JP3322981B2 - 永久電流スイッチ - Google Patents

永久電流スイッチ

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JP3322981B2 JP03461094A JP3461094A JP3322981B2 JP 3322981 B2 JP3322981 B2 JP 3322981B2 JP 03461094 A JP03461094 A JP 03461094A JP 3461094 A JP3461094 A JP 3461094A JP 3322981 B2 JP3322981 B2 JP 3322981B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に磁気浮上式鉄道等
の超電導磁石に使用される永久電流スイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、磁気浮上式鉄道あるいは核磁気
共鳴イメージング(MRI)等に用いられる超電導磁石
は、長時間に亘り一定の電流を流し続ける必要から永久
電流モードで使用される。永久電流モードとは超電導磁
石を閉ループにして電流を閉じ込めるようにした状態で
ある。つまり、超電導磁石に外部から通電した状態で該
超電導磁石を閉ループにして永久電流モードとすること
で、その超電導磁石内を電流が減衰せずに半永久的に流
れ続けて、その超電導磁石が定磁場を保持するようにな
る。このように超電導磁石を永久電流モードにしたり或
いは解除したりする開閉動作のために永久電流スイッチ
が用いられている。
【0003】この種の永久電流スイッチは、超電導線を
用い、これをヒータにより温度調整して超電導状態と常
電導状態との間で転位させて開閉動作を行う熱式のもの
が多い。
【0004】この熱式の永久電流スイッチの基本構造
は、巻枠に超電導線とヒータ線を巻き込み、エポキシ等
の樹脂を含浸して構成している。その超電導線はスイッ
チ開時の電気抵抗を出来るだけ大きくするために、例え
ば銅ニッケル合金(Cu−Ni合金)などの比抵抗値が
大きい金属を母材とする極細多芯線が一般に用いられて
いる。
【0005】しかしながら、そのような永久電流スイッ
チの比抵抗値が高い母材を用いた超電導線は、CuやA
lのような比抵抗値の小さい金属を母材とする超電導線
よりも、通電時にクエンチ(超電導状態から常電導状態
に転位すること)しやすいという不安定性がある。特
に、大電流を通電する目的で超電導線の断面積を大きく
すると、クエンチ電流値は高くなる反面、不安定性は増
加する傾向にある。
【0006】そこで、磁気浮上式鉄道の超電導電磁石な
どの大電流を通電し安定性を必要とする熱式の永久電流
スイッチでは、断面積を極力小さくした超電導線を用い
て複数個のスイッチ要素(スイッチ小単体)を形成し、
これら複数個のスイッチ要素を電気的に並列接続してい
る構成のものが多い。
【0007】図6はその熱式の永久電流スイッチ1の一
例を示すもので、複数個の円盤状のスイッチ要素2を重
合して固定ボルト3により締結固定すると共に、これら
各スイッチ要素2を電気的に並列接続した構成である。
【0008】図7は別な熱式の永久電流スイッチ4の一
例を示すもので、複数個の円筒状のスイッチ要素5を一
束にバインダ6により結束固定すると共に、これら各ス
イッチ要素5を電気的に並列接続した構成である。
【0009】この熱式の永久電流スイッチ4のスイッチ
要素5の一般的な基本構造を図8に示している。つま
り、巻枠7に超電導線8とヒータ線を巻き込み、エポキ
シ等の樹脂9を含浸して固定している。その超電導線8
は前述の如くスイッチ開時の電気抵抗を出来るだけ大き
くするために、銅ニッケル合金(Cu−Ni合金)など
の比抵抗値が大きい金属よりなる母材10に、Nb−T
i等の多数本の超電導体フィラメント11を設けた極細
多芯線構造である。その超電導体フィラメント11は母
材10内部の斜線を入れて示す超導電部12に一定密度
で均一に分布するように配列されている。
【0010】こうした熱式の永久電流スイッチでは、ス
イッチ要素の並列個数をNとし、通電電流をIとすると
き、何らかの攪乱によりスイッチ要素のうちのM個がク
エンチしても、残り(N−M)個のスイッチ要素で電流
Iを維持することができる余裕度を持たせている場合が
多く、通常Mは1としている。そのスイッチ要素のM個
がクエンチし、これに流れていた電流が他の(N−M)
個のスイッチ要素に分流して流れ込んで、通電電流Iを
維持する現象を転流と呼んでいる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述したよ
