JP3313198B2 - 機能性多孔質繊維及びその製造方法 - Google Patents

機能性多孔質繊維及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、活性炭やシリカゲルな
どの多孔質無機物からなる機能性粒子や、高吸水性樹脂
などの有機物機能性粒子を担持させて、機能性を持たせ
た多孔質繊維及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、消臭機能性物質として、多孔
質粒状の活性炭が知られている。このような粒子状機能
性物質は、例えば、冷蔵庫用の脱臭剤として広く用いら
れており、このような用途では、その機能を有効かつ効
率よく発揮させるために、通気性を有する容器に充填す
る構造が採用されている。ところが、このような形態で
の使用は、比較的面積や容量が小さい場合は問題はない
が、大面積や大容量での使用には問題があり、使用形態
が限定されていた。
【0003】このため、最近では、繊維や不織布などに
接着剤で粒子状機能性物質を付着させる方法や、機能性
物質と樹脂とを混練して混合物を作製し、この混合物を
押し出し,延伸することによりフィルムや繊維状に形成
し、粒子状機能性物質をフィルムや繊維の表面に析出さ
せる方法が採用されている。このような方法によれば、
容器に機能性物質を収納する場合よりも使用形態の多様
化に対応できるものの、以下に説明する技術的課題もあ
った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、前者の方法
では、粒子状機能性物質が使用中に脱落するという欠点
がある。また、後者の方法では、機能性物質が脱落する
という問題はないが、フィルムや繊維の表面に析出され
た機能性物質の露出している部分だけしかその機能が有
効に発揮されず、内部に残った粒子は、有効に活用され
ないという問題があった。
【0005】この場合、機能性物質が活性炭のように比
較的安価なものであれば、経済的な面での問題は少ない
が、機能性物質は高価なものも多く、その機能を十分に
発揮させることが望ましく、経済的な面からも有効に活
用できる方法の開発が希求されていた。本発明は、この
ような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的と
するところは、粒子状機能性物質の有する機能が非常に
効率よく発揮できる機能性多孔質繊維及びその製造方法
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、ポリオレフィン樹脂からなる繊維本体と、前記ポリ
オレフィン樹脂にパラフィンワックスを混合し、溶融紡
糸して延伸,熱処理後に前記パラフィンワックスを除去
することにより形成される多数の細孔と、前記繊維本体
に担持された機能性粒子とからなる機能性多孔質繊維で
あって、前記細孔は、前記樹脂の結晶間に前記パラフィ
ンワックスを充填して、この状態で熱延伸して、前記樹
脂の結晶間隔を広げて、ラメラ晶をジグザクに変形させ
て、前記パラフィンワックスを除去した部分であり、
きくなったり小さくなったりしながら繊維の内部まで連
続していることを特徴としている。
【0007】この場合、前記細孔は、その長径×短径が
1μm×2μm以下であって、前記機能性粒子の粒径を
1〜10μmとすることが望ましい。また、前記機能性
粒子は、前記多数の細孔を有する繊維本体の単位体積に
対して、0.3〜40%担持させることができる。ま
た、この機能性多孔質繊維の製造方法として、100重
量部のポリオレフィン樹脂と、30〜300重量部のパ
ラフィンワックスとからなる混合物の99.85〜85
体積%と機能性粒子0.15〜15体積%とを混合する
工程と、前記工程で得られた混合物を400以下のドラ
フト率で溶融紡糸して未延伸繊維を得る工程と、この未
延伸繊維を加熱下で歪み速度400%以下で1.4〜
5.0倍に延伸して、前記機能性粒子の一部を表面に析
出させた後に熱処理を施し、その後に、前記パラフィン
ワックスを除去する工程とからなることを特徴とする。
【0008】本発明に使用できるポリオレフィン樹脂
