JP3307818B2 - 防食皮膜の厚さ測定装置及び測定方法 - Google Patents

防食皮膜の厚さ測定装置及び測定方法

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JP3307818B2
JP3307818B2 JP00215796A JP215796A JP3307818B2 JP 3307818 B2 JP3307818 B2 JP 3307818B2 JP 00215796 A JP00215796 A JP 00215796A JP 215796 A JP215796 A JP 215796A JP 3307818 B2 JP3307818 B2 JP 3307818B2
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16LPIPES; JOINTS OR FITTINGS FOR PIPES; SUPPORTS FOR PIPES, CABLES OR PROTECTIVE TUBING; MEANS FOR THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16L58/00Protection of pipes or pipe fittings against corrosion or incrustation
    • F16L58/02Protection of pipes or pipe fittings against corrosion or incrustation by means of internal or external coatings

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  • Protection Of Pipes Against Damage, Friction, And Corrosion (AREA)
  • Pipeline Systems (AREA)
  • Measurement Of Length, Angles, Or The Like Using Electric Or Magnetic Means (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,防食皮膜の厚さ測
定装置及び測定方法に係り,例えばLNG気化器である
ORV装置等の熱交換器の防食皮膜の厚さ測定装置及び
測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液化ガスは輸送の効率を高めるため,低
温・高圧で液体の状態にて搬送され,使用前にガス化さ
れる。そのガス化に際して,管の内部に液体を流し,管
の外部に海水を流すことにより,液体を加熱し気化させ
る。このような熱交換器をORV(オープンラック式ベ
ーパライザ)と言う。ORVの管材料として,一般には
アルミニウム合金(Al合金)が使用される。そして海
水に対する耐蝕性を向上させるために,管表面にアルミ
ニウム亜鉛合金(Al−Zn合金)を溶射している。し
かし,使用条件が過酷であるため,この溶射層は使用に
伴って損耗してくる。この損耗が激しくなり,残存皮膜
の厚さが50μm程度以下になると,装置を止めて再度
溶射をすることにより,装置寿命の向上を図る。このこ
とは,低コストでの操業の観点からとりわけ重要であ
り,従って,溶射層の厚さを正確に測定する技術が要求
される。一方,金属の母管の表面に,母管と電気伝導率
の異なる金属をクラッドした時のクラッド層の厚さを測
定するために,渦電流探傷法が利用できることは周知で
ある。そこでは,管の表面に渦電流用のコイルを近接し
て配置し,渦電流の浸透深さが皮膜の厚さ近傍の条件に
一致するような周波数で励磁することにより,管の中に
誘起された渦電流による磁束によるインピーダンス変化
を利用して皮膜の厚さを測定する。今回の測定対象であ
るORVでは,図3に示すように,管の表面に熱交換率
を高める目的でフィンが設けられており,また,この管
では,溶射技術でAl−Zn合金を溶射している。この
溶射層の厚さは,溶射時のトーチと管との角度条件や,
溶射のトーチの軌跡の条件により,非常に広い範囲(2
00〜400μm)に分布する。このような測定対象物
の皮膜層の厚さを製造直後,及び,使用により皮膜が損
耗した後の薄くなった状態で,測定条件を上記のよう
に,皮膜厚さが浸透深さに一致するような条件に設定し
