JP3315630B2 - 難燃性変性シアネートエステル系樹脂フィルム及びその製造方法 - Google Patents

難燃性変性シアネートエステル系樹脂フィルム及びその製造方法

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JP3315630B2
JP3315630B2 JP29057697A JP29057697A JP3315630B2 JP 3315630 B2 JP3315630 B2 JP 3315630B2 JP 29057697 A JP29057697 A JP 29057697A JP 29057697 A JP29057697 A JP 29057697A JP 3315630 B2 JP3315630 B2 JP 3315630B2
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康之 水野
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷配線板等にお
ける絶縁層の形成に用いられる難燃性変性シアネートエ
ステル系樹脂フィルム及びその製造方法に関する
【0002】
【従来の技術】電子機器の小型・高機能化に伴い、印刷
配線板では薄型・軽量でかつ高密度配線が可能な基板材
料が求められられるようになった。近年、小径でかつ必
要な層間のみを非貫通穴で接続するIVH構造のビルド
アップ積層方式印刷配線板が開発され、急速に普及が進
んでいる。ビルドアップ積層方式印刷配線板の絶縁層に
はガラス布等の基材を含まない耐熱性樹脂が用いられて
おり、IVH用の穴は、感光性樹脂を利用したフォトリ
ソグラフィあるいは熱硬化性樹脂をレーザー加工機によ
って熱分解する等の方法で形成されている。
【0003】さらに近年では、大量のデータを高速で処
理するためコンピュータや情報機器端末などでは信号の
高周波化が進んでいるが、周波数が高くなる程電気信号
の伝送損失が大きくなるという問題があり、高周波化に
対応した印刷配線板の開発が強く求められている。高周
波回路での伝送損失は、配線周りの絶縁層(誘電体)の
誘電特性で決まる誘電体損の影響が大きく、印刷配線板
用基板(特に絶縁樹脂)の低誘電率及び低誘電正接(t
anδ)化が必要となる。例えば移動体通信関連の機器
では、信号の高周波化に伴い準マイクロ波帯(1〜3G
Hz)での伝送損失を少なくするため誘電正接の低い基
板が強く望まれるようになっている。
【0004】さらにコンピュータなどの電子情報機器で
は、動作周波数が200MHzを越える高速マイクロプ
ロセッサが搭載されるようになり、印刷配線板での高速
パルス信号の遅延が問題になってきた。信号の遅延時間
が印刷配線板では配線まわりの絶縁物の比誘電率εrの
平方根に比例して長くなるため、高速コンピュータなど
では誘電率の低い配線板用基板が求められている。
【0005】上述の印刷配線板の技術動向に対して、高
周波帯域での誘電率と誘電正接が低く、かつビルドアッ
プ積層方式印刷配線板の製造に適した耐熱性絶縁フィル
ムはこれまで開発されていなかった。
【0006】従来から誘電特性が良好なフィルム材料と
して、耐熱性熱可塑性樹脂(エンジニアリング・プラス
チックス)のポリフェニレンエーテル(PPO又はPP
E)系樹脂が知られていたが、印刷配線板用の絶縁材料
に適用するためには、実装時のはんだ接続工程に耐えら
れる耐熱性と印刷配線板製造時のその他の工程での耐溶
剤性・耐薬品性などの改善が必要であった。
【0007】この耐熱性や耐溶剤性を改善する方法とし
て、ポリフェニレンエーテル樹脂を熱硬化性樹脂で変性
する方法が提案されている。例えば、熱硬化性樹脂の中
では最も誘電率が低いシアネートエステル樹脂を用いた
樹脂フィルムとして、特公平1-53700号公報に示
されているようにポリフェニレンエーテル樹脂にシアネ
ートエステル樹脂を配合した硬化性樹脂組成物を用いる
ポリフェニレンエーテル樹脂系フィルムがある。同様
に、シアネートエステル系の変性樹脂を用いる樹脂組成
物として、特公昭63-33506号公報に示されてい
るビスマレイミド/シアネートエステル変性樹脂とポリ
フェニレンエーテル樹脂との樹脂組成物及び特開平5-
311071号公報に示されている変性フェノール樹脂
/シアネートエステル系樹脂とポリフェニレンエーテル
樹脂との樹脂組成物などがある。
【0008】また熱可塑性樹脂であるポリフェニレンエ
ーテル系樹脂に熱硬化性を付与して耐熱性や耐溶剤性を
改善するものとして、特公平5-77705号公報に示
されているポリフェニレンエーテル樹脂と架橋性ポリマ
/モノマとの樹脂組成物をキャスティングしたフィルム
及び特開平7-188362号公報に示されている不飽
和基を持つ特定の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂を
適度に架橋させたフィルムなどがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】特公平1-53700
号公報に示されるポリフェニレンエーテル樹脂にシアネ
ートエステル樹脂を配合した樹脂組成物からなるフィル
ムは、樹脂同士の相容性が悪いという問題点があり、硬
化性樹脂としてシアネートエステルを単独で用いている
ため、樹脂硬化物の誘電特性は、誘電率は後述の他の組
成物よりは比較的良好ではあるものの誘電正接が誘電率
の値の割に高いという傾向にあり、高周波特性(特に伝
送損失の低減)が不十分であるという問題点があった。
特公昭63-33506号公報や特開平5-311071
号公報に示される方法は、ポリフェニレンエーテル樹脂
を変性する熱硬化性樹脂がビスマレイミド/シアネート
エステル変性樹脂や変性フェノール樹脂/シアネートエ
ステル系樹脂であるため、ポリフェニレンエーテル樹脂
に対する相容性は若干良好になるものの、シアネートエ
ステル樹脂以外の他の熱硬化性樹脂を含有しているため
樹脂硬化物の誘電特性はシアネート樹脂単独で変性され
た樹脂よりも悪く、その結果高周波特性が更に不十分で
あるという問題点があった。
【0010】特公平5-77705号公報に示される方
法は、ポリトリアリルイソシアヌレートやスチレンブタ
ジエン共重合体等の架橋性ポリマ及びトリアリルイソシ
アヌレート等の架橋性モノマをポリフェニレンエーテル
樹脂に配合することにより熱硬化性(ラジカル重合性)
を付与しているが、架橋性のポリマ及びモノマが極性の
高い化合物であるために未反応で残存する少量成分によ
って樹脂硬化物の誘電特性が悪化するという問題点があ
った。
【0011】また特開平7-188362号公報に示さ
れている方法は、ポリフェニレンエーテル樹脂自身にア
リル基などの不飽和基を導入したポリマを用いるもので
あるが、本来熱可塑性樹脂であるポリフェニレンエーテ
ルの誘導体が主体となっているため、もともと溶融粘度
が高いことに加え、不飽和基のラジカル重合性を利用し
ているので連鎖反応的に一気に硬化が進むため、硬化時
の最低溶融粘度が高くかつ溶融粘度の上昇率も大きいと
いう性質があり、プレス成形時に樹脂が十分に流動化で
きない結果、ボイドが発生して回路充填性が不十分とな
ったり、多層化接着工程でのプレス条件の管理幅が狭く
なる等成形性が悪いという問題点があった。
【0012】このような状況に鑑みて本発明者らは、先
に印刷配線板用樹脂組成物として特定のシアネートエス
テル樹脂を1価フェノール類化合物で変性した組成物を
用いる方法(特願平9−80033号)を提案した。こ
の方法によれば特定のシアネートエステル樹脂を1価フ
ェノール類化合物で変性することで高周波(GHz)帯
域での誘電特性、特に誘電正接が低い樹脂組成物を得る
ことができたが、使用する特定のシアネートエステル樹
脂が特殊かつ高価であるという問題点があった。
【0013】本発明は、耐熱性と耐溶剤性・耐薬品性が
良好で、かつ印刷配線板の薄形・軽量化と高密度化に有
効なビルドアップ積層方式に適した絶縁フィルムであっ
て、高周波帯域での誘電率と誘電正接が低く高周波回路