は、エチレンやプロピレン等のαーオレフィン類の単
独、或いは共重合体が挙げられ、ポリエチレンではAS
TM D1238によるMFR値が0.3〜20g/1
0分、ポリプロピレンでは0.5〜9.0g/10分の
ものが好ましい。MFR値が上記範囲を外れると、パラ
フィンワックス,機能性粒子と混合した後における溶融
紡糸時の溶融粘度が不適切になり紡糸の際に問題が生じ
る。本発明に使用するパラフィンワックスは、飽和脂肪
族炭化水素化合物を主体とするもので、溶媒による抽出
の作業性の点から融点が概ね50〜70℃程度のものが
好ましい。
【0009】本発明に用いることができる機能性粒子と
しては、活性炭やコーラルサンド,多孔質珪酸塩鉱物,
シリカゲル,活性アルミナ,活性白土,活性酸化チタ
ン,活性酸化亜鉛等を主成分とする無機系粒子、および
これらを銀,銅,亜鉛などで金属処理した粒子、高吸水
性樹脂などからなる有機系粒子などであり、特に、有機
系粒子に関しては、溶融押し出しの時の温度で変質せ
ず、パラフィンワックスの抽出に用いるヘキサンやヘプ
タン等の有機溶剤に侵されなければ使用可能である。
【0010】また、ポリオレフィン樹脂とパラフィンワ
ックス,機能性粒子とを混合して混合物を作製する工程
は、溶融紡糸用の押出機に供給する前に、素練りローラ
ー等公知の方法により前もって混合混練しておいてもよ
いし、二軸押出機等公知の混合混練性能の優れた押出機
に紡糸ノズルを取り付けて直接溶融紡糸してもよい。溶
融紡糸時のドラフト率、すなわち、未延伸繊維の引取速
度と紡糸ノズルからの吐出速度との比は、ポリプロピレ
ンの場合は400以下、高密度ポリエチレンの場合は2
00以下にする必要がある。ドラフト率がこれらの値を
越えると、ポリプロピレン或いはポリエチレンの結晶サ
イズが小さくなり、細孔径が小さくなりすぎて、その結
果、空隙率も低くなり、内部に残留した機能性粒子の活
用効率が低下する。
【0011】以上の条件で得られた未延伸繊維は、引き
続いて温度範囲が60〜120℃、歪み速度400%/
分以下で延伸される。延伸温度が60℃未満では、冷延
伸となり、パラフィンワックス抽出後の収縮率が大きく
なって、空隙率が低下し、内部に残留した機能性粒子の
活用効率が不十分になる。また、120℃を越えると、
未延伸繊維が軟化しすぎるので有効な延伸が行われず、
繊維強度が低くなり、種々の形態に加工する際に問題が
発生する。なお、ここで、歪速度は、本出願人にかかる
特開平5−125667号公報で公知のように、延伸時
の供給ローラ速度をGF(m/分)、延伸側ローラ速度
をGT(m/分)、これらのローラ間の距離をL(m)
とした場合に、歪速度(%/分)=(GT−GF)/L
×100となる。
【0012】このときの延伸倍率は、1.4〜4.5倍
の範囲が好ましく、1.4倍未満では空隙率が低くな
り、4.5倍を越えると延伸により細孔が潰れた状態に
なり、やはり内部に残留した機能性粒子の活用が不十分
になる。この延伸に引き続き繊維には、熱処理が施され
る。この熱処理を施す目的は、パラフィンワックスの有
機溶剤による抽出後、繊維が直径方向および長さ方向に
収縮して、空隙率が低下するのを防ぐためであり、熱処
理温度は前述の延伸温度付近ないしはそれ以上の温度で
行うことが好ましい。
【0013】上記製造方法で得られる機能性粒子の担持
体となる多孔質繊維は、繊維本体に対する細孔の空隙率
が10%以上に限定される。その理由は、空隙率が10
%未満では、繊維内部に残留する機能性粒子の性能を十
分に引き出すことができないからである。また、紡糸時
の機能性粒子の混合物に対する体積比率(V)は、50
体積%以下に限定される。この理由は、体積比率が50
%を越えると、紡糸性が低下し、糸切れが多発して安定
な紡糸ができなくなるからである。
【0014】機能性粒子の体積比率Vは、以下の式で求
められる。 V=V1 /(V1 +V2 +V3 )×100% V1 =機能性粒子の体積 V2 =ポリオレフィン樹脂の体積 V3 =パラフィンワックスの体積 ところが、本発明の製造方法によれば、紡糸時の機能性
粒子の混合物に対する体積比率を15体積%以下に限定