て測定することが考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記したような従来の
皮膜の厚さ測定技術では,測定対象物であるORVのフ
ィン部のように形状変化の大きい部分の測定が困難であ
り,また,表面粗さの影響を受けない平均皮膜厚さの測
定が困難である。従って,粗さの影響を受けない渦流セ
ンサとするためには,被測定管の径に合わせてセンサを
作りなおす必要がある。本発明は,上記事情に鑑みてな
されたものであり,その目的とするところは,被測定物
の形状や粗さの影響を受けることなく,防食皮膜の厚さ
を正確に測定し得る防食皮膜の厚さ測定装置及びその測
定方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に,第1の発明は,一部に所定高さのフィン部を放射状
に形成してなる直管部の防食皮膜の厚さを,渦流センサ
を用いて測定する装置において,上記渦流センサの高透
磁率材料製のコア部に溝を設けて巻かれたコイル部の先
端の厚みが,上記フィン部の高さ以下で,かつ,該フィ
ン部の表面の凹凸の間隔の約10倍以上に成形されてな
ることを特徴とする防食皮膜の厚さ測定装置である。
た,通常上記フィン部の表面の凹凸の間隔は0.5mm
程度であるので,上記コイル部の先端の厚みはその約1
0倍以上,即ち,5mm以上であるものが考えられる。
更には,上記コイル部の先端の幅が,上記直管部のフィ
ン部が形成されていない部分の長さ以下で,かつ,該直
管部の表面の凹凸の間隔の約10倍以上に成形されてな
防食皮膜の測定装置である。第2の発明は,一部に所
定の高さのフィン部を放射状に形成してなる直管部の防
食皮膜の厚さを,渦流センサを用いて測定する方法にお
いて,高透磁率材料製のコア部に溝を設けて巻かれたコ
イル部の先端の厚みが,上記フィン部の高さ以下で,か
つ,該フィン部の表面の凹凸の間隔の約10倍以上に成
形されてなる渦流センサを用いて,上記各部の防食皮膜
の厚さを測定してなることを特徴とする防食皮膜の厚さ
測定方法である。更には,上記直管部の各部の防食皮膜
の厚さを測定する場合は,上記測定結果に対し,上記各
部の形状に基づくオフセット分を差し引く防食皮膜の厚
さ測定方法である。更には,上記直管部のフィン部が形
成されていない部分を測定する場合は,上記測定結果に
対し,上記直管部の曲率に基づく補正を行う防食皮膜の
厚さ測定方法である。更には,上記測定に先立ち,上記
直管部と同一材料の一部に既知量の防食皮膜を溶着して
おいた基準管を用いて測定感度の較正を行う防食皮膜の
厚さ測定方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】及び
【実施例】以下添付図面を参照して,本発明の実施の形
態及び実施例につき説明し,本発明の理解に供する。
尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化し
た一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格の
ものではない。ここに,図1は本発明の実施の形態及び
実施例に係る防食皮膜の厚さ測定装置Aの全体構成図,
図2は装置Aに用いられるセンサの構造図,図3はOR
Vの構造図,図4はエッジ効果の測定結果を示す説明
図,図5は測定位置を示す説明図,図6は測定位置とセ
ンサ出力との関係を示す説明図,図7は測定面の形状と
センサ出力との関係を示す説明図,図8はコイルのイン
ピーダンスと皮膜厚さとの関係を示す説明図,図9は測
定用治具の構造図である。図1〜図3に示す如く,本第
1の発明の実施形態及び実施例に係る防食皮膜の厚さ測
定装置Aは,一部に所定高さのフィン部Fを放射状に形
成してなる直管部Tを有するORV1の防食皮膜の厚さ
を,渦流センサ2を用いて測定する装置であって,渦流
センサ2の高透磁率材料製のコア部2aの先端側に結合
されたコイル部2bが,上記直管部Tの各部の形状と表
面状態とに基づいて成形されてなる装置である。更に,
上記コア部2aを含むコイル部2bの先端の厚み(図2
中のa寸法)を,上記フィン部Fの高さ以下で,かつ,
該フィン部の表面の凹凸の平均に対応する値を測定し得
る厚みとなすと共に,上記コイル部2bの先端の幅(図
2中のb寸法)を,上記直管部Tのフィン部が形成され
ていない部分Wの長さ以下で,かつ,該直管部Tの表面
の凹凸の平均に対応する値を測定し得る幅となしてもよ
