JP3325270B2 - ゲノム上不均一な細胞サンプルにおける形質転換細胞のクローン集団検出のための方法 - Google Patents

ゲノム上不均一な細胞サンプルにおける形質転換細胞のクローン集団検出のための方法

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は、細胞サンプルにおいて、遺伝子の変異(欠
失を含む)の存在を検出することによる、疾患の診断に
有用な方法に関する。この細胞サンプルは、主要量の診
断上関連性のない(正常な)遺伝物質内に散在する少量
の変異遺伝物質を含む。本発明の方法は、ガンに特有な
遺伝子の変異の検出において特に有用である。
発明の背景 ガンは、ゲノムの不安定性を特徴とする疾患である。
一般に、ゲノムの不安定性は、ゲノムのヌクレオチド配
列内の広い種類の崩壊を規定する。このような崩壊は、
ヘテロ接合性の消失(通常、染色体DNAの広範な消失を
特徴とする)、マイクロサテライトの不安定性(通常、
DNA修復機構の欠損を示す)、および変異(挿入、欠
失、置換、重複、再編成、または修飾を含む)を包含す
る。多くのゲノム不安定性は、ガンと関連している。例
えば、多くのガン遺伝子および腫瘍抑制遺伝子における
変異は、腫瘍発生に関連している。Duffy,Clin.Chem.,4
1:1410−1413(1993)。さらに、P53腫瘍抑制遺伝子座
でのヘテロ接合性の消失は、種々のタイプのガンに相関
している。Ridanpaaら、Path.Res.Pract,191:399−402
(1995)。apcおよびdcc腫瘍抑制遺伝子の消失または他
の変異はまた、腫瘍発生に関連する。Blum,Europ.J.Can
cer,31A:1369−372(1995)。最終的に、腫瘍発生もま
た、マイクロサテライトの不安定性に相関する。
ゲノムの不安定性を特徴とする遺伝子の変化は、理論
上、例えば、結腸ガンの早期のマーカーとなり得、そし
て生検を行った結腸上皮から、場合によっては、糞便物
質に流出した形質転換細胞から単離したDNAにおいて検
出され得る。Sidranskyら、Science,256:102−105(199
2)。
当該分野において提唱されている検出方法は、時間を
要し、かつ高価である。Duffy、前掲。さらに、当該分
野による方法は、細胞が不均一な(すなわちクローンが
純粋でない)サンプル中に存在する場合、細胞の小さな
亜集団におけるヘテロ接合性の消失またはマイクロサテ
ライトの不安定性を同定するためには使用され得ない。
例えば、米国特許第5,527,676号には、変異を検出しよ
うとする組織サンプルは、p53遺伝子におけるヘテロ接
合性の消失を検出するために、腫瘍細胞について富化さ
れるべきであると記載されている。
PCRのような技術が、ヘテロ接合性の消失(後期の腺
腫に特有な広範な欠失から生じる)を検出するために使
用されている。例えば、米国特許第5,330,892号を参照
のこと。このような技術は、一般に、多数のプライマー
対の使用を必要とし、そしてそれらは、不均一なサンプ
ルにおいては全く作用しない。最近の刊行物は、早期の
腫瘍における変異の定量分析を実施するために、PCRお
よびELISA技術を用いることを報告している。米国特許
第5,512,441号。大部分が正常な細胞および細胞破片の
不均一なサンプル中の細胞の異常な亜集団(亜集団はヘ
テロ接合性の消失またはマイクロサテライトの不安定性
を特徴とする)の同定は、なおさらに困難である。なぜ
なら、このような検出は、ヌクレオチドフラグメントの
亜集団の同定を包含し、このヌクレオチドフラグメント
を、それらが存在する多量の不均一な正常細胞物質と区
別するのは困難であるからである。さらなる問題は、増
加する数の異なるガン遺伝子または腫瘍抑制遺伝子の任
意の遺伝子座における変異がガンを生じ得るということ
であり、そしてこれらの遺伝子における全てまたはほと
んどの遺伝子座を調べ得るスクリーニングアプローチ
は、現在利用可能ではない。
マイクロサテライトの不安定性はまた、ガンのマーカ
ーであり得る。マイクロサテライトは、100,000塩基対
において平均約1個の頻度で、ゲノム全体に散在する。
これらは、安定な様式で正常に受け継がれる、タンデム
またはトリヌクレオチド反復を含む。例えば、Charlesw
orthら、Nature,371:215−220(1994)を参照のこと。
これらの配列は、ゲノム内で未知の機能を実施する一
方、これらの多くはマップされ、そしてそれらの配列長
多型(sequence length polymorphism)に基づくマーカ
ーとして使用されている。ミスマッチ修復経路における
欠損に関連するマイクロサテライトDNAのクローン変化
は、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸ガン(hereditary n
onpolyposis colorectal cancer)(HNPCC)の適切なマ
ーカーであると考えられる。HNPCC腫瘍サンプルにおい
て、例えば、マイクロサテライトは、多数の挿入および
/または欠失を有することが見い出された。マイクロサ
テライトの不安定性は、ガン遺伝子または腫瘍抑制遺伝
子におけるミスマッチ修復の不全に対する有効なマーカ
ーであり得る。マイクロサテライトの不安定性自体は、
ガンを示唆するものではないが、ガンの発症に重要な領
域内で変異が起こり得ることの証拠である。当然、マイ
クロサテライトにおける不安定性の検出により、患者は
ガン細胞のクローン亜集団を発生する危険性があること
が示されるということになる。
結腸直腸ガンは、西洋社会において、一般的な死亡原
因である。結腸または直腸の長さに沿って生じるいずれ
の腫瘍または前ガン性ポリープは、細胞または細胞由来
のDNAを結腸管腔内へ流出する。流出した細胞または細
胞DNAは、糞便が結腸を通過する際に、通常糞便に取り
込まれる。ガンの早期では、ガン細胞または前ガン細胞
は、糞便中に流出した上皮細胞またはDNAの極めて小さ
な断片を提示する。結腸直腸ガンの現在の検出方法は、
糞便中のガン細胞または前ガン細胞を検出することには
注目していない。むしろ、そのような方法は、ガンの存
在の細胞外の徴候(例えば、糞便中の潜血または血清中
に循環しているガン胎児性抗原の存在)に典型的に注目
している。
しかし、散発性結腸直腸ガンと遺伝性結腸直腸ガンと
の両方は、ガン遺伝子および腫瘍抑制遺伝子の変異から
生じることが知られている。そのような変異は、疾患の
病因に関する時点(これは、ガンの細胞外の徴候または
臨床的徴候が観察される時点よりもかなり早い)で生じ
ると思われる。早期に検出されれば、結腸ガンは、ガン
組織の外科的除去によって効果的に処置され得る。早期
結腸ガンの外科的除去は、通常成功する。なぜなら、結
腸ガンは結腸上皮の細胞内で始まり、そして上皮裏打ち
を通る浸潤が生じるまで、全身性の循環から隔離される
からである。それゆえ、結腸直腸細胞における早期変異
の検出は、生存率を著しく増大させる。
結腸ガン検出のための現在の非侵入的方法は、糞便の
潜血およびガン胎児性抗原の検出を包含する。これらの
スクリーニング方法は、しばしば、直腸結腸ガンを検出
しないか、または直腸結腸ガンが処置し得ない段階まで
進行した後のみに結腸直腸ガンを検出するかのいずれか
である。さらに、ガン胎児性抗原は、ガンの効果的な予
測物ではなく、単に、再発性ガンの指示物であると考え
られている。
内視鏡検査のような侵入的技術は、効果的ではある
が、高価であり、そして苦痛を伴い、そして軽い患者の
コンプライアンスを受ける。従って、現在の結腸ガンの
スクリーニング方法は、大きなセグメントの集団をスク
リーニングするのに実用的ではない。Blum,Europ.J.Can
cer,31A:1369−1372(1995)を参照のこと。
従って、当該分野において、早期の結腸ガンを有する
個体を同定するための信頼できる大規模スクリーニング
の簡単かつ効率的な非侵入的方法が必要とされている。
そのような方法が、本明細書において提供される。
発明の要旨 本発明は、ゲノム上形質転換された細胞または細胞破
片の亜集団を検出するための方法を提供する。そのよう
な方法は、細胞のクローン亜集団の生物学的サンプル中
の存在を検出する。この細胞は、野生型のゲノム、なら
びにサンプル中にも存在し得る細菌生物、寄生生物また
は混入生物とは異なるゲノムを有する。本発明の実施
は、例えば、多量の「正常」DNAまたは全細胞を含む生
物学的サンプルにおけるガンまたは前ガン細胞由来の微
量のDNAの検出を可能にする。本方法の好適な使用は、
患者が排泄した糞便のサンプルにおいて、微量の細胞お
よび/または細胞破片の存在を信頼できる程度に検出す
ることである。この微量の細胞および/または細胞破片
は、無症候性前ガン病巣またはガン病巣の部位で結腸に
流出されるDNAを含む。本発明は、例えば、既知のガン
細胞タイプに特有な既知ゲノム部位でのDNA欠失を、信
頼できる程度で検出し得るいくつかの重要な洞察を利用
している。
一般に、本発明は、2つのゲノム配列の比較による測
定を包含する。1つのゲノム配列は、形質転換の間安定
である(すなわち、サンプル中の悪性細胞および野生型
細胞の両方において同一である)。第2のゲノム配列
は、典型的に形質転換の過程の間で変化を受ける(すな
わち、悪性前駆細胞の発達の間に変異する)。各ゲノム
の配列の存在を検出するために、ハイブリダイゼーショ
ンプローブを用いる。2つのゲノム配列を含むハイブリ
ダイゼーション事象の数が異なる場合、この差異は、重
要ではないバックグランドによるものであり得るか、ま
たはサンプルを得た集団における2つのゲノム配列の量
の統計学的有意差によるものであり得る。後者の場合、
この差異は、規定された統計的信頼の程度で、改変され
た(すなわち、非野生型)ゲノム配列を有する細胞の亜
集団のサンプルにおける存在と相関し得る。
本発明は、3つの一般的な実施態様に分けられ得る。
(1)第1の一般的な実施態様において、サンプル中の
目的の遺伝子または遺伝子フラグメント(すなわち、そ
の変異がガンと関連していることが知られているか、ま
たは推測される遺伝子)の数量(コピー数)を、サンプ
ル中の対照遺伝子または遺伝子フラグメントの数量と比
較する。ここで、対照遺伝子は、通常ガンとは関連せ
ず、そして通常低い変異率を有する遺伝子である。2つ
の数量間の統計学的有意差は、サンプル中の細胞亜集団
におけるゲノムの不安定性を示唆する。(2)本発明の
第2の一般的な実施態様において、母系対立遺伝子(ma
ternal allele)上の領域の数量を父系親対立遺伝子(p
aternal allele)上の対応する領域の数量と比較する。
2つの数量間の統計学的有意差は、ゲノムの不安定を示
唆する。(3)第3の一般的な実施態様において、特定
の遺伝子座におけるマイクロサテライト反復の数を、母
系対立遺伝子と父系対立遺伝子との間で比較する。それ
らの数の統計学的有意差は、サンプル中の細胞の亜集団
におけるミスマッチ修復機構のエラーを示唆するか、ま
たは対立遺伝子の消失が生じていることを示唆し得る。
上記のように、ミスマッチ修復のエラーは、腫瘍抑制遺
伝子またはガン遺伝子の変異を生じ得る。本発明の3つ
の実施態様のいずれかにおけるガンの検出は、少なくと
も2つの異なるヌクレオチドプローブとそれらのそれぞ
れのゲノム配列との間のハイブリダイゼーションの数を
測定することによって達成される。
本発明の1つの特徴は、今回、結腸を裏打ちする細胞