したとしても得られる多孔質繊維の機能性粒子の含有率
を15体積%以上にすることができる。すなわち、紡糸
時の機能性粒子の混合物に対する体積比率を15体積%
以上にすると、上述したように紡糸時に糸切れが発生す
るが、本発明の製造方法では、溶融紡糸して延伸,熱処
理後にパラフィンワックスを除去するので、紡糸時の機
能性粒子の混合物に対する体積比率が15体積%以下で
あったとしても、得られた多孔質繊維中の機能性粒子の
含有率15体積%以上にできる。
【0015】上記製造方法で得られる機能性粒子の担持
体となる多孔質繊維は、その細孔の大きさが、ポリエチ
レンを原料とした場合には、1μm×2μm(長径×短
径)程度以下であり、また、ポリプロピレンを原料とし
た場合には、0.1μm×0.1μm程度以下になる。
従って、混合すべき機能性粒子の粒径を、1〜10μm
程度にすることにより、ポリオレフィン樹脂とパラフィ
ンワックスおよび機能性粒子とを混合紡糸,延伸,熱処
理し、その後にパラフィンワックスを除去する工程にお
いて、機能性粒子がパラフィンワックスとともに脱落す
ることなく、その全量を多孔質繊維の内部に保持させる
ことができる。
【0016】
【作用】上記構成の機能性多孔質繊維の製造方法によれ
ば、ポリオレフィン樹脂とパラフィンワックスと機能性
粒子とを混合し、混合物を紡糸した未延伸繊維を延伸し
た後に、熱処理を施し、しかる後にパラフィンワックス
を抽出除去するので、未延伸繊維の状態では、ポリオレ
フィン樹脂(ポリエチレン,ポリプロピレン)の結晶間
にパラフィンワックスと機能性粒子とが充填された状態
になっている。
【0017】このような状態の未延伸繊維を熱延伸する
と、樹脂の結晶間隔が拡げられ、この後にパラフィンワ
ックスを有機溶剤で抽出除去すると、拡げられた結晶間
に比較的大きな細孔が数多く形成される。従って、得ら
れた多孔質繊維は、非常に特殊な構造をしている。つま
り、熱延伸によってラメラ晶がジグザクに変形し、その
後にこれらの結晶間に充填されているパラフィンワック
スが抽出除去され、パラフィンワックスが除去された部
分が細孔となる。パラフィンワックスの層は、ポリオレ
フィン樹脂の結晶間で、大きくなったり小さくなったり
しながら繊維の内部まで連続している。このため、パラ
フィンワックスが抽出除去されると、内部に残留してい
る機能性粒子に至る細孔が形成され、この結果、パラフ
ィンワックスの抽出前には内部に残留していた機能性粒
子が細孔を介して外部と繋がり、粒子が本来有している
機能を十分に発揮させる。
【0018】このようにして製造された機能性多孔質繊
維は、機能粒子を脱落することなく強固に担持し、か
つ、担持している機能粒子の能力を十分に発揮させ、織
布,不織布用の原料繊維として用いることができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例について詳細に
説明する。消臭剤の担持体または消臭繊維としての応用例 実施例1 高密度ポリエチレン(HDPE)(三井石油化学工業(株)製;商品名ハイゼッ クス2200J、MFR=5.5) :45Wt%(45.4Vol %) パラフィンワックス(日本石油(株)製;商品名145°パラフィン) :45WT%(47.3Vol %) 粒子状多孔質珪酸塩鉱物(水澤化学工業(株)製;商品名ミズカナイトHP、平 均粒径;3μm) :10Wt%(7.3Vol %) *(29.1Vol %) を、機械的に混合した原料をスクリュウ径が25mm
φ、0.4mmφ×160ホールのノズルを取り付け、
145〜180℃に設定された溶融紡糸機に供給し、巻
き取り速度200m/min、ドラフト率80で10d
eの未延伸繊維を作製した。
【0020】得られた未延伸繊維からなるマルチフィラ
メントを12本集め、110℃の雰囲気中で歪み速度4
0%/minで3倍延伸して巻き取った。次に、110
℃のオーブン中で1時間定長熱処理し、さらに、機械捲
縮加工により15個/インチの捲縮を付与し、51mm
にカットしてステープルファイバーとした後、これを室
温のヘキサン中に浸漬して、パラフィンワックスを抽出
除去した。得られた多孔質繊維は、重量デニールが2.
