を具え、受信されたスペクトル拡散時分割多重信号から
最大レートの情報を分離するとともに、前記積算手段の
各段の前記積算回路の入力情報を該情報の情報レートと
同じレートで符号反転するようにスイッチングし、スイ
ッチング前後2ビット分の情報を積算して1/2の情報
レートとなるようにスペクトル逆拡散して出力すること
により、レート間の比が2のべき乗の関係にあるすべて
のレートの情報を分離するようにしたスペクトル逆拡散
時分割多重信号分離手段と、該スペクトル逆拡散時分割
多重信号分離手段から得られた異なる情報レートを有す
る複数の情報をそれぞれレート変換して前記階層的ディ
ジタル情報を出力するレート変換手段と、前記階層的デ
ジタル情報の誤りを検出し、その情報が使用できるかど
うかを判定する誤り検出手段とを少なくとも具えてなる
ことを特徴とするものである。
【0009】
【作用】本発明階層的伝送用スペクトル拡散時分割多重
装置においては、前記検査情報付加手段によって階層的
ディジタル情報に誤り検出用の検査情報が付加されると
ともに、前記レート変換手段によって前記検査情報付加
手段で検査情報を付加された階層的ディジタル情報が各
階層の情報レート間の比が2のべき乗の関係となるよう
逐次レート変換され各階層の情報が時間的に重複するこ
となく出力された後、前記スペクトル拡散時分割多重手
段によって、N段直列に接続されたスイッチング手段に
より前記情報レート間の比が2のべき乗となるような関
係にある階層的デジタル情報のうち、最低レートの情報
から順次、対応したレートの段の入力に入力されると共
に各段では入力情報を情報レートの2倍の早さで符号反
転され、それぞれの段で見かけ上2倍の情報レートとな
るようスペクトル拡散を受けて出力され、次の段に受け
渡されていくことにより、情報レートの低い段に入力さ
れた情報ほど大きな処理利得が得られるようなスペクト
ル拡散時分割多重信号に変換され、変調方式がPSK変
調の場合、そのPSK変調手段によりある周波数を中心
としたPSK変調信号に変換された後、周波数変換手段
により通信/放送衛星に送信アンテナを経由して送信す
るための送信信号に変換されることになる。
【0010】また、本発明階層的伝送用スペクトル逆拡
散時分割多重信号分離装置においては、前記スペクトル
逆拡散時分割多重信号分離手段によって、通信/放送衛
星を経由して受信アンテナにより受信されたPSK変調
信号がまず、周波数変換手段により周波数変換された
後、PSK復調手段によりスペクトル拡散時分割多重信
号が得られ、最大レートの情報を分離すると共に、N段
直列に接続された積算手段により各段の入力情報が順
次、情報と同じレートで符号反転するようにスイッチン
グされ、スイッチング前後2ビット分の情報が積算され
1/2の情報レートとなるようにスペクトル逆拡散を受
けて出力されることにより、レート間の比が2のべき乗
の関係にあるすべてのレートの情報が分離され、前記レ
ート変換手段によって異なる情報レートをもつ複数の信
号がそれぞれレート変換され前記階層的ディジタル情報
が出力され、前記誤り率測定手段によって、階層的ディ
ジタル情報が使用できるかどうかを判定しつつ、階層的
ディジタル信号が出力されることになる。
【0011】
【実施例】以下に添付図面を参照し実施例により本発明
を詳細に説明する。まず、本発明による階層的伝送用ス
ペクトル拡散時分割多重装置および時分割多重信号分離
装置の基本思想について簡単に説明する。多重伝送は、
一般に上述の時分割多重(TDM)方式の他に周波数分
割多重(FDM)方式および符号分割多重(CDM)方
式があるが、FDM方式はマルチキャリア伝送となるた
め、またCDM方式は振幅方向が変化するため、これら
はいずれも衛星回線のように非線形増幅器を使用する場
合には適さない。
【0012】そこで階層的伝送を、非線形増幅器を使用
する非線形伝送路で行うには、振幅方向に変化の少ない
PSK変調(例えばBPSK,QPSK,8PSKな
ど)を誤り訂正のかけ方や変調レートすなわち帯域幅を
変えることなどと組み合わせてTDMするのが適してい
る。しかしながら、従来考えられているこれらの組み合
わせによるTDM−PSK方式では、きめ細かい階層の
設定が困難であったり、一度設定した階層はフレキシブ
ルに変更がきかないなどの問題があった。
【0013】本発明による時分割多重装置および時分割
多重信号分離装置では、各階層のディジタル情報をレー
ト変換して各階層信号のレート間の比が2のべき乗の関
係となり、かつ各階層の情報が時間軸上で重複すること
