JP3303480B2 - インクジェットヘッド - Google Patents

インクジェットヘッド

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JP3303480B2
JP3303480B2 JP30298893A JP30298893A JP3303480B2 JP 3303480 B2 JP3303480 B2 JP 3303480B2 JP 30298893 A JP30298893 A JP 30298893A JP 30298893 A JP30298893 A JP 30298893A JP 3303480 B2 JP3303480 B2 JP 3303480B2
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は印字データの入力を受け
た時点で、インク滴を飛翔させ、このインク滴により記
録用紙にドットを形成させるオンデマンド方式のインク
ジェットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】従来技術のインクジェットヘッドとして
は図21に示したようなものがある。
【0003】このインクジェットヘッドはアクチュエー
タ部分に圧電板24と振動板30で構成されるユニモル
フ型アクチュエータを備え、圧電板24と振動板30で
発生するたわみ変位によって、インク滴を吐出して記録
媒体上に画像を形成するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようなインクジェ
ットヘッドにおいて高品質化、高密度化する印画に対応
すべく、アクチュエータ部分を高密度配置すると、アク
チュエータ間の電極が接近して電気的な干渉が発生しや
すく、また圧電板の電気的容量が小さくなるので外部電
界に影響を受けやすく、吐出時のクロストークが発生し
やすくなっていた。
【0005】また、アクチュエータ部分の充分な変位量
を確保するために、圧電板や振動板を薄くする必要性が
生じてきた。そのような薄いアクチュエータでは外部か
らのわずかな拘束が加わっただけで変位や速度といった
変位特性が低下しやすいため、上部電極は極力薄くする
ことが必要であるが、そのような上部電極は電気的特性
が悪く、高周波数で駆動すると電流不足や発熱が発生し
ていた。
【0006】このように従来のインクジェットヘッドで
は、高密度配置をすることによって電気的なクロストー
クが発生しやすく、かつ、上部電極の特性確保が難しく
高密度配置と高周波数駆動が両立しない問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明のインクジェットヘッドは、側壁によって仕
切られた複数のインク室と、前記側壁に密着し前記イン
ク室の少なくとも一面を封止する振動板と、前記振動板
の上面に設けた下部電極と、前記下部電極に密着した圧
電板と、前記圧電板の上面に前記圧電板を前記下部電極
とで挟み込むように配置した上部電極とを備えたインク
ジェットヘッドであって、少なくとも隣り合う前記圧電
板間の間隙に前記下部電極の側壁を完全に封止するよう
に絶縁材料が充填され、前記上部電極を前記絶縁材料上
に、隣り合う前記圧電板に渡って連続して配置されてい
ることを特徴とする。また、少なくとも前記側壁、前記
振動板、前記下部電極及び前記圧電板を焼成によって一
体に構成さたものであり、前記側壁に沿って、少なくと
も前記振動板を貫通して前記側壁に達する深さの溝を設
けたことを特徴とする。また、前記絶縁材料のヤング率
が1×10〜1×10 N/m の範囲にあることを特
徴とする。また、前記圧電板と対向しない領域に形成さ
れた前記上部電極が圧電板と対向する領域よりも厚く形
成されていることを特徴とする。本発明のインクジェッ
トヘッドの製造方法は、複数のインク室に仕切る側壁を
備えた側壁板と、前記側壁板に密着し前記インク室の少
なくとも一面を封止する振動板と、前記振動板の上面に
設けた下部電極と、前記下部電極に密着した圧電板と、
前記圧電板の上面に前記圧電板を前記下部電極とで挟み
込むように配置した上部電極とを備えたインクジェット
ヘッドの製造方法において、前記側壁板と振動板を焼成
して一体にする工程と、前記側壁に沿って、前記振動板
を貫通して前記側壁に達する深さの溝を形成する工程
と、前記振動板上に下部電極、圧電板を形成し焼成する
工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
【0009】
【実施例】以下、本発明の詳細を実施例により図面を参
照して説明する。
【0010】図1に本発明のインクジェットヘッドの実
施例を示す。本発明のインクジェットヘッドはノズル形