の低損失性を実現でき、しかも回路充填性などの成形性
が良好な難燃性変性シアネートエステル系樹脂フィルム
及びその製造方法を提供することを課題とした。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)式
(1)で示されるシアネートエステル類化合物、(B)
式(2)で示される1価フェノール類化合物、(C)ポ
リフェニレンエーテル樹脂、(D)金属系反応触媒及び
(E)シアネートエステル類化合物との反応性を有しな
い難燃剤を必須成分として含有する変性シアネートエス
テル系硬化性樹脂組成物を半硬化もしくは硬化してなる
難燃性変性シアネートエステル系樹脂フィルムである。
また、本発明は、前記変性シアネートエステル系硬化性
樹脂組成物が、(A)式(1)で示されるシアネートエ
ステル類化合物の100重量部に対して、(B)式
(2)で示される1価フェノール類化合物を4〜30重
量部、(C)ポリフェニレンエーテル樹脂5〜500重
量部、(D)金属系反応触媒を(A)シアネートエステ
ル類化合物1gに対し1〜300ppm及び(E)シア
ネートエステル類化合物と反応性を有しない難燃剤を
(A)から(D)の総量100重量部に対し、5〜50
重量部を配合した硬化性樹脂組成物であると好ましい難
燃性変性シアネートエステル系樹脂フィルムである。ま
た、(A)シアネートエステル類化合物と(B)1価フ
ェノール類化合物の一部又は全部を反応させて得られる
変性シアネートエステル樹脂と、(C)ポリフェニレン
エール樹脂、(D)金属系反応触媒及び(E)シアネー
トエステル類化合物と反応性を有しない難燃剤を必須成
分として含有する変性シアネートエステル系硬化性樹脂
組成物であると好ましい難燃性変性シアネートエステル
系樹脂フィルムである。そして、本発明は、前記の変性
シアネートエステル系硬化性樹脂組成物と溶剤を含むワ
ニスを支持基材の片面に流延塗布し、加熱乾燥により溶
剤を除去し製膜することを特徴とする難燃性変性シアネ
ートエステル系樹脂フィルムの製造方法である。また、
前記の変性シアネートエステル系硬化性樹脂組成物にお
いて、(C)ポリフェニレンエーテル樹脂の溶剤溶液中
で、(A)シアネートエステル類化合物と(B)1価フ
ェノール類化合物の反応を行い得られたワニスを用いて
フィルムを作製すると好ましく、さらに、(C)ポリフ
ェニレンエーテル樹脂の芳香族炭化水素系溶剤溶液中
で、(A)シアネートエステル類化合物と(B)1価フ
ェノール類化合物の反応を行いワニスを作製すると好ま
しく、また、(C)ポリフェニレンエーテル樹脂の芳香
族炭化水素系溶剤溶液中で、(A)シアネートエステル
類化合物と(B)1価フェノール類化合物の反応を行
い、さらにケトン系溶剤を配合してワニスを作製すると
好ましく、そのワニスを支持基材の片面に流延塗布し、
加熱乾燥により溶剤を除去し製膜する難燃性変性シアネ
ートエステル系樹脂フィルムの製造方法である。
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
【0017】
【発明の実施の形態】本発明は、誘電特性の良好な変性
シアネートエステル樹脂に誘電特性が良好な熱可塑性樹
脂である(C)ポリフェニレンエーテル樹脂を配合する
ことにより誘電特性の向上を図っており、本来非相容系
であって均一な樹脂を得ることが困難であるシアネート
エステル樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂とを、
(C)ポリフェニレンエーテル樹脂の溶剤溶液中で、
(A)シアネートエステル類化合物と(B)1価フェノ
ール類化合物の反応を行うといういわゆる“セミIPN
化の手法によって、フィルム用の均一な樹脂ワニスを製
造し、さらにそれを支持基材である銅箔やキャリヤフィ
ルムの片面に流延塗布し、加熱乾燥により溶剤を除去し
て相容化した樹脂フィルムを得る難燃性変性シアネート
エステル系樹脂フィルムの製造方法及難燃性変性シアネ
ートエステル系樹脂フィルムである。
【0018】高分子材料など誘電特性は双極子の配向分
極による影響が大きく、したがって分子内の極性基を少
なくすることにより低誘電率化が図れ、また極性基の運
動性を抑えることにより誘電正接を低くすることが可能
である。シアネートエステル樹脂は、極性の強いシアナ
ト基を有していながら硬化時には対称性かつ剛直なトリ
アジン構造を生成するので、熱硬化性樹脂としては最も
低い誘電率及び誘電正接の硬化物が得られるという特徴
がある。
【0019】しかしながら、実際の硬化反応において
は、シアネートエステル樹脂中のすべてのシアナト基が
反応してトリアジン構造を生成するということは不可能
であり、硬化反応の進行に伴って反応系が流動性を失い
未反応のシアナト基として系内に残存することになる。
その結果、これまでのシアネートエステル樹脂では、本
来の硬化物が示すはずの特性よりは誘電率や誘電正接が
高い硬化物しか得られなかった。
【0020】これに対して本発明の樹脂組成物では、
(B)1価フェノール類化合物を(A)シアネートエス
テル類化合物に対して適正量配合することで未反応とし
て残るシアナト基をイミドカーボネート化してその極性
を減じることにより硬化物の誘電率と誘電正接を本来の
値まで低下させようとしたものである。この目的で用い
る材料としては、シアナト基との反応性が高く、また単
官能で比較的低分子量でありかつシアネートエステル類
化合物との相容性が良い(分子構造に類似性があり)化
合物が適していると考えられる。本発明の樹脂組成物で
用いる1価のフェノール類化合物は、このような理由に
よって特定された化合物である。
【0021】従来、シアネートエステル類化合物の三量
化反応(トリアジン環の生成)の助触媒として、ノニル
フェノール等のフェノール化合物がシアネートエステル
類化合物100重量部に対して1〜2重量部程度用いら
れる場合があった。しかし配合量が触媒量であったた
め、上記のような未反応のシアナト基と反応し低極性化
するという効果は認められなかった。しかるに本発明者
らがフェノール化合物の配合量について検討した結果、
フェノール化合物を従来の触媒量よりも多量に配合した
場合に硬化物の誘電率と誘電正接が低下することを認
め、かつ特定の1価フェノール類化合物を用いれば、配
合量が増える事による耐熱性の低下も抑制できることを
見出した。そのため本発明の方法によれば、これまでの
シアネートエステル樹脂単独の硬化物や、従来のエポキ
シ樹脂や多価フェノール類(片方の水酸基が未反応基と
して残り易いため誘電特性をかえって悪化させる)及び
ビスマレイミド等を配合した樹脂の硬化物よりも誘電率
と誘電正接の低い硬化物が得られるようになった。
【0022】したがって本発明の樹脂組成物では、1価
フェノール類化合物の配合量が重要である。すなわち、
配合量が少ない場合は未反応として残存する全てのシア
ナト基と反応し低極性化することができず、配合量が必
要量より多い場合はかえって自分自身が未反応として残
存し、自身の水酸基の極性によって硬化物の誘電特性を
悪化させてしまうことになるからである。
【0023】また本発明に用いられる難燃剤は、(A)
シアネートエステル類化合物と(B)1価フェノール類
化合物の反応を阻害しないようにシアネートエステル類
化合物と反応性を有しないことが必須であり、炭化水素
系の低極性化合物であるため硬化物の誘電特性を悪化さ
せることが少ない。また、もう一種類の特定した難燃剤
は炭化水素系以外の化合物であってもシアネートエステ
ルの硬化物と同様なトリアジン構造をもっているためシ
アネートエステル樹脂硬化物に相容し易く、耐熱性や誘
電特性を悪化させることなく耐燃性を付与することがで
きる。
【0024】本発明の難燃性変性シアネートエステル系
樹脂フィルムに用いられる変性シアネートエステル系硬
化性樹脂組成物は、(A)式(1)で示されるシアネー
トエステル類化合物、(B)式(2)で示される1価フ
ェノール類化合物、(C)ポリフェニレンエーテル樹
脂、(D)金属系反応触媒及び(E)シアネートエステ
ル類化合物と反応性を有しない難燃剤を必須成分として
