JP3301589B2 - ガム用ワックス様組成物 - Google Patents

ガム用ワックス様組成物

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JP3301589B2
JP3301589B2 JP02739297A JP2739297A JP3301589B2 JP 3301589 B2 JP3301589 B2 JP 3301589B2 JP 02739297 A JP02739297 A JP 02739297A JP 2739297 A JP2739297 A JP 2739297A JP 3301589 B2 JP3301589 B2 JP 3301589B2
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康幸 遠藤
淳志 小原
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日清製油株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガム用として最適な
特性を有するワックス様組成物に関し、さらに詳しく
は、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびポリグリセリ
ン脂肪酸エステル含有組成物よりなるガム用ワックス様
組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】マイクロクリスタリンワックスは、石油
原油のタンクボトムの沈殿物や減圧蒸留残渣から得られ
る、いわゆる天然系ワックスである。その主成分は、炭
素数が約30〜70程度のイソパラフィンで、ほかにノ
ルマルパラフィン、ナフテン、芳香族化合物等を含む炭
化水素類の混合物である。マイクロクリスタリンワック
スの特徴としては、主成分が前記イソパラフィンである
ため、ノルマルパラフィンを主成分とするパラフィンワ
ックスに比べて著しく微小な結晶構造を持っているこ
と、示差熱量分析計(以下、DSCと略す)による測定
ではそのチャート上のピークが極めてブロードであり、
融点が高い割には柔軟性を持っているワックスであるこ
と、可塑性および粘稠性の点でもパラフィンワックスに
比べて大きいこと、結晶成長阻害作用があること等が知
られている。
【0003】このようなマイクロクリスタリンワックス
の用途例としては、アスファルト用可塑剤、防錆剤、紙
加工、ワックス変性剤、印刷インキ、化粧品、電気絶縁
体、医薬品、農薬等があり、とくにガム用ワックスとし
て一般に使用されている。
【0004】マイクロクリスタリンワックスは鉱油を原
料とする天産品であるため、品質の均一性や安定的供給
の点で難点があり、チューインガム等の食品用途や化粧
品用途に利用する場合には、残存する微量成分による安
全性や自然環境における生分解性の面で問題が残されて
いる。このため、マイクロクリスタリンワックスのかか
る問題点を解決するために、従来から種々の検討、研究
が行われてきた。
【0005】例えば、特開平8−165417号公報で
は、ポリグリセリンと、炭素数が20以上の直鎖状飽和
脂肪酸および炭素数が12以下の直鎖状飽和脂肪酸を含
む混合脂肪酸との特定エステル化生成物が、マイクロク
リスタリンワックスの代替物として利用できることが提
案されている。同公報によれば、特定のエステル化生成
物とマイクロクリスタリンワックスとは融点、針入度等
の性状が類似すると記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ガム用
ワックス様組成物を開発するに際して重要な点は、ガム
用ワックス様組成物の物性上の特徴が、とくに柔軟性、
可塑性あるいは粘稠性にあることである。しかもこれら
の性状は、チューインガムに配合された場合、繰り返し
の咀嚼によっても十分に保持されるものでなければなら
ない。このような観点からみると、従来のマイクロクリ
スタリンワックスの代替物には、ガム用ワックス様組成
物に望まれる物性を満足するものは未だ見当たらない。
【0007】本発明は、マイクロクリスタリンワックス
のもつ前述のような課題を解決すべくなされたもので、
安全性、および供給の不安がなく、物性を満足し得るエ
ステル系物質からなるガム用ワックス様組成物を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、重合度
2〜10のポリグリセリンと、炭素数が16以上の飽和
脂肪酸と炭素数16以上のモノエン酸である不飽和脂肪
酸を含む混合脂肪酸とのエステル化生成物において、該
混合脂肪酸中の飽和脂肪酸のモル比率が40%以上であ
り、かつ飽和脂肪酸:不飽和脂肪酸のモル比率が10:
2.5〜2:3であって、前記ポリグリセリンのエステ
ル化率が50%〜90%であることを特徴とするガム用
ワックス様組成物が提供される。
【0009】本発明のガム用ワックス様組成物におい
て、ポリグリセリンは、グリセリン単量体を常法により
重合させて得られる重合度または平均重合度が2〜10
のもので、具体的にはジグリセリン、トリグリセリン、
テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリ
ン、ヘプタグリセリン、オクタグリセリン、ノナグリセ
