JP3304261B2 - 氷蓄熱式空調設備 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、氷蓄熱槽の氷の生
成及び融解に好適な氷蓄熱式空調設備に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来氷蓄熱式空調設備は、図３に示すよ
うに、冷凍機１と水熱交換器２と氷蓄熱槽３と調節弁９
とブライン循環ポンプ４とを配管で接続してなるブライ
ン経路ａと、水熱交換器２と空調機６と冷水ポンプ５と
を配管で接続してなる冷水経路ｂとを有して構成されて
いる。

【０００３】そして夜間等の蓄熱運転時は冷凍機１によ
って冷却されたブラインを氷蓄熱槽３内の熱交換チュー
ブに通し、該氷蓄熱槽３内の水を凍結させて蓄熱する。

【０００４】一方昼間等の放熱運転時は蓄熱運転時同様
に前記氷蓄熱槽３内の熱交換チューブにブラインを通し
て氷と熱交換させてブラインを冷却し、水熱交換器２に
冷却したブラインを導き、該水熱交換器２にて冷水経路
ｂ内の冷水を冷却して空調機６から冷房能力を取り出
す。

【０００５】なお前記調節弁９は水熱交換器２に流れる
ブラインの温度を調節するものであり、また７，８は負
荷により水熱交換器２に流れるブライン量を調節する調
節弁である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の氷蓄熱式空調設備によると、蓄熱運転時及び放熱運転
時において氷蓄熱槽３内の熱交換チューブを流れるブラ
インの流れ方向は常に一定方向である。このため以下の
ような問題が生じていた。

【０００７】蓄熱運転中に氷蓄熱槽３内で生成される
氷が該氷蓄熱槽３内で偏ってしまい、氷蓄熱槽３のブラ
インとの熱交換効率が下がり、また満蓄となるまでの時
間が長くなってしまう。

【０００８】氷蓄熱槽３内の熱交換チューブは、氷充
填率を上げるために約６mm程度の細いチューブを使用す
る場合が多く、このためゴミ、スケール付着物等が該チ
ューブ中につまってしまう場合があり、一度つまったチ
ューブはブラインが流れにくくなり、氷ができない所が
できてしまう。この場合、面倒なフラッシング作業など
によりチューブ内を洗浄しなければならず、またフラッ
シング作業でも除去できない場合はチューブごと交換し
なければならない場合も生じてしまう。

【０００９】本発明は上述の点に鑑みてなされたもので
ありその目的は、氷蓄熱槽内の氷を均等且つ短時間に生
成することができ、また氷蓄熱槽内のチューブが目詰り
しにくい氷蓄熱式空調設備を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め本発明は、ブライン経路中に、氷蓄熱槽へのブライン
の供給方向を正逆方向に切り換える流路切換弁を取り付
け、且つ氷蓄熱槽へのブラインの出口と入口部分間の差
圧を検出する差圧検出手段を設け、差圧検出手段が検出
した差圧が一定値以上になった際に流路切換弁を切り換
えるように構成した。またタイマー内蔵の制御手段を取
り付け、一定間隔毎に前記流路切換弁を切り換えて氷蓄
熱槽に流れるブラインの向きを変換するように構成し
た。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて詳細に説明する。図１，図２は本発明の一実施
形態にかかる氷蓄熱式空調設備を示す概略構成フロー図
である。

【００１２】両図に示すようにこの氷蓄熱式空調設備
は、冷凍機１と水熱交換器２と氷蓄熱槽３と調節弁９と
ブライン循環ポンプ４とを配管で接続してなるブライン
経路Ａと、前記水熱交換器２と空調機６と冷水ポンプ５
とを配管で接続してなる冷水経路Ｂとを有して構成され
ている。

【００１３】ここで前記ブライン経路Ａの水熱交換器２
の上流側と、該水熱交換器２をバイパスする配管中には
それぞれ調節弁７，８が取り付けられている。

【００１４】また氷蓄熱槽３とブラインポンプ４の間の
配管中には、調節弁９が取り付けられている。この調節
弁９は氷蓄熱槽３内を通ってくるブラインと該氷蓄熱槽
３をバイパスしてくるブラインを調節することによって
水熱交換器２に供給するブライン温度を調節するもので
ある。