(例えば、ポリープまたは病巣)由来の物質が、糞便の
長さに沿った縦の筋(stripe)を含む領域でのみ、形成
中の糞便に流出されることを見出したことにある。それ
ゆえ、検査中の糞便サンプルが糞便全体であるか、また
は少なくとも糞便の断面を含まなければ、サンプルは偶
然でしか、関連の診断情報を含まない。結腸は、その長
さ全体を通して、多数の湾曲部およびひだを含む。米国
特許第5,741,650号(代理人整理番号第EXT−002号)
(添付の日付に提出)を参照のこと。結腸を裏打ちして
いる上皮細胞は、通常、結腸陰窩(colonic crypt)の
基底位置(ここで、幹細胞が有糸分裂によって分裂す
る)から陰窩の頂点まで移動し、次いで管腔へ流出され
る。上皮を介する急速な代謝回転速度の結果として、腸
管腔を裏打ちする結腸の上皮細胞は、典型的に4〜5日
毎に再生を受ける。従って、糞便が管腔を通って通過す
ると、剥離した上皮細胞またはそれらのDNAは、形成中
の糞便内に常に堆積される。糞便が直腸へ進み、そして
(最初の流体状態から)次第により固体になると、上皮
細胞は、その上皮裏打ち内でそれらの細胞を以前に含ん
でいた管腔の部分と接触している糞便の部分へ剥離され
るのみである。ポリープ(ポリープは前ガン性の増殖で
ある;全てのポリープがガン化するわけではないが、ほ
とんど全てのガンはポリープから生じる)の上皮細胞
は、正常な結腸上皮細胞のために上記の同一の急速なラ
イフサイクルおよび流出を受ける。従って、ポリープか
ら流出される細胞は、典型的に、ポリープと接触する形
成中の糞便の表面上に吸収されるのみである。しかし、
糞便が流体状態である場合、糞便全体内に流出されるポ
リープ細胞の混合が自動的に起こる。
従って、本発明は、生物学的物質のサンプルにおける
細胞の亜集団のゲノム変化を検出するための方法を提供
する。本発明の方法は、診断上関連性のない生物学的物
質の大きな不均一なサンプル中に存在する、細胞の小さ
な亜集団における対立遺伝子のヌクレオチド配列の変化
を検出するのに有用である。本発明の方法は、遺伝子の
異常(例えば、ヘテロ接合性の消失、またはより一般的
には、ガンのような疾患と相関し得る変異)の検出およ
び診断に有用である。本発明の目的のため、文脈が他の
意味を要しない限り、「変異」は、ゲノムDNAまたはそ
の相当するmRNAの一部における修飾、再編成、欠失、置
換、および付加を包含する。
好適な実施態様において、本発明は、ヒトのような生
物から得られる生物学的サンプルに含まれる、または含
まれることが推測される形質転換細胞のクローン亜集団
を検出するための方法を提供する。本方法は、生物学的
サンプルから、野生型細胞または形質転換細胞のいずれ
かにおいて変異していないことが知られているか、また
は変異していないと推測される第1の野生型ポリヌクレ
オチドの数値Xを決定する工程を包含する。さらなる工
程は、生物学的サンプルから、生物学的サンプル中の細
胞の亜集団において、変異していることが推測される第
2の野生型ポリヌクレオチドの数値Yを決定する工程を
包含する。次いで、XとYとの間に、統計学的有意差が
存在するかどうかを決定する。正常なサンプルには、変
異は存在しない。従って、正常細胞の体細胞遺伝子のそ
れぞれの数の間に統計学的有意差は存在しない。結果と
して、XおよびYは、統計学的に有意という意味で相互
に差異はない。対照的に、XとYとの間に統計学的有意
差の存在は、変異を具体的に示す生物学的サンプルにお
いて、形質転換細胞のクローン亜集団の存在を示唆す
る。統計学的有意性は、当該分野において公知の任意の
方法によって決定され得る。しかし、統計学的有意性の
正規の測定を、任意の所定のアッセイと共に実施する必
要はない。むしろ、アッセイは、大きく十分な数の結合
事象を検出するように設計され、それによって少なくと
も数値間の閾値の差異(threshold difference)は、任
意の所望のレベルの確実性で、細胞の変異亜集団の存在
の問題の方向性を決定する。
また、好ましい実施態様において、本発明に従う方法
を用いて検出しようとする形質転換細胞は悪性細胞であ
る。本発明の方法に従って検出される形質転換細胞は、
誘導された形質転換体であり得、例えば、ウイルス、放
射線、化学的手段、または他の発ガン性手段により形質
転換され得る。本発明の方法は、組織および体液サンプ
ルを含むいずれかの生物学的サンプルについて実施され
得る。特に好ましい生物学的サンプルとしては、膿汁、
痰、精液、血液、唾液、髄液、および尿が挙げられる。
本発明の重要な実施態様において、サンプルは糞便であ
り、これは結腸直腸ガンまたは前ガンを検出するために
分析される。本発明の方法は、第1のポリヌクレオチド
の数値Xと、第2のポリヌクレオチドの数値Yとを別々
に検出するために、生物学的サンプルを1つ以上のオリ
ゴヌクレオチドプローブに曝すことにより実施され得
る。本発明において使用するためのプローブは、検出可
能に標識される。好ましい標識は、例えば、アフィニテ
ィー結合対(例えば、炭水化物/レクチンまたはアビジ
ン/ビオチン)によって付着した蛍光標識を含む。極め
て好ましい標識は、検出装置、好ましくは、本明細書に
開示のような高速電子装置(high−speed electronic a
pparatus)によって計測される微細粒子である。数値X
および数値Yは、生物学的サンプルにおいて生じる標的
ポリヌクレオチド検出事象の数に、好ましくは比例し、
そして最も好ましくは等しい。
本発明の方法は、ヒトの結腸直腸ガンまたは前ガン細
胞の検出に特に有用である。本発明の目的のために、前
ガン細胞は、ガンに関連する変異を有し、そしてそのよ
うな細胞がガンになることを可能にする細胞である。こ
のような方法は、糞便サンプル中の細胞またはヌクレオ
チド破片が、ヒトまたは他の哺乳動物の野生型ゲノムに
正常に存在するポリヌクレオチドの欠失を含むかどうか
を決定する工程を包含する。サンプルは、多数の第1お
よび第2のオリゴヌクレオチドプローブにハイブリダイ
ゼーション条件下で暴露され得、それによって(i)第
1のプローブを、サンプルの細胞において欠失していな
いことが知られているか、または推測される野生型ゲノ
ム領域に特有な第1のポリヌクレオチドセグメントのコ
ピーにハイブリダイズさせ、そして(ii)第2のプロー
ブを、サンプルにおいて変異していることが推測される
野生型ゲノム領域に特有な第2のポリヌクレオチドセグ
メントのコピーにハイブリダイズさせる。次いで、第1
および第2のプローブのそれぞれとで形成される二本鎖
の数を検出し、そして計測する。これらの2つの数にお
ける統計学的有意差の存在は、サンプルにおいて結腸直
腸ガンの特徴であり得る変異の存在を示唆する。次い
で、内視鏡検査または他の可視検査手順が指示される。
好ましい実施態様においては、プローブはビーズまた
は粒子を用いて標識される。この実施態様において、サ
ンプル中のゲノムポリヌクレオチドセグメントの検出に
使用されるプローブは、好ましくはそのようなビーズ
に、1つのビーズに対して1つのプローブの割合で結合
し、そして第1および第2のプローブに連結したビーズ
は、例えば、サイズによって区別され得る。このような
ハイブリダイゼーションビーズまたは粒子を使用する
と、例えば、「コールターカウンター(coulter counte
r)」のようなインピーダンスカウンターを用いて、サ
ンプル中のゲノムポリヌクレオチドセグメントの定量検
出が容易になる。
本発明による方法はまた、少なくとも1つの単一塩基
多形性を含む遺伝子座を含む母系対立遺伝子および父系
対立遺伝子の量を決定することによって、対立遺伝子で
のヘテロ接合性の消失を検出するのに用いられ得る。各
対立遺伝子の量における統計学的有意差は、単一塩基多
形性を含む対立遺伝子領域における変異を示唆する。こ
の方法において、単一塩基多形性を含む対立遺伝子の領
域は、例えば、GenBankのようなデータベースを用い
て、または当該分野において公知の他の手段により同定
される。プローブは、図3に示すような単一塩基多形性
の直ぐ3'側の、父系および母系対立遺伝子の両方におけ
る相当領域にハイブリダイズするように設計される。ハ
イブリダイゼーション後、4つの共通ジデオキシヌクレ
オチドのうち少なくとも2つの混合物をサンプルに添加
する。これらのジデオキシヌクレオチドは、それぞれ異
なる検出可能な標識で標識される。DNAポリメラーゼも
また、添加される。多形性ヌクレオチドに隣接する対立
遺伝子DNAを鋳型として用い、多形性ヌクレオチドに対
する結合パートナーである単一のジデオキシヌクレオチ
ドを添加することによって、ハイブリダイズしたプロー
ブを伸長する。洗浄して取り込まれなかったジデオキシ
ヌクレオチドを除去した後、プローブの伸長に取り込ま
れたジデオキシヌクレオチドを、例えば、フローサイト
メーターまたはインピーダンスカウンターにおいて、そ
れぞれ2つのジデオキシヌクレオチドを有する結合した
伸長プローブの数を決定することによって、検出する。
2つの異なる標識がほとんど等しい数だけ存在すれば、
多形性ヌクレオチドで正常なヘテロ接合性が存在するこ
とを意味する。2つの標識の検出された数値間の統計学
的有意差の存在は、多形性ヌクレオチドを含む領域の欠
失が対立遺伝子の1つで生じたことを意味する。
本発明の方法は、患者が、追跡的侵入診断または他の
手順(例えば、内視鏡検査)についての候補であるかど
うかを決定するために使用され得る。例えば、本発明の
方法は、患者から得られる糞便サンプルにおいて、細胞
の亜集団中の腫瘍抑制遺伝子またはガン遺伝子における
変異を検出するために使用され得る。次いで、変異を有
すると診断された患者において、内視鏡検査手順が実施
され得る。次いで、陽性の内視鏡検査結果に続いて、ポ
リープ切除術、外科手術、または他の処置を施して、ガ
ン組織または前ガン組織を取り除く。
従って、本発明の目的は、細胞サンプルにおける細胞
の亜集団のゲノム不安定性を検出するための方法を提供
することである。本発明のさらなる目的は、細胞の亜集
団における、ゲノムの変化を検出するための方法を提供
することであって、ここで、ゲノムの変化はガンを示唆
する。本発明の別の目的は、ガンに関連するゲノム領域
(例えば、腫瘍抑制領域)におけるヘテロ接合性の消失
を検出することである。本発明のなお別の目的は、単一
塩基多形性核酸でのヘテロ接合性およびその消失を検出
する方法を提供することである。最後に、本発明の目的
は、糞便サンプルのような不均一なサンプルにおいてガ
ンを示唆する細胞または細胞破片の検出によって、ガ
ン、および特に結腸直腸ガンを検出するための方法を提
供することである。
本発明のさらなる局面は、以下の詳細な説明および図
面に関する考察に基づいて明らかになろう。
図面の説明 図1は、本発明の方法における一連の工程を示すフロ
ーチャートである。
図2は、本発明に従った、ハイブリダイゼーション事
象を計測するのに有用なタイプのマルチオリフィスイン
ピーダンスカウンター(multi−orifice impedance cou
nter)の概略図であって;ここで、参照番号1は、カラ
ムの流量の方向を示し;参照番号2は、カラムにおいて
物質を下方に送るためのプランジャー手段を示し;参照
番号3および4は、異なるサイズのハイブリダイゼーシ
ョンビーズであり;参照番号5は、所望しない粒子を抽
出するための任意のフィルターであり;参照番号6は、
微分インピーダンス(differential impedance)を測定
