JP3303685B2 - 構造部品の保守管理装置及び保守管理方法 - Google Patents

構造部品の保守管理装置及び保守管理方法

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JP3303685B2
JP3303685B2 JP22098396A JP22098396A JP3303685B2 JP 3303685 B2 JP3303685 B2 JP 3303685B2 JP 22098396 A JP22098396 A JP 22098396A JP 22098396 A JP22098396 A JP 22098396A JP 3303685 B2 JP3303685 B2 JP 3303685B2
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gas turbine
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damage
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展宏 磯部
茂雄 桜井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、同一形状の複数個
の構造部品を保守管理する構造部品の保守管理装置及び
保守管理方法に係り、特に、ガスタービンの静翼や動
翼,蒸気タービンの静翼や動翼,燃焼器のライナやトラ
ンジョンピース等の構造部品の保守管理装置と保守管理
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】発電所のガスタービンの静翼や動翼,蒸
気タービンの静翼や動翼,燃焼器のライナやトランジョ
ンピース等の構造部品は、過酷な条件下(高温雰囲気
中,湿り雰囲気中,繰り返し荷重下等)で使用されるた
め、クリープ,疲労,腐食等により損傷を受け、破壊す
る。これを未然に防止するために、発電所においては、
1〜2年間隔でプラントを定期的に停止し、前記構造部
品の損傷の頻度(例えば構造部品の表面に発生したき裂
の長さ等)を検出し、その寿命を評価する。そして、必
要に応じて、前記構造部品の補修或いは前記構造部品の
交換を行う。これを、定期点検と呼ぶ。
【0003】従来の技術として、特開平4−282455 号公
報には、高温で使用される構造部品の金属組織変化,高
温酸化・腐食量、及び変形量を各々計測し、それぞれの
許容限界値に到達する迄の余寿命年数を求め、金属組織
変化,高温酸化・腐食量、及び変形量のうち、少なくと
も1つの値に基づいてき裂発生に係わる材料特性を推定
し、且つ構造部品の運転条件に基づいてき裂発生迄の余
寿命年数を求め、金属組織変化,高温酸化・腐食量、及
び変形量のうち、少なくとも1つの値に基づいてき裂伝
播・破壊に係わる材料特性を推定し、且つ構造部品の運
転条件に基づいてき裂伝播・破壊迄の余寿命年数を求
め、上述した各々の余寿命年数を比較し、最短の余寿命
年数に基づいて構造部品の交換,補修等の保守管理を行
う構造部品の保守管理方法およびその保守管理装置が開
示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術では、
高温状態で使用される構造部品の各々の劣化・損傷状態
と補修履歴を、総合的に評価・判定して、的確な補修・
交換を判断するものであり、各々の構造部品の劣化・損
傷状態の差異については考慮されていない。
【0005】例えば、発電所のガスタービン等は、同一
形状の複数個の静翼を有し、かつ静翼毎に損傷の進展速
度が異なるため、次回定期点検迄使用不可能と判断され
た静翼が、他の取付位置に使用可能なことがある。係る
静翼を廃棄することは、発電プラントの低運用コスト化
の上で、非常に大きな弊害となる。
【0006】本発明の目的は、構造部品を寿命に至る寸
前迄有効に使用可能な構造部品の保守管理装置と保守管
理方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に第一の発明の構造部品の保守管理装置は、同一形状の
複数個の構造部品が取り付けられる取付位置に依存する
各々の前記構造部品の損傷量と負荷繰り返し数との関係
に基づいて、所定の負荷繰り返し数後の各々の前記損傷
量を推定し、推定された損傷量が、前記構造部品の寿命
寸前の損傷量の所定の範囲内に到達する前記構造部品を
特定する演算装置と、特定された構造部品と前記特定さ
れた構造部品が取り付けられる取付位置とを表示する表
示装置とを有する。
【0008】また、第二の発明の構造部品の保守管理装
置は、第一の時点における各々の構造部品に発生した第
一のき裂長さと、前記第一の時点よりも時間的に後にあ
る第二の時点における前記各々の構造部品に発生した第
二のき裂長さと、前記第一の時点と前記第二の時点との
間における前記各々の構造部品の第一の負荷繰り返し数
とに基づいて、前記各々の構造部品のき裂長さと負荷繰
り返し数との関係を演算する第一の演算装置と、前記第
二のき裂長さと、前記第二の時点と前記第二の時点より
も時間的に後にある第三の時点との間における前記各々
の構造部品の第二の負荷繰り返し数とを、前記き裂長さ
と負荷繰り返し数との関係に適用して、前記第二の時点
と前記第三の時点との間におけるき裂進展量を演算する
第二の演算装置と、前記第二のき裂長さと前記き裂進展
量とを加算した前記第三の時点における第三のき裂長さ
が、前記構造部品の寿命寸前のき裂長さの所定の範囲内
に到達する前記き裂進展量を演算する第三の演算装置
と、演算されたき裂進展量に該当するき裂長さと負荷繰
り返し数との関係に基づいて、前記構造部品が取り付け
られる取付位置を表示する表示装置とを有する。
【0009】また、第三の発明のガスタービン静翼の保
守管理装置は、前記各々の静翼表面の初期き裂長さと第
一の定期点検で検出した前記各々の静翼表面の第一の最
大き裂長さとの偏差を、ガスタービンの運転開始から前
記第一の定期点検迄の間の第一のガスタービンの起動・
停止回数で割り、前記ガスタービンの運転開始から前記
第一の定期点検迄の間の前記各々の静翼のき裂進展平均
速度を演算する第一の演算過程と、前記き裂進展平均速
度と前記静翼の材料と前記静翼の使用環境温度とに対応
するき裂進展に関する材料定数とから、前記各々の静翼
のき裂進展に関する応力拡大係数幅を演算する第二の演
算過程と、前記応力拡大係数幅と前記初期き裂長さとか
ら、前記各々の静翼の前記第一の最大き裂が発生した位
置に作用する応力を演算する第三の演算過程と、前記第
一の最大き裂長さと前記き裂進展平均速度から演算され
る前記ガスタービンの1起動・停止当たりの第一のき裂
進展量とを加算して、前記ガスタービンの起動・停止1
回後の最大き裂長さを演算する第四の演算過程と、前記
ガスタービンの起動・停止1回後の最大き裂長さと前記
応力とから、前記ガスタービンの起動・停止1回後の応
力拡大係数を演算する第五の演算過程と、前記ガスター
ビンの起動・停止1回後の応力拡大係数と前記材料定数
とから、前記ガスタービンの起動・停止1回後のき裂進
展速度を演算する第六の演算過程と、前記ガスタービン
の起動・停止1回後の最大き裂長さと前記ガスタービン
の起動・停止1回後のき裂進展速度から演算される前記
ガスタービンの1起動・停止当たりの第二のき裂進展量