がないようにし、符号反転を行う何段かのスイッチ回路
を用いて、スペクトル拡散時分割多重信号を生成し、ま
た、受信側においては逆の動作で多重信号を分離するこ
とにより、容易に自由度の大きい階層伝送を可能として
いる。
【0014】図1は、本発明による階層伝送用スペクト
ル拡散時分割多重装置および時分割多重信号分離装置の
一実施例を適用して構成したディジタル伝送システムの
一例を示すブロック線図である。本ディジタル伝送シス
テムは、複数の階層的ディジタル情報を取り込んでこれ
をスペクトル拡散時分割多重するスペクトル拡散時分割
多重装置1と、このスペクトル拡散時分割多重装置1に
よって生成された多重信号をPSK変調するPSK変調
装置2と、PSK変調装置2によって生成された変調信
号を高周波信号に変換する周波数変換装置3と、周波数
変換装置3によって生成された高周波信号を通信/放送
衛星5に向けて送信する送信アンテナ4と、通信/放送
衛星5を経由した電波を受信する受信アンテナ6と、受
信アンテナ6によって受信された高周波信号を中間周波
信号に変換する周波数変換装置7と、周波数変換装置7
によって得られた中間周波のPSK変調信号を復調する
PSK復調装置8と、PSK復調装置8によって得られ
たスペクトル拡散時分割多重信号を個々の信号に分離
し、複数の階層的ディジタル情報を再生するスペクトル
逆拡散時分割多重信号分離装置9とを具えている。
【0015】上記において、このディジタル伝送システ
ムは、スペクトル拡散時分割多重装置1によって階層的
ディジタル情報を取り込むと共に、この階層的ディジタ
ル情報のうち、情報レートの低いものほど1ビットあた
りのエネルギーが大きくなるようにスペクトル拡散しな
がら時分割多重を行い、これをPSK変調装置2によっ
てPSK変調信号を生成し、これを通信/放送衛星5に
送信する。受信側では、PSK復調装置8によって受信
信号を復調したあと、スペクトル逆拡散時分割多重信号
分離装置9によって、前記スペクトル拡散時分割多重装
置1と逆の信号処理を行って階層的ディジタル情報を再
生するようにしている。
【0016】次に、図1中のスペクトル拡散時分割多重
装置1から通信/放送衛星5までの送信側における装置
の回路構成例を図2に示し、これにつき説明する。この
スペクトル拡散時分割多重装置1は、図2に示すよう
に、検査情報付加回路10と、レート変換回路11と、
時分割多重回路12と、スイッチング回路13とからな
り、伝送すべき対象となっている入力情報である複数の
階層的ディジタル情報を検査情報付加回路10に取り込
み、誤り検査のための情報を付加した後、レート変換回
路11において、ビットレートの異なる各階層の情報を
レート間の比が2のべき乗の関係となるようレート変換
し、さらにこれらレート変換された信号を時分割多重し
たうえで、それぞれ対応した情報レートのスイッチング
回路12に入力し情報レートの低いものほど1ビットあ
たりのエネルギーが大きくなるようにスペクトル拡散し
たあと、PSK変調装置2によりPSK信号に変換し、
周波数変換装置3で送信信号としてこれを送信アンテナ
4から通信/放送衛星5に向けて送信する。
【0017】上記において検査情報付加回路10は、パ
リティー方式やCRC方式、もしくはシンドローム方式
等により複数の階層的ディジタル情報に各々検査情報を
付加する回路であり、階層的ディジタル情報を取り込む
と共に、これら階層的ディジタル情報に対して誤り訂正
用の検査情報を付加してレート変換回路11に供給する
回路である。
【0018】また上記において、レート変換回路11
は、階層的ディジタル情報に対して時間軸圧縮を行い、
各階層のレート間の比が2のべき乗の関係となるようレ
ート変換する回路である。例えば、誤り情報を付加した
3階層からなるディジタル情報のレートを、それぞれ高
レート情報Rh(bps) 、中レート情報Rm(bps) 、低レ
ート情報Rl(bps) (ただしRh>Rm>Rl)とし、
中レート情報に高レート情報の2n 倍の1ビットあたり
のエネルギーを、低レート情報に高レート情報の2N
の1ビットあたりのエネルギーを時間軸上でそれぞれ割
り当てるものとすると、高,中,低レート情報それぞれ
の占有時間率(=電力占有比率)は、 Rh:2n Rm:2N Rl となり、全伝送レートは R=Rh+2n Rm+2N Rl だけ必要となる。すなわち、レート変換回路11は、本
