JP3319026B2 - ロータリ圧縮機 - Google Patents

ロータリ圧縮機

Info

Publication number
JP3319026B2
JP3319026B2 JP09272793A JP9272793A JP3319026B2 JP 3319026 B2 JP3319026 B2 JP 3319026B2 JP 09272793 A JP09272793 A JP 09272793A JP 9272793 A JP9272793 A JP 9272793A JP 3319026 B2 JP3319026 B2 JP 3319026B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bearing
cylinder
sub
main bearing
kgf
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP09272793A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06307363A (ja
Inventor
敏久 安田
和久 市本
武美 多田
美紀子 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP09272793A priority Critical patent/JP3319026B2/ja
Publication of JPH06307363A publication Critical patent/JPH06307363A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3319026B2 publication Critical patent/JP3319026B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば空気調和機や冷
蔵庫用の冷凍サイクルに使用されるロータリ圧縮機に係
り、特に、高い効率のロータリ圧縮機に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般的なロータリ圧縮機は、例えば特開
昭58−44290号公報記載の中に示されているもの
が知られている。この従来の圧縮機を図10を参照して
説明する。
【0003】図10は、従来のロータリー圧縮機の縦断
面図である。
【0004】図10に示すロータリ式圧縮機は、密閉容
器1内に電動機6を上部に、ポンプ部7を下部に配置し
ており、主軸受2にボルト固定用ネジ穴8を設け、該ボ
ルト固定用ネジ穴8と相対する位置のシリンダ3および
副軸受4および吐出マフラー9に夫々ボルト固定用貫通
穴8bを設け、ボルト5を通して反電動機側から主軸受
2に一括してボルト締め固定したことを特徴とする構成
になっている。
【0005】しかし、一般にこうしたタイプの圧縮機の
場合、主軸受2、シリンダ3、副軸受4は貫通したボル
ト5で締結されることから少ない工程で製造できる利点
を有する反面、シリンダが回転軸方向に長い大形の圧縮
機の場合、長いボルト5で固定され、横ずれを起こす危
険性があるので冷蔵庫用などの比較的小形のロータリ圧
縮機に用いられていた。
【0006】大形の圧縮機の場合、特開昭58−131
392号公報記載のロータリ式圧縮機のような構造にな
っている。
【0007】図11は、上記ロータリ式圧縮機の縦断面
図である。また、図12はポンプの固定部を拡大して示
した断面図である。図11,12において図10と同一
符号のものは、同等部品を示すものであり、詳細な構成
の説明を割愛する。
【0008】図11に示すロータリ式圧縮機において
は、密閉容器1は蓋チャンバ10及び底チャンバ11が
圧入且つ溶接されて密閉容器を形成している。密閉容器
1内径には電動機6の固定子6aの外形が焼嵌にて接合
されていて、固定子6aと電動機6の回転子12間は適
且空隙をもった位置に配置されている。ポンプ部7は前
記回転子12と、圧入、焼嵌等により接合する回転軸1
3を中央部として、該回転子12の偏心部13aに嵌合
摺動するローラ14、該ローラ14上面と回転軸13の
上部ジャーナル13bの摺動を被むる主軸受2、該ロー
ラ14下面と回転軸13の下部ジャーナル13c等の摺
動を被むる副軸受4、主軸受2、副軸受4を接合し、ロ
ーラ14の外径と摺動するベーン15を摺動保持するシ
リンダ3等により構成されている。図12は主軸受2、
副軸受4とシリンダ3の接合状態を示すもので、シリン
ダ3にボルト固定用ネジ穴8を開口しボルト5にて上下
から夫々図12に示す様に副軸受4、主軸受2等を締結
