JP3320703B2 - 三次元形状造形物の成形方法 - Google Patents

三次元形状造形物の成形方法

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JP3320703B2
JP3320703B2 JP2000183815A JP2000183815A JP3320703B2 JP 3320703 B2 JP3320703 B2 JP 3320703B2 JP 2000183815 A JP2000183815 A JP 2000183815A JP 2000183815 A JP2000183815 A JP 2000183815A JP 3320703 B2 JP3320703 B2 JP 3320703B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、三次元形状造形物の
成形方法に関し、詳しくは、光の照射によって硬化する
光硬化性樹脂を用いて、立体的な三次元形状を有する造
形物を成形製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光硬化性樹脂を用いて三次元形状造形物
を成形する方法は、複雑な三次元形状を、成形型や特別
な加工工具等を用いることなく、簡単かつ正確に形成す
ることができる方法として、各種の製品モデルや立体模
型の製造等に利用することが考えられている。具体的に
は、例えば、特開昭61−114817号公報や特開昭
63−141724号公報、特開昭60−247515
号公報などに開示された方法がある。例えば、特開昭6
3−141724号公報の方法は、樹脂液の中に沈めた
昇降自在な成形台を、樹脂液の液面直下に配置して、液
面にレーザ光を照射し、成形台の上の樹脂液層を光硬化
させて光硬化層を形成し、つぎに、成形台を少し沈めた
後、前記同様の作業を行うという工程を繰り返すことに
より、複数層の光硬化層を積み重ねていく。その他の方
法も、まず、光硬化性樹脂に所定パターンで光を照射し
て光硬化層を形成し、このような光硬化層を順次積み重
ねて、所望の三次元形状を備えた造形物を得るようにし
ている点では、共通している。
【0003】この方法で、たとえば、造形物の底面が曲
面形状であったり複雑な凹凸があったりした場合、平坦
な成形台の上にそのまま造形物を成形していくと、造形
物が安定して支持されず、成形工程中に、成形台の上で
造形物が移動したり変形したりする問題がある。また、
成形台の上に直接、造形物を成形すると、成形台から造
形物を取り出す際に、造形物の一部が成形台に付着した
まま残ったり、造形物の一部が壊れたり傷がついたりす
る問題がある。そのため、成形台の上に、造形物と同じ
方法、すなわち樹脂液を光硬化させる方法で成形された
支持部材を形成した後、この支持部材の上に造形物を成
形する方法が提案されている。具体的には、特開平2−
52725号公報に開示された方法がある。
【0004】さらに、図17および図18に示す方法も
考えられている。この方法は、成形台Aに多数の貫通孔
aを形成しておき、この成形台Aの上に、図17に示す
ような格子枠状の支持部材Bを成形し、この支持枠Bの
上に造形物Cを成形する。図18(a) に示すように、成
形開始時に、成形台Aの上面を樹脂液Dの液面に配置し
て、レーザ光Eを照射すると、貫通孔aの内部で樹脂液
Dが光硬化bする。図18(b) に示すように、成形台A
を段階的に沈めながら、支持部材Bおよび造形物Cの成
形を行うと、支持部材Bの底面に、成形台Aの貫通孔a
に嵌まり込んだ突起部bが存在するので、成形台Aに対
する支持部材Bの支持固定が確実に行えるというもので
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記した支
持部材を利用する方法では、成形工程中に、成形台と支
持部材との間、あるいは、支持部材と造形物との間が分
離してしまって、支持部材の機能が十分に果たされず、
造形物が変形したり移動したりしてしまうという問題が
あった。まず、平坦な成形台の上に支持部材を形成した
だけでは、支持部材が成形台に対してずれたり剥がれた
りし易い。特に、光硬化性樹脂を硬化させると、硬化収
縮による変形が生じることが判っており、支持部材およ
び造形物を成形する際にも、硬化収縮によって、形状の
歪みや反りが生じるので、支持部材および造形物が成形
台から剥がれ易くなるのである。
【0006】前記した図17、図18の方法のように、
成形台に貫通孔を設け、この貫通孔に支持部材の突起部
が嵌まり込むようにしておけば、成形台に対して支持部
材が水平方向にずれるのは、ある程度防止できるが、支
持部材が垂直方向に移動もしくは変形すれば、突起部は
貫通孔から容易に抜けてしまうので、変形を阻止するこ
とはできない。上記説明は、支持部材が成形台から分離
する場合について説明したが、支持部材と造形物が分離
してしまうこともある。支持部材と造形物は、同じ光硬
化樹脂で連続的に成形されるので、支持部材と成形台の
間に比べれば、剥がれることは少ないが、両者の硬化収
縮量の違いなどによって、造形物が支持部材から剥がれ
てしまうこともある。特に、剛体である成形台の上に載
置されている支持部材は、成形台に規制されてあまり変
形できないが、造形物はこのような規制がないので、硬
化収縮による変形が大きくあらわれ、支持部材との間に
ずれや剥がれが生じ易くなるのである。
【0007】つぎに、造形物が硬化収縮による変形をす
ると、造形物の形状精度が低下するという問題がある。
支持部材には、造形物の変形を規制するという機能も有
しているが、前記したように、支持部材と造形物が分離