するためのオリフィスの配列を示し;そして参照番号7
は、回収チャンバーである。
図3は、単一塩基多形性を有することを特徴とする、
対立遺伝子領域における4つの可能なプローブ付着部位
を示す。図3において、配列M1は配列番号1であり;配
列M2は配列番号2であり;配列M3は配列番号3であり;
配列M4は配列番号4であり;配列F1は配列番号5であ
り;配列F2は配列番号6であり;配列F3は配列番号7で
あり;配列F4は配列番号8である。
図4Aおよび4Bは、モデルのガウス分布であり、統計的
に確率の低い領域を示す。
図5は、細胞の不均一な集団についてのNの可能な値
を示すグラフであり、ここで、1%の細胞が変異してい
る。
発明の詳細な説明 本発明による方法は、ゲノムの不安定性が、サンプル
の細胞の小さな亜集団のみにおいて生じる、不均一な細
胞サンプル中のゲノムの不安定性を検出するために有用
である。従来の検出方法を用いる場合、ゲノムの不安定
性の原因である変異が検出時に不明であるか、またはク
ローン的に不純な細胞集団が用いられている場合、その
ような亜集団を特異的に検出するのは、不可能ではない
にしても、困難である。例えば、米国特許第5,527,676
号(p53遺伝子の欠失を検出するためには、細胞のクロ
ーン集団を用いるべきであると報告している)を参照の
こと。発ガンに関与する変異を検出するための従来の方
法は、細胞のクローン的に純粋な集団を用いることに依
存し、そしてそのような方法は、k−rasのようなガン
遺伝子における既知の「ホットスポット(hot spot)」
で生じる変異を検出するに最も良好である。Sidransk
y、前掲を参照のこと。当該分野のPCRに基づく方法を用
いる場合、極めて多数のプライマーを設計しなければな
らず、そしてコロニー的に不純であり(すなわち、糞便
のような不均一なサンプル)、かつ検出しようとする変
異が未知で、極めて少数の細胞内に存在する細胞サンプ
ルにおいて、ゲノムの不安定性を検出するためには、サ
ンプルを多くの回数で試験しなければならない。さら
に、ヘテロ接合性の消失を検出する現在の方法の場合、
PCRは、遺伝子配列の欠如を検出するためには有用では
ない。そのような反復試験の後でさえも、例えば、変異
部位に接するプライマーを使用しなければ、PCRに基づ
く方法は、コロニー的に不純な集団において少数の細胞
における変異を検出し得ない。それゆえ、初期の腺腫
(変異細胞の集団が極めて小さい場合)において、当該
分野の方法は、よくても実用的ではなく、そして全く作
用し得ない。
対照的に、本発明の方法は、不純な細胞集団における
少数の細胞中のゲノム不安定性を検出し得る。なぜな
ら、そのような方法は、どのような変異が存在するかを
知ることによるものではなく、そしてそのような方法
は、サンプル中の不均一なDNAの存在によって影響を受
けないからである。例えば、ヘテロ接合性の消失では、
ゲノムの多くの部分にわたって欠失が生じ、そして対立
遺伝子全体を失い得る(または対立遺伝子を非機能性に
するために、少なくとも対立遺伝子に十分な部分を失い
得る)。本発明の方法は、変異していることが推測され
る遺伝子の数を計測し、そしてその数を、同じサンプル
において変異していないことが知られている遺伝子の数
と比較する工程を包含する。変異が生じることが推測さ
れる野生型遺伝子の配列の少なくとも一部と、変異が生
じなかったと推測される対照遺伝子の野生型配列の少な
くとも一部を知ることが必要とされるだけでよい。
従って、本発明の方法は、サンプル中の細胞またはそ
れ由来の破片の亜集団において存在するゲノムヌクレオ
チド配列の変化の検出に有用である。そのような変化
は、一般に、細胞の亜集団において野生型対立遺伝子配
列の変異(すなわち、置換、修飾、欠失、付加、または
再編成)として生じる。腫瘍抑制遺伝子の場合、変異
は、典型的にヘテロ接合性の消失に特有な広範な欠失の
形態をとる。しばしば、ガンの特定の形態の場合、疾患
を引き起こす変異は、最初、単一の細胞において生じ、
次いでこれは変異細胞の小さな亜集団を産生する。変異
の臨床症状が検出されるまで、疾患は治療不可能な段階
にまで進行し得る。サンプルにおいて全細胞または細胞
破片の小さいパーセントとしてのみ変異が存在する場
合、本発明の方法は変異の検出を可能にする。
本発明の方法は、サンプル中に等しい数で正常(非変
異)細胞中に存在することが予測される2つの野生型配
列の比較を包含する。好ましい実施態様では、(1)サ
ンプルの細胞において変異していないことが知られるま
たは推測されるゲノムポリヌクレオチドセグメントの量
(「対照」)と(2)サンプル中の細胞の亜集団におい
て変異していることが推測される野生型(非変異の)ゲ
ノムポリヌクレオチドセグメントの量(「標的」)との
間の比較がある。2つのゲノムポリヌクレオチドセグメ
ントの量の間の統計学的有意差は、変異が生じたことを
示唆する。具体的には、腫瘍抑制遺伝子における消失の
場合、対照遺伝子の検出量は、標的遺伝子の検出量より
有意に大きい。標的配列が増幅される場合、特定のガン
遺伝子の変異の場合のように、標的の検出量は、統計学
的有意差で、対照遺伝子の検出量より大きい。
当該分野の方法は、欠失または点変異を検出するため
に、通常、PCRプライマーおよび/またはハイブリダイ
ゼーションプローブの形態で、一般に、多くのプローブ
の使用を必要とする。しかし、本発明の方法は、ヌクレ
オチド配列の定量検出および安定であることが知られる
配列と不安定であることが推測される配列との定量比較
を包含し、ガンの危険性を正確に評価するために、2、
3のプローブのみを使用しなければならない。事実、プ
ローブの単一のセット(対)しか必要とされない。ガン
の危険性が、発ガンと関与していることが知られる、ま
たはそのように推測される遺伝子領域における変異の存
在によって示唆される。本発明の方法により行われる試
験に基づいて危険であることが同定されている患者は、
次いで、疾患の確認および/または処置のための他の典
型的な侵入手順に従う。
生物学的サンプルにおいて、均一に分布するヌクレオ
チド配列の定量的なサンプリングは、典型的にポアソン
分布に従う。生物学的サンプルにおける典型的な数のゲ
ノムポリヌクレオチドセグメントのような大きな集団に
対して、ポアソン分布は、平均NおよびNの平方根とし
て近似され得る標準偏差で、正規の(ガウス)曲線に類
似する。
生物学的サンプルから得られる標的遺伝子の数と対照
遺伝子の数との間の統計学的有意性は、いずれかの適切
な方法によって決定され得る。例えば、Steelら、Princ
iples and Procedures of Statistics,A Biometrical A
pproach(McGraw−Hill,1980)を参照のこと。本文献の
開示内容は、本明細書において参考として援用される。
典型的な方法とは、所望のレベルの特異性(偽陽性の寛
容性)および感受性(偽陰性の寛容性)に基づき、そし
て選択されたレベルの信頼度内で、選択されたレベルの
統計学的有意性に達するために得られるべき標的遺伝子
の数と対照遺伝子の数との間の差異を測定することであ
る。そのような測定における閾値(threshold issue)
は、(標的および対照のそれぞれについての)遺伝子の
最小数Nであり、これは統計的有為性の決定を可能にす
るために、集団において利用可能でなければならない。
数値Nは、変異対立遺伝子を含むサンプル中の変異対立
遺伝子の最小数の仮定(本明細書では、少なくとも1%
と仮定される)および正常サンプルは変異対立遺伝子を
含まないというさらなる仮定に依存する。また、対照遺
伝子の数と標的遺伝子の数との間の閾値差は、サンプル
における細胞の亜集団中に存在する変異が存在するとい
う診断に対して、少なくとも0.5%でなければならな
い。上記の仮定に基づき、0.5%未満の変異対立遺伝子
の数と対照遺伝子の数との間の検出される差異が、事実
上、その時点で99.9%の陰性結果である(すなわち、サ
ンプルにおいて変異亜集団)ように、Nがどの程度大き
くなければならないかを決定することが可能である。
次いで、特異性についてのNの計算は、一方のサンプ
ル測定値が、集団の最小から3.16%(図4Aにおける
「A」を付した領域)を含むガウス分布の部分内にある
確率、および他方のサンプルの測定値が、集団のうち最
大から3.16%(図4Bにおいて「B」を付した領域)を含
むガウス分布の部分内にある確率に基づいている。2つ
のサンプルの測定値は独立事象であるので、両事象が同
時に起こる確率は約0.001%または0.1%である。それゆ
え、ガウス分布のうち93.68%(100%−2×3.16%)
は、図5AのAおよびBを付した領域の間にある。統計表
は、このような領域が3.72の標準偏差に等価であること
を示唆する。従って、0.5%のNは、3.72σに等しい。
σ(標準偏差)は に等しいので、Nを553,536として方程式を解き得る。
このことは、対照および標的を表す2つの数値のうち低
い方が少なくとも553,536である場合、そして患者が正
常である場合、数値間の差異は、その時点において約9
9.9%で、0.5%未満であることを意味する。
99%の感受性について要求される最小のNを決定する
ために、同様の分析を実施する。この時、片側ガウス分
布の表は、平均から1.28の標準偏差(σ)がガウス分布
の90%を含むことを示す。さらに、数値(対照または標
的)のうち1つが、図5の「A」を付した領域内、また
は図5の「B」を付した領域内のいずれかにある確率
は、10%(1%の平方根)である。2つの集団の平均が
合計で1%の差である場合、そして標的遺伝子の数と対
照遺伝子の数との間に0.5%の差異がなければならない
場合、いずれかの平均から統計的有意性の閾値までの距
離は、99%感受性に関する0.25%のN(図5を参照のこ
と)に等価である。図5に示すように、0.25%のNは、
ガウス分布の片側の約40%に相当する。片側統計表は、
ガウス分布の40%が1.28の標準偏差に相当することを示
す。従って、1.28σは、0.0025Nに等しく、そしてNは2
62,144に等しい。それゆえ、異常なサンプルについて
は、2つの数値のうち低い方が少なくとも262,144であ
る場合、差はこの時において約99%で0.5%を超える。
反対に、これらの条件下で、この時点の1%のみで誤っ
た陰性診断がなされる。
99.9%の特異性(偽陽性の回避)および99%の感受性
(偽陰性の回避)の両者を有するために、標的対立遺伝
子および対照対立遺伝子の両方の少なくとも553,536
(および550,000より大きい)を有するサンプルを用い
るべきである。得られる数値間の少なくとも0.5%の差
異は、感受性について99.0%の信頼レベルで有意であ
り、そして数値間の0.5%より小さい差異は、特異性に
ついて99.9%の信頼レベルで有意である。上記のよう
に、他の標準的な統計試験が、統計学的有意性を決定す
るために用いられ得、そして上記はそのような1つの試
験を表す。
上記の説明に基づき、当業者は、本発明の方法が、い
ずれの生物学的サンプルにおいても、ポリヌクレオチド
の亜集団における変異を検出するのに有用であることを
理解する。例えば、本明細書において開示される方法
は、ガンのような疾患に関連する対立遺伝子の消失(ヘ
テロ接合性の消失)を検出するのに使用され得る。さら
に、本発明の方法は、酵素活性の完全または部分消失の
ような代謝エラーの原因である、消失または塩基置換変
異を検出するために使用され得る。例示の目的のため