とを加算して、前記ガスタービンの起動・停止2回後の
最大き裂長さを演算する第七の演算過程とを有し、前記
第五の演算過程から前記第七の演算過程迄を繰り返し
て、前記各々の静翼のき裂長さと負荷繰り返し数との関
係を示す損傷進展曲線を演算する損傷進展曲線演算装置
と、前記損傷進展曲線を記憶する記憶装置と、前記第一
の最大き裂長さと前記第一の定期点検から今後予定され
る第二の定期点検迄の間の第二のガスタービンの起動・
停止回数とを、前記損傷進展曲線に適用して、前記各々
の静翼の前記第二の定期点検における第二の最大き裂長
さを推定し、前記第二の最大き裂長さから前記第一の最
大き裂長さを減算して、前記各々の静翼の前記第一の定
期点検から前記第二の定期点検迄の間の最大き裂進展量
を推定する損傷進展量演算装置と、前記第一の最大き裂
長さと推定された最大き裂進展量とを加算した前記第二
の最大き裂長さが、前記静翼の寿命寸前のき裂長さの所
定の範囲内に到達する前記静翼に対応する前記推定され
た最大き裂進展量の組み合わせを演算する取付位置演算
装置と、前記推定された最大き裂進展量に該当する損傷
進展曲線に基づいて、前記第一の定期点検と前記第二の
定期点検との間の前記静翼が取り付けられる取付位置又
は前記ガスタービンに送る燃焼ガスを発生する燃焼器の
出力量を、表及び/又は図として表示する表示装置とを
有する。
【0010】また、第四の発明の構造部品の保守管理方
法は、同一形状の複数個の構造部品が取り付けられる取
付位置に依存する各々の前記構造部品の損傷量と負荷繰
り返し数との関係に基づいて、所定の負荷繰り返し数後
の各々の前記損傷量を推定し、推定された損傷量が、前
記構造部品の寿命寸前の損傷量の所定の範囲内に到達す
る前記構造部品を特定し、特定された構造部品と前記特
定された構造部品が取り付けられる取付位置とを表示す
る。
【0011】また、第五の発明の構造部品の保守管理方
法は、第一の時点における各々の構造部品に発生した第
一のき裂長さと、前記第一の時点よりも時間的に後にあ
る第二の時点における前記各々の構造部品に発生した第
二のき裂長さと、前記第一の時点と前記第二の時点との
間における前記各々の構造部品の第一の負荷繰り返し数
とに基づいて、前記各々の構造部品のき裂長さと負荷繰
り返し数との関係を演算し、前記第二のき裂長さと、前
記第二の時点と前記第二の時点よりも時間的に後にある
第三の時点との間における前記各々の構造部品の第二の
負荷繰り返し数とを、前記き裂長さと負荷繰り返し数と
の関係に適用して、前記第二の時点と前記第三の時点と
の間におけるき裂進展量を演算し、前記第二のき裂長さ
と前記き裂進展量とを加算した前記第三の時点における
第三のき裂長さが、前記構造部品の寿命寸前のき裂長さ
の所定の範囲内に到達する前記き裂進展量を演算し、演
算されたき裂進展量に該当するき裂長さと負荷繰り返し
数との関係に基づいて、前記構造部品が取り付けられる
取付位置を表示する。
【0012】また、第六の発明のガスタービン静翼の保
守管理方法は、前記各々の静翼表面の初期き裂長さと第
一の定期点検で検出した前記各々の静翼表面の第一の最
大き裂長さとの偏差を、ガスタービンの運転開始から前
記第一の定期点検迄の間の第一のガスタービンの起動・
停止回数で割り、前記ガスタービンの運転開始から前記
第一の定期点検迄の間の前記各々の静翼のき裂進展平均
速度を演算する第一の過程と、前記き裂進展平均速度と
前記静翼の材料と前記静翼の使用環境温度とに対応する
き裂進展に関する材料定数とから、前記各々の静翼のき
裂進展に関する応力拡大係数幅を演算する第二の過程
と、前記応力拡大係数幅と前記初期き裂長さとから、前
記各々の静翼の前記第一の最大き裂が発生した位置に作
用する応力を演算する第三の過程と、前記第一の最大き
裂長さと前記き裂進展平均速度から演算される前記ガス
タービンの1起動・停止当たりの第一のき裂進展量とを
加算して、前記ガスタービンの起動・停止1回後の最大
き裂長さを演算する第四の過程と、前記ガスタービンの
起動・停止1回後の最大き裂長さと前記応力とから、前
記ガスタービンの起動・停止1回後の応力拡大係数を演
算する第五の過程と、前記ガスタービンの起動・停止1
回後の応力拡大係数と前記材料定数とから、前記ガスタ
ービンの起動・停止1回後のき裂進展速度を演算する第
六の過程と、前記ガスタービンの起動・停止1回後の最
大き裂長さと前記ガスタービンの起動・停止1回後のき
裂進展速度から演算される前記ガスタービンの1起動・
停止当たりの第二のき裂進展量とを加算して、前記ガス
タービンの起動・停止2回後の最大き裂長さを演算する
第七の過程と、前記第五の演算過程から前記第七の演算
過程迄を繰り返して、前記各々の静翼のき裂長さと負荷
繰り返し数との関係を示す損傷進展曲線を演算する第八
の過程と、前記第一の最大き裂長さと前記第一の定期点
検から今後予定される第二の定期点検迄の間の第二のガ
スタービンの起動・停止回数とを、前記損傷進展曲線に
適用して、前記各々の静翼の前記第二の定期点検におけ
る第二の最大き裂長さを推定する第九の過程と、前記第
二の最大き裂長さから前記第一の最大き裂長さを減算し
て、前記各々の静翼の前記第一の定期点検から前記第二
の定期点検迄の間の最大き裂進展量を推定する第十の過
程と、前記第一の最大き裂長さと推定された最大き裂進
展量とを加算した前記第二の最大き裂長さが、前記静翼
の寿命寸前のき裂長さの所定の範囲内に到達する前記静
翼に対応する前記推定された最大き裂進展量の組み合わ
せを演算する第十一の過程と、前記推定された最大き裂
進展量に該当する損傷進展曲線に基づいて、前記第一の
定期点検と前記第二の定期点検との間の前記静翼が取り
付けられる取付位置又は前記ガスタービンに送る燃焼ガ
スを発生する燃焼器の出力量を、表及び/又は図として
表示する第十二の過程とを有する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明は、同一形状の構造部品を
複数個有する構造物において、前記構造部品が取付位置
に依存して破壊に至る寿命が異なることを利用して、予
定される将来の時点(例えば、発電所の定期点検等)
に、前記構造部品が寿命寸前に至るように、前記構造部
品の取付位置の組み合わせを演算し、その演算結果を表
示するものである。そして、予定される将来の時点に、
構造物を点検する点検員が、取付位置の演算結果の表示
に従い、複数の構造部品の相互間で配置替えを行う。
【0014】以下に、構造部品の配置替えの概念を、構
造部品Pと構造部品Qとを対象として説明する。図1
に、構造部品中に発生する損傷の大きさ(以下、損傷量
と称す。)2Dと、構造部品の負荷繰り返し数Nとの関
係を示す。図1中、Nk は第k回目の定期点検時迄の負
荷繰り返し数、Nk+1 は第(k+1)回目の定期点検
(次回定期点検)時迄の負荷繰り返し数、2DP は第k
回目の定期点検時に検出した構造部品P中の損傷量、2
Q は第k回目の定期点検時に検出した構造部品Q中の
損傷量、2Du は構造部品が破壊に至る寸前の限界の損
傷量(以下、限界損傷量と称す。)を示す。図1中、実
線で示される曲線P及び曲線Qは、損傷量2DP 及び損
傷量2DQ から推定した構造部品P及び構造部品Qの損
傷進展曲線である。図1によれば、構造部品Pは次回定
期点検に至る前に、破壊に至ることが予想される。一
方、構造部品Qは次回定期点検においても、破壊に至ら
