JP3309923B2 - 部分多孔質体の製造方法およびセンサーの製造方法 - Google Patents

部分多孔質体の製造方法およびセンサーの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、個々の空隙細胞が互い
につながった細孔を有する多孔質体が部分的に形成され
た部分多孔質体の製造方法、更に詳しくは、エネルギー
線硬化樹脂を利用して、切りりすることなく部分多孔
質体を製造する方法、およびこの方法で製造した部分多
孔質体を構成要素とするセンサーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】微小な多孔質体を使用して微少量の液体
の濾過を行う場合には、一般に多孔質体が枠や容器に接
着された形状の物が使用される。また、濾過・分析の効
率向上を目的として、1つの台枠に多数の多孔質体が形
成された、いわゆるマルチスクリーンプレートが使用さ
れている。また、化学センサーやバイオセンサーなどの
センサーにおいては、濾過によって被検体中の分析の障
害物を除去あるいは遮断することを目的としたり、毛管
現象による被検液体の輸送(展開)を目的としたり、余
剰の被検液体の吸収を目的としたり、呈色試薬、酵素、
抗体、坑原、触媒、オルガネラ、微生物などを保持させ
てそれ自身にセンサー機能を持たせることを目的とし
て、多孔質体が組み込まれる。
【0003】このような多孔質体をその構成要素の一部
とする濾過器やセンサーを製造するに当っては、これま
ではあらかじめ大面積の多孔質体を作成し、それを打ち
抜きなどの方法で必要な寸法・形状に切り出し、濾過器
やセンサーのしかるべき部位に接着などの方法で固定す
るのが常であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、濾過器
やセンサーを小形化したり、少量のサンプルで検知可能
にするためには、多孔質体の寸法を小さくする必要があ
る。しかるに、多孔質体の寸法を特にミリメートルオー
ダーにまで小さくしようとすると、種々の問題が生じて
いた。例えば大面積の多孔質体から所望形状の多孔質体
を打ち抜くと、切断部付近、即ち多孔質体の周辺にひび
割れ状の欠陥が発生しがちであり、多孔質体の寸法を小
さくするほど問題となるという課題がある。また、微小
形状の多孔質体の取扱や所定の位置への接着には、非常
に精密な作業が必要となり、生産性の低下のみならず、
性能のバラつきや歩留まりの低下を来しており、さらに
多数の多孔質体を非多孔質の台枠に接着する場合にも、
生産性の低下、歩留まりの低下といった課題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、多数の多
孔質体を台枠等の支持体ごと一挙に形成する方法につい
て、また濾過器やセンサーを構成する微小な多孔質体の
取扱性を改善し、高精度で歩留まり良く、かつ高い生産
性でもって製造する方法について鋭意検討した結果、エ
ネルギー線重合を利用して、非多孔質の枠中に多数の多
孔質部を形成したり、微小な多孔質部の周囲に非多孔質
の枠を形成すると、取扱性に優れる部分多孔質体やこれ
を利用したセンサーが容易に成形でき、上記課題を解決
できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明は、エネルギー線の照射によ
り重合可能なモノマーおよび/またはオリゴマー(A)
と、このモノマーおよび/またはオリゴマー(A)と相
溶し、かつ該モノマーおよび/またはオリゴマー(A)
にエネルギー線を照射することにより生成したポリマー
と相溶せず、しかもエネルギー線に対して不活性な相分
離剤(B)とを混合した均一な重合性溶液(I)と、エ
ネルギー線の照射により重合可能なモノマーおよび/ま
たはオリゴマー(A′)を主要構成成分とする重合性液
体(II)とを、同一支持体上に互いに境界を接するよう
に配置し、エネルギー線を照射して硬化させることを特
徴とする、部分多孔質体の製造方法、およびこの製造方
法で製造した部分多孔質体の多孔質部にセンサー機能を
有するものを含浸後、固定または担持させることを特徴
とするセンサーの製造方法を提供するものである。
【0007】尚、本発明の製造方法で得られるセンサー
は、電気化学的検出によるもの、例えばポテンショメト
リ−方式、アンペロメトリ−方式によるもの、比色方式
によるもの、例えば、発色、退色、色相変化により検知
するもの、螢光発光や螢光消光方式によるもの、化学発
光によるものなど任意の方式のセンサーであり得る。
【0008】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本
発明に用いられるモノマーおよび/またはオリゴマー
(A)、およびモノマーおよび/またはオリゴマー
(A′)としては、有機、無機を問わず、エネルギー線
の照射により重合し、ポリマーとなるものであればよ
く、ラジカル重合性、アニオン重合性、カチオン重合性
など任意のものであってよいが、1分子内に1〜6個の
ラジカル重合性二重結合を有するものおよびそれらの混
合物、中でも(メタ)アクリロイル基を有するものおよ
びそれらの混合物が好ましい。
【0009】上記本発明に用いられるモノマーとして
は、例えばエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、
ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレー
ト、フェニルセロソルブ(メタ)アクリレート、n−ビ
ニルピロリドン、イソボルニル(メタ)アクリレート、
ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペ
ンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、アクリルア
ミド、N−アルキルアクリルアミド等の単官能モノマ
ー、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネ
オペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6
−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2′−ビ
ス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキ
シフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−(メタ)
アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プ
ロパン等の2官能モノマー、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ
(メタ)アクリレート等の3官能モノマー、ペンタエリ
スリトールテトラ(メタ)アクリレート等の4官能モノ
マー、ジペンタエリスリト−ルヘキサアクリレート等の
6官能モノマー等が挙げられる。これらのモノマーを混
合して用いることも勿論可能である。
【0010】また、上記本発明に用いられるオリゴマー
としては、例えばエネルギー線照射で重合可能で、重量
平均分子量が500〜50000のものが挙げられ、具
体的にはエポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、
ポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリ
ブタジエン樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、分子末
端に(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン樹脂
等を挙げることができる。もちろんこれらのオリゴマ−
同士を混合して用いることもできるし、モノマーと混合
して用いることもできる。