してしまえば、このような機能は全く発揮できない。し
たがって、従来技術の問題点としては、成形台と支持部
材の分離、支持部材と造形物の分離、および、造形物の
変形という、3点があるとともに、これらの問題は、互
いに関連して発生し、造形物の形状精度や品質に大きな
悪影響を及ぼすことになる。
【0008】そこで、この発明の課題は、前記のような
従来技術において、成形台と支持部材、あるいは、支持
部材と造形物とが分離したり移動変形したりするのを阻
止して、造形物の形状精度や品質を向上させることので
きる方法を提供することにある。また、造形物の反りや
変形を阻止して、その形状精度や品質を向上させること
のできる方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する、こ
の発明にかかる三次元形状造形物の成形方法のうち、第
1の方法は、光硬化性樹脂に光を照射して光硬化層を形
成し、この光硬化層を複数層積み重ねて所望の三次元形
状を有する造形物を成形する方法であり、成形台上に支
持部材を成形し、この支持部材の上に造形物を成形する
方法において、支持部材の上面に凹部を形成し、造形物
の一部が支持部材の凹部に埋め込まれ、造形物の底面全
体から側面にわたって連続して支持部材と接合されるよ
うに成形する。
【0010】第2の方法は、光硬化性樹脂に光を照射し
て光硬化層を形成し、この光硬化層を複数層積み重ねて
所望の三次元形状を有する造形物を成形する方法であ
り、成形台上に支持部材を成形し、この支持部材の上に
造形物を成形する方法において、格子枠状をなし上面に
凹部を有する支持部材を成形し、前記支持部材の凹部に
埋め込まれ、底面全体から側面にわたって連続して支持
部材と接合される余盛り部を成形し、前記余盛り部の上
面に対して底面が全面で接合される造形物を成形し、成
形後に造形物を余盛り部との境界で分離する。光硬化性
樹脂としては、従来の三次元形状造形物の成形方法でも
用いられている各種の光硬化性樹脂が用いられる。具体
的には、ウレタン、ウレタン−アクリレート、エポキ
シ、エポキシ−アクリレート系の光硬化性樹脂などが挙
げられる。
【0011】光硬化性樹脂の供給方法、光の照射方法、
光硬化層の形成方法、光硬化層の積み重ね方法など、三
次元形状造形物を成形するための基本的な技術は、従来
知られているような通常の方法や装置がそのまま適用で
きる。支持部材のうち、造形物の底面側については、従
来の支持部材と同様の構造が採用できる。造形物の側面
側については、底面との境界部分から、造形物を使用す
る際に支障がでない程度の高さまでに支持部材を形成し
ておく。具体的には、底面から数mm程度の高さまで支持
部材を形成しておけばよい。この発明における造形物と
支持部材との分離阻止手段として、支持部材を、造形物
の底面全体から側面の一部までにわたって連続するよう
に成形しておく方法が採用できる。
【0012】造形物の底面および側面の一部まで支持部
材を形成するには、まず、一定の厚みを有するととも
に、中央部分にわずかな深さの凹部を有する支持部材を
成形した後、この凹部内に造形物を成形していけば、凹
部の深さ分だけ、造形物の側面まで支持部材が配置され
ることになる。なお、凹部の形状は、造形物の底面部分
の形状に対応させておく。造形物が成形された後は、凹
部に入った部分を含めて、造形物を支持部材から剥がし
て取り出せばよい。つぎに、前記同様の分離阻止手段と
して、支持部材の上部に、造形物の底面形状に対応する
余盛り部を、支持部材および造形物と同じ方法で成形し
た後、余盛り部の上に造形物を成形する方法が採用でき
る。
【0013】余盛り部は、造形物の底面形状と同じか少
し広い範囲程度に形成しておく。支持部材が、格子枠状
をなすなど、造形物の底面形状と異なる表面形状を有し
ている場合にも、余盛り部の表面形状は、造形物の底面
形状と同じ形状に形成しておくのが好ましい。余盛り部
は支持部材の上部に埋め込まれる形で設けておくのが好
ましい。この余盛り部の上に造形物を成形する方法は、
通常の成形方法と同じでよい。余盛り部と造形物の底面
とは全面で接合される。以上に説明した分離阻止手段の
構成は、以下に説明する方法を組み合わせることもでき
る。
【0014】光硬化性樹脂に光を照射して光硬化層を形
成し、この光硬化層を複数層積み重ねて所望の三次元形
状を有する造形物を成形する方法であり、成形台上に、
前記造形物と同じ方法で造形物の支持部材を成形し、こ
の支持部材の上に造形物を成形する方法において、前記
支持部材を、成形台に掛止固定されるように成形してお
く。この方法では、成形台上に支持部材を介して造形物
を成形する。支持部材の基本的な形状構造は、造形物の
形状構造に合わせて自由に設定でき、基本的な構造は、
従来の成形方法と同様でよい。支持部材の基本構造とし
ては、成形台の上に立設される柱状のもの、壁状のも
の、台状のものなどがあり、より具体的には、たとえ
ば、垂直な壁が縦横に格子状に配置された格子枠状の支
持部材を用いれば、様々な構造の造形物を確実に支持す
ることができる。
【0015】支持部材を成形台に掛止固定するとは、支
持部材が成形台に対して、成形台の表面と平行な方向お
よびこれと直交する方向、すなわち、水平方向および垂
直方向の何れにも移動もしくは変形できないように、水
平および垂直方向の凹凸構造によって、互いに引っ掛け
られた形で固定されていることを言う。たとえば、前記
した従来技術のように、成形台の垂直な貫通孔に支持部
材の突起部が嵌まり込んでいるだけでは、垂直方向に移
動可能であるので、この発明に言う掛止固定には該当し
ない。以下に説明する方法は、それぞれ具体的な掛止固