含む。
【0025】本発明における(A)シアネートエステル
類化合物は、式(1)で示されように1分子中にシアナ
ト基を2個有するシアネートエステル類化合物である。
式(1)で示される化合物としては、例えば、ビス(4
−シアナトフェニル)エタン、2,2−ビス(4−シア
ナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメ
チル−4−シアナトフェニル)メタン、2,2−ビス
(4−シアナトフェニル)−1,1,1,3,3,3−
ヘキサフルオロプロパン、α,α’−ビス(4−シアナ
トフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、フェノー
ル付加ジシクロペンタジエン重合体のシアネートエステ
ル化物等が挙げられる。その中でも、2,2−ビス(4
−シアナトフェニル)プロパン及び2,2−ビス(3,
5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタンが硬化物
の誘電特性と硬化性のバランスが特に良好であるため好
ましい。また(A)シアネートエステル類化合物は、1
種類を単独で用いてもよく、又は2種類以上を混合して
用いてもよい。
【0026】本発明における(B)1価フェノール類化
合物は、式(2)で示されるアルキル置換フェノール類
であり、耐熱性の良好な化合物が好ましい。式(2)で
示される化合物としては、p−tert−ブチルフェノ
ール、p−tert−アミルフェノール及びp−ter
t−オクチルフェノールが挙げられ、その中でもp−t
ert−オクチルフェノールがより好ましい。(B)1
価フェノール類化合物は、上記のうちいずれか1種類を
単独で用いてもよくまたは2種類以上を混合して用いて
もよい。
【0027】本発明における(B)1価フェノール類化
合物の配合量は、(A)シアネートエステル類化合物1
00重量部に対して4〜30重量部とするのが好まし
く、5〜25重量部とすることがより好ましく、5〜2
0重量部とすることが特に好ましい。(B)1価フェノ
ール類化合物の配合量が4重量部未満では十分な誘電特
性が得られず、特に高周波帯域での誘電正接が十分に低
くならない傾向がある。また30重量部を超えるとかえ
って誘電正接が高くなるという傾向があり望ましくな
い。したがって、高周波帯において誘電正接の低い変性
シアネートエステル系樹脂フィルムを得るためには、
(A)シアネートエステル類化合物に対して適切な配合
量の(B)1価フェノール類化合物を用いる必要があ
る。
【0028】本発明における(A)シアネートエステル
類化合物と(B)1価フェノール類化合物は、通常、そ
れぞれを反応させて得られる変性シアネートエステル樹
脂として用いられる。すなわち、(A)シアネートエス
テル類化合物のプレポリマ化とともに、(A)シアネー
トエステル類化合物に(B)1価フェノール類化合物を
付加させたイミドカーボネート化変性樹脂として用いら
れる。
【0029】(A)シアネートエステル類化合物と
(B)1価フェノール類化合物を反応させる際には、
(B)1価フェノール類化合物を反応初期から上記の適
正配合量の全部を投入して反応させて変性シアネートエ
ステル樹脂としても良いし、反応初期は上記の適正配合
量の一部を反応させ、冷却後残りの(B)1価フェノー
ル類化合物を投入して、Bステージ化時あるいは硬化時
に反応させて変性シアネートエステル樹脂としても良
い。
【0030】本発明における(C)ポリフェニレンエー
テル樹脂としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジメチ
ル−1,4−フェニレン)エーテルとポリスチレンのア
ロイ化ポリマ、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェ
ニレン)エーテルとスチレン−ブタジエンコポリマのア
ロイ化ポリマ等が挙げられ、その中でも、ポリ(2、6
−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルとポリスチ
レンのアロイ化ポリマ及びポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレン)エーテルとスチレン−ブタジエン
コポリマのアロイ化ポリマ等が好ましい。(C)ポリフ
ェニレンエーテル樹脂中のポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレン)エーテルの成分量は、50重量%
以上含有するポリマであることが硬化物の誘電特性が良
好であるために好ましいが、65重量%以上含有するポ
リマであることがより好ましい。
【0031】本発明における(C)ポリフェニレンエー
テル樹脂の配合量は、(A)シアネートエステル類化合
物100重量部に対して5〜500重量部とすることが
好ましく、10〜300重量部とすることがより好まし
く、15〜200重量部とすることが特に好ましい。
(C)ポリフェニレンエーテル樹脂の配合量が5重量部
未満では十分な誘電特性が得られなくなる傾向があり、
500重量部を超えると熱硬化成分である(A)シアネ
ートエステル樹脂の反応性が(C)ポリフェニレンエー
テル樹脂の希釈効果により悪くなり、得られた樹脂フィ
ルムの耐熱性や耐溶剤性が悪くなるという問題点が生じ
る。
【0032】本発明の(D)金属系反応触媒は、(A)
シアネートエステル類化合物と(B)1価フェノール類
化合物との反応を促進するものであり、変性シアネート
エステル系硬化性樹脂組成物を製造する際の反応触媒及
び樹脂フィルムが硬化する際の硬化促進剤として用いら
れる。金属系反応触媒としては、マンガン、鉄、コバル
ト、ニッケル、銅、亜鉛等の金属触媒類が用いられ、具
体的には、2−エチルヘキサン酸塩やナフテン酸塩等の
有機金属塩化合物及びアセチルアセトン錯体などの有機
金属錯体として用いられる。変性シアネートエステル系
硬化性樹脂組成物を製造する際の反応促進剤と積層板を
製造する際の硬化促進剤で同一の金属系反応触媒を単独
で用いてもよく、またはそれぞれ別の2種類以上を用い
てもよい。
【0033】本発明における(D)金属系反応触媒の配
合量は、(A)シアネートエステル類化合物1gに対し
て1〜300ppmとすることが好ましく、1〜200
ppmとすることがより好ましく、2〜150ppmと
することが特に好ましい。(D)金属系反応触媒の配合
量が1ppm未満では反応性及び硬化性が不十分となる
傾向があり、300ppmを超えると反応の制御が難し
くなったり、硬化が速くなりすぎて流動性が乏しくなり
成形性が悪くなる傾向がある。また、本発明における
(D)金属系反応触媒の配合時期は、変性シアネートエ
ステル系硬化性樹脂組成物を製造する際に反応促進剤及
び硬化促進剤として必要な量を同時にまとめて配合して
もよいし、変性シアネートエステル系硬化性樹脂組成物
を製造する際に変性反応の促進に必要な量を用い、反応
終了後残りの触媒、又は別の金属系触媒を硬化促進剤と
して添加混合してもよい。
【0034】本発明における(E)シアネートエステル
類化合物と反応性を有しない難燃剤としては、例えば、
1,2−ジブロモ−4−(1,2−ジブロモエチル)シ
クロヘキサン、テトラブロモシクロヘキサン、テトラブ
ロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ポ
リブロモジフェニルエーテル、臭素化ポリスチレン、臭
素化ポリカーボネート及び式(3)で示される臭素化ト
リフェニルシアヌレート系難燃剤等が挙げられ、その中
でも、1,2−ジブロモ−4−(1,2−ジブロモエチ
ル)シクロヘキサン、テトラブロモシクロオクタン、ヘ
キサブロモシクロドデカン、臭素化トリフェニルシアヌ
レート系難燃剤が得られる硬化物の誘電特性が良好であ
るのでより好ましい。
【0035】
【化6】
【0036】本発明における(E)シアネートエステル
類化合物と反応性を有しない難燃剤の配合量は、(A)