実施例において、それぞれ時間軸圧縮が 高レート情報 Rh/R 中レート情報 2n Rm/R=Rm/(R/2n ) 低レート情報 2N Rl/R=Rl/(R/2N ) となるように、それぞれの階層について、 高レート情報 Rh→R 中レート情報 Rm→R/2n 低レート情報 Rl→R/2N となるようなレート変換を行う。各階層の情報は、時間
軸上で重複することなく、高,中,低レート情報それぞ
れのレート R,R/2n ,R/2N に対応した入力から、スイッチング回路12に順次に供
給される。
【0019】レート変換回路11によってレート変換さ
れた階層的ディジタル情報がそれぞれ供給される各スイ
ッチング回路12は、図示のように、レートの低いもの
から順次レートが高くなる方向へ直列にN段接続されて
いる。各スイッチング回路12はそれぞれ入力信号の2
倍のレートで入力信号の符号を反転するスイッチを具え
ていて、2倍のレートで信号を出力する。例えば、上述
例において高,中,低レート情報は、それぞれR,R/
n ,R/2N のレートに対応したスイッチング回路
に、時間的に重複することなく入力される。すなわち、
まず低レート情報RlはレートR/2N 専用のスイッチ
ング回路12に入力され、直列接続されたN段のスイッ
チング回路12を通ってレートが2N 倍のRとなり、出
力される。低レート情報の入力が終わるとすぐに、中レ
ート情報RmがレートR/2n 専用のスイッチング回路
12に入力され、n段のスイッチング回路12を通って
レートが2n 倍のRとなり、出力される。中レート情報
の入力が終わるとすぐに、高レート情報が、これはスイ
ッチング回路12を通ることなくそのままのレートRで
出力される。このようにして、低レート情報は2N 倍の
処理利得、中レート情報は2n 倍の処理利得を持ったス
ペクトル拡散時分割信号として、処理利得の無い高レー
ト情報と共に時分割多重され、高,中,低レート情報は
全てレートRの信号として出力される。
【0020】また、PSK変調装置2は、スイッチング
回路12から出力されるスペクトル拡散時分割多重信号
を取り込み、この信号を、ある搬送波を基準とした振幅
一定の位相点に変換して位相シフトキーイング(PS
K)信号にする回路であり、この変換処理によって得ら
れた変調信号を周波数変換装置3に供給する。
【0021】周波数変換装置3は、PSK変調装置2か
ら出力される変調信号を取り込み、この変調信号を所定
周波数の高周波信号に変換し、送信アンテナ4から、通
信/放送衛星5に向けて送信する。
【0022】以上が、本発明階層的伝送用スペクトル拡
散時分割多重装置の一実施例についての説明であるが、
引き続き本発明階層的伝送用スペクトル逆拡散時分割多
重信号分離装置の一実施例につき、同装置の回路構成例
を示す図3を参照して説明する。
【0023】図3において、まず周波数変換装置7は、
通信/放送衛星5から受信アンテナ6によって受信され
た高周波信号を取り込み、この高周波信号を予め設定さ
れている周波数帯域の受信信号(中間周波信号)に変換
し、これをPSK復調装置8に供給する。
【0024】また、PSK復調装置8は、周波数変換装
置7によって変換された中間周波信号のPSK変調波を
PSK復調し、スペクトル拡散時分割多重信号を得て、
これをスペクトル逆拡散時分割多重信号分離装置9に供
給する。
【0025】スペクトル逆拡散時分割多重信号分離装置
9は、送信側におけるスペクトル拡散時分割多重装置1
におけると逆の信号処理を辿り、階層的ディジタル信号
を再生する装置であって、図示のようにN段直列接続さ
れてスイッチング前後2ビット分の情報を積算して1/
2の情報レートとなるようスペクトル逆拡散して出力す
る積算回路20と、レート変換回路21と、誤り率測定
回路22とを具えていて、PSK復調装置8から出力さ
れる復調信号を取り込み、この復調信号から最大レート
の情報を分離するとともに、N段直列に接続した積算回
路20により各段の入力情報が順次、情報と同じレート
で符号反転するようにスイッチングすることにより、ス
イッチング前後2ビット分の情報を積算して1/2の情
報レートとなるようにスペクトル逆拡散して出力し、か
つレート間の比が2のべき乗の関係にあるすべてのレー
トの情報を分離する。これに引き続きレート逆変換回路
21により異なる情報レートをもつ複数の信号をそれぞ
れ逆レート変換してもとの階層的ディジタル情報を得た
後、誤り率測定回路22により、得られた階層的ディジ
タル情報が使用できるかどうかを判定しつつ、階層的デ
ィジタル信号を再生する。
【0026】上記のように、積算回路20はレートの高
いものから順次レートが低くなる方向へ直列にN個接続
されている。各積算回路20はそれぞれ入力信号と同じ