【0011】これらモノマーおよび/またはオリゴマー
(A)、およびモノマーおよび/またはオリゴマー
(A′)としては、中でも重合速度が速い点で(メタ)
アクリル酸系、(メタ)アクリル酸エステル系、(メ
タ)アクリルアミド系モノマーおよび/またはオリゴマ
ー等の様な(メタ)アクリロイル基を有するモノマーお
よび/またはオリゴマーを主成分とするものが好まし
く、例えばモノマーおよび/またはオリゴマー(A)、
およびモノマーおよび/またはオリゴマー(A′)のう
ち、それぞれ(メタ)アクリロイル基を有するモノマー
および/またはオリゴマーを50重量%以上含有するも
のが好ましい。また、架橋構造の導入によって、強度の
向上、寸法精度の向上、および経時的な寸法変化の抑制
が計れるため、(メタ)アクリロイル基を有するモノマ
ーおよび/またはオリゴマーが、2〜6官能のものを3
0重量%以上含有するものが好ましい。さらに、センサ
ーなどの用途に使用される場合など、多孔質部が親水性
であることが好ましい場合には、水酸基、カルボキシル
基、スルホン基、アミノ基、アンモニウム塩、アミド結
合、エーテル結合等の親水基や親水部を含有するモノマ
ーおよび/またはオリゴマー(A)を単独または混合し
て使用することができる。非多孔質部が親水性であるこ
とが好ましい場合にも同様にモノマーおよび/またはオ
リゴマー(A′)を選択することができる。逆に、多孔
質部や非多孔質部を疎水性(撥水性)にする場合には、
モノマーおよび/またはオリゴマー(A)やモノマーお
よび/またはオリゴマー(A′)として、フッ素やシリ
ル基などの疎水性基を含有する原料を適宜選択し得る。
【0012】本発明に用いられる相分離剤(B)として
は、本発明に用いるモノマーおよび/またはオリゴマー
(A)と相溶し、かつこのモノマーおよび/またはオリ
ゴマー(A)がエネルギー線の照射を受けることにより
生成するポリマーと相溶せず、しかもエネルギー線に対
して不活性なものであればいかなるものでもよい。
【0013】本発明においては、相分離剤(B)とモノ
マーおよび/またはオリゴマー(A)とは、エネルギー
線照射時において実質的に均一に相溶している必要があ
り、相分離が生じている状態でエネルギー線を照射する
と、孔径10μmより大きな独立気泡が発生したり、あ
るいは多孔質部が形成されない。
【0014】相分離剤(B)とモノマーおよび/または
オリゴマー(A)との相溶性は、種々の条件、中でもこ
れらを含む重合性溶液(I)の温度で変わるが、またモ
ノマーおよび/またはオリゴマー(A)の種類によって
も変わり得るものである。
【0015】例えば、重合性オリゴマーとして分子末端
に(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン樹脂を
用いる場合には、相分離剤(B)として、カプリン酸メ
チル、カプリン酸エチル、ラウリン酸メチル、カプリル
酸メチル、カプリル酸エチル、アジピン酸ジイソブチル
などのアルキルエステル類、ジイソブチルケトンなどの
ジアルキルケトン類、アルコール類、液状ポリエチレン
グリコ−ル、ポリエチレングリコ−ルのモノエステル、
ポリエチレングリコールソルビタンエステル類、ポリエ
チレングリコールモノエーテル、グリセリンのモノ、
ジ、およびトリエステル、水酸基を有するアルキルエス
テル類、アルキルアミン類、ポリエチレングリコ−ルア
ミン、その他の界面活性剤、更にこれらの一種以上と水
との混合物等を好適に用いることができ、中でも液状ポ
リエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ルのモノ
エステル、ポリエチレングリコールソルビタンエステル
類、ポリエチレングリコールモノエーテル、グリセリン
のモノ、ジおよびトリエステル、水酸基を有するアルキ
ルエステル類、アルキルアミン類、ポリエチレングリコ
−ルアミン等を使用すると、モノマーおよび/またはオ
リゴマー(A)の溶解度を低下させることなく重合性溶
液(I)の粘度を高くすることができるため、多孔質部
を製造できる条件範囲が広くなると同時に、エネルギー
線の照射により析出したポリマーが網目状となり易く、
多孔質部の強度が高くなるので特に好ましい。
【0016】また、本発明に用いることのできる相分離
剤(B)は、液状のモノマーおよび/またはオリゴマー
(A)に溶解し、エネルギー線照射に対し不活性なもの
であれば、固体、例えばポリマーであってもよい。例え
ば、酢酸セルロース、エチルセルロース、ニトロセルロ
ース、キトサン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ
カ−ボネ−ト、ポリスルホン、ポリエ−テルスルホン、
ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸
エステル、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポ
リビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等や、これ
らの誘導体や共重合体を例示することができ、中でもポ
リエチレングリコール、ポリビニルピロリドンが好まし
い。勿論ポリマーは複数のポリマーであってもよい。相
分離剤(B)はまたポリマー溶液であってもよい。
【0017】相分離剤(B)は、液体、固体に係わらず
水溶性のものであることが、一般的には生産性向上の面
で好ましく、また特に親水性の多孔質部を成形する場合
には、多孔質部の親水性を強めることができるため好ま
しい。
【0018】更に、相分離剤(B)は、単一組成であっ
てもよいし、混合物であってもよい。混合物の場合に
は、その混合物自体が本発明に用いるモノマーおよび/
またはオリゴマー(A)と相溶し、かつこのモノマーお
よび/またはオリゴマー(A)がエネルギー線の照射を
受けることにより生成するポリマーと相溶せず、しかも
エネルギー線に対して不活性なものであればいかなるも
のでもよく、その構成成分単独での性状は特に限定され
ない。従って、混合物中の個々の構成成分は、モノマー
および/またはオリゴマー(A)と相溶せず、かつその
ポリマーも膨潤または溶解させないものであってもよい
し、逆にモノマーおよび/またはオリゴマー(A)から
生成するポリマーと相溶するものであってもよい。例え
ば、モノマーおよび/またはオリゴマー(A)とも、こ
れらモノマーおよび/またはオリゴマー(A)から生成
するポリマーとも相溶する良溶媒と水との混合液体であ
ることも好ましい。
【0019】相分離剤(B)は、多孔質部の製造方法の
違い、モノマーおよび/またはオリゴマー(A)の種
類、必要とされる重合性溶液(I)の粘度、ポリマーや
その他の成分や添加剤の溶解性、多孔質部に必要とされ
る孔径や細孔の形状などにより適宜選択することができ
る。
【0020】多孔質部を等方性の多孔質部とする場合に
は、相分離剤(B)として不揮発性または低揮発性の液
体を使用することが好ましい。一方、多孔質部を非対称
構造にする場合には、相分離剤(B)として揮発性液体
を使用し、エネルギー線照射前に部分乾燥することで、
多孔質部の表面に微細な孔径を持つ緻密層を成形するこ
とができる。また相分離剤(B)は、エネルギー線とし
て紫外線を用いる場合には、紫外線吸収の少ないものが
好ましい。
【0021】相分離剤(B)の、モノマーおよび/また
はオリゴマー(A)に対する比率については、モノマー
および/またはオリゴマ−(A)1重量部に対して0.
1〜5重量部の範囲が、多孔質部の空隙率が低くなり過
ぎることがなく適当で、しかも空隙率が高くなり過ぎて
強度が不充分となることがないので好ましい。
【0022】多孔質部の細孔の孔径は、モノマーおよび
/またはオリゴマー(A)と相分離剤(B)の混合比の
ほか、モノマーおよび/またはオリゴマー(A)と相分
離剤(B)との組合わせに依存する。その関係は一般的
にいって、相分離剤(B)の混合比が高い場合や、モノ
マーおよび/またはオリゴマー(A)と相分離剤(B)
との相溶性が悪い場合や、重合性溶液の粘度が低い場合
に孔径が大きくなる。