定手段が異なる。
【0016】成形台に、表面側よりも奥側が、成形台の
表面と平行な方向に張り出した掛止孔を設けておき、こ
の掛止孔の内部から支持部材の成形を開始すれば、掛止
孔の形状に対応する掛止部を備えた支持部材が成形され
る。この掛止部と掛止孔との掛止作用により、支持部材
を成形台に掛止固定させることができる。掛止孔は、成
形台の表から裏まで貫通していてもよいし、表から途中
までしか形成されいない有底孔であってもよい。掛止孔
は、深さ方向において、表面側の1水平断面と、これよ
りも奥側の1水平断面を比べたときに、奥側の外周形状
の少なくとも1部が、表面側の外周形状よりも外側に張
り出していればよい。張り出した部分が1個所でもあれ
ば、その他の部分は、表面側の外周形状と全く同じであ
ってもよいし、表面側の外周形状よりも内側に入ってい
るようであってもよい。
【0017】掛止孔の構造は、支持部材の掛止固定強度
の高さや加工の容易さなどを考慮して自由に設定できる
が、たとえば、掛止孔を、表面側から裏面側へと傾斜す
るテーパー孔に形成しておいたり、段付き孔に形成して
おいたり、掛止孔の側壁に放射方向の凹みを形成してお
いたりすることができる。掛止孔の中心線を深さ方向で
傾斜させておくだけでもよい。掛止孔の断面形状は、円
形、楕円形などの曲線形状、あるいは、四角形その他の
多角形などの直線形状、あるいは曲線形状と直線形状を
組み合わせた形状などが自由に採用できる。掛止孔の奥
側で、表面側よりも張り出した部分の張り出し量は、成
形時に、成形台の上から照射された光が、上記張り出し
部分の樹脂をも光硬化できる程度に設定しておく。光硬
化性樹脂は、光の照射範囲よりも広い一定範囲が光硬化
を起こすので、張り出し部分に直接光が照射されなくて
も、光硬化を起こさせることができる。但し、成形台が
非透光性材料からなる場合には、張り出し量が大き過ぎ
ると、その部分の樹脂を光硬化させることができない。
成形台全体あるいは掛止孔の部分を、透光性材料で構成
しておいた場合には、張り出し量が大きくても、樹脂の
光硬化は可能である。
【0018】掛止孔は、成形台の全体、あるいは、支持
部材を成形する個所のみに、適当な間隔で配置しておけ
ばよい。掛止孔の間隔や外径によって、支持部材の固定
力が調整できる。つぎに、上記掛止孔の代わりに、成形
台に、表面から上方に突出し、根元側よりも先端側が、
成形台表面と平行な方向に張り出した掛止突起を設けて
おき、この掛止突起の位置から支持部材の成形を開始す
れば、掛止突起の間に形成された掛止部と掛止突起の掛
止作用で、上記同様に、支持部材を成形台に掛止固定さ
せることができる。
【0019】掛止突起の形状構造、配置などは、上記し
た掛止孔の場合と同様でよい。掛止突起の具体的形状と
しては、前記掛止孔の形状を反対にした形状が採用でき
る。たとえば、逆円錐台状、逆四角錐台状、傾斜円柱
状、傘状などが挙げられる。掛止突起の高さは、掛止突
起の位置に成形された支持部材と掛止突起との間に作用
する固定力で、支持部材あるいは造形物が確実に支持固
定されればよい。支持部材を成形する際には、成形台の
表面すなわち掛止突起の根元位置から、光硬化層の形成
すなわち支持部材の成形を開始してもよいが、前記した
張り出し部分よりも根元側であれば、掛止突起の高さ方
向の途中から支持部材の成形を開始するようにしてもよ
い。支持部材の成形開始位置は、成形台を樹脂液に段階
的に沈めながら光の照射を行う場合には、成形台を樹脂
液の液面からどの程度の深さまで沈めた状態から、光の
照射すなわち成形を開始するかで、自由に調整すること
ができる。
【0020】つぎに、成形台に表面から裏面側まで貫通
する掛止孔を設けておき、成形台の裏面側から支持部材
の成形を開始すれば、掛止孔の裏側外側から掛止孔の内
部にわたる掛止部が形成され、この支持部材の掛止部と
成形台の掛止孔の裏面縁部との掛止作用で、支持部材を
成形台に掛止固定することができる。この場合、掛止孔
は、前記した掛止孔のように、孔内部に張り出し部分が
なくともよく、通常の垂直円柱孔などが採用できる。成
形台の裏面側から支持部材の成形を開始するには、成形
台を樹脂液に段階的に沈めながら光の照射を行う場合に
は、成形台の裏面を、樹脂液のほぼ液面上に配置した状
態で光を照射すれば、掛止孔の裏面縁部から支持部材を
成形することができる。
【0021】成形台が、金属や合成樹脂あるいはセラミ
ックなどからなる非透光性材料で形成されていた場合に
は、成形台の裏面に隠れている場所の奥までは、樹脂液
を光硬化させることができない。そこで、少なくとも掛
止孔の周囲を透光性材料で形成しておき、透光性材料の
裏面側から支持部材の成形を開始すれば、透光性材料の
裏面側で、十分に広い範囲にわたって樹脂液を光硬化さ
せて、この部分で、支持部材を成形台に掛止固定させる
ことができる。透光性材料には、透明合成樹脂、ガラス
など、光硬化に使用する光の波長成分に対する透過性の
高い材料が使用できる。成形台の全面を透光性材料で形
成しておいてもよいし、成形台のうち、掛止孔の周囲の
みを透光性材料で形成し、残りの部分は非透光性材料で
形成しておくこともできる。
【0022】つぎに、成形台に掛止孔を設けておくとと
もに、この掛止孔を横断する網状部材を設けておき、網
部材の裏面側から支持部材の成形を開始すれば、掛止孔
の内部で網部材を埋め込んだ状態で支持部材の掛止部が
成形され、支持部材が成形台に掛止固定される。網部材
は、樹脂液が通過可能な空間もしくは隙間があれば、任
意の材料あるいは網構造を有するものが使用できる。具
体的には、金属あるいは合成樹脂、ガラス繊維、合成繊
維などからなり、各種スクリーンに利用されている素材