リン、およびデカグリセリンからなる群から選ばれる1
種もしくは2種以上の混合物がより望ましい。
【0010】また、飽和脂肪酸は、直鎖状であっても、
あるいは側鎖状であってもよいが、直鎖状のものがより
好ましく、さらに炭素数16以上であることが必須であ
。具体的にはパルミチン酸、ステアリン酸、アラキジ
ン酸およびベヘン酸からなる群より選ばれる1種もしく
は2種以上の混合物がより望ましい。
【0011】
【0012】
【0013】不飽和脂肪酸は、炭素数16以上のモノエ
ン酸であることが必須である。炭素数16以上のモノエ
ン酸が主体であることが風味上より好ましく、具体的に
はパルミトオレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、エイ
コセン酸およびエルシン酸からなる群から選ばれる1種
もしくは2種以上の混合物がより望ましい。
【0014】なお、混合脂肪酸は、前記飽和脂肪酸およ
び不飽和脂肪酸のほかに、酪酸、カプロン酸、カプリル
酸、カプリン酸、ラウリン酸およびミリスチン酸からな
る群から選ばれる1種もしくは2種以上をさらに含有し
ていてもよい。
【0015】さらに本発明ガム用ワックス様組成物は、
組成物全体の重量を基準として90重量%以下の割合で
硬化油を含有することができる。硬化油は、上昇融点が
58℃以上かつヨウ素価が5以下のものがより好まし
く、またその構成脂肪酸の残基が炭素数22以上の脂肪
酸残基を含有するものがより好ましい。この硬化油は、
油糧種子より圧搾あるいは抽出された植物性油脂、ある
いは動物性油脂、魚油等の油脂を水素添加することによ
り得られ、マーガリン、ショートニング等をはじめとす
る食品分野の各種製品に広く使用されている。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明のガム用ワックス様
組成物を構成する各成分についてさらに詳しく説明す
る。
【0017】本発明で使用されるポリグリセリンは、グ
リセリン単量体を常法(例えばアルカリ触媒の存在下で
加熱)により縮重合させて得られる重合度または平均重
合度が2〜10、さらに好ましくは2〜6のものであ
る。具体的にはジグリセリン、トリグリセリン、テトラ
グリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘ
プタグリセリン、オクタグリセリン、ノナグリセリン、
およびデカグリセリン等を例示できる。重合度10を超
えるものも使用できるが、重合度が2〜10のものが食
品用としては一般的である。かかるポリグリセリンは前
記のものを単独で用いてよく、あるいは任意の割合の2
種以上の混合物として用いてもよい。また通常の市販ポ
リグリセリンは種々の重合度の重合物の混合物であり、
さらにグリセリン単量体の直鎖状重合物を主成分とする
が、分子の一部が枝分かれした側鎖状重合物や一部が環
状化した環状重合物を含むものであっても差し支えな
い。
【0018】また混合脂肪酸を構成する飽和脂肪酸は、
炭素数が16以上、より好ましくは16〜22である直
鎖状/側鎖状飽和脂肪酸で、具体例としては、パルミチ
ン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノ
セリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等をあ
げることができる。このうちベヘン酸がとくに好適であ
る。
【0019】また不飽和脂肪酸は、炭素数が16以上、
より好ましくは16〜22であって、二重結合を1個以
上もつ不飽和脂肪酸、好ましくは1個もつモノエン酸で
あって、具体例としては、パルミトオレイン酸、オレイ
ン酸、バクセン酸、エイコセン酸、アラキドン酸、エル
シン酸等をあげることができる。このうちオレイン酸が
とくに好適である。
【0020】なお前記混合脂肪酸は、上記の直鎖状また
は側鎖状飽和脂肪酸および直鎖状または側鎖状不飽和脂
肪酸のほかに、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリ
ン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等を混合せしめても良
い。飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸および他の脂肪酸は、単
独でも2種以上の混合物でも使用できる。
【0021】本発明に用いられるエステル化生成物を製
造するにあたっては、以下に述べる(i)、(ii)およ
び(iii)の各条件を満足させることが好ましい。
【0022】(i)混合脂肪酸中、飽和脂肪酸が40モ
ル%以上である。ここにいうモル%とは、エステル化生
成物中の総混合脂肪酸を100モル%としたときの対象
脂肪酸の含有率を示す。
【0023】飽和脂肪酸が40モル%未満であると、エ
ステル化生成物が柔らかすぎる固形物となる場合があ
る。このようなエステル化生成物は、これをガム用ワッ
クス様組成物として使用した場合、前記のような好まし
い物性を得ることができない。
【0024】(ii)次に、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
とのモル比は、飽和脂肪酸:不飽和脂肪酸=10:2.