に、以下は、結腸ガンの検出における本発明に従う方法
の使用の詳細を提供する。発明の方法は、腫瘍抑制遺伝
子における、変異(および特に、ヘテロ接合性の消失に
典型的な大きな欠失)の早期検出に特に有用である。従
って、以下の様式で例示されるが、本発明はそのように
限定されず、そして当業者は、それらの考察に基づいて
その幅広い範囲の応用を理解する。
本発明に従う方法は、好ましくは、3つのタイプの検
出レジュメ(regimen)のうちの1つを包含する。第1
の好適な検出レジュメにおいて、変異していることが知
られているか、または推測されるポリヌクレオチドの量
は、変異していないことが知られているか、またはその
ように思われる対照ポリヌクレオチドの量と比較され
る。第2の好適な検出レジュメにおいて、母系対立遺伝
子上の多形性ヌクレオチドの量は、相当する父系対立遺
伝子上の相当する多形性ヌクレオチドの量と比較され
る。最後に、第3のレジュメは、正常対立遺伝子におけ
るマイクロサテライト反復領域と、変異していることが
知られているか、または推測される対立遺伝子における
相当するマイクロサテライト領域との比較を包含する。
全ての3つの例示的検出手段は、測定されるそれぞれの
核酸の量の間に、差異が存在するかどうかを決定する工
程を包含する。統計的有為差の存在は、測定される核酸
のうちの1つに、変異が生じたことを示唆する。それゆ
え、以下に記載の方法は、一般に、本発明の全ての形態
に適用可能であり、その改変を図1に示す。
I.糞便サンプルの調製 患者により排泄された糞便から調製されたサンプル
は、少なくとも1つの排泄された糞便の断面を含むべき
である。上記のように、糞便は、剥がれた細胞に関して
均一でない。糞便は結腸を通過するので、それが接触す
る結腸上皮の領域から剥がれた細胞を吸収する。従っ
て、ポリープから剥がれた細胞は、形成中の糞便の一表
面のみに吸収される(糞便がまだ液体で、腸蠕動によっ
て均質化されている盲腸付近を除く)。糞便の典型的な
サンプル(すなわち、少なくとも1つの断面)の採取、
およびその均質化は、結腸の全上皮表面から剥がれた細
胞が、分析のために処理された糞便サンプル中に存在す
ることを確実にする。糞便は容器に排泄され、それは試
験施設に移されるのに十分に少ないことが望ましい。容
器は、従来の様式で排泄される糞便を受け入れるよう
に、従来の便器に備え付けられ得る。容器は、十分な大
きさのメッシュまたはスクリーンを含み、尿がそのメッ
シュまたはスクリーンを通過し、便器に達し得る間に糞
便が保持されるような配置を含み得る。さらに、その容
器は、排泄された糞便を均質化する手段を含み得る。さ
らに、容器は、糞便サンプル中に存在する細菌を中和
し、そしてDNAの分解を阻害するために、均質化緩衝
液、あるいはアルコールまたは高塩濃度溶液のような1
種以上の防腐剤を導入するための手段を含み得る。
便器に合うように適合されるか、または単に排泄され
る糞便を受け入れるために適合される容器は、好ましく
は、排泄された糞便サンプルおよびそれに添加される任
意の溶液を含み、そしてにおいの発散を防ぐのに十分な
封入手段を有する。容器は、便器の上に直接に配置され
る支持フレームを有し得る。支持フレームは、サンプル
を堆積させるための一段高い位置かまたは、容器内に排
泄された糞便を封入するための閉鎖位置(示されていな
い)に配置され得る連結カバーに付着される。さらに、
支持フレームは、支持フレームの頂上表面から底表面を
通る中央開放横断路(traversing)を有する。底表面
は、便器の頂上表面と直接通じる。支持フレームの底表
面からの伸長および中央開放の全周囲の取り囲みは、排
泄された糞便の捕獲手段である。排泄された糞便を捕獲
するための手段は、支持フレームに固定して付着され得
るか、または、糞便の堆積の後に取り出すために、取り
外し可能に付着され得る。
一旦得られると、糞便サンプルは、リン酸緩衝化生理
食塩水またはカオトロピック塩溶液のような適切な緩衝
液で均質化される。均質化手段および均質化の材料は、
一般に当該分野で公知ある。例えば、米国特許第4,101,
279号を参照のこと。従って、特定の均質化手段は、当
業者によって選択され得る。糞便サンプルのような生物
学的サンプルのさらなる処理および分析のための方法を
下記に示す。
II.結腸ガンまたは前ガンの検出方法 A.対照標的 例示のために、本発明の方法は、典型的な糞便サンプ
ルから得られた細胞中の、p53腫瘍抑制遺伝子中の欠失
またはその他の変異を検出するために使用される。p53
中のヘテロ接合性の消失はしばしば結腸直腸ガンに関連
するので、p53遺伝子は良好な選択物である。p53のDNA
コーディング領域に対応するmRNA配列は、GenBank受託
番号M92424として報告される。当業者は、本明細書中に
記載される方法が、任意の遺伝子中の変異を検出するた
めに使用され得、p53欠失の検出がこのような方法の例
であることを理解する。排泄された糞便サンプルの少な
くとも1つの断面が得られ、そしてすぐ上に記載される
ように調製される。DNAまたはRNAは、必要に応じて、当
該分野で公知の方法に従ってサンプルから単離され得
る。本明細書中に参考として援用されている、Smith−R
avinら、Gut,36:81−86(1995)を参照のこと。しか
し、本発明の方法は、未処理糞便について実施され得
る。
核酸は、例えば、制限消化によって、小さなフラグメ
ントに切り取られるか、または切断され得る。産生され
る核酸フラグメントの大きさは重要ではなく、下記の制
限に従う。変異していることが推測される標的対立遺伝
子(この例においてp53)および対照対立遺伝子が選択
される。対照対立遺伝子は、結腸ガン細胞で変異してい
ないことが知られているか、推測される任意の対立遺伝
子であり得る。一本鎖核酸フラグメントは、周知の方法
を用いて調製され得る。例えば、本明細書中に参考とし
て援用されている、Sambrookら、Molecular Cloning,A
Laboratory Manual(1989)を参照のこと。
コーディング鎖またはその相補物のいずれかの部分
が、本発明による方法で検出され得る。例示のために、
p53のコーディング鎖および対照対立遺伝子の検出が記
載される。p53および対照対立遺伝子の両方に対する相
補物は、アンチ相補オリゴヌクレオチドプローブ(単離
プローブ)に対するハイブリダイゼーションおよびその
後それによって形成された二本鎖の除去によって取り出
される。一本鎖オリゴヌクレオチド混合物からの相補鎖
を除去する方法は、当該分野で公知であり、アフィニテ
ィークロマトグラフィーのような技術を包含する。一本
鎖DNAへの二本鎖DNAの転換に際して、サンプルは、サン
プルから単離除去されるべき配列に相補的である結合単
離プローブを含有する、アフィニティーカラムに通され
る。従来のカラムクロマトグラフィーは、相補物の単離
に適している。分析されるべきDNAがカラムを通過する
間に、付着された相補的ヌクレオチドを有するセファロ
ースまたは任意の他の適切な物質を用いてパックされた
アフィニティーカラムを使用してカラム内で相補的DNA
を単離し得る。Sambrook(前出)を参照のこと。代替と
して、単離ビーズが、以下に詳細に記載されているよう
に相補物を取り出すために使用され得る。
相補鎖の除去後に、p53対立遺伝子の少なくとも一部
分にハイブリダイズする第1オリゴヌクレオチドプロー
ブ、および対照対立遺伝子の少なくとも一部分にハイブ
リダイズする第2オリゴヌクレオチドプローブを得る。
プローブを、フルオレセインのような検出標識、または
検出粒子で標識する。プローブに対して異なる標識が好
ましい。
次に、標識プローブは、ハイブリダイゼーション条件
下で、サンプルに曝される。このような条件は当該分野
で周知である。例えば、本明細書中に参考として援用さ
れる、Wallaceら、Nucleic Acids Res.,6:3543−3557
(1979)を参照のこと。異なって(すなわち、異なる放
射活性アイソトープ、蛍光手段、または異なる大きさの
ビーズによって;以下を参照のこと)標識されている第
1および第2のオリゴヌクレオチドプローブは、サンプ
ルの単一のアリコートに適用される。ハイブリダイゼー
ション条件下でのプローブのサンプルへの曝露後に、サ
ンプルを洗浄して、すべてのハイブリダイズしなかった
プローブを除去する。その後、ハイブリダイズしたプロ
ーブを、p53ハイブリッドおよび対照対立遺伝子ハイブ
リッドついて、別々に検出する。標準が、バックグラウ
ンドを確立するためおよび結果を平衡化するために使用
され得る。さらに、異なる蛍光標識が使用される場合、
プローブ数は、サンプル中の単一蛍光事象を検出し得る
ために十分に希釈されたサンプル中で、特異な蛍光事象
を計測することによって測定され得る。得られた結果の
精度を確認するために、2連のサンプルを分析し得る。
検出されるp53量と検出される対照対立遺伝子量との
間に統計学的有意差が存在する場合、p53での変異が生
じ、そして患者は、結腸ガンが発達中または発達した危
険性があることが憶測され得る。統計学的有意差は、任
意の既知方法によって決定され得る。好ましい方法は、
上記に概説されている。
p53変異の測定は、臨床医が、さらなる診断および必
要に応じて患者の症状を処置するために、内視鏡検査法
のようなさらなる処置を推奨することを可能にする。以
下の実施例は、ハイブリダイゼーション事象の直接定量
を可能にする、本発明の方法を例示する。
1.標的および対照ポリヌクレオチドの増大定量のための
方法 ハイブリダイゼーションプローブと標的または対照と
の間の結合事象の増大定量は、ハイブリダイゼーション
プローブをビーズのような粒子(ハイブリダイゼーショ
ンビーズ)に結合することによって達成される。
サンプル中のポリヌクレオチド量の厳密な定量測定を
行うために、ハイブリダイゼーションビーズは、それぞ
れのビーズが単一オリゴヌクレオチドプローブに付着さ
れるように、ハイブリダイゼーションを実施する前に構
築される。
a.プローブ−ビーズ組合せの調製方法 単一プローブを、大過剰のハイブリダイゼーションビ
ーズと所定の型のオリゴヌクレオチドプローブ(すなわ
ち、第1または第2のオリゴヌクレオチドプローブ)と
をインキュベートして、ビーズに付着させる。プローブ
のビーズへの結合は、親和性結合対を用いて達成され
る。例えば、ビーズは、アビジンまたはストレプトアビ
ジンによって被覆され得、そしてプローブはプローブの
ビーズへの付着に影響するように、ビオチンで標識され
得る。ビーズおよびプローブの混合物は、実質的に100
%のプローブがビーズに結合されるように撹拌される。
次に、その混合物は、アフィニティーカラムまたはプロ
ーブに相補的であるオリゴヌクレオチドで被覆された膜
のようなマトリックスに曝される。付着されたプローブ
を有するビーズのみがマトリックスに付着し、残りが洗
浄除去される。次に、結合されたプローブを有するビー
ズは、プローブと相補物との間のハイブリダイゼーショ
ンを融解することによって、マトリックスから解離され
る。マトリックスへの複数の曝露およびカラムの前洗浄
は、非特異的結合を減少させる。さらに、裸の(すなわ
ち、付着されたプローブを有さない)ビーズは、マトリ
ックスに曝され、プローブの非存在下でマトリックスへ
付着されることが予測され得るビーズのバックグラウン
ド数を測定され得る。
上記のような、プローブに対して大過剰のビーズの使
用によって、回収された大多数のビーズは、1つのみの