【0023】モノマーおよび/またはオリゴマー(A)
と相分離剤(B)との相溶性の良否は、混合液の温度を
徐々に低下させて行き、相分離が生じる温度で判定でき
る。相分離温度が低いほど、相溶性が良い。
【0024】本発明においては、適当な条件を選定する
ことにより、孔径0.01〜10μmの細孔を形成する
ことが好ましい。この範囲以下あるいはこの範囲以上の
孔径も形成することは可能であるが、検体の浸透速度の
低下が生じたり、寸法安定性の低下などが生じやすくな
る。
【0025】重合性溶液(I)は、エネルギー線の照射
により硬化し、多孔質部を形成する溶液であり、モノマ
ーおよび/またはオリゴマー(A)と相分離剤(B)と
から構成されるが、他の成分を含有することも可能であ
る。例えば、紫外線重合開始剤や、センサー機能を有
し、かつエネルギー線の照射後の多孔質部中に固定また
は担持される成分(C)、エネルギー線の照射後の多孔
質部中に固定または担持され、多孔質部を親水性化また
は疎水性化する親水性物質または疎水性物質等が挙げら
れる。また、エネルギ−線として紫外線を用いる場合に
は、重合速度を速める目的で、重合性溶液に紫外線重合
開始剤を含有させることが好ましい。
【0026】重合性液体(II)は、エネルギー線の照射
により硬化し、非多孔質部を形成する液体であり、モノ
マーおよび/またはオリゴマー(A′)を主要な構成成
分とするものであるが、必要に応じ他の成分を含有する
ことも可能である。例えば、紫外線重合開始剤、溶剤、
色素、顔料、親水性物質、疎水性物質等が挙げられる。
また、エネルギ−線として紫外線を用いる場合には、重
合速度を速める目的で、重合性溶液に紫外線重合開始剤
を含有させることが好ましい。
【0027】尚、重合性液体(II)を構成するモノマー
および/またはオリゴマー(A′)は、重合性溶液
(I)を構成するモノマーおよび/またはオリゴマー
(A)と同じものを使用しても、異なるものでもよく、
用途、目的により任意に選択できる。
【0028】重合性溶液(I)および/または重合性液
体(II)に添加する紫外線重合開始剤としては、特に制
約を設ける必要は無いが、重合性溶液(I)または重合
性液体(II)に溶解可能な物を選択する必要があり、例
えばp−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、
2,2′−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ
−2−メチル−1−フェニルプロパン −1−オン、等
のアセトフェノン類;ベンゾフェノン、4,4′−ビス
ジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサン
トン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサ
ントン、2−イソプロピルチオキサントン等のケトン
類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイ
ンイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテ
ル等のベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケター
ル、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のベン
ジルケタール類等を挙げることができる。
【0029】本発明に使用される支持体は、重合性溶液
(I)および重合性液体(II)をエネルギー線照射の間
一定形状に保持しておくものであり、部分多孔質体の用
途目的により、最終的に剥離して使用することも可能で
あるし、部分多孔質体と一体化したまま使用することも
可能である。
【0030】支持体は、非多孔質物質である場合と多孔
質物質である場合がありうる。非多孔質物質の支持体と
しては、例えばポリマー製シート、ポリマー製フィル
ム、ポリマー製リボン、ポリマー製板状物、ポリマー成
形品、金属板、ガラス板、半導体等が挙げられる。エネ
ルギー線照射により成形される部分多孔質体と一体化さ
れる非多孔質物質の支持体の例としては、エネルギー線
照射により形成される部分多孔質体と接着する素材のポ
リマー製シート、ポリマー製フィルム、ポリマー製リボ
ン、ポリマー製板状物等が挙げられる。また、多孔質物
質の支持体としては、例えば不織布、ロ紙、織布、網等
が挙げられ、この場合は、通常製造される部分多孔質体
と一体化される。部分多孔質体と一体化する支持体を使
用する場合には、この支持体と共にもう一枚の支持体を
併用ことも可能である。支持体は、独立したものであっ
てもよいし、連続体であってもよい。支持体が部分多孔
質体と一体成形される場合には、支持体は部分多孔質体
の成形後に切断することも可能である。
【0031】また、支持体上に筒や孔や溝等を有する成
形物などを配置し、これらと一体成形された部分多孔質
体を得ることも可能である。この場合、重合性溶液
(I)と重合性液体(II)は、直接ではなく成形物を介
して互いに境界を接する間接的接触もあり得るが、この
間接的接触も本発明の製造方法に含まれる。
【0032】本発明の製造方法は、重合性溶液(I)と
重合性液体(II)とを、同一支持体上に互いに境界を接
するように配置し、エネルギー線を照射して硬化させる
ことにより部分多孔質体を製造するものである。この場
合、重合性溶液(I)と重合性液体(II)の配置と硬化
の順序は任意であり、また重合性溶液(I)の硬化物は
多孔質部を、重合性液体(II)の硬化物は非多孔質部を
与える。
【0033】本発明の製造方法で製造される部分多孔質
体の多孔質部と非多孔質部の領域の形状は、通常重合性
溶液(I)および/または重合性液体(II)の配置形状
または重合性溶液(I)および/または重合性液体(I
I)へのエネルギー線の照射範囲の形状で決定される。
【0034】さらに具体的な製造方法について数例を述
べれば、その第1の方法としては、重合性溶液(I)と
重合性液体(II)とを、同一支持体上のそれぞれの配置
予定部分に互いに境界を接するように配置した後、エネ
ルギー線を照射してそれぞれ硬化させる方法が挙げられ
る。
【0035】この方法は、更に、重合性溶液(I)を
支持体上の多孔質部の配置予定部分に配置した後、重合
性液体(II)を非多孔質部の配置予定部分に重合性溶液
(I)と境界を接するように配置し、次いでエネルギー
線を照射して両者を硬化させる方法、重合性液体(I
I)を、支持体上の非多孔質部の配置予定部分に配置し
た後、重合性溶液(I)を多孔質部の配置予定部分に重
合性液体(II)と境界を接するように配置し、次いでエ
ネルギー線を照射して両者を硬化させる方法、重合性
溶液(I)と重合性液体(II)を実質上同時にそれぞれ
の配置部分に境界を接するように配置し、次いでエネル
ギー線を照射して両者を硬化させる方法等に分けられ
る。
【0036】これら方法において、重合性溶液(I)お
よび重合性液体(II)を支持体上に所望の形状に配置す
る方法としては、限定はなく、例えば印刷、滴下、注入
等の方法を採ることができる。この際、重合性溶液
(I)と重合性液体(II)とは接触部分を有するもの
の、接触部の局部を除いて実質的に互いに混合しないこ
とが必要である。混合すると、目的の細孔径や空隙率を
持った多孔質部が形成されない。混合させないために
は、支持体上に配する際に混合しにくい方法を選択する
他、各液体の粘度や液体同士の混合性を調整する方法、
支持体上に配した後、速やかにエネルギー線照射を行う
方法等を採ることができる。尚、接触が、成形物を介す
る接触の様に間接的接触である場合には、重合性溶液
(I)と重合性液体(II)の混合の恐れはない。
【0037】エネルギー線の照射は、支持体上に配置さ
れた重合性溶液(I)および重合性液体(II)の双方に
同時に照射することが生産性の点で好ましいが、限定さ
れた照射範囲を逐次照射することも可能である。
【0038】この第1の方法においては、エネルギー線