シアネートエステル類化合物、(B)1価フェノール類
化合物、(C)ポリフェニレンエーテル樹脂及び(D)
金属系反応触媒の総量100重量部に対して5〜50重
量部とすることが好ましく、5〜40重量部とすること
がより好ましく、10〜30重量部とすることが特に好
ましい。(E)シアネートエステル類化合物と反応性を
有しない難燃剤の配合量が5重量部未満では耐燃性が不
十分となる傾向があり、50重量部を超えると樹脂の耐
熱性が低下する傾向がある。
【0037】本発明の難燃性変性シアネートエステル系
樹脂フィルムに用いる組成物には、上記必須成分以外に
必要に応じて無機充填剤及びその他添加剤を配合するこ
とができる。無機充填剤としては、シリカ、アルミナ、
水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、クレイ、タル
ク、窒化珪素、窒化ホウ素、酸化チタン、チタン酸バリ
ウム、チタン酸鉛、チタン酸ストロンチウム等を使用す
ることができる。この配合量としては、本発明の樹脂組
成物の総量100重量部に対して、300重量部以下と
することが、本発明の難燃性変性シアネートエステル系
樹脂フィルムが均一でかつ良好な取扱性を得るために好
ましい。
【0038】本発明の難燃性変性シアネートエステル系
樹脂フィルムを製造するには、以上説明した変性シアネ
ートエステル系硬化性樹脂組成物を溶剤に溶解して10
〜50重量%のワニスとし、支持基材の片面にバーコー
タやロールコータなどを用いて流延塗布し、加熱乾燥に
より溶剤を除去してフィルム(製膜)とすることができ
る。
【0039】上記のワニスを製造する場合に用いられる
溶剤の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン
等の芳香族炭化水素類、トリクロロエチレン、クロロベ
ンゼン等のハロゲン化炭化水素類、N、N−ジメチルホ
ルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド等のアミド
系やN−メチルピロリドンなどの窒素系溶剤などが用い
られる。特にベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族
炭化水素類(芳香族炭化水素系溶剤)がより好ましい。
これらの溶剤類は1種類単独で用いてもよく又は2種類
以上を混合して用いてもよい。芳香族炭化水素系溶剤の
配合量は、樹脂組成物の全体量100重量部に対して1
00〜900重量部が好ましく、100〜600重量部
がより好ましく、150〜400重量部が特に好まし
い。
【0040】またアセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類を
芳香族炭化水素系溶剤類と併用した場合はワニスが懸濁
溶液となるが、より高濃度の溶液が得られるという利点
がある。しかし、ケトン類の配合量が多すぎると樹脂組
成物が分離沈降する恐れがあるので、ケトン系溶剤の配
合量は芳香族炭化水素系溶剤100重量部に対して25
0重量部以下とするが好ましい。
【0041】本発明に用いる支持基材は、銅やアルミニ
ウム等の金属箔、ポリエステルやポリイミド等の樹脂フ
ィルム、あるいはこれらの樹脂フィルムの表面に離型剤
を塗布したものなどを用いることができる。支持基材に
銅箔を用いた場合は、銅箔をそのまま回路導体として使
用することができる利点があり、また支持基材に離型剤
処理が施されていると支持基材から難燃性シアネートエ
ステル系樹脂フィルムを引き剥がす際や支持基材付フィ
ルムを基板に積層した後支持基材だけを剥離する際の作
業性を向上させる上で好ましい。
【0042】このように支持基材の片面に絶縁性の樹脂
層を形成した難燃性変性シアネートエステル系樹脂フィ
ルムは、以下に示す方法によって印刷配線板の製造に供
することができる。例えば、支持基材を除去したフィル
ム状の樹脂を1枚または複数枚積層しその上下に銅箔を
配置してプレス成形するか、あるいは支持基材である銅
箔にワニスを塗工した難燃性変性シアネートエステル系
樹脂フィルムをフィルム同士を合わせるように貼り合わ
せ、さらに必要ならばその間に樹脂フィルム基材を除去
した難燃性変性シアネートエステル系樹脂フィルムを1
枚以上介在させてプレス成形することによって印刷配線
板用の銅張積層板を製造することができる。
【0043】また、従来のガラス布基材の銅張積層板あ
るいは上記の銅張積層板に回路を形成後、支持基材を除
去した難燃性変性シアネートエステル系樹脂フィルムを
1枚以上積層し、さらにその上に銅箔や回路形成基板を
配置してプレス成形するか、または支持基材としての銅
箔に塗工した難燃性変性シアネートエステル系樹脂フィ
ルムを配置してプレス成形することにより多層配線板用
の基板を製造することができる。
【0044】なお、回路の形成には、従来の方法を適用
することができる。例えば、銅張積層板又は多層配線板
用基板に必要に応じて貫通又は非貫通穴を明け、ついで
無電解めっき又は必要に応じて電気めっきを施して穴内
壁を導体化した後、導通穴部の保護とエッチングレジス
トの形成及びエッチングによる非配線部分の銅の除去な
どの工程により回路を形成することができる。
【0045】さらに本発明の難燃性変性シアネートエス
テル系樹脂フィルムでは、貫通又は非貫通穴を明ける方
法としてドリル穴明け及びレーザ加工を採用することが
できる。レーザ加工の場合には、レーザショットにより
直に穴を形成するダイレクト・イメージング法や金属製
マスク等を用いるコンフォーマル・マスク法でレーザ穴
明けが可能であるが、本発明に示される難燃性変性シア
ネートエステル系樹脂フィルムの一例である銅箔を支持
基材とした場合は、貫通又は非貫通穴を形成すべき場所
をエッチングによって除去した銅箔をマスクとして用い
てレーザ穴明けを行うことができる。
【0046】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明する。表1に示す配合量に従い変性シアネートエステ
ル系硬化性樹脂組成物ワニスを製造し、半硬化状の樹脂
フィルムを作製した。
【0047】(実施例1)温度計、冷却管、攪拌装置を
備えた1リットルの4つ口セパラブルフラスコに、トル
エン540gと(C)ポリフェニレンエーテル樹脂とし
てノニルPKN4752(日本ジーイープラスチックス
株式会社製商品名)120gを投入し、80℃に加熱し
攪拌溶解した。次に(A)シアネートエステル類化合物
として2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン
(ArocyB−10、旭チバ株式会社製商品名)60
g、(B)1価フェノール類化合物としてp−tert
−オクチルフェノール(和光純薬工業株式会社製)5
g、(E)シアネートエステル類化合物と反応性を有し
ない難燃剤として臭素化トリフェニルシアヌレート(ピ
ロガードSR−245、第一工業製薬株式会社製商品
名)55gを投入溶解後、(D)金属系反応触媒として
ナフテン酸コバルト(Co含有量=8重量%、日本化学
産業株式会社製)の10重量%トルエン希釈溶液0.8
gを添加し還流温度で1時間反応させた。室温まで冷却
し変性シアネートエステル系硬化性樹脂組成物ワニス
(固形分濃度=31重量%)を製造した。
【0048】このワニスをバーコータの一種であるコン
マ型コータ(株式会社ヒラノテクシード製)を用いて厚
さ50μmの離型剤付きのポリエチレンテレフタレート
(PET)フィルム(ピューレックスA−63,株式会
社帝人製商品名)に塗工、乾燥(130℃)し、樹脂層
厚さ30〜33μmのPETフィルム付樹脂フィルムを
作製した。得られた難燃性変性シアネートエステル系樹
脂フィルムはカッタナイフで切断しても樹脂割れや粉落
ちがなく、取扱性に優れていた。
【0049】(実施例2)温度計、冷却管、攪拌装置を
備えた1リットルの4つ口セパラブルフラスコに、トル
エン360gとポリフェニレンエーテル樹脂(ノニルP
KN4752、日本ジーイープラスチックス株式会社製
商品名)160gを投入し、80℃に加熱し攪拌溶解し
