JP3316771B2 - 電力系統電圧制御方法及び装置 - Google Patents

電力系統電圧制御方法及び装置

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JP3316771B2 JP06798393A JP6798393A JP3316771B2 JP 3316771 B2 JP3316771 B2 JP 3316771B2 JP 06798393 A JP06798393 A JP 06798393A JP 6798393 A JP6798393 A JP 6798393A JP 3316771 B2 JP3316771 B2 JP 3316771B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、周期的な系統電圧変動
時刻の一定時間前に系統電圧を予め調整する系統電圧制
御方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来は、日立評論Vol.71 No.3 第54頁乃
至第56頁(1989年発行)に記載されるように、系統電圧
を指定された目標電圧に維持するよう、昇降指令で負荷
時電圧調整器や負荷時タップ切換変圧器など(以降、L
RTと略記する。)のタップ切換を自動的に制御してい
た。このときは、系統電圧の実効値と目標電圧の偏差を
一定時間積分し、その積分値と予め定められた定数とを
比較し、LRTタップ切換による電圧の昇降指令の要否
を判断していたのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これら従来技術は、事
後処理形の系統電圧制御であり、急激な負荷変動や目標
電圧変化等の変化に対して追従性に劣るという問題があ
った。
【0004】系統電圧変動は、系統電圧制御している当
該変電所に設置された電力用コンデンサ、シャントリア
クトル等の電力用調相設備の運転のみならず、当該変電
所に対して上位に位置する変電所のLRTのタップ切換
え、電力用調相設備の投入・切離し操作に伴っても生じ
るもので、従来技術はこれらにも対応できず、系統電圧
が瞬間的に目標電圧から大きく逸脱し、適正な電圧維持
ができなくなるという問題があった。
【0005】本発明の目的は、系統電圧を制御している
当該変電所や上位系統に設置された電力用調相設備の投
入及び切離し操作を把握し、系統電圧が目標電圧から瞬
間的にでも大きく逸脱しないように事前に変動後の系統
電圧を予測して電圧調整装置を制御する系統電圧制御方
法及び装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、電力用調相設備による電力系統電圧の変動を検出
し、予め定めた一定期間内で周期性が検知された変動と
その時刻を記憶しておき、前記周期性を有する変動を吸
収するように、その変動発生予測時刻の一定時間前に電
圧調整装置の設定電圧を調整する制御を含んでなる電力
系統電圧制御方法としたのである。
【0007】電力系統電圧の目標値と現在電圧の偏差の
積分値により電圧調整装置の設定電圧を変更する第2の
制御を設けてもよい。そして第1の制御の信号を第2の
制御の信号よりも優先度をもたせることが好ましい。
【0008】系統電圧の変動データから周期性を検出す
る代わりに、予め定めた一定期間内で周期性がある電力
系統電圧の変動とその時刻を予め記憶しておいてもよ
い。
【0009】また、発生予測時刻後、一定時間経過して
も発生しなかったときは、電圧調整装置の設定電圧を、
変動発生時刻以前の値へ戻すのが好ましい。
【0010】
【作用】このように構成することにより、本発明によれ
ば次の作用により上記の目的が達成される。
【0011】ある一定期間、電圧変動データを収集し
て、定時刻に周期的に発生するものであるかどうかを判
定し、それが周期的であれば電力用調相設備の操作によ
る電圧変動である判断する。その時刻と電圧変動をその
方向も含めて記憶しておく。そして、この変動予測時刻
の一定時間前になったら、そのときの系統電圧を検出し
