JP3301100B2 - 蒸発器および冷凍サイクル装置 - Google Patents

蒸発器および冷凍サイクル装置

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JP3301100B2
JP3301100B2 JP01711492A JP1711492A JP3301100B2 JP 3301100 B2 JP3301100 B2 JP 3301100B2 JP 01711492 A JP01711492 A JP 01711492A JP 1711492 A JP1711492 A JP 1711492A JP 3301100 B2 JP3301100 B2 JP 3301100B2
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    • F25REFRIGERATION OR COOLING; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS; MANUFACTURE OR STORAGE OF ICE; LIQUEFACTION SOLIDIFICATION OF GASES
    • F25BREFRIGERATION MACHINES, PLANTS OR SYSTEMS; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS
    • F25B40/00Subcoolers, desuperheaters or superheaters

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は蒸発器およびそれを用い
た冷凍サイクル装置に関し、例えば、自動車用空気調和
装置等に用いられる冷凍サイクルシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用空気調和装置等に用いられる冷
凍サイクルシステムは、例えば、圧縮機,凝縮器,受液
器(レシーバ),膨張弁(減圧手段),蒸発器等により
構成されている。そして、この密閉された回路内で冷媒
を循環させて室内空気と蒸発器とで熱交換を行ない、室
内を冷却するものである。膨張弁を通り断熱膨張した冷
媒は、気体と液体との二相流の状態となって蒸発器に入
り、外部より熱を吸収して気化(蒸発)し、等温膨張を
続け室内空気の冷却作用を果たす。そして、過熱蒸気と
なって圧縮機に吸入される。
【0003】しかし、蒸発器に入る冷媒は気液混合状態
であるので、気液が分離し易い。そのため蒸発器内の複
数の配管へ冷媒を分配しても、気液の割合が配管毎に異
なる場合がある。気体状冷媒よりも液体状冷媒の方が熱
伝達率が高くかつ冷却能力が高い。そのため、気液割合
の偏りが生ずると、特に蒸発器の下流側で熱交換効率が
低下して、室内空気の冷却が不均一になる場合があっ
た。特に自動車用空気調和装置にては、吹出空気の攪拌
のためのスペースが確保しにくいので、その影響は大き
い。
【0004】気液の割合を均一化するものとして、特公
昭58−41429号に積層型蒸発器が提案されてい
る。ここでは、各蒸発部毎に固定の絞りを設けること
で、凝縮器で凝縮液化された冷媒をそのまま(膨張弁を
通過させずに)導入して、冷媒の分配を均一にさせてい
る。
【0005】また、液体状冷媒を圧縮することによる圧
縮機の破壊を防止するために、蒸発器から圧縮機に供給
される冷媒は完全に気化されている必要がある。このた
め通常は、蒸発器出口の冷媒が一定の過熱度(スーパヒ
ート)を持つように過熱蒸気の状態にまで蒸発器内で室
内空気と熱交換させている。ところが、冷媒は、蒸発時
には温度変化しないが、蒸発が終わり過熱蒸気となると
温度上昇してしまう。このため、上述した特公昭58−
41429号の積層型蒸発器においても、冷媒が蒸発し
ている蒸発器入口側と、冷媒が過熱蒸気となる蒸発器出
口側とでは、熱交換された空気の温度に差が生じて、空
気が均一に冷却されず、使用者に不快感を与えてしま
う。
【0006】そこで、1985年3月15日発行の日本
電装公開技報40−076号に示された冷凍システムで
は、膨張弁上流側の高温配管と蒸発器下流側(蒸発器と
感温筒との間)の低温配管とを熱交換させ、蒸発器内で
の液体状の冷媒が存在する距離を長くし、蒸発器末端で
冷媒が過熱蒸気になるようにして、不均一冷却を抑えた
技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このように
蒸発器末端で冷媒が過熱蒸気になるようにしても、現実
には、熱交換効率が下流側で依然として低く、冷却の不
均一性が十分に解決されていなかった。
【0008】本発明は、上記課題を解決し熱交換効率を
高めて十分な冷却能力のもとに均一な冷却を実現する冷
凍サイクル装置の提供、およびその冷凍サイクル装置に
用いられ熱交換効率を向上できる蒸発器の提供を目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1発明は、冷媒を循環
させる冷凍サイクルに適用される蒸発器において、 上記
冷媒の圧力を所定量減圧させるための減圧手段と、上記
減圧手段から流出した冷媒を導入して所定距離通過させ
る入口流路と、上記入口流路に絞り部を介して連通する
冷媒蒸発流路と、上記冷媒蒸発流路の下流端から流出し
た気液二相冷媒を所定距離通過させて送り出す出口流路
と、を備えると共に、上記入口流路の冷媒と上記出口流
路の冷媒とを熱交換可能に上記入口流路と上記出口流路
とを近接配置したこと、を特徴とする。
【0010】第2発明は、冷媒を循環させる冷凍サイク
に適用される蒸発器において、 上記冷媒の圧力を所定
量減圧させるための減圧手段と、前記減圧手段から流出
する冷媒を導入し所定距離通過させて該冷媒を蒸発圧力
まで減圧する入口流路と、前記入口流路の下流端側から
複数に分岐し、冷媒の蒸発領域となる複数の分岐流路
と、前記各分岐流路の下流端から流出した気液二相冷媒
を所定距離通過させて送り出す出口流路と、を備えると
共に、前記入口流路と前記出口流路とを近接配置して、
前記入口流路の冷媒と前記出口流路の冷媒とを熱交換さ
せることを特徴とする。
【0011】第3発明は、圧縮機、凝縮器および蒸発器
を備え、冷媒を循環させる冷凍サイクル装置において、
上記蒸発器が、上記冷媒の圧力を所定量減圧させるため
の第1の減圧手段と、 上記第1の減圧手段から流出する
冷媒を導入し所定距離通過させる入口流路と、上記入口
流路に連通する冷媒蒸発流路と、上記冷媒蒸発流路の下
流端から流出した冷媒を所定距離通過させて送り出す出
口流路と、上記入口流路内の冷媒を冷却する冷却手段
と、上記冷却手段の内部、上記冷却手段と上記冷媒蒸発
流路との間、または上記冷媒蒸発流路内の上流端近傍に
設けられた第2の減圧手段と、上記出口流路内の冷媒を
昇温する昇温手段と、を備えるとともに、上記第1の減
圧手段又は上記第2の減圧手段による減圧量を調整する
ことにより、上記出口流路内で、冷媒の乾き度が1未満
から1以上に変化するよう設定されたことを特徴とす
る。
【0012】
【作用】
[第1発明の作用]第1発明の蒸発器では、減圧手段か
ら流出した冷媒が入口流路に導入され所定距離通過した
後、流路面積を狭くする絞り部を通過し冷媒蒸発流路に
入る。この絞り部を通過した冷媒は冷媒蒸発流路内で減
圧されしかも低温となり、室内空気と熱交換する。そし
て出口流路を所定距離通過すると同時に入口流路の冷媒
と熱交換する。出口流路の冷媒は、既に絞り部を通過し
ていることから低温となっているため、入口流路の冷媒
を冷却する。この冷却により、入口流路の冷媒は、減圧
手段から流出した気体と液体との二相状態(気液二相状
態)から、液相側へシフトし、ほぼ液単相状態となる。
逆に、出口流路の冷媒は、入口流路の冷媒により加熱さ
れて気相側へシフトし、過熱蒸気状態となる。
【0013】このため、絞り部の上流では、冷媒は前述
のように液相側へシフトし冷媒のほとんどが液相状態と
なっている。そして絞り部を通過した冷媒は、減圧され
て冷媒蒸発流路において室内空気と熱交換して蒸発を開
始する。この冷媒蒸発流路の蒸発も冷媒の全体が液相側
へシフトした状態で行われる。従って冷媒蒸発流路内の
冷媒全体が液相側へシフトしているので、次に述べる理
由から室内空気との熱交換効率を向上させることが出来
る。また出口流路の冷媒側は過熱蒸気とすることができ
るので、液体状冷媒が圧縮機に到達するのを防止でき
る。
【0014】冷媒蒸発流路内の冷媒全体が液相側へシフ
トしていると、熱交換効率が向上する理由は次の通りで
ある。即ち、冷媒が過熱蒸気になる以前の気液二相状態
でも、ある程度乾き度が高くなると、液体状冷媒は気体
状冷媒中に浮遊している状態となり、蒸発器の内面は乾
燥した状態(ドライアウト)になる。
【0015】このような状態では、蒸発器と冷媒との熱
伝達率が低くなり、その結果として蒸発器は室内空気と
熱交換し難くなる。従って、冷媒の乾き度が低くなるほ
ど、言い替えると液相側にシフトしているほど、液体状
冷媒が蒸発器内面を覆っている部分の割合が増加して、
熱交換効率が向上する。 [第2発明の作用]本発明にかかる蒸発器では、減圧手
段から気液二相状態で流出した冷媒は、入口流路に導か
れ所定距離通過する際、入口流路内での圧力損失によっ
て蒸発圧力まで減圧され低温化する。そのように減圧さ
れ低温化した冷媒は各分岐流路へ送り込まれ、室内空気
と熱交換し蒸発して等温膨張を続けた後、出口流路を所
定距離通過する。
【0016】その際、出口流路の冷媒と入口流路の冷媒
との間で熱交換が行なわれる。そして、入口流路内の圧
力損失によって低温化し低温を維持したまま出口流路に
至った冷媒は、入口流路の冷媒を冷却し液相側へシフト
させ、ほぼ液単相状態とする。逆に、出口流路の冷媒
は、入口流路の冷媒により加熱されて気相側へシフト
し、過熱蒸気状態となる。
【0017】このように各分岐流路内の冷媒は液相側へ
シフトしているので、第1発明と同様な理由で熱交換効
率を向上させることが出来る。また出口流路の冷媒側は
過熱蒸気とすることができるので、液体状冷媒が圧縮機
に到達するのを防止できる。 [第3発明の作用]第3発明では、減圧手段を、冷却手
段の内部、冷却手段と冷媒蒸発流路との間、または冷媒
蒸発流路内の上流端近傍に設けることにより、入口流路
の冷媒と出口流路の冷媒との間に圧力差を設定でき、室
内空気と冷媒蒸発流路との熱交換可能としている。そし
て、冷却手段により、入口流路内で冷却して入口流路の
冷媒を液相側にシフトし、冷媒蒸発流路内全域で乾き度
を低下させるとともに、昇温手段により、出口流路内で
昇温して出口流路の冷媒の乾き度を1未満の状態から1
以上の状態へ変更している。このことにより、いわゆる
ドライアウト部分が冷媒蒸発流路内とならないように設
定し、第1発明と同様の作用で蒸発器部分での熱伝達率
を向上させ、液体状冷媒が圧縮機に到達するのを防止す
る。
【0018】
【実施例】以上説明した各発明の構成・作用を一層明ら
かにするために、以下各発明の蒸発器の実施例について
説明する。 [第1発明の実施例]図1乃至図15は、第1発明の第
1実施例を示すものである。図2,図3は第1実施例の
積層型蒸発器1の外観を表すもので、図2はその平面
図、図3は正面図である。また、図1は積層型蒸発器1
の模式図である。
【0019】積層型蒸発器(以下、単に蒸発器と呼ぶ)
1は、自動車用冷凍サイクルに用いられるものである。
蒸発器1は、冷凍サイクルの配管に接続された膨張弁1
00と、この膨張弁100から流出した冷媒の導入およ
び気化後の冷媒を蒸発器1の外に送出するための接続部
となるジョイントブロック10と、冷媒間で熱交換(後
述する)させる熱交換部20と、冷媒と室内空気とを熱
交換させる冷媒蒸発部50とからなる。尚、膨張弁10
0が、減圧手段に該当する。
【0020】ジョイントブロック10は、膨張弁100
から流出した二相状態の冷媒の入口となる流入口11
と、気化後の冷媒を送り出す流出口12とが設けられて
いる。熱交換部20は、図4に示す板状のプレート21
をろう付けにより複数積層し、各プレート21の間に冷
媒を流すように構成される。図5は図4のA−A線ある
いはC−C線断面図であり、図6は図4のB−B線断面
図である。このプレート21は、積層したときに冷媒の
流路が形成されるように平板に凹凸を形成したものであ
り上下対称である。プレート21の中央には、縦方向に
複数の溝22が形成される。従って、プレート21の裏
面では、この溝22が形成されていない部位で図6に示
すように複数の溝23が形成されることとなる。プレー
ト21の下部の一方には、凹面部24が形成され、この
凹面部24に、ジョイントブロック10の流入口11を
介して送られてきた冷媒(以下、入口冷媒と呼ぶ)を流
入するための円孔25が穿設されている。一方、プレー
ト21下部の他方には、凸面部26が形成され、この凸
面部26に、後述する出口冷媒(冷媒蒸発部50から送
られてきた冷媒)をジョイントブロック10の流出口1
2に送る横長の円孔27が穿設されている。
【0021】同様に、プレート21の上部には、凹面部
28および凸面部29が形成され、それぞれ円孔25,
27と同一形状の円孔30,31が穿設されている。
尚、図5において、括弧を付した符号は、図4のA−A
線での各部の符号を表す。このプレート21の積層状態
の断面を図7,図8に示す。図7は図4A−A線での積
層状態断面図であり、図8は図4B−B線での積層状態
断面図である。尚、プレート21の下部(円孔25,2
7が形成される部位)の積層状態も、図7と同一であ
る。図示するように、熱交換部20は、両側のエンドプ
レート32,33間に、プレート21を互いに表面と裏
面とを向かい合わせて積層して形成される。冷媒蒸発部
50に面するエンドプレート32には、プレート21の
円孔30,31と向かい合う位置に、それらと同一形状
の円孔34,35が穿設され、ジョイントブロック10
に面するエンドプレート33には、プレート21の円孔
25,27と向かい合う位置に、それらと同一形状の円
孔36,37が穿設されている。
【0022】このように積層することで、図7に示すよ
うに、熱交換部20の上部には、円孔30を穿設した凹
面部28により空洞部40(以下、上入口冷媒タンク部
40と呼ぶ)と、円孔31を穿設した凸面部29により
空洞部41(以下、上出口冷媒タンク部41と呼ぶ)と
が形成される。同様に、後述の図11にて示すが、熱交
換部20の下部には、円孔25を穿設した凹面部24に
より空洞部42(以下、下入口冷媒タンク部42と呼
ぶ)と、円孔27を穿設した凸面部26により空洞部4
3(以下、下出口冷媒タンク部43と呼ぶ)とが形成さ
れる。また、図8に示すように、熱交換部20の中央に
は、溝22により上入口冷媒タンク部40と下入口冷媒
タンク部42とを結ぶ複数の流路44(以下、入口冷媒
流路44と呼ぶ)と、溝23により上出口冷媒タンク部
41と下出口冷媒タンク部43とを結ぶ複数の流路45
(以下、出口冷媒流路45と呼ぶ)とが形成される。
【0023】尚、上入口冷媒タンク部40、入口冷媒流
路44および下入口冷媒タンク部42が、入口流路に該
当し、上出口冷媒タンク部41、出口冷媒流路45およ
び下出口冷媒タンク部43が出口流路に該当する。ここ
で、冷媒の流れについて、図9,図10,図11に基づ
いて説明する。図9は、図3のD−E線矢視図、図10
はD−F線矢視図、図11はD−G線矢視図である。ジ
ョイントブロック10の流入口11から流入した冷媒
(入口冷媒)は、図11の矢印aに示すように、下入口
冷媒タンク部42に送られ、図10に示す各プレート2
1間に形成された複数の入口冷媒流路44に分配されて
流れ込み、上方に送られる。そして、各入口冷媒流路4
4を流れる入口冷媒は、図9の矢印bに示すように、上
入口冷媒タンク部40に流れ込み合流して冷媒蒸発部5
0に送られる。冷媒蒸発部50での冷媒の流れについて
は後述する。
【0024】冷媒蒸発部50で一部気化された冷媒(出
口冷媒)は、図9の矢印cに示すように、熱交換部20
の上出口冷媒タンク部41に送られ、図10に示す各プ
レート21間に形成された複数の出口冷媒流路45に分
配されて流れ込み、ここで完全に気化し、過熱蒸気とな
って下方に送られる。そして、各出口冷媒流路45を流
れる出口冷媒は、図11の矢印dに示すように、下出口
冷媒タンク部43に流れ込み合流し、ジョイントブロッ
ク10の流出口12から流出し、図1に示す感温筒10
1を経て圧縮機(図示略)へ送られる。
【0025】従って、後述するように、入口冷媒とで出
口冷媒とが、この熱交換部20で熱交換されることとな
る。冷媒蒸発部50は、室内空気を効率的に冷却するた
めの波板状のコルゲートフィン51(以下、フィン51
と呼ぶ)と図12に示すプレート52とをろう付けによ
り積層したもので、この積層状態の断面を図13(図2
のH−H線での断面正面図)、図14(図12,図13
のJ−J線での断面平面図)に示す。
【0026】プレート52は、略長方形の板状で、その
上部に略円筒形の入口タンク53と出口タンク54とが
形成されている。入口タンク53は、熱交換部20の上
入口冷媒タンク部40に整合する位置に設けられ、その
中央に円孔55が穿設されており、熱交換部20から送
られてきた冷媒が導入される部位となる。出口タンク5
4は、熱交換部20の上出口冷媒タンク部41に整合す
る位置に設けられ、その中央に横長の円孔56が穿設さ
れており、熱交換部20の上出口冷媒タンク部41に冷
媒を送り出す部位となる。
【0027】このプレート52は、積層したときにプレ
ート52間に冷媒の流路が形成されるように、外周に対
して中央部がくぼんでいる。この中央部である中央凹面
部57には、冷媒の伝熱促進のための複数のクロスリブ
58と、冷媒を下方に導き更に方向転換して出口タンク
54に導く中央隔壁59が凸状に形成されている。この
中央隔壁59は、圧力損失を均一にするために冷媒の蒸
発による膨張に合わせて斜め方向に形成されている。
【0028】入口タンク53と中央凹面部57との間に
は、両者を結ぶ細い溝59aが形成されている。このた
め、入口タンク53の冷媒は、この溝59aを通過して
中央凹面部57に流れる。冷媒蒸発部50は、端面とな
るエンドプレート61と熱交換部20のエンドプレート
32との間で、上述したプレート52を図13,図14
に示すように向かい合わせて冷媒の流路を形成し、各プ
レート52の裏面の間に波板状のフィン51を装着して
ろう付けにより形成される。このとき、各プレート52
に形成された溝59aが向かい合って、冷媒の流路面積
を狭くする絞り部60が形成される。また、各フィン5
1には、冷媒と室内空気との熱交換を促進するための細
い溝62が複数形成されている。尚、向かい合わせてろ
う付けされるプレート52の形状は、左右反対、つまり
一方のプレート52に対して他方のプレート52の形状
を鏡に映した形状としている。但し、向かい合うクロス
リブ58は、互いに交差する方向に形成されている。
【0029】このようにプレート52を積層したときの
プレート52内での冷媒の流れを図12の矢印e,f,
gにて示す。熱交換部20から各入口タンク53(以
下、各入口タンク53を重ねることで形成された冷媒の
溜り部を入口タンク部70と呼ぶ)に送られた冷媒は、
分配されて各絞り部60を通過し、中央凹面部57間を
下方に向かって流れ(矢印e)、更に下部で方向転換し
て上方に向い(矢印f)、各出口タンク54(以下、各
出口タンク54を重ねることで形成された冷媒の溜り部
を出口タンク部71と呼ぶ)に流れ込み(矢印g)、合
流して熱交換部20の上出口冷媒タンク部41に送られ
る。このとき、プレート52の中央凹面部57間では、
交差するクロスリブ58により、冷媒が分散され全体に
広く行き渡る。尚、図14において81が下方に向かう
冷媒の流路となり、82が上方に向かう冷媒の流路とな
る(以下、この流路81,82、即ち、中央凹面部57
間の冷媒の流路を冷媒蒸発流路80と総称する)。この
冷媒蒸発流路80を冷媒が流れるときに、冷媒は、フィ
ン51を介して室内空気と熱交換し、一部が蒸発しつつ
等温膨張を続ける。
【0030】次に、以上のように構成された第1実施例
の蒸発器での冷媒の状態を図15,図1を用いて説明す
る。図15は、冷凍サイクル上での冷媒の状態を表すモ
リエ線図である。図示しない圧縮機により圧縮された
(図中線m部分)高圧の冷媒は、図示しない凝縮器で放
熱し(図中線n部分)、気体状冷媒から液体状冷媒へと
相変化する。そして、通常の冷凍サイクルでは、膨張弁
により、線o上を点Wまで膨張させているため、冷媒は
蒸発器の入口で気体と液体との気液二相状態となり、蒸
発器内で冷媒の分配が均等に行なわれない。そこで、本
実施例の蒸発器1では、熱交換部20で入口冷媒と出口
冷媒(後述するが、絞り部60により入口冷媒よりも低
温となっている)を熱交換させることで入口冷媒を冷却
し、冷媒を線p上に沿って点Xまで変化させて液相方向
へシフトしている。このため、冷媒は完全に液体とな
り、冷媒蒸発部50の入口タンク部70から各プレート
52間の冷媒蒸発流路80に均等に分配される。このと
き、冷媒蒸発流路80の入口となる絞り部60により、
冷媒は線q上に沿って点Yにまで減圧されて、一層低温
化した気液二相状態となり、フィン51を介して室内空
気と熱交換され蒸発を開始する(図中線r部分)。冷媒
は、その一部が蒸発した状態(点Z1)、即ち乾き度が
1未満で冷媒蒸発部50の出口タンク部71で合流し熱
交換部20に送られる。この冷媒(出口冷媒)は、熱交
換部20のプレート21間に形成された出口冷媒流路4
5を通過することで入口冷媒と熱交換される。このた
め、出口冷媒流路45内で冷媒の乾き度は1以上となっ
て(点Z2)冷媒は過熱蒸気となり(図中線s1,s2
部分)、感温筒101を経て圧縮機へと送られる。
【0031】即ち、図1に示すように、膨張弁100か
ら送られた気液二相状態の冷媒(入口冷媒)は、入口冷
媒流路44を流れるときに出口冷媒流路45を流れる低
温の冷媒(出口冷媒)と熱交換して冷却されて、より液
相側へシフトし、冷媒蒸発部50の入口タンク部70に
送られる。尚、図中において冷媒の液状態部分にハッチ
ングを施す。そして、均一に各冷媒蒸発流路80に流れ
込むと共に、絞り部60により減圧されて室内空気と熱
交換して一部が気化しつつ等温膨張する。冷媒は気液二
相状態のまま、冷媒蒸発部50の出口タンク部71に送
られて合流し、熱交換部20の出口冷媒流路45を流れ
る。このとき、冷媒(出口冷媒)は、入口冷媒流路44
を流れる入口冷媒と熱交換して加熱されすべて乾き度が
1以上の過熱蒸気となる。つまり、図15の線pにおけ
る冷媒と線s1,s2における冷媒とを熱交換してい
る。従って、各冷媒蒸発流路80における冷媒を過熱蒸
気になるまで熱交換せずに、つまり冷媒のスーパヒート
を熱交換部20で行うことで、一定温度を維持すること
ができる。
【0032】以上説明したように、第1実施例の蒸発器
1によれば、熱交換部20および絞り部60を設けたこ
とにより、入口冷媒と出口冷媒とを熱交換して各冷媒蒸
発流路80に冷媒を均一に分配することができ、しか
も、冷媒蒸発流路80において、過熱蒸気にするのでは
なく出口冷媒流路45部分ではじめて乾き度が1以上の
過熱蒸気に変えている。従って、冷媒蒸発流路80にお
いて内面がドライアウトすることを防止でき、熱交換効
率を高めることができる。
【0033】更にこの結果、蒸発器1の熱交換性能が向
上し、冷媒の室内空気との熱交換を均一にすることがで
き、フィンを通過した室内空気の温度を均一かつ十分に
低下させることができる。また、従来の積層型蒸発器1
の横に熱交換部20を設け、その横に膨張弁100,感
温筒101が設けられるという構成となり、膨張弁10
0と感温筒101との間で熱交換が行なわれるため、良
好な制御性を維持できる。また、従来の冷凍システムに
本実施例の蒸発器1を用いても、ほとんどシステムの変
更を要しなく、システム構成が複雑にならない。また、
絞り部60を設けていても、各部品を高耐圧仕様にする
必要もない。更に、熱交換部20で入口冷媒流路44の
冷媒の流れる方向に対して、出口冷媒流路45の冷媒の
流れる方向が逆方向となるため、熱交換性に優れてい
る。
【0034】また、熱交換部20の各冷媒タンク部4
0,41,42,43の任意な円孔25,27,30,
31を盲プレート等を用いて塞ぐことにより、入口冷媒
と出口冷媒との流路を変更することができるため、スー
パヒート等の調整が可能となる。
【0035】次に、図16乃至図19は、第1発明の第
2実施例及び第3実施例を示すものである。これらの実
施例では、第1実施例と絞り部の設置位置が相違する
が、他の部分の構造は第1実施例と同様である。したが
って、第1実施例と同一構造のものは、以下同一番号を
付して説明する。
【0036】図16乃至図18は、第2実施例を示すも
のである。第2実施例では、オリフィスの形状で内径が
1,0〜5,0mmの絞り部160を冷媒蒸発部50と
熱交換部20との間に設けられているエンドプレート3
2の入口冷媒流路44側に設けている。このような絞り
部160を設けると、絞り部160を通過して入口タン
ク部70に送られる入口冷媒は、気体と液体との気液二
相状態となる。この時、入口タンク部70内では、上方
に設けられた複数の冷媒蒸発流路182a,182b,
182c,182d,182e…の内、入口冷媒流路4
4側の冷媒蒸発流路182aまたは、182aと182
bに、液より上方に位置する気体の全部が流れるため、
残りの殆どの冷媒蒸発流路入口では第1実施例と同様の
液単相状態となり、入口冷媒がほぼ均一に分配される。
したがって、入口冷媒の均一分配と、第1実施例と同様
の液相側へのシフトにより熱交換性能が向上する。しか
も、絞り部160が1箇所のみ設けられているので、複
数の絞り部を用いた場合に生じる絞り径の加工精度の違
いによる各冷媒蒸発流路182a,182b,182
c,182d,182e…での冷媒流量の相違による熱
交換性能の低下を生じることもない。
【0037】図19は、第3実施例を示すものである。
第3実施例は、絞り部190の形状をチョークの形状に
したもので、他の構造は第2実施例と同様である。この
ように、第3実施例は、絞り部190の形状をチョーク
の形状としたので、冷媒蒸発部50と熱交換部20との
間が、第2実施例に比べて離れて距離がある場合の入口
冷媒の絞り部に有用である。尚、図17に示すプレート
52では、中央隔壁59が斜め方向に形成されている
が、この中央隔壁59をプレート52の中央に設け、冷
媒流路を入口タンク53から出口タンク54まで同一幅
となるように形成してもよい。
【0038】上記各実施例では、冷媒蒸発部50と熱交
換部20との一体型としているが、冷媒蒸発部50と熱
交換部20とを分離して配管等により接続した別置タイ
プにしてもよい。例えば、自動車用エアコンの場合、冷
媒蒸発部50を車室内に、熱交換部20を車室外に設置
して配管接続してもよい。
【0039】図20〜22は第4実施例を示す。第4実
施例は自動車のエアコンの蒸発器として使用されるサー
ペンタイン型蒸発器に関するものである。従来のサーペ
ンタイン型蒸発器は多孔の帯状のチューブを蛇行させた
ものであり、チューブの途中で冷媒はドライアウトす
る。そしてドライアウト以後のチューブの部分は蒸発器
の性能を低下させる原因となっているが、エアコンサイ
クルの制約上、冷媒を完全に蒸発させ圧縮機には液冷媒
を戻さないようにする必要があるため冷媒のドライアウ
ト以後も室内空気の冷却を行っていた。このため従来の
サーペンタイン型は前述のように蒸発器の性能が低い。
第4実施例はこの点をも解決するものである。
【0040】第4実施例は、冷媒の出口チューブを冷媒
の入口チューブで加熱して、出口チューブ内の冷媒を過
熱蒸気とし、室内空気を冷却するのは冷媒がドライアウ
トするチューブの部位までとすることを実施例としての
特徴としている。以下、図20〜22により詳細に説明
する。図20は蒸発器を示す。この蒸発器110は従来
のサーペンタイン型蒸発器と同様にフィン111、多孔
チューブ112、ヘッダ114a、114b、入口パイ
プ115a、出口パイプ115bを備える。本実施例で
はチューブ112は冷媒の出、入口で接触しており、冷
媒入口側のチューブ接触部ではチューブ112の端部に
図21に示すようにチューブ112を圧縮して絞り部1
13が形成されている。入口パイプ115aの上流端に
は図示しない膨張弁が設けられている。出口パイプ11
5bは図示しない圧縮機、凝縮器、及び上記膨張弁を介
して入口パイプ115aと連通している。なお、ヘッダ
114aから絞り部113までのチューブ112を入口
チューブ112aと呼び、絞り部113からヘッダ11
4bまでのチューブ112を出口チューブ112bと呼
ぶ。出口チューブ112bのフィン111と接触する部
分は第1実施例の冷媒蒸発部50の冷媒蒸発流路80に
該当し、入口チューブ112aと接触する部分は第1実
施例の熱交換部20の出口冷媒流路45に該当する。又
入口チューブ112aは第1実施例の熱交換部20の入
口冷媒流路44に該当する。尚、膨張弁が、減圧手段に
該当する。
【0041】上記構成の蒸発器110の作用をモリエル
線図で説明すると図22のようになり、蒸発器110部
分では線b→c→d→aの順に冷媒が流れる。線cは図
20の絞り部113による断熱膨張域であり、この絞り
部113により冷媒は断熱膨張して気化し一層低温とな
るので、気化する前の冷媒入口温度は冷媒出口温度より
高くなっている。従って冷媒入口側のチューブ接触部で
は入口チューブ112a内の冷媒は出口チューブ112
b内の冷媒により冷却されて液相側へシフトし、気液2
相から液相となる。又冷媒出口側のチューブ接触部では
出口チューブ112b内の冷媒は入口チューブ112a
内の冷媒により加熱されて乾き度が1以上となり過熱蒸
気となる。即ち、入口側のチューブ接触部が線bであ
り、フィン111により室内空気が冷やされる部分が線
域dであり、冷媒出口側のチューブ接触部が線aの過熱
状態へと変化する部分となって室内空気の冷却に使用さ
れないので均一で良好な熱交換性が得られる。なお、図
22の線m、n、oは図15の線m、n、oと同じであ
るので説明を省く。又線域d′は従来の蒸発器の場合を
示す。
【0042】図23、24は第5実施例を示す。自動車
用エアコンサイクルにおける蒸発器において、蒸発器の
入口冷媒の単相化と過熱蒸気域をなくすため蒸発器の入
口冷媒と出口冷媒とを熱交換する熱交換部については、
前記各実施例のごとくである。
【0043】第1,2,3実施例の蒸発器2000では
図63(a)、(b)に示すように入口、出口冷媒を熱
交換する熱交換部2010が冷媒蒸発部2020のサイ
ド部に設けられているため、蒸発器2000の配管20
40の取り出し位置が図64に示すようにコア部203
0の中央部にしたいときは配管の取り回しが困難であっ
た。第5実施例はこの点も解決するものである。
【0044】図23、24により第5実施例の蒸発器1
20を説明する。蒸発器120は熱交換部121の両側
に同型の冷媒蒸発部122を配置した構成を有してい
る。入口流路123は熱交換部121の下部で左右に分
岐して冷媒蒸発部122内に入り、複数の絞り部124
を介して複数の分岐冷媒蒸発流路125に連通する。分
岐冷媒蒸発流路125にはフイン126が取り付けられ
ている。各分岐蒸発通路125は冷媒蒸発部122内を
上昇し、次いで下方に屈曲して冷媒蒸発部122の下部
で合流し、熱交換部121内において出口流路127と
なり、出口流路127は図示しない圧縮機に連通する。
入口流路123と出口流路127とは熱交換部121内
で近接して配置され相互に熱交換が可能となっている。
蒸発器120の作用は第1実施例の蒸発器と同じである
ので説明を省く。なお、絞り部は図24で符号124a
で表示するように入口流路123が熱交換部121の下
部で左右に分岐する部分に設けてもよい。
【0045】このことにより第1実施例と同様な効果を
有する。 [第2発明の実施例] 次に第2発明の実施例を説明する。図25に模式的に示
すように、本発明の第1実施例である積層型蒸発器30
1は、自動車用空気調和装置の冷凍サイクルを構成し、
その上流端には減圧手段としての膨張弁400を備え
る。積層型蒸発器301と、その下流に設けられた圧縮
機(図示しない)との間の流路には、感温筒401が設
けられ、そこで検出された冷媒の気化状態に基づき膨張
弁400が冷媒の流量を調節している。
【0046】この積層型蒸発器301は、図26及び図
27に、その外観の平面及び正面を各々示すように、大
別して3つの構成部分であるジョイントブロック31
0、熱交換部320、及び冷媒蒸発部350から成る。
ジョイントブロック310は、膨張弁400の下流及び
圧縮機の上流に各々接続するために設けられ、膨張弁4
00側に接続されて蒸発器301への冷媒の入口となる
流入口311と、圧縮機側に接続されて蒸発器301か
らの冷媒の出口となる流出口312とで構成されてい
る。
【0047】熱交換部320は、ジョイントブロック3
10と後述する冷媒蒸発部350との間にあって、流入
口311から送り込まれた冷媒(以下、入口冷媒とい
う)を冷媒蒸発部350へ導くための入口流路と、冷媒
蒸発部350から送り出される冷媒(以下、出口冷媒と
いう)を流出口312へ導く出口流路とを近接配置し
て、入口冷媒と出口冷媒とを熱交換させるために設けら
れている。すなわち熱交換部320は、下入口冷媒室3
42、接続タンク326b、入口冷媒流路344、接続
タンク329b及び上入口冷媒室340の順に複数繰り
返し連接されて入口流路を構成する部分と、下出口冷媒
タンク部343、出口冷媒流路345及び上出口冷媒タ
ンク部341の順に連接されて出口流路を構成する部分
とから成る。
【0048】冷媒蒸発部350は、冷媒を室内空気と熱
交換させて室内空気を冷却する機能を果たす部分であ
り、熱交換部320からの入口冷媒を受け入れる入口タ
ンク部370、出口冷媒を通過させて熱交換部320へ
送り込む出口タンク部371、両タンク部370、37
1を接続すると共に蒸発領域となる複数の蒸発流路38
0、及び各蒸発流路間に密着して設けられるコルゲート
フィン351(以下、フィン351という)から構成さ
れている。
【0049】熱交換部320の片側にはジョイントブロ
ック310が接続され、流入口311の一端が入口流路
の一端に位置する下入口冷媒室342に、流出口312
の一端が下出口冷媒タンク部343に、それぞれ接続さ
れている。熱交換部320の他の片側には冷媒蒸発部3
50が隣接して設けられている。入口流路の他端に位置
する上入口冷媒室340は入口タンク部370に接続さ
れ、上出口冷媒タンク部341は出口タンク部371に
接続されている。
【0050】なお、図25における斜線は、冷媒の気液
二相の割合を模式的に例示するものである。熱交換部3
20及び冷媒蒸発部350の具体的な構造並びにそれら
における冷媒の流れを図28乃至図36に基づき以下詳
細に説明する。
【0051】熱交換部320は、図28に示す板状アル
ミ製のプレート321をろう付して複数積層し、その積
層によって形成された空隙に冷媒を流す構造とされてい
る。図29は図28のA−A線矢視断面図であり、図3
0は図28のB−B線矢視断面図である。なお、図28
のA−A線矢視断面の形状と略等しいC−C線矢視断面
における各部の符号を図29に括弧を付して示す。
【0052】プレート321は、上下に長い矩形状の平
板に凹凸を形成したものであり、後述する下部に穿設さ
れた円孔325が上部に穿設されていない点を除き、上
下対称である。プレート321の中央には、上下方向に
延びる複数の溝322が形成されている。各溝322の
間及び溝322の両側部には複数の凸条が形成され、そ
れらの凸条はプレート321の裏面で複数の溝323と
なっている(図30参照)。
【0053】プレート321の下部には、左側に凹面部
324が形成され右側に凸面部326が形成されてい
る。凹面部324も凸面部326も上下方向の長さは略
等しいが、横方向は凹面部324に比べ凸面部326の
方が2倍乃至3倍長い。凹面部324には、入口冷媒を
導くための円孔325が穿設されており、凸面部326
には出口冷媒を導くための横長矩形状の横長孔327が
穿設されている。その凹面部324と凸面部326との
間及びそれらと各溝322、323との間に設けられた
接続部326aは、凹面部324と凸面部326との境
界を成すと共に、凹面部324と各溝322の一端とを
接続し、凸面部326の裏面と各溝323の一端とを接
続している。但し、1枚のプレート321に形成された
複数の溝323のうち、両側端に位置する溝323の各
端部は直接凸面部326の裏面に連なっている。
【0054】プレート321の上部には下部に対応し
て、凹面部328、凸面部329、及び接続部329a
が形成されており、凸面部329には、下部の横長孔3
27に対応する横長孔331が穿設されているが、凹面
部328に円孔は設けられていない。
【0055】プレート321として左右逆形状の2つの
型、つまり一方の型のプレート321を鏡に映したとき
の形状が他方の型のプレート321の形状となるような
2つの型のものが形成される。図31乃至図33に基づ
き、プレート321の積層状態を説明する。図31は図
27D−E線矢視図であり、図32は図27D−F線矢
視図であり、図33は図27D−G線矢視図である。熱
交換部320は、両端に位置する2枚のエンドプレート
332、333間に、2つの異なる型のプレート321
を互いに表面同士又は裏面同士向い合せた状態で複数積
層して、形成されている。その際、まず2枚の異なる型
のプレート321の裏面同士を重ねて、各円孔325同
士、各横長孔327同士、及び各横長孔331同士が重
なるようにする。さらに、そのように裏面同士重ねた2
枚のプレート321から成る組を、隣接する組毎に上下
逆にして横長孔327及び横長孔331が重なるように
積層して行く。その際、2枚のプレート321から成る
組を貫く円孔325は、積層されて隣接する組毎に上下
交互に配設されて行く。
【0056】このように複数のプレート321が積層さ
れた熱交換部320の下部において、隣接する2枚のプ
レート321間には、図31に示すように、凹面部32
4同士又は凹面部328同士が向かい合って成る下入口
冷媒室342と、接続部326aの裏面同士又は接続部
326a、329aの表面が向かい合って成る接続タン
ク326bと、凸面部326の裏面同士又は凸面部32
9の裏面同士が向かい合って成る下出口冷媒タンク34
3aとが形成されている。
【0057】また、熱交換部320の上下中程におい
て、隣接する2枚のプレート321間には、図32に示
すように、各溝322同士が向かい合って成る複数の入
口冷媒流路344と、各溝323同士が向かい合って成
る複数の出口冷媒流路345とが、それぞれ列状に形成
されている。
【0058】さらに、熱交換部320の上部において、
隣接する2枚のプレート321間には、図33に示すよ
うに、凹面部324同士又は凹面部328同士が向かい
合って成る上入口冷媒室340と、接続部326aの裏
面同士又は接続部326a、329aの表面が向かい合
って成る接続タンク329bと、凸面部326の裏面同
士又は凸面部329の裏面同士が向かい合って成る上出
口冷媒タンク341aとが形成されている。
【0059】そして積層された2枚のプレート321の
間に形成された下入口冷媒室342は、接続タンク32
6bを介して各入口冷媒流路344の一端に接続され、
各入口冷媒流路344の他端は、接続タンク329bを
介して上入口冷媒室340に接続されている。
【0060】このように接続タンク326b、329b
及び入口冷媒流路344を介して接続されている下入口
冷媒室342と上入口冷媒室340とは、積層された複
数のプレート321間において、左右に隣接する下入口
冷媒室342又は上入口冷媒室340の各々に互い違い
に、それぞれ円孔325によって連通されている。つま
り、その下入口冷媒室342が左隣の下入口冷媒室34
2に連通されている場合、その上入口冷媒室340は右
隣の上入口冷媒室340に連通されている。
【0061】また、積層された2枚のプレート321の
間に形成された下出口冷媒タンク343aは(接続タン
ク326bを介して又は直接)各出口冷媒流路345の
一端に接続され、各出口冷媒流路345の他端は(接続
タンク329bを介して又は直接)上出口冷媒タンク3
41aに接続されている。
【0062】そして、積層された複数のプレート321
間において、隣接する下出口冷媒タンク343aは、重
ねられた横長孔327、331によって連通され、熱交
換部320の下部には、エンドプレート332、333
間に並んだ複数の下出口冷媒タンク343aが全て連通
されて成る空洞状の下出口冷媒タンク部343が形成さ
れている。また、熱交換部320の上部には、前述の下
部と同様に、エンドプレート332、333間に並んだ
複数の上出口冷媒タンク341aが全て横長孔327、
331によって連通されて成る空洞状の上出口冷媒タン
ク部341が形成されている。
【0063】積層された複数のプレート321の両端
に、それぞれ重ねられるエンドプレート332、333
は、プレート321と略同じ大きさの矩形状平板であ
る。冷媒蒸発部350に接合されるエンドプレート33
2の上部には、プレート321の円孔325、横長孔3
27、331に各々対応する、円孔334及び横長孔3
35が穿設され、ジョイントブロック310に接合され
るエンドプレート333の下部には、プレート321の
円孔325、横長孔327、331に各々対応する、円
孔336及び横長孔337が穿設されている。
【0064】図31乃至図33に基づき、熱交換部32
0における冷媒の流れを説明する。図31中の矢印aで
示すように、流入口311を経て熱交換部320に流入
した入口冷媒は、円孔336を通って、エンドプレート
333と第1のプレート321(エンドプレート333
に近い側のプレート321から順に第1、第2、・・・
以下同様に称する)の間に形成された半端な下入口冷媒
室342aへ導かれる。そこから冷媒は、第1及び第2
のプレート321を貫通する円孔325を通過し、第2
及び第3のプレート321の間に形成された第1の下入
口冷媒室342(エンドプレート333に一番近い下入
口冷媒室342から順に第1、第2、・・・以下同様に
称する、また上入口冷媒室340についても同様に称す
る)に導かれる。さらに、冷媒は、第1の下入口冷媒室
342から接続タンク326bを通って第1列の入口冷
媒流路344(エンドプレート333に一番近い複数の
入口冷媒流路344の列から順に第1列、第2列、・・
・以下同様に称する)へ流れ込み上昇して(図32参
照)、接続タンク329bを通り第1の上入口冷媒室3
40へ導かれる(図33の矢印b参照)。それから冷媒
は、第3及び第4のプレート321を貫通する円孔32
5を通り、第1に隣接する第2の上入口冷媒室340へ
流入する。そこで冷媒は折り返して(180゜方向転換
して)、接続タンク326bを通り第2列の入口冷媒流
路344へ流れ込み下降して、接続タンク329bを通
って第2の下入口冷媒室342へ導かれる。さらに、冷
媒は、第5及び第6のプレート321を貫通する円孔3
25を通り、第2に隣接する第3の下入口冷媒室342
へ流入し、以上説明したのと同様な折り返し、及び上昇
・下降を繰り返す。なお、蒸発器301では、エンドプ
レート332、333間に18枚のプレート321を積
層して熱交換部320を構成しているので、入口流路を
通過する入口冷媒は8回折り返すこととなる。
【0065】このように入口冷媒は、2枚のプレート3
21の間に形成された下入口冷媒室342、接続タンク
326b、入口冷媒流路344、接続タンク329b及
び上入口冷媒室340から成る流路列を通って同様に構
成された隣接する流路列へ折り返して流れ込み上昇と下
降とを繰り返す。このことで、入口冷媒は、それらの流
路内での圧力損失によって減圧されるとともに出口冷媒
と熱交換されることにより、低温化する。そして、減圧
され低温化した入口冷媒の大部分が液状態となって、エ
ンドプレート332に至り、円孔334を通って冷媒蒸
発部350へ導かれる。
【0066】一方、図33中の矢印cで示すように、冷
媒蒸発部350で完全に気化する前の状態(乾き度が1
未満)とされた出口冷媒は、エンドプレート332の横
長孔335を通って、上出口冷媒タンク部341に送り
込まれる。そこから出口冷媒は、大部分が各接続タンク
329bを通って(一部は各接続タンク329bを通過
せず直接に)出口冷媒流路345の各列へ流れ込み(図
32参照)、図31に矢印dで示すように大部分が各接
続タンク326bを通って(一部は各接続タンク326
bを通過せず直接に)下出口冷媒タンク部343に導か
れ合流して、エンドプレート333の横長孔337を通
過し流出口312から流出する。
【0067】このとき出口冷媒は、上述のごとく流れる
入口冷媒と熱交換して、乾き度が1以上の過熱蒸気に変
わる。以上のように熱交換部320で、1枚のプレート
321を隔てて隣接する、入口流路としての下入口冷媒
室342、入口冷媒流路344、上入口冷媒室340及
び接続タンク326b、329bと、出口流路としての
上出口冷媒タンク部341、出口冷媒流路345、下出
口冷媒タンク部343及び接続タンク326b、329
bとを、それぞれ入口冷媒と出口冷媒とが通過する間
に、プレート321の壁面を介して熱交換が行われる。
【0068】図34乃至図36に基づき、冷媒蒸発部3
50の構造及びそこでの冷媒の流れについて説明する。
冷媒蒸発部350は、図34に示すプレート352をろ
う付けにより複数積層し、向かい合った2枚のプレート
352同士の間に冷媒の流路を構成すると共に、隣接す
るプレート352の隙間の各々に、外気及び冷媒の間で
の熱交換の促進を図るための波板状のフィン351を装
着してろう付けした構造とされている。その積層状態の
断面を図35(図26のH−H線での断面正面図)、及
び図36(図34、図35のJ−J線での断面平面図)
に示す。
【0069】プレート352は、略矩形板状で、その上
部に略円筒状の入口タンク353と横長筒状の出口タン
ク354とが形成されている。入口タンク353は、熱
交換部320から送られてきた冷媒が導入される部位で
あり、上入口冷媒室340に対応する位置に設けられ、
入口タンク353の中央には円孔355が穿設されてい
る。出口タンク354は、熱交換部320へ冷媒を送り
出す部位であり、上出口冷媒タンク部341に対応する
位置に設けられ、その出口タンク354の中央には横長
孔356が穿設されている。
【0070】また、プレート352の中央部には、外周
に対してくぼんだ中央凹面部357が形成されており、
中央凹面部357には、冷媒の伝熱促進のための複数の
クロスリブ358と、冷媒を下方に導き更に方向転換し
て出口タンク354に導く中央隔壁359とが、それぞ
れ凸状に形成されている。この中央隔壁359は、冷媒
の圧力損失を均一にするため冷媒の蒸発による膨張に合
わせて斜め方向に形成されている。このような形状のプ
レート352は、左右ほぼ逆形状の2つの型、つまり一
方の型のプレート352を鏡に映したときの形状が他方
の型のプレート352の形状となるような2つの型のも
のが形成される。但し、その2つの型のプレート352
において、クロスリブ358は、2つの型のプレート3
52を向かい合わせたときに、互いに交差する方向に形
成されている。
【0071】図35及び図36に示すように、冷媒蒸発
部350は、蒸発器301の片端面となるエンドプレー
ト61と熱交換部320のエンドプレート332との間
で、異なる型の2枚のプレート352を表面同士又は裏
面同士重ね合わせて、複数積層している。
【0072】表面同士向かい合った2枚のプレート35
2間に、各々の中央凹面部357が向かい合って成る蒸
発流路380が冷媒を導き蒸発させるために形成され、
また各入口タンク353及び各出口タンク354が各々
向かい合って成る筒状の室が形成されている。複数のプ
レート321が積層された状態で、隣接する筒状の室同
士が円孔355及び横長孔356によって連通され、そ
れによって空洞状の入口タンク部370及び出口タンク
部371が形成されている。
【0073】そして、フィン351は、複数の積層され
たプレート352の隣接する裏面同士の隙間に装着さ
れ、複数の蒸発流路380の各列間に配設された状態と
されている。そのフィン351の各々には、細い溝36
2が複数形成され、冷媒と室内空気との熱交換の促進が
図られている。
【0074】そのようなフィン351の隙間を通過する
室内空気と、蒸発流路380を流れる冷媒とが熱交換
し、室内空気が冷却されると同時に冷媒は一部が気化し
等温膨張を続ける。プレート352を積層したときのプ
レート352内での冷媒の流れの概略を図34の矢印
e、f、及びgで示す。熱交換部320から送られてき
た冷媒は、入口タンク部370から各蒸発流路380に
分配されて下方に向かって流れ(矢印e)、更に下部で
方向転換して上方に向い(矢印f)、出口タンク部37
1に流れ込み(矢印g)、合流して熱交換部320へ送
られる。冷媒は、入口タンク部370から各蒸発流路3
80を経て出口タンク部371へと送られる際、2枚の
プレート352が向かい合うことにより交差したクロス
リブ358により、分散させられ各蒸発流路380の全
体に冷媒が広く行き渡る。それによって、フィン351
を介した室内空気と冷媒との熱交換の促進が図られてい
る。
【0075】尚、本実施例においても、図34に示され
るプレート352の中央隔壁359をプレート352の
中央に設け、冷媒流路が入口タンク353から出口タン
ク354まで同一幅となるようにしてもよい。次に、以
上のように構成された蒸発器301での冷媒の状態を、
図25及び冷凍サイクル上での冷媒の状態を表すモリエ
ル線図である図37を用いて説明する。
【0076】図示しない圧縮機により圧縮(線m部分)
された高温・高圧の冷媒は、図示しない凝縮器で放熱
(線n部分)され、気体状冷媒から液冷媒へと相変化す
る。そして、従来の冷凍サイクルでは、液冷媒を膨張弁
により、線oに沿って点Wまで膨張させているので、気
体と液体との気液二相状態となった冷媒が積層型蒸発器
の複数に分岐した各流路へ導かれる。そのため、従来の
蒸発器内全体への冷媒の分配が均等に行なわれない。
【0077】そこで、第1実施例の蒸発器301の熱交
換部320では、前述したように入口冷媒が、下入口冷
媒室342→接続タンク326b→入口冷媒流路344
→接続タンク329b→上入口冷媒室340から成る流
路列を通過し、その流路列と同様に構成された隣接する
流路列へ折り返して流れ込み、上昇・下降を繰り返す構
造を採用して、そのような複数の流路列から成る入口流
路内での圧力損失によって入口冷媒を蒸発圧力まで減圧
し低温化すると共に、その入口流路とプレート321の
壁面を隔てて配設された出口流路としての上出口冷媒タ
ンク部341(→接続タンク329b)→出口冷媒流路
345(→接続タンク326b)→下出口冷媒タンク部
343を通過する出口冷媒と、入口冷媒とを熱交換させ
ることによって、入口冷媒を線p上に沿って点Xまで変
化させ、即ち液相側へシフトさせ、その大部分を液化し
ている(図37中の乃至の数字は入口流路を通過す
る入口冷媒が折り返す回数を示し、折返しを重ねる度に
入口冷媒が減圧されると共に低温化して行く様子を示
す)。このように入口流路を通過することによって大部
分が液化した入口冷媒は、冷媒蒸発部350へ導かれ
る。その冷媒蒸発部350では、図25に模式的に示す
ように、液冷媒の上方に位置する気体状冷媒が熱交換部
320に近い側の蒸発流路380に全て流れ込むため、
その他の多くの蒸発流路380には液単相の冷媒が導か
れ、それによって冷媒蒸発部350全体への冷媒の分配
は均等に行なわれる。冷媒蒸発部350で、冷媒は各蒸
発流路380を通過する際、フィン351を介して室内
空気と熱交換し蒸発(線r1,r2部分)して等温膨張
する。蒸発流路380を経て出口タンク部371で合流
した出口冷媒は、蒸発完了前(点Z)の状態で、熱交換
部320へ送り込まれる。その出口冷媒は、熱交換部3