2deであり、繊維中のミズカナイトHPの重量比率は
18.2%であった。従って、混合した粒子状多孔質珪
酸塩は、その全量が繊維中に保持されたことになる。図
1は本実施例で得られた多孔質繊維の表面状態の顕微鏡
写真であり、同写真において瘤状に突出している部分が
ミズカナイトの粒子である。 比較例1 高密度ポリエチレン(HDPE)(三井石油化学工業(株)製;商品名ハイゼッ クス2200J、MFR=5.5) :90WT%(92.6Vol %) 粒子状多孔質珪酸塩鉱物(水澤化学工業(株)製;商品名ミズカナイトHP、平 均粒径;3μm) :10Wt%( 7.4Vol %) *(29.7Vol %) を、実施例1と同じ溶融紡糸機に供給し、パラフィンワ
ックスの抽出除去以外の工程は実施例1と同様に処理
し、3.7deのステープルファイバーを得た。得られ
た繊維中のミズカナイトHPの重量比率は10.0%で
あった。 比較例2 高密度ポリエチレン(HDPE)(三井石油化学工業(株)製;商品名ハイゼッ クス2200J、MFR=5.5) :37Wt%(39.2Vol %) パラフィンワックス(日本石油(株)製;商品名145°パラフィン) :37Wt%(40.9Vol %) 多孔質珪酸塩鉱物(水澤化学工業(株)製;商品名ミズカナイトHP、平均粒径 ;3μm) :26Wt%(19.9Vol %) *(56.5Vol %) を原料として、実施例1と同じ条件で紡糸したが、添加
物であるミズカナイトHPの体積%が50を越えていた
ため、紡糸切れが多発した。
【0021】実施例1と比較例1の消臭性能比較試験 消臭剤であるミズカナイトHPの重量が0.4gとなる
ように、実施例1の繊維2.2gと、比較例1の繊維4
gをそれぞれ取り出し、アンモニア濃度を1000pp
mに調整した1000mlの三角フラスコに入れ、所定
時間経過後のアンモニア濃度を北川式ガス検知管で測定
した。なお、この比較試験では、参考のために粒子状ミ
ズカナイトHP0.4gを直径10mmφ、高さ20m
mの円柱状に軽く固めたもの(参考例1)と、同量のミ
ズカナイトHPを三角フラスコの底部一面にばらまいた
場合(参考例2)とのアンモニア濃度を合わせて測定し
た。以下の表1に測定結果を示している。
【0022】
【表1】 除去率(%)=(B−A)/B×100(%) A=消臭剤を入れたフラスコ内のガス濃度(ppm) B=消臭剤を入れないフラスコ内のガス濃度(ppm) 表1に示した試験結果から明らかなように、実施例1の
多孔質繊維では、比較例1に対して早い段階で消臭機能
が発揮されるとともに、その除去率も比較例1より大き
いことがわかる。
【0023】吸水性樹脂を担持させた多孔質繊維として
の応用例 実施例2 ポリプロピレン(PP)(宇部興産(株)製;商品名UBEポリプロYK121 、MFR=3) :40Wt%(43.6Vol %) パラフィンワックス(日本石油(株)製;商品名145°パラフィン) :40Wt%(44.0Vol %) 粒子状高吸水性樹脂(三菱油化(株)製;商品名ダイヤウェット、平均粒径;1 0μm) :20Wt%(12.4Vol %) *(31.3Vol %) を、機械的に混合した原料をスクリュウ径が25mm
φ、0.4mmφ×160ホールのノズルを取り付け、
175〜200℃に設定された溶融紡糸機に供給し、巻
き取り速度200m/min、ドラフト率80で10d
eの未延伸繊維を作製した。
【0024】得られた未延伸繊維からなるマルチフィラ
メントを12本集め、110℃の雰囲気下で歪み速度4
0%/minで2.9倍に延伸して巻き取った。引き続
き、得られた繊維を実施例1と同様に熱処理,機械捲縮
加工,パラフィンワックスの抽出除去工程を行った。得
られた多孔質繊維は、重量デニールが2.2deであ
り、繊維中のダイヤウェットの重量比率は33.3%で
あった。 比較例3 ポリプロピレン(PP)(宇部興産(株)製;商品名UBEポリプロYK121 、MFR=3) :75Wt%(82.0Vol %) パラフィンワックス(日本石油(株)製;商品名145°パラフィン) : 5Wt%( 5.5Vol %) 粒子状高吸水性樹脂(三菱油化(株)製;商品名ダイヤウェット、平均粒径;1 0μm) :20Wt%(12.4Vol %) *(31.0Vol %) を原料とし、実施例2と同じ溶融紡糸機に供給し、パラ