うな従来の熱式の永久電流スイッチでは、転流時に(N
−M)個のスイッチ要素に流れ込む電流の速度は、最高
で104 〜105 [A/S]のレベルに達することが確
認されている。つまり、各スイッチ要素に流れる電流を
1 (各スイッチ要素に均等に電流が流れていると考え
るとI1 =I/N)とすると、転流時には電流I1 を保
持しているスイッチ要素(N−M)個に各々約I1
(N−M)の電流が通電速度104 〜105 [A/S]
で通電したことになる。
【0012】こうした熱式の永久電流スイッチにおける
各スイッチ要素の超電導線8は、一般に通電速度が高速
になるに従ってクエンチ電流値(臨界電流値)が低下す
る傾向にある。もし超電導線8の通電速度104 〜10
5 [A/S]のときのクエンチ電流値が、転流後のスイ
ッチ要素(N−M)個のそれぞれの電流値I1 +I1
(N−M)と同等或いは若干高い場合、転流時に他の何
らかの攪乱がおきるとv転流できず、スイッチ要素全体
(永久電流スイッチ自体)がクエンチに至ってしまう虞
れがある。
【0013】この様な場合、スイッチ要素の個数Nを増
やし、転流後の各スイッチ要素に流れる電流値I1 +I
1 /(N−M)を小さくすれば良いのであるが、永久電
流スイッチ全体の外形寸法が大きくなってしまう。特に
磁気浮上式鉄道等に使用される場合は、超電導磁石の艤
装寸法制約上、永久電流スイッチ自体も寸法を余り大き
くすることは出来ない。
【0014】また、クエンチ電流値を上げるため、超電
導線8の径を若干増やしても、通電速度が高速になるに
従ってクエンチ電流値が低下する現象は逆に著しい。そ
の原因の一つとして、自己磁界ロスが挙げられる。つま
り超電導線8はシールド作用を持つことから、自己磁界
は線材表面に限定され、電流の増加と共に磁界は外周部
から徐々に内部へと侵入していくようになるので、ロス
が生じ、超電導線8に電圧が発生する。よって電流は一
挙に超電導線断面全体に流れるのではく外周部から徐々
に内部へと侵入する。このときの磁束移動に伴う発熱を
自己磁界ロスと呼んでいる。
【0015】この自己磁界ロスにより電流の通電速度が
高速になると、磁束の動きに伴う誘導起電力が大きくな
り、超電導線8の電圧が上昇し、それに伴い超電導線8
の温度も上昇する。
【0016】一方、通電速度が高速になる程、熱伝導に
よる排熱の効果が弱くなってしまう。従って、通電速度
が高速になるにつれて、超電導線8の温度上昇が激し
く、電流分流温度(電流が超電導フィラメント11から
母材10に流れ始める限界温度)に達するのが速くな
り、クエンチ電流値が低くなってしまう。特に、通電速
度が転流のような超高速の104 〜105 [A/S]に
なると、超電導線8内部に電流が侵入する過程で電流分
量温度に達するため、クエンチ電流値が著しく低くな
る。こうしたことから、通電速度が超高速の104 〜1
5 [A/S]にもなると、超電導線8が自己磁界ロス
により内部に電流が流れる前にクエンチに至ってしま
う。
【0017】本発明は前記事情に鑑みなされ、その目的
とするところは、通電速度が104〜105 [A/S]
というような超高速域での超電導線のクエンチ電流値を
向上させるか、超高速域での超電導線の内部温度上昇を
小さくてクエンチ電流値の低下を押さえることにより、
転流時の各スイッチ要素の余裕度を高めて、安定性の向
上を図るようにした熱式の永久電流スイッチを提供する
ことにある。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【課題を解決するための手段および作用】請求項1の発
明は、極低温で比抵抗値が大きい合金を用いた母材に多
数本の超電導体フィラメントを設けた多芯線構造の超電
導線を巻回してなる永久電流スイッチにおいて、前記超
電導線の母材中の断面外周部に超電導体フィラメントを
高密度で配設し、断面内周部は中空として構成し、その
中空部に通電時には液体ヘリウムを流して導体を安定化
し、スイッチオフ時にはその中空部を蒸発ヘリウムガス
にして中空部を断熱化することを特徴としている。
【0025】このように、超電導線の内部の超電導体フ
ィラメントをなくすことにより、内部の自己磁界ロスは
なくなることになり、また内部が中空であるので、内部
冷却効果が期待できることになる。
【0026】よって、通電速度が低速域では内部超電導
体が無い分、クエンチ電流値は、従来の超電導線に劣る
ものの、通電速度が早くなるにつれて内部のロスが無く
なる分、クエンチ電流値の減少が緩和され、104 〜1
5 [A/S]程度では従来の超電導線より高い電流ま
で流せるようになる。
【0027】なお、前述の永久電流スイッチにおいて、