た。次に2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパ
ン(ArocyB−10、旭チバ株式会社製商品名)8
0g、p−tert−オクチルフェノール(和光純薬工
業株式会社製)2gを投入溶解後、ナフテン酸マンガン
(Mn含有量=8重量%、日本化学産業株式会社製)の
10重量%トルエン希釈溶液0.3gを添加し還流温度
で3時間反応させた。ついでテトラブロモシクロオクタ
ン(SaytexBC−48、アルベマール社製商品
名)60gを投入溶解させた。反応液を冷却し、内温が
90℃になったらメチルエチルケトン(MEK)300
gを攪拌しながら投入し懸濁化させた。さらに室温まで
冷却した後、p−tert−ブチルフェノール(和光純
薬製)5g、ナフテン酸亜鉛(Zn含有量=8重量%、
日本化学産業株式会社製)の10重量%トルエン希釈溶
液0.2gを投入溶解し変性シアネートエステル系硬化
性樹脂組成物ワニス(固形分濃度=32重量%)を製造
した。
【0050】このワニスを用いて実施例1と同様にし
て、樹脂層厚さ30〜33μmのPETフィルム付樹脂
フィルムを作製した。得られた樹脂フィルムはカッタナ
イフで切断しても樹脂割れや粉落ちがなく、取扱性に優
れていた。
【0051】(実施例3)温度計、冷却管、攪拌装置を
備えた1リットルの4つ口セパラブルフラスコに、トル
エン540gとポリフェニレンエーテル樹脂(ノニルP
KN4752、日本ジーイープラスチックス株式会社製
商品名)105gを投入し、80℃に加熱し攪拌溶解し
た。次に2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパ
ン(ArocyB−10、旭チバ株式会社製商品名)7
5g、p−tert−オクチルフェノール(和光純薬工
業株式会社製)15g、臭素化トリフェニルシアヌレー
ト(ピロガードSR−245、第一工業製薬株式会社製
商品名)45gを投入溶解後、ナフテン酸コバルト(C
o含有量=8重量%、日本化学産業株式会社製)の10
重量%トルエン希釈溶液0.7gを添加し還流温度で2
時間反応させた。反応液を室温まで冷却した後、ナフテ
ン酸亜鉛(Zn含有量=8重量%、日本化学産業株式会
社製)の10重量%トルエン希釈溶液0.1gを添加し
攪拌溶解して変性シアネートエステル系硬化性樹脂組成
物ワニス(固形分濃度=31重量%)を製造した。
【0052】このワニスを用いて実施例1と同様にし
て、樹脂層厚さ30〜33μmのPETフィルム付樹脂
フィルムを作製した。得られた樹脂フィルムはカッタナ
イフで切断しても樹脂割れや粉落ちがなく、取扱性に優
れていた。
【0053】(実施例4)温度計、冷却管、攪拌装置を
備えた1リットルの4つ口セパラブルフラスコに、トル
エン540gとポリフェニレンエーテル樹脂(ノニルP
KN4752、日本ジーイープラスチックス株式会社製
商品名)90gを投入し、80℃に加熱し攪拌溶解し
た。次に2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパ
ン(ArocyB−10、旭チバ株式会社製商品名)9
0g、p−tert−オクチルフェノール(和光純薬工
業株式会社製)11gを投入溶解後、ナフテン酸マンガ
ン(Mn含有量=8重量%、日本化学産業株式会社製)
の10重量%トルエン希釈溶液0.7gを添加し還流温
度で6時間反応させた。ついでヘキサブロモシクロドデ
カン(CD−75P、グレートレイクス社製商品名)3
5gを投入溶解させた。室温まで冷却し変性シアネート
エステル系硬化性樹脂組成物ワニス(固形分濃度=30
重量%)を製造した。
【0054】このワニスを用いて実施例1と同様にし
て、樹脂層厚さ30〜33μmのPETフィルム付樹脂
フィルムを作製した。得られた樹脂フィルムはカッタナ
イフで切断しても樹脂割れや粉落ちがなく、取扱性に優
れていた。
【0055】(実施例5)温度計、冷却管、攪拌装置を
備えた1リットルの4つ口セパラブルフラスコに、トル
エン540gとポリフェニレンエーテル樹脂(ノニルP
KN4752、日本ジーイープラスチックス株式会社製
商品名)60gを投入し、80℃に加熱し攪拌溶解し
た。次にビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニ
ル)メタン(ArocyM−10、旭チバ株式会社製商
品名)120g、p−tert−アミルフェノール(和
光純薬工業株式会社製)6gを投入溶解後、ナフテン酸
マンガン(Mn含有量=8重量%、日本化学産業株式会
社製)の10重量%トルエン希釈溶液0.4gを添加し
還流温度で6時間反応させた。ついで1,2−ジブロモ
−4−(1,2−ジブロモエチル)シクロヘキサン(S
aytexBCL−462、アルベマール社製商品名)
30gを投入溶解させた。反応液を室温まで冷却した
後、ナフテン酸コバルト(Co含有量=8重量%、日本
化学産業株式会社製)の10重量%トルエン希釈溶液
0.2gを添加し攪拌溶解して変性シアネートエステル
系硬化性樹脂組成物ワニス(固形分濃度=29重量%)
を製造した。
【0056】このワニスを用いて実施例1と同様にし
て、樹脂層厚さ30〜33μmPETフィルム付樹脂フ
ィルムを作製した。得られた樹脂フィルムはカッタナイ
フで切断しても樹脂割れや粉落ちがなく、取扱性に優れ
ていた。
【0057】(比較例1)温度計、冷却管、攪拌装置を
備えた1リットルの4つ口セパラブルフラスコに、トル
エン360gとポリフェニレンエーテル樹脂(ノニルP
KN4752、日本ジーイープラスチックス株式会社製
商品名)120gを投入し、80℃に加熱し攪拌溶解
し、ついで難燃剤としてテトラブロモシクロオクタン
(SaytexBC−48、アルベマール社製)20g
を投入溶解しワニス(固形分濃度=28重量%)を製造
した。このワニスを用いて実施例1と同様にして、樹脂
層厚さ30〜33μmのPETフィルム付樹脂フィルム
を作製した。得られた樹脂フィルムはカッタナイフで切
断しても樹脂割れや粉落ちがなく、取扱性に優れてい
た。
【0058】(比較例2)温度計、冷却管、攪拌装置を
備えた1リットルの4つ口セパラブルフラスコに、メチ
ルエチルケトン(MEK)240gと2,2−ビス(4
−シアナトフェニル)プロパン(ArocyB−10、
旭チバ株式会社製商品名)120g、p−tert−オ
クチルフェノール(和光純薬工業株式会社製)2g、難
燃剤としてシアナト基と反応性を有する臭素化ビスフェ
ノールA型エポキ樹脂(ESB400、住友化学工業株
式会社製商品名)40gを投入し攪拌溶解後、ナフテン
酸コバルト(Co含有量=8重量%、日本化学産業株式
会社製)の10重量%トルエン希釈溶液1.2gを添加
し還流温度で2時間反応させ、室温まで冷却しワニス
(固形分濃度=35重量%)を製造した。このワニスを
用いて実施例1と同様にして、樹脂層厚さ30〜33μ
mのPETフィルム付樹脂フィルムを作製したが、得ら
れた樹脂フィルムはカッタナイフで切断した際に樹脂割
れや粉落ちが発生し、PETフィルムを剥離すると樹脂
フィルム単体で取扱うことができなかった。
【0059】(比較例3)実施例4において、トルエン
540gにポリフェニレンエーテル樹脂(ノニルPKN
4752、日本ジーイープラスチックス株式会社製商品
名)90gを投入し80℃に加熱して攪拌溶解し、次に
2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(Ar
ocyB−10、旭チバ株式会社製商品名)の替わりに
そのオリゴマ(ArocyB−30、旭チバ株式会社製
商品名)90g、難燃剤としてシアナト基と反応性を有
する臭素化ビスフェノールA型エポキ樹脂(ESB40
0、住友化学工業株式会社製商品名)60gを投入して
80℃で1時間加熱溶解した。ついで常温まで冷却し、
p−tert−オクチルフェノール(和光純薬工業株式
会社製)の替わりにノニルフェノール(三井東圧化学株
式会社製)1g、ナフテン酸マンガンの替わりにナフテ
ン酸コバルト(Co含有量=8重量%、日本化学産業株
