JP3313640B2 - 半導体素子及び電力変換装置 - Google Patents

半導体素子及び電力変換装置

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JP3313640B2
JP3313640B2 JP4644198A JP4644198A JP3313640B2 JP 3313640 B2 JP3313640 B2 JP 3313640B2 JP 4644198 A JP4644198 A JP 4644198A JP 4644198 A JP4644198 A JP 4644198A JP 3313640 B2 JP3313640 B2 JP 3313640B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接触効率を改善し
た半導体素子、およびこの半導体素子を複数有する電力
変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体素子1は、半導体基板2と、この
半導体基板2と接するMo製の熱緩衝板3と、これら各構
成部材を互いに加圧接触させる電極4とから成り立って
いる。各構成部材は、電極4による圧接力により接触す
る状態を維持しているため、半導体基板2と熱緩衝板3
との接触界面、熱緩衝板3と電極4との接触界面におい
て生じる接触熱抵抗を抑制する必要がある。
【0003】一般に、半導体素子1には、単位面積当た
りの消費電力と発熱量を抑えるために、熱緩衝板3に
は、半導体基板との均一な接触、均一な電流分布と高い
熱放散性とを得るために、高い機械的強度が要求され
る。そのため、半導体素子1の組立に関しては、素子の
冷却能力を維持し、温度上昇に伴う素子破壊を防止する
技術として冷却フィンに熱を導出したり、熱緩衝板3が
半導体基板2に所定の高い圧力を与えながら、密着配置
させることにより、熱の導出効率を高めている。従っ
て、熱緩衝板3には、機械的強度の大きい円盤状のMo
板、W板が使用されている。
【0004】一方、近年の半導体素子は、高耐圧化、大
電流化が要求されている。GTO、IGBTの大容量化
のためには、半導体基板の大口径化が必須である。特に
大電流化では、素子面積(半導体基板2の面積)を大と
しているため、素子面内の電流均一性が重要な課題とな
る。電流不均一の場合には、ターンオフ時の電流集中に
よる素子破壊でと進展する場合が見られるからである。
【0005】熱緩衝板3としてMoを使用すると、大き
な機械的強度を有するため、ある程度の大きさの加圧力
を半導体基板に与えることは可能であり、接触熱抵抗問
題を緩和するために、Mo製熱緩衝板面上にAlメッキ
することも行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
半導体素子においては、Mo自体の固有抵抗値、接触抵
抗値は充分には低くなく、また、硬さも比較的大きいこ
となどに起因して、Mo面と半導体基板面との接触面全
面に亘る接触が、充分に得られていないという問題点が
あった。
【0007】そのため、より一層の均一な電流分布、高
い熱放散性とを得ることに対しては必ずしも満足な状態
ではない場合がある。この対抗策として、必然的に、半
導体素子には大きな加圧力を与え、接触面積の増大を得
ようとする手段がある。しかし、半導体素子としての温
度上昇の抑制には限界が見られていると共に、半導体素
子の小型化に対して障害となる等の不都合が見られてい
た。また、熱緩衝板と半導体基板との接触部分のみでは
なく、電極とMo製熱緩衝板との接触部分においても、
同様の現象が見られていた。従って、かかる半導体素子
を具備した電力変換装置においても同様の問題点を生じ
ていた。
【0008】そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、熱
緩衝板と半導体基板との接触効率、熱緩衝板と電極との
接触効率を改良した半導体素子及びこの半導体素子を有
する電力変換装置を提供することを目的とする。