い。更に,上記フィン部Fの表面の凹凸の平均に対応す
る値を測定し得る厚み及び上記直管部Tの表面の凹凸の
平均に対応する値を測定し得る幅が,各表面の凹凸の
の約10倍以上であるとしてもよい。以下,本装置A
を更に具体化する。
【0006】(渦流センサ2のコア部2aについて)一
般に,ある材料の近傍に設置されたコイルに印加された
電流によって材料中に渦電流が流れることが知られてい
るが,透磁率の高い例えばフェライトコアに溝を付けて
その溝中にコイルを巻くと,コイルによって形成される
磁束はフェライトのコア部分に局在化する。そのため,
材料の中に誘起される渦電流もコイルの形状にほぼ近い
形状となる。この材料の中に誘起された渦電流による磁
束によるコイルのインピーダンスは,渦電流の流れる小
領域の材料の局部的な物性値の変化を反映することか
ら,この場合は計測されたインピーダンスから,測定対
象である材料の皮膜の厚さを精度よく測定できる。しか
し,もし,フェライトコアを使用しないで同一形状のコ
イルを作成した場合には,磁束は大きく広がって材料に
流れる渦電流もコイルの幅に比較して大きくなる。従っ
て,この場合は,材料中に誘起された渦電流によるコイ
ルのインピーダンスは,渦電流の流れる大領域の材料の
平均的な物性値の変化を反映することとなり,計測され
たインピーダンスから材料の皮膜の厚さを精度よく測定
することが困難となる。そこで,本装置Aでは渦流セン
サ2のコア部2aをフェライトコア等の高透磁率材料製
のコア部とした。これにより,皮膜厚さを高精度で測定
できる。
【0007】(渦流センサ2のコイル部2bについて)
また,計測されるインピーダンスは渦電流の流れる領域
の材料の形状の変化をも反映する。従って,この渦電流
の流れる領域にフィンの端部等の形状の不均一が存在す
ると,皮膜の厚さによるインピーダンス変化以外に渦電
流の形状変化の要因が入るため,皮膜の厚さの測定が困
難になる。このような形状変化の影響を調査するため,
前記図2に示したようなセンサ2を用いて,ORV1の
母材であるアルミニウム合金の矩形板の端部をセンサの
長手方向に平行に配置し,センサ端部と板の端部との距
離を変えながらインピーダンスを測定した。その結果を
図4に示す。同図中のインピーダンスはリフトオフ変化
に起因する信号の変化に直交する成分の値を用いてい
る。同図より,センサコイル全体が板に載っている範囲
(図4の横軸が正である範囲)では,信号に変化がな
く,この範囲ではエッジの影響を受けないことがわか
る。なお,図4中には,センサを接触させた場合のみな
らず,0.1mm,0.2mmだけそれぞれ離した場合
の測定結果も同時に示している。これより,エッジの影
響はリフトオフの大きさによらないことがわかる。そこ
で,本装置Aでは,フェライトコアの厚みを測定したい
フィン部の高さ以下にし,そのコアに溝を設けてコイル
を巻いて使用することとした。これにより,センサのコ
イル全体が常にフィン部に載っているか,あるいはリフ
トオフした範囲に保持可能となるため,フィン部の形状
の影響を除外して皮膜の厚さを正確に測定することがで
きる。
【0008】また,フィン部の表面に溶射された皮膜の
接着強度を高めるために,通常,溶射の前にサンドブラ
スト等で表面を荒らしておき,その上に溶射が行われ
る。従って,表面には0.5mm程度の比較的空間周波
数の低い(即ち,凹凸間隔の大きい)粗れがあり,その
上に溶射された平均の皮膜厚さを測定する必要がある。
しかし,皮膜を溶射すると,その皮膜は粗れの凹部には
厚めに,凸部には薄めに溶射されるため,結果として,
表面の凹凸は多少ならされてくる。もし,コイル部2b
の厚みを粗さの間隔よりも小さいか,あるいは同程度の
大きさに作って皮膜の厚さを測定したとする。すると,
凹部ではコイルとフィンの表面との間にある隙間の影響
によりリフトオフが大きくなり,また,皮膜の厚さも厚
い部分を測定することになり,凸部ではその逆になる。
従って,測定する場所によって大きく出力が変化するた
め,安定した測定ができなくなる。そこで,本装置Aで
は,上記コイル部の厚みをフィン部の表面の凹凸の平均
に対応する値を測定しうる厚みとした。これにより,フ
ィン部の粗さの影響を除外できる。具体的には,凹凸の
影響を除外するために,凹凸の間隔の10倍程度の厚み
が必要であることがわかっている。この観点から,5m
m以上の厚みになるようにコイル部2bを製作する必要
がある。更に,上記と同一のコイルを用いて,フィン付
管をヘッダー部に接続するフィン付管に溶接された直管