ず、破壊に至る迄の損傷量に余裕があることが明らかで
ある。そこで、構造部品Pと構造部品Qの取付位置を交
換する。即ち、第k回目の定期点検時迄の構造部品Pの
取付位置を位置p,構造部品Qの取付位置を位置qとす
ると、第k回目の定期点検時に、構造部品Pを位置qに
取り付け、構造部品Qを位置pに取り付ける。損傷進展
曲線は、取付位置に依存することから、第k回目の定期
点検以降の構造部品Pの損傷進展曲線は、損傷量2DP
以降の損傷進展曲線Qとなる。同様に、第k回目の定期
点検以降の構造部品Qの損傷進展曲線は、損傷量2DQ
以降の損傷進展曲線Pとなる。第k回目の定期点検以降
の構造部品P及び構造部品Qの損傷進展曲線を、図1中
の破線で示す。図1によれば、配置替えを行うことによ
り、構造部品Pの損傷量,構造部品Qの損傷量の何れ
も、次回定期点検時に2Du に達することが明らかであ
る。これにより、構造部品P,構造部品Qの何れも、寿
命に至る寸前迄有効に使用することが可能となる。
【0015】以下に、発電所のガスタービンの静翼を対
象として、本発明の構造部品の保守管理装置と保守管理
方法について説明する。図2に、本発明の構造部品の保
守管理装置の第一の実施例の構成図を示す。図2中、1
は演算に必要なデータを入力する入力装置(キーボー
ド,マウス,タッチパネル等、或いは入力端子)、2は
取付位置の損傷進展曲線を演算する損傷進展曲線演算装
置、3は予定される各定期点検間の損傷の進展量(以
下、損傷進展量と称す。)を推定する損傷進展量演算装
置、4は最適な取付位置の組み合わせを演算する取付位
置演算装置、5は取付位置の組み合わせの演算結果を表
示する表示装置(CRT,プリンタ等)、6は材料定数
等を記憶する材料データベース、7は記憶装置である。
【0016】発電所のガスタービンの静翼は、主にCo
基超合金から成る。静翼は、ガスタービンのケーシング
の内周に設けられるものであり、ガスタービンの軸の軸
方向に対して、複数段設けられるものである。また、一
段は、同一形状の静翼が、ガスタービンの軸の周方向に
対して、十数枚設けられる。係る静翼は、燃焼器からの
燃焼ガスにより、疲労,クリープ或いは腐食等により損
傷を受ける。係る静翼は、図3に示すように、同一段で
あっても、破壊に至る寿命が異なり、その寿命は、取付
位置に依存すると考えられる。
【0017】本発明の構造部品の保守管理方法の第一の
実施例として、以下に、ガスタービンを使用開始から1
年経過後の第1回目の定期点検時の、15枚から成る初
段静翼(燃焼ガスの流入口に対して最初に位置する静
翼)の保守管理方法について説明する。この1年間に、
ガスタービンは、予定される運転スケジュールに従い、
1 回の起動・停止を繰り返す。
【0018】ガスタービンの定期点検を行う点検員は、
第1回目の定期点検時に、15枚の静翼について、静翼
の表面に発生した全てのき裂の長さとそのき裂が発生し
た位置を検出する。点検員は、第1回目の定期点検迄に
使用されていた15枚の静翼、及び予備として保管され
ている未使用の15枚の静翼の各々に対し、識別子i
(但し、iは1〜30の連続的な数字であり、i=1〜
15は使用されていた静翼、i=16〜30は未使用の
静翼を表すものとする。)を付す。また、静翼の取付位
置に識別子j(但し、jは1〜15の連続的な数字であ
る。)を付す。そして、点検員は、静翼の表面に発生し
た最初のき裂(以下、初期き裂と称す。)の長さ2D
ij0 と、1つの静翼に発生したき裂の内最も長いき裂
(以下、最大き裂と称す。これが、静翼の寿命を支配す
る。)の長さ2Dij1 と、ガスタービンを使用してから
現在(第1回目の定期点検)迄のガスタービンの起動・
停止回数dN1と、現在から第2回目の定期点検迄のガ
スタービンの起動・停止回数dN2,第2回目の定期点
検から第3回目の定期点検迄のガスタービンの起動・停
止回数dN3 ,第3回目の定期点検から第4回目の定期
点検迄のガスタービンの起動・停止回数dN4 ,第4回
目の定期点検から第5回目の定期点検迄のガスタービン
の起動・停止回数dN5 とを入力装置1に入力する。こ
こで、初期き裂長さ2Dij0 は、負荷の極初期に発生す
るものであり、点検員により検出され得るものではな
い。そこで、静翼の金属学的組織の結晶流径、或いは静
翼の非破壊検査の検出感度から、適当な初期き裂長さ2
ij0 を設定する。そして、入力装置1は、初期き裂長
さ2Dij0 と、最大き裂長さ2Dij1 と、ガスタービン
の起動・停止回数dN1 とを、損傷進展曲線演算装置2
に入力する。一方、入力装置1は、今後予定される定期
点検の各々の間のガスタービンの起動・停止回数dNk
(但し、k=2〜5)を損傷進展量演算装置3に入力す
る。又、入力装置1は、取付位置の組み合わせの演算を
開始することを示す演算開始信号を材料データベース6
に入力する。
【0019】一般に、長さ2aのき裂に、垂直な一様応
力σ0 が作用するとき、き裂進展に関する破壊力学パラ
メータである応力拡大係数Kは次式で表される。
【0020】
【数1】 K=σ0(πa)1/2・f …(1) 但し、fは部材の形状とき裂の長さ2aに依存する係数
であ。一方、負荷1回当たりの応力拡大係数の変動幅
(以下、応力拡大係数幅と称す。)ΔKと負荷1回当た
りのき裂の進展量(以下、き裂進展速度と称す。)da
/dNとの間には、以下の関係が成立する。
【0021】
【数2】 da/dN=CΔKm …(2) 但し、C,mは、部材の材料と温度に依存する材料定数
を示す。
【0022】損傷進展曲線演算装置3において、初期き
裂長さ2Dij0 (但し、i=1〜15)と、最大き裂長
さ2Dij1 (但し、i=1〜15)と、ガスタービンの
起動・停止回数dN1 とに基づいて、以下のステップ
(2−1)〜(2−8)で、図1に示すような損傷進展曲
線χj を演算する。
【0023】(2−1)最大き裂長さ2Dij1 から初期
き裂長さ2Dij0 を減算したものを、ガスタービンの起
動・停止回数dN1 で割り、ガスタービンを使用してか
ら現在迄の静翼のき裂進展平均速度を演算する。ここ
で、初期き裂Dij0 は、負荷の極初期に発生するため、
初期き裂Dij0 が発生する負荷繰り返し数N0 を0と仮
定する。
【0024】(2−2)ステップ(2−1)で得たき裂
進展平均速度と、予め記憶装置7に記憶されている材料
定数C,mとを、(2)式に代入して、応力拡大係数幅
ΔKを演算する。
【0025】(2−3)ステップ(2−2)で得た応力
拡大係数幅ΔKと、初期き裂長さ2Dij0 を、(1)式
に代入して、最大き裂が発生した位置に作用する応力
(以下、作用応力と称す。)σi を演算する。係る作用
応力σi は、不変とする。
【0026】(2−4)最大き裂長さ2Dij1 とステッ
プ(2−1)で得たき裂進展平均速度とを加算して、負
荷1回後、即ちガスタービン起動・停止1回後の最大き
裂長さを演算する。
【0027】(2−5)ステップ(2−4)で得たガス
タービン起動・停止1回後の最大き裂長さと、係数f
と、作用応力σi とを、(1)式に代入して、ガスター
ビン起動・停止1回後の応力拡大係数Kを演算する。
【0028】(2−6)ステップ(2−5)で得たガス
タービン起動・停止1回後の応力拡大係数Kと、材料定
数C,mとを(2)式に代入して、ガスタービン起動・
停止1回後のき裂進展速度を演算する。
【0029】(2−7)ステップ(2−6)で得たガス