て、予測時刻以降に発生すると予測される電圧変動と反
対方向に、かつ、系統電圧とその目標電圧との偏差を最
小にする電圧調整装置のタップを選択する。このように
して、予め変動発生を見越して系統電圧を調整しておく
ので予測時刻に急激な電圧変動が発生しても、系統電圧
の変動を低減できる。
【0012】さらに、前記電力系統電圧の目標値と現在
電圧の偏差の積分値により電圧調整装置の設定電圧を変
更する第2の制御方法を備えており、上述した第1の制
御と第2の制御とから出力される複数の電圧調整装置の
タップ選択信号から1つを優先的に選択するので、電力
用調相設備が系統へ投入または切離されるような大幅な
変動では、第1の制御を優先すればよい。負荷変動のよ
うな比較的小さい電圧変動は、第1の制御ではデータと
して記憶されていないので、第2の制御が優先される。
【0013】ここで電力系統において、シャントリアク
トル、電力用コンデンサなどの電力用調相設備が系統へ
投入・切離しされると、系統電圧が瞬時に1%〜2%程
度の上昇または低下する。シャントリアクトルの場合、
投入されると低下し、切離されると上昇し、電力用コン
デンサの場合は、これと逆の現象となる。負荷変動によ
る電圧変動は瞬時に1%を越えることはないとみてよ
く、電力用調相設備による電圧変動と判別ができる。
【0014】また、電力用調相設備の操作により、定時
刻に周期的に発生する電圧変動のタイムスケジュールが
予め定められておれば、電圧変動データを収集しなくて
もそのデータを直接記憶させればよい。
【0015】また、発生予測時刻後、一定時間経過して
も予想した電圧変動が発生しなかったときは、電圧調整
装置の設定電圧を、変動発生時刻以前の値へ戻すので目
標電圧との偏差は小さくできる。
【0016】
【実施例】以下本発明の一実施例を説明する。図1に
は、本発明の一実施例を適用した系統電圧制御装置のブ
ロック構成例を示す。図において、電力は上位系統から
LRT100により降圧されて需要家の負荷112へ供給され
る。シャントリアクトル(以降、ShRと略記する。)
102及び電力用コンデンサ(以降、SCと略記する。)1
03は開閉装置101を介して系統に接続されている。Sh
R102及びSC103はタイムスケジューラ104により予め
設定した時刻に系統に投入または切離され、電圧を昇圧
・降圧するものである。すなわち、タイムスケジューラ
104による電圧制御は現在電圧とは無関係にあらかじめ
系統条件、負荷条件から設定された時刻のみで制御され
る。一般に、ShR102及びSC103の投入・切離しによ
る電圧変動は、負荷112の変動に基づく電圧変動とは異
なり大きくて、瞬間的に系統電圧の約1%〜2%にな
る。
【0017】図1中の1Aが本実施例の系統電圧制御装
置のブロック構成である。系統電圧制御装置1Aは大き
く分けて予測評価部1B、電圧制御演算部1C、及び予
測制御用ロジック処理部111で構成される。ここで電圧
制御演算部1Cは、従来から用いられている電圧偏差の
積分値で制御方法である。予測評価部1Bは、設定値以
上の電圧変動を検出する電圧変動検出ブロック108、検
出された電圧変動が定時刻に発生するものかを確認する
定時刻発生確認ブロック109、現在の系統状態を評価し
予測制御によるLRT100のタップ昇降を行うかどうか
を判定する状態評価ブロック110で構成される。
【0018】電圧制御演算部1Cは、目標電圧に対する
系統電圧の偏差ΔVを求めて現在の状態を評価する状態
評価ブロック105、その偏差ΔVを時間積分し大きさV
hを求める偏差積分ブロック106、偏差積分値Vhと整
定値Kとの比較判定を行う判定ブロック107で構成され
る。
【0019】予測制御用ロジック処理部111へは電圧制
御演算部1CのLRTのタップ昇降指令信号113と、予
測によるLRTのタップ昇降指令信号(強制動作)114
と、予測によるLRTのタップ昇降指令信号(強制不動
作)115が入力され、LRTのタップ昇降指令116を発す
る。すなわち、本実施例は電圧制御演算部1Cによる電