超電導線の断面外周部は、該超電導線の直径に対し50
〜70%の範囲内の比率で設定するのが望ましい。ま
た、前述の永久電流スイッチにおいて、超電導線の断面
内周部は、該超電導線の直径に対し30〜50%の範囲
内の比率で設定するのが望ましい。
【0028】
【実施例】以下、本発明の熱式の永久電流スイッチの第
1実施例を図1により説明する。なお、ここではスイッ
チの全体的構成は図6乃至図8で示しとと同様であるの
で、その説明と図面は省略し、超電導線20の断面構造
のみ説明する。
【0029】この実施例のスイッチに用いた超電導線2
0は、極低温で比抵抗値が大きい例えば銅とニッケル合
金(Cu−Ni合金)を用いた母材21に、Nb−Ti
等の合金よりなる多数本の超電導体フィラメント22を
設けた多芯線構造で、この超電導線20の母材21中の
断面外周部(格子線を入れて示す部分)23の超電導体
フィラメント22の密度を、断面内周部(斜線を入れて
示す部分)24の超電導体フィラメント22の密度より
も高く設定している。
【0030】つまり、超電導体フィラメント22の密度
が、該超電導線20の超電導部の断面外周部23では高
く、内周部24では低くされている。その断面外周部2
3の超電導体フィラメント22の密度は、内周部24の
それに対し少なくとも10%以上高くされている。即
ち、超電導線20の母材21中の断面内周部24では超
電導体フィラメント22の密度が従来品と同程度である
のに対し、外周部23では超電導体フィラメント22の
密度が10%以上高く(密集)して構成されている。
【0031】この構成を実現するためには、同径の超電
導体フィラメント22の配置数を増やす方法と、フィラ
メント径を細かくして配置数を増やす方法の両方が可能
である。また、母材に対しフィラメント密度が異なる少
なくとも2種類以上の部材を別々に製作して内外で合成
してハイブリット(複合型)構造とすることで構成する
方法もある。
【0032】なお、その超電導体フィラメント22の密
度を高くした断面外周部23とは、通電速度が104
105 [A/S]の超高速域でも電流が集中すると推定
される範囲、つまり該超電導線20の直径に対し50〜
70%の範囲内の比率で設定されている。
【0033】こうした構成の超電導線20を従来同様に
巻枠に巻回してモールド樹脂により固めてスイッチ要素
を構成し、これを複数個電気的に並列接続して熱式の永
久電流スイッチを構成している。
【0034】このように通電速度が超高速でも電流が流
れると推定される超電導線20外周のある範囲までの断
面外周部(超電導部)23の超電導体フィラメント22
の密度を、内周部(超電導部)24のそれより高密度化
したので、その超電導線20の外周部23での電流密度
が高くとれ、全体としての電流密度が高く保たれるた
め、従来の超電導線より通電速度の低速域から高速域の
広範囲に亘りクエンチ電流値を高くすることができるよ
うになる。
【0035】図5は本実施例の永久電流スイッチと従来
品とのクエンチ電流値の比較図で、超電導線20の外径
は従来と同一であるが、本実施例のクエンチ電流値Aは
従来の超電導線のクエンチ電流値Bより通電速度全域に
亘り向上する。
【0036】よって、この実施例の超電導線20を使用
した並列接続式の永久電流スイッチは、転流時の高速通
電に対して各スイッチ要素の負荷率(スイッチ要素に流
れる電流/クエンチ電流値)が低減し、安定性が向上す
る。また低速域でのクエンチ電流値も向上するため、通
常通電時(1〜10[A/S])での安定性も向上する
ようになる。
【0037】図2は本発明の熱式の永久電流スイッチの
第2実施例を示すもので、ここで用いた超電導線30の
断面構造は、極低温で比抵抗値が大きい例えば銅とニッ
ケル合金(Cu−Ni合金)を用いた母材31に、Nb
−Ti等の合金よりなる多数本の超電導体フィラメント
32を設けた多芯線構造であるが、その超電導線30の
母材31中の断面外周部33に超電導体フィラメント3
1を前記実施例同様に高密度で配設し、内周部34は超
電導体フィラメントを持たない全てCu−Ni合金母材
31のみで構成されている。
【0038】こうした実施例の永久電流スイッチによれ
ば、超電導線30は超電導体の総面積が従来品より若干
小さくでき、通電速度が低速域では、従来の超電導線よ
りクエンチ電流値は若干小さくなるが、通電速度が10
4 〜105 [A/S]の超高速域では、電流が集中する
と推定される断面外周部(外径の6〜7割程度の範囲)
33に高密度化した超電導体フィラメント32が存在
し、しかも内周部は母材31のみで超電導体フィラメン
トが無い分、自己磁界ロスによる発熱が減少するので、
図5に示したように本実施例のクエンチ電流値Cは従来