部の皮膜の厚さを測定することも重要である。従って,
コイル部の幅をその直管部長さ以下とすることとした。
但し,コイル部の幅の下限は,上記と同様の理由によ
り,直管部の表面の凹凸の平均に対応する値を測定しう
る幅とした。これにより,直管部についても皮膜の厚さ
を正確に測定することができる。尚,上記図2では,コ
ア部の後端側にもコイル部が成形されているが,これは
参照コイルであって,皮膜厚さ測定時の外乱を除去する
ために設けられているものである。尚,測定部の面積を
大きくすることにより,粗さの影響を除外する渦流セン
サの他の構成として,ポット型のフェライトと円形コイ
ルとを組み合わせることも考えられる。この構成では,
線状のコイルを使用するため,管の外径によらず測定で
きるというメリットを有するものの,渦電流を使用する
限り,コイルと管との間のリフトオフの影響を大きく受
ける。このため,管の径に合わせてフェライト及びコイ
ルを製作する必要があり,実用的とはいえない。引き続
いて,第2の発明について説明する。
【0009】第2の発明の実施の形態及び実施例に係る
防食皮膜の厚さ測定方法は,図1,図2に示す如く,一
部に所定高さのフィン部を放射状に形成してなる直管部
を有するORV1の防食皮膜の厚さを渦流センサ2を用
いて測定する方法であって,高透磁率材料製のコア部2
aの先端側に結合されたコイル部2bが,上記直管部の
各部の形状と表面状態とに基づいて成形されてなる渦流
センサ2を用いて,上記各部の防食皮膜厚さを測定して
なる方法である。更に,上記直管部の各部の防食皮膜の
厚さを測定する場合は,上記測定結果に対し,上記各部
の形状に基づくオフセット分を差し引けばよい。更に,
上記直管部のフィン部が形成されていない部分を測定す
る場合は,上記測定結果に対し,上記直管部の曲率に基
づく補正を行えばよい。更に,上記測定に先立ち,上記
直管部と同一材料の一部に既知量の防食皮膜を溶着して
おいた基準管を用いて測定感度の較正を行うこととして
もよい。
【0010】(直管部の各部のオフセット補正につい
て)以下,本方法を更に具体化する。上記コイルを用い
て,例えばフィン付管の溶射をしていない部分を測定す
ると,測定部位により,リフトオフに起因する信号変化
に直交するインピーダンス成分には形状の影響を反映し
たオフセット分が入ってくる。上記装置Aでは,コイル
の形状を小さくすることにより,このような形状の影響
を受けにくくはしたが,それでも,フィンの付け根の部
分には微小なアールが設けられており,それらの形状が
測定位置で変化することに起因したインピーダンスの変
化が生じる。溶射をしていないフィン付きの管のフィン
の部分のインピーダンスを図5に示すような各種の位置
で複数本のサンプルにて測定した。その結果を図6に示
す。測定に使用した周波数は,皮膜厚さの最大値である
400μmでも測定ができる周波数条件から500kH
zとしている。フィン付きの管では,図5に示すように
センサのコイルのある面に直交するフェライト面を隣接
するフィンに接触させることによりガイドして接触さ
せ,センサの管軸廻りに揺動させ,最もリフトオフ方向
の出力(X出力)が小さい時(リフトオフが小さい条
件)になった時の測定値を採用して厚さを測定する。こ
のようにして行ったA部での測定結果は平板での測定結
果と同等であるが,他の部位では,フィンの形状の影響
を受けており,D部で最も効果が大きいことがわかる。
この形状に起因するインピーダンス変化が皮膜の測定誤
差に及ぼす影響を除外する必要がある。このため,本方
法では,形状によるオフセット値を予め測定しておき,
測定値からオフセット分の補正した出力を用いて皮膜の
厚さを求める。これにより,形状による差を補償して正
確に皮膜の厚さを計測することが可能となる。
【0011】尚,このコイルでは,フィンの端部の形状
の影響を除外するため,上記のようにコイルの厚みを小
さくしている。そのため,リフトオフが変化すると,計
測されるインピーダンスの値が大きく変化し,皮膜厚さ
によるインピーダンス変化量(感度)も変化する。直接
接触した場合に比較して,0.1mmのリフトオフにて
測定すると,皮膜厚さの変化による出力(リフトオフに
直交する成分)の変化の厚さ依存性は80%に低下す
る。一方,リフトオフ方向の出力成分(X成分)は,こ
のリフトオフの0.1mmの増大で5Vと大きく変化す
る。従って,精度よく皮膜の厚さを計測するために,X
成分の測定値からリフトオフを知り,感度を補正するこ