圧制御演算処理と、予測評価部1Bによる予測処理を並
列に行い予測処理結果を優先させてLRTのタップ昇降
を行うものである。
【0020】予測評価部1B及び電圧制御演算部1Cの
詳細な説明は後述するが、まず、図2を用いて予測制御
用ロジック処理部111の詳細を説明する。図において、2
00はAND処理を、201はOR処理を、202はNOT処理を示すも
のであり、実施例においては以下に示すように動作す
る。
【0021】(1)強制動作時 電圧制御演算結果の信号113…動作[1]/不動作[0]、強制
動作信号114…動作[1]、強制不動作信号115…不動作[0]
の場合、LRTのタップ昇降信号116は強制動作信号114
により信号[1]が出力される。電圧制御演算結果の信号1
13にかかわらず、強制動作信号が優先される。
【0022】(2)強制不動作時 電圧制御演算結果の信号113…動作[1]/不動作[0]強制動
作信号114…不動作[0]、強制不動作信号115…動作[1]の
場合、LRTのタップ昇降信号116は、強制不動作信号
が優先され強制不動作信号115により信号[0]が出力され
る。ここで、強制動作信号と強制不動作信号は同時には
発せられないものとする。
【0023】次に、図3及び図4を用いて、図1の本実
施例の動作を説明する。図3は一例としてShR102を
電力系統へ”投入”または”切離し”する変化点の電圧
制御例を示す。ShR102が電力系統に投入されれば電
圧は瞬時に低下し、切離されれば瞬時に電圧が上昇す
る。SC103の場合はこの逆である。
【0024】図3(a)のケース、予測制御によりLRT
のタップ切換により電圧を早めに下げるケースについて
説明する。ShR102は時刻7:50になれば系統から切離
すようにタイムスケジューラ104によって制御されてい
る。しかし、系統電圧制御装置1A側は、この情報を得
ることができないために、系統電圧データの変動の大き
さなどからこのShR102の切り離し時刻を予測する。
この時刻の予測方法については後述する。 (1)過去数日間の系統電圧データから7:49〜7:51を事前
にShR102の切り離し時刻(定時に発生)に設定す
る。 (2)装置に内蔵する時計により時刻が7:49になり予測時
間帯に入り、タイムスケジューラ104の制御による系統
電圧の昇圧を予測する。 (3)電圧実効値の目標電圧に対する偏差が、目標偏差ε
を越えたので前もって強制的にLRTのタップを1タッ
プ下げ、系統電圧を予め下げておく。上記目標偏差εは
LRTの1タップ下げても目標電圧に対して誤差が大き
くならないレベル、例えば−1%以内に設定しておく。 (4)ShR102がタイムスケジューラ104により7:50に切
り離され、系統電圧が昇圧する。このとき、図3(a)に
示すように、予測制御しないケースはShR102の切り
離しにより7:50頃の瞬間的な誤差が非常に大きくなる
が、予測制御したケースはこの誤差を約1/2以下に低減
可能である。
【0025】次に、図3(b)に示す図3(a)と逆のケース
である、予測制御によりLRTのタップにより早めに系
統電圧を上げるケースについて説明する。 (1’)19:49〜19:51を事前にShR102の投入時刻(定時
に発生)に設定する。 (2’)装置に内蔵する時計の時刻が19:49になり予測時間
帯に入り、タイムスケジューラ104の制御による系統電
圧の降圧を予測する。 (3’)電圧実効値が目標電圧に対して、その誤差が ーε
を下回ったので前もって強制的にLRTのタップを1タ
ップ上げ、系統電圧を予め上げておく。 (4’)ShR102がタイムスケジューラ104により19:50に
投入され、系統電圧が降圧する。 図3(b)に示すように、予測制御しないケースはShR10
2の投入により19:50頃の瞬間的な誤差が非常に大きくな
るが、予測制御したケースは図3(a)と同様にこの誤差
を約1/2以下に低減できる。
【0026】次に、図3(c)に示すShR102の切離しに
よる系統電圧の昇圧を予測しLRTのタップ切換え操作
を待つケースについて説明する。 (1”)7:49〜7:51を事前にShR102の切離し時刻(定時