〜2:3である。飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸が前
記(i)の条件を満たしても、両者のモル比が(ii)
の条件を満たさないと、エステル化生成物の物性が柔ら
かすぎる性状となり、ガム用ワックス様組成物としては
不適である。
【0025】(iii)さらに本発明において、エステル
化生成物は、ポリグリセリンと、前記(i)および(i
i)の条件を満足する混合脂肪酸とが、50%〜90%
のエステル化率でエステル化されたものである。ここで
エステル化率とは、ポリグリセリンの水酸基の数を基準
とするものである。エステル化率が50%未満では適度
な硬さが得られず、また水溶性の程度が大きくなり、一
方90%を超えると脆くなり、ガム用ワックス様組成物
に使用することには適さない。前記(i),(ii)およ
び(iii)の各条件を同時に満たすことにより、DSC
カーブがブロードとなり、柔軟性、可塑性あるいは粘稠
性をも兼ね備えた、さらに優れた物性を付与することが
できる。
【0026】本発明に係るエステル化生成物の製造方法
の一例を次に示す。すなわちポリグリセリンの分子量ま
たは平均分子量をもとに計算した反応当量の1種または
2種以上の脂肪酸を、好ましくは前記(i)および(i
i)の条件を満たすように混合し、ポリグリセリンとと
もに反応容器に仕込み、硫酸、塩酸、リン酸、パラトル
エンスルホン酸、ニッケル、スズ、チタン、これらの酸
化物、塩化物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の
エステル化触媒の存在下または無触媒下、無溶媒中もし
くはキシレン、トルエン等の非水性有機溶媒を共存さ
せ、望ましくは窒素ガス等の不活性ガスを吹き込みなが
ら、エステル化反応が進行しかつ着色や分解が起こりに
くい温度域つまり100〜250℃、好ましくは150
℃〜230℃で10〜20時間エステル化反応を行う。
エステル化率の上昇は反応物の酸価あるいは水酸基価を
測定し、その低減度合いによって追跡できる。ついで必
要に応じてエステル化反応物より触媒を除去し、活性炭
による脱色、減圧による脱臭等の精製処理を施すことに
より、本発明に使用するエステル化生成物を得ることが
できる。
【0027】次に、本発明のガム用ワックス様組成物
が、硬化油を含有する場合について説明する。この場
合、組成物全体に占める硬化油の割合は、組成物全体の
重量を基準として90重量%以下、好ましくは10〜9
0重量%、より好ましくは30〜70重量%である。硬
化油の混合割合が10重量%未満でも、ガム用ワックス
様組成物に適した物性をもつが、10重量%以上配合す
ることによって、とくに室温(20℃)から約40℃ま
での温度域における適度な硬さを付与することが可能と
なり、DSCチャートのピークがブロードになり、温度
変化に対する物性の急激な変化を抑制でき、例えば咀嚼
作用に対する耐久性がより増し、さらに望ましいガム用
ワックス様組成物となる。しかし硬化油が90重量%を
越えると、ワックスに特有の可塑性、柔軟性あるいは粘
稠性を喪失し、DSCチャートのピークがシャープにな
り、温度変化に対して物性が大きく変化し、硬くてもろ
い硬化油の性状そのものに近似するので好ましくない。
【0028】本発明で用いる硬化油としては、一般に食
用に供せられる油脂、例えば大豆油、菜種油、コーン
油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、パーム油、ヤ
シ油、ゴマ油、オリーブ油等の植物性油脂、牛脂、豚脂
等の動物性油脂、魚油等の1種または2種以上をほぼ完
全に水素添加した極度硬化油、あるいは前記食用油脂の
極度硬化油の2種以上の混合物、のいずれでもよいが、
より好ましくはそのヨウ素価が5以下かつ上昇融点が5
8℃以上のものである。ヨウ素価が5を越えるものや上