タービン起動・停止1回後のき裂進展速度と、ステップ
(2−4)で得た負荷1回後の最大き裂長さとを加算し
て、ガスタービン起動・停止2回後の最大き裂長さを演
算する。
【0030】(2−8)ステップ(2−7)で得たガス
タービン起動・停止2回後の最大き裂長さを、ステップ
(2−5)のガスタービン起動・停止1回後の最大き裂
長さとみなして、ステップ(2−5)からステップ(2
−7)の演算を繰り返し行い、ガスタービン起動・停止
3回後の最大き裂長さ,ガスタービン起動・停止4回後
の最大き裂長さ,・・・を順次演算し、き裂進展曲線χ
j を得る。
【0031】ここで、静翼に、燃焼ガスの熱により、無
視できない程の塑性ひずみが生じる場合は、応力拡大係
数Kの代用として、J積分Jを用いるのが好ましい。係
るき裂進展曲線χj は、静翼の取付位置に依存するもの
であり、第1回目の定期点検時では、i=jであるた
め、静翼i=1〜15について演算した損傷進展曲線
が、取付位置j=1〜15の損傷進展曲線χj に対応す
る。そして、損傷進展曲線演算装置2は、損傷進展曲線
χj を損傷進展量演算装置3及び記憶装置7に入力す
る。
【0032】本実施例では、静翼の形状がわかっている
ので、係数fは、静翼の表面に発生した最大き裂長さ2
ijk の関数として定められる。また、き裂進展に関す
る材料定数C,mは、実験により予め演算されるもので
あり、静翼の材料と静翼の使用環境温度から定められ
る。点検員は、係数fと材料定数C,mとを予め入力装
置1に入力する。そして、入力装置1は、係数fと材料
定数C,mとを材料データベース6に入力する。そし
て、材料データベース6において、係数fと材料定数
C,mとを記憶し、蓄積する。材料データベース6は、
入力装置1からの演算開始信号を受けて、係数fと材料
定数C,mとを損傷進展曲線演算装置2に入力する。
【0033】記憶装置7において、損傷進展曲線χj
記憶する。
【0034】損傷進展量演算装置3において、最大き裂
長さ2Dij1 (但し、i=1〜15)と、初期き裂長さ2
ij0 (但し、i=16〜30)と、今後予定される定
期点検の各々の間のガスタービンの起動・停止回数dN
k と、損傷進展曲線χj とに基づいて、以下のステップ
(3−1)〜(3−7)で、今後予定される定期点検の各
々の間の最大き裂長さの変化量を示す最大き裂の進展量
d2Dijn を演算する。
【0035】(3−1)取付位置j=1の損傷進展曲線
χ1 に、静翼i=1の現在の最大き裂長さ2D111を代
入して、ガスタービンの起動・停止回数N′1を推定す
る。 (3−2)ガスタービンの起動・停止回数N′1 に現在
から第2回目の定期点検時迄のガスタービンの起動・停
止回数dN2 を加算して、第2回目の定期点検時のガス
タービンの起動・停止回数(N′1+dN2)を演算す
る。
【0036】(3−3)損傷進展曲線χ1 に、第2回目
の定期点検時のガスタービンの起動・停止回数(N′1
+dN2)を代入して、第2回目の定期点検時の最大き
裂長さ2D112 を演算する。
【0037】(3−4)第2回目の定期点検時の最大き
裂長さ2D112 から現在の最大き裂長さ2D111 を減算
して、現在から第2回目の定期点検時迄の最大き裂の進
展量d2D112 を演算する。
【0038】(3−5)ステップ(3−1)〜(3−4)
の演算をk=2〜5の各定期点検間について、即ち第2
回目の定期点検から第3回目の定期点検迄の間、第3回
目の定期点検から第4回目の定期点検迄の間、第4回目
の定期点検から第5回目の定期点検迄の間について行
う。
【0039】(3−6)ステップ(3−5)の演算を取
付位置j=2〜15について、即ちj=2〜15の損傷
進展曲線χj について行う。
【0040】(3−7)ステップ(3−6)の演算を静
翼i=2〜30について行う。但し、静翼i=16〜3
0の現在の定期点検時の最大き裂長さは、初期き裂長さ
2Dij0 とする。
【0041】そして、損傷進展量演算装置3は、今後予
定される定期点検の各々の間の各取付位置の最大き裂の
進展量d2Dij2,d2Dij3,d2Dij4,d2Dij5
取付位置演算装置4に入力する。
【0042】一方、点検員は、静翼の最大き裂の許容限
界範囲の上限値2Du (限界損傷量)と下限値2Dl
を、予め入力装置1に入力する。最大き裂の許容限界範
囲の上限値2Du は、それ以上進展すると静翼の信頼性
が維持できなくなる最大き裂長さを示す。例えば、静翼
を深さ方向に貫通するき裂の静翼表面の長さ等である。
また、最大き裂の許容限界範囲の下限値2Dl は、限界
損傷量に到達していないが、廃棄したほうが合理的であ
ると判断されるもので、通常、定期点検間に予定される
ガスタービンの起動・停止回数や損傷進展曲線の勾配や
静翼の経済性等との兼ね合いから決定する。例えば、取
付位置j=1〜15の損傷進展曲線χj の内、損傷進展
曲線χj の勾配が最も小さい損傷進展曲線χj におい
て、限界損傷量に相当するガスタービンの起動・停止回
数から、定期点検間に予定されるガスタービンの起動・
停止回数を減算して得たガスタービンの起動・停止回数
に相当するき裂の長さ等である。そして、入力装置1
は、最大き裂の許容限界範囲の上限値2Du (限界損傷
量)と下限値2Dl とを取付位置演算装置4に入力す
る。取付位置演算装置4において、現在の最大き裂長さ
2Dij1 (但し、i=1〜15)と、初期き裂長さ2D
ij0 (但し、i=16〜30)と、予定される各定期点
検間の各取付位置の最大き裂の進展量d2Dij2,d2
ij3,d2Dij4,d2Dij5 と、最大き裂の許容限界
範囲の上限値2Du (限界損傷量)と下限値2Dl とに
基づいて、図4に示すステップ(4−1)〜(4−12)
で、2Dl <2Dijn <2Du (但し、n≦5)を満足
する取付位置jの組み合わせを演算する。以下に、その
演算手順を具体的に示す。
【0043】(1)ステップ(4−1)で、静翼i=1
〜15について、2Dl <2Dijn <2Du を満足する
取付位置jの組み合わせを全て演算する。係る演算結果
は、例えば、(1 1 1 1),(2 1 3 7),
(3 5 11 15)等のように数列(J1 2
3 4)で示される。そして、係る演算結果を記憶す
る。ここで、2Dijk は、次式で表される。
【0044】
【数3】 2Dijk=2Dij1+d2D1j2+・・・+d2D1jk …(3) (2)ステップ(4−2)で、静翼i=1について、2
l <2D1jn <2Duを満足する取付位置jの組み合
わせを、記憶された演算結果の中から1つ抽出する。静
翼i=1については、比較対象となる静翼が存在しない
ため、ステップ(4−3)の判定がNoとなる。また、
i=I(但し、Iは使用する静翼の数であり、本実施例
では、I=15である。)ではないため、ステップ(4
−3)の判定がNoとなる。ステップ(4−5)で、i
=2として、ステップ(4−2)の演算を行う。
【0045】(3)次に、ステップ(4−2)で、静翼
i=2について、2Dl <2D2jn <2Du を満足する
取付位置jの組み合わせを、記憶された演算結果の中か
ら1つ抽出する。
【0046】ステップ(4−3)で、静翼i=2が静翼
i=1と同一運転時期に同一取付位置となる場合がある
か(Yes)否か(No)を判定する。
【0047】ステップ(4−3)の判定がYesなら