付着されたプローブを有することが予測される。例え
ば、混合物が、1000ビーズに対して1プローブの比率を
有する場合、100万個中約1つのビーズのみが2つの付
着されたプローブを有し、100万個中1つ未満のビーズ
が2つ以上の付着されたプローブを有することが、予測
される。従って、ハイブリダイゼーションビーズは、下
記のような標的および対照ポリヌクレオチドの厳密な定
量をなし得るプローブと、有効な1:1の比率で提供され
る。
下記の各アッセイについて、2つの別個のハイブリダ
イゼーションビーズが使用される。第1のハイブリダイ
ゼーションビーズは、標的ポリヌクレオチド(例えば、
p53対立遺伝子)の少なくとも一部分に相補的である単
一の第1のオリゴヌクレオチドプローブに付着される。
第1のハイブリダイゼーションビーズと異なる大きさの
第2のハイブリダイゼーションビーズは、対照ポリヌク
レオチド(すなわち、サンプル中で変異されていないこ
とが知られているか、または推測されるもの)の少なく
とも一部分に相補的である単一の第2のオリゴヌクレオ
チドプローブに付着される。
b.標的および対照ポリヌクレオチドを定量するためのビ
ーズの使用 DNAを、周知の方法によって融解する(変性して一本
鎖DNAを形成する)。例えば、本明細書中に参考として
援用される、Gyllenstenら、Recombinant DNA Methodol
ogy II,565−578(Wu編、1995)を参照のこと。本発明
の方法に従って、標的および/または対照ポリヌクレオ
チドを定量するために、コーディング鎖またはその相補
物のいずれかが検出され得る。例示の目的のために、本
発明の実施例は、コーディング鎖の検出を仮定する。
2.相補物の除去 標的ポリヌクレオチド(例えば、p53)および対照ポ
リヌクレポチドの一本鎖相補物は、標的または対照相補
物に相補的であるオリゴヌクレオチドプローブに対する
結合によって、サンプルから除去される。このようなプ
ローブは、本明細書中では単離プローブと呼ばれ、サン
プルへのそれらの導入前に、単離ビーズに付着される。
そのビーズは磁化され得る。従って、磁化された単離ビ
ーズ(付着された単離プローブを有する)がサンプルに
導入されると、付着された単離プローブは、標的または
対照の相補物にハイブリダイズする(または逆に)。単
離ビーズは、好ましくは、相補物結合を飽和するため
に、大過剰に導入される。一旦ハイブリダイゼーション
が完了すると、サンプルに磁場が適用され、従って、サ
ンプルから磁化された単離ビーズが引き付けられる(ハ
イブリダイズされた相補物の存在下、および非存在下の
両方)。単離ビーズの十分な量がサンプルに導入される
と仮定すれば、単離ビーズの除去は、サンプルから全標
的および対照相補物を有効に除去する。相補物の除去に
対する別の実施態様では、付着されたビオチンを有する
過剰のオリゴヌクレオチドプローブが、ハイブリダイゼ
ーション条件下で、脱ハイブリダイズされたサンプルに
曝される。一旦ハイブリダイゼーションが完了すると、
サンプルはアビジンを詰めたカラムに曝される。ビオチ
ン結合プローブは、遊離であるか、または相補物にハイ
ブリダイズされていても、カラム上でアビジンによって
結合される。検出されるべき標的および対照コーディン
グ鎖を含む、残りのDNAは、カラムを通過される。上記
のハイブリダイゼーションビーズの記載とは逆に、相補
物の除去用ビーズは、多数のオリゴヌクレオチドが単一
のビーズに結合するように、構築され得る。
3.標的および対照の検出および定量 2組のハイブリダイゼーションビーズを、上記のよう
に調製する。ハイブリダイゼーションビーズの第1組の
各メンバー(これらの全ては互いに同じである)は、標
的ポリヌクレオチドの少なくとも一部分に相補的である
単一のオリゴヌクレオチドプローブに付着された。同じ
ハイブリダイゼーションビーズの第2組の各メンバー
(これらの全ては互いに同じであるが、第1組とは同じ
ではない)は、対照ポリヌクレオチドの少なくとも一部
分に相補的である単一のオリゴヌクレオチドプローブに
付着された。第2組のハイブリダイゼーションビーズの
メンバーの大きさまたは色は、第1組のハイブリダイゼ
ーションビーズのメンバーのものと異なる。第1および
第2のハイブリダイゼーションビーズはまた、他の特性
に基づいて区別され得る。例えば、ビーズは、異なる波
長でのそれらの蛍光によって区別される蛍光マーカーを
付着し得る。異なる電気化学電荷を有するビーズもまた
使用され得る。ビーズを区別するために使用される厳密
な様式は、付着される第1および第2のビーズ間の区別
に基づいて、第1および第2プローブ間での区別が可能
な限り、本発明には必ずしも必須ではない。
付着されたプローブを有する両方の組のハイブリダイ
ゼーションビーズは、ハイブリダイゼーション条件下で
サンプルに曝され、それによって付着されたプローブを
対照または標的にハイブリダイズし得る。一旦ハイブリ
ダイゼーションが完了すると、ハイブリダイズしていな
いビーズ/プローブの組み合わせを除去するために、サ
ンプルが洗浄される。ハイブリダイズしていないビーズ
/プローブの組み合わせは、例えば、プローブ配列に相
補的なDNAを有するカラムにサンプルを通過させること
によって除去される。従って、いずれのハイブリダイズ
していないビーズ/プローブの組み合わせもカラムに保
持されるが、一方、二本鎖はカラムを通過する。後に、
サンプルは、二本鎖を形成した第1および第2のハイブ
リダイゼーションプローブを定量するために、ハイブリ
ダイゼーションビーズを特異的に計測するための手段に
曝される。得られた数は、集団中の対照および標的ポリ
ヌクレオチドのコピー数の正確な評価を提供する。なぜ
なら、特異的計測手段は別個のビーズを計測するからで
ある。1つのビーズは、同様に、測定される核酸の1コ
ピーを示す1プローブに等しい。
特異的計測手段の例は、コールターカウンター(Coul
ter Electronics,Inc.Miami,Florida)のような、イン
ピーダンス測定装置である。サンプルは、電流の特異的
インピーダンスを測定することによって、2つの型のハ
イブリダイゼーションビーズを特異的に検出する装置に
通過させられる。あるいは、装置は、蛍光、色、または
他の変化を測定し得る。アッセイの速度を増すために、
マルチオリフィス装置が使用され得る。マルチオリフィ
スインピーダンスカウンターは、略図的に図2に示され
ている。マルチオリフィス配列は、生理食塩水のような
電気伝導液で満たされているカラムの1つの末端に配置
される。ハイブリダイズされた標的または対照セグメン
トのいずれかを有するハイブリダイゼーションビーズ
は、そのカラムの反対の末端に挿入される。各オィフィ
スは、一度に1つのハイブリダイゼーションビーズのみ
を収容するのに十分に大きく、信頼性のあるインピーダ
ンス測定を可能にするのに十分に広い。電圧は、各オィ
フィスを横切って通過される。各ハイブリダイゼーショ
ンビーズ(非伝導性である)は、各オィフィスを通過す
るので、多量の生理食塩水を置換し、従って、ビーズの
大きさに比例する短いインピーダンス変化を生じる。こ
れは、同様にビーズの大きさに直接相関する、測定可能
な電流の減少を生じる。2つの異なるインピーダンス事
象のそれぞれの数を収集することによって、ハイブリダ
イゼーションビーズ数の正確な評価、およびそれによっ
て集団中の各型のプローブの数が得られる。
第1および第2のハイブリダイゼーションビーズの定
量測定に際して、データを、第1および第2のハイブリ
ダイゼーションビーズ(付着されたハイブリダイズプロ
ーブを有する)量の間に、統計学的有意差が存在するか
どうかを測定するために、上記のように分析する。標的
の量の統計学的有意性の減少は、標的対立遺遺伝子での
変異を示唆する。p53遺伝子が標的対立遺伝子である場
合、このような変異は、ガンまたは前ガン状態を示唆す
る。治療医は、内視鏡検査法およびポリープ切除手順の
ような、さらなる処置を示唆するための基礎として、こ
のような結果を使用し得る。
B.単一塩基多形性における変異の検出 上記の基本的な方法はまた、ヘテロ接合性の消失、ま
たは母系対立遺伝子および父系対立遺伝子間の単一塩基
多形性部位でのその他の変異を検出するために適用され
得る。典型的に、このような検出は、より大きな欠失ま
たはその他の変異の指標である。しかし、単一多形性ヌ
クレオチドでの変異は、2つの対立遺伝子の1つにおけ
る遺伝子機能を阻害するのに必要である全てであり得
る。ヘテロ接合性の消失に関連する欠失は、相補的再重
複(reduplication)と呼ばれる最近発見された現象の
ため、検出が困難であり得る。相補的再重複において、
特定の遺伝子座における2つの対立遺伝子のうちの1つ
の消失は、残存する対立遺伝子の「再重複」をもたら
す。通常、再重複は、残存する対立遺伝子を含む染色体
上で起こり、そして染色体上の残存する対立遺伝子の位
置にきわめて近接した、残存する対立遺伝子の1つ以上
のコピーの産生に関係する。1つ以上の単一塩基対立遺
伝子多形性を示す遺伝子座の場合では(すなわち、その
遺伝子座でのヘテロ接合性は、その遺伝子座の1つ以上
の領域での1つ以上の単一塩基の差異によって決定され
る)、相補的再重複は、欠失された遺伝子に対応する、
二本鎖配列の残存する対立遺伝子を含む染色体上で挿入
をもたらす。最もストリンジェントなハイブリダイゼー
ション条件下でさえ、欠失された配列に対して指向され
るプローブのいくつかは、単一塩基多形性遺伝子座の再
重複配列に結合する。従って、このような環境では、多
形性部位(すなわち、単一塩基多形性を包含する対立遺
伝子領域)に結合するプローブ数の実際の差異は、他の
対立遺伝子再重複領域から生じた増加によって不明瞭に
され得るので、欠失は検出され得ない。
相補的再重複および非特異プローブ結合に関連する問
題は、一般的に本発明の方法によって解決される。この
ような方法は、生物学的サンプルに含有される細胞の亜
集団中の特異的遺伝子座に存在する2つの対立遺伝子の
うちの1つにおける、欠失の検出を可能にする。腫瘍抑
制対立遺伝子を含む、多数の対立遺伝子は、一定の核酸
領域に関して、単一多形性ヌクレオチドを含有する。個
体は、通常、特定の多形ヌクレオチドに対して、通常は
ホモ接合性またはヘテロ接合性のいずれかであり得る。
多数の単一塩基多形性ヌクレオチド部位が、ほとんどの
対立遺伝子に存在するので、所定の個体が、単一塩基多
形性部位の少なくとも1つでヘテロ接合性である確立は
高い。単一塩基多形性部位での2つのヌクレオチドの1
つ(ここで、個体はヘテロ接合性である)での統計学的
有意な減少は、この部位を包含する対立遺伝子での欠失
に対するマーカーとして使用される。
既知の単一塩基多形性を含有するゲノム領域は、GenB
ank,EMBLのようなヌクレオチドデーターベースまたは任
意の他の適切なデーターベースを参考にして同定され
る。本発明の目的のために、単一多形性ヌクレオチド
が、より大きな多形性部位の一部を形成する(すなわ
ち、単一塩基多形性が、より大きなポリヌクレオチド多
形性の末端ヌクレオチドであり得る)かどうかにかかわ
らず、単一塩基多形性は、対立遺伝子の非多形性領域に
隣接する単一多形性ヌクレオチドであることが意図され
る。ガン検出について、考慮される領域は、腫瘍抑制遺
伝子のような、ヘテロ接合性の消失が優勢な領域であ
る。所定の個体は、任意の同定された単一塩基多形性領
域における多形性ヌクレオチドに対して、ホモ接合性ま