を用いることができる。網部材は、個々の掛止孔の内部
に埋込取付しておいてもよいが、平面状の網部材の両側
に、掛止孔が形成された板材を貼り合わせて成形台を構
成すれば、掛止孔の途中に網部材が設けられた成形台が
容易に製造できる。成形台の表面あるいは裏面に網部材
を貼り付けてもよい。
【0023】以上に説明した掛止孔、掛止突起、透光性
材料、網部材などの構成は、それぞれを単独で採用する
だけでなく、いくかの構成を互いに組み合わせることも
可能である。つぎに、前記と同じようにして造形物を成
形する方法において、支持部材と造形物の間に、造形物
の反り吸収手段を設けておくことができる。造形物の反
りとは、複数の光硬化層を積み重ねて造形物を成形した
ときに、造形物に生じる硬化収縮応力によって、造形物
が全体的もしくは部分的に垂直方向に持ち上がるように
変形することを言う。
【0024】反り吸収手段として、支持部材を造形物よ
りも硬化度合が柔らかくなるように成形しておくことが
有効である。光硬化性樹脂の硬化度合は、光の照射エネ
ルギーの強さや照射時間の長さによって変更でき、樹脂
の硬化が十分に進行していない段階で光の照射を止めれ
ば、硬化度合の柔らかい成形物が得られる。造形物は、
使用目的などに応じて、必要な硬化度合まで硬化させる
ように、光の照射エネルギーの強さや照射時間を設定す
るので、支持部材を成形する際に、この造形物の光照射
条件よりも、硬化度合が柔らかくなるような光照射条件
を設定しておけばよい。但し、硬化度合が柔らかくなり
過ぎると、支持部材による造形物の支持ができなくなる
ので好ましくない。具体的に好ましい硬化度合は、造形
物および支持部材の形状構造によって異なる。
【0025】また、反り吸収手段として、造形物を構成
する各光硬化層を、最終的に成形される造形物に生じる
反り量を補正できる形状に成形することも有効である。
造成物に生じる反り量は、試験的に通常の方法で造形物
を成形し、そのときに生じる反り量を測定すれば求めら
れる。この反り量から逆算して、造形物を構成する光硬
化層を、目的とする造形物の形状からは、少し外れた形
状に形成しておき、このようにして形成された光硬化層
からなる造形物が、反りを発生したときに、目的とする
正しい造形物の形状まで変形するようにしておくのであ
る。このような、光硬化層の補正形状は、経験的あるい
は力学理論的に求めることが可能であり、これらの経験
あるいは力学理論をもとに、コンピュータなどで演算処
理して、造形物を構成する各光硬化層の補正形状を算出
し、それにもとづいて、造形物の成形を行えばよい。
【0026】上記のように、成形する造形物あるいは光
硬化層の形状を、反り量を考慮した補正形状で成形する
ときに、支持部材の表面形状を、造形物の反り量に対応
する凹凸形状に形成しておくと、造形物が反り変形を起
こしたときに、支持部材が、造形物の反りに対応して変
形することができる。具体的な支持部材の凹凸形状は、
前記した造形物あるいは光硬化層の補正形状を算出する
のと同時に、支持部材に必要な凹凸形状も算出すればよ
い。なお、支持部材は、前記したように、硬化度合を柔
らかくして、容易に変形できるようにしておく。以上に
説明した反り吸収手段の構成は、前記した支持部材を成
形台に掛止固定する手段、あるいは、分離阻止手段と併
用することができる。
【0027】
【作用】この発明の方法では、前記した分離阻止手段に
よって、造形物と支持部材を強固に接合しておくことが
できるので、支持部材から造形物が分離することによる
問題を解消できる。特に、前記した支持部材と成形台と
を強固に固定しておく手段を採用した場合には、支持部
材あるいは造形物に生じる硬化変形応力は全て、造形物
と支持部材の間に作用し、造形物が支持部材から剥がれ
たりし易くなるので、分離阻止手段を設けておくことの
利点が大きい。支持部材を、造形物の底面全体から側面
の一部までにわたって連続するように成形しておけば、
造形物の底面および側面の両方向を、支持部材で包むよ
うに支持固定することができ、造形物の垂直方向および
水平方向の移動や変形を確実に阻止することができる。
また、造形物を成形した後は、造形物の底面と側面の一
部のみで、支持部材から分離すれば、造形物の外形状を
損なうことなく、簡単に造形物を取り外すことができ
る。
【0028】前記した余盛り部を利用する技術では、余
盛り部を支持部材に対して、確実に支持固定しておくこ
とができるとともに、造形物はその底面全体を余盛り部
に接合させて支持固定することができるので、造形物を
部分的に支持部材に接合させておくのに比べて、造形物
の移動変形を良好に阻止できる。また、造形物を成形し
た後は、造形物を余盛り部から分離すれば、造形物の取
り出しは容易に行える。さらに、前記した支持部材を成
形台に掛止固定する技術では、支持部材の掛止部が成形
台の掛止孔の内部あるいは裏面側に引っ掛かる、いわゆ
るアンカー作用により、支持部材を成形台に掛止固定し
ておくので、支持部材が成形台に対して、水平方向およ
び垂直方向の何れの方向にも、移動あるいは変形するこ
とができなくなる。また、支持部材から成形台が剥がれ
たりして分離することもなくなる。その結果、成形台か
ら支持部材が分離することによる問題が解消でき、形状
精度および品質の高い造形物を製造することが可能にな
る。
【0029】成形台に掛止孔を加工すれば、その他の材
料や成形工程は、通常の方法と同じでよいので、成形が
容易で作業も能率的に行える。成形台の上に掛止突起を
取り付ければ、その他の材料や成形工程は、通常の方法
と同じでよいので、成形が容易で作業も能率的に行え
る。また、従来の成形台をそのまま使用することもでき