ば、ステップ(4−6)で、静翼i=2について、2D
l <2D2jn <2Du を満足する別の取付位置jの組み
合わせが、記憶された演算結果の中に存在するか(Ye
s)否か(No)を判定する。
【0048】ステップ(4−6)の判定がYesなら
ば、ステップ(4−7)で、静翼i=2について、2D
l <2D2jn <2Du を満足する別の取付位置jの組み
合わせを、記憶された演算結果の中から1つ抽出する。
そして、その抽出された別の取付位置jの組み合わせに
ついてステップ(4−3)の判定を行う。
【0049】ステップ(4−3)の判定がNoとなる
迄、ステップ(4−3)→(4−6)→(4−7)を繰り
返す。
【0050】ステップ(4−6)の判定がNoならば、
ステップ(4−8)で、i=1として、即ち静翼i=1
について、ステップ(4−2)の演算を行う。即ち、静
翼i=1について2Dl <2D1jn <2Du を満足する
別の取付位置jの組み合わせを、記憶された演算結果の
中から抽出する。これと共に、ステップ(4−9)で、
2Dl <2Dijn <2Du を満足しない静翼の数r=1
4が入力され、2Dl <2Dijn <2Du を満足しない
静翼の数の最小値Rが入力されていないので、判定がY
esとなる。
【0051】ステップ(4−9)の判定がYesなら
ば、ステップ(4−10)で、R=r、即ちR=14を
入力する。
【0052】ステップ(4−11)で、取付位置の組み
合わせの演算結果と各々の静翼の交換時期を記憶する。
【0053】ステップ(4−3)の判定がNoならば、
静翼i=2については、ステップ(4−4)の判定がN
oであるので、ステップ(4−5)で、i=3として、
ステップ(4−2)の演算を行う。
【0054】(4)次に、ステップ(4−2)で、静翼
i=3について、2Dl <2D3jn <2Du を満足する
取付位置jの組み合わせを、記憶された演算結果の中か
ら1つ抽出する。
【0055】ステップ(4−3)で、静翼i=3が静翼
i=1、及び静翼i=2と同一運転時期に同一取付位置
となる場合があるか(Yes)否か(No)を判定す
る。
【0056】ステップ(4−3)の判定がYesなら
ば、ステップ(4−6)で、静翼i=3について、2D
l <2D3jn <2Du を満足する別の取付位置jの組み
合わせが、記憶された演算結果の中に存在するか(Ye
s)否か(No)を判定する。
【0057】ステップ(4−6)の判定がYesなら
ば、ステップ(4−7)で、静翼i=3について、2D
l <2D3jn <2Du を満足する別の取付位置jの組み
合わせを、記憶された演算結果の中から1つ抽出する。
そして、その抽出された別の取付位置jの組み合わせに
ついてステップ(4−3)の判定を行う。
【0058】ステップ(4−3)の判定がNoとなる
迄、ステップ(4−3)→(4−6)→(4−7)を繰り
返す。
【0059】ステップ(4−6)の判定がNoならば、
ステップ(4−8)で、i=2として、即ち静翼i=2
について、ステップ(4−2)の演算を行う。即ち、静
翼i=2について2Dl <2D1jn <2Du を満足する
別の取付位置jの組み合わせを、記憶された演算結果の
中から抽出する。これと共に、ステップ(4−9)で、
2Dl <2Dijn <2Du を満足しない静翼の数r=1
3が入力され、2Dl <2Dijn <2Du を満足しない
静翼の数の最小値R=14であるため、判定がYesと
なる。
【0060】ステップ(4−9)の判定がYesなら
ば、ステップ(4−10)で、R=r、即ちR=13を
入力する。
【0061】ステップ(4−11)で、取付位置の組み
合わせの演算結果と各々の静翼の交換時期を記憶する。
【0062】ステップ(4−3)の判定がNoならば、
静翼i=3については、ステップ(4−4)の判定がN
oであるので、ステップ(4−5)で、i=4として、
ステップ(4−2)の演算を行う。
【0063】そして、得られた取付位置jの組み合わせ
の演算結果に基づいて、第2回目の定期点検から第n回
目の定期点検迄の今後予定される定期点検における最大
き裂長さ2Dijkを演算する。また、各々の定期点検時
における最大き裂長さ2Dijkに基づいて、各々の定期
点検における限界損傷量2Du に対する最大き裂長さ2
ijk の比(以下、損傷度と称す。)2Dijk /2Du
を演算する。そして、取付位置演算装置4は、取付位置
jの組み合わせの演算結果(各静翼の各定期点検間の取
付位置と、廃棄する静翼があれば、静翼を廃棄する定期
点検の時期nと、最大き裂の許容限界範囲の下限値2D
l に達しない静翼の数x)と、各々の静翼の各々の定期
点検における最大き裂長さ2Dijk と、各々の静翼の各
々の定期点検における損傷度2Dijk /2Du と(以
下、取付位置の組み合わせ演算結果等と称す。)を表示
装置5に入力する。
【0064】表示装置5において、取付位置の組み合わ
せの演算結果等を、図或いは表として表示する。例え
ば、縦欄に静翼の識別子i(但し、i=1〜30)、横
欄に第k回目迄の各々の定期点検を示す表において、そ
れぞれに対応する取付位置の識別子j(但し、j=1〜
15)を表示する。或いは、前記の表において、それぞ
れに対応する最大き裂長さを表示する。或いは、前記の
表において、それぞれに対応する損傷度を表示する。ま
た、最大き裂の許容限界範囲の下限値2Dl に達しない
静翼の識別子i、或いは取付位置jを数値で表示する。
また、最大き裂の許容限界範囲の下限値2Dl に達しな
い静翼の数xを数値で表示する。また、使用中の静翼を
示す模式的な図において、各静翼の損傷度を明暗或いは
色替えにより、表示する。
【0065】点検員は、表示装置5の表示に従い、予定
される定期点検時に静翼の配置替えを行うと共に、廃棄
しなければならない静翼を未使用の静翼に交換する。
【0066】第1回目以降の定期点検時に、初めて取付
位置の組み合わせの演算を行う場合等は、初期き裂のか
わりに、過去の定期点検時に検出した最大き裂長さを用
いても良い。
【0067】続いて、ガスタービンを使用してから第t
回目の定期点検時に取付位置の組み合わせの演算を行う
ものとする。点検員は、第t回目の定期点検時に検出し
た最大き裂長さ2Dijt と、今後予定される定期点検の
各々の間のガスタービンの起動・停止回数dNk (但
し、k=t〜(t+4))とを入力装置1に入力する。そ
して、入力装置1は、演算開始信号を記憶装置7に入力
する。一方、入力装置1は、最大き裂長さ2Dijt と今
後予定される定期点検の各々の間のガスタービンの起動
・停止回数dNk とを損傷進展量演算装置3に入力す
る。
【0068】記憶装置7は、演算開始信号を受けて、取
付位置j=1〜15に対応する損傷進展曲線χj を損傷
進展量演算装置3に入力する。
【0069】損傷進展量演算装置3において、静翼i=
1〜15の最大き裂長さ2Dijt と、取付位置j=1〜
15の損傷進展曲線χj と、今後予定される定期点検の
各々の間のガスタービンの起動・停止回数dNk とに基
づいて、今後予定される定期点検の各々の間の最大き裂
の進展量d2Dijk を演算する。そして、損傷進展量演
算装置3は、今後予定される定期点検の各々の間の最大
き裂の進展量d2Dijkを取付位置演算装置4に入力する。
損傷進展量演算装置3以降の演算は、上記の第1回目の
定期点検時に行う取付位置の組み合わせの演算と同様で
