JP3312770B2 - 電子増倍管 - Google Patents

電子増倍管

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JP3312770B2
JP3312770B2 JP10466793A JP10466793A JP3312770B2 JP 3312770 B2 JP3312770 B2 JP 3312770B2 JP 10466793 A JP10466793 A JP 10466793A JP 10466793 A JP10466793 A JP 10466793A JP 3312770 B2 JP3312770 B2 JP 3312770B2
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electron
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浩之 久嶋
明 渥美
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多段に積層させたダイ
ノードによって、入射電子流或いはイオンを増倍する電
子増倍管に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電子増倍管及びその細部の構成を
図9に示す。この電子増倍管は、有底円筒状の真空容器
105内に、ダイノード102を複数段に積層させた電
子増倍部107及びアノード103を配設している。ま
た、光電面板101の内面には、光電陰極106を備え
ており、光電子増倍管を構成している。各ダイノード1
02は、その間に円板状のセラミックスペーサ108を
介在させて、所定の間隔を空けて積層されている。
【0003】図10に示すように、各ダイノード102
は、2枚のダイノード薄板102a,102bを溶接し
て一体化しており、このように2枚のダイノード薄板を
接合することにより、一枚のダイノードを形成してい
る。これは、ダイノードに開孔部110を形成する際
に、現在のエッチング技術では、隣設する下部開孔端の
間隔lの最小値が、ダイノードの厚さに依存して決定さ
れるためである。即ち、この下部開孔端の間隔lを長く
形成する場合には、厚いダイノード基板に対して、直
接、エッチングを施せば良いが、この間隔lが短い、高
い開孔率を有するダイノードを形成する場合には、厚さ
が薄いダイノード薄板に予めエッチングを施して開孔部
を形成し、この後、図10に示すように、互いに積層し
て一体化する方法がとられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来では、このよう
に、複数のダイノード薄板を接合して一体化して構成す
ることがあったが、この接合は、通常、溶接によって行
われる。この溶接部位Aは、ダイノード102の周囲に
設けられ(図11)、この溶接跡は、ダイノード102
表面から突出した突起として形成される(図12参
照)。一方、各ダイノード102は、同じ位置関係で積
層されるため、図12に示すように、上下に隣設する溶
接部位Aが互いに接近することとなり、この部分で電界
放電が起こり、ノイズが発生する欠点があった。
【0005】さらに、ダイノード102の間隔が0.16〜
0.17mm程度の小型の電子増倍管を形成する場合には、
この上下に隣設する溶接部位A同士の間隔が一層狭くな
り、より電界放電が発生し易すくなり、小型の電子増倍
管を製造する上で大きな問題となっていた。
【0006】本発明は、このような課題を解決すべくな
されたものであり、その目的は、小形化した場合にも、
溶接部位での電界放電の発生を抑制し、ノイズを抑える
ことができる電子増倍管を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明にかかる
電子増倍管は、積層する各ダイノードは、所定の溶接部
位において、開孔部が形成された複数のダイノード薄板
を溶接して一体化したものであり、互いに隣設する各ダ
イノードの溶接部位が、このダイノードの積層方向に対
して異なる位置となるように、各ダイノードを積層して
構成する。
【0008】また、ダイノードを構成する各ダイノード
薄板は、その外周部に、外方に突出する突出片を有して
おり、各ダイノード薄板は、この突出片において溶接し
て一体化する構成としても良い。
【0009】さらに、各ダイノードには、その一部を切
除した切欠部が形成されており、この切欠部に相対する
位置に、その前段と後段のダイノードの溶接部位を配設
して積層することが好ましい。
【0010】なお、このような電子増倍管は、光電陰極
を備えた光電子増倍管として構成することもできる。
【0011】
【作用】各ダイノードの溶接部位を、積層方向に対して
互いに異なる位置となるように、位置をずらして積層す
ることにより、上下に隣設するダイノードの溶接部位