に発生)に設定する。 (2”)装置に内蔵する時計の時刻が7:49になり予測時間
帯に入り、タイムスケジューラ104の制御による系統電
圧の昇圧を予測する。 (3”)電圧実効値が目標電圧に対して、負側にあり、そ
の誤差が ーε以内であるのでLRTのタップ切換えを待
つ。 (4”)ShR102がタイムスケジューラ104により7:50に切
り離され、系統電圧が昇圧する。 このように、予測制御したケースは予測しないケースに
比べ、瞬間的な誤差を低減させることができる。
【0027】図3はShR102の系統への投入・切離し操
作を対象として述べたが、SC103についても同様のこ
とが言える。但し、SC103の場合は系統電圧への影響
がShR102と逆で、系統に投入された場合は、系統電圧
が瞬時に昇圧し、切り離された場合は瞬時に系統電圧が
降圧する。
【0028】図3に示したケースは、予測が当たった場
合について述べたが、次に予測がはずれた場合の動作に
ついて、図4を用いて説明する。 (a)8:49〜8:51を事前にShR102の切離し時刻(定時に
発生)に設定する。 (b)装置に内蔵する時計の時刻が8:49になり予測時間帯
に入り、タイムスケジューラ104の制御による系統電圧
の昇圧を予測する。 (c)系統電圧実効値が目標電圧に対して、その誤差がε
を越えたので前もって強制的にLRTのタップを1タッ
プ下げて、系統電圧を予め下げておく。ここまでは、図
3に示した動作と同じであるが、予測時間帯にShR102
の切離しがなかった場合は以下に示すように動作させ
る。 (d)時刻が8:51になった時点で、電圧実効値が許容誤差
を下回った場合、タップ上げ操作し、予測前の状態に速
やかに戻すように動作させる。 このようにして、予測がはずれた場合でも、速やかに元
の状態に戻すことにより予測制御による系統に及ぼす影
響を最小限にする。
【0029】以上説明した本発明の動作例を示すフロー
チャートを図5に示す。この処理は例えば100ms毎にタ
イマ割り込みにより起動される。図5に示す処理内容を
以下に示す。 電力系統の電圧データをサンプリングしてA/D変換
し、デジタルデータとして取り込む。(ステップ501) 取り込んだ電圧データの変動の大きさを求め、このデ
ータから電力調相設備であるShR102、SC103の投入
及び切離し操作を検出する。(ステップ502) 過去数日間のステップ502の結果より、ShR102、S
C103の投入及び切離し操作が定時刻に発生するかの確
認を行う。(ステップ503) 時計データから予測時刻かの判断を行い、予測時刻に
入ったならば、ステップ505〜ステップ517の処理を行
う。 の処理において、予測時刻内に強制動作済か判断
し、済みであればステップ506〜510の処理を行い、済み
でなければステップ512〜517の処理を行う。 すなわち、ステップ506〜510はShR102、SC103の投
入及び切離し操作を予測したにも関わらず、はずれた場
合、誤差の大きさによって元の状態に戻す処理を示すも
のである。
【0030】ステップ512〜517は、まず、予測時刻のS
hR102、SC103の投入及び切離し操作による電圧変動
が正側(↑)もしくは負側(↓)を判定し、そのときの
電圧実効値の目標値に対する誤差Vrms’が許容誤差±ε
より大きいかどうかを判断する。次に、この誤差の極性
に応じて、LRTのタップ下げ、タップ上げ、もしくは
タップ操作待ちのいずれかの指令を設定する。
【0031】ステップ518は電圧制御演算を行う。こ
れは、図1の1Cの処理を表す。この処理内容は、従来
技術に示した内容と同一であり、Vhを求める。 ステップ519では、図2に示した予測制御ロジック処
理を行う。 ステップ520では、での処理結果に基づきLRTの
タップ切換え操作指令をLRTに対して発する。 以上〜の一連の処理を処理をシーケンシャルに実行
する。
【0032】次に、図5のステップ502に示した電力調
相設備投入・切離し操作検出処理の詳細を図6及び図7
を用いて説明する。
【0033】図6において、(a)はShR102切離しを検