昇融点が58℃未満のものは、本発明の目的とする組成
物において硬さを付与する機能が小さくなる。本発明に
おいて、さらに望ましい硬化油は、炭素数22以上の脂
肪酸残基を有するものであり、前記飽和脂肪酸の例とし
て示したものから選ばれる脂肪酸の残基を例示できる
が、具体的な硬化油の原料油脂として、構成脂肪酸がエ
ルシン酸を含有する菜種油、からし油等を挙げることが
できる。炭素数22以上の脂肪酸残基を有することによ
り、本発明の組成物に適度な硬さと耐熱性を付与する機
能が大きくなる。
【0029】硬化油を製造するには、例えば次のような
方法によればよい。すなわち1種あるいは2種以上の前
記植物性油脂、あるいは動物性油脂、魚油等を0.05
〜0.50重量%のニッケル触媒とともに耐圧性反応容
器に仕込み、1〜5kg/cm2加圧の水素ガスを共存
せしめ、撹拌を行いながら140〜230℃で2〜5時
間水素添加反応を行う。反応の進行は反応物のヨウ素価
を測定し、その低減度合いにより追跡できる。ついで水
素添加反応物から触媒を除去し、必要に応じて例えば白
土による脱色、減圧蒸留による脱臭等の精製処理を施す
ことにより本発明に用いる硬化油を得ることができる。
さらに本発明の第1および第2のワックス様組成物は、
必要に応じて抗酸化剤を含有することができる。
【0030】このようにして得られた本発明のガム用ワ
ックス様組成物は、可塑性、柔軟性、粘稠性を有し、と
りわけ室温程度から40℃程度までの温度域において適
性な硬さをもち、これらの性状が咀嚼等の繰り返しの機
械的押力によっても持続される。
【0031】このため本発明のガム用ワックス様組成物
は、そのままで、あるいは公知の成分例えばモノグリセ
リド誘導体とともに混合してチューインガムの硬さ調製
剤として利用できる。本発明の硬さ調製剤を用いてチュ
ーインガムを調製するには、精製チクル30g、酸酸ビ
ニル樹脂15g、エステルガム12g、ポリインブチレ
ン7g、ワックス様組成物20g、乳化剤1g、炭酸カ
ルシウム15gを300mlビーカーに入れ、120℃
に加熱し、3時間程度の間ゆっくり撹拌し、これをガム
ベースとした。厚さ1.2〜1.8mmに延ばして板状
とし、冷却後に1.5mm×4.5mmの長方形にカッ
トしチューイングガムベース試料とした。さらに前記ガ
ムベースと公知の甘味料、果汁、香料、色素等を用いて
チューイングガムを製造できる。
【0032】
【実施例】
(製造例1)ヘキサグリセリン(試薬グレード、平均重
合度:6、水分10%)111gと、ベヘン酸271g
およびオレイン酸56gからなる混合脂肪酸(脂肪酸組
成はベヘン酸:80モル%、オレイン酸:20モル%
で、ベヘン酸/オレイン酸=4/1(モル比))とを1
リットル四ツ口フラスコに仕込み、還流溶媒としてキシ
レン(仕込量の5重量%)を加え、無触媒下、窒素ガス
を吹き込みながら、160〜220℃にて15時間エス
テル化反応を行わせた。反応物の酸価が低下しなくなっ
た時点を反応終了とした。ついで室温まで冷却し、活性
炭/活性白土=1/1(重量比)を用いて脱色処理、お
よび水蒸気を吹き込み脱臭処理を施して淡黄色の固体状
エステル化生成物:本発明の組成物(試料Aとする)4
16gを得た。このものの一般性状(分析値)は、酸
価:0.4、水酸基価:84、ケン化価:139であ
り、ヘキサグリセリンの水酸基価を基準にしたエステル
化率は63%であった。
【0033】(製造例2)ハイエルシン菜種油(横関油
脂工業(株)製)2kgを4リットル耐圧性反応容器に
仕込み、ニッケル触媒(日揮化学(株)製、S−7−
B:仕込量の0.3重量%)を加え、水素ガス圧:3k
g/cm2の下で、ゆるやかに撹拌しながら150〜2
10℃にて4時間水素添加反応を行わせた。反応物のヨ
ウ素価が低下しなくなった時点を反応終了とした。つい
で触媒を濾別し、活性白土を用いて脱色処理、および水
蒸気を吹き込み脱臭処理を施して硬化油(試料1とす