した構成となっている。従って、主軸受2とシリンダ
3、また副軸受4とシリンダ3は別々のボルト5で締結
されるので組立工程は増加するが、確実に主軸受2とシ
リンダ3、また副軸受4とシリンダ3を固定することが
できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】一般にボルトの締め付
けトルクに関しては、ボルトの引張強度、ネジ山の剪断
破壊、被締結物の横ずれ防止等を考慮して決定される。
通常、ボルトに焼き入れ鋼を用いており、十分な強度が
あるので、圧縮機の組立中あるいは運転中に被締結物が
横ずれしないように十分なトルクで締め付けられている
のが現状である。したがって、後者の従来技術の場合で
も主軸受とシリンダ、また副軸受とシリンダは別々のボ
ルトで締結されるが、被締結物の横ずれ防止のため、ど
ちらも同じ値の十分なトルクで締め付けられている。な
お、前者の従来技術は一本の貫通ボルトで締結されるの
で、同一の締め付けトルクになるのはいうまでもない。
【0010】しかし、ボルトやネジ山が破壊しないトル
クで締め付けた場合でも、主軸受及び副軸受の平面部分
とシリンダの内径部分は図3,4に示すように変形する
ことを確認した。なお、図3は、ボルト締め付け前と締
め付け後のシリンダ3内径真円度を示し、締め付け前
(破線表示A)と比較して締め付け後(実線表示B)の
変形状態を拡大して示したもである。なお8aはボルト
穴位置を示す。図3に示す様に、ボルト締め付け後のシ
リンダ3内径真円度は、締め付け前シリンダ3内径真円
度に比べ、ボルト付近で内側に変形していることがわい
る。図4は、主軸受2、副軸受4のボルト締め付け前と
締め付け後の平面度を示し、締め付け前(一点斜線表示
D)と比較して締め付け後(実線表示C)の変形状態を
拡大して示したものである。図4において8aは、図3
と同様にボルト穴を示したものである。図4に示す様
に、主軸受2、副軸受4のボルト締め付け後のシリンダ
に接するおのおのの端面の平面度は、ボルト付近でシリ
ンダ端面側に盛り上がり、ボルトとボルトの間の中央部
端面では、シリンダ端面側の逆方向にへこむ様に変形す
ることがわかる。又、主軸受2、シリンダ3、副軸受4
の接触部分の近傍で変形が大きくなっていることが分か
った。ポンプ内部の変形が大きいと、回転軸の回転によ
ってポンプ内部を偏心回動するローリングピストンに係
るローラとの回転軸方向及び半径方向のクリアランスが
均一でなくなる。このため、従来の圧縮機では、前記ク
リアランスの不均一によってシリンダ内への油漏れ(冷
媒を含む)が増大し、さらにポンプ内部とローラとの金
属接触によって摺動ロスが増大し、圧縮機の効率が低下
するという問題があった。本発明は、上記従来技術の問
題点を解決するためになされたもので、その目的は、圧
縮機組立後のポンプ内部の変形を最小限に抑えることに
より、高い効率のロータリ圧縮機を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るロータリ圧縮機の構成は、密閉容器内
に、電動機部と圧縮機構部とを備え、前記電動機の回転
力を回転軸によって圧縮機構部に伝達し、該圧縮機構部
で冷媒ガスを圧縮するロータリ圧縮機において、前記圧
縮機構部は、前記電動機側から、主軸受、シリンダ、副
軸受の各要素を重ね合わせたものとし、前記シリンダが
密閉容器に溶接等で固定されると共に、主軸受はシリン
ダにボルトで締結され、副軸受は前記ボルトの締結力よ
りも10kgf・cm以上弱いトルクでシリンダに締結される
構成とした。
【0012】
【0013】また、ポンプ内部の変形を更に小さくする
ため、密閉容器内に、電動機部と圧縮機構部とを備え、
圧縮機構部が主軸受、シリンダ、副軸受の各要素を電動
機側から重ね合わせたもので構成され、主軸受及び副軸
受がそれぞれ別々のボルトでシリンダに締結されたロー
タリ圧縮機において、副軸受に吐出バルブを形成し、主
軸受よりも副軸受が10kgf・cm以上弱いトルクで締結
されると共に、前記シリンダに加工された締結用のメネ
ジ部分がガイド穴を有する構成であり、該ガイド穴は直
径がメネジの谷径以上で、深さが2mm以上となる構成
にした。
【0014】締め付けトルクに関して具体的には、ボル
トにM6のものを主軸受側と副軸受側でそれぞれ4本づ
つ使用し、主軸受側は80〜100kgf・cmで締め付け、
副軸受側は70〜90kgf・cmで締め付けるものである。
【0015】また、M5のボルトを4本づつ使用した場
合、主軸受側は65〜85kgf・cmで締め付け、副軸受側
は55〜75kgf・cmで締め付けるものである。
【0016】さらに、M4のボルトを4本づつ使用した
場合、主軸受側は50〜70kgf・cmで締め付け、副軸受