成基板33、リザーバプレート34、供給プレート3
5、アクチュエータユニット15、配線電極36、スペ
ーサ372、インクタンク50からなる。
【0011】アクチュエータユニット15は基板37
1、側壁板230、振動板30、下部電極20、圧電板
24、上部電極21、絶縁部材300からなるが、その
うち、基板371、側壁板230、振動板30、下部電
極20、圧電板24は焼成によって接合し、図2に示す
ように一体に構成される(図2では説明の便宜上、一部
分を切断して断面を示してある)。
【0012】アクチュエータユニット15の詳細な形状
を図3を使って説明する。図3は図2のイ部を拡大した
ものである。
【0013】側壁180によって仕切られたインク室1
70を密封するように振動板30を側壁180上に焼
成、接合する。その振動板30の上面には下部電極2
0、圧電板24、上部電極21を積層、配置する。圧電
板24は上部電極21と下部電極20間に挟み込まれる
位置にあり、上部電極21を各圧電板24に共通する電
極として、各々の下部電極20に駆動電圧を印加するこ
とで圧電板24を個別に駆動し任意のパターンでインク
滴の吐出を行う。隣り合う圧電板24の間隙に絶縁部材
300を充填し、その上面に隣り合う圧電板24上に渡
って連続して上部電極21を形成する(本図では下部電
極20、圧電板24、絶縁部材300、上部電極21の
一部を中途で切断して表示している)。圧電板24間に
絶縁部材300を充填して、その上面に上部電極21を
配置した構成は本発明の第一の特徴である。
【0014】また、側壁180の中央部には振動板30
を貫通して側壁180に達する深さに溝370を形成す
る。溝370は厚み10μmの振動板30を貫通して、
側壁180に達する深さ100〜200μm、幅約30
μmの細長いスリット形状である。この溝370は本実
施例の第2の特徴である。
【0015】また、図4に示したように、圧電板24の
上面275と側面270は滑らかに連続し、絶縁部材3
00をその接続面に達するように充填する。上面275
と側面270を滑らかに結ぶ曲面は急激な屈曲部を持た
ない円弧面であって、圧電板24を上部電極21上に厚
膜印刷する際に形成する。
【0016】以上述べたように本発明には2つの特徴が
ある。以下、これらの特徴によって生じた本実施例の効
果を説明する。
【0017】図3で説明したように、隣り合う圧電板2
4の間隙に絶縁部材300を充填し、その上面に上部電
極21を、隣り合う圧電板24間に渡って、連続して形
成した点は本発明の第1の特徴である。この構成によっ
て従来の問題点を解決して、高密度配置時のクロストー
ク防止と、高密度配置と高周波数駆動の両立を達成し
た。本実施例では圧電板24間を絶縁部材300で充填
しているが、この絶縁部材300によって下部電極20
と上部電極21間で発生する電界を圧電板24内に押え
込み、電界の洩れを防ぎ、隣りの圧電板24にまで電気
的影響が及ぶことを防いだ。さらに上部電極21で圧電
板24の上面全体を覆い外部からの電界をシールドし、
圧電板24に対する影響を防いだ。そのため、高密度化
して電気的な容量が小さくなり、外部電界に対して敏感
になった圧電板24を電気的なクロストークから守るこ
とができた。
【0018】また、絶縁部材300上の上部電極21か
ら圧電板24上の上部電極21に電流Iが供給されるよ
うになり、圧電板24に電流を供給する経路が増加し
た。そのため、上部電極21に高周波数で駆動電圧を印
加して圧電板24を駆動しても、従来のように圧電板2
4に流れ込む電流が上部電極21の一部に集中して発熱
や電圧の低下が発生することなく、上部電極21全体に
まんべんなく平均的に電流が分散して、圧電板24に流
れ込み、上部電極21の発熱を防止できるようになっ
た。また上部電極21部での電圧の低下が少なく、圧電
板24の変位、速度が向上した。このような上部電極2
1の電気的特性の向上は駆動に必要な電流を確保しつ
つ、本実施例の密度である45dpi以上の、60dpiさら
には90dpiとさらに高密度配置実現の可能性を広げ
た。
【0019】また、この構成については次に示すような
新しい効果があり、特性の向上、耐久性の向上に有効で
ある。
【0020】2度打ちと呼ばれる不要ドットの飛びだし
現象を防止することができた。この現象は圧電板24の
変位の後に振動板30だけが振動して微小なドットを吐
出してしまうもので、従来のヘッドではインクの吐出速
度を大きくするためにアクチュエータユニット15の変
位速度を速くした場合に発生しやすかった。その現象が
絶縁部材300が振動板30の不要な振動を拘束するこ
とによって防止できた。この拘束力は絶縁部材300の
厚みを加減することでコントロールすることができる。
【0021】また、上部電極21と下部電極20の間の