が、互いに接近して配設される構成が回避される。
【0012】また、この溶接を、ダイノードの外周部に
突出する突出片に対して施すことにより、この突出片に
突起状の溶接跡が形成されるが、この溶接跡の上方及び
下方には、隣設するダイノードが存在しない構造とな
り、隣設するダイノードの各段の溶接部位の間隔を大き
くとることができる。
【0013】さらに、各溶接部位に対して前段と次段に
位置する各ダイノードの対応部位を切除することによ
り、この両溶接部位の上方及び下方に十分な間隙が形成
される。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。
【0015】図1、2に、本実施例にかかる光電子増倍
管を示す。この光電子増倍管は、入射光を受ける円形の
受光面板1、その外周部に配設する円筒形の金属側管
3、及び基台部を構成する円形のステム4によって真空
容器を形成し、この内部に、入射電子流を増倍する電子
増倍部5を配設している。
【0016】受光面板1の下面には光電陰極2を設け、
この光電陰極2と電子増倍部5との間には収束電極6を
配設している。従って、光電陰極6から放出された各電
子は、収束電極6の影響によってその軌道が収束され、
電子増倍部5の所定の領域内に入射する。
【0017】基台部となるステム4には、外部の電圧端
子と接続して、各ダイノード7、10などに所定の電圧
を与える計12本のステムピン11が貫通している。各
ステムピン11は、テーパ状のハーメチックガラス12
によってステム4に固定されている。また、接続すべき
ダイノードに至る長さを有し、その先端は対応する各ダ
イノードに形成したU字型の接続端子20と抵抗溶接さ
れている。
【0018】電子増倍部5は、多数の電子増倍孔8を有
するダイノード7を、複数段に積層して構成しており、
これら積層したダイノード7の下部には、アノード9、
及び最終段のダイノード10を順に配設している。
【0019】図3に、電子増倍部5を構成する、連続す
る3段のダイノード7を取り出して示す。各ダイノード
7は、それぞれ、上部電極7aと下部電極7bとを溶接
して一体化して形成しており、各ダイノード7の上面と
下面には、突起状の溶接跡30が形成されている。
【0020】ここで、図4(a)には、電子増倍部5を
構成する第n段のダイノードnの平面図を示し、(b)
には、その次段の第n+1段のダイノードn+1の平面
図を示す。各ダイノードは、略正方形を呈しており、各
ダイノードを一体化する溶接は、一方の対角線方向に相
対する隅部に施している。従って、ダイノードnには、
この相対する隅部に突起状の溶接跡30が形成されてい
る。また、次段のダイノードn+1には、他方の対角線
方向に相対する隅部に溶接を施しており、この位置にも
突起状の溶接跡30が形成されている。電子増倍部5を
構成すダイノードは、このようにして、順に溶接跡30
の位置を交互に変えて各ダイノードを積層している。従
って、図3に示すように、中段に位置するダイノード7
に形成された溶接跡30と、その上段、下段に位置する
ダイノード7の溶接跡30とが、積層方向に対して一致
することはない。
【0021】他の実施例を図5(a),(b)に示す。
各ダイノードは、前述の実施例と同様に、溶接部位を対
角線方向に沿って交互に変えて積層しているが、この場
合には、ダイノードnの溶接跡30に相対するダイノー
ドn+1の部位を切除して構成している。従って、各ダ
イノードは、溶接を施さない、他方の対角線方向の隅部
に切欠部31を形成している。このように形成したダイ
ノードを順に積層することにより、各段のダイノードの
溶接跡30の上方及び下方には、隣設するダイノードが
位置せず、そのさらに前段及び後段のダイノードとの間
に、大きな空隙が形成されることとなる。
【0022】また、他の実施例を図7(a),(b)に
示す。この場合には、ダイノード7の外周部に突出片3
3を突設しており、各ダイノード7は、この突出片33
にて、上部電極7aと下部電極7bとを溶接して一体化
している。また、この突出片33は、上下に隣設される
各ダイノード7ごとに、位置をずらして形成しており、
連続する前段と後段のダイノードで、突出片33が重な
り合うことがないように配設されている。例えば、図8
に示すように、突出片33を一段おきに同じ位置に設け
ることにより、溶接跡30の上方及び下方には、ダイノ
ードが位置せず、そのさらに前段及び後段のダイノード
との間に、大きな空隙が形成されることとなる。また、
ダイノードの外周部に沿って、突出片33を各段毎に序
々に位置をずらして設けることもできる。このように配
設した場合、突設片33は、図2に示した接続端子20
のように、電子増倍部5の外周部に放射状に突出する状
態となる。
【0023】以上説明した各実施例では、各段のダイノ
ードを上部電極と下部電極との2枚を接合して構成する
例を示したが、3枚以上を接合して構成する場合も同様
である。この場合にも、実施例で示した各溶接部位にお