側は40〜60kgf・cmで締め付けるものである。
【0017】さらに、M6のボルトを6本づつ使用した
場合、主軸受側は70〜90kgf・cmで締め付け、副軸受
側は60〜80kgf・cmで締め付けるものである。
【0018】さらに、M5のボルトを6本づつ使用した
場合、主軸受側は55〜75kgf・cmで締め付け、副軸受
側は45〜65kgf・cmで締め付けるものである。
【0019】さらに、M4のボルトを6本づつ使用した
場合、主軸受側は40〜60kgf・cmで締め付け、副軸受
側は30〜50kgf・cmで締め付けるものである。
【0020】
【作用】運転中において、ポンプ内部ではガス圧縮荷重
が回転軸の偏心部に作用し、回転軸に焼き嵌め等で固定
された電動機部のロータには、磁気吸引力が作用する。
ここで、前者のガス圧縮荷重に関しては、回転軸を支持
する主軸受と副軸受とに分散して作用するが、後者の磁
気吸引力に関しては、主軸受内でクランク軸が傾き主軸
受の上端部と下端部に作用するため、前者と合計した半
径方向の荷重、すなわち横ずれ荷重は、副軸受とシリン
ダ間よりも主軸受とシリンダ間の方が大きい。
【0021】したがって、主軸受側よりも副軸受側の方
が横ずれ防止の為の最小締め付けトルクを小さく設定で
きる。
【0022】また、測定の結果、同じトルクで締め付け
た場合、吐出バルブを設置した方が軸受端面部の平面度
が悪くなるので、主軸受よりも最小締め付けトルクを小
さく設定することができる副軸受側に吐出バルブを設置
することでポンプ内変形を低減することができる。
【0023】さらに、図6に、シリンダ3の端面部にガ
イド穴16を設置した場合のポンプ内の変形状態を示
す。ガイド穴16を設置した場合、従来のもの図5より
もシリンダ3壁面端部付近における真円度を向上させる
ことができる。これは、シリンダ3が軸方向に圧縮され
半径方向に膨張変形する際、ガイド穴16内に逃げ代を
設置した分だけ、シリンダ16の内径方向への変形が抑
制されるためである。変形はシリンダ3の端部付近に特
に集中して起こるので、ガイド穴16を深さ2mm以上
形成すれば、シリンダ3内壁面の真円度は著しく向上す
る。又、図5Eは従来シリンダ内径真円度の変形量、図
6Fはガイド付シリンダ内径真円度の変形量、図6Gは
ガイド内径真円度の変形量を同じ比率で拡大して示した
ものである。
【0024】なお、ボルト5の締め付けトルクに関する
本発明とシリンダ3にガイド穴16を設置する本発明を
組み合わせて用いた場合、主軸受2、副軸受4端面の平
面度とシリンダ3内壁面の真円度の両方が向上できるの
で、ポンプ内部を偏心回動するローラとポンプ内部との
回転軸方向及び半径方向のクリアランスが更に均一にな
り、シリンダ3内への油漏れ(冷媒を含む)の減少と、
ポンプ内部とローラとの金属接触による摺動ロスの減少
によって、圧縮機の効率が一層向上する。
【0025】
【実施例】本発明の実施例を、図1ないし図2,を参照
して説明する。
【0026】図1は、本発明に係る一実施例のロータリ
圧縮機の縦断面図であるまた。また、図2は、図1にお
けるG−G矢視断面図である。図1において油溜めを兼
ねた密閉容器1内に固定子6aと回転子12とからなる
電動機6と、回転軸13とシリンダ3と主軸受2と副軸
受4とローラ14とベーン15とスプリング17等から
なるポンプ部7とが収納されている。電動機6におい
て、固定子6aが密閉容器1内に焼嵌等によって固定さ
れている。回転子13は、一端が回転子12に固着され
ており、他端は主軸受2及び副軸受4で支持されてい
る。主軸受2及び副軸受4はシリンダ3の側板を兼ねて
おり、それぞれシリンダ3の両側に配設してシリンダ室
3aを形成している。ここで、シリンダ3は、密閉容器
1内に溶接等で固定されており、主軸受2及び副軸受4
がそれぞれ別々のボルトによって、シリンダ3に両側か
ら締結されることによりポンプ部7を構成し回転軸13
を支持するものである。また、シリンダ3には、図2に
示すように溝18が設けられており、この溝18内に、
ベーン15が嵌められている。ベーン15は一端が回転
軸13の偏心部13aに挿入されたローラ14に当接
し、他端がスプリング17に押されている。このように
構成したロータリ圧縮機は、電動要素6に通電されると
回転子12が回転し、この回転子12に直結された回転
軸13によりポンプ部7に回転が伝達される。この伝達
された回転運動により回転軸13に挿入されたローラ1
4がシリンダ3の内径に沿って偏心する。このローラ1
4の回転とベーン15とによって、シリンダ3には図2
に示すように低圧室19と高圧室20が形成される。ロ
ーラ14偏心運動によって低圧室19は、高圧室20へ