20で入口冷媒と熱交換してスーパヒートを得て過熱蒸
気となり(線s部分)、感温筒401を経て図示しない
圧縮機へ送られる。
【0078】結局、熱交換部320では、図37の線p
上の入口冷媒と線s上の出口冷媒とを熱交換している。
つまり冷媒蒸発部350から熱交換部320へ送り込む
出口冷媒は蒸発完了前の状態で良いため、冷媒蒸発部3
50では冷媒が過熱蒸気になるまで室内空気と熱交換さ
せる必要がなく、従って、冷媒蒸発部350の入口側か
ら出口側までの間の冷媒の温度を一定に維持することが
可能である。しかも液相側へシフトさせて、冷媒蒸発部
350内でのドライアウトを防止しているので、熱交換
効率を全体に向上させ、かつ均一なものとしている。更
に、冷媒蒸発部350から送り出された出口冷媒を熱交
換部320で入口冷媒と熱交換させることによって、出
口冷媒にスーパヒートを与えている。このことから、冷
媒蒸発部350内で冷媒が液相側へシフトしているにも
かかわらず、冷媒は熱交換部320内部で完全に過熱蒸
気に変化し、圧縮機に液体状の冷媒が到達するのを防止
できる。
【0079】以上詳述したように、第1実施例の積層型
蒸発器301によれば、熱交換部320を設け、入口流
路を折り返し構造(即ち、下入口冷媒室342→接続タ
ンク326b→入口冷媒流路344→接続タンク329
b→上入口冷媒室340・・・という構造、以下同様で
ある)として、入口流路を通過する入口冷媒が何度も折
り返すことによって、その流路内圧力損失に基づき入口
冷媒を蒸発圧力まで減圧すると共に、プレート321の
壁面を介して入口冷媒と出口冷媒とを熱交換させ、入口
冷媒を冷却し液相側へシフトさせて大部分を液化状態で
各蒸発流路380へ導いているため、各蒸発流路380
へ冷媒をほぼ均一に分配し、ドライアウトを防止するこ
とができる。それによって、冷媒蒸発部350での冷媒
による車室内空気の冷却効率を高め、蒸発器301の熱
交換性能を向上させることができる。
【0080】なお、前述した入口流路の折り返し構造に
より、出口流路の流路断面積に比べ、入口流路の流路断
面積は著しく狭くなっているため、出口冷媒の方がガス
率が高い分だけ容積が大きいことを差し引いても、出口
流路を流れる出口冷媒の流速に比べ入口流路を流れる入
口冷媒の流速は極めて速く、そのような入口冷媒の流速
増大に基づく入口冷媒の減圧率の向上、及び入口冷媒と
プレート321壁面との熱伝達効率の向上による熱交換
部320での入口冷媒と出口冷媒との熱交換効率の向上
も図られている。
【0081】しかも、そのように熱交換部320で入口
冷媒と出口冷媒とを熱交換させることによって出口冷媒
にスーパヒートを与え過熱蒸気としているので、液体状
の冷媒が圧縮機に到達するのを防止できる。このように
冷媒蒸発部350では冷媒が過熱蒸気になるまで室内空
気と熱交換させる必要がない。
【0082】従って、冷媒蒸発部350の入口側から出
口側までの間で冷媒の温度を一定に維持し、その冷媒と
フィン351を介して熱交換される車室内空気の温度を
均一にし、かつ十分に冷却して使用者に不快感を与えな
いようにすることができる。また、第1実施例の積層型
蒸発器301の装置構成は、従来の積層型蒸発器である
冷媒蒸発部350の横に熱交換部320を設け、その横
に膨張弁400,感温筒401を設けるという簡明なも
のとなっている。それ故、従来の冷凍システムに第1実
施例を用いても、ほとんどシステムの変更を必要としな
い。さらに、積層型蒸発器301は、その上流端に膨張
弁400を備えるので、積層型蒸発器301の各構成部
品を高耐圧仕様とする必要もない。
【0083】加えて、第1実施例の積層型蒸発器301
では、膨張弁400と感温筒401との間である熱交換
部320において熱交換を行なうため、膨張弁400に
よる制御の下で安定した熱交換を行うことにより、良好
な制御性を維持することができる。
【0084】さらに、積層型蒸発器301の熱交換部3
20において、出口冷媒は出口冷媒流路345を上から
下へ流れるため、入口冷媒が入口冷媒流路344を下か
ら上へ出口冷媒と逆方向に流れる場合、入口冷媒と出口
冷媒との間での熱交換は一層促進される。
【0085】なお、第1実施例において、熱交換部32
0の隣接する2枚のプレート321の背中合わせの凹面
部328を貫く円孔を設けることにより、又は横長孔3
27、331を盲板等を用いて塞ぐことによって、入口
冷媒と出口冷媒との流路を変更して、熱交換部320に
おける熱交換量を調整し、出口冷媒が得るスーパヒート
の調整等を図ることも可能である。
【0086】また、第1実施例ではプレート321とし
て左右逆の2つの形状のものを用いているが、プレート
321の形状を1つで済ませるため円孔325に対応す
る円孔を凹面部328にも設けた完全に上下対称のプレ
ートを用い、そのプレートを積層する際、上下何れかで
円孔325、328を盲板等により塞ぐようにしても良
い。
【0087】次に図38乃至図44に基づき本発明の第
2実施例について説明する。なお、第1実施例と同様の
構造には、図面に対応する符号を付すにとどめ説明を省
略する。第1実施例の蒸発器301は熱交換部320
で、入口冷媒が、2枚の隣接するプレート321間の流
路列(下入口冷媒室342→接続タンク326b→入口
冷媒流路344→接続タンク329b→上入口冷媒室3
40)を通過し、その流路列と同様に構成された隣接す
る流路列へ流れ込む際に折り返す構造としていたのに対
し、第2実施例の積層型蒸発器402は熱交換部420
で、第1実施例と同様の折り返し構造に加え、2枚の隣
接するプレート421の間に構成された流路内でも入口
冷媒が折り返す構造を採用して、入口流路における入口
冷媒の減圧率を高めている。
【0088】第2実施例の蒸発器の外観は、第1実施例
の各々平面図及び正面図である図26及び図27に示さ
れている外観と略同様であり、その熱交換部420は、
図42乃至図44に示すように、エンドプレート43
2、433の間に複数のプレート421をろう付けし積
層して成り、隣接するプレート421間に流路を形成し
冷媒を通過させている。
【0089】プレート421は、図38に正面を、図3
9乃至図41に図38A−A矢視断面乃至C−C矢視断
面を各々示すように、上下に長い矩形状平板の表面及び
裏面に凹凸が設けられ、後述する下部に穿設された小横
長孔425が上部に穿設されていない点を除き、上下対
称の形状とされている。
【0090】プレート421の表面には端縁の少し内側
に、その端縁に沿った略環状の凸部としてリム部439
が形成され、積層されたプレート421のリム部439
同士が接合されることにより、複数のプレート421間
を流れる冷媒が外部に漏れ出ないようにされている。
【0091】またリム部439がプレート421の平坦
な中央部に延び出すことにより、複数の中央凸条459
a、459b、459c、459dが形成され、その平
坦な中央部には、中央凸条459a、459b、459
c、459dで仕切られて成るヘアピン状に屈曲しつつ
1本に連なった流路部457が形成されている。なお、
流路部457の各幅は、プレート421の幅の約1/3
程として形成されている。前述の中央凸条は、リム部4
39の一側端中程からプレート421の中央部に向かっ
て水平にプレート421の幅方向約2/3の長さまで延
び出した中央凸条459a、その延び出した中央凸条4
59aの先端で更に上下方向に分かれて垂直に流路部4
57の上下端から流路部457の幅の長さを余す位置ま
で延び出した中央凸条459b、上部のリム部439か
ら下方に延び出して中央凸条459bと前述のリム部4
39の一側端との中間で双方に平行に中央凸条459a
から流路部457の幅を余す位置まで至った中央凸条4
59c、及び中央凸条459cと上下対称に形成された
中央凸条459dから成る。
【0092】また各流路部457には、プレート421
の剛性を高め流路部457に沿って流れる冷媒とプレー
ト421の壁面との熱伝達効率を向上させると共に後述
する流路内圧力損失を大きくするため、プレート421
の表面に対し凹溝とされたクロスリブ458が、各流路
部457の両側端部を少し余す長さで斜めに複数形成さ
れている。
【0093】流路部457とプレート421の下端との
間には、熱交換部420に送り込まれた入口冷媒を導く
ための小横長孔425、及び出口冷媒を導くための大横
長孔427が横並びに穿設されている。小横長孔425
の周囲には小横長孔425より少しくぼんだ環状凹部4
24が形成されている。また大横長孔427の周囲には
平坦な環状平坦部426が形成されている。環状平坦部
426の周囲は前述のリム部439が延び出しており、
そのリム部439により環状凹部424と環状平坦部4
26とが仕切られている。
【0094】また流路部457とプレート421の上端
