JP3311636B2

JP3311636B2 - 注湯装置

Info

Publication number: JP3311636B2
Application number: JP10926597A
Authority: JP
Inventors: 和廣戎野
Original assignee: Daihatsu Motor Co Ltd
Current assignee: Daihatsu Motor Co Ltd
Priority date: 1997-04-25
Filing date: 1997-04-25
Publication date: 2002-08-05
Anticipated expiration: 2017-04-25
Also published as: JPH10296429A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、銑鉄やアルミニウ
ム等の金属溶湯を収容した取鍋を支持する揺動台を、取
鍋と共に傾けて取鍋の金属溶湯を外部の鋳型等に注入す
る注湯装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】金属溶湯を収容した取鍋を傾けて鋳型等
に注湯する注湯装置の従来例を、図３乃至図５を参照し
て説明すると、同図の注湯装置は枠状の固定台２と揺動
台３、及び、複数の歯車から成る揺動台駆動機構４を備
える。定位置の固定台２の前方（図３右方向）上部両側
に軸受５が固定され、この軸受５の支軸６を支点とし
て、揺動台３が図４の略水平な定位置と、図５の注湯時
の傾斜位置との間で上下に揺動可能に支持される。

【０００３】揺動台３は、取鍋１が位置決め載置される
矩形板状の鍋取付部３ａと、鍋取付部３ａの両側端に垂
設された一対の側板部３ｂを有する。略水平な鍋取付部
３ａ上には、取鍋１の底部を位置決めする複数の位置決
め板１４や、揺動台３を傾けて注湯する際に取鍋１が鍋
取付部３ａから脱落しないように取鍋１を鍋取付部３ａ
にクランプするクランプ機構（図示せず）が設置され
る。略鉛直な一対の側板部３ｂの前方上部が支軸６に連
結され、各側板部３ｂの前方下端から後方端の間に支軸
６を中心とする所定半径のギヤ部３ｃが形成される。一
対のギヤ部３ｃの同一高さの一部に、揺動台駆動機構４
の例えば一対の中間歯車１２が噛合する。一対の中間歯
車１２は定位置に在って、支軸６と共に揺動台３を支持
する。

【０００４】揺動台駆動機構４は、固定台２上に設置さ
れたブレーキ付きモータ７、減速機８及び歯車機構９を
備える。モータ７の回転軸が軸継手１０を介して減速機
８に連結され、減速機８がモータ７の回転軸の回転速度
を減速して駆動歯車１１を定位置で回転させる。駆動歯
車１１が一対の中間歯車１２の一方に噛合して、一対の
中間歯車１２を回転させる。一対の中間歯車１２は１本
の中間軸１３の両端部に固定され、中間軸１３が固定台
２に軸受１５で回転可能に支持される。歯車機構９は、
駆動歯車１１と一対の中間歯車１２で構成されるが、必
要に応じて駆動歯車１１と中間歯車１２との間に別の歯
車を追加設置する場合もある。

【０００５】揺動台３の鍋取付部３ａが略水平な図４の
状態で、鍋取付部３ａに真上から取鍋１が供給される。
この取鍋１には、例えば鋳型数個分の量のアルミニウム
等の金属溶湯（図示せず）が収容されている。揺動台３
に取鍋１が設置されて注湯開始の指令信号が出される
と、モータ７が駆動して減速機８を介し駆動歯車１１が
回転し、一対の中間歯車１２が中間軸１３を中心に図４
左方向に回転する。この中間歯車１２の回転力で揺動台
３の側板部３ｂのギヤ部３ｃが上昇回転して、揺動台３
と取鍋１が支軸６を中心に上昇旋回する。

【０００６】揺動台３と取鍋１が所望の角度まで傾く
と、取鍋１に収容された金属溶湯が取鍋１の溶湯取出口
１’から鋳型（図示せず）に注入される。取鍋１が鋳型
数個分の金属溶湯の全てを複数の鋳型に注入した注湯終
了段階で、揺動台３と取鍋１が図５の最大角度まで傾斜
する。この後、モータ７がブレーキを掛けながら逆回転
駆動して揺動台３と取鍋１を、図４の元の略水平位置ま
で下降旋回させる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】鋳型数個分の金属溶湯
を収容した取鍋１を揺動台３で上昇旋回させて、複数の
鋳型に対して順番に注湯を行う作業の途中で、緊急事態
発生時あるいは任意時に注湯装置全体を停止させること
がある。この注湯装置全停時に揺動台３と取鍋１は、減
速機８の抵抗ブレーキとモータ７の内蔵ブレーキの両ブ
レーキ機能で上昇旋回停止位置で静止するようにしてあ
る。