出する例、(b)はShR102投入を検出する例を示す。ま
ず、(a)ではShR102がタイムスケジューラ104によって
7:50に切離され、電圧実効値Vrmsが瞬時に昇圧され
る。この昇圧分は一般的な電力系統に接続された負荷と
異なり瞬時に定格の約1〜2%に達する。したがって、
この電圧実効値の変化分(ΔVrms/Δt)を常時求
め、判定レベルβを越えた時刻を検出すればShR102切
離し時刻が検出できる。(b)では(a)と同様にして、Sh
R102投入時刻が検出できる。当然のことであるが、本
実施例では現在時刻を把握するためにカレンダICなどの
時計を有する。
【0034】図7は上記した図6の処理をフローチャー
トで表したものである。以下に要約して示す。 (1)データ入力すると共に入力データをメモリに記憶す
る。(ステップ701〜702)(2)現在の電圧実効値からN
サンプル前の電圧実効値の傾きMを求める。(ステップ
703) (3)傾きMと設定値αを比較し、この傾きが自ら発した
LRTのタップ切換え指示によるものでなければShR1
02投入または切離しと判定する。(ステップ704〜705) (4)傾きMの極性を判定し、その時の時刻を正側、負側
それぞれのメモリエリアに記憶する。(ステップ707〜7
08) (5) (1)〜(4)の処理が数日間行われたかを判定する。一
例として、一週間以上みておけば定時に発生するかどう
かが把握できる。(ステップ709) 図8は図7のステップ707及び708に示した時刻データ記
憶方法の一例を示すものである。この内容は図12のR
AM1211に記憶させればよい。
【0035】以上述べたShR102の投入または切離し操
作を検出する方法は単純に電圧実効値の変化分(ΔVrm
s/Δt)を常時求め、判定レベルβを越えた時刻を検
出することで実現するものである。さらに検出の精度を
高めるためには、図6に示したようにShR102、SC10
3が系統に投入または切離されれば、電圧実効値がステ
ップ状に変化するので、電圧実効値の変化分が判定レベ
ルを越え、かつ、判定レベルを越えた時刻を中心とし
て、その前後の電圧実効値の平均値のレベル差がある設
定値以上かどうかを確認すればよい。
【0036】次に、図5のステップ503に示した電力用
調相設備投入または切離し時刻が定時刻であることの確
認処理の詳細を図9及び図10を用いて説明する。図9
は月曜日〜日曜日の7:50頃の系統電圧実効値の例を示
す。図9において、電力用調相設備投入・切離し時刻が
定時刻であることの検出方法は、月曜日の検出時刻をT
Oとし、このTO±ΔTDを予測時刻候補として設定し、
この設定時間幅に同様の時刻が一週間に4回以上あれば
定時刻とする。上記ΔTDは実施例の中では1分とした
が、実際はタイムスケジューラ104の精度で規定する。
【0037】図10は、図9に示した検出方法をフロー
チャートで表したものである。 (1)月曜日のデータT0からデータ変動時間帯TYを設定
する。(ステップ1001〜1001) (2)火曜日〜日曜日までの記憶データのサーチをおこな
い、この時間帯TY内にあればカウントアップする。
(ステップ1003〜1008) (3)カウントアップした結果、一週間に4回以上あれば
定時刻として記憶する。(ステップ1010) (4)月曜日のデータが1日分終了したかを判定し、終了
していなければ次の月曜日の記憶データをT0としてス
テップ1001から繰り返す。この例では、月曜日を基準デ
ータとして行う方法を述べたが、この他の方法としては
他の曜日を基準とする方法、複数の曜日のデータを基準
とする方法などができることはいうまでもないことであ
る。 以上述べた実施例では、本発明に係る系統電圧制御装置
がShR102及びSC103の運転スケジュールの情報を直
接的に知り得ることができない場合に非常に有効であ
る。
【0038】スケジューラによるShR102及びSC103
の運転スケジュールが予めわかっている場合には、この
投入または切離される時刻を直接運用者が系統電圧制御
装置に設定(時刻の記憶)する。さらに、上記の運転ス