照射により成形される部分多孔質体における多孔質部お
よび非多孔質部の形状は、重合性溶液(I)および重合
性液体(II)を支持体上に配置したままの形状で形成す
ることができる。勿論、部分多孔質体の成形後に、それ
を切断することにより目的の形状にすることも可能であ
る。しかし、複数個の部分多孔質体を一度に成形する場
合を除いて、部分多孔質体の成形後に切断することなく
目的形状のものを成形することが、本発明の効果の点で
好ましく、特に多孔質部の形状は、重合性溶液(I)を
配置する形状で成形することが好ましい。
【0039】重合性溶液(I)および/または重合性液
体(II)の配置方法の内、印刷方法としては、スクリー
ン印刷、凹版印刷、凸版印刷、オフセット印刷、スプレ
ー印刷、その他任意の方法を採用できる。また、重合性
溶液(I)および重合性液体(II)を滴下、注入により
支持体上に所望の形状に配置するには、印刷されていな
い領域へ滴下、注入する他、一時的に型枠などを使用
し、重合性溶液(I)および重合性液体(II)の両者を
配置した後に型枠を取り外す方法や、支持体表面に親水
性/疎水性のパターンを形成した後に、重合性溶液
(I)および重合性液体(II)を滴下、注入する方法等
を採ることができる。
【0040】重合性溶液(I)と重合性液体(II)を支
持体上に配置する順序は任意であるし、支持体上に配置
する方法も異なっていてよい。重合性溶液(I)と重合
性液体(II)とが互いに境界を接した状態でエネルギー
線照射することにより、多孔質部と非多孔質部が一体化
された部分多孔質体を得ることができる。
【0041】第2の方法としては、重合性溶液(I)と
重合性液体(II)のいずれか一方を、支持体上の一方の
配置予定部分に配置し、エネルギー線を照射して硬化さ
せて硬化物とした後、他方を支持体上の他方の配置予定
部分に硬化物と境界を接するように配置し、エネルギー
線を照射して硬化させる方法、即ち、重合性液体(I
I)を支持体上の非多孔質部の配置予定部分に配置し、
エネルギー線を照射して硬化させた後、重合性溶液
(I)を多孔質部の配置予定部分に重合性液体(II)の
硬化物と境界を接するように配置し、エネルギー線を照
射して硬化させる方法、あるいは逆に、重合性溶液
(I)を支持体上の多孔質部の配置予定部分に配置し、
エネルギー線を照射して硬化させた後、重合性液体(I
I)を非多孔質部の配置予定部分に重合性液体(I)の
硬化物と境界を接するように配置し、エネルギー線を照
射して硬化させる方法が挙げられる。
【0042】これらの方法は、重合性溶液(I)と重合
性液体(II)いずれか一方が硬化した状態で他方を支持
体上に配すること以外は、第1の方法と同様である。重
合性溶液(I)および重合性液体(II)を支持体上に配
置する方法については第1の方法と同様であるが、重合
性溶液(I)と重合性液体(II)とが混合することはな
い。多孔質部および非多孔質部の形状は、重合性溶液
(I)および重合性液体(II)を配置した形状で形成す
ることができる。重合性溶液(I)と重合性液体(II)
の組み合わせを選択し、重合性溶液(I)が重合性液体
(II)の硬化物に接した状態でエネルギー線照射するこ
とにより、多孔質部と非多孔質部が一体化された部分多
孔質体を得ることができる。
【0043】重合性溶液(I)を先に硬化させるか、重
合性液体(II)を先に硬化させるかは任意であるが、目
的とする部分多孔質体の形状が、多孔質部の周囲に非多
孔質部が形成されたものである場合には、重合性液体
(II)を先に硬化させることが好ましく、非多孔質部の
周囲に多孔質部が形成されたものである場合には、重合
性溶液(I)を先に硬化させることが好ましい。
【0044】第3の方法としては、重合性溶液(I)と
重合性液体(II)のいずれか一方を支持体上に配置し、
一方の配置予定部分のみが硬化するようにマスキングし
てエネルギー線を照射して硬化させ、次いで未硬化物を
除去した後、他方を支持体上の他方の配置予定部分に硬
化物と境界を接するように配置し、エネルギー線を照射
して硬化させる方法、即ち、重合性液体(II)を支持
体上に配置し、非多孔質部の配置予定部分のみが硬化す
るようにマスキングしてエネルギー線を照射して硬化さ
せ、次いで未硬化物を除去した後、重合性溶液(I)を
多孔質部の配置予定部分に配置し、エネルギー線を照射
して硬化させる方法、あるいは逆に、重合性溶液
(I)を支持体上に配置し、非多孔質部の配置予定部分
のみが硬化するようにマスキングしてエネルギー線を照
射して硬化させ、次いで未硬化物を除去した後、重合性
液体(II)を非多孔質部の配置予定部分に配置し、エネ
ルギー線を照射して硬化させることも可能である。
【0045】しかし、の方法の場合、未硬化物の除去
時に硬化部から相分離剤(B)が除去されると、重合性
液体(II)がその配置時に細孔内に入り込んで細孔を閉
塞しやすくなるため、硬化部から相分離剤(B)を除去
せずにおくことが必要で、未硬化物の除去方法に制約が
あり、この様な制約のないの方法が好ましい。
【0046】このの方法では、エネルギー線照射によ
り成形される非多孔質部の形状を、重合性溶液(II)の
エネルギー線照射形状で形成することができる。この場
合、重合性液体(II)の支持体上への配置は、支持体上
全面に行ってもよいし、エネルギー線照射範囲より若干
広い範囲であってもよいし、場合によってはエネルギー
線照射範囲より狭い部分を有し、非多孔質部の形状が部
分的に重合性液体(II)の塗布形状で形成されることも
可能である。多孔質部を特に精密な形状に成形する場合
には、所望の形状のマスキングによりエネルギー線照射
形状を形成することが好ましい。マスキングは、レンズ
系を通したマスキングパターンであってもよいし、拡大
または縮小パターンであってもよい。エネルギー線照射
後の未硬化の重合性液体(II)の除去は、洗浄の他、吸
収、拭き取り、エアブローなど任意の方法で行うことが
できる。次いで行なう重合性溶液(I)の配置は、第2
の方法と同様に行なうことができる。
【0047】本発明の製造方法は、その他に、上記の方
法のバリエーションも有り得る。例えば、第2の方法や
第3の方法において、後で硬化させる重合性溶液(I)
または重合性液体(II)に、マスキングしてエネルギ−
線を照射し、次いで未硬化物を除去する方法や、多孔質
部や非多孔質部をそれぞれ複数回の操作で成形する方法
などである。また、重合性溶液(I)および重合性液体
(II)の硬化後、相分離剤(B)を除去することなく、
重合性溶液(I)および重合性液体(II)の硬化物を支
持体としてその上にさらに多孔質部や非多孔質部や部分
多孔質体を積層成形することも可能であるし、重合性溶
液(I)および重合性液体(II)の硬化後、相分離剤
(B)を除去することなく、積層、切断、アフターキュ
ア、その他の加工を加えることも可能である。
【0048】本発明の製造方法で製造する部分多孔質体
の形状としては、限定はないが、シート状、フィルム
状、リボン状、板状等の様な面状が好ましく、面内で多
孔質部と非多孔質部とを有する。一つの部分多孔質体中
の多孔質部と非多孔質部はそれぞれ単数であってもよい
し複数であってもよい。例えば、連続した領域を持つ非
多孔質部の中に独立した単数または複数の多孔質部が形
成された形状、あるいはその逆の形状が有り得るし、多
孔質部と非多孔質部が左右半分づつを占める形状などが
有りうる。これらの中で、連続した領域を持つ非多孔質
部の中に独立した単数または複数の多孔質部が形成され
た形状が、濾過器やセンサーを構成する上で特に有用で
ある。この場合、多孔質部の形状は円または四角形が好
ましく、一つの多孔質部の面積が0.03〜100cm
2 と小さいものである場合に本発明が特に効果的であ
る。濾過器の場合には、一つの部分多孔質体において、
連続した領域を持つ非多孔質部の中に独立した複数の多
孔質部が形成された形状が特に好ましく、センサーの場
合には、一つの部分多孔質体において、連続した領域を
持つ非多孔質部の中に独立した単数の多孔質部が形成さ
れた形状が好ましい。
【0049】また、本発明の製造方法で製造する部分多