る)1.8kgを得た。このものの一般性状(分析値)
は、酸価:0.1、ヨウ素価:2.1、上昇融点:61
℃であり、ガスクロマトグラフィー(GLC)による脂
肪酸組成分析からベヘン酸含量は47%であった。
【0034】(実施例1〜8) 表1に示す各種原料および条件を用いて、製造例1に準
じてエステル化反応および精製処理を行い、本発明に係
るエステル化生成物(ポリグリセリン脂肪酸エステル)
からなる組成物(試料〜H)を試作した。試料Aとと
もにこれらの一般性状の分析値を表1にまとめた。
【0035】
【表1】 *1 混合脂肪酸中の対象脂肪酸の含有量を示す(以下同
じ)。*2 ポリグリセリンの水酸基数を基準にして水酸基価か
ら算出した(以下同じ)。
【0036】試料A〜Hの物性を評価するため、以下に
述べる方法の試験に供した。この結果を表2に示す。表
2のデータから、本発明のワックス様組成物は、約60
℃の融点を持ち、温度変化に対するSFCの変化もなだ
らかであり、咀嚼耐性にも優れており、ガム用ワックス
様組成物として好ましい性質を持っていることが明らか
になった。
【0037】融点:融点測定装置(ヤナコ機器開発研究
所製、MP500D)を用いて測定した(以下同じ)。
【0038】SFC(固型分含量):SFC測定装置
(BRUKER製、minispecPC120)を用
いて測定した。サンプルを測定キューブに充填後、12
0℃、30分間保持し、完全に溶解させた。溶解させた
後、0℃、90分間保持した。その後、各測定温度に移
し、15分間保持した後、直ちに測定を行った。(以下
同じ)。
【0039】針入度:ASTM D1321−76(2
5℃)によった(以下同じ)。ガムベース用ワックス様
組成物としては、18〜28程度が適している。
【0040】泡粘度(粘稠性):各試料を80℃に加温
して完全に融解させ、試験管(内径:15mm、長さ:
18cm)に充満して気泡が残存しないようにゴム栓を
した。ついで同温に保持したまま、マイクロシリンジで
空気を注入し、試料中の気泡が15cm上昇移動するま
での時間を測定した(以下同じ)。
【0041】咀嚼耐性:パネラー10名により、各試料
3gをそれぞれ口中に入れ、ランダムに1分間咀嚼を繰
り返し、その状態を次の内容で評価(結果は平均値で表
示)した(以下同じ)。
【0042】3:可塑性があり、細断されず、噛みごた
えあり。
【0043】2:やや可塑性が落ち、柔らかくなるが、
細断されない。
【0044】1:ほぼ完全に細断され、歯に付着した。
あるいは柔らかくなりすぎた。
【0045】生分解性:各試料5gをn−ヘキサン10
0mlに溶解させこれにリパーゼ(名糖産業(株)製、
リパーゼOF)1重量%の水溶液50mlを加え、40
℃で6時間撹拌後、酸価を測定して評価(○:良好、
×:不良)した(以下同じ)。
【0046】
【表2】 (比較例1〜4) 表3に示す各種原料および条件を用いて、製造例1に準
じてエステル化反応および精製処理を行い、エステル化
精製物からなる組成物(試料a〜d)を試作した。これ
らの一般性状の分析値を表3にまとめて示す。また、こ
れら各試料の物性を実施例1の場合と同様の試験方法で
測定して評価した。その結果を表4に示す。以上のデー
タから、比較例の組成物は、実施例の組成物に比べ、融
点が低いものが多く、また融点の高いものについては硬
すぎる物性を示して、いずれも咀嚼耐性がなく、ガム用
ワックス様組成物としては好ましくないことが判明し
た。
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】 (実施例9〜14)表5に示すように、本発明に係るエ
ステル化生成物(試料AおよびC)と、同表に示す原料
油脂を用いて、製造例2に準じて完全に水素添加処理お
よび精製処理を施して得た硬化油とを80℃にて混融
後、室温まで冷却して本発明に係るエステル化生成物お
よび硬化油の混合物からなる組成物(試料I〜N)を試
作した。これらの一般性状を表5に併記した。
【0049】
【表5】 試料I〜Nの物性を実施例1の場合と同様の試験方法で
測定して評価した。その結果を下記の表6に示す。この
結果から、実施例9〜14の組成物は融点が60℃と高
く、硬さも適度であり、咀嚼性に優れ、ガム用ワックス
様組成物として好ましい性質を持っていることが明らか
になった。
【0050】
【表6】 (比較例5〜10)下記の表7に示すように、本発明に
係るエステル化生成物からなる組成物(試料A)または
比較のためのエステル化生成物からなる組成物(試料
a、b、c)と、同表に示す原料油脂を用いて製造例2
に準じて作成した硬化油または比較のための硬化油とを
80℃にて混融後、室温まで冷却して比較のための組成
物(試料e〜j)を試作した。これらの一般性状の分析
値を表7にまとめて示す。また、これら各試料の物性を
実施例1の場合と同様の試験方法で測定して評価した。
その結果を表8に示す。以上のデータから、比較例5〜
10の組成物は、実施例の組成物に比べ、融点が低いも
のが多く、また融点の高いものについては硬すぎる物性
を示して、いずれも咀嚼耐性がなく、ガム用ワックス様
組成物としては好ましくないことが判明した。
【0051】
【表7】
【0052】
【表8】 (製造例3)精製チクル60g、酢酸ビニル樹脂30
g、エステルガム25g、ポリイソブチレン14g、本
発明のガム用ワックス様組成物またはマイクロクリスタ
リンワックス40g、乳化剤2g、炭酸カルシウム30
gを300mlビーカーに入れ、120℃に保温し、4
時間ゆっくり撹拌した。4時間経過後、厚さが1.5〜
2.mm程度となるようにアルミ箔上に拡げた。冷却
後、ガムベース160gを得た。このガムベースを幅
1.8cm、長さ7.0cmに切断し、ガムサンプルを
試作した。
【0053】(実施例15〜17) 実施例1、11、14に示した試料A、K、Nを用い
て、製造例3に準じてガムサンプル(試料O〜R)を試
作した。
【0054】(比較例11〜14)比較例1、2、5、
10に示した試料a、b、e、jおよびマイクロクリス
タリンワックスを用いて、製造例3に準じてガムサンプ
ル(試料k〜o)を試作した。
【0055】(試験例) 実施例15〜17で試作した試料O〜R、および比較例
11〜14で試作した試料k〜oの各物性を測定し、比
較検討した。
【0056】その結果、試料O〜Rは、マイクロクリス
タリンワックスを用いた試料pの物性に極めて近い物性
を示し、このことより、ガムに用いる天然ワックス代替
品として極めて好ましい性質を持つことが明らかとなっ
た。一方、試料k〜nは、いずれも硬すぎ、あるいは柔
らかすぎ、また咀嚼耐性がなく、ガムに用いる天然ワッ
クス代替品として好ましくなかった。
【0057】
【表9】 *3:60℃、6時間保管した後、ガムの状態を観察し
た。
【0058】変化のない場合は○、ワックスの溶け出し
たものについては×とした。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、石油起源のマイクロク
リスタリンワックスの物性を代替し得るエステル系物質
からなるガム用ワックス様組成物を提供し得る。本発明
の組成物は、単に融点や硬さのみならず、特に可塑性、
柔軟性あるいは粘稠性といった性状が温度変化および機
械的押力等によっても影響を受けにくい、安定なもので
ある。また生分解性のよいエステル類の混合物であるか
ら、安全性の要求が高い食品、医薬品、化粧品等をはじ
めマイクロクリスタリンワックスが使用される分野にお