電気的な短絡を防ぐことができた。従来は圧電板24の
下に露出した下部電極20と上部電極21が大気中の湿
気、ごみ等の付着で短絡する不具合が発生していたが、
両者の間を絶縁部材300が遮断するために防止するこ
とができ、環境に対する耐久性が向上した。そのため、
絶縁部材300は下部電極20の側面を完全に封止する
ことが望ましい。
【0022】上で述べたような効果を充分に発揮するた
め、絶縁部材300の特性、材質は次に挙げたものが望
ましい。
【0023】特性としては絶縁性の高いもの、誘電率の
低いもの、表面スパッタに耐えられる熱的、化学的に安
定なもの、振動板30を必要以上に拘束しない適度なヤ
ング率のもの、かつ充填が容易な流動性の良いものであ
る。ヤング率としては1×10の6乗から1×10の8
乗[N/m2]程度のものが望ましい。誘電率としては圧電板
24に効果的に電荷が集中するように、圧電板24の誘
電率に比べて小さい10分の1程度のものが望ましく、
具体的には誘電率が100〜10程度のものがよい。こ
れらの特性を満たすものとしてはシリコン系充填材、エ
ポキシ系充填材のような材料が本発明に利用可能であ
る。
【0024】ここまで説明したように、本発明の第1の
特徴である絶縁部材300と上部電極21はクロストー
クを防止し、かつ上部電極21の電気的特性を改善して
高周波数駆動時の発熱を抑え、高密度配置と高周波数駆
動を両立することが可能になった。以上説明した絶縁部
材300と上部電極21の効果は図5に示したような溝
370のないインクジェットヘッドにおいても十分に発
揮されるが、溝370を付加することによって電気的ク
ロストークをさらに抑えることができる。
【0025】図3で説明したように側壁180の中央部
に溝370を形成した点は本実施例の第2の特徴であ
る。本発明の第1の特徴である絶縁部材300と上部電
極21とあわせて、第2の特徴である溝370を設ける
ことによってさらに電気的クロストークを防止して特性
を改善することができる。また、別の効果として変位特
性の向上が可能になった。以下その背景と理由を説明す
る。
【0026】本実施例では基板371、側壁板230、
振動板30、下部電極20、圧電板24はセラミックス
材料(基板371、側壁板230、振動板30は酸化ジ
ルコニウム、圧電板24はチタン酸ジルコン酸鉛、下部
電極20は白金と酸化ジルコニア、チタン酸ジルコン酸
鉛の混合物)を積層して焼成することで構成している。
圧電板24、下部電極20は鉛、白金といった金属を多
く含み、焼成時にそれら金属分が蒸発して振動板30の
上面に浸透し、下部電極20間が振動板30を通じて電
気的に導通しやすくなる。これが電気的なクロストーク
の原因になっていた。本実施例では溝370で振動板3
0を切断、分離することによって隣り合った下部電極2
0間の電気的接続を絶ち、クロストークの防止を可能に
した。溝370はインク室170横の側壁180上の振
動板30を溝370で分離することで、隣り合った下部
電極20間を絶縁している。図6に示したような下部電
極20間を分断する直線形状の溝370は加工が単純で
あるため大量生産に向いている。また、図7に示したよ
うにインク室170を囲み、下部電極20を完全に分離
するように溝370を形成すると下部電極20を電気的
に完全に分離することが可能で、隣り合ったアクチュエ
ータ間のクロストークを完全に防ぐことができる。生産
性とクロストークの防止を両立する溝370の形状は図
8に示したものが良い。図8に示した実施例では溝37
0を全て直線形状で構成し量産性を確保しつつ、下部電
極20を完全に分離して電気的クロストークを完全に抑
えている。
【0027】溝370には次に示すような新たな効果が
あり、インクジェットヘッドの特性確保に有効である。
【0028】本実施例のインクジェットヘッドを構成す
るセラミックス材料は焼成時に体積収縮して「焼き締ま
り」と呼ばれる収縮現象が発生する。圧電板24と振動
板30のように異種材料間では収縮率が異なり、両者の
接触面付近では収縮率の違いから内部歪、内部応力が発
生する。圧電板24と振動板30では振動板30の方が
収縮率が小さく、振動板30が圧電板24の収縮を妨害
する形になり、圧電板24の収縮が充分に行われない。
このように圧電板24の収縮が充分でない場合には圧電
材料の特性(圧電定数)が悪化して圧電板24の歪み量が
減少する。この現象はアクチュエータの特性を悪化させ
る大きな原因である。
【0029】本発明の溝370はこの問題を解決して、
圧電材料の特性(圧電定数)を充分に発揮させることが可
能になった。その理由は、溝370で側壁180を2分
割することで側壁180の剛性を落し、図9に示したよ
うに焼成時の圧電板24の矢印方向の収縮を促したから
である。溝370の付加によって側壁180の厚みが約