【0009】
【0010】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的を達成
するため、請求項1記載の発明は、半導体基板と、前記
半導体基板の両側に接触配設される熱緩衝板と、前記熱
緩衝板を圧接し前記半導体基板に電力を供給する陰極体
及び陽極体とを少なくとも有する半導体素子において、
前記熱緩衝板が1〜50容積%のCuを有するMo−C
u合金であり、少なくとも前記熱緩衝板の一方の表面に
Cu層を有し、前記Mo−Cu合金中のCuと前記Cu
層中のCuとが一体化していることを特徴とする。
【0011】請求項記載の発明は、前記Cu層が、導
電率が80%IACSのCuまたはCu合金であること
を特徴とする。請求項記載の発明は、前記Cu層が、
ビッカース硬さが90以下のCuまたはCu合金である
ことを特徴とする。
【0012】請求項記載の発明は、前記Cu層の厚さ
が、1〜500μmのCuまたはCu合金であることを
特徴とする。請求項記載の発明は、前記Cu層の表面
粗さがRmax30μm以下のCuまたはCu合金であ
ることを特徴とする。
【0013】請求項記載の発明は、前記Cu層から前
記熱緩衝板に向かってCu濃度が組成傾斜していること
を特徴とする。請求項記載の発明は、前記熱緩衝板
が、MoとCuとを積層配置し、この積層の方向を放熱
の方向と一致させたことを特徴とする。
【0014】請求項記載の発明は、前記熱緩衝板にお
けるMoの一部または全てをWとしたことを特徴とす
る。請求項9記載の発明は、前記熱緩衝板におけるCu
の一部または全てをAgとしたことを特徴とする。請求
10記載の発明は、複数の半導体素子を同一パッケー
ジに配置したことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。 (評価の手法)直径が150mmのシリコンウエハを搭
載した半導体基板2の一方の面を厚さが0.7mmの熱
緩衝板3a、他方の面を厚さが0.7mmの熱緩衝板3
bで挟み、熱緩衝板3a/半導体基板2/熱緩衝板3b
の順に配置する。熱緩衝板は、所定の組成範囲のMo−
Cuを使用すると共に、所定の条件範囲に導電率、硬
さ、厚さ、表面粗さを制御したCu層を表面に付与した
ものを使用した(表1)。その他、MoとCuとの配
列、MoとCuとの分散・分布の状態を変化させたも
の、熱抵抗特性の向上効果を確認するために例えばMo
−Cu製熱緩衝板中のCuと表面Cu層中のCuとを連
続一体化させた熱緩衝板も準備した(実施例5〜8、比
較例3)。
【0016】また、Mo−Cu製熱緩衝板中のCuと表
面Cu層中のCuと更にヒートシンクのCuとを連続一
体化させた熱緩衝板/ヒートシンク一体化素子も準備し
た(実施例26、27)。電極に関しては、外径170
mm、厚さ10mm、表面粗さを例えば2μmに仕上げ
たポスト(Cu製、Mo−Cu製の陰極体、陽極体)を
用意し、陰極体4a/熱緩衝板3a/半導体基板2/熱
緩衝板3b/陽極体4bの順に配置した。一部の実施例
においては、一方のヒートシンクが熱緩衝板3aに、他
方のヒートシンクが熱緩衝板3bに接触するように、一
方のヒートシンク/熱緩衝板3a/半導体基板2/熱緩
衝板3b/他方のヒートシンクの順に配置した。
【0017】温度特性の評価は、実験容器内に半導体素
子を設置し、全体に60kg/cm2の荷重を与え、か
つ6kV、6kAの電力を遮断した後、荷重を取り除い
た状態即ち「荷重印加→電力遮断→荷重取り除き」サイ
クルを行い、繰り返し回数が1回時、30回時の周囲温
度を含んだ温度特性を比較評価した(表2)。測温位置
は、厚さ10mmの陰極体4aの表面から4mm内部
で、かつ陰極体円盤の中心部1点及び外周部(半径60
mm同芯円上の6点、60度間隔)の合計7点とした。
ヒートシンク部分の温度測定も同様である。
【0018】(実施例1〜4、比較例1、2)熱緩衝板
の基礎部材として、100%Mo製の標準熱緩衝板を用
意した(比較例1、厚さ0.7mm、平均表面粗さ6μ
m)。さらに、表面に一定条件のCu層を保有した0.