【０００８】ところが、取鍋１が全ての金属溶湯を鋳型
に注入して空になっている場合はよいが、取鍋１が注湯
途中で取鍋１に多くの金属溶湯が入っている場合は、取
鍋重量が金属溶湯の分だけ重くなり、この重さに減速機
８とモータ７の両ブレーキ機能が十分に対応し切れ無く
なって、注湯装置全停時に取鍋１と揺動台３が下降旋回
をすることがある。このときの揺動台３の下降旋回速度
は一定せず、下降するに従って下降速度が増大すること
があり、このような場合には揺動台３と共に金属溶湯を
収容した取鍋１が元の略水平な定位置まで下降して急停
止するときのショックで、取鍋内の高温の金属溶湯が跳
ねて不安定になるおそれがあった。

【０００９】本発明の目的とするところは、注湯装置全
停時の揺動台と取鍋の下降旋回をコントロール可能にし
た注湯装置を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の上記目的を達成
する技術的手段は、金属溶湯を収容した取鍋が位置決め
載置される鍋取付部、及び、この鍋取付部の両側端に垂
設された側板部を有する揺動台と、揺動台を略水平な定
位置と支持した取鍋を傾けて取鍋内の金属溶湯を外部の
鋳型等に注入する傾斜位置との間で上下往復旋回移動さ
せる揺動駆動源のブレーキ付きモータと、このモータで
回転駆動して揺動台の側板部に固定したギヤ部を介し揺
動台を上下往復旋回移動させる歯車機構と、歯車機構の
所定の歯車の軸に同軸に固定した円板、この円板を開閉
自在に挟持するブレーキチャックを有し、前記揺動台が
任意の傾斜位置から略水平な定位置まで下降旋回移動す
る際に必要に応じて前記歯車機構の所定の歯車に前記円
板を挟持する前記ブレーキチャックによるブレーキ力を
付与して揺動台の下降旋回速度を調整するブレーキ機構
と、揺動台の後方で前記ブレーキ付きモータと歯車機構
を支持し、この歯車機構に配設されるブレーキ機構のブ
レーキチャックを支持する固定台と、を具備したことを
特徴とする。

【００１１】ここで、ブレーキ機構は、既設の注湯装置
の揺動台にモータの回転力を伝達する歯車機構の中間歯
車、或いは、この中間歯車にモータの回転力を減速機を
介して伝達する駆動歯車、或いは、これら駆動歯車と中
間歯車との間に設置される伝達歯車に付設可能であっ
て、温度に対する摩擦特性が一定なディスクブレーキが
好ましい。注湯装置全停時に上昇旋回した揺動台と取鍋
が自重で下降旋回するときにブレーキ機構を作動させる
と、ブレーキ機構で設定されたブレーキ力が下降旋回動
する揺動台に掛かって、揺動台と取鍋の下降旋回速度
が、ブレーキ機構が無いときの下降旋回速度よりも減速
するように適度に調整されて、略水平な定位置まで下降
したときのショックが軽減され、取鍋からの金属溶湯の
飛び出しが防止される。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明実施形態を図１及び
図２を参照して説明する。同図の実施形態は図３乃至図
５の注湯装置に適用したもので、図３乃至図５と同一又
は相当部分には同一符号を付して説明を省略する。

【００１３】図１の注湯装置が図３の注湯装置と相違す
るところは、歯車機構９の一対の中間歯車１２にブレー
キ力を適宜付与するブレーキ機構２０を追加設置したこ
とである。ブレーキ機構２０は、例えば円板２１、開閉
式ブレーキチャック２２、エアーシリンダ２３、エアー
圧調整弁２４で構成される。

【００１４】一対の中間歯車１２を連結する中間軸１３
の一端を延長させ、その延長端部にブレーキ用円板２１
が同軸に固定される。円板２１の側方定位置の固定台２
上に開閉自在な一対のチャック片から成るブレーキチャ
ック２２が設置され、ブレーキチャック２２が閉動作す
るとチャック片先端部が円板２１の周辺部を挟持し、こ
のときの摩擦抵抗で回転する円板２１にブレーキ力が掛
かる。エアーシリンダ２３は、ブレーキチャック２２の
チャック片基端部に連結され、エアー圧調整弁２４から
のエアー供給でもってブレーキチャック２２を閉動作さ
せる。このときのブレーキチャック２２による円板２１
への摩擦抵抗（閉じたブレーキチャック２２が円板２１
に及ぼすブレーキ力に相当）は、エアー圧調整弁２４で
のエアー圧調整値に比例する。