たはヘテロ接合性であり得る。従って、多数の単一塩基
多形性領域が同定されれば、少なくとも1つのヘテロ接
合性単一塩基多形性領域がサンプル中に見出される確立
は増加する。
一旦単一塩基多形性部位が同定されると、それらの部
位のいずれが正常(すなわち、非ガンまたは前ガン)細
胞中でヘテロ接合性であるかを決定するために、サンプ
ルが患者から得られる。次に、サンプルは上記のように
調製される。サンプル中の二本鎖DNAは、一本鎖DNAに転
換される。次に、両方の対立遺伝子のコーディング鎖ま
たはアンチコーディング鎖のいずれかがサンプルから単
離される。以下の考察から明白であるように、本明細書
に開示されている方法は、コーディング鎖またはアンチ
コーディング鎖がサンプル中に保持されるかどうかに関
しては同じである。
単一塩基多形性の領域部分に相補的であるオリゴヌク
レオチドプローブが構築され、この部分は、5'−3'(コ
ーディング)鎖または3'−5'(アンチコーディング)鎖
が鋳型として使用されるかどうかにかかわらず、多形性
ヌクレオチドのすぐ3'側であるヌクレオチドで終わる。
図3は、上記のような(図3の配列は仮想であり、そし
ていずれの実際の配列をも示すことを意図されない)、
4つの可能な鋳型鎖の各々に対する多形性ヌクレオチド
のすぐ3'側である、4つの可能なプローブを示す。どち
らかの鎖が、ヘテロ接合性および/またはその消失を測
定するためのプローブ結合の鋳型として使用され得る
が、鋳型にハイブリダイズされるプローブの配列は、使
用される鎖に依存して異なる。プローブは、標的に対す
るプローブの有効且つ特異的なハイブリダイゼーション
を可能にする、任意の長さであり得る。図3は、示され
ている仮想配列へのハイブリダイゼーションに有用な4
つのプローブを例示する。プローブ配列の長さは、分析
される各ゲノム領域に適するように決定され得る。好ま
しい長さは、約10および約100ヌクレオチドの間であ
る。プローブの大きさはまた、単一塩基多形性を取り囲
む領域の大きさに依存する(すなわち、もしあれば、次
の隣接多形性の5'または3'領域)。オリゴヌクレオチド
プローブの構築およびハイブリダイゼーションに関する
詳細な説明は、当該分野において公知である。
一旦構築されると、各多形性領域に対する独特のプロ
ーブは、母系対立遺伝子および父系対立遺伝子の両方の
うち、多形性ヌクレオチドまで(しかし、多形性ヌクレ
オチドを包含しない)の領域にハイブリダイズする。多
形性ヌクレオチドは、ヘテロ接合体において、母系対立
遺伝子と父系対立遺伝子において異なる。図3は、前述
のハイブリダイゼーション手順を示す。図3は、多形性
ヌクレオチドを取り囲む領域の小さな部分のみを示す。
図3に示されている対立遺伝子は、多形性部位でヘテロ
接合性である(図3に太字で示されている)。
プローブは、当該分野における標準的な方法によっ
て、その特異鋳型DNA(上記を参照のこと)にハイブリ
ダイズされる。サンプルは、必要に応じて洗浄され、ハ
イブリダイズしていないプローブを除去し得る。プロー
ブが結合した各単一塩基多形性領域は、多形性ヌクレオ
チドでヘテロ接合性またはホモ接合性であるかを決定す
るために、Sanger,Proc.Nat'l Acad.Sci.(USA),74:54
63−5467(1977)に報告されているようなジデオキシチ
ェインターミネーション法の改変が使用され、これは、
本明細書に参考として援用される。その方法は、4つの
共通2',3'−ジデオキシドヌクレオシド三リン酸(ddAT
P、ddCTP、ddGTP、およびddTTP)のうち少なくとも2つ
を使用することを包含する。異なる検出標識が、各ジデ
オキシヌクレオシド三リン酸(ddNTP)に、当該分野で
公知の方法に従って付着される。特異的に標識されたdd
NTPは、Perkin Elmer Corporation(カタログ番号40145
6)から入手可能である。次に、少なくとも2つの標識d
dNTPが、上記のように、母系対立遺伝子および父系対立
遺伝子にハイブリダイズされるプローブを有する各サン
プルに曝される。どの2つのddNTPが使用されるかの選
択は、ヘテロ接合多形性部位のヌクレオチドに依存す
る。SequenaseTM(Perkin−Elmer)のようなDNAポリメ
ラーゼもまた、サンプル混合物に添加される。対立遺伝
子鎖をプライマーとして使用して、ポリメラーゼはプロ
ーブの3'末端に1つのddNTPを付加し、この取り込まれ
るddNTPは、単一塩基多形性部位に存在するヌクレオチ
ドに相補的である。ddNTPは3'水酸基を有さないので、
ハイブリダイズされたプローブのさらなる伸長は生じな
い。完了後に、サンプルを洗浄して、過剰なddNTPを除
去する。次に、各サンプルにおいて標識を計測する。サ
ンプル中の2つの特異的に標識されたddNTPの存在は、
多形性部位のヘテロ接合性を示唆する。3'修飾がさらな
る3'ヌクレオチドの結合(すなわち、プローブ伸長)を
妨げ、そしてプローブの3'末端への修飾ヌクレオチドの
結合を阻害しない限り、任意の3'修飾ヌクレオシド三リ
ン酸が上記の方法において使用され得る。
ヘテロ接合性またはホモ接合性を確立するために、サ
ンプルに存在する各標識量を測定する必要はない。例え
ば、特異的に標識されたデオキシヌクレオシド三リン酸
は、ヘテロ接合性またはホモ接合性の測定に使用され得
る。2つの異なる標識ジデオキシヌクレオチドがプロー
ブに取り込まれるという事実だけで、分析される単一塩
基多形性部位がヘテロ接合性であることを意味する。し
かし、患者が多形性である部位の決定は、ガンを示唆し
得る多形性部位での変化を検出するための今後の試験に
使用され得る、多形性のベースラインを確立するのに有
用である。多形性の存在は、本明細書に教示されている
方法、ゲル電気泳動、またはその他の標準的な方法によ
って決定され得る。
多形性部位にヘテロ接合性が存在する場合、2つの特
異的に標識されたddNTPの各々の量を計測することは、
サンプル中の亜集団細胞におけるヘテロ接合性の消失
(すなわち、欠失)が存在するかどうかの決定を可能に
する。単一塩基多形性部位でヘテロ接合性である細胞を
含有する正常(すなわち、非ガン)サンプルにおいて、
プローブに添加される2つのddNTPの各々の検出量は等
しい(統計学的有意の選択された制限内)ことが予測さ
れる。しかし、欠失が、サンプル中の亜集団細胞におけ
る2つの対立遺伝子のうちの1つに生じた場合、取り込
まれた(標識)ddNTPにより検出される2つの対立遺伝
子の各々の量間で、統計学的有意差が存在する。このよ
うな差の検出は、サンプル内のゲノム不安定性を示唆す
る。このようなゲノム不安定性、サンプル中のガンまた
は前ガン細胞の可能性を示唆する。
ddNTPが付着した対立遺伝子を正確に計測する能力を
改善するために、ddNTPは、上記のような異なる大きさ
のハイブリダイゼーション型ビーズで標識される。標識
ddTNPを含有する結合プローブを有する対立遺伝子は、
コールターカウンターのような計測装置を使用して、上
記のように計測される。さらに上記のように、異なる蛍
光標識またはその他の計測手段が、取り込まれたddNTP
を別々に検出するために、使用され得る。
単一塩基多形性部位でのヘテロ接合性の検出、および
ヘテロ接合性の消失の検出は、別々の工程において測定
され得る。例えば、プローブは、上記のように多形性で
あることが測定されるヌクレオチドにすぐに隣接して
(しかしヌクレオチドを含まないで)ハイブリダイズさ
れ得る。次に、4つのddNTPがサンプルに添加され、洗
浄され、そして各標識の存在または非存在が検出され得
る。1つの標識のみの検出は、サンプルが得られる個体
が多形性ヌクレオチドの部位でホモ接合性であることを
示唆する。2つの標識の検出は、個体がヘテロ接合性で
あることを意味する。ヘテロ接合性の遺伝子座が認めら
れる。上記のように、ヘテロ接合性のベースライン決定
が、標準デオキシヌクレオチドを使用してなされ得る。
一旦ベースラインが確立されると、すぐ上に記載されて
いるように、その個体に対する今後の試験がヘテロ接合
性の消失を検出するためにヘテロ接合性遺伝子座につい
て実施される。ガンの検出については、ヘテロ接合性遺
伝子座は、典型的に、p53、dcc、apc、およびその他を
含む腫瘍抑制遺伝子である。本発明の方法を使用して、
ヘテロ接合性腫瘍抑制遺伝子座の「フィンガープリン
ト」が構築され得る。フィンガープリントからの今後の
偏差(すなわち、欠失)は、ガンの発達について価値あ
る情報を提供する。
結腸ガンの検出において、前述の方法が好ましく使用
される。典型的な糞便サンプルは、上記のように調製さ
れる。糞便サンプルの少なくとも1つの断面は緩衝液に
入れられ、そして均質化される。二本鎖DNAは一本鎖DNA
に変換され、検出されるべき鎖の相補物が、上記のいず
れかの方法によってサンプルから取り出される。残りの
一本鎖DNAが、腫瘍抑制対立遺伝子のようなガン関連対
立遺伝子中の既知の単一塩基多形性に基づいて設計され
たプローブの複数のコピーに曝され、プローブは、上記
のような多形性ヌクレオチドにすぐ隣接する所望の数の
ヌクレオチドとハイブリダイズする。ハイブリダイゼー
ションが完了した後、サンプルは洗浄され、そして特異
的に標識されたddNTPおよびDNAポリメラーゼに曝され
る。次に、サンプルは洗浄され、取り込まれなかったdd
NTPを除去する。任意の標識ddNTPの存在が測定される。
2つの標識が検出される場合、サンプルが得られる個体
は、多形性ヌクレオチドでヘテロ接合性である。対立遺
伝子のヘテロ接合性および多形性対立遺伝子にすぐ隣接
する部位に適合するプローブ配列は、ヘテロ接合性の消
失についての今後の試験における参考として注目され
る。あるいは、一旦、患者が遺伝子座でヘテロ接合性で
あることが決定されると、アッセイはサンプル中の亜集
団細胞におけるヘテロ接合性の現時点の消失を決定する
ために、上記の様式で直ちに実施され得る。
C.マイクロサテライト不安定性の分析 マイクロサテライトは、ゲノム全体に見出されるジヌ
クレオチドまたはトリヌクレオチド反復である。マイク
ロサテライト反復の特定の配列は、しばしば特定のゲノ
ム配列に関連し、そして正常な条件下で安定に受け継が
れる。典型的にマイクロサテライトコピー数の伸張は、
ミスマッチ修復における欠損に関連する。従って、マイ
クロサテライト領域での変化は、患者がガンに導き得る
他のゲノム領域での変異の危険性があることを示す。
ガン関連遺伝子での変異の指標として、マイクロサテ
ライト不安定性を検出するために、最初に、目的の遺伝
子に関連するマイクロサテライト領域が同定されなけれ
ばならない。このような領域は、典型的に、GenBank,EM
BLおよびその他のようなデーターベースにおいて同定さ
れる。例えば、一旦p53腫瘍抑制遺伝子に関連する野生
型マイクロサテライト領域が同定されると、マイクロサ
テライト領域およびマイクロサテライト領域のすぐ5'領
域およびすぐ3'領域に広がるオリゴヌクレオチドプロー
ブが構築される。プローブの正確な長さは、実験者によ
って決定され得る。マイクロサテライトが例えばp53に
関連する母系対立遺伝子および父系対立遺伝子の両方に
おいて、5'および3'の伸張を含むマイクロサテライト領
域にハイブリダイズするプローブが構築される。
体組織または体液の適切なサンプルが、本明細書に記
載のように得られ、そして処理される。二本鎖DNAは変
性され、そして上記のような過剰の母系プローブおよび