とが有効である。このことは一般に知られている事実と
一致する。(直管部の曲率補正について)また,上記コ
イルを用いて管に溶射した皮膜の厚さを計測する場合に
も,上記のように,リフトオフ成分を補償した測定が必
須であるが,その補正をしても,皮膜の厚さが厚い領域
では材料の曲率の影響を受けて,管軸方向の出力(Y出
力)と皮膜の厚さとの間に直線関係がなくなる。この理
由は,本センサでは,出力がリフトオフにより大きく変
化することに起因する。通常,円筒面の軸方向にセンサ
の長軸を一致させて測定するが,材料中に流れる渦電流
とコイルとの間の距離はコイルの幅の半分に対応するオ
フセット量に起因して大きくなる。皮膜の厚さが薄い時
には,この効果はリフトオフの増加としてX成分に検出
されて補償できる。しかし,皮膜の厚さが厚い場合に
は,渦電流が材料中で拡散するため,リフトオフとして
補償できなくなることに起因する。上記理由から,管の
径が決まると補償すべき量が決まることになり,予め管
の径と補償量とを求めておくことにより,精密な測定が
可能となる。
【0012】例えば,外径1インチの管に溶着した皮膜
の厚さとY出力との関係を測定した結果を図7に示す。
ここでは,リフトオフの補正をしても,200μm以上
の厚さでは,出力が飽和する傾向にあることがわかる。
上記のような厚さに対する測定結果に対する飽和傾向を
示す補正表を管の径ごとに作成しておくことにより,正
確に厚さの測定をすることができる。 (測定感度の較正について)一方,平板に各種の厚さで
溶射膜を付けて測定した結果を図7に示すが,測定した
Y出力は厚さに比例することがわかる。渦電流を用いて
皮膜の厚さが測定できるのは,皮膜と母材との電磁気的
特性に差があることに起因している。皮膜として使用さ
れる合金としては,例えば亜鉛(Zn)のようにイオン
化傾向の高い成分を多く含むものを使用し,母材の浸食
を防止している。しかし,技術の進歩に伴い,Znの添
加量が変わることがある。例えば,現在では,2%Zn
が主流であるが,6%Znの使用が既に計画されてい
る。皮膜層の比抵抗はZn量で大きく変化する。また,
溶射の条件によっても電気抵抗は変化することになる。
【0013】一般に,Znを添加したAl合金は比抵抗
が母材に比較して小さくなる。しかし,溶射でできる皮
膜はアモルファスに近い条件で母材に付着しており,結
晶化の程度が悪いことに起因して,実際の皮膜の比抵抗
は母材の合金に比較して大きくなっている。以上の理由
により,溶射条件により比抵抗が変化する。更に,母材
として利用される管の比抵抗は添加される合金の量が多
くなると,一般に増大する傾向にある。使用する合金が
決められ,この合金の規格では,成分毎に濃度が規定さ
れる。しかし,当然のことながら,許容される範囲があ
る。この許容量の中の合金成分の量の微妙な違いによ
り,母材の比抵抗が変化する。母材に比較して比抵抗が
大きい皮膜があるときのコイルのインピーダンスは図8
に示されるように変化する。図中,A点とB点とが厚さ
無限大の母材と皮膜材の比抵抗の材料がコイルに近接し
た時のインピーダンスに相当する。皮膜の厚さがゼロか
ら厚い方向に変化すると,図中の曲線はA→O→Bのよ
うに変化する。従って,インピーダンスの変化から皮膜
の厚さが測定できることになる。このことから,母材及
び皮膜の比抵抗が変化し,A,B点の位置が変わると,
厚さに対する出力の変化の仕方が変わることになる。こ
の比抵抗が厚さの測定精度を劣化させないためには,O
RVを製造した時に使用した管を用い,所定の皮膜厚さ
を溶射した基準管を作成しておき,測定に先立って,厚
さと出力との関係とを較正しておくことが有効である。
基準管の一部には,溶射をしていない部分を作ってお
き,測定基準として利用すれば更に精度が向上する。図
1は装置Aの概略構成を示すが,渦流センサ2のX,Y
出力をA/D変換し,計算機に入力をして,ここで,リ
フトオフ補正,管の曲率補正,形状補正をして厚さを出
力する。図9には,直管の皮膜厚さを測定するための治
具を示している。この治具は次のように用いられる。即
ち,本装置Aではセンサコイルが線状であるため,管の
軸とセンサ軸とを一致させないと出力が安定しない。従
って,管の外径に合わせて治具にセンサを埋め込み,治
具を管に接触させることによって,安定した測定が可能
となる。以上のように,本第1,第2の発明によれば,
被測定物の形状や粗さの影響を受けることなく,常に精
度のよい防食皮膜の厚さ測定を行うことができる。尚,