1〜65%Cu−Mo製の熱緩衝板を用意した(実施例
1〜4、比較例2)。
【0019】熱緩衝板表面のCu層の材質としては、1
00%Cu、Cu層の導電率を100%IACS、Cu
層の硬さをHv30〜45、Cu層の厚さを100μ
m、表面粗さをRmax3μmとしたものを使用した。
熱緩衝板と対向させる部材としては、100%Cu製の
電極体を用い、100%Cuブロックから切り出して使
用した。
【0020】熱緩衝板の基礎部材は、Cu粉とMo粉と
を所定比率に混合/成形した後、焼結法、ホットプレス
法、アークメルト法などによって、Cu比率が0.1〜
65容積%となるように調整した。得られたCu−Mo
素材を熱間鍛造、圧延等によってCu−Mo合金板と
し、一面にCu板を張り合わせた後、再度熱間/冷間圧
延によって、表面にCu層を有するCu−Mo合金とし
た。さらに両者熱的拡散法によって、Cu−Mo合金内
部のCuと表面のCu層中のCuとを連続一体化させ
た。
【0021】表面のCu層は、製造時に使用した浸透材
Cuの残りの一部をCu−Mo合金の一面に残存させる
ことによって得、初めからCu−Mo合金内部のCuと
表面のCu層中のCuとが連続一体化している素材と
し、またCu−Mo合金の一面にCu板を張り合わせ、
圧延等により一体化させた素材とした。
【0022】ここで示す実施例1〜4、比較例1、2
は、熱緩衝板と対向する電極体とを銀ロウ付け法や熱拡
散法により密着対向させるとともに、かつ機械的圧力に
よって密着対向させる方法を適宜採用した。
【0023】ここで、「荷重印加→電力遮断→荷重取り
除き」サイクルを行い、繰り返し回数が1回時、30回
時の周囲温度を含んだ温度特性を評価した結果を表2に
示す。標準Mo板(比較例1)では、繰り返し回数が1
回では、中心部が78℃、外周部が76〜78℃、30
回では中心部が93℃、外周部が88〜96℃であっ
た。
【0024】これに対して、熱緩衝板の表面に所定のC
u層を付与した例について検討する。熱緩衝板の材質/
組成が0.1〜50容積%Cu−Mo合金(実施例1〜
4)であるときには、前記繰り返し回数が1回では、中
心部が52〜66℃、外周部が50〜65℃の範囲内で
あり、繰り返し回数が30回では、中心部が54〜69
℃、外周部が53〜69℃の範囲内であって、好ましい
温度特性を示した。さらに、標準Mo板(比較例1)と
比較しても安定した温度特性を示した。
【0025】しかし、65容積%Cu−Mo合金(比較
例2)における温度特性試験の結果、前記繰り返し回数
が1回では、中心部が51℃、外周部が51〜53℃の
範囲内であり、繰り返し回数が30回では、中心部が5
7℃、外周部が54〜112℃の範囲内であって、繰り
返し回数が30回の場合に、著しいばらつきを示した。
【0026】この結果から、標準Moに比較して、熱緩
衝板の基礎部材の材質/組成をCu−Mo合金とする
と、周囲温度を含む温度値が低くなることが明示され
た。前記繰り返し回数を30回とすると、比較例1では
12〜18℃程度の温度上昇が見られたが、所定条件範
囲のCuを付与した場合には、3〜4℃程度の低い温度
上昇にすぎなかった。この点に関して、加圧面を顕微鏡
等を用いて観察すると、表面のCu層の存在によって、
接触点がほぼ全面に分布していることが認められた。標
準Moを用いた場合(比較例1)には、接触が特定箇所
に見られたにすぎなかった。またCu量が65%の場合
には、前記サイクルによる繰り返し回数の増加に伴っ
て、表面損傷が増大していると考えられる。以上の結果
から、熱緩衝板の材質/組成をCu−Mo合金とした場
合、Cu量が0.1〜50容積%であれば、ばらつきの
少ない好ましい温度特性を示すことが明確となった。
【0027】(実施例5〜8、比較例3)熱緩衝板3
(板厚が1mmで10容積%のCu−Mo合金製基礎部材
と、板厚0.1mmの表面Cu層にて構成)およびCuブ
ロックからなるヒートシンクを用意した。実施例5は、
この基礎部材と表面Cu層とを接触する様に重ね合わせ
た後、熱拡散法によって基礎部材と内部のCuと表面C
u層のCuとを連続一体化するとともに、内部のCu量
に組成傾斜を持たせ、熱緩衝板を構成した。
【0028】実施例6は、例えば、厚さが10μmのC
u箔と、90μmのMo板とを1組とし、これを複数束
ねた基礎部材としたものである。その一端または両端に
表面Cu層を配置し、熱拡散法によって両者を一体化