父系プローブは、ハイブリダイゼーション条件下でサン
プル導入される。プローブは、上記のように検出可能に
標識される。検出されるべき鎖の相補物は、必要に応じ
て、上記の方法により取り出され得る。次に、サンプル
は、ハイブリダイズしていないプローブを除去するため
に洗浄され、そしてハイブリダイズされたプローブの量
が、定量的に検出される。
定量検出は、本明細書に記載の任意の手段によって達
成され得る。例えば、プローブは、母系対立遺伝子に結
合するプローブが、1つの大きさのビーズに付着され、
そして父系対立遺伝子に結合されるプローブが、第1の
大きさのビーズと区別される第2の大きさのビーズに付
着されるように、ハイブリダイズビーズに付着され得
る。付着されたプローブを有するビーズは、上記のよう
に計測され得る。
母系対立遺伝子に結合するプローブ量と、父系対立遺
伝子に結合するプローブ量との間の統計学的有意差の検
出は、マイクロサテライト不安定性を示唆する。以前に
記載されたように、マイクロサテライト不安定性は、マ
イクロサテライトが存在する遺伝子座の変異を示唆す
る。マイクロサテライト領域が、腫瘍抑制遺伝子または
ガン遺伝子に関連する場合、生物学的サンプル中の亜集
団細胞の対立遺伝子におけるマイクロサテライト不安定
性の検出は、ガンの可能性を示唆するか、あるいはガン
または前ガンはすでに進行し得たことを示唆する。次
に、本明細書に記載のようなさらなる試験(侵入または
非侵入手段によるいずれか)が実施され得る。
別の実施例において、マイクロサテライトの「フィン
ガープリント」が、患者から得られたサンプル中のガン
原因遺伝子に関連する領域から得られる。フィンガープ
リントは、ガン原因遺伝子(単数または複数)に関連す
る野生型マイクロサテライトの配列を包含する。一旦得
られると、フィンガープリントは保存され、そしてガン
の発達に関連し得る、マイクロサテライト領域の変化
(すなわち、マイクロサテライト不安定性)をモニター
するために、同じ患者由来のサンプルの今後の試験に使
用される。マイクロサテライトの長さおよび/または配
列の経時的な変化は、その病因学における早期のガン組
織を検出および除去するための、さらなる試験および/
または処置を処方するために使用され得る。
本発明は、その好ましい実施態様によって記載されて
いる。本発明による多数のさらなる局面および利点は、
前述の考察に基づき当業者には明白である。配列表 (1)一般的情報: (i)出願人: (A)名称:イグザクトラボラトリーズ,インコー
ポレイテッド (B)番地:オールドエバーグリーンロード12 (C)市:ベドフォード (D)州:ニューハンプシャー (E)国:アメリカ合衆国 (F)郵便番号:03110 (G)電話: (H)テレファックス: (I)テレックス: (ii)発明の名称:ゲノム上不均一な細胞サンプルに
おける形質転換細胞のクローン集団検出のための方法 (iii)配列数:8 (iv)連絡住所: (A)名称:パテントアドミニストレイター,テス
タ,ワーウィッツアンドチボルト,エルエルピー (B)番地:ハイストリート125 (C)市:ボストン (D)州:マサチューセッツ (E)国:アメリカ合衆国 (F)郵便番号:02110 (v)コンピューター読み出し形態: (A)媒体型:フロッピーディスク (B)コンピューター:IBM PC互換用 (C)OS:PC−DOS/MS−DOS (D)ソフトウェア:パテントインリリース#1.0,
バージョン#1.30 (vi)現在の出願データ: (A)出願番号: (B)出願日: (C)分類: (viii)代理人/事務所情報: (A)氏名:メイヤーズ,トーマスシー (B)登録番号:36,989 (C)照会/記録番号:EXT−001PC (ix)電話回線情報: (A)電話:(617)248−7000 (B)テレファックス:(617)248−7100 (2)配列番号1の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:9塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ix)配列の特徴: (A)特徴を表す記号:misc_feature (B)存在位置:1..9 (D)他の情報:/注=「M1」 (xi)配列:配列番号1: (2)配列番号2の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:19塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ix)配列の特徴: (A)特徴を表す記号:misc_feature (B)存在位置:1..19 (D)他の情報:/注=「M2」 (xi)配列:配列番号2: (2)配列番号3の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:19塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ix)配列の特徴: (A)特徴を表す記号:misc_feature (B)存在位置:1..9 (D)他の情報:/注=「M3」 (xi)配列:配列番号3: (2)配列番号4の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:9塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ix)配列の特徴: (A)特徴を表す記号:misc_feature (B)存在位置:1..9 (D)他の情報:/注=「M4」 (xi)配列:配列番号4: (2)配列番号5の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:9塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ix)配列の特徴: (A)特徴を表す記号:misc_feature (B)存在位置:1..9 (D)他の情報:/注=「F1」 (xi)配列:配列番号5: (2)配列番号6の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:19塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ix)配列の特徴: (A)特徴を表す記号:misc_feature (B)存在位置:1..19 (D)他の情報:/注=「F2」 (xi)配列:配列番号6: (2)配列番号7の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:19塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ix)配列の特徴: (A)特徴を表す記号:misc_feature (B)存在位置:1..19 (D)他の情報:/注=「F3」 (xi)配列:配列番号7: (2)配列番号8の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:9塩基対 (B)型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ix)配列の特徴: (A)特徴を表す記号:misc_feature (B)存在位置:1..9 (D)他の情報:/注=「F4」 (xi)配列:配列番号8:
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 シュバー, アンソニー ピー. アメリカ合衆国 マサチューセッツ 01757, ミルフォード,グラント ス トリート 11 (72)発明者 アルマー, ケビン エム. アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02025, コハセット,マージン スト リート 30 (56)参考文献 特開 平3−4792(JP,A) 特開 昭59−199000(JP,A) 国際公開93/18186(WO,A1) Nucleic Acids Res earch,Vol.22,No.20 (1994),p.41 Clinica Chimica A cta,Vol.226(1994),p.225 −236 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/09 C12Q 1/68 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG) MEDLINE

Claims (36)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生物から得られる生物学的サンプルにおい
    て、形質転換細胞のクローン亜集団の存在を検出する方
    法であって、以下の工程: a) 該生物学的サンプルから、形質転換細胞の該亜集
    団において変異していない該生物のゲノム領域に特有な
    第1の野生型ポリヌクレオチドの数値Xを決定する工
    程; b) 該生物学的サンプルから、形質転換細胞の該亜集
    団において変異していることが推測される該生物のゲノ
    ム領域において、第2の野生型ポリヌクレオチドの数値
    Yを決定する工程;および c) 数値Xと数値Yとの間に差異が存在するかどうか
    を決定する工程; を包含し、ここで、統計学的有意差の存在は、該生物学
    的サンプルにおいて、形質転換細胞のクローン亜集団を
    示唆する、方法。
  2. 【請求項2】前記形質転換細胞が悪性である、請求項1
    に記載の方法。
  3. 【請求項3】前記生物学的サンプルが、膿汁、痰、精
    液、尿、血液、唾液、髄液、および生検組織からなる群
    より選択される、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】前記生物学的サンプルが糞便サンプルであ
    る、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】前記工程a)が、前記生物学的サンプル
    を、前記第1のポリヌクレオチドの少なくとも一部のヌ
    クレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有する、
    第1のオリゴヌクレオチドプローブに曝す工程を包含す
    る、請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】前記第1のオリゴヌクレオチドプローブが
    検出可能に標識される、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】前記数値Xが、前記第1のポリヌクレオチ
    ドと二本鎖を形成する前記第1のオリゴヌクレオチドプ
    ローブの数に比例する、請求項5に記載の方法。
  8. 【請求項8】前記工程b)が、前記生物学的サンプル
    を、前記第2のポリヌクレオチドの少なくとも一部に相
    補的なヌクレオチド配列を有する、第2のオリゴヌクレ
    オチドプローブに曝す工程を包含する、請求項1に記載
    の方法。
  9. 【請求項9】前記数値Yが、前記第2のポリヌクレオチ
    ドと二本鎖を形成する前記第2のオリゴヌクレオチドプ
    ローブの数に比例する、請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】前記第2のオリゴヌクレオチドプローブ