と移行し、圧縮動作を行う構造になっている。また、主
軸受2及び副軸受4がそれぞれ別々のボルト5でシリン
ダ3に締結され、シリンダ3に加工された締結用のメネ
ジ部分がガイド穴16を有する構成であり、該ガイド穴
16は直径がメネジの谷径以上で、深さが2mm以上と
なっている。また、主軸受2及び副軸受4を固定するボ
ルト5はM6で、それぞれ4本つづである。締め付ける
際の締め付けトルクは、主軸受2側が80から100kg
f・cm、副軸受4側が70から90kgf・cmとなっており、
主軸受2が副軸受4よりも平均で10以上強く締め付け
られている。
【0027】本実施例のうち、ボルト締め付けトルクに
関する部分の効果を説明する。主軸受2はシリンダ3に
ボルト5で締結され、副軸受4は前記ボルトの締結力よ
りも10kgf・cm以上弱いトルクでシリンダ3に締結され
ることにより主軸受2、副軸受4端面の平面度とシリン
ダ3内壁面の真円度の両方が向上できるので、ポンプ内
部を偏心回転するローラ14とポンプ内部との回転軸方
向及び半径方向クリアランスが更に均一になり、シリン
ダ3内への油漏れ(冷媒を含む)の減少と、ポンプ内部
とローラ14との金属接触による摺動ロスの減少によっ
て、圧縮機の効率が一層向上する。
【0028】次に、本実施例のボルト締結に関する詳細
な説明を図7,8を用いて行う。この図7は横軸が締め
付けトルクT、縦軸が主軸受、副軸受端面平面度変形係
数nを示し、Hは副軸受端面変形特性、Iは主軸受端面
変形特性を示す。主軸受、副軸受端面平面度変形係数n
は(主、副軸受側締め付け後の端面平面度)÷(主、副
軸受側締め付け前の端面平面度)×100であらわし、
主軸受、副軸受とM6のボルトを4本づつ使用した場合
について示したものである。図7から分かるように締め
付けトルクTが100kgf・cm以上になると主軸受、副軸
受端面平面度変形係数nが急激に増加している。ここ
で、主軸受側に対して副軸受側の平面度が悪いのは、副
軸受側に吐出用のバルブを設置しているためである。こ
れは、バルブ設置部分において、フランジ部の肉厚が薄
くなるので、変形が大きくなる現象によるものである。
本実施例では、主軸受側は80から100kgf・cmで締め
付け、副軸受側は70から90kgf・cmで締め付けるので
主軸受、副軸受端面平面度変形係数nは最大で300と
なる。一般的にはM6ボルトの場合、110kgf・cm以上
で締め付けられているので、主軸受、副軸受端面平面度
変形係数nは副軸受の方で440以上に達しており、本
発明によって30%平面度が向上する。
【0029】次に図8は、横軸が締め付けトルクT、縦
軸がシリンダ内径真円度変形係数mを示し、Jは主、副
軸受側シリンダ内径変形特性を示す。ここでのシリンダ
内径真円度変形係数mは、(主、副軸受締め付け後のシ
リンダ真円度)÷(主、副軸受締め付け前のシリンダ真
円度)×100であらわしたものである。ボルトはM6
で主軸受、副軸受にそれぞれ4本づつでシリンダに締結
されている。シリンダの真円度に関しては、主、副軸受
側とも同じ変形である。また、本変形は、シリンダの端
面より1mmの部分についてのデータである。図8から
分かるように締め付けトルクTが100kgf・cm以上にな
るにつれて主軸受側、副軸受側シリンダ内径真円度変形
係数mが急激に増加している。本実施例では、上述した
ように、主軸受側は80から100kgf・cmで締め付け、
副軸受側は70から90kgf・cmで締め付けられているの
で主軸受、副軸受側シリンダ内径真円度変形係数mは最
大で300である。一般的なM6ボルトの場合、110
kgf・cm以上で締め付けられた主軸受、副軸受側シリンダ
内径真円度変形係数mは400で、上記実施例と比べて
25%真円度が向上する。一方、運転中において、主軸
受とシリンダの締結面及び、副軸受とシリンダの締結面
にかかる横ずれ方向の力と軸方向の締結力に関する説明
を以下に述べる。本実施例で述べた圧縮機は、運転中回
転子中央にかかる磁気吸引力が約52kgfであり、回転
軸の偏心部にかかるガス圧縮荷重は、約140kgfであ
る。磁気吸引力の作用した回転軸は、主軸受の上端付近
と同じ主軸受の下端付近で支持されるので、主軸受には
上端と下端の差52kgfが軸と直交する方向に作用する
ことになる。また、ガス圧縮荷重は、主軸受と副軸受の
両方に作用し、主軸受側に55kgf、副軸受側に85kgf
作用する。従って、合計で主軸受が107kgf、副軸受
が85kgfで主軸受側の方に多くの横ずれ荷重が作用す
る。一方本実施例における締め付けトルク下限は、主軸
受が80kgf・cm、副軸受が70kgf・cmであり、軸方向の
締付力を算出すると、ボルト4本の合計で、主軸受側は