ケジュール情報を通信手段により直接、系統電圧制御装
置の記憶部へ入力して、フィールドで得られるデータに
かえてもよい。
【0039】図11は、上位系統の電圧変動の要因とな
る電圧・無効電力制御装置(以降、VQCと略記す
る。)1105を示すものである。図11において、タップ
付き変圧器1101の三次巻線に接続される系統には開閉装
置1102によりShR1103及びSC1104が投入・切離され
る。VQC1105の制御信号、11a、11b、11cはそれぞれタ
ップ付き変圧器1101と開閉装置1102へ出力される。VQ
C1105は、主要変電所の電圧を維持すること、及び他系
統との連系線無効電力潮流をある範囲内に抑制するよう
に自系統の無効電力バランスを維持するとともに送電損
失最小となるように無効電力源の配分を行うものであ
る。そのために、電圧及び無効電力が、ある設定値の範
囲におさまるようにShR1103及びSC1104をそれぞれ
スケジュール運転したり、LRTのタップを調整したり
して制御する。また、スケジュール運転によらず、絶え
ず系統の電圧及び無効電力を監視しながらShR1103及
びSC1104及びLRTのタップを制御して適正な電圧を
維持する。
【0040】このVQC1105は需要家に直結した下位系
統とは独立して制御されているために、下位系統の状態
によらず系統電圧が昇降圧される。しかし、このような
系統電圧の昇降圧に対しても、一週間程度の長い周期
で、発生頻度を把握すると上位系がスケジュール運転の
場合、そのスケジュールが把握できる。
【0041】さらに、スケジュール運転によらない場合
でも、系統が固定されれば電力用調相設備を投入または
切離しが略定時刻に発生するものであり、この発生時刻
を把握すれば上位系統の影響による電圧変動を予測で
き、本実施例を用いて事前に自系統のLRTのタップを
調整し、より一層の質の良い電圧を下位系統の需要家に
供給することが可能である。
【0042】次に、図12に本発明の一実施例の系統電
圧制御装置1200の構成を示す。図において、母線1201よ
り電圧変成器PT1202を介して系統電圧データを取り込
み、この系統電圧データを系統電圧制御装置1200の補助
電圧変成器PT1203を経由して整流回路1205で実効値に
変換し、系統の目標電圧を設定する目標電圧設定回路12
04と共にマルチプレクサ1206へ入力する。そしてマルチ
プレクサ1206は、連続整定したアナログ整定値やアナロ
グの系統電圧入力信号などの複数の信号を切換えて後段
のA/D変換器1207に伝達する。更にA/D変換器1207
で系統電圧の実効値をディジタル量に変換し、マイクロ
コンピュータ1209に入力する。
【0043】その他、ディジタル入力1208へは遮断器の
オン・オフの情報、平日/休日の信号、電力用調相設備
その他の整定パネルからの整定値データ、LRTに対す
る動作確認信号などが入力される。マイクロコンピュー
タ1209では、リードオンリメモリ(ROM)1210と、ラン
ダムアクセスメモリ(RAM)1211と、時計の機能を有す
るカレンダIC1213との間でデータのやり取りをして図
5に示した処理を実行しディジタル出力部1212へ出力す
る。それらはLRTのタップ切換信号や表示などの信号
として出力されてゆくのである。
【0044】本発明によれば、自系統及び上位系統に接
続される電力用調相設備の投入・切離し操作を記憶し、
この系統電圧変動時刻の一定時間前に自系統のLRTの
タップ切換えを予め行うことにより、現在電圧を設定電
圧から大幅に変動することを防ぐことができるので、常
に系統電圧を目標電圧に近く維持する効果が生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック構成図であ
る。
【図2】本発明の予測制御用ロジック処理部の詳細構成
の一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施例の第1の動作概要を説明する
説明図である。
【図4】本発明の一実施例の第2の動作概要を説明する