式会社製)の10重量%トルエン希釈溶液1gを添加し
てワニス(固形分濃度=29重量%)を製造した。しか
し、このワニスは1日後にポリフェニレンエーテル樹脂
の凝集分離物が観察され、結局、樹脂フィルムを作製す
ることができなかった。
【0060】
【表1】
【0061】(A)B−10(旭チバ株式会社製商品名);2,
2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン M−10(旭チバ株式会社製商品名);ビス(3,5-ジメチル
-4-シアナトフェニル)メタン B−30(旭チバ株式会社製商品名);2,2-ビス(4-シア
ナトフェニル)プロパンのオリゴマ (B)PBP(和光純薬工業株式会社製);p−tert
−ブチルフェノール PAP(和光純薬工業株式会社製);p−tert−ア
ミルフェノール POP(和光純薬工業株式会社製);p−tert−オ
クチルフェノール NP(三井東圧化学株式会社製);ノニルフェノール BPA(三井東圧化学株式会社製);ビスフェノール
A、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン (C)PPO(ノニルPKN4752、日本ジーイープラ
スチックス株式会社製商品名);ポリフェニレンエーテ
ル樹脂 (D)Co;ナフテン酸コバルト(Co=8重量%、日本
化学産業株式会社製)の10重量%トルエン希釈溶液 Zn;ナフテン酸亜鉛(Zn=8重量%、日本化学産業
株式会社製)の10重量%トルエン希釈溶液 Mn;ナフテン酸マンガン(Mn=8重量%、日本化学
産業株式会社製)の10重量%トルエン希釈溶液 (E)BCL−462(アルベマール社製);1,2-ジブロモ-4
-(1,2-ジブロモエチル)シクロヘキサン BC−48(アルベマール社製);テトラブロモシクロオ
クタン CD−75P(グレートレイクス社製);ヘキサブロモシ
クロドデカン SR−245(第一工業製薬株式会社製商品名);2,4,6-
トリス(トリブロモフェノキシ)-1,3,5-トリアジン ESB-400(住友化学工業株式会社製商品名);臭素化
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 TBA(FG−2000、帝人化成株式会社製商品名);
臭素化ビスフェノールA
【0062】つぎに、実施例1〜5のPETフィルム付
樹脂フィルムについて、樹脂フィルム単独での取扱性と
硬化後のフィルムの耐溶剤性の評価を行った。実施例1
のPETフィルム付樹脂フィルムからPETフィルムを
剥離し、得られた樹脂フィルムを12枚と、その上下に
電解銅箔の鏡面を剥離面として用いて重ね、200℃、
1.5MPaで1時間プレス成形を行い、厚さ約0.4
mmの難燃性変性シアネートエステル系樹脂の硬化フィ
ルムを作製した。同様にして実施例2〜5の樹脂フィル
ムをプレス成形してそれぞれの樹脂の硬化フィルムを作
製した。また、比較例1のPETフィルム付樹脂フィル
ムについて、樹脂フィルムをPETフィルムから剥離
し、その12枚と上下に電解銅箔の鏡面を剥離面として
用いて重ね、200℃、1.5MPaで1時間プレス
し、厚さ約0.4mmの樹脂成形フィルムを作製した。
比較例2のPETフィルム付樹脂フィルムについても同
様に行ったが、比較例2のPETフィルム付樹脂フィル
ムは、シアネートエステル樹脂単独のフィルムであるた
めPETフィルムを剥離しようとすると、樹脂フィルム
自体が脆いため割れてしまいフィルム単独で扱うことが
できなかった。その結果、樹脂の硬化フィルムを作製す
ることができなかった。
【0063】上記の樹脂硬化フィルムを50mm角に切
断し、トルエン中に浸漬し室温で60分間放置した。実
施例1〜5の樹脂硬化フィルムは、膨潤あるいは外観に
変化が見られなかった。また、別に用意した実施例1〜
5の樹脂硬化フィルムの表面を、トルエン又はメチルエ
チルケトン(MEK)を含ませた布で数回擦ってフィル
ム表面の異常の有無を観察したが、実施例1〜5の樹脂
硬化フィルムでは、フィルム表面の異常は見られなかっ
た。以上のことから実施例1〜5の樹脂硬化フィルム
は、耐溶剤性が良好であることが確認できた。
【0064】同様に、比較例1の樹脂成形フィルムを5
0mm角に切断し、トルエン中に浸漬し室温で60分間
放置したところ、ポリフェニレンエーテル単独の樹脂成
形フィルムであるため膨潤し、一部は溶解してしまっ
た。また別の樹脂成形フィルムの表面をトルエンを含ま
せた布で数回擦ったところ、フィルムの表面が溶けてべ
たつきが発生した。また別の樹脂成形フィルムの表面を
メチルエチルケトン(MEK)を含ませた布で数回擦っ
たところ、フィルムにひびわれ(亀裂)が生じ、遂には
穴が明いて割れてしまった。以上の結果より、本発明の
難燃性変性シアネートエステル系樹脂フィルムは、フィ
ルム単独での取扱性が可能でありかつ耐溶剤性も良好で
あることが確認できた。
【0065】つぎに、実施例2〜5の変性シアネートエ
ステル系硬化性樹脂組成物ワニスを用いて無機充填剤を
添加した樹脂フィルムを作製し、その硬化物のGHz帯
での誘電特性、ガラス転移温度及び引張弾性率を測定し
た。
【0066】(実施例6)実施例2の変性シアネートエ
ステル系硬化性樹脂組成物ワニス170gに、無機充填
剤として平均粒径5μmの溶融シリカ粉25gを加え、
さらに直径1.0mmセラミックビーズ200gを投入
し、AIMEX社製ビーズミルを用いて1500rpm
で1時間混練した。混練後、ビーズをろ別したワニスを
バーコータの一種であるコンマ型コータを用いて厚さ5
0μmの離型剤付きのポリエチレンテレフタレート(P
ET)フィルム(ピューレックスA−63,株式会社帝
人製商品名)に塗工、乾燥(130℃)し、樹脂層(フ
ィラ入り)厚さ;55〜60μmのPETフィルム付フ
ィラ入り樹脂フィルムを作製した。得られたフィラ入り
樹脂フィルムはカッタナイフで切断しても樹脂割れや粉
落ちがなく、取扱性に優れていた。
【0067】(実施例7)実施例3の変性シアネートエ
ステル系硬化性樹脂組成物ワニスを用いた以外は実施例
6と同様にして樹脂層(フィラ入り)厚さ55〜60μ
mのPETフィルム付フィラ入り樹脂フィルムを作製し
た。得られたフィラ入り樹脂フィルムはカッタナイフで
切断しても樹脂割れや粉落ちがなく、取扱性に優れてい
た。
【0068】(実施例8)実施例4の変性シアネートエ
ステル系硬化性樹脂組成物ワニス170gに、無機充填
剤として平均粒径5μmの溶融シリカ粉40gを加え、
さらに直径1.0mmセラミックビーズ200gを投入
し、AIMEX社製ビーズミルを用いて1500rpm
で1時間混練した。混練後、ビーズをろ別したワニスを
バーコータの一種であるコンマ型コータを用いて厚さ5
0μmの離型剤処理PETフィルム(ピューレックスA
−63,株式会社帝人製商品名)に塗工、乾燥(130
℃)し、フィラ入り樹脂層厚さ50〜55μmのPET
フィルム付フィラ入り樹脂フィルムを作製した。得られ
たフィラ入り樹脂フィルムはカッタナイフで切断しても
樹脂割れや粉落ちがなく、取扱性に優れていた。
【0069】(実施例9)実施例5の変性シアネートエ
ステル系硬化性樹脂組成物ワニスを用いた以外は実施例
8と同様にしてフィラ入り樹脂層厚さ55〜60μmの
PET付フィラ入り樹脂フィルムを作製した。得られた
フィラ入り樹脂フィルムはカッタナイフで切断しても樹
脂割れや粉落ちがなく、取扱性に優れていた。
【0070】(比較例4)実施例1において、p−te
rt−オクチルフェノールの替わりに2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA;ビスフェノ
ールA、三井東圧化学株式会社製)1gを用い、難燃剤
としてシアナト基と反応性を有する臭素化ビスフェノー
ルA型エポキ樹脂(ESB400、住友化学工業株式会
社製商品名)75gを投入溶解した以外は実施例1と同
様に反応させてワニス(固形分濃度=32重量%)を製
造した。このワニスを用いて実施例6と同様にして溶融