し、CuとMoとが層状に積層した状態とし、かつ連続
したCu部分を有する容積比がCu1、Mo9のCu−
Moを得た。なお、基礎部材中のCuとMoとの比率
は、束ねる時のCuとMoとの量によって調整する。こ
の表面Cu層を有する層状Cu−Mo熱緩衝板を、放熱
効率を妨げない方向にヒートシンクと組み合わせた。
【0029】実施例7では、平均粒子直径が3μmのM
o粉末と平均粒子直径が3μmのMo粉末とを十分に混
合し成形した後、1050℃で固相焼結し、Cuが連続
一体化した微細組織を有するCu−Mo合金を使用し
た。
【0030】実施例8では、平均粒子直径が3μmのM
o粉末を1250℃で焼結してMoスケルトンを製造
し、このMoスケルトン空隙にCuを1150℃で溶浸
し、Cuが連続一体化した微細組織を有するCu−Mo
合金を使用した。
【0031】ここで、「荷重印加→電力遮断→荷重取り
除き」サイクルを行ったところ、サイクルの繰り返し回
数が1回では、中心部が51〜54℃、外周部が49〜
54℃、30回では中心部が54〜61℃、外周部が5
0〜64℃であり、好ましい温度特性を示すと共に、標
準Mo板(比較例1)と比較して安定した温度特性を示
している。一方、比較例3のように合金中のCu、表面
Cu層中のCu、Cu電極体中のCuは、連続一体化し
ていない状態でにおいて、前記同様のサイクルを実施し
た結果、繰り返し回数が1回では、中心部が60℃、外
周部が59〜66℃、30回では中心部が77℃、外周
部が74〜96℃であり、著しいばらつきがみられた。
【0032】この結果から、Cu−Mo合金中のCu、
表面Cu層中のCu、Cu電極体中のCuの連続一体化
によって、温度低く保てることを明確にした。 (実施例9〜16、比較例4〜6)上記実施例1〜8、
比較例1〜3では、熱緩衝板として100%Cuで構成
した表面Cu層の存在の効果について説明した。本項で
は、100%Cu以外の表面Cu層でもその効果が得ら
れるかどうかを検討した。
【0033】実験に用いた試料は、100%Cuにかわ
って、Cu−0.2Ag、Cu−7.5G、Cu−28
Ag、Cu−92.5Ag、Cu−0.1Ni、Cu−
0.1Sn、Cu−0.15Zr、Cu−0.8Crで
ある(実施例9〜16)。前記同様の温度特性を求めた
結果、繰り返し回数が1回では、中心部が54〜57
℃、外周部が54〜64℃、30回では中心部が59〜
64℃、外周部が55〜65℃の範囲となり、好ましい
温度特性を示している。いずれも導電率が80%IACS以
上、ビッカース硬さがHv35〜90の範囲にあった。
【0034】これに対して、Cu−50%Ag(比較例
4)について温度特性を求めた結果、繰り返し回数が1
回では、中心部が60℃、外周部が59〜62℃、30
回では中心部が66℃、外周部が60〜102℃の範囲
となり、素子の一部の熱特性に著しいバラツキを示し
た。また、導電率は77〜83%IACS以上、ビッカース
硬さがHv95〜110の範囲にあった。
【0035】さらに、導電率が15〜20%IACSのAg
−20Pd(比較例5)、導電率が3〜5%IACSのAg
−40Pd(比較例6)について、温度特性を求めた結
果、繰り返し回数が1回では、中心部が74〜88℃、
外周部が69〜108℃、30回では中心部が91〜1
06℃、外周部が83〜154℃の範囲となり、著しく
温度特性を低下させた。ビッカース硬さがHv=90以
下であっても導電率が80%IACS以下であると、不安定
な温度特性を示している(比較例5、6)。
【0036】以上より、熱緩衝板の表面Cu層として
は、導電率が80%IACS以上、ビッカ−ス硬さがHv=
90以下の範囲であることが望ましいことが、明らかと
なった(実施例9〜16)。
【0037】(実施例17〜21、比較例7、8)上記
実施例では、熱緩衝板の表面Cu層として導電率、硬さ
の影響を示したが、その厚さについても重大な影響を与
えていると考えられる。すなわち表面Cu層の厚さを
0.1〜50μmとし、繰り返し回数が1回では、中心
部が55℃、外周部が52〜55℃、30回では中心部
が57〜59℃、外周部が53〜57℃の範囲となり、
好ましい温度特性を示した(実施例17〜21)。
【0038】これに対して、比較例7では、熱緩衝板の
表面Cu層として導電率が100%IACS、硬さがHv=
30〜45にあり、好ましい範囲にあるにもかかわら