ある。
【0070】以上第一の実施例では、構造部材に発生し
た損傷の大きさとして、ガスタービンの静翼の表面に発
生したき裂の長さを代表値としたが、ガスタービンの静
翼の表面から内部方向へのき裂の深さを代表値としても
良い。この場合は、表面のき裂の長さと表面から内部方
向へのき裂の深さとの関係を、実験あるいは実機データ
から予め求めておく。
【0071】図5に、本発明の構造部品の保守管理装置
の第二の実施例の構成図を示す。
【0072】本発明の構造部品の保守管理方法の第二の
実施例として、ガスタービンを使用してから1年経過後
の第1回目の定期点検時の、15枚から成る初段静翼の
保守管理方法について説明する。
【0073】点検員は、第1回目の定期点検時に、静翼
の表面に発生したき裂の長さ及びその位置を検出する。
そして、点検員は、初期き裂長さ2Dij0 と、最大き裂
長さ2Dij1 と、ガスタービンの起動・停止回数dN1
と、今後予定される定期点検の各々の間のガスタービン
の起動・停止回数dN2 ,dN3 ,・・・dNn とを入
力装置8に入力する。そして、入力装置8は、初期き裂
長さ2Dij0 と、最大き裂長さ2Dij1 と、ガスタービ
ンの起動・停止回数dN1 とを、損傷進展係数演算装置
9及び材料データベース13に入力する。一方、入力装
置8は、今後予定される定期点検の各々の間のガスター
ビンの起動・停止回数dNk (但し、k=2〜5)とを
損傷進展量演算装置10に入力する。
【0074】一般に、き裂の長さ2aと破断に至る負荷
繰り返し数Nf に対する負荷繰り返し数Nの比(以下、
寿命比と称す。)N/Nf との間には、実験的に図6の
ような関係が成立する。係る関係は、次式に近似するこ
とができる。
【0075】
【数4】 log2a=Gj ・N …(4) 但し、Gj は定数を示す。さらに(4)式を微分して、
次式を得る。
【0076】
【数5】 Gj =1/a・da/dN …(5) 損傷進展係数演算装置8において、初期き裂長さ2D
ij0 と、最大き裂長さ2Dij1 と、ガスタービンの起動
・停止回数N1 とに基づいて、負荷1回当たりのき裂の
進展量の対数(以下、損傷進展係数と称す。)Gj を、
静翼i=1〜15について演算する。一方、最大き裂長
さ2Dij1 と上記実施例1と同様に演算して得た作用応
力σ1 とを、(1)式に代入して、第1回目の定期点検
時の最大き裂の応力拡大係数Kij1 を演算する。(2)
式に、応力拡大係数Kij1 と材料データベース13に記
憶される材料定数C,mとを代入して、第1回目の定期
点検時のき裂進展速度dDij1 /dN1 を演算する。
(5)式に、最大き裂長さ2Dij1 とき裂進展速度dD
ij1 /dN1 とを代入して、Gj =1/Dij1 ・dD
ij1 /dN1 を得る。係る損傷進展係数Gj は、静翼の
取付位置に依存するものである。ここで、第1回目の定
期点検時では、i=jであるため、静翼i=1〜15に
ついて演算した損傷進展曲線が、取付位置j=1〜15
の損傷進展係数Gj に対応する。そして、損傷進展係数
演算装置8は、損傷進展係数Gj を損傷進展量演算装置
3及び記憶装置7に入力する。
【0077】損傷進展量演算装置10において、損傷進
展係数Gj に今後予定される定期点検の各々の間のガス
タービンの起動・停止回数dN2 ,dN3 ,dN4 ,d
5を乗じて、今後予定される定期点検の各々の間の最
大き裂の進展量d2Dij2 ,d2Dij3 ,d2Dij4
d2Dij5 を演算する。そして、損傷進展量演算装置1
0は、今後予定される定期点検の各々の間の最大き裂の
進展量d2Dij2 ,d2Dij3 ,d2Dij4 ,d2D
ij5 を取付位置演算装置11に入力する。取付位置演算
装置11以降の演算は、上記の第一の実施例に示す取付
位置演算装置4以降の演算と同様である。
【0078】本発明によれば、ガスタービンの静翼の各
々の取付位置における損傷進展曲線或いは損傷進展係数
(以下、損傷進展曲線等と称す。)を演算し、損傷進展
曲線等に基づいて、今後予定される定期点検の各々の間
の取付位置の組み合わせを演算し、表示するため、点検
員は、表示に従い、予定される定期点検時に静翼の配置
替えをすることができ、ガスタービンの静翼を寿命に至
る寸前迄、有効に使用することができる。
【0079】また、本発明は、ガスタービンを複数軸有
する発電所の静翼の全てを対象として、取付位置の組み
合わせの演算を行うことができる。ガスタービンを複数
軸有する発電所においては、ガスタービン毎に運転条件
が異なることが多いことから、ガスタービン毎に許容限
界範囲Dl 〜Du を設定する。各ガスタービンの取付位
置の組み合わせの演算は、運転条件が厳しいガスタービ
ンから順に行う。ここで、運転条件が厳しいとは、一定
期間内の使用時間が多い、一定期間内の使用回数が多
い、静翼の使用環境温度が高い等をいう。例えば、ガス
タービンa,b,c・・・の順に運転状態が厳しく、そ
れぞれの交換の基準となる最大き裂長さの許容限界範囲
をDal〜Du ,Dbl〜Du ,Dcl〜Du ・・・(尚、D
al<Dbl<Dcl・・・)とする。ガスタービンaについ
て、最大き裂長さがDal以下の翼を対象として取付位置
の組み合わせの演算を行う。ガスタービンaで使用され
なかった最大き裂長さがDal以下の静翼を、最大き裂長
さがDbl以下の静翼に取り込み、ガスタービンbについ
て取付位置の組み合わせの演算を行う。ガスタービンb
で使用されなかった最大き裂長さがDbl以下の静翼を、
最大き裂長さがDcl以下の静翼に取り込み、ガスタービ
ンcについて取付位置の組み合わせの演算を行う。
【0080】また、静翼の最大き裂長さ及びその位置と
取付位置に対応する損傷進展曲線等を記憶装置に記憶す
ることにより、許容限界範囲の下限値Dl に達していな
い未だ使用可能な静翼を一時保管して、前記保管された
静翼も含め取付位置の組み合わせの演算を行うことがで
きる。これにより、点検員は、静翼に補修を施す場合、
定期点検の期間中に補修を行わず、保管して補修を行う
ことができるため、定期点検の期間を短縮することがで
き、発電所の効率を向上することができる。
【0081】また、限界損傷量に至る迄の負荷繰り返し
数が著しく少ない、即ち損傷進展曲線の勾配或いは損傷
進展係数の値が著しく大きい取付位置に対しては、通常
の静翼材よりも疲労或いはクリープに対して強度の高い
材料から成る静翼を採用する。強度を向上するには、静
翼の材質をかえたり、静翼の表面にコーティングを施し
たり、熱処理等に静翼の組織をかえたりすること等が考
えられる。係る強度の高い静翼を使用する場合は、既知
の静翼材の寿命に対する強度の高い静翼材の寿命の比を
予め演算し、既知の静翼材の損傷進展曲線等に前記比を
乗じ、得られた損傷進展曲線等を強度の高い静翼の損傷
進展曲線等として扱う。
【0082】また、ガスタービンの軸に対して周方向
に、燃焼器が複数個設けられるガスタービンにおいて
は、静翼の配置替えのかわりに、燃焼器の出力調整、或
いは燃焼ノズルの配置替えを行っても良い。燃焼器の出
力調整を行う場合、取付位置演算装置において、現在の
燃焼器の出力量に、静翼の損傷度の逆数と、係数αとを
掛けて燃焼器の出力量を演算する。表示装置において、
演算された燃焼器の出力量を、表、或いは図として表示
する。
【0083】また、ガスタービンの初段静翼に限らず、