ORVで使用されるAl合金の母管の表面に溶射された
Zn溶射皮膜の測定に対しての適用例を以上では記載し
たが,本発明はこれに限定されることなく,例えばAl
以外の金属管にZn以外の金属の皮膜を施した用途に適
用できる。また,ORV以外の熱交換器にも適用できる
ことは勿論である。
【0014】
【発明の効果】本発明に係る防食皮膜の厚さ測定装置及
び測定方法は,上記したように構成されているため,被
測定物の形状や粗さの影響を受けることなく,常に精度
の良い防食皮膜の厚さ測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態及び実施例に係る防食皮
膜の厚さ測定装置Aの全体構成図。
【図2】 装置Aに用いられるセンサの構成図。
【図3】 ORVの構造図。
【図4】 エッジ効果の測定結果を示す説明図。
【図5】 測定位置を示す説明図。
【図6】 測定位置とセンサ出力との関係を示す説明
図。
【図7】 測定面の形状とセンサ出力との関係を示す説
明図。
【図8】 コイルのインピーダンスと皮膜厚さとの関係
を示す説明図。
【図9】 測定用治具の構造図。
【符号の説明】
A…厚さ測定装置 1…ORV 2…センサ 2a…コア部 2b…コイル部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 浩一 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目3番1号 株式会社神戸製鋼所 高砂製作所内 (72)発明者 新開 光一 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目3番1号 株式会社神戸製鋼所 高砂製作所内 (72)発明者 沖津 忠三 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目3番1号 株式会社神戸製鋼所 高砂製作所内 (56)参考文献 特開 昭63−205502(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01B 7/06

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一部に所定高さのフィン部を放射状に形
    成してなる直管部の防食皮膜の厚さを,渦流センサを用
    いて測定する装置において, 上記渦流センサの高透磁率材料製のコア部に溝を設けて
    巻かれたコイル部の先端の厚みが,上記フィン部の高さ
    以下で,かつ,該フィン部の表面の凹凸の間隔の約10
    倍以上に成形されてなることを特徴とする防食皮膜の厚
    さ測定装置。
  2. 【請求項2】 上記コイル部の先端の厚みが5mm以上
    である請求項1記載の防食皮膜の厚さ測定装置。
  3. 【請求項3】 上記コイル部の先端の幅が,上記直管部
    のフィン部が形成されていない部分の長さ以下で,か
    つ,該直管部の表面の凹凸の間隔の約10倍以上に成形
    されてなる請求項1又は2に記載の防食皮膜の厚さ測定
    装置。
  4. 【請求項4】 一部に所定の高さのフィン部を放射状に
    形成してなる直管部の防食皮膜の厚さを,渦流センサを
    用いて測定する方法において, 高透磁率材料製のコア部に溝を設けて巻かれたコイル部
    の先端の厚みが,上記フィン部の高さ以下で,かつ,該
    フィン部の表面の凹凸の間隔の約10倍以上に成形され
    てなる渦流センサを用いて,上記各部の防食皮膜の厚さ
    を測定してなることを特徴とする防食皮膜の厚さ測定方
    法。
  5. 【請求項5】 上記直管部の各部の防食皮膜の厚さを測
    定する場合は,上記測定結果に対し,上記各部の形状に
    基づくオフセット分を差し引く請求項4記載の防食皮膜
    の厚さ測定方法。
  6. 【請求項6】 上記直管部のフィン部が形成されていな
    い部分を測定する場合は,上記測定結果に対し,上記直
    管部の曲率に基づく補正を行う請求項4記載の防食皮膜
    の厚さ測定方法。
  7. 【請求項7】 上記測定に先立ち,上記直管部と同一材
    料の一部に既知量の防食皮膜を溶着しておいた基準管を
    用いて測定感度の較正を行う請求項4〜6のいずれかに
    記載の防食皮膜の厚さ測定方法。
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