る。支持部材を成形台に掛止固定させるのに必要十分な
高さだけ、掛止突起に支持部材の掛止部を掛止させるこ
とができれば、成形作業の無駄がなく、支持部材として
硬化させる光硬化性樹脂の無駄もない。
【0030】掛止突起の途中から支持部材を成形すれ
ば、掛止孔の形状を、従来と同様の垂直孔など、比較的
単純な形状にしておくことができるので、掛止孔の加工
が容易であり、従来の通常の成形台をそのまま利用する
ことも可能である。掛止孔の周囲が透光性材料であれ
ば、掛止孔の張り出し部分の奥、あるいは、掛止孔の裏
側縁部まで、透光性材料を通して光を照射し、樹脂を光
硬化させることができるので、支持部材と成形台の掛止
固定が確実に行え、固定力も高くなる。支持部材と成形
台の掛止固定に必要な個所のみを透光性材料で形成すれ
ば、その他の部分は、コスト的に安価であったり、機械
的強度などに優れた通常の成形台の材料である非透光性
材料を用いればよいので、成形台の製造コストが高くつ
かず、成形台の機能も低下しない。
【0031】網状部材が支持部材の掛止部の中に埋め込
まれた状態になっていれば、支持部材と成形台の掛止固
定が確実であり、固定力が高くなる。造形物の反り吸収
手段を設けておくことにより、形状精度に優れた造形物
を得ることができる。造形物よりも柔らかい支持部材
は、変形応力を吸収するので、造形物に過大な残留応力
が生じることがない。また、造形物と支持部材の接合部
分が剥がれたりして分離することも防ぐことができる。
造形物の反り量を考慮して、成形時における光硬化層の
形状を設定すれば、最終的に成形された造形物に反りが
生じたときに、目的とする正確な形状の造形物を得るこ
とができる。強制的に反りを抑えることをしないので、
造形物に大きな残留応力が生じることがなく、成形台か
ら取り外した造形物に、残留応力による経時変形が生じ
たり、造形物の使用時に不都合が生じたりすることが防
げる。
【0032】造形物の成形形状を、予め反り量を考慮し
て設定しておけば、この造形物が目的とする形状まで反
り変形を起こすときに、支持部材も造形物の変形にした
がってスムーズに変形することができ、変形の過程で造
形物から支持部材が剥がれることも防止できる。
【0033】
【実施例】ついで、具体的技術例について図面を参照し
ながら以下に説明する。但し、この発明の実施例は、図
13、14に対応する実施例であり、その他の実施例
は、この発明と組み合わせることのできる参考技術であ
る。図1は、成形台に掛止孔を設けておく場合の実施例
を示している。成形装置の基本的な構造および成形方法
の基本的な工程などは、従来における通常の三次元形状
造形物の成形方法と同様であり、詳しい説明は省略す
る。成形台10には、全面に一定間隔毎に掛止孔12が
貫通形成されている。掛止孔12は、概略円錐台形状を
なし、成形台10の表面側よりも裏面側の外径が大きく
なるように形成されている。この成形台10が、光硬化
性樹脂液20の液面近くに沈められている。
【0034】この状態で、樹脂液20の液面にレーザー
光40などを照射して、支持部材30を成形する。支持
部材30の全体構造は、前記した図17のような、格子
枠状のものなどが採用できる。液面に照射されたレーザ
ー光40は、成形台10の表面から掛止孔12の内部ま
で侵入して、その部分の樹脂液20を光硬化させる。す
なわち、成形台10の表面上に形成される光硬化層30
の下部に、掛止孔12の内径に沿って、一定の厚みを有
する突起状の掛止部32が形成されることになる。この
後、成形台10を樹脂液20内に段階的に沈めながら、
レーザー光40を所定のパターン状に照射し、複数層の
光硬化層を順次形成して、支持部材の全体構造を成形
し、さらに、その上に、造形物を成形するのは、通常の
成形方法と同じである。
【0035】このようにして、成形台10の掛止孔12
に、支持部材30の掛止部32が嵌まり込んで、掛止固
定された状態になっていると、支持部材30に水平方向
および垂直方向の何れの方向に力が加わっても、支持部
材30が成形台10から剥がれたりずれたりすることが
ない。つぎに、図2〜図4に示す実施例は、掛止孔12
の形状が異なる場合である。図2の実施例では、四角錐
台形状の掛止孔12を用いている。図3の実施例では、
円柱状をなすとともに、その中心線が垂直方向から傾斜
した傾斜円柱状の掛止孔12を用いている。この場合、
掛止孔12の断面形状は、1方向では表側よりも奥側が
水平方向に張り出しているが、その反対方向では表側よ
りも奥側が内側に凹んでいる形になっている。このよう
に、掛止孔12は、その一部でも、表面側よりも奥側が
水平方向に張り出した部分があれば、目的とする機能を
発揮することができる。
【0036】図4の実施例では、表側よりも奥側が拡大
した段付き円柱形状の掛止孔12を用いている。この場
合、レーザー光40の照射深さ、もしくは、液面下に沈
める成形台10の深さ位置を調整して、掛止孔12の段
部分よりも奥側まで樹脂液の光硬化が行われ、段付き形
状の掛止部32が確実に形成されるようにしておく必要
がある。つぎに、図5および図6の実施例は、成形台上
に掛止突起を設けておく場合をあらわしている。図5に
示すように、成形台10の上に、逆四角錐台形状をなす
掛止突起14が、一定間隔毎に取り付けられている。成
形台10を樹脂液20の液面から下方に少し沈めた状態
で、レーザー光40の照射を開始する。掛止突起14の
隙間部分で、樹脂液20の液面が露出している個所で、
樹脂液20が光硬化して、掛止突起14の隙間形状に対
応する掛止部32が形成される。掛止部32の平面形状
は、掛止突起14の部分が一定間隔毎に空間になった縦
横格子状もしくは網状を構成することになる。