ず、板厚が0.05μmの場合には、繰り返し回数が1
回では、中心部が66℃、外周部が64〜65℃の範囲
にあり好ましい結果を示したが、30回では中心部が6
8℃、外周部が68〜125℃の範囲となり、著しいバ
ラツキが見られた。この後分解し加圧面を顕微鏡によっ
て観察したところ、サイクルの繰り返し回数の増加に伴
い、表面凹凸が大となっており、これが温度特性に悪影
響を与えている原因であることがわかった。
【0039】さらに比較例8でも、熱緩衝板の表面Cu
層として導電率が100%IACS、硬さがHv=30〜4
5にあり、好ましい範囲にあった。しかし板厚が100
0μmの場合では、繰り返し回数が1回では、中心部が
55℃、外周部が52〜55℃の範囲にあり好ましい結
果を示したが、30回では中心部が59℃、外周部が5
5〜98℃の範囲となり、バラツキが見られた。分解
し、内部を調査した結果、繰り返し回数の増加に伴い、
表面Cu層の剥離が確認され、温度特性にばらつきが見
られた。
【0040】(実施例22〜25、比較例9、10)上
記各実施例、各比較例では、熱緩衝板の表面Cu層の表
面粗さを、Rmax 3μmとしていたが、本項目ではこれ
に限ることなく、表面粗さの効果を検討した。熱緩衝板
の表面Cu層の厚さが0.1〜30μmの範囲におい
て、前記同様の温度特性を求めた結果、繰り返し回数が
1回では、中心部が66℃、外周部が64〜65℃、3
0回では中心部が69℃、外周部が67〜69℃の範囲
となり、好ましい温度特性を示している(実施例22〜
25)。
【0041】さらに、熱緩衝板の表面Cu層の表面粗さ
をRmax 0.01μmとして前記同様の温度特性を求め
た結果、繰り返し回数が1回では、中心部が67℃、外
周部が64〜66℃、30回では中心部が69℃、外周
部が66〜70℃の範囲となり、好ましい温度特性を示
している(比較例9)。このように、温度特性の観点に
ついては、安定した結果ではあったが、表面粗さRmax
0.01μmを管理するのは、仕上げ精度が過度であっ
て経済的負担が大となるおそれはある。
【0042】比較例10では、熱緩衝板の表面Cu層を
表面粗さをRmax 60μmとして、前記同様の温度特性
を求めた結果、繰り返し回数が1回では、中心部が67
℃、外周部が66〜73℃、30回では中心部が98
℃、外周部が95〜131℃の範囲となり、バラツキが
みられた。分解し加圧面を顕微鏡等によって観察した結
果、表面Cu層の一部の凸部の折損、脱落と凹部への破
損片、脱落片のはまり込み現象が見られ、これが原因で
あることを明らかにした。
【0043】(実施例26、比較例11)熱緩衝板とヒ
ートシンクとを接触させ、こららの中のCu同士を連続
一体化した場合では、前記同様の温度特性を求めた結
果、繰り返し回数が1回では、中心部が56℃、外周部
が54〜59℃、30回では中心部が60℃、外周部が
56〜61℃の範囲となり、好ましい温度特性を発揮し
た(実施例26)。
【0044】これに対して、熱緩衝板とヒートシンクと
を接触させ、これらの中のCu層を連続一体化していな
い場合では、繰り返し回数が1回では、中心部が64
℃、外周部が61〜78℃を示し、ある程度の温度上昇
を示したにすぎなかったが、30回では中心部が80
℃、外周部が80〜105℃の範囲となり、大幅な温度
上昇が見られ、好ましくない傾向が見られた(比較例1
1)。
【0045】(実施例27)上記実施例1〜26、比較
例1〜11は、熱緩衝板、表面Cu層と対向一体化させ
る部材として100Cu電極を選択した実施例、比較例
であった。実施例27では、電極材質として100%C
uに限ることなく、Cu−Moを用いた。前記同様の温
度特性試験の結果、繰り返し回数が1回では、中心部が
58℃、外周部が56〜62℃を示し、30回でも中心
部が63℃、外周部が59〜65℃の範囲となり、好ま
しい傾向が見られた。
【0046】(実施例28)上記実施例1〜27、比較
例1〜11は、熱緩衝板の基礎部材としてMo−Cu合
金について示したが、本実施例では、Mo−Cu合金に
限ることなく、W−Cu合金を用いて実施した。前記同
様の温度特性試験の結果、繰り返し回数が1回では、中
心部が54℃、外周部が52〜54℃を示し、30回で
も中心部が57℃、外周部が53〜57℃の範囲とな
り、好ましい傾向が見られた。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