2420kgf、副軸受側は2120kgfである。主軸受、
シリンダ、副軸受,シリンダ間の締付面の摩擦係数を
0.1とすると、限界の横ずれ荷重は、主軸受側で24
2kgf、副軸受側で212kgfであり、主、副軸受とも安
全率(限界の横ずれ荷重÷横ずれ荷重)が2以上を確保
でき十分といえる。また、衝撃に対しても、実験の結
果、必要十分なトルクで締め付けられていることが、確
認できた。
【0030】これまでの説明は、最適な締め付けトルク
に関する部分の効果について説明したものであるが、次
に、シリンダのメネジ部分に設置したガイド穴に関する
部分について説明する。
【0031】圧縮機構部が主軸受、シリンダ、副軸受の
各要素を重ね合わせたもので構成され、主軸受及び副軸
受がそれぞれ別々のボルトでシリンダに締結されたロー
タリ圧縮機において、前記シリンダに加工された締結用
のメネジ部分がガイド穴を有する構成であり、該ガイド
穴は直径がメネジの谷径以上で、深さが2mm以上にす
ることにより、シリンダ内壁面の真円度を向上させる効
果がある。これは、シリンダが軸方向に圧縮され半径方
向に膨張変形する際、ガイド穴内に逃げ代を設置した分
だけ、シリンダの内径方向への変形が抑制されるためで
ある。変形はシリンダの端部付近に特に集中しておこる
ので、ガイド穴を深さ2mm以上形成すれば、シリンダ
内壁面の真円度は著しく向上する。
【0032】次に、上記ガイド穴を設置した効果につい
て図9を用いて説明する。図9は、横軸が締め付けトル
クT、縦軸がシリンダ内径真円度変形係数mを示し、J
はガイド穴無し主、副軸受側シリンダ内径変形特性、K
はガイド穴付主、副軸受側シリンダ内径変形特性を示
す。ここで、本実施例では、主軸受側は80から100
kgf・cmで締め付け、副軸受側は70から90kgf・cmで締
め付けているので、シリンダの各ボルト穴にガイド穴を
設置した場合の主、副軸受側シリンダ内径真円度変形係
数mは、最大250となっており、上記同締め付けトル
ク時のガイド穴無し主、副軸受側シリンダ内径真円度変
形係数mは、最大300で、ガイド穴付の方が17%真
円度が向上する。また、一般的なM6ボルトの場合、1
10kgf・cm以上で締め付けられ、ガイド穴は設置されて
いないので、主、副軸受側シリンダ内径真円度変形係数
mは400となり、上記ガイド穴付主、副軸受側シリン
ダ内径真円度変形係数m250と比較すると、ガイド穴
付の方が37%も真円度が向上する。
【0033】次に別の実施例について説明する。
【0034】ポンプ部において、主軸受とシリンダの固
定及び副軸受とシリンダの固定にM5のボルトを各4本
使用し、該ボルトによって、主軸受側は65から85kg
f・cmで締め付け、副軸受側は55から75kgf・cmで締め
付けた場合にも、前記した実施例と同様の効果が得られ
る。これは、M6からM5にボルトを小さくした場合、
ボルトの軸方向に作用する締め付け力を得るためのトル
クが、小さくなるためである。本締め付けトルク時に、
実験の結果、主、副軸受端面平面度変形係数nと主、副
軸受側シリンダ内径真円度変形係数mが、M6の場合と
同様に、同一になることを確認した。
【0035】同様の実験を繰り返した結果、同じ変形と
するための必要十分なボルト種類、本数、トルクは以下
のような関係になることがわかつた。
【0036】ボルトM4で、主軸受、副軸受それぞれ4
本で締め付けた時のトルクは、主軸受側は50から70
kgf・cm、副軸受側は40から60kgf・cm。
【0037】ボルトM6で、主軸受、副軸受それぞれ6
本で締め付けた時のトルクは、主軸受側は70から90
kgf・cm、副軸受側は60から80kgf・cm。
【0038】ボルトM5で、主軸受、副軸受それぞれ6
本で締め付けた時のトルクは、主軸受側は55から75
kgf・cm、副軸受側は45から65kgf・cm。
【0039】ボルトM4で、主軸受、副軸受それぞれ6
本で締め付けた時のトルクは、主軸受側は40から60
kgf・cm、副軸受側は30から50kgf・cm。
【0040】なお、上記の締め付けトルクに関する発明
は、シリンダに加工された締付用のボルト穴に、ガイド
穴を設けた発明と別々に用いた場合でも、ある程度の効
果があるが、同時に用いた場合は、前記したように主軸
受、副軸受端面平面度及び、シリンダ内径真円度が、よ
りいっそう向上する。
【0041】以上、説明してきたロータリ圧縮機を家庭
用ルームエアコンに搭載した結果、消費電力が、これま
でに比べて約5%低減できることが分かった。また、前
記説明してきたロータリ圧縮機を、家庭用冷蔵庫に搭載
した結果、消費電力が上記ルームエアコンに搭載した結
果と、ほぼ同等に低減できることも分かった。
