JP3309343B2 - 細管内分極抵抗測定用プローブ - Google Patents

細管内分極抵抗測定用プローブ

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JP3309343B2 JP02611793A JP2611793A JP3309343B2 JP 3309343 B2 JP3309343 B2 JP 3309343B2 JP 02611793 A JP02611793 A JP 02611793A JP 2611793 A JP2611793 A JP 2611793A JP 3309343 B2 JP3309343 B2 JP 3309343B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、復水器において鉄電極
の溶解によって生成させた鉄イオンによる保護皮膜の良
否の判定をするための細管内分極抵抗測定用プローブに
関する。
【0002】
【従来の技術】海水や河川水等を冷却水として使用する
復水器の防食には電気防食法と鉄イオン注入法が併用さ
れている。鉄イオン注入法の主目的は復水器の細管が主
として銅合金を使用しているためその潰食防止であり、
銅合金上に鉄イオンによって保護皮膜を形成させ、硫化
物などによる腐食を防止することである。その手段とし
ては硫酸第一鉄の間欠注入法や鉄電解槽を用いた連続注
入法などがあるが、最近では環境汚染等の関係で採用さ
れにくくなっているので、電気防食用電極として用いら
れている鉄電極の防食電流によって溶出する鉄イオンを
利用する方法が採用されている。図8に公知の鉄イオン
注入量の自動制御回路を組込んだ実機の概略図を示す。
ところで、この防食法を実施する場合、適正な維持管理
のために細管内面の防食状況を適確に把握することが重
要である。そこで、防食保護皮膜の定量的な評価とし
て、既設の電気防食装置等を利用した分極抵抗法が採用
されてきている。一般的に、分極抵抗は電気防食用直流
電源装置からの通電をOFFし、管板面の電位がほぼ安
定した後、再び通電を行ない、通電電流密度と分極量か
ら計算で求める。あるいは通電OFF後、管板面の電位
がほぼ安定した後、200mV陰分極させ、10分後の通
電電流密度を求めて算出している。しかし、叙上の分極
抵抗測定方法では、通電電極としての電気防食用電極及
び照合電極が水室内に配置されるために、復水器の管板
面及び細管の管端部での評価となる。それゆえ、管板面
はともかく細管内面については、評価が困難であった。
そこで、細管内の測定したい位置まで挿入することので
きる分極抵抗測定用プローブが要求されている。
【0003】現在、管内挿入プローブによる測定要領
は、次記の如く仕様されている。すなわち、図5は測定
要領を示す図で、運転停止中の復水器1の細管2に対し
ては、管内挿入プローブ3が挿入される。プローブ3は
Oリング締め付けベアリングケーブル4の先端に止着さ
れており、当該ケーブル4には図6に示される如く液出
用のシリコンゴム管5、液入用のシリコンゴム管6、リ
ード線7が添着されている。液入用のシリコンゴム管6
の基端は試験液タンク9に装着の吸い上げポンプ8に接
続し、また、液出用のシリコンゴム管5の基端は該タン
ク9に接続されている。当該タンク9内には人工海水1
6が貯えられている。リード線7の基端は計測盤10の
ポテンショスタットに接続している。当該計測盤10に
はポテンショスタットの他に、任意関数発生器,パソコ
ン,プリンター及び電源11が備えられている。なお、
ポテンショスタットには対極14、亜鉛電極15及び復
水器1がそれぞれ接続されている。該プローブ3として
は、例えば、図7に示す如く、Oリング締め付けベアリ
ングケーブル4の先端に所定間隔をもってこれに由って
操作されるところの一対のOリング13,13′を取り
付け、当該Oリング13,13′間の仕切り空間17内
に対極14,亜鉛電極15を外部より持ち込みさせ、さ
らに、該空間17内に該シリコンゴム管5,6を持ち込
むとしたものであるとされている。
【0004】叙上の如き装置でもって、測定は次記の如
くなされる。すなわち、プローブ3を細管2内の任意の
場所へ挿入する。人工海水16が洩れないようOリング
締め付けベアリングケーブル4のハンドルを操作してO
リング13,13′を細管2内面壁に押しつける。人工
海水16をプローブ3内に送り込み、Oリング13,1
3′間の仕切空間が満水後は循環させる。自然電極電位
を測定する、すなわち、電位変化が2mV/min 以下の安