ガスタービンの第2段目以降の静翼,ガスタービンの動
翼,蒸気タービンの静翼及び動翼,燃焼器のライナ(内
筒)及びトランジョンピース(尾筒)についても、本発
明は有効である。
【0084】例えば、ガスタービンの動翼は、回転部材
であるため、動翼の破壊に至る寿命が取付位置に依存し
てばらつくことが少ない。しかしながら、ガスタービン
を複数軸有する発電所においては、ガスタービン毎に、
使用条件等が異なるため、各ガスタービンで、動翼の破
壊に至る寿命が異なる。よって、ガスタービン毎に、損
傷進展曲線等を演算し、これに基づいて動翼を取り付け
るガスタービンの組み合わせを演算する。
【0085】
【発明の効果】本発明によれば、損傷進展曲線演算装置
或いは損傷進展係数演算装置が構造部品の各取付位置に
おける損傷進展曲線等を演算し、取付位置演算装置が損
傷進展曲線等に基づいて予定される各定期点検間の取付
位置の組み合わせを演算し、表示装置が取付位置の組み
合わせの演算結果を表示するため、点検員等が、表示に
従い、予定される将来の時点に構造部品の配置替えを行
うことができ、これにより、構造部品を寿命に至る寸前
迄、有効に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】構造部品中の損傷量と負荷繰り返し数との関
係。
【図2】本発明の構造部品の保守管理装置の第一の実施
例の構成図。
【図3】定期点検時に検出したガスタービン静翼表面に
発生した最大き裂長さの模式図。
【図4】取付位置の組み合わせの演算のフロー図。
【図5】本発明の構造部品の保守管理装置の第二の実施
例の構成図。
【図6】き裂長さと寿命比との関係を示す図。
【符号の説明】
1,8…入力装置、2…損傷進展曲線演算装置、3,1
0…損傷進展量演算装置、4,11…取付位置演算装
置、5,12…表示装置、6,13…材料データベー
ス、7,14…記憶装置、9…損傷進展係数演算装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−282455(JP,A) 特開 平2−136737(JP,A) 特開 昭60−67837(JP,A) 特開 平8−68731(JP,A) 特開 平1−267436(JP,A) 特開 平4−355338(JP,A) 特開 昭61−277034(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 19/00 G01N 17/00 G01N 3/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】同一形状の複数個の構造部品を保守管理す
    る構造部品の保守管理装置において、 前記構造部品が取り付けられる取付位置に依存する各々
    の前記構造部品の損傷量と負荷繰り返し数との関係に基
    づいて、所定の負荷繰り返し数後の各々の前記損傷量を
    推定し、推定された損傷量が、前記構造部品の寿命寸前
    の損傷量の所定の範囲内に到達する前記構造部品を特定
    する演算装置と、 特定された構造部品と前記特定された構造部品が取り付
    けられる取付位置とを表示する表示装置とを有すること
    を特徴とする構造部品の保守管理装置。
  2. 【請求項2】同一形状の複数個の構造部品を保守管理す
    る構造部品の保守管理装置において、 第一の時点における前記各々の構造部品に発生した第一
    のき裂長さと、前記第一の時点よりも時間的に後にある
    第二の時点における前記各々の構造部品に発生した第二
    のき裂長さと、前記第一の時点と前記第二の時点との間
    における前記各々の構造部品の第一の負荷繰り返し数と
    に基づいて、前記各々の構造部品のき裂長さと負荷繰り
    返し数との関係を演算する第一の演算装置と、 前記第二のき裂長さと、前記第二の時点と前記第二の時
    点よりも時間的に後にある第三の時点との間における前
    記各々の構造部品の第二の負荷繰り返し数とを、前記き
    裂長さと負荷繰り返し数との関係に適用して、前記第二
    の時点と前記第三の時点との間におけるき裂進展量を演
    算する第二の演算装置と、 前記第二のき裂長さと前記き裂進展量とを加算した前記
    第三の時点における第三のき裂長さが、前記構造部品の
    寿命寸前のき裂長さの所定の範囲内に到達する前記き裂
    進展量を演算する第三の演算装置と、 演算されたき裂進展量に該当するき裂長さと負荷繰り返
    し数との関係に基づいて、前記構造部品が取り付けられ
    る取付位置を表示する表示装置とを有することを特徴と
    する構造部品の保守管理装置。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の構造部品の保守管理装置
    において、 前記き裂長さと負荷繰り返し数との関係を記憶する記憶
    装置を有することを特徴とする構造部品の保守管理装
    置。
  4. 【請求項4】請求項2に記載の構造部品の保守管理装置
    において、 前記第三の演算装置は、前記第二の時点と前記第三の時
    点との間に、前記き裂進展量に該当するき裂長さと負荷
    繰り返し数との関係に基づく前記取付位置が同一となる
    構造部品が二以上存在すること,判定することを特徴と
    する構造部品の保守管理装置。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の構造部品の保守管理装置
    において、 前記第三の演算装置は、前記第三のき裂長さが前記所定
    の範囲内に到達する構造部品の数が最も多い、前記各々
    の構造部品に対応するき裂進展量の組み合わせを演算す
    ることを特徴とする構造部品の保守管理装置。
  6. 【請求項6】ガスタービン静翼を保守管理するガスター
    ビン静翼の保守管理装置において、 前記各々の静翼表面の初期き裂長さと第一の定期点検で
    検出した前記各々の静翼表面の第一の最大き裂長さとの
    偏差を、ガスタービンの運転開始から前記第一の定期点
    検迄の間の第一のガスタービンの起動・停止回数で割
    り、前記ガスタービンの運転開始から前記第一の定期点
    検迄の間の前記各々の静翼のき裂進展平均速度を演算す
    る第一の演算過程と、前記き裂進展平均速度と前記静翼
    の材料と前記静翼の使用環境温度とに対応するき裂進展
    に関する材料定数とから、前記各々の静翼のき裂進展に
    関する応力拡大係数幅を演算する第二の演算過程と、前
    記応力拡大係数幅と前記初期き裂長さとから、前記各々
    の静翼の前記第一の最大き裂が発生した位置に作用する
    応力を演算する第三の演算過程と、前記第一の最大き裂
    長さと前記き裂進展平均速度から演算される前記ガスタ
    ービンの1起動・停止当たりの第一のき裂進展量とを加
    算して、前記ガスタービンの起動・停止1回後の最大き
    裂長さを演算する第四の演算過程と、前記ガスタービン
    の起動・停止1回後の最大き裂長さと前記応力とから、
    前記ガスタービンの起動・停止1回後の応力拡大係数を
    演算する第五の演算過程と、前記ガスタービンの起動・
    停止1回後の応力拡大係数と前記材料定数とから、前記