レートで入力信号の符号を反転するスイッチと2ビット
分の積算回路を具えていて、入力信号の1/2のレート
で順次信号を出力する。例えば、上述例において高,
中,低レート情報は、それぞれR,R/2n ,R/2N
のレートに対応した積算回路20の出力から、時間的に
重複することなく出力される。すなわち、まず高レート
情報は積算回路20を通らずにレートRとしてそのまま
出力される。次に、高レート情報の出力が終わるとすぐ
に、中レート情報が積算回路20をn段通ってレートR
/2n 専用の積算回路から出力され、中レート情報の出
力が終わるとすぐに、低レート情報が積算回路20を
(N−n)段通ってレートがR/2Nとなり、レートR
/2N 専用の積算回路から出力される。このようにし
て、低レート情報は、2N 倍の処理利得、中レート情報
は2n 倍の処理利得、高レート情報は処理利得無しの3
階層からなる階層的ディジタル情報として出力される。
【0027】また、レート逆変換回路21は、ビットレ
ートの比が互いに2のべき乗の関係にある階層的ディジ
タル情報を、間欠的な情報から連続的な情報になるよう
に送信側におけるレート変換回路11とは全く逆の時間
軸圧縮(レート変換)を行い、その出力を誤り率測定回
路22に供給する。
【0028】さらに、誤り率測定回路22は、階層的デ
ィジタル情報が使用できるかどうかを判定しつつ、最終
的に誤り検査情報を除いた階層的ディジタル信号を再生
して出力する。
【0029】このように本実施例においては、送信側の
スペクトル拡散時分割多重装置によって階層的ディジタ
ル情報を取り込み、これらの階層的ディジタル情報に対
してレート変換を行い、各階層のディジタル情報をレー
ト変換して各階層信号のレート間の比が2のべき乗の関
係となり、かつ各階層の情報が時間軸上で重複すること
がないようにし、次いで符号反転を行う複数段のスイッ
チ回路を用いてスペクトル拡散時分割多重信号を生成
し、これをPSK変調装置によってPSK変調信号とし
て、通信/放送衛星に送信し、また受信側において、P
SK復調装置によって受信信号をPSK復調し、さら
に、スペクトル逆拡散時分割多重信号分離装置におい
て、送信側におけるスペクトル拡散時分割多重装置1と
逆の信号処理を行い前記階層的ディジタル情報を再生す
るようにしている(ここでは、検査情報付加および周波
数変換は説明省略)ので、階層的伝送をTDM方式で行
うに際して、リアルタイムで階層化の広さおよび深さを
制御できるなど、容易に自由度の大きい階層的伝送を可
能としている。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
衛星回線など非線形増幅器が介在する場合のTDM方式
による階層化ディジタル伝送方式において、階層化の広
さおよび深さにおいて自由度の高い階層的伝送を可能に
し、しかもリアルタイムでのビットレート制御も可能で
あるため、ディジタル伝送の降雨減衰対策などで階層化
を行う際に極めて有効である。
【0031】また、本発明は、PSK変調以外にも、Q
AMやVSBなどあらゆる変調方式に対して、TDM方
式により自由度の高い階層化伝送を行うことを可能とす
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による階層伝送用スペクトル拡散時分割
多重装置および時分割多重信号分離装置の一実施例を適
用して構成したディジタル伝送システムの一例を示すブ
ロック線図である。
【図2】図1中のスペクトル拡散時分割多重装置から通
信/放送衛星までの送信側における装置の回路構成例を
示すブロック線図である。
【図3】図1中の通信/放送衛星から階層伝送用スペク
トル逆拡散時分割多重信号分離装置までの受信側におけ
る装置の回路構成例を示すブロック線図である。
【符号の説明】
1 スペクトル拡散時分割多重装置 2 PSK変調装置 3 周波数変換装置 4 送信アンテナ 5 通信/放送衛星 6 受信アンテナ 7 周波数変換装置 8 PSK復調装置 9 スペクトル逆拡散時分割多重信号分離装置 10 検査情報付加回路 11 レート変換回路 12 スイッチング回路 20 積算回路 21 レート逆変換回路 22 誤り率測定回路