孔質体は、上記したように面状のものが好ましいが、そ
の厚みは必ずしも一定である必要はなく、多孔質部と非
多孔質部で異なっていてもよいし、多孔質部内あるいは
非多孔質部内において厚みの異なる部分を有していても
よく、例えばセンサーなど、部分多孔質体を積層して使
用する場合には、多孔質部の厚みが非多孔質部より厚い
ことが好ましい。これにより液絡を確実にし、特性変動
の小さいセンサーを作成できる。
【0050】更に、部分多孔質体は、面内で多孔質部と
非多孔質部とを有するものであるが、それと同時に多孔
質部の一部または全部の上に非多孔質部が形成されてい
る形状を有するものや、非多孔質部の一部または全部の
上に多孔質部が形成されている形状を有するものを排除
するものではない。
【0051】本発明の製造方法においては、一つの、ま
たは連続した支持体上に複数の部分多孔質体を形成する
ことが好ましい。特に、一つの部分多孔質体が小さいも
のである場合には、一つの支持体上に複数の部分多孔質
体を形成できることが、本発明の大きな特長となる。一
つの支持体上に複数の部分多孔質体を形成するには、重
合性溶液(I)および/または重合性液体(II)を支持
体上に配置する形状や、マスキングの形状により実施す
ることができる。この際、各部分多孔質体が互いに接着
していない形状に作成し、切断することなく複数の部分
多孔質体を得る場合と、複数の部分多孔質体が一体化し
た形状に成形し、成形後切り出す場合があり得る。ま
た、部分多孔質体が支持体と一体化されたものである場
合には、支持体ごと切断して使用する。但し、この際エ
ネルギー線硬化に伴い寸法収縮が発生する場合があるた
め、収縮を考慮にいれた設計を行うことが好ましい。
【0052】エネルギー線照射に当っては、支持体を間
欠的に送りつつ、エネルギー線を一定時間照射する方式
でもよいし、支持体を連続的に移動させつつ、照射範囲
における重合性溶液の滞留時間だけ照射してもよい。あ
るいはレーザー光などの細い光線の走査式照射を行って
もよい。
【0053】モノマーおよび/またはオリゴマー(A)
やモノマーおよび/またはオリゴマー(A′)がエネル
ギー線照射による重合に際して酸素による反応阻害を受
ける場合には、エネルギー線の照射を不活性ガス雰囲気
下で行うことや重合性溶液に溶解している酸素を除去す
るによって、重合速度を速めることが好ましい。
【0054】不活性ガス雰囲気の酸素濃度は5体積%以
下であることが好ましく、1体積%以下であることが更
に好ましく、0.1体積%以下であることが最も好まし
い。また、重合性溶液の飽和溶存酸素濃度は溶液の種類
により変わるが、重合性溶液の溶存酸素濃度は、飽和酸
素濃度の20重量%以下であることが好ましく、5重量
%以下であることが更に好ましく、1重量%以下である
ことが最も好ましい。
【0055】溶存酸素除去法としては、加熱脱気法、超
音波照射法、真空脱気法(隔膜真空脱気法も含む)、非
酸素気体のバブリング法、非酸素気体や酸素吸収剤との
接触法(隔膜接触法も含む)など任意の方法を採用でき
る。
【0056】本発明の製造方法に用いられるエネルギー
線としては、電子線、γ線、X線、紫外線、可視光線等
を挙げることができる。中でも、装置および取扱いの簡
便さから紫外線が最も好ましい。照射する紫外線の強度
は、1〜5000mW/cm 2 が好ましく、照射時間
は、0.01〜100秒間程度である。
【0057】電子線もまた本発明の製造方法に用いるこ
とのできる好ましいエネルギー線である。電子線を用い
ると、相分離剤(B)やその他の添加剤などの柴外線吸
収の有無の影響を受けないため、これらの選択の幅が広
がると共に、多孔質部の寸法精度が向上し、製造速度も
向上する。さらに重合開始剤が不要であるため、この残
留が問題となる場合には好ましい。重合性溶液(I)に
エネルギー線照射を照射すると、その構成成分であるモ
ノマーおよび/またはオリゴマー(A)が重合あるいは
架橋し、それとともに相分離剤(B)と相分離し、多孔
質状に硬化することにより、細孔部に相分離剤(B)が
充填された多孔質部が成形される。従って、通常の場
合、最終的には多孔質部の細孔部から相分離剤(B)を
除去するが、その前に他の加工を行うことも可能である
し、用途によっては、除去せずに使用することも可能で
ある。相分離剤(B)の除去は、洗浄、乾燥、吸引、置
換などの方法で実施できる。
【0058】重合あるいは架橋に伴って相分離が生じる
際、重合性溶液(I)中のモノマーおよび/またはオリ
ゴマー(A)と相分離剤(B)以外の構成成分は、その
化学的特性により、多孔質部中に取り込まれる場合、多
孔質部表面に固定される場合、相分離剤(B)に溶解し
た状態となる場合、そしてこれらの混合となる場合が有
り得る。
【0059】重合性液体(II)は、エネルギー線照射に
よりその主要構成成分であるモノマーおよび/またはオ
リゴマー(A′)が重合、硬化することにより、非多孔
質部となる。重合性液体(II)中の、モノマーおよび/
またはオリゴマー(A′)以外の構成成分は、通常、非
多孔質部中に取り込まれたままとなる。
【0060】重合性溶液(I)や重合性液体(II)が硬
化した後や、未反応の重合性溶液(I)や未反応の重合
性液体(II)や相分離剤(B)の除去後に、さらにエネ
ルギー線を照射(アフタ−キュア)することも可能であ
る。特に精密な形状に部分多孔質体を形成する必要があ
る場合、硬化に必要な最小限の量のエネルギー線をマス
キング法で照射して硬化させ、未反応の重合性溶液
(I)や重合性液体(II)を除去した後にアフタ−キュ
アを行うことが好ましい。それ以外の場合にもアフタ−
キュアにより部分多孔質体の強度や硬度の向上が計れ
る。前記第2の方法や第3の製造方法の場合には、最初
のエネルギー線照射は硬化に必要な最小限の量を照射
し、次の照射で先に硬化させた部分もさらに硬化させる
ことも好ましい。
【0061】また、相分離剤(B)の除去後に熱処理す
ることも可能である。熱処理により、未反応モノマ−の
完全除去、部分多孔質体の寸法安定性の付与、多孔質部
の細孔径の調整などが計れる。
【0062】多孔質部の形状としては、濾過器またはセ
ンサーに必要とされる形状等が挙げられ、例えば底面の
形状が円、四角、櫛形などでありうる。また典型的に
は、多孔質部の底面積は0.03〜100cm2 であ
る。
【0063】部分多孔質体の厚みは、通常0.005〜
5mmであり、中でも強度不足がなく、多孔質部での液
体の透過あるいは浸透に要する時間が過大とならない点
で0.02〜0.5mmが好ましい。
【0064】部分多孔質体の厚みは支持体上に所望の形
状で配した、またはキャストした重合性溶液(I)や重
合性液体(II)の厚みや積層数でコントロールできる。
モノマーおよび/またはオリゴマー(A)やモノマーお
よび/またはオリゴマー(A′)の種類や重合性溶液
(I)や重合性液体(II)の組成にもよるが、通常、エ
ネルギー線照射により形成される部分多孔質体の厚み
は、重合性溶液(I)や重合性液体(II)の厚みの50
〜100%となる。
【0065】多孔質部の細孔径は、0.01〜10μm
であることが、濾過やセンサーの用途に使用する場合に
好ましく、0.1〜5μmであることが更に好ましい。
勿論、本部分多孔質体が複数の多孔質部を有する場合
や、積層された多孔質部を有する場合には、それぞれの
多孔質部で孔径が異なっていることも可能である。
【0066】多孔質部にセンサー機能を付与する方法と
しては、例えば多孔質部に酵素、触媒、抗体、坑原、オ
ルガネラ、微生物、呈色試薬、色素、螢光剤、化学発光
剤などのセンサー機能を有するものを固定または担持さ
せる方法が挙げられる。
【0067】センサー機能を有するものとは、被検体中
の特定成分の選択に係わる物質、例えば被検体中の特定
成分と選択的に反応する物質(いわゆるレセプタ−)や
検出すべき成分との反応に係わる物質、被検体中の特定
成分以外の物質を不活性化する物質、検出の有無や程度
の表示に係わる物質、例えばレセプタ−が放出する物質
や残余の物質と反応し発色する物質等が挙げられる。勿