の超電導線のクエンチ電流値Bより超高速域で向上す
る。よって、通電速度の(1〜10[A/S])の低速
域では各スイッチ要素の負荷率は若干従来のものに比し
高くなるが、転流による電流増加に対しては安定性が大
幅に向上するようになる。
【0039】また、運転電流値があまり高くない用途の
永久電流スイッチの場合は、超電導線30の断面外周部
33の超電導体フィラメント32を密度を高密度化せず
に従来度同等程度にして、その超電導線30の外径の3
〜4割程度の範囲の内周部34をCu−Ni等の合金母
材31のみとしただけでも、自己磁界ロスによる内部発
熱が少なくなる分、転流時の安定性は従来の永久電流ス
イッチより良くなる。
【0040】図3は本発明の熱式の永久電流スイッチの
第3実施例を示すもので、ここで用いた超電導線40の
断面構造は、極低温で比抵抗値が大きい例えば銅とニッ
ケル合金(Cu−Ni合金)を用いた母材41に、Nb
−Ti等の合金よりなる多数本の超電導体フィラメント
(図示省略)を設けた多芯線構造であるが、その超電導
線40の内部の冷却効率を向上して排熱特性を向上させ
るため、超電導線40の断面外周部43では比抵抗値が
大きく、内周部44では比抵抗値が小さくなる状態に、
合金含有成分率が異なる少なくとも2種類以上の母材4
1,42を内外に配して構成されている。
【0041】つまり、超電導線40の超電導体フィラメ
ントを高密度で設けた断面外周部43の母材41aは比
抵抗値が大きいCu−30%Ni合金とし、フィラメン
トを持たない内周部44の母材41bは比抵抗値が小さ
いCu−10%Ni合金(Niの含有成分率を少なくし
た)で構成されている。
【0042】図4は本発明の熱式の永久電流スイッチの
第4実施例を示すもので、ここで用いた超電導線50の
断面構造は、極低温で比抵抗値が大きい例えば銅とニッ
ケル合金(Cu−Ni合金)を用いた母材51に、Nb
−Ti等の合金よりなる多数本の超電導体フィラメント
(図示省略)を設けた多芯線構造であるが、その超電導
線50の内部の冷却効率を向上して排熱特性を向上させ
るため、超電導線50の母材51中の断面外周部53に
超電導体フィラメントを高密度で配設し、断面内周部5
4は中空とされている。つまり、超電導線50の断面内
周部54がCu−Ni合金母材51を取り除いて中空と
され、全体的に断面ドーナツ形状に構成されている。
【0043】こうした第4実施例のものでは、超電導線
50の内周部54が中空であるので、内部冷却効果が期
待でき、自己磁界ロスによる超電導体部最内周側の放熱
特性を向上させることができることになると共に、通電
速度が低速域では内部超電導体が無い分、クエンチ電流
値は、従来の超電導線に劣るものの、通電速度が早くな
るにつれて内部のロスが無くなる分、クエンチ電流値の
減少が緩和され、通電速度が104 〜105 [A/S]
の超高速域では従来の超電導線より高い電流まで流せる
ようになる。
【0044】また、この第4実施例の如く、超電導線5
0の内周部54を中空とした場合、その中空部に液体ヘ
リウムを流すことも可能であり、大型機器の大電流用の
永久電流スイッチとして、通電時には液体ヘリウムを流
して導体を安定化し、スイッチOFF時には中空部を蒸
発ヘリウムガスにして、中空部を断熱化することが可能
である。
【0045】なお、前述の各実施例の永久電流スイッチ
において、超電導線の断面外周部は、該超電導線の直径
に対し50〜70%の範囲内の比率で設定するのが望ま
しい。また、超電導線の断面内周部は、該超電導線の直
径に対し30〜50%の範囲内の比率で設定するのが望
ましい。
【0046】なお、前述の永久電流スイッチにおいて、
超電導線20〜50の断面外周部23〜53は、該超電
導線の直径に対し50〜70%の範囲内の比率で設定す
るのが望ましい。また、超電導線20〜50の断面内周
部24〜54は、該超電導線の直径に対し30〜50%
の範囲内の比率で設定するのが望ましい。
【0047】また、前記各実施例で述べた超電導線20
〜50は円形断面のものとして図示しているが、それ以
外に例えば矩形断面形状或いは多角形断面形状とした場
合においても前述と略同様に安定性の高い永久電流スイ
ッチを得ることができる。
【0048】以上のような永久電流スイッチであれば、
従来に比べ高速通電時のクエンチ電流値が向上するの
で、転流時のスイッチ要素間の104 〜105 [A/
S]と言う超高速な電流移動に対し安定性が向上する。
【0049】また、磁気浮上強い鉄道等に使用される永
久電流スイッチは、走行時に超電導磁石が受ける振動の
影響で加振されると共に、磁場変動を受けるが、このと
き永久電流スイッチは転流が起こらなくても振動とのそ