フィンワックスの抽出除去以外の工程は実施例2と同様
に処理して繊維を得た。
【0025】実施例2と比較例3の吸水性能比較試験 吸水樹脂に換算して0.5gになるように実施例2と比
較例3の繊維(重量W1)をそれぞれ取り出し、これを
200メッシュのポリエステル製濾布からなる袋に入
れ、純水中に24時間浸漬して吸水させ、その後遠心脱
水機により吸水させた水を脱離し、その量(重量W2
を測定した。そして吸水量をW2 −W1 として求めた。
以下の表2にその試験結果を示している。
【0026】
【表2】 表2の結果から明らかなように、実施例2の多孔質繊維
では、比較例3に対して、吸水性能が早期に発揮される
とともに、吸水量も大きく、単位重量当たりの吸水量が
2倍以上になることがわかる。坑菌剤を担持させた多孔質繊維の応用例 実施例3 高密度ポリエチレン(HDPE)(三井石油化学工業(株)製;商品名ハイゼッ クス2200J、MFR=5.5) :49.5WT%(48.8Vol %) パラフィンワックス(日本石油(株)製;商品名145°パラフィン) :49.5WT%(50.9Vol %) 銀系無機坑菌剤(東亞合成化学工業(株)製;商品名ノバロン、平均粒径;3μ m) :1.0W%( 0.3Vol %) *( 3.6Vol %) を原料とし、実施例1と同じ条件で多孔質繊維を作製し
た。
【0027】得られた多孔質繊維は、重量デニールが
2.2deであり、繊維中のノバロンの重量比率は2.
0%であった。 実施例4 高密度ポリエチレン(HDPE)(三井石油化学工業(株)製;商品名ハイゼッ クス2200J、MFR=5.5) :47.5WT%(48.1Vol %) パラフィンワックス(日本石油(株)製;商品名145°パラフィン) :47.5WT%(50.3Vol %) 銀系無機坑菌剤(東亞合成化学工業(株)製;商品名ノバロン、平均粒径;3μ m) :5WT%( 1.6Vol %) *(16.3Vol %) を原料とし、実施例1と同じ条件で多孔質繊維を作製し
た。
【0028】得られた多孔質繊維は、重量デニールが
2.2deであり、繊維中のノバロンの重量比率は9.
5%であった。 比較例4 高密度ポリエチレン(HDPE)(三井石油化学工業(株)製;商品名ハイゼッ クス2200J、MFR=5.5) :98WT%(99.3Vol %) 銀系無機坑菌剤(東亞合成化学工業(株)製;商品名ノバロン、平均粒径;3μ m) :2WT%( 0.7Vol %) *( 7.2Vol %) を原料とし、パラフィンワックスの抽出除去以外の工程
は、実施例1と同じ条件として繊維を作製した。
【0029】得られた多孔質繊維は、重量デニールが
2.4deであり、繊維中のノバロンの重量比率は2.
0%であった。坑菌性の評価 実施例3,4および比較例4において、坑菌剤換算で
0.016gとなるように、実施例4は実施例3と同重
量の繊維を取り出した。各繊維を一定量(5×107
/ml)の大腸菌が入ったりん酸緩衝液25ml中に入
れ、37℃で所定時間振動を与えて、その後、緩衝液中
の生菌数を測定した。以下の表3にその測定結果を示し
ている。
【0030】
【表3】 上記表3の結果から明らかなように、実施例3,4の多
孔質繊維では、生菌数が短時間に少なくなり、特に、実
施例4では30分で零になっていて、本発明の多孔質繊
維が坑菌性に極めて有効であることがわかる。消臭繊維の吸着量を増加させた場合の例 実施例5 高密度ポリエチレン(HDPE)(三井石油化学工業(株)製;商品名ハイゼッ クス2200J、MFR=5.5) :47.5Wt%(47.2Vol %) パラフィンワックス(日本石油(株)製;商品名145°パラフィン) :47.5WT%(49.3Vol %) 粒子状多孔質珪酸塩鉱物(水澤化学工業(株)製;商品名ミズカナイトHP、平 均粒径;3μm) :5Wt%( 3.5Vol %) を原料として、実施例1と同じ条件で多孔質繊維を作成
した。得られた多孔質繊維は、重量デニールが2.2d
eであり、繊維中のミズカナイトHPの重量比率は10
wt%であった。消臭繊維における機能性粒子の活用効率評価 ミズカナイトHPを10wt%含有する実施例5及び比
較例1の繊維2gと、これに含まれる量と同量のミズカ
ナイトHP0.2gとを参考例1として準備し、これら
