JP3316832B2 - 傾斜配管用可撓継手 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ダスト含有流体用の可
撓継手に関し、更に詳しくは、下方から上方にダスト含
有流体が流れる傾斜配管を連結する傾斜配管用可撓継手
に関する。

【０００２】

【従来の技術】ボイラ、セメントプラント等のプラント
では、ダスト等の微粒子を含む高温ガスが流れる配管が
各所に用いられる。かかる配管には高温による熱膨張を
吸収するために、ベローズを用いた可撓継手（エキスパ
ンション・ジョイント）が用いられる。

【０００３】しかし、かかる可撓継手を配管の傾斜部分
に使用すると、粒子の衝突によりベローズが磨耗して貫
通孔が開いたり、ベローズの隙間に粒子が堆積して可撓
性を失ったりする問題があった。この問題を回避するた
めに、配管１の傾斜部分には図２に示すようにベローズ
２の内側にベローズを保護する円筒状のライナー３を備
えた可撓継手が従来から用いられている。しかし、かか
る可撓継手であっても、粒子の衝突によるライナーの磨
耗や、流速が低下したときに落下する粒子が配管１の内
面下部に沿って流れ落ちて図のようにライナーとベロー
ズとの間に詰まりベローズの可撓性を失わせる問題があ
った。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した問
題を解決するために創案されたものである。すなわち、
本発明は、ベローズのエロージョンを低減し、かつ、流
速が変化した場合でもベローズの部分に粒子が堆積しな
い、ダスト含有流体に用いる傾斜配管用可撓継手を提供
することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、下方か
ら上方にダスト含有流体が流れる傾斜配管（１）を連結
する傾斜配管用可撓継手（１０）であって、連結される
前記配管（１）と同一の内径（ｄ）を有する連結部分
（１１）と、前記内径（ｄ）よりも大きい内径（Ｄ）を
有する拡径部分（１２）とを有する上部中空部材（１
３）と下部中空部材（１４）とを備え、前記上部中空部
材（１３）と下部中空部材（１４）それぞれの拡径部分
（１２）は互いに同軸上に間隔を隔てて対向しており、
更に、前記上部中空部材（１３）と下部中空部材（１
４）の拡径部分（１２）に両端が連結された少なくとも
１つの中空円筒状の可撓性ベローズ（１５）と、前記ベ
ローズ（１５）の内面を半径方向に間隔を隔てて覆い、
かつ該ベローズ（１５）の下端部分に下端が連結された
中空円筒状の第１ライナー（１７）と、連結される前記
配管（１）と同一の内径（ｄ）を有し、前記第１ライナ
ー（１７）の内面を半径方向に間隔を隔てて覆い、かつ
前記ベローズ（１５）の上端部分に上端が連結された中
空円筒状であって、前記第１ライナー（１７）の連結部
分に近づくように、その自由端が半径方向外方に折り曲
げられた第２ライナー（１８）と、前記配管（１）と同
一の内径（ｄ）を有し、前記上部中空部材（１３）及び
下部中空部材（１４）の内側に間隔を隔ててそれぞれ取
付けられた端部フロープレート（２０）と、を備える、
ことを特徴とする傾斜配管用可撓継手が提供される。

【０００６】また、前記ベローズ（１５）は、前記拡径
部分（１２）と同一の内径（Ｄ）を有する円筒形連結部
材（１６）を介して連結された複数のベローズ（１５）
であり、更に、連結される配管（１）と同一の内径
（ｄ）を有し、前記円筒形連結部材（１６）の内側に半
径方向に間隔を隔てて取付けられた中間フロープレート
（２１）を備える、ことが好ましい。

【０００７】

【作用】上記本発明の構成によれば、第２ライナー（１
８）の内径は連結される傾斜配管（１）の内径（ｄ）と
同一であるので、可撓継手（１０）の内面はほぼ一様で
あり、第２ライナー（１８）すなわち継手内面への粒子
の衝突が低減される。また、ベローズ（１５）は、第１
ライナー（１７）と第２ライナー（１８）の二重のライ
ナーで覆われているため、粒子がベローズ（１５）部分
に入ることがほとんどない。すなわち、ダスト含有流体
が上方に流れているときには、可撓継手（１０）の内面
がほぼ一様なので、第２ライナー（１８）の内側に粒子
が入ることはほとんどなく、かりに慣性で入っても第１
ライナー（１７）と第２ライナー（１８）の間では流れ
がないので、失速して落下し、可撓継手（１０）の内側
に排出される。また、ダスト含有流体の流れが少なくな
るか、停止するときには、粒子は継手内を落下するが、
第２ライナー（１８）の上端は閉じているので第２ライ
ナー（１８）の内側に粒子が入ることはない。特に、端
部フロープレート（２０）及び中間フロープレート（２
１）の端部は、隣接する中空部材（１３，１４）または
第２ライナー（１８）との間に隙間が設けられているの
で、侵入した粒子は自重により排出される。

【０００８】従って、ベローズ（１５）のエロージョン
を低減し、かつ、流速が変化した場合でもベローズ（１
５）の部分への粒子の堆積を防止することができる。

【０００９】

【実施例】以下に本発明の好ましい実施例を図面を参照
して説明する。図１は、下方から上方にダスト含有流体
が流れる傾斜配管１を連結する本発明による傾斜配管用
可撓継手の全体断面図である。この図において、傾斜配
管用可撓継手１０は、連結される配管１と同一の内径ｄ
を有する連結部分１１と、前記内径よりも大きい内径Ｄ
を有する拡径部分１２とを有する上部中空部材１３と下
部中空部材１４を備えており、上部中空部材１３と下部
中空部材１４の拡径部分１２は互いに同軸上に間隔を隔
てて対向している。