【0042】以上の実施例は、縦形式ロータリ圧縮機に
ついて説明したが、横形であっても同様の効果がある。
【0043】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、主軸受、シリンダ、副軸受をボルトで固定する際
の締め付け変形を小さくすることかできるので高い効率
のロータリ圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るロータリ圧縮機の断面
図である。
【図2】本発明の一実施例に係るロータリ圧縮機の摺動
部断面図である。
【図3】本発明の一実施例に係るロータリ圧縮機のシリ
ンダ内径真円度の変形を示した模式図である。
【図4】本発明の一実施例に係るロータリ圧縮機の主、
副軸受端面平面度の変形を示した模式図である。
【図5】従来のロータリ式圧縮機のシリンダ内径真円度
の変形を示した模式図及び、ボルト穴付近部断面図であ
る。
【図6】本発明の一実施例に係るロータリ圧縮機のシリ
ンダ内径真円度の変形を示した模式図及び、ボルト穴付
近部断面図である。
【図7】本発明の一実施例に係るロータリ圧縮機の縦軸
に主、副軸受端面平面度変形係数、縦軸に締め付けトル
クをとった、主、副軸受端面平面度変形特性を示すグラ
フである。
【図8】本発明の一実施例に係るロータリ圧縮機の縦軸
にシリンダ内径真円度変形係数、縦軸に締め付けトルク
をとった、主、副軸受側シリンダ内径真円度変形特性を
示したグラフである。
【図9】本発明の一実施例に係るロータリ圧縮機の縦軸
にシリンダ内径真円度変形係数、縦軸に締め付けトルク
をとった、ガイド穴なし主、副軸受側シリンダ内径真円
度変形特性及び、ガイド穴付主、副軸受側シリンダ内径
真円度変形特性を示したグラフである。
【図10】従来のロータリ式圧縮機の一つであるロータ
リ式圧縮機の摺動部断面図である。
【図11】従来のロータリ式圧縮機の一つであるロータ
リ式圧縮機の断面図である。
【図12】従来のロータリ式圧縮機の一つであるロータ
リ式圧縮機の摺動部断面図である。
【符号の説明】
1…密閉容器、 2…主軸受、 3…シリンダ、 4…副軸受、 5…ボルト、 6…電動機、 6a…固定子、 7…ポンプ部、 8…ボルト穴、 8a…ボルト穴位置、 8b…ボルト固定用貫通穴、 9…吐出マフラー、 10…蓋チャンバ、 11…底チャンバ、 12…回転子、 13…回転軸、 13a…偏心部、 13b…上部ジャーナル部、 13c…下部ジャーナル部、 14…ローラ、 15…ベーン、 16…ガイド穴、 17…スプリング、 18…溝、 19…低圧室、 20…高圧室。
フロントページの続き (72)発明者 多田 武美 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所リビング機器事業部 内 (72)発明者 田中 美紀子 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所リビング機器事業部 内 (56)参考文献 特開 昭62−197677(JP,A) 特開 昭61−192885(JP,A) 特開 昭58−204987(JP,A) 特開 昭58−65991(JP,A) 特開 平4−116288(JP,A) 実開 昭63−186988(JP,U) 実公 昭50−42949(JP,Y2) 実公 平5−3753(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04C 18/356 F04C 23/00 - 29/10

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】密閉容器内に、電動機部と圧縮機構部とを
    備え、前記電動機の回転力をクランク軸によって圧縮機
    構部に伝達し、該圧縮機構部で冷媒ガスを圧縮するロー
    タリ圧縮機において、前記圧縮機構部は、前記電動機側
    から、主軸受、シリンダ、副軸受の各要素を重ね合わせ
    たものとし、前記シリンダが密閉容器に溶接等で固定さ
    れると共に、主軸受はシリンダにボルトで締結され、副
    軸受は前記ボルトの締結力よりも10kgf・cm以上弱い
    トルクでシリンダに締結されることを特徴とするロータ
    リ圧縮機。
  2. 【請求項2】密閉容器内に、電動機部と圧縮機構部とを
    備え、前記圧縮機構部が主軸受、シリンダ、副軸受の各
    要素を前記電動機側から重ね合わせたもので構成され、
    主軸受及び副軸受がそれぞれ別々のボルトでシリンダに
    締結されたロータリ圧縮機において、副軸受に吐出バル