をそれぞれ試料とした。消臭性能の評価は、気体中のト
リメチルアミンの初期濃度を100ppmに調製した3
00cc三角フラスコ内に試料を入れて密封し、1時間
経過後に三角フラスコ内の気体中に残存するトリメチル
アミンの濃度を、北川式ガス検知管で測定する方法で行
った。
【0031】各試料について上記方法によりトリメチル
アミンを繰り返し吸着させ、ミズカナイトHP単位重量
当たり任意の量のトリメチルアミンを吸着した後の、試
料中のミズカナイトHPの吸着性能を調べた。実施例
5,比較例1,参考例1の各試料について、横軸に吸着
剤単位重量当たりのトリメチルアミン吸着量をとり、縦
軸にトリメチルアミン残存濃度をプロットした試験結果
を図2に示している。
【0032】同図に示す結果から明らかなように、実施
例5の多孔質繊維では、ミズカナイトHP単体のものよ
り若干消臭性能が劣るものの、比較例1のものよりもよ
り大きな消臭性能が得られることが判る。なお、上記実
施例および比較例で各機能性粒子の配合比率において、
*で示した数値は、各機能性粒子の嵩比重に対する体積
%であり、*を付していない数値は、各機能性粒子の密
度に対する体積%である。
【0033】
【発明の効果】以上、実施例で詳細に説明したように、
本発明にかかる機能性多孔質繊維及びその製造方法によ
れば、繊維本体に大量の機能性粒子が強固に担持され、
その脱落が完全に防止され、しかも、繊維本体に形成さ
れた多数の細孔が機能性粒子に繋がっているため、機能
性粒子の機能を効率よく短時間に発揮させることができ
る。また、形態が繊維状であるため、様々の形態に対応
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例で得られた多孔質繊維の表
面を示す図面代用顕微鏡写真である。
【図2】本発明の第5実施例で得られた多孔質繊維と比
較例1および参考例1の機能性粒子の活用効率の試験結
果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−84507(JP,A) 特開 平5−125666(JP,A) 特開 平5−125667(JP,A) 米国特許4545950(US,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン樹脂からなる繊維本体
    と、 前記ポリオレフィン樹脂にパラフィンワックスを混合
    し、溶融紡糸して延伸,熱処理後に前記パラフィンワッ
    クスを除去することにより形成される多数の細孔と、 前記繊維本体に担持された機能性粒子とからなる機能性
    多孔質繊維であって、 前記細孔は、前記樹脂の結晶間に前記パラフィンワック
    スを充填して、この状態で熱延伸して、前記樹脂の結晶
    間隔を広げて、ラメラ晶をジグザクに変形させて、前記
    パラフィンワックスを除去した部分であり、大きくなっ
    たり小さくなったりしながら繊維の内部まで連続してい
    ることを特徴とする機能性多孔質繊維。
  2. 【請求項2】 前記細孔は、その長径×短径が1μm×
    2μm以下であって、前記機能性粒子の粒径を1〜10
    μmとしたことを特徴とする請求項1記載の機能性多孔
    質繊維。
  3. 【請求項3】 前記機能性粒子は、前記多数の細孔を有
    する繊維本体の単位体積に対して、0.3〜40%担持
    されていることを特徴とする請求項1または2記載の機
    能性多孔質繊維。
  4. 【請求項4】 100重量部のポリオレフィン樹脂と、
    30〜300重量部のパラフィンワックスとからなる混
    合物の99.85〜85体積%と機能性粒子0.15
    〜15体積%とを混合する工程と、 前記工程で得られた混合物を400以下のドラフト率で
    溶融紡糸して未延伸繊維を得る工程と、 この未延伸繊維を加熱下で歪み速度400%以下で
    1.4〜5.0倍に延伸して、前記機能性粒子の一部を
    表面に析出させた後に熱処理を施し、その後に、前記パ
    ラフィンワックスを除去する工程とからなることを特徴
    とする機能性多孔質繊維の製造方法。
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