【００１５】また前記水熱交換器２と氷蓄熱槽３の間の
配管中には、４方弁からなる流路切換弁１０が取り付け
られている。

【００１６】また前記氷蓄熱槽３の出入口に接続される
配管の間には、該出入口間のブライン圧力の差圧を検出
する差圧スイッチ１２が取り付けられている。

【００１７】さらに図１，図２に示す制御盤１１は、タ
イマーを内蔵するとともに、前記流路切換弁１０にその
弁駆動信号を出力する。またこの制御盤１１には前記差
圧スイッチ１２からの差圧信号が入力される。

【００１８】次にこの氷蓄熱式空調設備の動作を主とし
て図１を用いて説明する。即ち夜間等の蓄熱運転時は、
冷凍機１で冷却したブラインは、調節弁７を全閉、調節
弁８を全開にすることにより、水熱交換器２を通さない
で流路切換弁１０に導かれる。そして該ブラインは流路
切換弁１０の開口１０ａから入って開口１０ｂから出て
行き、氷蓄熱槽３に接続された一方の配管から該氷蓄熱
槽３内に導入される。これによってブラインは氷蓄熱槽
３内の熱交換チューブ内を通り、氷蓄熱槽３内の水と熱
交換が行なわれ、該水を凍結する。

【００１９】氷蓄熱槽３に接続された他方の配管から出
てきたブラインは再び流路切換弁１０の開口１０ｄから
入って開口１０ｃから出て行き冷凍機１に戻される。

【００２０】一方放熱運転時は、前記蓄熱運転時には全
閉だった調節弁７と全開だった調節弁８とを冷水経路Ｂ
側の負荷に応じて制御し、水熱交換器２を通るブライン
量を調節する。それ以外のブラインの流れは前記蓄熱運
転時と同じである。

【００２１】これによって氷蓄熱槽３内の熱交換チュー
ブ内を流れるブラインと前記凍結させた氷との間で熱交
換させて氷を融解すると同時にブラインを冷却し、該冷
却させたブラインを前記水熱交換器２に供給して冷水経
路Ｂ内の冷水を冷却する。

【００２２】次に前記流路切換弁１０の動作について説
明する。前述のように当初ブラインは、流路切換弁１０
の開口１０ａから入って開口１０ｂから出て行き、氷蓄
熱槽３に接続された一方の配管から氷蓄熱槽３内に入
り、該氷蓄熱槽３に接続された他方の配管から出て開口
１０ｄに入り、開口１０ｃから出て行き冷凍機１に戻っ
ていた（図１）。

【００２３】一方、制御盤１１からの弁駆動信号によっ
て流路切換弁１０の弁切換えを行なった場合は、図２に
示すように、ブラインは、流路切換弁１０の開口１０ａ
から入って開口１０ｄから出て行き、氷蓄熱槽３に接続
された他方の配管から氷蓄熱槽３内に入り、該氷蓄熱槽
３に接続された一方の配管から出て開口１０ｂに入り、
開口１０ｃから出て冷凍機１に戻るようになる。

【００２４】つまり氷蓄熱槽３へのブラインの出入口が
逆になり、氷蓄熱槽３内の熱交換チューブ内を流れるブ
ラインの向きが逆になる。

【００２５】上記流路切換弁１０の弁切り換えは、タイ
マーを搭載した制御盤１１からの弁駆動信号によって定
期的に行なわれる。つまり氷蓄熱槽３の熱交換チューブ
内に供給されるブラインの流れ方向が定期的に正逆方向
に切り換えられる。

【００２６】これによって蓄熱運転時においては氷蓄熱
槽３内の氷の生成が一方に偏ることなく全体に均一に行
なわれ、放熱運転時においては同様に氷の融解が均一に
行なわれ、これによって熱交換効率が向上する。