    ブを形成し、主軸受よりも副軸受が10kgf・cm以上弱
    いトルクで前記シリンダに締結されると共に、前記シリ
    ンダに加工された締結用のメネジ部分がガイド穴を有す
    る構成であり、該ガイド穴は直径がメネジの谷径以上
    で、深さが2mm以上であることを特徴とするロータリ
    圧縮機。
  3. 【請求項3】圧縮機構部は主軸受、シリンダ、副軸受等
    で構成され、主軸受とシリンダの固定及び副軸受とシリ
    ンダの固定にはボルトを使用し、該ボルトは主軸受側、
    副軸受側それぞれ4本のM6とし、主軸受側は80から
    100kgf・cmで締め付け、副軸受側は70から90kgf
    ・cmで締め付けることを特徴とする請求項1又は記載
    のロータリ圧縮機。
  4. 【請求項4】圧縮機構部は主軸受、シリンダ、副軸受等
    で構成され、主軸受とシリンダの固定及び副軸受とシリ
    ンダの固定にはボルトを使用し、該ボルトは主軸受側、
    副軸受側それぞれ4本のM5とし、主軸受側は65から
    85kgf・cmで締め付け、副軸受側は55から75kgf・
    cmで締め付けることを特徴とする請求項1又は記載の
    ロータリ圧縮機。
  5. 【請求項5】圧縮機構部は主軸受、シリンダ、副軸受等
    で構成され、主軸受とシリンダの固定及び副軸受とシリ
    ンダの固定にはボルトを使用し、該ボルトは主軸受側、
    副軸受側それぞれ4本のM4とし、主軸受側は50から
    70kgf・cmで締め付け、副軸受側は40から60kgf・
    cmで締め付けることを特徴とする請求項1又は記載の
    ロータリ圧縮機。
  6. 【請求項6】圧縮機構部は主軸受、シリンダ、副軸受等
    で構成され、主軸受とシリンダの固定及び副軸受とシリ
    ンダの固定にはボルトを使用し、該ボルトは主軸受側、
    副軸受側それぞれ6本のM6とし、主軸受側は70から
    90kgf・cmで締め付け、副軸受側は60から80kgf・
    cmで締め付けることを特徴とする請求項1又は記載の
    ロータリ圧縮機。
  7. 【請求項7】圧縮機構部は主軸受、シリンダ、副軸受等
    で構成され、主軸受とシリンダの固定及び副軸受とシリ
    ンダの固定にはボルトを使用し、該ボルトは主軸受側、
    副軸受側それぞれ6本のM5とし、主軸受側は55から
    75kgf・cmで締め付け、副軸受側は45から65kgf・
    cmで締め付けることを特徴とする請求項1又は記載の
    ロータリ圧縮機。
  8. 【請求項8】圧縮機構部は主軸受、シリンダ、副軸受等
    で構成され、主軸受とシリンダの固定及び副軸受とシリ
    ンダの固定にはボルトを使用し、該ボルトは主軸受側、
    副軸受側それぞれ6本のM4とし、主軸受側は40から
    60kgf・cmで締め付け、副軸受側は30から50kgf・
    cmで締め付けることを特徴とする請求項1又は記載の
    ロータリ圧縮機。
  9. 【請求項9】請求項1からのいずれか1項に記載のロ
    ータリ圧縮機を搭載したことを特徴とする空気調和機。
JP09272793A 1993-04-20 1993-04-20 ロータリ圧縮機 Expired - Fee Related JP3319026B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09272793A JP3319026B2 (ja) 1993-04-20 1993-04-20 ロータリ圧縮機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09272793A JP3319026B2 (ja) 1993-04-20 1993-04-20 ロータリ圧縮機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06307363A JPH06307363A (ja) 1994-11-01
JP3319026B2 true JP3319026B2 (ja) 2002-08-26

Family

ID=14062470

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP09272793A Expired - Fee Related JP3319026B2 (ja) 1993-04-20 1993-04-20 ロータリ圧縮機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3319026B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4595942B2 (ja) * 2004-12-06 2010-12-08 ダイキン工業株式会社 圧縮機