Mo製鳴る緩衝板に表面Cu層を付与し、さらに熱緩衝
板中のCuと表面Cu層中のCuとを連続一体化するこ
とによって、好ましい温度特性が得られ、半導体素子お
よび電力変換装置の信頼性の向上に寄与することを明ら
かにした。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体素子の構成図。
【符号の説明】
1 半導体素子 2 半導体基板 3 熱緩衝板 4 電極体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木島 研二 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝 府中工場内 (72)発明者 山本 敦史 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝 府中工場内 (72)発明者 関 経世 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝 府中工場内 (72)発明者 石渡 裕 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番 地 株式会社東芝 京浜事業所内 (72)発明者 木本 淳志 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番 地 株式会社東芝 京浜事業所内 (56)参考文献 特開 平8−167625(JP,A) 特開 平3−277544(JP,A) 特開 昭51−14267(JP,A) 特開 昭55−1982(JP,A) 特開 昭59−21032(JP,A) 特開 平1−215028(JP,A) 特開 平2−110944(JP,A) 特開 平3−201543(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/52 H01L 29/74

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板と、前記半導体基板の両側に接
    触配設される熱緩衝板と、前記熱緩衝板を圧接し前記半
    導体基板に電力を供給する陰極体及び陽極体とを少なく
    とも有する半導体素子において、 前記熱緩衝板が1〜50容積%のCuを有するMo−C
    u合金であり、少なくとも前記熱緩衝板の一方の表面に
    Cu層を有し、前記Mo−Cu合金中のCuと前記Cu
    層中のCuとが一体化していることを特徴とする半導体
    素子。
  2. 【請求項2】 前記Cu層が、導電率が80%IACSの
    CuまたはCu合金であることを特徴とする請求項1記
    載の半導体素子。
  3. 【請求項3】 前記Cu層が、ビッカース硬さが90以下
    のCuまたはCu合金であることを特徴とする請求項1
    記載の半導体素子。
  4. 【請求項4】 前記Cu層の厚さが、1〜500μmのC
    uまたはCu合金であることを特徴とする請求項1記載
    の半導体素子。
  5. 【請求項5】 前記Cu層の表面粗さがRmax30μm
    以下のCuまたはCu合金であることを特徴とする請求
    項1記載の半導体素子。
  6. 【請求項6】 前記Cu層から前記熱緩衝板に向かってC
    u濃度が組成傾斜していることを特徴とする請求項1記
    載の半導体素子。
  7. 【請求項7】 前記熱緩衝板が、MoとCuとを積層配置
    し、この積層の方向を放熱の方向と一致させたことを特
    徴とする請求項1記載の半導体素子。
  8. 【請求項8】 前記熱緩衝板におけるMoの一部または全
    てをWとしたことを特徴とする請求項1記載の半導体素
    子。
  9. 【請求項9】 前記熱緩衝板におけるCuの一部または全
    てをAgとしたことを特徴とする請求項1記載の半導体
    素子。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の半導体素子を、複数個同
    一パッケージに配置したことを特徴とする電力変換装
    置。
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