JP5232759B2 - 溶射膜の膜質評価方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、溶射膜の膜厚を断面から観察するための皮膜の切断方法が開示さている。
特許文献2には、溶射膜の電気抵抗を測定することによって、溶射膜の剥離の有無等を検査する方法が開示されている。
特許文献3には、打撃装置を機械化し、更に音の変化の測定をセンサにより検出し演算処理することで、溶射膜と母材との密着状況を定量的に測定する方法が開示されている。
上記理由により、実機に施工された溶射膜の緻密性や硬さなどの膜質を現場で評価できる手法が求められている。
電気抵抗率を計測することで、溶射膜の緻密性を評価することができる。緻密性が高い溶射膜では、電気抵抗率が低くなる。溶射膜の硬さを非破壊硬さとして計測することで、実機に施工された溶射膜の硬さを現場で評価することができる。非破壊硬さとは、被評価対象物を変形させずに計測した硬さを意味する。非破壊硬さを計測するにあたり、膜厚を一定以上厚くすることで、計測精度が確保される。
上記3つの指標を相関させることで、同じ膜厚であっても、電気抵抗率によって非破壊硬さの要求範囲が異なったりするため、設定できる要求領域を広くすることができる。例えば、膜厚が少し薄い場合であっても、非破壊硬さが高く、電気抵抗率の低い膜であれば健全であると判断することができるようになる。それによって、適正な膜質を有する溶射膜とするための要求領域を設定することが可能となる。
非破壊硬さ計測は、計測方式によって算出される硬さ値が異なる。そのため、溶射膜の真の硬さを断面硬さとして計測し、非破壊硬さと相関させておくことで、他の指標との関係付けが容易となる。
非破壊硬さ計測は、母材の硬さの影響を受けやすい。そのため、溶射膜は所定の膜厚を有することが好ましい。また、溶射膜の緻密性が低下すると、非破壊硬さ計測における母材の硬さの影響が大きくなるため、溶射膜は所定の緻密性を有することが好ましい。
本実施形態における溶射膜の膜質評価方法は、予め任意の溶射膜の電気抵抗率と非破壊硬さと膜厚とを相関させて、溶射膜としての機能(耐食性や耐摩耗性など)を満たすために必要とされる要求領域を設定する設定工程と、被評価対象物に施工された溶射膜の電気抵抗率、膜厚、及び非破壊硬さとを計測する計測工程と、計測によって得られた各値が要求領域内にあるか否かで被評価対象物に施工された溶射膜の健全性を判断する判断工程とを備える。
非破壊硬さは、予め断面硬さとの相関関係を明らかにしておくと良い。断面硬さは、ビッカース硬さ計測器などを用いて計測する。断面硬さと相関させる場合、非破壊硬さは、相関させたい断面硬さの単位に変換して出力させる。
以下に、任意の溶射膜を施工した試験片の電気抵抗率、非破壊硬さ、断面硬さ、膜厚を計測し、関係付けた例を示す。
(非破壊硬さと断面硬さとの関係)
膜厚が約300μmの溶射膜を、溶射ガン先端と溶射対象面との距離(溶射距離)が異なる条件で施工し、試験片とした。以下に施工条件を示す。
溶射対象:ボイラ・熱交換器用炭素鋼鋼管(JIS STB510)
溶射材:Cr3C2−NiCr
溶射方法:高速フレーム溶射法(HVOF)
ガス流量:酸素/プロピレン/エアー=40/40/48
溶射角度:90°
溶射距離:250mm、300mm、350mm、400mm、500mm
図3から、溶射距離が短いほど、硬くなる傾向が示された。また、同一試験片であっても、計測に用いる機器によって異なる非破壊硬さを示すことが確認された。しかしながら、MIC10を用いた計測値は、対照と同程度の硬さを示した。
上記検討(非破壊硬さと断面硬さとの関係)と同様の試験片を用いて、電気抵抗率を計測した。
図4は、電気抵抗率の計測に用いた装置の概略を示す正断面図である。図5は、図4に示す装置の測定回路図である。この計測装置は、微小電気抵抗法によって溶射膜の緻密性を定量評価することが可能である。具体的には、被計測溶射膜面上の2地点間に所定の微小電流を流した状態で、前記2地点間の内側に位置した別の2地点間の電気抵抗率を測定し、予め同条件で計測した標準溶射膜の電気抵抗率と比較する方法である。例えば、溶射膜が緻密に形成されている場合、溶射材:Cr3C2−NiCrのNiCr合金によるバインダー部も緻密に形成されているため、電流が流れやすい。すなわち、電気抵抗率が小さくなる。一方、気孔率が大きいなど溶射膜が粗雑である場合、NiCr合金によるバインダー部に電流が流れにくいため電気抵抗率は大きくなる。
図6から、電気抵抗率の上昇に伴い、断面硬さも低くなる傾向が確認された。
上記検討(非破壊硬さと断面硬さとの関係)と同様の試験片の断面を電子顕微鏡で観察した。図7(a)は溶射距離250mm、図7(b)は溶射距離500mmで溶射膜を施工した試験片の断面写真である。
母材の上に溶射膜が施工されており、溶射膜に観察される黒い部分が気孔である。図7から、溶射距離が短いほど、緻密な膜が形成されていることが確認された。
溶射距離を一定として膜厚の異なる溶射膜を施工し、試験片とした。溶射距離を一定とすることで、いずれの試験片においても、同じ膜質(気孔率、硬さなど)の溶射膜が施工されるものとする。溶射距離は250mm、膜厚は200μm、300μm、400μmとし、それ以外の施工条件は、上記検討(非破壊硬さと断面硬さとの関係)の施工条件と同様とした。
膜厚と非破壊硬さとの関係を図8に示す。同図において、横軸は溶射膜の膜厚、縦軸は非破壊硬さである。
図8から、溶射膜の膜厚が薄くなると、非破壊硬さが低下する傾向が確認された。膜厚が薄い場合、母材の硬さの影響を受けやすくなり、その結果、非破壊硬さが低下しているものと考えられる。なお、母材の影響は、溶射膜の緻密性が粗雑になるにつれて顕著になると推察される。
図9に、膜厚と電気抵抗効率との関係を示す。同図において、横軸は溶射膜の膜厚、縦軸は電気抵抗率である。図9から、溶射距離が一定であれば、膜厚が電気抵抗に及ぼす影響は少ないことが確認された。これは、施工された溶射膜の緻密性が一定であれば、NiCr合金によるバインダー部に流れる電流量も同等となるためと考えられる。
Claims (2)
- 溶射膜の電気抵抗率と非破壊硬さと膜厚とを相関させ、前記相関関係から前記溶射膜の所定の機能を満たすために必要とされる要求領域を設定する設定工程と、
被評価対象物に施工された溶射膜の電気抵抗率、膜厚、及び非破壊硬さを計測する計測工程と、
前記計測によって得られた各値が前記要求領域内にあるとき、前記被評価対象物に施工された溶射膜が健全であると判断する判断工程とを備える溶射膜の膜質評価方法。 - 前記非破壊硬さが、断面硬さと相関している請求項1に記載の溶射膜の膜質評価方法。
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