【００１０】可撓継手１０は、更に、上部中空部材１３
と下部中空部材１４の拡径部分１２に両端が連結された
少なくとも１つの中空円筒状の可撓性ベローズ１５を備
える。図に示す実施例では、ベローズ１５は、拡径部分
１２と同一の内径Ｄを有する円筒形連結部材１６を介し
て連結された２つのベローズであるが、これに限定され
るものではなく、ベローズは１つであってもよく、或い
は３つ以上であっても良い。

【００１１】可撓継手１０は、更に、ベローズ１５の内
面を半径方向に間隔を隔てて覆い、かつベローズの下端
部分に下端が連結された中空円筒状の第１ライナー１７
と、第１ライナー１７の内面を半径方向に間隔を隔てて
覆い、かつベローズの上端部分に上端が連結された中空
円筒状の第２ライナー１８とを備えている。この第２ラ
イナー１８は、連結される配管１と同一の内径ｄを有す
る。また、第２ライナー１８の自由端は半径方向外方に
折り曲げられている。

【００１２】可撓継手１０は、更に、連結される配管１
と同一の内径ｄを有し、上部中空部材１３及び下部中空
部材１４の内側に間隔を隔てて取付けられた端部フロー
プレート２０と、連結される配管と同一の内径ｄを有
し、円筒形連結部材１６の内側に半径方向に間隔を隔て
て取付けられた中間フロープレート２１とを備える。端
部フロープレート２０と中間フロープレート２１の取付
けは、半径方向に延びた複数の支持部材（図示せず）に
よる。端部フロープレート２０及び中間フロープレート
２１の端部は、隣接する中空部材１３、１４または第２
ライナー１８との間に隙間が設けられており、侵入した
粒子が自重により排出されるようになっている。

【００１３】上記本発明の構成によれば、第２ライナー
１８の内径は連結される傾斜配管の内径ｄと同一である
ので、可撓継手の内面はほぼ一様であり、第２ライナー
すなわち継手内面への粒子の衝突が低減される。また、
ベローズは、第１ライナーと第２ライナーの二重のライ
ナーで覆われているため、粒子がベローズ部分に入るこ
とがほとんどない。すなわち、ダスト含有流体が上方に
流れているときには、可撓継手の内面がほぼ一様なの
で、第２ライナーの内側に粒子が入ることはほとんどな
く、かりに慣性で入っても第１ライナーと第２ライナー
の間では流れがないので、失速して落下し、可撓継手の
内側に排出される。また、ダスト含有流体の流れが少な
くなるか、停止するときには、粒子は継手内を落下する
が、第２ライナーの上端は閉じているので第２ライナー
の内側に粒子が入ることはない。

【００１４】

【発明の効果】従って、本発明によれば、ベローズのエ
ロージョンを低減し、かつ、流速が変化した場合でもベ
ローズの部分への粒子の堆積を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による傾斜配管用可撓継手の全体断面図
である。

【図２】従来の傾斜配管用可撓継手の全体断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 傾斜配管 ２ ベローズ ３ ライナー １０ 傾斜配管用可撓継手 １１ 連結部分 １２ 拡径部分 １３ 上部中空部材 １４ 下部中空部材 １５ 可撓性ベローズ １６ 連結部材 １７ 第１ライナー １８ 第２ライナー ２０ 端部フロープレート ２１ 中間フロープレート

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F01N 7/08 F16L 27/12

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下方から上方にダスト含有流体が流れる
   傾斜配管（１）を連結する傾斜配管用可撓継手（１０）
   であって、 連結される前記配管（１）と同一の内径（ｄ）を有する
   連結部分（１１）と、前記内径（ｄ）よりも大きい内径
   （Ｄ）を有する拡径部分（１２）とを有する上部中空部
   材（１３）と下部中空部材（１４）とを備え、 前記上部中空部材（１３）と下部中空部材（１４）それ
   ぞれの拡径部分（１２）は互いに同軸上に間隔を隔てて
   対向しており、 更に、前記上部中空部材（１３）と下部中空部材（１
   ４）の拡径部分（１２）に両端が連結された少なくとも
   １つの中空円筒状の可撓性ベローズ（１５）と、 前記ベローズ（１５）の内面を半径方向に間隔を隔てて
   覆い、かつ該ベローズ（１５）の下端部分に下端が連結
   された中空円筒状の第１ライナー（１７）と、 連結される前記配管（１）と同一の内径（ｄ）を有し、
   前記第１ライナー（１７）の内面を半径方向に間隔を隔
   てて覆い、かつ前記ベローズ（１５）の上端部分に上端
   が連結された中空円筒状であって、前記第１ライナー
   （１７）の連結部分に近づくように、その自由端が半径
   方向外方に折り曲げられた第２ライナー（１８）と、前記配管（１）と同一の内径（ｄ）を有し、前記上部中
   空部材（１３）及び下部中空部材（１４）の内側に間隔
   を隔ててそれぞれ取付けられた端部フロープレート（２
   ０）と、 を備える、ことを特徴とする傾斜配管用可撓継手。
2. 【請求項２】 前記ベローズ（１５）は、前記拡径部分
   （１２）と同一の内径（Ｄ）を有する円筒形連結部材
   （１６）を介して連結された複数のベローズ（１５）で
   あり、更に、連結される配管（１）と同一の内径（ｄ）
   を有し、前記円筒形連結部材（１６）の内側に半径方向
   に間隔を隔てて取付けられた中間フロープレート（２
   １）を更に備える、ことを特徴とする請求項１に記載の
   傾斜配管用可撓継手。