論、これらの機能の複数を兼ねるものであってもよい。
【0068】多孔質部への固定または担持方法として
は、例えば共有結合、イオン結合、吸着、付着、包括な
どが挙げられる。共有結合による方式には、例えばビニ
ル基を導入したセンサー機能を有する物質をモノマーお
よび/またはオリゴマー(A)と共重合させたり、多孔
質部に存在する二重結合と反応させる方法等がある。
【0069】また、多孔質部の残基とセンサー機能を有
するものの残基とを反応させる方式、例えば多孔質部に
アミノ基、アミド基、カルボキシル基、水酸基、メトキ
シ基、エポキシ基、アルデヒド基、イソシアナト基、二
重結合などを導入し、センサー機能を有するものと結合
させる方式などもある。イオン結合による方式には、カ
ルボキシル基やスルホン基などのイオン性の基を導入し
た多孔質部と、カルボキシル基などのイオン性の残基を
有するセンサー機能を有するものとを、多価陽イオンに
て結合させる方法や、第四級アンモニウム塩による方法
等があり、水素結合、分極によるク−ロン力、ファンデ
ルワ−ルス力などによる吸着や付着による方式は、セン
サー機能を有するものと、モノマーおよび/またはオリ
ゴマー(A)との組み合わせにより、適当な親和性のも
のを選択できる。吸着や付着による方法の場合にも、多
孔質部には、共有結合方式の場合と同様の残基を導入す
ることが好ましい。多孔質部への残基の導入方法として
は、例えばモノマーおよび/またはオリゴマー(A)の
一部または全部として目的の基を有するものを使用する
方法や、製造された多孔質部を後処理する方法等が挙げ
られる。
【0070】上記の固定または担持方法を実施するに
は、まず、前記センサー機能を有するものの中から、セ
ンサー機能を有し、かつエネルギー線の照射後の多孔質
体に固定または担持される成分(C)を選択し、この成
分(C)を重合性溶液(I)に添加する方法を採ること
ができる。本方法は、生産性が高く、再現性もよいた
め、相分離剤(B)の除去に当って成分(C)も同時に
除去されることのない、共有結合、イオン結合、物理的
包括の場合に好ましい方法である。吸着の場合は相分離
剤(B)の除去と同時に成分(C)も除去されがちであ
る。しかし、該成分(C)の、モノマーおよび/または
オリゴマー(A)からなる重合体との親和性と、重合性
溶液(I)や洗浄液との親和性との関係によっては、残
留させることもできる。
【0071】他の固定または担持方法としては、例えば
予め作成した多孔質部にセンサー機能を有するものを含
浸させた後、必要に応じて反応および/または乾燥等に
より固定または担持させる方法を採ることができる。こ
の場合、センサー機能を有するものの含浸に先立ち、多
孔質部に何らかの処理を加えることもできる。また乾燥
に先立ち、洗浄により不要分を除去することも可能であ
る。本方法は、共有結合、イオン結合、水素結合方式だ
けでなく、吸着や付着方式による固定または担持も容易
であり、好ましい。
【0072】本発明に使用されるセンサー機能を有する
ものとしては、特に制約はないが、その一例を挙げれ
ば、酵素の例として、アルコールオキシダ−ゼ、コレス
テロ−ルオキシダ−ゼ、LDH、G−6−PDH、GO
D、ウリカ−ゼ、カタラ−ゼ、ペルオキシダ−ゼなどの
酸化還元酵素、GOT、GPT、IPKなどの転移酵
素、リパ−ゼ、アミラ−ゼ、キモトリプシン、トロンビ
ン、ウレア−ゼ、アルギナ−ゼ、コレステロ−ルエステ
ラ−ゼなどの加水分解酵素、アルドラ−ゼなどの分解酵
素、ホスホヘキソ−スイソメラ−ゼなどの異性化酵素、
アセチル−CoA−シンセタ−ゼなどの合成酵素などを
示すことができる。抗体や坑原の例としては、梅毒セン
サー用のトレポネ−マまたは疑似脂質坑原、血液型セン
サー用の血液型決定物質、抗免疫グロブリンG,A,
M,E抗体、癌センサー用のAFP抗体などが例示でき
る。また、その他に、細胞、ミトコンドリア、上皮組織
などのオルガネラ(小器官)や、かび、酵母、細菌、放
線菌などの微生物を挙げることができる。勿論、上記の
センサー機能を有するものは複合して使用することも可
能であり、例えば、複合酵素センサー、抗体−酵素セン
サー、酵素−微生物ハイブリッドセンサーなどを構成す
ることも可能である。
【0073】本発明のセンサーの製造方法は、ドライケ
ミストリ−法などの多相フィルム分析用スライドなど、
多層構造を有するセンサーにも適用できる。例えば分光
分析(比色分析)法による分析スライドの構造の一例を
示せば、下から、透明プラスチックフィルムの支持体、
センサー機能を有するものを固定または担持した多孔質
体層、光学的反射層(多孔質層)、展開層(多孔質層)
の4層からなる多層分析フィルムがプラスチックマウン
トに収められている(例えば「医療機能材料、高分子学
会編、共立出版発行、1990年」などに記載されてい
る)。このような多層構造は、前記本発明の部分多孔質
部の製造工程を複数回繰り返すことにより形成すること
ができる。勿論、ここで使用する重合性溶液(I)の組
成は各回同じである必要はない。また、本発明の製造方
法では、重合性溶液(I)の厚さを薄くでき、しかも重
合性溶液(I)の組成を選択することにより層間に接着
性を付与すこともできるため、このような多層構造を
有するセンサーの形成に特に適している。
【0074】本発明の製造方法は、また、電気化学的検
知方式のセンサーにも適用できる。電極の取りつけ方法
は任意であり、例えば従来と同様に、接触、接着、蒸
着、スパッタリングなどの方法を採ることができるが、
本発明に特有の方法として、多孔質部の形成と同時に、
電極を多孔質部に固定する方法を採ることもできる。即
ち、重合性溶液(I)に電極を埋め込んだ状態または接
触した状態でエネルギー線照射することにより、多孔質
部と一体化した構造を形成することが出来る。電極は、
金属や炭素など任意の材質であってよく、板状、線状、
網状、櫛状、多孔質状など任意の形状であってよい。本
法は、蒸着やスパッタリングに比べて生産性が高く、接
触や接着と比較して電極と多孔質部の接着を確実に行う
ことができるため、品質のバラ付きが小さくなり、電気
化学式センサーの製造に特に適している。
【0075】本発明の製造方法で得られた部分多孔質体
は、各種液体の濾過、高分子物質の分画、電解質の除
去、各種気体の濾過などの膜分離分野で利用され、特に
微小な多孔質部を使用する分野で好ましく利用される。
即ち、少量の液体の濾過を行う用途、例えば血液などの
体液の分析、汗、唾液などの分泌物の分析、貴重な研究
試料や高価な試料の濾過や分析を行う用途、例えば製薬
工業、医療機関、健康診断産業、化学工業、電子工業な
どの分野において利用される。また、1つの台枠に多数
の多孔質部が形成されたいわゆるマルチスクリーンプレ
ートが使用される分野、例えば血液分析を専門に行う部
署や機関において利用される。
【0076】本発明の製造方法で得られたセンサー機能
を有する部分多孔質体やセンサー機能を有するものを含
浸させて得られたセンサーは、また、特定の物質の有無
や濃度の検知器、例えば化学センサーやバイオセンサ
ー、あるいは診断薬等として利用される。
【0077】即ち、測定対象として、例えば、無機質
(Na、K、P、Fe、Clなど)、グルコースなどの
糖、脂質(総脂質、コレステロ−ル、中性脂質、リン脂
質など)、アミノ酸(フェニルアラニン、ロイシンな
ど)、蛋白質(総蛋白質、アルブミンなど)、ホルモン
(インスリン、TSHなど)、免疫グロブリンなどの抗
体、坑原、疑似坑原、ビタミン、抗性物質、薬剤、ケト
ン体、肝汁成分、ウロビリン体、総窒素、尿素、尿酸、
アンモニア、クレアチニン、クレアチン、などの血液、
尿、汗、唾液に含有される成分、病原菌、ウィルス、細
胞膜などの生物関連物質、BOD、可燃性ガス(メタ
ン、LPGなど)、有毒物質(SOx、NOx、フェノ
−ルなど)、湿度などの環境関連物質、水中溶解ガス、
酸類、などの化学物質、味覚・臭覚物質などが挙げられ
る。
【0078】その利用目的としては、診断用分析や治療
用分析、例えば、妊娠診断、各種感染症診断、癌診断、
免疫不全疾患や自己免疫疾患診断、肝炎診断、肝・腎機