フロントページの続き (56)参考文献 濱住啓之、伊藤泰宏、宮沢寛,CDM による階層的テレビジョン伝送装置の開 発,テレビジョン学会技術報告,日本, 社団法人テレビジョン学会,1993年10月 22日,Vol.17 No.62,p.13− 18 濱住啓之、伊藤泰宏、宮沢寛,地上デ ィジタルテレビ放送用適用重ね付けCD M伝送方式,テレビジョン学会誌,日 本,社団法人テレビジョン学会,1993年 10月20日,Vol.47 No.10,p. 1367−1373 濱住啓之、伊藤泰宏、宮沢寛,放送に おけるCDMの応用,電子情報通信学会 技術研究報告,日本,社団法人電子情報 通信学会,1994年 3月25日,Vol. 93 No.539,p.1−6 濱住啓之、伊藤泰宏、宮沢寛,スペク トル拡散による階層的ディジタル伝送方 式,NHK技研だより,日本,日本放送 協会放送技術研究所,1994年 4月 1 日,No.51,p.2−6 濱住啓之、伊藤泰宏、宮沢寛,地上デ ィジタル放送用AW−CDM伝送方式, 1993年電子情報通信学会春季大会講演論 文集,日本,社団法人電子情報通信学 会,1993年 3月15日,分冊2,p. 386 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04J 3/00 - 3/26 H04J 27/00 - 27/38

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重要度の高い情報ほど情報レートが低く
    なるように複数段階に階層符号化された階層的ディジタ
    ル情報をスペクトル拡散時分割多重する装置であって、
    該装置は、 前記階層的ディジタル情報を取り込むとともに、それら
    取り込んだディジタル情報のそれぞれに誤り検出用の検
    査情報を付加する検査情報付加手段と、 前記ディジタル情報の各階層の情報レート間の比が2の
    べき乗の関係となるようにレート変換を行って各階層の
    情報を時間的に重複することなく出力するレート変換手
    段と、スイッチング回路をN段直列に接続したスイッチング手
    段を具え、前記レート変換手段からの出力 情報のうち、
    最低レートの情報から順次レートの高くなる方向に、前
    記出力情報が前記スイッチング手段の対応したレートの
    段の前記スイッチング回路の入力端子に入力されるとと
    もに、前記スイッチング手段の各段の前記スイッチング
    回路では前記入力された情報を情報レートの2倍の早さ
    で符号反転するようにスイッチングし、前記スイッチン
    グ手段のそれぞれの段の前記スイッチング回路で見かけ
    上2倍の情報レートとなるようにスペクトル拡散して出
    力することにより、レートの低い段の前記スイッチング
    回路に入力された情報ほど大きな処理利得が得られるよ
    うにしたスペクトル拡散時分割多重手段とを少なくとも
    具えてなることを特徴とする階層的伝送用スペクトル拡
    散時分割多重装置。
  2. 【請求項2】 重要度の高い情報ほど情報レートが低く
    なるように複数段階に階層符号化された階層的ディジタ
    ル情報のスペクトル拡散された時分割多重信号からそれ
    ぞれ信号を分離する装置であって、該装置は、積算回路をN段直列に接続した積算手段を具え、 受信さ
    れたスペクトル拡散時分割多重信号から最大レートの情
    報を分離するとともに、前記積算手段の各段の前記積算
    回路の入力情報を情報の情報レートと同じレートで符
    号反転するようにスイッチングし、スイッチング前後2
    ビット分の情報を積算して1/2の情報レートとなるよ
    うにスペクトル逆拡散して出力することにより、レート
    間の比が2のべき乗の関係にあるすべてのレートの情報
    を分離するようにしたスペクトル逆拡散時分割多重信号
    分離手段と、 該スペクトル逆拡散時分割多重信号分離手段から得られ
    た異なる情報レートを有する複数の情報をそれぞれレー
    ト変換して前記階層的ディジタル情報を出力するレート
    変換手段と、 前記階層的デジタル情報の誤りを検出し、その情報が使
    用できるかどうかを判定する誤り検出手段とを少なくと
    も具えてなることを特徴とする階層的伝送用スペクトル
    逆拡散時分割多重信号分離装置。
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濱住啓之、伊藤泰宏、宮沢寛,放送におけるCDMの応用,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会,1994年 3月25日,Vol.93 No.539,p.1−6

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