    が検出可能に標識される、請求項8に記載の方法。
  11. 【請求項11】哺乳動物組織または体液サンプルにおい
    て、結腸直腸ガンまたは前ガン病巣の存在を検出する方
    法であって、以下の工程: (a) 該サンプルを、複数の第1のオリゴヌクレオチ
    ドプローブおよび複数の第2のオリゴヌクレオチドプロ
    ーブに、ハイブリダイゼーション条件下で曝す工程であ
    って、それによって、 (1) 該第1のオリゴヌクレオチドプローブを、生物
    の野生型細胞に特有な第1のポリヌクレオチドセグメン
    トのコピーとハイブリダイズさせ、そして (2) 該第2のオリゴヌクレオチドプローブを、結腸
    直腸ガン細胞において、欠失または変異したことが推測
    される、野生型ゲノム領域に特有な第2のポリヌクレオ
    チドセグメントのコピーとハイブリダイズさせる、工
    程; (b) 該第1のプローブと該第1のセグメントとの間
    で形成された第1の二本鎖の数、および該第2のプロー
    ブと該第2のセグメントとの間で形成された第2の二本
    鎖の数を検出する工程;および (c) 該第1のプローブと該第1のセグメントとの間
    で形成された二本鎖の数と、該第2のプローブと該第2
    のセグメントとの間で形成された二本鎖の数との間に差
    異があるかどうかを決定する工程; を包含し、 ここで、統計学的有意差の存在は、該サンプルにおい
    て、直腸結腸ガンまたは前ガン病巣の存在を示唆する、
    方法。
  12. 【請求項12】前記第1および第2のオリゴヌクレオチ
    ドプローブのそれぞれが、個別に検出可能な標識に結合
    される、請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】前記第1のオリゴヌクレオチドプローブ
    が、1つの粒子に1つの第1のオリゴヌクレオチドプロ
    ーブの割合で、第1の粒子に付着され、そして前記第2
    のオリゴヌクレオチドプローブが、1つの第2の粒子に
    1つの第2のオリゴヌクレオチドプローブの割合で、該
    第1の粒子とは区別して検出可能に第2の粒子に付着さ
    れ、 ここで、前記検出する工程が、ハイブリダイズしていな
    い第1および第2のオリゴヌクレオチドプローブから、
    ハイブリダイズした第1および第2のオリゴヌクレオチ
    ドプローブを分離し、その後、ハイブリダイズした第1
    および第2のオリゴヌクレオチドプローブを検出器に通
    過させて、前記第1および第2の数を決定する工程を包
    含する、 請求項11に記載の方法。
  14. 【請求項14】前記第1および第2の粒子が検出可能に
    異なるサイズの粒子である、請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】前記第1および第2の粒子が検出可能に
    異なる色の粒子である、請求項13に記載の方法。
  16. 【請求項16】前記工程a)の前に、前記サンプル中の
    二本鎖DNAを一本鎖DNAに変換し、そして前記第1および
    第2のポリヌクレオチドセグメントに対する相補物を取
    り出す工程をさらに包含する、請求項11に記載の方法。
  17. 【請求項17】前記取り出し工程が、前記相補物を、磁
    性粒子に付着される核酸プローブにハイブリダイズさせ
    る工程、およびその後、前記サンプルから該磁性粒子を
    取り出す工程を包含する、請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】生物学的サンプルにおいて、細胞の亜集
    団中の標的対立遺伝子における核酸配列の変化を検出す
    る方法であって、以下の工程: (a) (i) 該生物学的サンプル中の野生型標的対立遺伝子
    の量、および (ii) 該生物学的サンプル中の対照対立遺伝子の量、
    を決定する工程;ならびに (b) 該生物学的サンプルにおいて、細胞の亜集団中
    の標的対立遺伝子における核酸配列の変化を検出する工
    程; を包含し、 ここで、該決定する工程で得られる野生型標的対立遺伝
    子の量および対照対立遺伝子の量における統計学的有意
    差が、核酸配列の変化を示唆する、方法。
  19. 【請求項19】前記決定する工程が、前記生物学的サン
    プルを、前記野生型対立遺伝子の一部とハイブリダイズ
    し得る第1のオリゴヌクレオチドプローブ、および前記
    対照対立遺伝子の一部とハイブリダイズし得る第2のオ
    リゴヌクレオチドプローブに曝す工程、および該生物学
    的サンプルから、いずれかのハイブリダイズしていない
    第1または第2のオリゴヌクレオチドプローブを除去す
    る工程を包含する、請求項18に記載の方法。
  20. 【請求項20】前記生物学的サンプルが、糞便、膿汁、
    精液、血液、組織、および尿からなる群より選択され
    る、請求項18に記載の方法。
  21. 【請求項21】前記標的対立遺伝子が腫瘍抑制対立遺伝
    子である、請求項18に記載の方法。
  22. 【請求項22】前記腫瘍抑制対立遺伝子がp53対立遺伝
    子である、請求項18に記載の方法。
  23. 【請求項23】細胞物質の不均一なサンプルにおいて、
    標的対立遺伝子の亜集団におけるヌクレオチド配列の変
    化を検出する方法であって、以下の工程: a) 該不均一なサンプルを、ハイブリダイゼーション
    条件下で、複数の第1の単離プローブに曝す工程であっ
    て、ここで、該第1の単離プローブのそれぞれが、該標
    的対立遺伝子のコーディング鎖、および該標的対立遺伝
    子のコーディング鎖の相補物からなる第1の群より選択
    されるただ1つのメンバーの少なくとも一部にハイブリ
    ダイズし得る、工程; b) 該不均一なサンプルを、ハイブリダイゼーション
    条件下で、複数の第2の単離プローブに曝す工程であっ
    て、ここで、該第2の単離プローブのそれぞれは、対照
    対立遺伝子のコーディング鎖、および該対照対立遺伝子
    のコーディング鎖の相補物からなる第2の群より選択さ
    れるただ1つのメンバーの少なくとも一部にハイブリダ
    イズし得る、工程; c) 該不均一なサンプルを、ハイブリダイゼーション
    条件下で、複数の第1のハイブリダイゼーションプロー
    ブに接触させる工程であって、ここで、該第1のハイブ
    リダイゼーションプローブのそれぞれは、該第1の単離
    プローブがハイブリダイズしない該第1の群のメンバー
    の少なくとも一部にハイブリダイズし得る、工程; d) 該不均一なサンプルを、ハイブリダイゼーション
    条件下で、複数の第2のハイブリダイゼーションプロー
    ブに接触させる工程であって、ここで、該第2のハイブ
    リダイゼーションプローブのそれぞれは、該第2の単離
    プローブがハイブリダイズしない該第2の群のメンバー
    の少なくとも一部にハイブリダイズし得る、工程; e) 該不均一なサンプルから、ハイブリダイズしてい
    ない第1および第2のハイブリダイゼーションプローブ
    を除去する工程; f) 該除去する工程の後、該不均一なサンプル中に残
    存する該第1および第2のハイブリダイゼーションプロ
    ーブのそれぞれの量を決定する工程;および g) 該標的対立遺伝子の亜集団における対立遺伝子の
    消失を、該決定する工程で得られる該第1のハイブリダ
    イゼーションプローブおよび該第2のハイブリダイゼー
    ションプローブの量における統計学的有意差として検出
    する工程; を包含する、方法。
  24. 【請求項24】前記第1および第2のハイブリダイゼー
    ションプローブが差次的に標識される、請求項23に記載
    の方法。
  25. 【請求項25】前記第1および第2のハイブリダイゼー
    ションプローブが、それぞれ第1および第2のハイブリ
    ダイゼーションビーズに、1つのビーズに1つのプロー
    ブの割合で付着される、請求項23に記載の方法。
  26. 【請求項26】前記第1のハイブリダイゼーションビー
    ズが、前記第2のハイブリダイゼーションビーズとは異
    なるサイズのビーズである、請求項25に記載の方法。
  27. 【請求項27】前記検出する工程が、前記第1および第
    2のハイブリダイゼーションビーズをコールターカウン
    ターに通過させる工程を包含する、請求項26に記載の方
    法。
  28. 【請求項28】前記標的対立遺伝子が、その変異が疾患
    に関連している対立遺伝子である、請求項23に記載の方
    法。
  29. 【請求項29】前記疾患がガンである、請求項28に記載
    の方法。
  30. 【請求項30】前記細胞物質のサンプルが、患者から得
    られる糞便サンプルである、請求項28に記載の方法。
  31. 【請求項31】生物学的サンプルにおいて、細胞の亜集
    団中の多型性遺伝子座における欠失を検出する方法であ
    って、以下の工程: a) 該生物学的サンプルにおいて、多型性遺伝子座で
    の母系対立遺伝子の量を検出する工程; b) 該生物学的サンプルにおいて、多型性遺伝子座で
    の父系対立遺伝子の量を検出する工程;および c) 該多型性遺伝子座での母系対立遺伝子の量と父系
    対立遺伝子の量との間に統計学的有意差が存在するかど
    うかを決定する工程; を包含し、 ここで、統計学的有意差の存在が、該生物学的サンプル
    において、細胞の亜集団中の該多型性遺伝子座での欠失
    を示唆する、方法。
  32. 【請求項32】前記多型性遺伝子座が、単一塩基多型性
    であり、そして前記母系対立遺伝子と父系対立遺伝子と
    の間でヘテロ接合性である、請求項31に記載の方法。
  33. 【請求項33】前記検出する工程が、 a) プローブを、前記単一塩基多型性のすぐ隣にある
    母系対立遺伝子および父系対立遺伝子の両方における前
    記多型性遺伝子座の一部にハイブリダイズさせる工程; b) 前記サンプルを、検出可能に標識したジデオキシ
    ヌクレオチドの混合物に、該ジデオキシヌクレオチドの
    該単一塩基多型性への適切な結合を可能にする条件下で
    曝す工程; c) 該サンプルを洗浄する工程;および d) 該サンプルに対して残存する、それぞれの検出可
    能に標識されたジデオキシヌクレオチドの量を計測する
    工程; を包含する、請求項32に記載の方法。
  34. 【請求項34】前記検出可能な標識が、ラジオアイソト
    ープ、蛍光化合物、および粒子からなる群より選択され
    る、請求項33に記載の方法。
  35. 【請求項35】前記生物学的サンプルが、膿汁、血液、
    尿、痰、精液、唾液、髄液、生検組織、および糞便から
    なる群より選択される、請求項31に記載の方法。
  36. 【請求項36】前記多型性遺伝子座がヌクレオチド配列
    のデータベースから同定される、請求項31に記載の方
    法。
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