の影響で起きる磁場変動により、スイッチ要素間の電流
移動があり、この電流移動速度も超高速的なものと考え
られる。このような場合についても、高速通電時の電流
容量を向上させた本発明の永久電流スイッチは従来のタ
イプより安定性が良いものとなる。従って非常に安定性
が向上した永久電流スイッチを構成することができて更
に超電導磁石システム全体の信頼性も高くすることがで
きる。
【0050】
【発明の効果】本発明の永久電流スイッチは、上述の如
く構成したので、通電速度が104 〜105 [A/S]
というような超高速域での超電導線のクエンチ電流値を
向上させることができ、或いは超高速域での超電導線の
内部温度上昇を小さくてクエンチ電流値の低下を押さえ
ることができ、転流時の各スイッチ要素の余裕度を高め
て、安定性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の永久電流スイッチの第1実施例を示す
超電導線の断面図及びその部分拡大断面図。
【図2】本発明の永久電流スイッチの第2実施例を示す
超電導線の断面図及びその部分拡大断面図。
【図3】本発明の永久電流スイッチの第3実施例を示す
超電導線の断面図。
【図4】本発明の永久電流スイッチの第4実施例を示す
超電導線の断面図。
【図5】本発明の永久電流スイッチと従来品とのクエン
チ電流値の比較図。
【図6】一般的な円盤状スイッチ要素を複数個並列接続
した永久電流スイッチの斜視図。
【図7】一般的な円筒状スイッチ要素を複数個並列接続
した永久電流スイッチの斜視図。
【図8】同上従来の永久電流スイッチのスイッチ要素の
一部断面した斜視図及びその一部分の拡大断面図。
【符号の説明】
20〜50…超電導線、21〜51…母材、22,32
…超電導体フィラメント、23〜53…断面外周部、2
4〜44…内周部、54…中空内周部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山根 達視 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝府中工場内 (72)発明者 前田 秀明 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 浦田 昌身 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (56)参考文献 特開 平5−114321(JP,A) 特開 昭62−229610(JP,A) 特開 平1−140518(JP,A) 特開 平4−188681(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 39/02 - 39/04 H01L 39/14 - 39/20 H01B 12/00 - 12/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 極低温で比抵抗値が大きい合金を用いた
    母材に多数本の超電導体フィラメントを設けた多芯線構
    造の超電導線を巻回してなる永久電流スイッチにおい
    て、前記超電導線の母材中の断面外周部に超電導体フィ
    ラメントを高密度で配設し、断面内周部は中空として構
    成し、その中空部に通電時には液体ヘリウムを流して導
    体を安定化し、スイッチオフ時にはその中空部を蒸発ヘ
    リウムガスにして中空部を断熱化することを特徴とする
    永久電流スイッチ。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の永久電流スイッチにおい
    て、超電導線の断面外周部は、該電導線の直径に対し5
    0〜70%の範囲内の比率に設定されていることを特徴
    とする永久電流スイッチ。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の永久電流スイッチにおい
    て、超電導線の断面内周部は、該電導線の直径に対し3
    0〜50%の範囲内の比率に設定されていることを特徴
    とする永久電流スイッチ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014096995A1 (en) * 2012-12-17 2014-06-26 Koninklijke Philips N.V. Low-loss persistent current switch with heat transfer arrangement

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