【0037】なお、掛止突起14は、上面側が下面側よ
りも大きいので、真上から照射されたレーザー光40
は、掛止突起14の側面近くの樹脂液20には照射され
ない。しかし、光硬化性樹脂は、光が直接に照射された
個所の周辺部分まで光硬化を起こすので、掛止突起14
の側面に隣接する位置まで、樹脂液20を光硬化させて
掛止部32を形成することができる。成形台10を段階
的に沈めながら、レーザー光40の照射を繰り返せば、
図6に示すように、掛止突起14の上方に支持部材30
が成形されるとともに、支持部材30の下部には、掛止
突起14に嵌まり込んだ格子面状の掛止部32が配置さ
れることになる。
【0038】この場合も、前記実施例と同様に、成形台
10の掛止突起14に、支持部材30の掛止部32が掛
止固定されるので、支持部材30は成形台10から分離
したり移動変形することが無くなる。上記実施例では、
図5に示すように、成形台10を樹脂液20の液面より
も少し沈めた位置から、支持部材30の成形を開始して
いる。しかし、支持部材30の成形開始位置は、成形台
10の掛止突起14の根元から先端までの何れかの位置
を液面が配置した状態で行えばよい。たとえば、成形台
10の表面が液面に配置された状態から、支持部材30
の成形を開始してもよい。
【0039】図7および図8には、上記実施例と掛止突
起14の形状が異なる実施例をあらわしている。図7の
実施例では、円柱の上端に傘状の円盤を設けた形の掛止
突起14を用いている。図8の実施例では、傾斜円柱状
の掛止突起14を用いている。つぎに、図9の実施例
は、成形台10を透光性材料で形成しておく場合をあら
わしている。図9(a) に示すように、成形台10は、透
明合成樹脂などの透光性材料で形成されているととも
に、一定間隔毎に垂直円柱状の掛止孔16を貫通形成し
ておく。掛止孔16には、前記実施例のような張り出し
部分は設けていない。
【0040】成形台10の裏面を、樹脂液20の液面に
配置した状態で、レーザー光40の照射を行う。レーザ
ー光40は、成形台10の掛止孔16の部分は勿論のこ
と、透光性材料からなる成形台10全体を透過して、樹
脂液20に照射される。その結果、成形台10の掛止孔
16の位置から、その周囲の成形台10で覆われている
個所までの樹脂液20全体が光硬化して、板状の掛止部
34が形成されることになる。図9(b) に示すように、
成形台10を少し沈めると、掛止孔16の内部に樹脂液
20が入り込んだ状態になる。この状態でレーザー光4
0を照射すれば、前記成形台10の裏側の掛止部34
が、掛止孔16の内部まで連続する形で形成されること
になる。
【0041】図9(c) に示すように、成形台10をさら
に沈めて、成形台10の表面が液面よりも沈んだ状態に
した後、通常の工程で支持部材30の成形を行えば、支
持部材30の下部に、掛止孔16の内部から成形台10
の裏面側にわたる掛止部34が形成されることになる。
この場合、支持部材30が、成形台10の裏面から掛止
孔16を取り囲んだ形で形成されることになるので、成
形台10に対する支持部材30の掛止固定は、より確実
に行われる。つぎに、図10の実施例は、上記実施例に
おいて、掛止孔16の周辺のみを透光性材料で構成して
おく場合をあらわしている。
【0042】図10(a) に示すように、成形台10は、
不透明な合成樹脂などの非透光性材料で形成されてい
る。この成形台10のうち、掛止孔16を設ける個所
に、紫外線に対する透光性がきわめて高い石英ガラスな
どからなる円筒状の透光部材18を埋め込んでおく。成
形工程は、前記した図9の実施例と同様に行う。すなわ
ち、成形台10の裏面を樹脂液20の液面に配置した状
態で、レーザー光40の照射を開始し、成形台10を段
階的に沈めながら、レーザー光40の照射を繰り返し
て、支持部材30の成形を行う。
【0043】そうすると、図10(b) に示すように、成
形台10の裏面側では、掛止孔16の周囲の透光部材1
8が設けられている範囲まで、樹脂液20の光硬化が行
われて、成形台10の裏側で左右に張り出した傘状突起
を有する掛止部34が形成される。上記実施例では、透
光部材18を石英ガラスで形成しているので、レーザー
光40の透過性が非常によく、透光部材18の裏面側ま
で確実に光を照射して掛止部34を形成することができ
る。しかも、石英ガラスで成形台10の全体を製造する
のは非常に高価につくが、透光部材18のみを石英ガラ
スで形成すればよいので、コストが安くつく。
【0044】つぎに、図11の実施例は、網状部材を用
いる場合をあらわしている。図11(a) に示すように、
成形台10は、上部材11と下部材13の2つの部材に
分割形成されている。両部材11、13には、一定間隔
毎に垂直円柱状の掛止孔16が貫通形成されている。両
部材11、13は、中間に、スクリーン状の網状部材5
0を挟み込んだ状態で、接合固定されている。したがっ
て、各掛止孔16は、その内部途中に、網状部材50が
孔を横切る形で設けられている。このような成形台10
を用い、網状部材50が樹脂液20の液面に配置された
状態で、レーザー光40の照射を開始する。レーザー光
40は、掛止孔16の内部で、網状部材50を通して、
下方の樹脂液20に照射される。網状部材50は、細い
線状の素材で構成されており、樹脂液20は、光が直接
に照射された位置だけでなくその近辺の一定範囲内でも
光硬化を起こすので、網状部材50の隙間から樹脂液2
0に照射されたレーザー光40で、樹脂液20が光硬化
するときには、網状部材50の各素線の裏側部分でも、
樹脂液20の光硬化が起こり、掛止孔16の内部全面
で、樹脂液20の光硬化が生じる。その結果、網状部材