能診断などの他、生体活動のモニター、人工臓器などの
運転制御、環境計測、環境制御、防災、各種プロセスの
運転、管理、制御などが挙げられ、利用される産業分野
としては、例えば医療機関、健康診断産業、製薬工業、
化学工業、食品工業、電気・電子工業、機械工業、エン
ジニアリング工業、警備・防災産業などが挙げられる。
センサーとしての用途の場合にも、上記濾過膜としての
用途の場合と同様、被検体が少量である場合おいて特に
好ましく利用される。
【0079】
【実施例】以下、参考例および実施例により本発明をさ
らに具体的に説明するが、本発明の範囲がこれにより限
定されるものではない。尚、例中の部はすべて重量基準
である。
【0080】参考例1〔重合性溶液(I)の調製〕 モノマーおよび/またはオリゴマー(A)としてアロニ
クスM−5400〔東亜合成化学(株)製、カルボキシ
ル基を有する単官能モノマー〕50部およびBPE−4
〔第一工業(株)製、エチレンオキサイド変成ビスフェ
ノ−ルAジアクリレ−ト〕50部を、相分離剤(B)と
してポリビニルピロリドン(平均分子量10000)1
50部およびN,N−ジメチルアセトアミド150部
を、紫外線重合開始剤としてイルガキュアー651(チ
バガイギー社製)10部をそれぞれ用い、これらを混合
して重合性溶液(I−1)を調製した。
【0081】参考例2(同上) モノマーおよび/またはオリゴマー(A)としてアロニ
クスM−5400 50部およびNKエステルA−40
0〔新中村化学(株)製、ポリエチレングリコ−ルジア
クリレ−ト〕50部を、相分離剤(B)としてエタノー
ル400部を、紫外線重合開始剤としてイルガキュア−
184(チバガイギー社製)10部をそれぞれ用い、こ
れらを混合して重合性溶液(I−2)を調製した。
【0082】参考例3(同上) モノマーおよび/またはオリゴマー(A)としてアロニ
クスM−5400 50部およびS9−414〔大日本
インキ化学工業(株)製、分子量894で1分子内に平
均して3個のアクリル基を有するウレタンアクリレート
オリゴマー〕50部を、相分離剤(B)としてポリエチ
レングリコ−ル(平均分子量400)120部を、紫外
線重合開始剤としてイルガキュアー651 1.0部を
それぞれ用い、これらと水30部を混合した混合液に、
多孔質体中に固定または担侍される成分(C)としてグ
ルコースオキシダ−ゼ1.0部を添加して重合性溶液
(I−3)を調製した。
【0083】参考例4〔重合性液体(II)の調製〕 モノマーおよび/またはオリゴマー(A′)としてV4
263〔大日本インキ化学工業(株)製、重量平均分子
量2000で1分子内に平均して3個のアクリル基を有
するウレタンアクリレートオリゴマー〕90部および
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート10部を、紫
外線重合開始剤としてイルガキュアー651 1.0部
をそれぞれ用い、これらを混合して重合性液体(II−
1)を調製した。
【0084】参考例5(同上) モノマーおよび/またはオリゴマー(A′)としてBP
E−4 50部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレ
ート30部およびn−ブチルアクリレート20部を、紫
外線重合開始剤としてイルガキュアー184 1.0部
をそれぞれ用い、これらを混合して重合性液体(II−
2)を調製した。
【0085】実施例1 水平に置いた10cm×10cmのポリエチレン(P
E)板上に、内径5mm、外径6mm、高さ10mmの
ポリ4フッ化エチレン(PTFE)製の円筒を縦に立
て、該円筒の内側のPE板上に重合性溶液(I−1)
を、また該円筒の外側のPE板上に重合性液体(II−
1)を流延した後、円筒を取り外し、メタルハライドラ
ンプにより波長360nmでの強度が100mW/cm
2 の紫外線を60秒間照射した。照射前には透明であっ
た重合性溶液(I−1)の流延液が照射後には、乳白色
に変化していることが観察された。重合性液体(II−
1)の流延液は照射後も透明なままであった。硬化した
シート状物をPE板から剥離し、水およびエタノールに
て順次洗浄した後、乾燥して、直径5.5mmの円形の
白色部とその周囲に一体成形された透明な部位からな
る、白色部、透明部とも厚みが約160μmのシート状
の部分多孔質体を得た。
【0086】走査型電子顕微鏡(SEM)によれば、こ
の部分多孔質体の白色部は、ポリマー粒子が互いに接着
して形成された網目状のポリマーと、その間隙として与
えられる直径約0.7μmの細孔からなる多孔質である
ことが観察された。細孔径および細孔形状は、この多孔
質部の表面および膜断面におけるどの位置においてもほ
ぼ同じであった。一方、この部分多孔質体の透明部に
は、細孔は全く観察されず、非多孔質であることが確認
された。この部分多孔質膜の多孔質部を直径3mmの硝
子棒で強く押して多孔質部を押し破ったが、多孔質部と
非多孔質部の境界が破断することはなかった。また、こ
の部分多孔質膜を濾過器にセットして水を流すと、白色
部を水が透過した。
【0087】実施例2 水平に置いた10cm×10cmのPE板上に、直径5
mm、高さ10mmのPTFE製の円柱を立て、該円柱
部を除くPE板上に、重合性液体(II−2)を流延し、
メタルハライドランプにより波長360nmでの強度が
100mW/cm2 の紫外線を10秒間照射した。その
後、PTFE製円柱を取り外し、取り外した部分に重合
性溶液(I−2)を流延し、同じ紫外線を60秒間照射
した。硬化したシート状物をPE板から剥離し、水およ
びエタノールで洗浄・乾燥した後、透明部を切断整形
し、直径5mmの円形の白色部を中心に、その周囲に一
体成形された透明部からなる、外寸15mm×15m
m、厚みが白色部、透明部共に約90μmの部分多孔質
体を得た。
【0088】SEMによれば、この部分多孔質体の白色
部は、ポリマー粒子が互いに接着して形成された網目状
のポリマーと、その間隙として与えられる直径約2μm
の細孔からなる多孔質であることが確認された。細孔径
および細孔形状は、この多孔質部の表面および膜断面に
おけるどの位置においてもほぼ同じであった。一方、こ
の部分多孔質体の透明部には細孔は全く観察されず、非
多孔質であることが確認された。この部分多孔質体の多
孔質部を直径3mmの硝子棒で強く押してシートの多孔
質部を押し破ったが、多孔質部と非多孔質部の境界が破
断することはなかった。また、この部分多孔質体を濾過
器にセットして水を流すと、白色部を水が透過した。
【0089】実施例3 重合性溶液(I−1)の代わりに重合性溶液(I−2)
を使用したこと、重合性液体(II−1)の代わりに重合
性液体(II−2)を使用したこと、円筒がポリスチレン
(PS)製であること、および円筒を取り外さないこと
以外は実施例1と同様にして部分多孔質体を作製した。
この部分多孔質体は、厚み約85μmの非多孔質シート
の一部にPS製の円筒が接着されており、PS円筒の内
側には、非多孔質シートと同じ平面内に厚み約90μm
の多孔質体が接着成形された形状を呈していた。SEM
観察による多孔質部、非多孔質部の形状は実施例2で得
た部分多孔質体と同様であった。
【0090】実施例4 PE板上に重合性液体(II−2)を流延し、16mm間
隔で10×10個配置された直径5mmの円形部をマス
キングした状態で、メタルハライドランプにより、波長
360nmでの強度が30mW/cm2 の紫外線を10
秒間照射した。n−ヘキサンにより未硬化部を洗浄除去
した後、重合性溶液(I−2)を、重合性液体(II−
2)の硬化塗膜のない部分、即ち16mm間隔で10×
10個配置された直径5mmの円形部分に流延し、波長
360nmでの強度が100mW/cm2 の紫外線を、
PE板全体に60秒間照射することにより硬化させた。
支持体より剥離して得られたシート状物を水およびエタ
ノールで洗浄して、非多孔質シート中に100個の多孔
質部を有する部分多孔質体を得た。この部分多孔質体の
厚みは、非多孔質部が120μm、多孔質部が125μ
mであった。SEM観察による多孔質部、非多孔質部の