シリカ粉と混練及び塗工し、フィラ入り樹脂層厚さ55
〜60μmのPETフィルム付フィラ入り樹脂フィルム
を作製した。得られた樹脂フィルムはカッタナイフで切
断しても樹脂割れや粉落ちがなく、取扱性に優れてい
た。
【0071】(比較例5)実施例4において、p−te
rt−オクチルフェノールの替わりにノニルフェノール
(三井東圧化学株式会社製)2gを用い、難燃剤として
シアナト基と反応性を有するテトラブロモビスフェノー
ルA(ファイヤガードFG−2000、帝人化成株式会
社製商品名)45gを投入溶解した以外は実施例4と同
様に反応させてワニス(固形分濃度=30重量%)を製
造した。このワニスを用いて実施例6と同様にして溶融
シリカ粉と混練及び塗工し、フィラ入り樹脂層厚さ55
〜60μmのPETフィルム付フィラ入り樹脂フィルム
を作製した。得られた樹脂フィルムはカッタナイフで切
断しても樹脂割れや粉落ちがなく、取扱性に優れてい
た。
【0072】実施例6のPETフィルム付きフィラ入り
樹脂フィルムからPETフィルムを剥離し、得られたフ
ィラ入り樹脂フィルム12枚とその上下に厚み18μm
電解銅箔を重ね、200℃、1.5MPaの条件で1時
間プレス成形を行い、厚さ約0.6mmの両面銅張樹脂
硬化物を作製した。同様にして実施例7〜9及び比較例
4、5のPETフィルム付きフィラ入り樹脂フィルムを
厚さ18μm電解銅箔とプレス成形してそれぞれの両面
銅張樹脂硬化物を作製した。
【0073】次いで、これらの両面銅張樹脂硬化物から
線路長約200mmのトリプレート線路共振器を化学エ
ッチングにより作製し、ネットワークアナライザを用い
て1GHz帯の伝送損失を測定することにより、1GH
zでの誘電率及び誘電正接をもとめた。また、銅箔を全
て化学エッチングで除去し、フィラ入り樹脂の硬化物か
ら、試験片を切出して広域粘弾性測定装置(株式会社レ
オロジー製DVE)を用いて引張モード(周波数;10
Hz、昇温;5℃/min)でガラス転移温度(Tg)
と引張弾性率/40℃を測定した。それらの結果を表2
に示した。
【0074】
【表2】 項目 誘電特性(1GHz) カ゛ラス転移温度 引張弾性率 誘電率 誘電正接 (℃) (MPa) 実施例6 2.7 0.0048 170 4690 実施例7 2.7 0.0056 172 4800 実施例8 2.8 0.0044 180 5400 実施例9 2.8 0.0047 184 5550 比較例4 3.3 0.0115 184 4830 比較例5 3.5 0.0122 172 4240
【0075】表2より、本発明の難燃性変性シアネート
エステル系樹脂フィルムを用いたフィラー入り樹脂フィ
ルムは、シアネートエステル類化合物を特定の1価フェ
ノール類と反応させているために、GHz帯の誘電特
性、特に誘電正接が低く、さらに耐熱性の目安となるガ
ラス転移温度及び機械的特性も良好であることが確認で
きた。
【0076】次に、実施例2〜4の変性シアネートエス
テル系硬化性樹脂組成物ワニスをそれぞれ用いて銅箔付
き樹脂フィルムを作製し、印刷配線板用多層材料として
の特性を評価した。
【0077】(実施例10〜12)実施例2〜4の変性
シアネートエステル系硬化性樹脂組成物ワニスをバーコ
ータの一種であるコンマ型コータを用いて厚さ18μm
の電解銅箔の粗化面に塗工、間乾燥(130℃)して、
樹脂層厚さ60〜70μmの銅箔付樹脂フィルムをそれ
ぞれのワニスについて作製した。得られた樹脂フィルム
はカッタナイフで切断しても樹脂割れや粉落ちがなく、
取扱性に優れていた。
【0078】次いで、導体回路を形成したガラス布基材
エポキシ樹脂銅張積層板(基材厚さ;0.1mm)を内
層回路板(回路用銅箔厚さ;18μm)とし、その両面
に実施例10〜12の銅箔付き樹脂フィルムを、樹脂層
が内層回路に接するように重ね、200℃、2.5MP
aの条件で60分間プレス成形して4層配線板を作製し
た。
【0079】(比較例6)比較例5のワニスを用いて、
実施例10〜12と同様に、樹脂層厚さ60〜70μm
の銅箔付樹脂フィルムを作製し、ついでそれを用いて同
様に4層配線板を作製した。
【0080】(比較例7)実施例10〜12で用いたと
同じガラス布基材エポキシ樹脂銅張積層板を内層回路板
とし、その両面に、公称厚さ70μmの多層配線板用ガ
ラス布基材エポキシ樹脂プリプレグ(FR−4グレー
ド)1枚と18μm厚みの電解銅箔を積層し、180
℃、2.5MPaの条件で60分間プレス成形して4層
配線板を作製した。
【0081】実施例10〜12及び比較例6、7の4層
印刷配線板について、以下に示す方法により成形性(ボ
イドやカスレの有無)、はんだ耐熱性及び銅箔ピール強
さを評価した。その結果を表3に示した。
【0082】<特性評価方法> ・成形性;4層配線板の外層銅箔を化学エッチングによ
って全て除去し、目視にて内層回路への樹脂の充填性
(ボイドやカスレの有無)を評価した。 ・はんだ耐熱性:外層銅箔付きの50mm角4層板を2
60℃の溶融はんだに浮かべ、ふくれが発生するまでの
時間を測定した。 ・銅箔ピール強さ:JIS−C−6481に準拠して測
定した。 ・耐燃性:FR−4グレードの0.2mm厚基板の銅箔
を全面エッチングし、その両側に実施例または比較例の
銅箔付き樹脂フィルムをプレス成形した試験片を作製
し、UL−94垂直試験法に準拠して測定した。
【0083】
【表3】 項目 成形性 はんだ耐熱性(秒) ピール強さ(KN/m) 耐燃性UL94 実施例10 ホ゛イト゛、カスレ無し >180 1.5 V−0相当 実施例11 ホ゛イト゛、カスレ無し >180 1.4 V−0相当 実施例12 ホ゛イト゛、カスレ無し >180 1.5 V−0相当 比較例 6 ホ゛イト゛、カスレ無し 56 1.2 V−0相当 比較例 7 ホ゛イト゛、カスレ無し >180 1.5 V−0相当
【0084】表3から明らかなように、実施例10〜1
2の銅箔付き樹脂フィルムは多層配線板材料として成形
性が良好であり、かつ変性シアネートエステル系樹脂を
特定の1価フェノール化合物と反応させたことにより本
発明の銅箔付き樹脂フィルムを用いた4層配線板は、は
んだ耐熱性が良好であり、従来のガラス布を基材に用い
た接着用プリプレグと同様の特性を持っていることが確
認できた。
【0085】
【発明の効果】本発明の難燃性変性シアネートエステル
系樹脂フィルムは、フィルム単独での取扱性が可能で耐
溶剤性に優れ、かつその硬化物は高周波帯域での誘電率
や誘電正接が低く、ガラス転移温度や弾性率が高く、さ
らには多層配線板材料として、成形性、はんだ耐熱性及
び銅箔ピール強さなども良好であるので、高速デジタル
信号や無線通信関連の高周波信号を扱う機器に用いる印
刷配線板の、特にビルドアップ積層方式による製造に好
適な絶縁性樹脂フィルムである。本発明の樹脂フィルム
を用いることにより、コンピュータの高速化や高周波関
連機器の低損失化に適した印刷配線板を容易に製造する
ことが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C08L 71:12 C08L 71:12 79:08 79:08 (72)発明者 根岸 春巳 茨城県下館市大字小川1500番地 日立化 成工業株式会社 下館工場内 (56)参考文献 特開 平11−124451(JP,A) 特開 平7−316527(JP,A) 特開 平5−339342(JP,A) 特開 平3−166255(JP,A) 特開 昭61−7331(JP,A) 特許3261078(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/00 - 5/24 C08L 71/12 C08L 79/08 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)式(1): 【化1】 で示されるシアネートエステル類化合物、 (B)式(2): 【化2】 で示される1価フェノール類化合物、 (C)ポリフェニレンエーテル樹脂、 (D)前記(A)成分と前記(B)成分との反応の促進
    剤及び樹脂フィルムの硬化における硬化促進剤として用