50の裏側に、掛止孔16の内部形状に沿った掛止部3
2が形成されることになる。
【0045】図11(b) に示すように、成形台10を段
階的に沈めレーザー光40を照射する工程を繰り返す
と、網状部材50の上方の掛止孔16の内部から、成形
台10の上方にわたる支持部材30が成形される。この
実施例では、網状部材50が、支持部材30に埋め込ま
れた状態になるので、網状部材50の個々の素線が支持
部材30の剥がれや移動を阻止することになり、支持部
材30の成形台10に対する掛止固定が強力に行われ
る。つぎに、図12の実施例は、支持部材30の成形
を、成形台10の裏面側から開始する場合をあらわして
いる。
【0046】成形台10には、垂直円柱状の掛止孔16
を設けておく。図12(a) に示すように、成形台10の
裏面が樹脂液20の液面に配置された状態で、レーザー
光40の照射を開始する。レーザー光40は、掛止孔1
6の位置のみで、液面に照射されるので、掛止孔16の
断面形状に相当する範囲の樹脂液20が光硬化を起こ
す。このとき、前記したように、光硬化性樹脂は、光が
直接に照射された範囲だけでなく、その周辺部分まで光
硬化を起こすという性質があるので、掛止孔16の外周
から、成形台10の裏面側の一定範囲までで、樹脂液2
0の光硬化が起きる。
【0047】図12(b) および図12(c) に示すよう
に、成形台10を段階的に沈め、レーザー光40を照射
する工程を繰り返すと、掛止孔16の内部から成形台1
0の上方に、支持部材30が成形される。その結果、支
持部材30の下部には、掛止孔16の内部から、成形台
10の裏面側で掛止孔16の外周よりも外側に張り出し
た形の掛止部32が形成されることになる。このような
掛止部32の構造は、前記図10の実施例でも形成され
ていた構造であるが、この実施例では、成形台10に
は、従来と同様の垂直円柱状の掛止孔16を備えたもの
をそのまま使用することができるので、設備コストが安
価で済む。しかし、掛止部32の成形台10裏面外側へ
の張り出し量を大きくするには、前記した図10の実施
例のように、透光部材18を用いるほうがよい。
【0048】支持部材30の成形を、成形台10の裏面
を樹脂液20の液面に配置した状態から開始する上記方
法は、前記した図1〜4の実施例のように、内部に張り
出し部分を有する掛止孔12を用いる場合、あるいは、
図11の実施例のように、網状部材50を用いる場合に
も、併用することができ、支持部材30の成形台10に
対する掛止固定を、より確実にできる。つぎに、図13
の実施例は、支持部材と造形物の間に分離阻止手段を設
けておく場合をあらわしている。図13(a) に示すよう
に、樹脂液20に沈めた成形台10の上に支持部材30
を成形していくのは、通常の成形方法と同じである。支
持部材30の全体構造は、前記図17に示された格子枠
状のものである。
【0049】図13(b) に示すように、支持部材30の
上面中央に、造形物の底面形状に対応する形状の浅い凹
部38を形成する。具体的には、支持部材30の成形が
終了する前の、何回かの光硬化層形成工程で、凹部38
の該当する範囲のみで、レーザー光40の照射を行わな
ければよい。凹部38の深さは、約0.5〜1.0mmで
よい。図13(c) に示すように、支持部材30の凹部3
8の上に、所定の工程で造形物60を成形する。造形物
60は、その底面および側面の一部が、凹部38の内面
に接合された状態で成形される。
【0050】図13(d) に示すように、成形された造形
物60および支持部材30を成形台10から取り外した
後、造形物60を支持部材30の凹部38から取り外せ
ば、造形物60の製造は完了する。この実施例の方法で
は、造形物60が、その底面および側面の一部を、支持
部材30の凹部38に埋め込まれた形で成形されるの
で、支持部材30に対する造形物60の接合固定が強固
に行われる。つぎに、図14の実施例は、支持部材に余
盛り部を形成しておく場合をあらわしている。
【0051】図14(a) に示すように、樹脂液20に沈
めた成形台10の上に、格子枠状をなす支持部材30を
成形するのは、前記した実施例と同じである。図14
(b) に示すように、支持部材30の上部に、造形物60
の底面形状と同じ形状の面状をなす余盛り部39を成形
する。余盛り部39の厚みは、約0.5〜1.0mm程度
でよい。余盛り部39の外周には、前記格子枠状の支持
部材30が延長形成されており、余盛り部39が、支持
部材30の上部に埋め込まれた形になっている。図14
(c) に示すように、余盛り部39の上に、造形物60を
成形する。造形物60の底面は、余盛り部39の上面に
対して全面で接合されることになる。
【0052】図14(d) に示すように、成形を終えた造
形物60および支持部材30を成形台10から取り外し
た後、造形物60と余盛り部39の境界部分で、造形物
60を支持部材30から切り離せば、造形物60の成形
は完了する。上記実施例では、格子枠状をなす支持部材
30に直接、造形物60を形成して、格子枠状の支持部
材30で部分的に造形物60を接合固定しておくのに比
べて、はるかに広い面積の余盛り部39全面で造形物6
0を接合固定しておくことができる。余盛り部39自体
は、支持部材30の上部に埋め込まれた形で成形されて
いるので、支持部材30に対する接合固定は確実であ
る。すなわち、余盛り部39を介することによって、造
形物60が支持部材30に対して、強固に接合固定され
ることになるのである。
【0053】しかも、造形物60を取り外す際には、造
形物60の底面と余盛り部39の境界面のみを分離すれ
ばよいので、造形物60の側面などを損傷することな