JP4856091B2 (ja) 2005-02-23 2012-01-18 エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド 容量可変型ロータリ圧縮機及びこれを備える冷却システム
ES2548237T3 (es) * 2005-02-23 2015-10-15 Lg Electronics Inc. Compresor rotativo de tipo de capacidad variable
JP4750551B2 (ja) * 2005-12-27 2011-08-17 三菱電機株式会社 2気筒回転式密閉型圧縮機の製造方法
US8167596B2 (en) 2006-03-03 2012-05-01 Daikin Industries, Ltd. Compressor and manufacturing method thereof
JP2009281305A (ja) * 2008-05-23 2009-12-03 Daikin Ind Ltd 圧縮機
JP6437204B2 (ja) * 2014-03-14 2018-12-12 三菱重工サーマルシステムズ株式会社 ロータリ圧縮機
JP6454177B2 (ja) * 2015-02-27 2019-01-16 東芝キヤリア株式会社 回転式圧縮機及び冷凍サイクル装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06307363A (ja) 1994-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3567237B2 (ja) かしめられた外殻を備えた圧縮機組立体
US20050169787A1 (en) Compressor
EP1260713B1 (en) Scroll compressor with Oldham coupling
EP1851437B1 (en) Capacity varying type rotary compressor
JP3319026B2 (ja) ロータリ圧縮機
US6318981B1 (en) Two-cylinder type two-stage compression rotary compressor
KR19980070666A (ko) 밀봉모터 압축기용 모터스페이서
US6261072B1 (en) Scroll compressor
CA2080629A1 (en) Orbiting rotary compressor with adjustable eccentric
US6544017B1 (en) Reverse rotation brake for scroll compressor
EP1197687A2 (en) Seal structure for compressor
EP2749736B1 (en) Compressor
US7063518B2 (en) Bearing support and stator assembly for compressor
JP3536136B2 (ja) スクロール式圧縮機
JPH11141470A (ja) スクロール圧縮機
WO2022172709A1 (ja) 圧縮機及び機器
EP2435702B1 (en) Light weight crankcase casting for compressor
JP4019620B2 (ja) 密閉型圧縮機
JP7431613B2 (ja) 流体機械、及び、流体機械の組立方法
KR100293733B1 (ko) 밀폐형전동압축기의고효율밸브장치
KR20040004680A (ko) 회전식 압축기
KR101444784B1 (ko) 왕복동식 압축기
JP2006132414A (ja) ロータリ圧縮機及びロータリ圧縮機の製造方法
JPS6341589Y2 (ja)
JP3924722B2 (ja) 密閉型圧縮機

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080621

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080621

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090621

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees