JP3301588B2 - 髄内釘 - Google Patents

髄内釘

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JP3301588B2
JP3301588B2 JP01309797A JP1309797A JP3301588B2 JP 3301588 B2 JP3301588 B2 JP 3301588B2 JP 01309797 A JP01309797 A JP 01309797A JP 1309797 A JP1309797 A JP 1309797A JP 3301588 B2 JP3301588 B2 JP 3301588B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、骨折治療等に用い
られる髄内釘及び髄内釘の釘体挿入用案内筒に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】骨折治療には、従来、金属プレートを骨
折箇所にまたがって骨表面にあてがい、何本かのビスを
金属プレートを通して骨皮質にねじ込んで固定する方法
が行われていた。しかし、この方法は、手術侵襲が大き
く、且つ、手術時間も長くなって患者に与える負担が大
きい。
【0003】又、高齢者等では、骨皮質はビスのねじ込
み基盤としては十分な強度を有しておらず、大きな荷重
はかけられない。特に、骨折箇所が関節近傍に存在する
場合、関節側の骨の骨皮質は薄くてビスによる固定力は
期待できない。
【0004】このため、ピンを骨折箇所を通過させて直
接骨髄内に挿入する方法が試みられている。しかし、一
本のピンを挿入しただけでは、骨の固定・支持が十分で
はない。そこで、数多くのピンを挿入することになる
が、ピンの数が多ければ多いほど、挿入部の弱化が起こ
り、手術時間も長くなる。又、ピンの先端が関節面を突
き破ってしまい、関節機能を阻害するといったことがあ
る。
【0005】これを解決するものとして、特開平4−1
26140号公報には、拡散方向に弾性付勢される複数
のピンの先端を根元側に延ばした操作ワイヤ等の操作で
開閉できる結束具で結束するとともに、根元を束縛金具
で一つに束ねた髄内釘を骨髄内に挿入し、挿入し終わっ
た時点で操作ワイヤ等を操作して先端のピンを拡散させ
る方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この髄内釘に
よると、骨折が治癒して髄内釘を抜去する場合、ピンの
先端が拡散したままのものを抜去することになるから、
その途中で骨髄及び挿入部を傷付けるおそれがある。更
に、挿入前に行う結束操作も熟練を要する上に煩雑であ
ることから、準備に時間がかかるといった欠点がある。
【0007】本発明は、このような課題を解決するため
に案出されたものであり、挿入及び抜去に際して他の部
分を傷付けることがないとともに、その操作も簡単で確
実な髄内釘及び髄内釘の釘体挿入用案内筒を提供するも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】以上の課題の下、本発明
は、骨折治療用に骨髄内に挿入される髄内釘であって、
この髄内釘が、前端を骨折個所の手前側に位置させて骨
皮質から骨髄内に挿入され、後端が骨皮質に固定される
鞘筒と、根元側が束縛筒で一つに束縛されて鞘筒の内部
に挿入され、束縛筒を外れた先端側が鞘筒から突出して
骨折個所を通過して拡散方向に弾性付勢される複数のピ
ンからなる釘体と、鞘筒と同じ径を有していて釘体を挿
抜自在に内挿可能であって鞘筒の後端に接続される案内
筒とからなることを特徴とする髄内釘を提供する。
【0009】本発明に係る髄内釘が以上の手段をとるこ
とにより、複数のピンから構成される釘体を骨髄内に挿
入するときには、予め骨髄内に挿入した鞘筒にその先端
側が覗く程度まで内挿することで、先端側は拡散して骨
折箇所の骨の固定的支持に寄与する。一方、抜去すると
きには、鞘筒を通して釘体を引き抜けば、ピンの間隔は
狭まって鞘筒に内挿した状態で引き抜かれるから、他の
部分を傷付けたりすることがない。加えて、案内筒を束
縛筒の後端から外挿して釘体の先端部分に位置させ、こ
の状態で、案内筒を鞘筒に接続すれば、ピンの先端側は
拡散することなく、鞘筒に挿入されて行くから、その挿
入操作が極めて簡単、且つ、確実である
【0010】そして、本発明は、上記した髄内釘におい
て、鞘筒の根元部分が骨に対して固定可能であること、
釘体と鞘筒の根元部分が骨に対して同時に固定可能であ
ること、ピンの先端が丸みを帯びるものであることを提
供する。
【0011】更に、本発明は、上記した釘体挿入用案内
筒において、案内筒が鞘筒に対して回り止めされて接続
されることを提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は骨髄内に挿入された状態を
示す髄内釘の一部断面側面図、図2は髄内釘を構成する
釘体の一部断面側面図、図3は髄内釘を構成する鞘筒の
平面図である。本発明に係る髄内釘は、釘体10と、鞘
筒12とから構成される。
【0013】釘体10は、弾性材からなる複数のピン1
4からなり、その根元側が束縛筒16で一つに束縛され
ており、束縛筒16から出た先端側は拡散方向に弾性付
勢されているものである。この場合、束縛筒16はピン
14の後端から延長しており、束縛筒16の後端部には
一定の空間が形成されている。
【0014】ピン14及び束縛筒16は全体として一定
の曲率で彎曲させられている。又、束縛筒16の後端は
斜めにカットされており、その長い側(彎曲外側)の筒
壁の後端寄りには固定用のビスを通す孔18が形成され
ている。
【0015】以上の釘体10は、ステンレスやチタン等
の不錆性弾性金属体で構成されている。これらの径や長
さ等は、一般には、長さ80〜150mm、径4〜7m
m程度に設定される。これに伴ってピン14の径は、1
〜3mm程度のものが4〜8本程度採用される。但し、
これらは一例であって、本発明に係る釘体10はこれに
限定されるものではない。
【0016】鞘筒12は、釘体10を挿抜可能に内挿す
るこれと同じ曲率で彎曲させられた同じく不錆性金属体
で構成される筒体である。鞘筒12の後端及び前端も斜
めにカットされており、このうち、後端は彎曲外側が長
く、前端は彎曲内側が長く設定されている。
【0017】鞘筒12の後端の長い側の筒壁の後端寄り
にも孔20が形成されている。又、本例の鞘筒12の後
端にはフランジ22が形成されているとともに、一定長
さに亘ってキー溝24も形成されている。鞘筒12は、
釘体10の先端側を除いた部分を内挿して保持するもの
であるから、その径及び長さ等は自ずと決まる。
【0018】以上の釘体10と鞘筒12は、骨折治療等
を目的として図1に示すような状態で骨髄内に挿入され
る。今、特定の骨の関節に近い箇所に骨折箇所26が存
在しているとすると、先ず、骨折箇所26より遠位側の
骨皮質をドリル等によって穿孔し、ここから鞘筒12を
フランジ22が骨皮質の表面に当たるまで挿入する。
尚、この場合、鞘筒12の先端は骨折箇所26の手前で
止まるものとする。
【0019】次に、この状態の鞘筒12に釘体10を挿
入する。この場合、釘体10の後端は、少なくとも、鞘
筒12の後部に形成された孔20を通過するまで挿入さ
れ、この状態のとき、ピン14の先端側は鞘筒12から
突出する状態となる。
【0020】これにより、ピン14は骨折箇所26を通
過するとともに、その先端が拡散するから、各ピン14
は分散して荷重を等分に受け、骨を強固に固定・支持す
る。尚、ピン14の耐荷重性を高めるために、ピン14
の先端は丸みを持たせておくのが好ましい。以上の処置
が終了すると、最後に、鞘筒12の孔20にビス28を
通して骨皮質にねじ込んで固定する。
【0021】以上において、釘体10や鞘筒12を彎曲
させるのは、鞘筒12の後端を骨皮質の途中に位置させ
ても、その先端が骨髄内の中心を通るようにするためで
あり、この結果、全体の長さを短くできる利点もある。
又、鞘筒12の後端にフランジ22を形成したのは、鞘
筒12挿入時のストッパとするのと、手術後に鞘筒12
が骨髄内に進入するのを防ぐためである。
【0022】図6は釘体10及び鞘筒12の固定構造の
他の態様を示す一部断面側面図であるが、鞘筒12に
も、釘体10後端の束縛筒16に形成された孔18に連
続する孔30を形成しておき、この両孔18、30にビ
ス28を通したものである。この方法によると、釘体1
0と鞘筒12の両方を固定できる利点がある。
【0023】ところで、釘体10を構成するピン14は
その先端が拡散方向に弾性付勢されているものであるか
ら、このままでは鞘筒12にうまく挿入できない。そこ
で、以下に説明する挿入用の案内筒を使用する。
【0024】図4は案内筒の断面側面図、図5は平面図
であるが、この案内筒32は、鞘筒12等と同じ曲率で
彎曲させられた短い筒体であり、釘体10を挿抜自在に
内挿可能とするとともに、鞘筒12の後端に接続可能な
ものである。具体的には、鞘筒12の後端と同じ勾配で
カットされており、同じ径を有している。
【0025】この構成の内筒32を釘体10の後端から
外挿して前に進めて行くと、拡散したピン14を絞るこ
とができる。従って、この状態にした案内筒32を鞘筒
12の後端にあてがい、釘体10を押して行けば、釘体
10は案内筒32から鞘筒12へと内挿されて行く。
【0026】本例の案内筒32の先端には、筒壁から前
方へ向けてキー34が形成されている。従って、案内筒
32を鞘筒12に接続するに際し、このキー34を前記
した鞘筒12のキー溝24に嵌合するようにすれば、両
者は隙間なくピッタリと接合できるとともに、互いの回
り止めも果たされることになり、釘体10をスムーズに
引き継ぎ挿入できる。
【0027】以上の釘体10や鞘筒12等は手で操作す
るわけにもゆかないから、適当な器具を必要とする。図
7は鞘筒12を押し込む押込具の側面図、図8は釘体1
0を押し込む押込具の側面図であるが、いずれの押込具
36、38とも、基体36a、38aの前方に心棒36
b(36cはキー溝24に嵌まり込むキー突起)、38
bが突出しており、この心棒36b、38bを釘体10
及び鞘筒12の内周に嵌め込み、基体36a、38aの
前面で釘体10及び鞘筒12の後端を押して行くもので
ある。
【0028】以上のことは釘体10を引き抜くときも同
様である。図9は釘体10を引き抜くときに使用する抜
去具の側面図であるが、この抜去具40は、柄40aの
先端にフック40bが形成されているものであり、フッ
ク40bを釘体10(束縛筒16)後部の孔20に係止
して引っ張ることで抜去できる。尚、この抜去具40は
鞘筒12の引き抜きにも利用できるのは言うまでもな
い。
【0029】
【発明の効果】以上、本発明に係る髄内釘によれば、骨
折治療等に際して骨を固定するときには、ピンは拡散し
て耐荷重性に優れるものの、治癒して抜去するときに
は、拡散したピンを狭めて抜去できるから、他の部分を
傷付けない。又、案内筒を用いることで挿入、抜去の操
作も容易、確実にできる。勿論、ピンは束ねられている
ものであるから、挿入部の穿孔も小さくて足り、手術時
間も短くて済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る髄内釘の使用状態の一例を示す一
部断面側面図である。
【図2】本発明に係る釘体の一例を示す一部断面側面図
である。
【図3】本発明に係る鞘筒の一例を示す一部断面側面図
である。
【図4】本発明に係る髄内釘挿入用案内筒の一例を示す
断面側面図である。
【図5】本発明に係る髄内釘挿入用案内筒の一例を示す
平面図である。
【図6】本発明に係る髄内釘の固定構造の他の一例を示
す一部断面側面図である。
【図7】本発明に係る鞘筒の押込具の一例を示す側面図
である。
【図8】本発明に係る釘体の押込具の一例を示す側面図
である。
【図9】本発明に係る抜去具の一例を示す側面図であ
る。
【符号の説明】
10 釘体 12 鞘筒 14 ピン 16 束縛筒 32 釘体挿入用案内筒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 蔵本 孝一 岡山県岡山市上道北方688−1 ナカシ マプロペラ株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−173555(JP,A) 特開 平4−126140(JP,A) 特開 平8−206130(JP,A) 特開 平5−269144(JP,A) 特開 平3−151960(JP,A) 特表 昭56−501751(JP,A) 特表 平4−505405(JP,A) 特表 平4−506025(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 17/58 315

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 骨折治療用に骨髄内に挿入される髄内釘
    であって、この髄内釘が、前端を骨折個所の手前側に位
    置させて骨皮質から骨髄内に挿入され、後端が骨皮質に
    固定される鞘筒と、根元側が束縛筒で一つに束縛されて
    鞘筒の内部に挿入され、束縛筒を外れた先端側が鞘筒か
    ら突出して骨折個所を通過して拡散方向に弾性付勢され
    る複数のピンからなる釘体と、鞘筒と同じ径を有してい
    て釘体を挿抜自在に内挿可能であって鞘筒の後端に接続
    される案内筒とからなることを特徴とする髄内釘。
  2. 【請求項2】 釘体と鞘筒の根元部分が骨に対して同時
    に固定可能である請求項1記載の髄内釘。
  3. 【請求項3】 ピンの先端が丸みを帯びるものである請
    求項1又は2に記載の髄内釘。
  4. 【請求項4】 案内筒が鞘筒に対して回り止めされて接
    続される請求項1〜3いずれかに記載の髄内釘。
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