【００１５】ブレーキ機構２０は、注湯装置が揺動台３
を上昇旋回させて正常な注湯作業をしている間は作動せ
ず、ブレーキチャック２２が開いて円板２１から離脱し
た状態が維持される。注湯装置が揺動台３と取鍋１を上
昇旋回させて注湯作業が行われている途中で、緊急事態
発生等で注湯装置全停指令信号が発信されると、この全
停指令信号を受けてブレーキ機構２０のエアーシリンダ
２３にエアー圧調整弁２４から高圧エアーが供給され、
ブレーキチャック２２が閉じて円板２１の周辺部を挟持
する。このとき、取鍋１と揺動台３が自重により下降旋
回しようとすると、この下降旋回に図２の破線矢印方向
にブレーキ力Ｂ₁、Ｂ₂が作用して、取鍋１と揺動台３
の下降旋回速度が減速制御される。

【００１６】即ち、図２の実線矢印で示す揺動台３のギ
ヤ部３ｃの下降回転で中間歯車１２、駆動歯車１１が回
転し、駆動歯車１１にはモータ７と減速機８によるブレ
ーキ力Ｂ₁が作用し、中間歯車１２の中間軸１３には円
板２１を挟持するブレーキチャック２２によるブレーキ
力Ｂ₂が作用する。その結果、下降回転する揺動台３に
はブレーキ力Ｂ₁とブレーキ力Ｂ₂の合計ブレーキ力
（Ｂ₁＋Ｂ₂）に相当するブレーキ力が作用して、揺動
台３と取鍋１がブレーキ力Ｂ₁だけの従来の場合に比べ
て、より減速して下降旋回する。このときの下降旋回速
度は、金属溶湯を収容する取鍋１が揺動台３と共に略水
平な定位置まで下降したときのショックで取鍋１の金属
溶湯が飛び出さないように設定される。この下降旋回速
度の設定は、エアー圧調整弁２４のエアー圧調整で行わ
れる。

【００１７】円板２１に作用するブレーキ力Ｂ₂は、次
のように設定することも可能である。例えば、揺動台３
の下降旋回速度を検出し、この検出速度信号をフィード
バックして揺動台３の下降旋回速度が常に一定になるよ
うに、或いは、下降旋回速度が徐々に下がるようにエア
ー圧調整弁２４のエアー圧を自動調整する。

【００１８】尚、ブレーキ機構２０は図１実施形態の構
成に限らず、中間歯車１２自体に直接的にブレーキを掛
けるもの、或いは、駆動歯車１１にブレーキを掛けるも
のであってもよい。また、駆動歯車１１と中間歯車１２
との間に駆動歯車１１の回転力を中間歯車１２に伝達す
る伝達歯車を設置して、この伝達歯車にブレーキ装置を
設置するようにしてもよい。

【００１９】

【発明の効果】本発明によれば、注湯装置全停時に上昇
旋回させた揺動台と取鍋が自重で下降旋回する際に新設
のブレーキ機構を作動させるようにすることで、ブレー
キ機構で設定されたブレーキ力が下降旋回動する揺動台
に作用し、揺動台と取鍋の下降旋回速度が確実に減速制
御されて、揺動台が略水平な定位置まで下降したときの
ショックが軽減される。また既存の注湯装置に対して
も、その歯車機構の一部の歯車に本発明のブレーキ機構
を容易に付設可能なので、低改造コストで本発明を実施
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態を示す注湯装置の平面図であ
る。

【図２】図１注湯装置における歯車機構の回転方向とブ
レーキ方向を説明するための要部の概略を示す側面図で
ある。

【図３】従来の注湯装置の平面図である。

【図４】図３注湯装置の側面図である。

【図５】図３注湯装置のＡ−Ａ線からの部分断面を含む
注湯時の側面図である。

【符号の説明】

１取鍋３揺動台７ブレーキ付きモータ９歯車機構１２歯車（中間歯車）２０ブレーキ機構

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】金属溶湯を収容した取鍋が位置決め載置
される鍋取付部、及び、この鍋取付部の両側端に垂設さ
れた側板部を有する揺動台と、揺動台を略水平な定位置と支持した取鍋を傾けて取鍋内
の金属溶湯を外部の鋳型等に注入する傾斜位置との間で
上下往復旋回移動させる揺動駆動源のブレーキ付きモー
タと、このモータで回転駆動して揺動台の側板部に固定したギ
ヤ部を介し揺動台を上下往復旋回移動させる歯車機構
と、歯車機構の所定の歯車の軸に同軸に固定した円板、この
円板を開閉自在に挟持するブレーキチャックを有し、前
記揺動台が任意の傾斜位置から略水平な定位置まで下降
旋回移動する際に必要に応じて前記歯車機構の所定の歯
車に前記円板を挟持する前記ブレーキチャックによるブ
レーキ力を付与して揺動台の下降旋回速度を調整するブ
レーキ機構と、揺動台の傾斜方向と反対の後方で前記ブレーキ付きモー
タと歯車機構を支持し、この歯車機構に配設されるブレ
ーキ機構のブレーキチャックを支持する固定台と、を具備したことを特徴とする注湯装置。