    ガスタービンの起動・停止1回後のき裂進展速度を演算
    する第六の演算過程と、前記ガスタービンの起動・停止
    1回後の最大き裂長さと前記ガスタービンの起動・停止
    1回後のき裂進展速度から演算される前記ガスタービン
    の1起動・停止当たりの第二のき裂進展量とを加算し
    て、前記ガスタービンの起動・停止2回後の最大き裂長
    さを演算する第七の演算過程とを有し、前記第五の演算
    過程から前記第七の演算過程迄を繰り返して、前記各々
    の静翼のき裂長さと負荷繰り返し数との関係を示す損傷
    進展曲線を演算する損傷進展曲線演算装置と、 前記損傷進展曲線を記憶する記憶装置と、 前記第一の最大き裂長さと前記第一の定期点検から今後
    予定される第二の定期点検迄の間の第二のガスタービン
    の起動・停止回数とを、前記損傷進展曲線に適用して、
    前記各々の静翼の前記第二の定期点検における第二の最
    大き裂長さを推定し、前記第二の最大き裂長さから前記
    第一の最大き裂長さを減算して、前記各々の静翼の前記
    第一の定期点検から前記第二の定期点検迄の間の最大き
    裂進展量を推定する損傷進展量演算装置と、 前記第一の最大き裂長さと推定された最大き裂進展量と
    を加算した前記第二の最大き裂長さが、前記静翼の寿命
    寸前のき裂長さの所定の範囲内に到達する前記静翼に対
    応する前記推定された最大き裂進展量の組み合わせを演
    算する取付位置演算装置と、 前記推定された最大き裂進展量に該当する損傷進展曲線
    に基づいて、前記第一の定期点検と前記第二の定期点検
    との間の前記静翼が取り付けられる取付位置又は前記ガ
    スタービンに送る燃焼ガスを発生する燃焼器の出力量
    を、表及び/又は図として表示する表示装置とを有する
    ことを特徴とするガスタービン静翼の保守管理装置。
  7. 【請求項7】同一形状の複数個の構造部品を保守管理す
    る構造部品の保守管理方法において、 前記構造部品が取り付けられる取付位置に依存する各々
    の前記構造部品の損傷量と負荷繰り返し数との関係に基
    づいて、所定の負荷繰り返し数後の各々の前記損傷量を
    推定し、 推定された損傷量が、前記構造部品の寿命寸前の損傷量
    の所定の範囲内に到達する前記構造部品を特定し、 特定された構造部品と前記特定された構造部品が取り付
    けられる取付位置とを表示することを特徴とする構造部
    品の保守管理方法。
  8. 【請求項8】同一形状の複数個の構造部品を保守管理す
    る構造部品の保守管理方法において、 第一の時点における前記各々の構造部品に発生した第一
    のき裂長さと、前記第一の時点よりも時間的に後にある
    第二の時点における前記各々の構造部品に発生した第二
    のき裂長さと、前記第一の時点と前記第二の時点との間
    における前記各々の構造部品の第一の負荷繰り返し数と
    に基づいて、前記各々の構造部品のき裂長さと負荷繰り
    返し数との関係を演算し、 前記第二のき裂長さと、前記第二の時点と前記第二の時
    点よりも時間的に後にある第三の時点との間における前
    記各々の構造部品の第二の負荷繰り返し数とを、前記き
    裂長さと負荷繰り返し数との関係に適用して、前記第二
    の時点と前記第三の時点との間におけるき裂進展量を演
    算し、 前記第二のき裂長さと前記き裂進展量とを加算した前記
    第三の時点における第三のき裂長さが、前記構造部品の
    寿命寸前のき裂長さの所定の範囲内に到達する前記き裂
    進展量を演算し、 演算されたき裂進展量に該当するき裂長さと負荷繰り返
    し数との関係に基づいて、前記構造部品が取り付けられ
    る取付位置を表示することを特徴とする構造部品の保守
    管理方法。
  9. 【請求項9】ガスタービン静翼を保守管理するガスター
    ビン静翼の保守管理方法において、 前記各々の静翼表面の初期き裂長さと第一の定期点検で
    検出した前記各々の静翼表面の第一の最大き裂長さとの
    偏差を、ガスタービンの運転開始から前記第一の定期点
    検迄の間の第一のガスタービンの起動・停止回数で割
    り、前記ガスタービンの運転開始から前記第一の定期点
    検迄の間の前記各々の静翼のき裂進展平均速度を演算す
    る第一の過程と、 前記き裂進展平均速度と前記静翼の材料と前記静翼の使
    用環境温度とに対応するき裂進展に関する材料定数とか
    ら、前記各々の静翼のき裂進展に関する応力拡大係数幅
    を演算する第二の過程と、 前記応力拡大係数幅と前記初期き裂長さとから、前記各
    々の静翼の前記第一の最大き裂が発生した位置に作用す
    る応力を演算する第三の過程と、 前記第一の最大き裂長さと前記き裂進展平均速度から演
    算される前記ガスタービンの1起動・停止当たりの第一
    のき裂進展量とを加算して、前記ガスタービンの起動・
    停止1回後の最大き裂長さを演算する第四の過程と、 前記ガスタービンの起動・停止1回後の最大き裂長さと
    前記応力とから、前記ガスタービンの起動・停止1回後
    の応力拡大係数を演算する第五の過程と、 前記ガスタービンの起動・停止1回後の応力拡大係数と
    前記材料定数とから、前記ガスタービンの起動・停止1
    回後のき裂進展速度を演算する第六の過程と、 前記ガスタービンの起動・停止1回後の最大き裂長さと
    前記ガスタービンの起動・停止1回後のき裂進展速度か
    ら演算される前記ガスタービンの1起動・停止当たりの
    第二のき裂進展量とを加算して、前記ガスタービンの起
    動・停止2回後の最大き裂長さを演算する第七の過程
    と、 前記第五の演算過程から前記第七の演算過程迄を繰り返
    して、前記各々の静翼のき裂長さと負荷繰り返し数との
    関係を示す損傷進展曲線を演算する第八の過程と、 前記第一の最大き裂長さと前記第一の定期点検から今後
    予定される第二の定期点検迄の間の第二のガスタービン
    の起動・停止回数とを、前記損傷進展曲線に適用して、
    前記各々の静翼の前記第二の定期点検における第二の最
    大き裂長さを推定する第九の過程と、 前記第二の最大き裂長さから前記第一の最大き裂長さを
    減算して、前記各々の静翼の前記第一の定期点検から前
    記第二の定期点検迄の間の最大き裂進展量を推定する第
    十の過程と、 前記第一の最大き裂長さと推定された最大き裂進展量と
    を加算した前記第二の最大き裂長さが、前記静翼の寿命
    寸前のき裂長さの所定の範囲内に到達する前記静翼に対
    応する前記推定された最大き裂進展量の組み合わせを演
    算する第十一の過程と、 前記推定された最大き裂進展量に該当する損傷進展曲線
    に基づいて、前記第一の定期点検と前記第二の定期点検
    との間の前記静翼が取り付けられる取付位置又は前記ガ
    スタービンに送る燃焼ガスを発生する燃焼器の出力量
    を、表及び/又は図として表示する第十二の過程とを有
    することを特徴とするガスタービン静翼の保守管理方
    法。
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