定した状態に達した後、その電位を記録する。ポテンシ
ョスタットで自然電極電位をキャンセルし、電位計の読
みをOmVにする。測定細管2に陰分極電流を除々に印加
し、自然電極電位より−10mV〜−100mV分極させて
安定した分極電流値を記録する。但し、測定時間は最長
でも30分間とする。測定細管2の内半径(a,cm)
(製造時の管内半径を用いる)およびプローブ3の接液
部分の長さ(L,cm)、自然電極電位(E0 ),電位
(E),電流(I)から次式を用いて分極抵抗(Rp,
Ωcm2 )を算出する。 Rp={(E−E0 )/I}×2πaL ・・・・(1) 通常、Rpが2×104 Ωcm2 以上であれば、良好な鉄
皮膜が形成されているといわれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】叙上の従来の仕様にお
けるプローブの構造にあっては、前方のOリング13に
は締め付けベアリングケーブル4が接続しておらず(前
方のOリング13は締め付けベアリングケーブル4より
持ち出しの対極14に支持されている)、遠隔操作でも
って管2内面への押圧力をコントロールし得ないので、
予じめ挿入前に充分なシール効果が奏し得る大径に設定
しておかねばならないので、挿入が極めて困難となる。
また、Oリング13,13′は対極14の連絡架構に由
ってのみ、所定間隔に保持されるとされているが、かか
る架構では充分な強度は奏し得ないという問題点があ
る。さらに水密性が不十分である。本発明は、従来の技
術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであ
り、その目的とするところは、前方の密封仕切壁体(O
リング13に相当)に管内挿入後に新たな管内面への押
圧力を付与させ得て、挿入時の大径化に由る負担を軽減
させ得ると共に前後密封仕切壁体の連絡架構に充分な強
度が付与し、十分な水密性を得ることができ、かつ細管
内の任意の位置まで挿入できる細管内分極抵抗測定用プ
ローブを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するた
めに、本発明における細管内分極抵抗測定用プローブ
は、絶縁性の弾性材からなる所定厚の円板体を固定円板
と押え板とで挟さみ付けてなる1対のパッカーを、該固
定円板同志を対峙させた態様にて中心に両端にネジ部を
設けた絶縁性の主支持棒を貫通架設して連結のうえ、当
該主支持棒両端に前記円板体の締め付け用ナットを装着
し、さらに、当該対峙固定円板間に所定数の補助支持棒
を架配し、後方のパッカーには液入用チューブ,液出用
チューブ,照合電極,通電々極を夫々貫通取り付けする
としたものである。
【0007】通電々極は液出用チューブに内装するとパ
ッカーへの穿設貫通孔が減り、断面強度上有利である。
【0008】
【作用】パッカー主体である弾性体の円板体は締め付け
用ナットで圧締め操作で径大変形するが、前方のパッカ
ーの場合には挿入後にあっては操作不可能であるので、
挿入前に予じめある程度変形させておかねばならない。
一方、後方のパッカーの場合にはナット廻し用治具の挿
入組み付けが可能であるので、挿入後にすればよい。挿
入には主支持棒端部のネジ部を利用してカプラーを介し
て棒継ぎ足しで長尺化して組み込むとするとよい。前方
のパッカーは弾力性に優れる主支持棒と補助支持棒に由
る蓄勢押圧を受けるため挿入定置後に径大変形作用を受
ける。このため、前述の挿入前の変形をさほど困難な程
にしなくとも良いので、挿入の困難度は低減する。ま
た、前後パッカー間の架構は主支持棒,補助支持棒の複
数渡架梁に由り著しく強度が高まる。通電々極のリード
線は液出用チューブ内を通るとするとパッカーへの穿孔
が省略できてパッカーの断面欠損上有利である。
【0009】
【実施例】実施例について図を参照して説明する。図1
〜図4において、前後1対のパッカー18,18′は夫
々スポンジゴム等の絶縁性の弾性材からなる所定厚の円
板体19,19′を固定円板20,20′と押え板2
1,21′とで挾着してなる。円板体19の厚さは細管
の内径の大きさによってある程度異なるが、復水器の場
合では10〜40mm程度で良い。
【0010】 両パッカー18,18′は固定円板2
0,20′を対向させた態様で中心に主支持棒22を貫
通させ、その両端ネジ部23,23′には円板体19,
19′の締め付け用ナット24,24′が装着されてい
る。しかして、当該ナット24,24′の締め付け操作
でもって該円板体19,19′を挾圧径大変形させるこ