く、造形物60の取り出しが行える。つぎに、図15の
実施例は、支持部材の硬化度合を柔らかくしておく場合
をあらわしている。図15(a) に示すように、樹脂液2
0に沈めた成形台10の上に支持部材30を成形するの
は、前記各実施例と同じである。但し、支持部材30を
成形する際の、レーザー光40のエネルギー強度や、走
査速度、焦点位置などの照射条件を調整することによ
り、光硬化によって形成さる支持部材30の硬化度合
が、造形物60を成形する際の硬化度合よりも、柔らか
くなるように設定しておく。
【0054】図15(b) に示すように、上記のような柔
らかい支持部材30の上に、通常の光照射条件でレーザ
ー光40を照射して、造形物60を成形する。光硬化層
を積み重ねて造形物60を成形すると、硬化収縮に伴う
変形応力で、造形物60の両端が上方側に反るように変
形する。このとき、支持部材30は、柔らかく容易に変
形できるので、造形物60の反り変形にしたがって、上
方側に伸びるように変形する。その結果、支持部材30
と造形物60の境界部分が剥がれたり、造形物60に過
大な変形応力が残留することがない。但し、上記実施例
では、製造された造形物60は、底面形状などに反りを
起こしたままであるから、底面形状などに高い形状精度
を要求される用途には使用し難い。
【0055】つぎに、図16の実施例は、支持部材およ
び造形物の成形形状を、造形物の反りを吸収できるよう
に設定しておく場合をあらわしている。図16(a) に示
すように、成形台10の上に支持部材30を成形する
が、この支持部材30の上面形状を、中央部が高く周辺
に向けて低くなる、なだらかな球面形状に形成してお
く。また、この支持部材30は、前記実施例と同様に、
硬化度合を比較的柔らかく設定しておく。この支持部材
30の上に造形物60を成形する。支持部材30の上に
順次、各層の光硬化層62を形成すると、支持部材30
の球面形状にしたがって、下層の光硬化層62は、支持
部材30の外周縁部分のみに形成され、上層の光硬化層
62になると、支持部材30の中央部側にも形成される
ようになる。光硬化層62を積み重ねて形成する間も、
硬化収縮に伴う変形が発生しているので、支持部材30
の上面の球面形状も順次変形することになる。通常は、
積み重ねた光硬化層62の硬化変形は、両端部が上方に
反るように起こるので、支持部材30の上面は、球面形
状が徐々になだらかになる方向に変形を起こす。
【0056】図16(b) に示すように、複数層の光硬化
層62を積み重ねて造形物60を成形し終えた段階で
は、最初球面状をなしていた支持部材30の表面が、ほ
ぼ平坦な平面状に変形することになる。すなわち、この
ようにして成形された造形物60は、その底面形状を含
む全体形状が、目的とする三次元形状を構成しており、
硬化収縮に伴う反りは解消されている。
【0057】
【発明の効果】以上に述べた、この発明にかかる三次元
形状造形物の成形方法によれば、支持部材と造形物の間
が、分離したり互いに移動変形したりするのを、良好に
防止することができる。その結果、製造された造形物の
形状精度や品質性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一つの実施例における成形途中の段階をあら
わす断面図
【図2】 別の実施例を示す断面図
【図3】 別の実施例を示す断面図
【図4】 別の実施例を示す断面図
【図5】 別の実施例を示す断面図
【図6】 別の実施例を示す断面図
【図7】 別の実施例を示す断面図
【図8】 別の実施例を示す断面図
【図9】 別の実施例を(a) 〜(c) へと段階的にあらわ
す断面図
【図10】 別の実施例の成形台(a) および成形途中の
段階(b) をあらわす断面図
【図11】 別の実施例を(a) 〜(b) へと段階的にあら
わす断面図
【図12】 別の実施例を(a) 〜(c) へと段階的にあら
わす拡大断面図
【図13】 別の実施例を(a) 〜(d) へと段階的にあら
わす断面図
【図14】 別の実施例を(a) 〜(d) へと段階的にあら
わす断面図
【図15】 別の実施例を(a) 〜(b) へと段階的にあら
わす断面図
【図16】 別の実施例を(a) 〜(b) へと段階的にあら
わす断面図
【図17】 従来技術をあらわす斜視図
【図18】 従来技術を(a) 〜(b) へと段階的にあらわ
す断面図
【符号の説明】
10 成形台 12、16 掛止孔 14 掛止突起 18 透光部材 20 樹脂液 30 支持部材 32、34、36 掛止部 40 レーザー光 50 網状部材 38 凹部 39 余盛り部 60 造形物 62 光硬化層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 67/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光硬化性樹脂に光を照射して光硬化層を
    形成し、この光硬化層を複数層積み重ねて所望の三次元
    形状を有する造形物を成形する方法であり、成形台上に
    支持部材を成形し、この支持部材の上に造形物を成形す
    る方法において、格子枠状をなし上面に凹部を有する支
    持部材を成形し、前記支持部材の凹部に埋め込まれ、底
    面全体から側面にわたって連続して支持部材と接合され
    る余盛り部を成形し、前記余盛り部の上面に対して底面
    が全面で接合される造形物を成形し、成形後に造形物を
    余盛り部との境界で分離することを特徴とする三次元形
    状造形物の成形方法。
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