いて、それそれ該当する枚数の上部電極などを構成する
ダイノード薄板が溶接されることになる。
【0024】また、各実施例では、略正方形状のダイノ
ードのみを例示したが、この形状に限定するものではな
く、例えば、ダイノードの形状は円盤形状であってもよ
い。さらに、各実施例では、各ダイノードは、上部電極
7aと下部電極7bを2カ所で溶接する例を示したが、
3カ所以上であっても良い。また、図4及び図5の例で
は、ダイノードの隅部に溶接位置を施す場合を示した
が、ダイノードの外縁部に沿った位置に溶接することも
可能であり、いずれの場合にも、上下に隣設するダイノ
ードの溶接部位が、互いに重ならない位置であれば良
い。なお、各実施例では、各ダイノードは、光電陰極を
備えた光電子増倍管内に配設する例を示したが、勿論、
電子増倍管に配設することも可能である。
【0025】
【発明の効果】本発明にかかる電子増倍管では、互いに
隣設する各ダイノードの溶接部位が、このダイノードの
積層方向に対して異なる位置となるように積層するの
で、上下に隣設するダイノードの溶接部位が、互いに接
近して配置される構成を回避することができる。従っ
て、各段の突起状の溶接跡が互いに接近することはな
く、従来、この部位で発生していた電界放電を抑制する
ことができ、この放電に起因するノイズの発生を低減す
ることができる。
【0026】また、このような構成は、電子増倍管を小
形化した場合に特に有効である。すなわち、小型化に伴
って各ダイノードの間隔が一層狭くなるため、溶接跡同
士が互いに接近して電界放電が発生し易くなる。しか
し、このような構成を採用することによって、溶接跡同
士の間隔が広がるため、この放電の発生を抑制すること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる光電子増倍管を示し、金属側管
を破断してその内部構造を示す側面図である。
【図2】図1に示す光電子増倍管の上面図である。
【図3】図1に示す光電子増倍管にうち、電子増倍部を
構成するダイノードを示す端面図である。
【図4】(a)は、第n段のダイノードを示す平面図、
(b)は第n+1段のダイノードを示す平面図である。
【図5】図5は、他のダイノードの実施例を示し、
(a)は第n段のダイノードを示す平面図、(b)は第
n+1段のダイノードを示す平面図である。
【図6】電子増倍部を構成するダイノード示す端面図で
ある。
【図7】図7は、他のダイノードの実施例を示し、
(a)は第n段のダイノードを示す平面図、(b)は第
n+1段のダイノードを示す平面図である。
【図8】電子増倍部を構成するダイノードを示す端面図
である。
【図9】従来の電子増倍管を示す側面図である。
【図10】図9の電子増倍管に備えられたダイノードを
示す端面図である。
【図11】図9の電子増倍管に備えられたダイノードを
示す平面図である。
【図12】図9の電子増倍管内に積層されたダイノード
を示す端面図である。
【符号の説明】
5…電子増倍部、7、10…ダイノード、7a…上部電
極(ダイノード薄板)、 7b…下部電極(ダイノード
薄板)、30…溶接跡、31…切欠部、33…突出片。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−150644(JP,A) 特開 昭60−182642(JP,A) 実開 昭62−55186(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 43/20

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイノードを複数段に積層して構成する
    電子増倍管において、 前記各ダイノードは、所定の溶
    接部位において、開孔部が形成された複数のダイノード
    薄板を溶接して一体化したものであり、 互いに隣設する前記各ダイノードの溶接部位が、このダ
    イノードの積層方向に対して異なる位置となるように、
    前記各ダイノードを積層してなる電子増倍管。
  2. 【請求項2】 前記ダイノードを構成する前記各ダイノ
    ード薄板は、その外周部に、外方に突出する突出片を有
    しており、 前記各ダイノード薄板は、この突出片において溶接され
    たものであることを特徴とする請求項1記載の電子増倍
    管。
  3. 【請求項3】 前記各ダイノードには、その一部を切除
    した切欠部が形成されており、この切欠部に相対する位
    置に、その前段と後段の前記ダイノードの溶接部位を配
    設してなる請求項1記載の電子増倍管。
  4. 【請求項4】 前記電子増倍管は、光電陰極を備えた光
    電子増倍管であることを特徴をする請求項1乃至3のい
    ずれか1項に記載の電子増倍管。
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