    いられる金属系反応触媒、並びに(E)前記(A)成分
    と反応性を有しない難燃剤を含有する硬化性樹脂組成物
    を半硬化又は硬化してなる、難燃性樹脂フィルム。
  2. 【請求項2】 前記(A)成分100重量部に対して、
    前記(B)成分が、4〜30重量部であり、前記(C)
    成分が、5〜500重量部であり、 前記(D)成分が、前記(A)成分1gに対して、1〜
    300ppmであり、かつ前記(E)成分が、前記(A)
    〜(D)成分の総量100重量部に対して、5〜50重
    量部である、 請求項1に記載の難燃性樹脂フィルム。
  3. 【請求項3】 前記(A)成分が、2,2−ビス(4−
    シアナトフェニル)プロパン及び/又は2,2−ビス
    (3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタンで
    ある、請求項1又は2に記載の難燃性樹脂フィルム。
  4. 【請求項4】 前記(B)成分が、p−tert−ブチ
    ルフェノール、p−tert−アミルフェノール及びp
    −tert−オクチルフェノールから選ばれる1種類以
    上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の難燃性
    樹脂フィルム。
  5. 【請求項5】 前記(C)成分が、ポリ(2,6−ジメ
    チル−1,4−フェニレン)エーテルとポリスチレン又
    はスチレン−ブタジエンコポリマとのアロイ化ポリマで
    あって、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
    ン)エーテルを50重量%以上含有する、請求項1〜4
    のいずれか1項に記載の難燃性樹脂フィルム。
  6. 【請求項6】 前記(D)成分が、マンガン、鉄、コバ
    ルト、ニッケル、銅及び亜鉛の2−エチルヘキサン酸
    塩、ナフテン酸塩及びアセチルアセトン錯体から選ばれ
    る1種類以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記
    載の難燃性樹脂フィルム。
  7. 【請求項7】 前記(E)成分が、1,2−ジブロモ−
    4−(1,2−ジブロモエチル)シクロヘキサン、テト
    ラブロモシクロオクタン及びヘキサブロモシクロドデカ
    ンから選ばれる脂環式難燃剤の1種類以上である、請求
    項1〜6のいずれか1項に記載の難燃性樹脂フィルム。
  8. 【請求項8】 前記(E)成分が、式(3): 【化3】 で示される臭素化トリフェニルシアヌレート系難燃剤を
    少なくとも1種含む、請求項1〜6のいずれか1項に記
    載の難燃性樹脂フィルム。
  9. 【請求項9】 前記(A)〜(E)成分を含有する硬化
    性樹脂組成物と溶剤とを含むワニスを支持基材の片面に
    流延塗布し、加熱乾燥により溶剤を除去し製膜すること
    を特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の難
    燃性樹脂フィルムを製造する方法。
  10. 【請求項10】 (A′)式(1): 【化4】 で示されるシアネートエステル類化合物と(B′)式
    (2): 【化5】 で示される1価フェノール類化合物の一部又は全部を反
    応させて得られる変性シアネートエステル樹脂、 (C′)ポリフェニレンエーテル樹脂、 (D′)前記(A′)成分と前記(B′)成分との反応
    の促進剤及び樹脂フィルムの硬化における硬化促進剤と
    して用いられる金属系反応触媒、並びに (E′)前記(A′)成分と反応性を有しない難燃剤を
    含有する硬化性樹脂組成物を半硬化又は硬化してなる、
    難燃性樹脂フィルム。
  11. 【請求項11】 前記変性シアネートエステル樹脂が、
    前記(A′)成分100重量部と前記(B′)成分4〜
    30重量部の一部又は全部を反応させて得られる変性シ
    アネートエステル樹脂であり、 前記(C′)成分が、前記(A′)成分100重量部に
    対して、5〜500重量部であり、 前記(D′)成分が、前記(A′)成分1gに対して、
    1〜300ppmであり、かつ 前記(E′)成分が、前記(A′)〜(D′)成分の総
    量100重量部に対して、5〜50重量部である、 請求項10に記載の難燃性樹脂フィルム。
  12. 【請求項12】 前記(A′)成分が、2,2−ビス
    (4−シアナトフェニル)プロパン及び/又は2,2−
    ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタ
    ンである、請求項10又は11に記載の難燃性樹脂フィ
    ルム。
  13. 【請求項13】 前記(B′)成分が、p−tert−
    ブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール及
    びp−tert−オクチルフェノールから選ばれる1種
    類以上である、請求項10〜12のいずれか1項に記載
    の難燃性樹脂フィルム。
  14. 【請求項14】 前記(C′)成分が、ポリ(2,6−
    ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルとポリスチレ
    ン又はスチレン−ブタジエンコポリマとのアロイ化ポリ
    マであって、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニ
    レン)エーテルを50重量%以上含有する、請求項10
    〜13のいずれか1項に記載の難燃性樹脂フィルム。
  15. 【請求項15】 前記(D′)成分が、マンガン、鉄、
    コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛の2−エチルヘキサン
    酸塩、ナフテン酸塩及びアセチルアセトン錯体から選ば
    れる1種類以上である、請求項10〜14のいずれかに
    1項に記載の難燃性樹脂フィルム。
  16. 【請求項16】 前記(E′)成分が、1,2−ジブロ
    モ−4−(1,2−ジブロモエチル)シクロヘキサン、
    テトラブロモシクロオクタン及びヘキサブロモシクロド
    デカンから選ばれる脂環式難燃剤の1種類以上である、
    請求項10〜15のいずれか1項に記載の難燃性樹脂フ
    ィルム。
  17. 【請求項17】 前記(E′)成分が、式(3): 【化6】 で示される臭素化トリフェニルシアヌレート系難燃剤を
    少なくとも1種含む、請求項10〜15のいずれか1項
    に記載の難燃性樹脂フィルム。
  18. 【請求項18】 前記変性シアネートエステル樹脂及び
    前記(C′)〜(E′)成分を含有する硬化性樹脂組成
    物と溶剤とを含むワニスを、支持基材の片面に流延塗布
    し、加熱乾燥により溶剤を除去し製膜することを特徴と
    する、請求項10〜17のいずれか1項に記載の難燃性
    樹脂フィルムを製造する方法。
  19. 【請求項19】 前記変性シアネートエステル樹脂を、
    前記(C′)成分を投入した前記溶剤中で、前記
    (A′)成分と前記(B′)成分の一部又は全部を反応
    させて得る、請求項18記載の難燃性樹脂フィルムの製
    造方法。
  20. 【請求項20】 前記溶剤が、芳香族炭化水素系溶剤を
    含む、請求項18又は19に記載の難燃性樹脂フィルム
    の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記溶剤が、さらにケトン系溶剤を含
    む、請求項20に記載の難燃性樹脂フィルムの製造方
    法。
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