半分になり、振動板30を拘束する側壁180の剛性は
約1/8にまで低下して、側壁180がインク室170
中心部に向かって圧電板24の収縮に応じてたわみ、そ
の状態で安定した形状、特性を得ることができた。
【0030】さらに、アクチュエータ特性の悪化の原因
として側壁180によるアクチュエータ変位拘束があ
る。アクチュエータ変位の拘束とは側壁180の剛性に
よって振動板30が拘束されて、その拘束力が圧電板2
4の収縮を妨げて発生する変位食われ現象である。
【0031】詳しくこの現象を説明すると、図10に示
したように圧電板24に電圧を印加すると振動板30の
剛性との間にモーメントが発生して振動板30と圧電板
24にたわみ変位が生ずる。これと同時に圧電板24の
圧電横効果による収縮が直接に振動板30を引っ張っ
て、振動板30端部が矢印方向に移動する。モーメント
と振動板30の移動は同時に発生して、側壁180によ
って振動板30の移動が拘束されると圧電板24の収縮
が抑えられ、モーメントに影響して変位が小さくなって
しまう。これが変位食われ現象である。
【0032】特に本実施例ではアクチュエータユニット
15を焼成で製造するために、この変位食われ現象が発
生しやすい。その原因は焼成によって形成したアクチュ
エータユニット15の形状にある。上で説明したよう
に、圧電板24と振動板30の収縮率が異なり、圧電板
24の方が多く縮むため、図11に示したように、焼成
時に圧電板24、下部電極20、振動板30がインク室
170の方向に初期的にたわんだ形状に焼成される。こ
の形状は振動板30の端部が移動する変位量や力を増大
させることになる。例としてたわみ量Twに対して振動板
30の端部の移動量がどの程度変化するのかという点を
調査したところ、図12に示す結果を得た。このように
たわみ量Twが大きいほど振動板30の移動量が大きくな
ることがわかった。例として、本実施例のたわみ量Twは
約25μmであり、図8の結果から振動板30の移動量
は0.065μm程度であることがわかる。
【0033】本実施例では溝370を付加して側壁18
0を低剛性化し、この振動板30の移動を促したとこ
ろ、圧電板24の変位が回復した。
【0034】本実施例の第1の特徴である絶縁部材30
0と上部電極21の構成に重ねて、いままで述べたよう
に第2の特徴である溝370を付加することによって、
従来から問題であった電気的クロストーク防止の効果に
加えて、アクチュエータの変位特性を改善することにも
成功した。また、本実施例の第2の特徴であるこの溝3
70は、機械的クロストークの防止という新たな効果も
生み出し、インク吐出特性の改善に有効である。以下に
その背景と効果を説明する。
【0035】上で説明した振動板30の移動は変位食わ
れだけでなく吐出クロストークの大きな原因にもなる。
それは振動板30の移動が側壁180をたわませながら
隣接する振動板31を引っ張るために発生するものであ
る。(図20参照) この引っ張り変位の伝播によって隣
接する振動板31が拘束され圧電板24の変位が20%
から30%減少し、単独では良好な吐出特性を示した圧
電板24と振動板30でも、これを複数配置したインク
ジェットヘッドでは吐出量、速度が20%から30%減少
して、印字濃度不足等の印字品質の著しい低下が発生す
る(機械的クロストーク)。
【0036】本実施例では溝370を側壁180に設け
たので側壁180が2つに分割され、振動板30の移動
が隣接した振動板31に伝播しなくなり、側壁180が
隣り合った振動板30、31のそれぞれに追従して全く
独立にたわむことを可能にした。このため、隣り合った
アクチュエータ間の機械的な干渉を防止することができ
た。
【0037】このように、溝370には電気的クロスト
ーク防止、アクチュエータ特性の改善、機械的クロスト
ーク防止という効果があった。これらの効果を充分に発
揮させるためには、溝370の深さについては、なるべ
く深いことが望ましく、振動板30と側壁180を貫通
して基板371に達するものがよい(図13参照)。側壁
180の剛性は溝370の深さによって変化し、溝37
0が深いほど、剛性が低くなり望ましいのである。さら
に、溝370が基板371に達すると側壁180の剛性
に大きな変化がなくなり、圧電板24の変位量やクロス
トーク特性が安定するのである(図14参照、図中クロ
ストーク率とは「単独で駆動した圧電板24の変位量÷
隣接圧電板を全て駆動した時の同圧電板の変位量×10
0%」を示す)。
【0038】溝370によって圧電板24の収縮を効果
的に促進するために、溝370の加工の時期は考慮する
必要がある。本実施例のアクチュエータユニット15の
製造過程では側壁180と振動板30を一体焼成した後
に振動板30上に下部電極20、圧電板24の順に厚膜