とができる。但し、ナット24については挿入後の操作
不可能であるがナット24′については挿入後に治具を
差し込めば可能である。
【0011】主支持棒22はジュラコン等の比較的強度
の大きい絶縁材より成るので、不屈曲変形で蓄勢能に優
れる。さらに、固定円板20,20′間には複数の主支
持棒22と同材質よりなるところの補助支持棒25,…
が貫通しないで挟着する態様に架配されている。主支持
棒22及び補助支持棒25はジュラコンの他にPVC、
アクリル樹脂等の比較的強度の大きい絶縁材でも良い。
しかして、主支持棒22,補助支持棒25,…の不屈曲
変形は極めて大なる蓄勢力を奏する。なお、補助支持棒
25は複数本使用するのが良い。当該蓄勢力は後方のパ
ッカー18′が固定の状態で前方のパッカー18に径大
変形への力を加え続けることとなる。由って、前方のパ
ッカー18についての挿入前の径大変形は挿入作業に支
障する程にしなくとも挿入後に径大化し得るのでよい。
【0012】後方のパッカー18′のナット24′の操
作は治具を挿入してとり行なう(図示省略)。また、所
定局部位置への送り込みは、ネジ部23′を利用してカ
プラーを介して主支持棒22の継ぎ足し延長して押しみ
すればよい(図示省略)。
【0013】後方のパッカー18′には液入用チューブ
26,液出用チューブ27,照合電極28等が貫通取り
付けされている。通電々極29も同様に貫通取り付けさ
れるが、図示例では独自の穿孔をすることなく、該液出
用チューブの27に内装させて、穿孔を省略している。
本発明品の使用態様を示す図1において、30は定電位
装置、31はパソコン、32は電源、33は管板を夫々
示す。以下、測定例を掲げる。
【0014】測定例1 実復水器における内直径が22.91mmの細管の管端
部から100〜200mm奥の長さ100mmにわたる
部分の分極抵抗Rpを本発明によるプローブを用いて測
定した。測定対象面積は71.94cm2 とした。その結
果を表1に示す。
【表1】 この場合のプローブは次のように製作した。円板体1
9,19′はネオプレンスポンジゴムで厚さ20mmと
し、19には主支持棒22を貫通させるため中心に直径
5.5mmの貫通孔を設け、19′にはこの貫通孔の他
に液入用チューブ26、液出用チューブ27及び照合電
極28を取り出すために所定の位置に直径3.5mmの
貫通孔を3つ設けた。固定円板20,20′はPVC製
で厚さ10mmとし、20には補助支持棒25が固定で
きるように直径4.1mm、深さ5mmの孔を所定の位
置に4つ、中心には主支持棒22のために直径6.1m
mの貫通孔をそれぞれ設け、20′にはこの補助支持棒
固定孔及び主支持棒貫通孔の他に液入用チューブ26、
液出用チューブ27及び照合電極28を取り出すために
所定の位置に直径4mmの貫通孔を3つ設けた。押え板
21、21′はPVC製で厚さ3mmとし、21には主
支持棒22を貫通させるため中心に直径6.1mmの貫
通孔を設け、21′にはこの貫通孔の他に液入用チュー
ブ26、液出用チューブ27及び照合電極28を取り出
すために所定の位置に直径4mmの貫通孔を3つ設け
た。主支持棒22はジュラコン製で、直径6mm、長さ
200mmとし、両端には長さ45mmにわたってネジ
部23、23′を設けた。補助支持棒25はジュラコン
製で、直径4mm、長さ110mmとし、プローブ1個
当たり4本使用した。なお、通電々極29は直径0.5
mmの銀線とし、液出用チューブ27内を通じて外へ取
り出し、照合電極28は塩化銀電極とした。
【0015】分極抵抗の測定手順は、以下ようにし
行った。 (1)主支持棒22の両端のネジ部23、23′に円板
体19,19′の締め付用ナット24、24′を装着
し、プローブを組み立てた後、主支持棒のパッカー1
8′側のネジ部23′にカプラーを取り付けて、このカ
プラーに別の主支持棒を継ぎ足して延長し、細管の管端
部から100〜200mmの奥の位置に挿入する。 (2)締め付用ナット24′を治具によって締め付け
て、プローブを固定する。 (3)プローブ内に液入用チューブ26から液出用チュ
ーブ27が満水になるまで海水を注入することによっ
て、プローブ内も満水になったことを確認する。 (4)通電々極29、照合電極28及び復水器1を定電
位装置30のそれぞれの端子に接続し、定電位装置には
パソコン31を接続する。 (5)細管内面の自然電位の変化が2mV/min以下の安
定した状態になった時、自然電位から100mV陰分極さ
せ、10分後の電流を測定し、(1)式より分極抵抗R