【００２７】また熱交換チューブ内で目詰まりしていた
ゴミやスケールは逆洗効果によって削除することができ
る。

【００２８】一方上記定期的なブラインの流れ方向の変
換とは別に、前記差圧スイッチ１２が、氷蓄熱槽３への
ブラインの出口と入口部分間の差圧が一定値以上になっ
たことを検出した際は、強制的に流路切換弁１０の弁切
り換えを行ない、氷蓄熱槽３の熱交換チューブ内のブラ
インの流れを逆にする。

【００２９】前記差圧が大きいということは、氷蓄熱槽
３の熱交換チューブ等の目詰まりによりブラインが流れ
にくくなっていることを意味している。そこでこのよう
な場合は、ブラインを逆流させることによる逆洗効果に
よって、目詰まりを起こしたゴミやスケールを取り除く
こととしたのである。

【００３０】

【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明によれ
ばブライン経路中に、氷蓄熱槽へのブラインの供給方向
を正逆方向に切り換える流路切換弁を取り付け、且つ前
記氷蓄熱槽へのブラインの出口と入口部分間の差圧を検
出する差圧検出手段を設け、前記差圧検出手段が検出し
た差圧が一定値以上になった際に前記流路切換弁を切り
換えるように構成したので、以下のような優れた効果を
有する。

【００３１】氷蓄熱槽内の氷の生成及び融解を全体に
均一に行なうことができるので、蓄熱時間の短縮及び放
熱運転の熱交換効率の向上が図れる。

【００３２】氷蓄熱槽内の熱交換チューブが目詰まり
してもブラインの流れを逆にすることによる逆洗効果に
よって該目詰まりを解消することができ、フラッシング
作業等のメンテナンスがほとんど必要なくなる。特に前
記流路切換弁による切り換えを氷蓄熱槽へのブラインの
出入口部分間の差圧が一定値以上になった際に行なうこ
ととしたので、実際に氷蓄熱槽内の熱交換チューブが目
詰まりした際に該目詰まりを解消できるのでさらに効果
的である。

【００３３】特に前記流路切換弁による切り換えをタ
イマーによって定期的に行なえば、ブラインの流れが定
期的に変換されるので、上記，の効果をさらに効果
的に発揮できる。

【００３４】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態にかかる氷蓄熱式空調設備
の概略構成フロー図である。

【図２】図１に示す氷蓄熱式空調設備の流路切換弁１０
を切り換えた際の概略構成フロー図である。

【図３】従来の氷蓄熱式空調設備の概略構成フロー図で
ある。

【符号の説明】

１ 冷凍機 ２ 水熱交換器 ３ 氷蓄熱槽 ４ ブライン循環ポンプ ５ 冷水ポンプ ６ 空調機 ７，８，９ 調節弁 １０ 流路切換弁 １１ 制御盤 １２ 差圧スイッチ Ａ ブライン経路 Ｂ 冷水経路

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平６−337139（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−180468（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−264072（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F24F 5/00 102

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 冷凍機と水熱交換器と氷蓄熱槽とブライ
   ン循環ポンプとを配管で接続してなるブライン経路と、 前記水熱交換器と空調機と冷水ポンプとを配管で接続し
   てなる冷水経路とを有し、 前記冷凍機で冷却したブラインにて前記氷蓄熱槽の水を
   冷凍させることで蓄熱を行ない、一方前記氷蓄熱槽の氷
   を融解させることで冷却したブラインを前記水熱交換器
   に導いて前記冷水経路内の水を冷却し、該冷水の熱を前
   記空調機から取り出す構造の氷蓄熱式空調設備におい
   て、 前記ブライン経路中に、前記氷蓄熱槽へのブラインの供
   給方向を正逆方向に切り換える流路切換弁を取り付け、且つ前記氷蓄熱槽へのブラインの出口と入口部分間の差
   圧を検出する差圧検出手段を設け、 前記流路切換弁は前記差圧検出手段が検出した差圧が一
   定値以上になった際に切り換えられる ことを特徴とする
   氷蓄熱式空調設備。
2. 【請求項２】 前記氷蓄熱式空調設備にはタイマー内蔵
   の制御手段を設置し、前記流路切換弁は該制御手段によ
   り一定間隔毎に切り換えられることを特徴とする請求項
   １記載の氷蓄熱式空調設備。