印刷して、再び焼成するという手順で製造を進めてい
る。圧電板24の収縮はこの焼成時に発生するため、圧
電板24の収縮を充分に促すには、この焼成の前に、す
なわち側壁板230と振動板30の焼成が終了した時点
で側壁180に溝370を形成することが望ましい。溝
370の形成はYAGレーザー等のレーザー加工技術を用
いて所定のエネルギー、所定の加工速度で側壁180に
沿って行う。または、図11に示したように一部分に溝
370が付加されている場合には金型で溝370を打ち
抜いてもよい。
【0039】本発明の絶縁部材300には溝370をゴ
ミ、水分の侵入から守るという効果もあった。上で述べ
たように溝370には隣り合った振動板30間の機械的
な変位伝播を防ぐ作用があったが、溝370にゴミ等が
侵入すると側壁180を分離する溝370をゴミ等が埋
めてしまい、その作用が充分に発揮されない。本発明で
は溝370の入り口を絶縁部材300で覆うことによっ
て、その不具合の発生を防ぐことが可能になった。
【0040】高応答性を実現するためには上部電極21
の電流容量が重要であることは上で述べた通りだが、本
実施例では図4に示したように、圧電板24の上面 2
75と側面270を滑らかに曲面で滑らかに連続し、上
部電極21の断線や抵抗付加を避け、耐久性を確保する
ことができた。このような断線や抵抗付加を完全に防止
するために曲面は圧電板24の形状を大きく損なうこと
のない、なるべく緩い曲面であることが望ましい。
【0041】図15に示した実施例のようにアクチュエ
ータの変位特性のばらつきを抑えるために、上部電極2
1の形状を工夫することもできる。本実施例では上部電
極21の外部接続電極22から徐々に上部電極21を狭
くして、上部電極21の各部分に流れる電流が均等にな
るようにしたものである。このような構成にすること
で、外部接続電極22に近いアクチュエータと遠いアク
チュエータに流れ込む電流を均一化してアクチュエータ
位置による吐出特性のばらつきを小さくすることができ
る。
【0042】図16に示した実施例のように圧電板24
を被っていない上部電極21の一部分を厚くすることも
できる(斜線部が厚い部分)。本実施例では外部接続電極
22と圧電板24の間の上部電極21を厚くして電流を
促進している。このような形状によって上部電極21の
形状を変えないで各アクチュエータに均一に電流を流す
とともに、上部電極21の電気的特性を向上させること
ができた。
【0043】図17に示した実施例のように圧電板24
を被っていない上部電極21を全て厚くして、アクチュ
エータの変位を拘束することなく上部電極21の電気的
特性を最大限に発揮させることができる。また、上部電
極21の外部電界のシールド効果を最大限に発揮させる
ことができる。
【0044】図18に示した実施例のように外部接続電
極22を増やすこともできる。このような形状にする
と、電流の流れ込み口が増えて、さらに上部電極21の
電気的特性を向上させることができる。また、電流の外
部接続電極22が複数箇所になるため、外部電極との接
続条件等に影響されない安定した特性を得ることができ
る。
【0045】以上述べてきた実施例はインク室170が
2列配置されたものであるが、図19に示したように1
列配置でも本発明の効果は変らない。
【0046】
【発明の効果】以上述べたように本発明においては以下
のような効果がある。
【0047】(1) 圧電板間を絶縁部材で充填して、
この絶縁部材によって下部電極と上部電極間で発生する
電界を圧電板内に押え込み、電界の洩れを防ぎ、隣りの
電極まで電気的影響が及ぶことを防ぎ、かつ上部電極で
圧電板の上面全体を覆い外部からの電界をシールドし
た。また、溝で振動板を電気的に遮断した。そのため、
高密度化して電気的な容量が小さくなり外部電界に敏感
になった圧電板の電気的クロストークを防ぐことが可能
になった。
【0048】(2) 圧電板間に絶縁部材を充填してそ
の上面に上部電極を配置することでアクチュエータの特
性に影響を与えることなく、上部電極形状の自由度が増
し、上部電極の電気的特性が向上した。その結果、高密
度配置と高周波数駆動の両立が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示すインクジェットヘ
ッドの斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施例のアクチュエータユニッ
トを説明する斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施例のアクチュエータユニッ
トの詳細を説明する斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施例の圧電板形状を説明する
斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施例を説明する斜視図であ
る。
【図6】本発明の第3の実施例の溝形状を説明する斜視
図である。
【図7】本発明の第4の実施例の溝形状を説明する斜視
図である。
【図8】本発明の第5の実施例の溝形状を説明する斜視
図である。
【図9】本発明の第1の実施例の溝の効果を説明する断
面図である。
【図10】本発明の第1の実施例のアクチュエータの変
位機構を説明する断面図である。
【図11】本発明の第1の実施例の初期的たわみ状態を
説明する斜視図である。
【図12】初期的たわみ量と移動量の関係を説明する図
である。
【図13】本発明の第6の実施例の溝形状を説明する斜
視図である。
【図14】本発明の溝深さとクロストークの関係を示し
た図である。
【図15】本発明の第7の実施例を説明する斜視図であ
る。
【図16】本発明の第8の実施例を説明する斜視図であ
る。
【図17】本発明の第9の実施例を説明する斜視図であ
る。
【図18】本発明の第10の実施例を説明する斜視図で
ある。
【図19】本発明の第11の実施例を説明する斜視図で
ある。
【図20】従来技術のインクジェットヘッドのクロスト
ーク状態を説明する断面図である。
【図21】従来技術のインクジェットヘッドを説明する
斜視図である。
【符号の説明】
9 .... インクジェットヘッド 15 .... アクチュエータユニット 20 .... 下部電極 21 .... 上部電極 22 .... 外部接続電極 24 .... 圧電板 30 .... 振動板 31 .... 振動板 33 .... ノズル形成基板 34 .... リザーバ形成基板 35 .... 供給路形成基板 36 .... 配線電極 170 .... インク室 180 .... 側壁 230 .... 側壁板 270 .... 側面 275 .... 上面 300 .... 絶縁部材 370 .... 溝 371 .... 基板 372 .... スペーサ

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 側壁によって仕切られた複数のインク室
    と、前記側壁に密着し前記インク室の少なくとも一面を
    封止する振動板と、前記振動板の上面に設けた下部電極
    と、前記下部電極に密着した圧電板と、前記圧電板の上
    面に前記圧電板を前記下部電極とで挟み込むように配置
    した上部電極とを備えたインクジェットヘッドであっ
    て、 少なくとも隣り合う前記圧電板間の間隙に前記下部電極
    の側壁を完全に封止するように絶縁材料が充填され、前
    記上部電極を前記絶縁材料上に、隣り合う前記圧電板に
    渡って連続して配置されていることを特徴とするインク
    ジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 少なくとも前記側壁、前記振動板、前記
    下部電極及び前記圧電板を焼成によって一体に構成さた
    ものであり、前記側壁に沿って、少なくとも前記振動板
    を貫通して前記側壁に達する深さの溝を設けたことを特
    徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 前記絶縁材料のヤング率が1×10
    1×10 N/m の範囲にあることを特徴とする請求項
    1記載のインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 前記圧電板と対向しない領域に形成され
    た前記上部電極が圧電板と対向する領域よりも厚く形成
    されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェ
    ットヘッド。
  5. 【請求項5】 複数のインク室に仕切る側壁を備えた側
    壁板と、前記側壁板に密着し前記インク室の少なくとも
    一面を封止する振動板と、前記振動板の上面に設けた下
    部電極と、前記下部電極に密着した圧電板と、前記圧電
    板の上面に前記圧電板を前記下部電極とで挟み込むよう
    に配置した上部電極とを備えたインクジェットヘッドの
    製造方法において、 前記側壁板と振動板を焼成して一体にする工程と、 前記側壁に沿って、前記振動板を貫通して前記側壁に達
    する深さの溝を形成する工程と、 前記振動板上に下部電極、圧電板を形成し焼成する工程
    と、 を有することを特徴とするインクジェットヘッドの製造
    方法。
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