説明図である。
【図5】本発明の一実施例による処理のフローチャート
図である。
【図6】シャントリアクトルの投入・切離しを系統電圧
から読取る手法を示す説明図である。
【図7】シャントリアクトルの投入・切離しを系統電圧
から読取る処理のフローチャート図である。
【図8】予測時刻をメモリに記憶する方法を示す図であ
る。
【図9】系統電圧変動から、一週間を通して定時刻に発
生するか判定する説明図である。
【図10】系統電圧変動から、一週間を通して定時刻に
発生するか判定するためのフローチャート図である。
【図11】上位系の電圧変動の要因の例を示すブロック
構成図である。
【図12】本発明の一実施例の系統電圧制御装置の具体
的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1A 系統電圧制御装置 1B 予測評価部 1C 電圧制御演算部 100 負荷時タップ切換変圧器 101 開閉装置 102 シャントリアクトル 103 電力用コンデンサ 104 タイムスケジューラ 105 状態評価ブロック、 106 偏差積分ブロック、 107 判定ブロック 108 電圧変動検出ブロック 109 定時刻発生確認ブロック 110 状態評価ブロック 111 予測制御用ロジック処理手段 112 負荷 113、114、115、116 信号 200 AND回路 201 OR回路 202 NOT回路 1101 上位系統の負荷時タップ切換変圧器 1102 開閉装置 1103 シャントリアクトル 1104 電力用コンデンサ 1105 無効電力制御装置 1200 系統電圧制御装置 1201 母線 1202 電圧変成器 1203 補助電圧変成器 1204 目標電圧設定回路 1205 整流回路 1206 マルチプレクサ 1207 A/D変換器 1208 ディジタル入力部 1209 マイクロコンピュータ 1210 リードオンリメモリ 1211 ランダムアクセスメモリ 1212 ディジタル出力部 1213 カレンダIC
フロントページの続き (72)発明者 小川 謙治 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 松井 義明 茨城県日立市国分町一丁目1番1号 株 式会社 日立製作所 国分工場内 (72)発明者 紀藤 昌仁 愛知県名古屋市熱田区横田2丁目3番24 号 中部電力株式会社 西電力所内 (72)発明者 高橋 剛 愛知県名古屋市熱田区横田2丁目3番24 号 中部電力株式会社 西電力所内 (72)発明者 浅井 三千雄 愛知県名古屋市東区東新町1番地 中部 電力株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−59758(JP,A) 特開 平3−215123(JP,A) 特開 平1−231627(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02J 3/00 - 5/00

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電力用調相設備による電力系統電圧の変
    動を検出し、予め定めた一定期間内で周期性が検知され
    た変動とその時刻を記憶しておき、前記周期性を有する
    変動を吸収するように、その変動発生予測時刻の一定時
    間前に電圧調整装置の設定電圧を調整する制御を含んで
    なる電力系統電圧制御方法。
  2. 【請求項2】 電力用調相設備による電力系統電圧の変
    動を検出し、予め定めた一定期間内で周期性が検知され
    た変動とその時刻を記憶しておき、前記周期性を有する
    変動を吸収するように、その変動発生予測時刻の一定時
    間前に電圧調整装置の設定電圧を調整する第1の制御
    と、前記電力系統電圧の目標値と現在電圧の偏差の積分
    値により電圧調整装置の設定電圧を変更する第2の制御
    を含んでなる電力系統電圧制御方法。
  3. 【請求項3】 請求項2において、第1の制御の信号を