形状は実施例2で得た部分多孔質体と同様であった。
【0091】実施例5 重合性液体(II−1)をポリエチレンテレフタレ−ト
(PET)製シートの支持体上に、直径8mmの円形の
孔が1個抜かれた形状にスクリーン印刷し、メタルハラ
イドランプにより波長360nmでの強度が100mW
/cm2 の紫外線を10秒間照射した。硬化した塗膜は
紫外線照射後も透明であった。次いで重合性溶液(I−
2)を、硬化塗膜のない部分、即ち直径8mmの円形部
にスクリーン印刷し、同じく紫外線照射することにより
硬化させた。この時、透明であった重合性溶液(I−
2)塗膜は、硬化後は乳白色を呈した。
【0092】次いで硬化物を支持体ごとアセトンおよび
水で洗浄した後、乾燥し、支持体に接着された厚さ約3
5μmの部分多孔質体を得た。SEM観察による多孔質
部、非多孔質部の形状は実施例2で得た部分多孔質体と
同様であった。得られた部分多孔質体を支持体ごと切断
整形し、直径8mmの多孔質部を中心に持ち、その周囲
に非多孔質部が成形された、外寸15mm×15mmの
部分多孔質体を得た。
【0093】実施例6 PET製シ−ト上に、マスキング蒸着法により電極間間
隙1mmのカーボンと銀の電極を一対形成し、塩酸蒸気
に曝すことにより銀電極を塩化銀電極にした支持体を使
用したこと、および重合性溶液(I−2)の代わりに重
合性溶液(I−3)を使用したこと以外は実施例5と同
様にして、電極付き支持体上に一体成形された、厚み1
07μm、直径8mmの多孔質部を中心に持ち、その周
囲に厚み104μmの非多孔質部が成形された、外寸1
5mm×15mmの部分多孔質体(1)をた。
【0094】一方、実施例3と同様にして製造した、多
孔質部の厚さ約90μm、非多孔質部の厚さ約85μm
の部分多孔質体の多孔質部に、0.1重量%フェリシン
アン化カリウム水溶液を含浸させ乾燥することにより、
部分多孔質体(2)を得た。
【0095】次いで、部分多孔質体(1)の上に部分多
孔質体(2)を、エポキシ樹脂にて非多孔質部同士を接
着することによりセンサーを作製した。上記のようにし
て作製されたセンサーのカーボン電極に、カーボンペー
ストを使用して電流計測機を接続し、筒に全血を点着し
たところ、血中のグルコース濃度に応じた電流が測定さ
れた。
【0096】実施例7 部分多孔質体(1)を作製するに当り、重合性溶液とし
て(I−2)を使用したこと、および得られた部分多孔
質体に、グルコースオキシダ−ゼ水溶液を含浸させ、4
0℃にて2時間インキュベ−トした後、乾燥したこと以
外は、実施例6と同様にしてバイオセンサーを作製し
た。
【0097】上記のようにして作製されたセンサーのカ
ーボン電極に、カーボンペーストを使用して電流計測機
を接続し、筒に全血を点着したところ、血中のグルコー
ス濃度に応じた電流が測定された。
【0098】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、特に微小形
状の多孔質体や、微小な多孔質体が組み込まれた機器、
例えばセンサーを製造するに当り、微小な多孔質体の取
扱作業が除去されるため、生産性の向上、性能のバラつ
きの抑制が計れ、製造工程の機械化が容易となる。ま
た、同時に多数の部分多孔質体を製造できるため、生産
性の向上が計れる。

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エネルギー線の照射により重合可能なモ
    ノマーおよび/またはオリゴマー(A)と、該モノマー
    および/またはオリゴマー(A)と相溶し、かつこのモ
    ノマーおよび/またはオリゴマー(A)にエネルギー線
    を照射することにより生成したポリマーと相溶せず、し
    かもエネルギー線に対して不活性な相分離剤(B)とを
    混合した均一な重合性溶液(I)と、エネルギー線の照
    射により重合可能なモノマーおよび/またはオリゴマー
    (A′)を主要構成成分とする重合性液体(II)とを、
    同一支持体上に互いに境界を接するように配置し、エネ
    ルギー線を照射して硬化させることを特徴とする部分多
    孔質体の製造方法。
  2. 【請求項2】 重合性溶液(I)と重合性液体(II)と
    を、同一支持体上のそれぞれの配置予定部分に互いに境
    界を接するように配置した後、エネルギー線を照射して
    それぞれ硬化させる請求項1記載の部分多孔質体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 重合性溶液(I)と重合性液体(II)の
    いずれか一方を、支持体上の一方の配置予定部分に配置
    し、エネルギー線を照射して硬化させて硬化物とした
    後、他方を支持体上の他方の配置予定部分に硬化物と境
    界を接するように配置し、エネルギー線を照射して硬化
    させる請求項1記載の部分多孔質体の製造方法。
  4. 【請求項4】 重合性溶液(I)と重合性液体(II)の
    いずれか一方を支持体上に配置し、一方の配置予定部分
    のみが硬化するようにマスキングしてエネルギー線を照
    射して硬化させ、次いで未硬化物を除去した後、他方を
    支持体上の他方の配置予定部分に硬化物と境界を接する
    ように配置し、エネルギー線を照射して硬化させる請求
    項1記載の部分多孔質体の製造方法。
  5. 【請求項5】 重合性溶液(I)が、センサー機能を有
    し、かつエネルギー線の照射後の部分多孔質体の多孔質
    部に固定または担持される成分(C)をも含有するもの
    である請求項1〜4のいずれか一つに記載の部分多孔質
    体の製造方法。
  6. 【請求項6】 成分(C)が、坑原、抗体、酵素または
    触媒である請求項5記載の部分多孔質体の製造方法。
  7. 【請求項7】 成分(C)が、尿、血液または汗に含有
    される成分に対しセンサー機能を有するものである請求
    項5記載の部分多孔質体の製造方法。
  8. 【請求項8】 エネルギー線に紫外線または電子線を用
    いる請求項1〜7のいずれか一つに記載の部分多孔質体
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 重合性溶液(I)へのエネルギー線の照
    射を、重合性溶液(I)に電極を埋め込んだ状態、また
    は接触させた状態で行なう請求項1〜8のいずれか一つ
    に記載の部分多孔質体の製造方法。
  10. 【請求項10】 部分多孔質体の厚みが0.005〜5
    mmである請求項5〜のいずれか一つに記載の部分多
    孔質体の製造方法。
  11. 【請求項11】 部分多孔質体の多孔質部が、孔径0.
    01〜10μmの細孔を有するものである請求項10
    載の部分多孔質体の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1、2、3または4記載の製造
    方法で製造した部分多孔質体の多孔質部にセンサー機能
    を有するものを含浸後、固定または担持させることを特
    徴とするセンサーの製造方法。
  13. 【請求項13】 センサー機能を有するものが、坑原、
    抗体、酵素または触媒である請求項12記載のセンサー
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 センサー機能を有するものが、尿、血
    液または汗に含有される成分に対しセンサー機能を有す
    るものである請求項12記載のセンサーの製造方法。
  15. 【請求項15】 部分多孔質体の厚みが0.005〜5
    mmである請求項1214のいずれか一つに記載の製
    造方法。
  16. 【請求項16】 部分多孔質体の多孔質部が、孔径0.
    01〜5μmの細孔を有するものである請求項15記載
    の製造方法。
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