pをパソコンで算出させ、プリンターで出力させること
によって、測定は終了する。
【0016】測定例2 実復水器における内直径が22.91mmの細管の管端
部から200〜300mm奥の長さ100mmにわたる
部分の分極抵抗Rpを本発明によるプローブを用いて測
定した。測定対象面積は71.94cm2 とした。その結
果を表2に示す。
【表2】 このときのプローブは、PVC製の補助支持棒を2本と
し、円板体の厚さを15mm、固定円板をアクリル樹脂
製にした以外は測定例1と同じ構造とした。
【0017】測定例3 実復水器における内直径が29.26mmの細管の管端
部から300〜400mm奥の長さ100mmにわたる
部分の分極抵抗Rpを本発明によるプローブを用いて測
定した。測定対象面積は91.88cm2 とした。その結
果を表3に示す。
【表3】 このときのプローブは、円板体の厚さを25mmとし、
細管の内直径が測定例1の場合より大きいので、その
分、円板体、固定円板、押え板、主支持棒及び補助支持
棒の外径を大きくした以外は測定例1と同じ構造とし
た。なお、当然固定円板の主支持棒貫通孔及び補助支持
棒固定孔も主支持棒及び補助支持棒の外径にあわせて大
きくした。
【0018】表1、表2及び表3から、細管内面の分極
抵抗Rpは全て2×104 Ωcm2 以上あり、良好な鉄皮
膜が形成されていることがわかった。なお、測定例とし
ては復水器細管内について行ったものであるが、復水器
細管以外の細管、例えば水道水管、給排水管の内面の分
極抵抗測定に適用できることはいうまでもない。
【0019】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。挿
入後の径大変形がし難いために挿入前に装着困難をもた
らす径大変形を与えておかねばならない前方パッカーに
ついての当該装着前の径大化処理は挿入後に径大化が可
能となったために、装着時の困難さが著しく低減した。
前後パッカー連絡架構の強度が著しく強化し、挿入作業
もし易くなった。また、細管内の任意の位置での分極抵
抗の測定が容易となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】補助支持棒を図示省略して示す本発明品の使用
態様説明図である。
【図2】使用時の本発明品の詳示図である。
【図3】図2中A−A矢視図である。
【図4】図2中B−B矢視図である。
【図5】細管内分極抵抗測定用プローブの使用説明図で
ある。
【図6】図5中B−B矢視図である。
【図7】従来のプローブの説明図である。
【図8】鉄イオン注入量の自動制御回路を組込んだ実機
の概略図である。
【符号の説明】
1 復水器 2 細管 3 管内挿入プローブ 4 Oリング締め付けベアリングケーブル 5 液出用のシリコンゴム管 6 液入用のシリコンゴム管 7 リード線 8 吸い上げポンプ 9 試験液タンク 10 計測盤 11 電源 13,13′ Oリング 14 対極 15 亜鉛電極 16 人工海水 17 仕切り空間 18,18′ 前後1対のパッカー 19,19′ 円板体 20,20′ 固定円板 21,21′ 押え板 22 主支持棒 23,23′ ネジ部 24,24′ 締め付け用ナット 25 補助支持棒 26 液入用チューブ 27 液出用チューブ 28 照合電極 29 通電々極 30 定電位装置 31 パソコン 32 電源 33 管板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/26 351 G01N 17/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性の弾性材からなる所定厚の円板体
    を固定円板と押え板とで挟さみ付けてなる1対のパッカ
    ーを、該固定円板同志を対峙させた態様にて中心に両端
    にネジ部を設けた絶縁性の主支持棒を貫通架設して連結
    のうえ、当該主支持棒両端に前記円板体の締め付け用ナ
    ットを装着し、さらに、当該対峙固定円板間に所定数の
    補助支持棒を架配し、後方のパッカーには液入用チュー
    ブ,液出用チューブ,照合電極,通電々極を夫々貫通取
    り付けするとしたことを特徴とする細管内分極抵抗測定
    用プローブ。
  2. 【請求項2】 通電々極を液出用チューブに内装する請
    求項1記載の細管内分極抵抗測定用プローブ。
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