    第2の制御の信号よりも優先度をもたせたことを特徴と
    する電力系統電圧制御方法。
  4. 【請求項4】 予め定めた一定期間内で周期性がある
    力用調相設備による電力系統電圧の変動とその時刻を予
    め記憶しておき、前記周期性を有する変動を吸収するよ
    うに、その変動発生予測時刻の一定時間前に電圧調整装
    置の設定電圧を調整する第1の制御と、前記電力系統電
    圧の目標値と現在電圧の偏差の積分値により電圧調整装
    置の設定電圧を変更する第2の制御を含んでなる電力系
    統電圧制御方法。
  5. 【請求項5】 請求項4において、第1の制御の信号を
    第2の制御の信号よりも優先度をもたせたことを特徴と
    する電力系統電圧制御方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかにおいて、前
    記周期性を有する変動が前記発生予測時刻後、一定時間
    経過しても発生しなかったときは、第1の制御の電圧調
    整装置の設定電圧を、変動発生時刻以前の値へ戻すこと
    を含んでいることを特徴とする電力系統電圧制御方法。
  7. 【請求項7】 電力系統電圧の電圧変動を検出する電圧
    変動検出手段と、該電圧変動検出手段により検出される
    電圧変動が電力用調相設備に起因する電圧変動として
    め定めた一定期間内で周期性があるかを検出し、その変
    動と時刻を記憶する定時刻発生確認手段と、該定時刻発
    生確認手段から出力される時刻の一定時間前に前記周期
    性を有する変動を吸収するように、その変動発生時刻の
    一定時間前に電圧調整装置の設定電圧を選択する状態評
    価手段を含んでなる電力系統電圧制御装置。
  8. 【請求項8】 電力系統電圧の電圧変動を検出する電圧
    変動検出手段と、該電圧変動検出手段により検出される
    電圧変動が電力用調相設備に起因する電圧変動として
    め定めた一定期間内で周期性があるかを検出し、その変
    動と時刻を記憶する定時刻発生確認手段と、該定時刻発
    生確認手段から出力される時刻の一定時間前に前記周期
    性を有する変動を吸収するように、その変動発生時刻の
    一定時間前に電圧調整装置の設定電圧を選択する第1の
    状態評価手段を含んでなる第1の制御装置、並びに、前
    記電力系統電圧の目標値と現在電圧の偏差を求める第2
    の状態評価手段と、該第2の状態評価手段の出力を積分
    する偏差積分手段と、該偏差積分手段の出力に基づき前
    記電圧調整装置の設定電圧を変更する信号を出力する判
    定手段を含んでなる第2の制御装置を備えてなる電力系
    統電圧制御装置。
  9. 【請求項9】 請求項8において、第1の制御装置の出
    力信号を第2の制御装置の出力信号よりも優先度をもた
    せる予測制御用ロジック処理手段を備えることを特徴と
    する電力系統電圧制御装置。
  10. 【請求項10】 電力系統電圧の電圧変動を検出する電
    圧変動検出手段と、電力用調相設備に起因する電圧変動
    として予め定めた一定期間内で周期性がある電力系統電
    圧の変動とその時刻を予め記憶する定時刻発生確認手段
    と、該定時刻発生確認手段から出力される時刻の一定時
    間前に前記周期性を有する変動を吸収するように、その
    変動発生時刻の一定時間前に電圧調整装置の設定電圧を
    選択する第1の状態評価手段を含んでなる第1の制御装
    置、並びに、前記電力系統電圧の目標値と現在電圧の偏
    差を求める第2の状態評価手段と、該第2の状態評価手
    段の出力を積分する偏差積分手段と、該偏差積分手段の
    出力に基づき前記電圧調整装置の設定電圧を変更する信
    号を出力する判定手段を含んでなる第2の制御装置を備
    えてなる電力系統電圧制御装置。
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