いてその代替ワックスとして用いることが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−165417(JP,A) 特表 平8−510914(JP,A) 油化学,第35巻,第2号,1986年,松 下和男 外著,「ポリグリセリン脂肪酸 エステルの現状」, (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23G 3/30 WPI(DIALOG)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合度2〜10のポリグリセリンと、 炭素数が16以上の飽和脂肪酸と炭素数16以上のモノ
    エン酸である不飽和脂肪酸を含む混合脂肪酸とのエステ
    ル化生成物において、該混合脂肪酸中の飽和脂肪酸のモ
    ル比率が40%以上であり、かつ飽和脂肪酸:不飽和脂
    肪酸のモル比率が10:2.5〜2:3であって、 前記ポリグリセリンのエステル化率が50%〜90%で
    あることを特徴とするガム用ワックス様組成物。
  2. 【請求項2】 前記ポリグリセリンが、ジグリセリン、
    トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリ
    ン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、オクタグリ
    セリン、ノナグリセリン、およびデカグリセリン、から
    なる群から選ばれる1種もしくは2種以上の混合物であ
    る請求項1に記載のガム用ワックス様組成物。
  3. 【請求項3】 前記飽和脂肪酸の炭素数が16〜22で
    ある請求項1又は2に記載のガム用ワックス様組成物。
  4. 【請求項4】 前記飽和脂肪酸が、パルミチン酸、ステ
    アリン酸、アラキジン酸およびべヘン酸からなる群から
    選ばれる1種もしくは2種以上の混合物である請求項
    に記載のガム用ワックス様組成物。
  5. 【請求項5】 前記不飽和脂肪酸の炭素数が16〜22
    である請求項のいずれか1項に記載のガム用ワッ
    クス様組成物。
  6. 【請求項6】 前記不飽和脂肪酸がパルミトオレイン
    酸、オレイン酸、バクセン酸、エイコセン酸およびエル
    シン酸からなる群から選ばれる1種もしくは2種以上の
    混合物である請求項のいずれか1項に記載のガム
    用ワックス様組成物。
  7. 【請求項7】 前記混合脂肪酸が、酪酸、カプロン酸、
    カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸およびミリスチン
    酸からなる群から選ばれる1種もしくは2種以上をさら
    に含有する請求項1〜のいずれか1項に記載のガム用
    ワックス様組成物。
  8. 【請求項8】 組成物全体の重量を基準として90重量
    %以下の割合で硬化油をさらに含有する請求項1〜
    いずれか1項に記載のガム用ワックス様組成物。
  9. 【請求項9】 硬化油が、上昇融点が58℃以上で、か
    つヨウ素価が5以下のものである請求項に記載のガム
    用ワックス様組成物。
  10. 【請求項10】 硬化油が、炭素数22以上の脂肪酸残
    基を有するものである請求項またはに記載のガム用
    ワックス様組成物。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1項に記載
    のガム用ワックス様組成物が添加されたガムベース。
  12. 【請求項12】 請求項1〜10のいずれか1項に記載
    のガム用ワックス様組成物を用いてなるチューイングガ
    ム。
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油化学,第35巻,第2号,1986年,松下和男 外著,「ポリグリセリン脂肪酸エステルの現状」,

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