との間には、下部に対応して、大横長孔431が穿設さ
れ、環状凹部428及び環状平坦部429が形成されて
いるが、小横長孔は穿設されていない。そしてプレート
421において、環状凹部428は流路部457の一端
に連なり、環状凹部424は流路部457の他端に連な
っている。
【0095】このようなプレート421には、第1実施
例のプレート321同様、左右逆形状の2つの型のもの
が形成される。但し、その2つの型のプレート352に
おいて、クロスリブ458は、2つの型のプレート42
1を向かい合わせたときに、互いに交差する方向に形成
されている。
【0096】図42乃至図44に基づき、プレート42
1の積層状態を説明する。プレート421の積層手順
は、第1実施例でのプレート321の積層手順に準じて
行なわれ、まず2枚の異なる型のプレート421の裏面
同士を重ねて組とし、その組を貫く小横長孔425が、
重ねられて隣接する組毎に上下交互に配設されると共
に、積層された複数のプレート421の上部と下部と
で、大横長孔427、431が重なって全てのプレート
421を貫通し、それによって後述の上出口冷媒タンク
及び下出口冷媒タンク443aをそれぞれ連通して成る
空洞状の上出口冷媒タンク部(図示しない)及び下出口
冷媒タンク部443が形成されている。
【0097】このように複数のプレート421が積層さ
れた熱交換部420の下部では、図38のA−A線矢視
(及び対応するプレート421の上部)での積層断面が
表れている図42に示すように、隣接する2枚のプレー
ト421間に、環状凹部424及び環状凹部428が向
かい合って成る下入口冷媒室442と、リム部439及
び環状平坦部426の裏面同士が向かい合って成る又は
リム部439及び環状平坦部426の裏面同士が向かい
合って成る下出口冷媒タンク443aとが形成されてい
る。なお、熱交換部420の上部には、前述した下部と
同様な構造で、図示しない上入口冷媒室と上出口冷媒タ
ンクとが形成されている。
【0098】また、熱交換部420の上下中程では、図
38のC−C線矢視での積層断面が表れている図44に
示すように、隣接する2枚のプレート421間に、中央
凸条459a及び流路部457の裏面同士が向かい合っ
て成る出口冷媒流路445と、流路部457が向かい合
って成る入口冷媒流路444cとが形成されている。
【0099】さらに、熱交換部420の下部と中程との
中間では、プレート421のB−B線矢視断面(及びそ
の断面に対応する上部断面)における積層断面が表れて
いる図43に示すように、隣接する2枚のプレート42
1間に、流路部457同士が向かい合って成る入口冷媒
流路444a、444b、444cと、中央凸条459
a及び流路部457の裏面同士が向かい合って成る出口
冷媒流路445とが形成されている。
【0100】このように形成された第2実施例の蒸発器
の熱交換部420では、第1実施例と同様に、入口冷媒
は、2枚のプレート421の間に形成された下入口冷媒
室442→入口冷媒流路444a、444b、444c
→上入口冷媒室から成る流路列を通過して、その流路列
と同様に構成された隣接する流路列へ折り返して流れ込
み、上昇・下降を繰り返す。その際、入口冷媒は、出口
流路としての上出口冷媒タンク部→出口冷媒流路445
→下出口冷媒タンク部443を通過する出口冷媒と、プ
レート421の壁面を介して熱交換する。
【0101】それと共に、熱交換部420では、入口冷
媒が、2枚のプレート421の間に形成された前述の流
路列を通過する際にも、何度も折り返して上昇・下降を
繰り返すので、流路列が複数連なって成る入口流路を入
口冷媒が通過するときの減圧率は一層高められる。
【0102】具体的には、図38に矢印で示すように、
入口冷媒は、まず2枚のプレート間の下部において、下
入口冷媒室442から、リム部439及び中央凸条45
9dの間の入口冷媒流路444aを上昇して、中央凸条
459aに沿って折り返し(矢印イ)、中央凸条459
b及び中央凸条459dの間の入口冷媒流路444bを
下降して、流路部457の下端を成すリム部439に沿
って折り返し(矢印ロ)、中央凸条459b及びリム部
439の間の入口冷媒流路444cを上昇する。更に同
一の2枚のプレート間の上部でも同様な入口冷媒の折返
し及び上昇・下降が繰り返され、上入口冷媒室に至る。
このように、入口冷媒が、2枚のプレート間に形成され
た流路列で4回(下部で2回及び上部で2回)折り返し
て上昇・下降を繰り返すことにより、流路内圧力損失は
更に大きくなり、入口流路での入口冷媒の減圧率を高め
ることができる。
【0103】また、以上のように2枚のプレート421
間で何度も屈曲させて構成された第2実施例における入
口流路は、第1実施例のものに比べ流路断面積が狭いの
で、入口流路での入口冷媒は更に増速され、それによっ
て入口冷媒の減圧率は一層高められる。
【0104】さらに、第1実施例に比べ第2実施例の入
口流路は、2枚のプレート421間で何度も屈曲させて
いる分だけ流路の長さも長くなっており、加えてクロス
リブ458が流路壁の凹凸を構成するため、その入口流
路を通過する入口冷媒の流路内圧力損失は一層大きくな
る。
【0105】このような第2実施例を用いた場合、入口
冷媒に入口流路を通過させ蒸発圧力まで減圧すること
が、第1実施例を用いた場合よりも容易であるため、前
述した第1実施例の効果と同様な効果を一層増進させる
ことが可能である。第2実施例では、前述のように中央
凸条459a〜dを設け入口冷媒流路444a〜cを構
成することによって、2枚のプレート421間で入口冷
媒が4回折り返すようにしているが、さらに、中央凸条
459a〜dの他に中央凸条を設け2枚のプレート42
1間での入口冷媒流路の屈曲回数を増やすことによっ
て、入口冷媒の入口流路における減圧率を一層高めるこ
とができる。
【0106】本実施例で入口流路における流路内圧力損
失により行っている入口冷媒の減圧は、そのような流路
内圧力損失による代わりに入口流路と蒸発流路との間に
部分的な固定絞りを設けることによっても実現可能であ
るが、本実施例では、部分的な固定絞りを設けることな
しに、上述したような流路内圧力損失によって十二分な
入口冷媒の減圧を図ることが可能である。
【0107】なお、第2発明の各実施例の積層型蒸発器
では、冷媒蒸発部350、450及び熱交換部320、
420を一体型としているが、冷媒蒸発部350、45
0と熱交換部320、420とを分離して配管等により
接続した別置タイプにしてもよい。例えば、自動車用エ
アコンの場合、冷媒蒸発部350を車室内に、熱交換部
320を車室外に設置して配管接続しても良い。 [第3発明の実施例]次に第3発明の実施例を説明す
る。
【0108】図45に第1実施例の冷凍サイクル装置5
00の構成図を示す。本冷凍サイクル装置500は、圧
縮機(コンプレッサ)501、凝縮器(コンデンサ)5
03、受液器(レシーバ)505、膨張弁507、熱交
換器509、固定開度の絞り弁511、および冷媒蒸発
流路(エバポレータ)513を備えている。
【0109】この内、膨張弁507、熱交換器509、
固定開度の絞り弁511、および冷媒蒸発流路(エバポ
レータ)513の組合せは蒸発器として、第1発明の各
実施例が使用できる。膨張弁507は、熱交換器509
と圧縮機501との間に配置した感温筒507aを備
え、その位置の過熱度を弁開度に反映させている。即
ち、膨張弁507は、熱交換器509から出てきて圧縮
機501へ向かう冷媒の過熱度が、常に所定過熱度に維
持されるように、冷媒の流量をコントロールすることに
より、室内温度の変動や圧縮機501の回転速度の変動
に対応している。このことにより、冷媒蒸発流路513
により冷却されて吹き出す空気の温度が所定温度に維持
される。尚、膨張弁507が第1の減圧手段に該当し、
固定開度の絞り弁511が第2の減圧手段に該当する。
【0110】上記所定過熱度は、圧縮機501に液体状
の冷媒が到達しないように十分に高い値に設定してある
とともに、冷媒蒸発流路513から熱交換器509内へ
導入された冷媒(出口冷媒)が熱交換器509内で、乾
き度1未満の状態から、乾き度1以上である過熱蒸気に
変化するように設定してある。
【0111】このような設定は、膨張弁507の調整機
構や固定開度の絞り弁511の開度等の調整によりなさ
れる。本実施例はこのように構成されていることによ
り、第1発明の図15,図22と同様な冷凍サイクルが
実現される。
【0112】第1実施例の冷凍サイクル装置500によ
れば、熱交換器509および絞り弁511を設け、更に
膨張弁507により熱交換器509内で、出口冷媒が乾
き度1未満の状態から、乾き度1以上である過熱蒸気に
変化するように設定したことにより、冷媒蒸発流路51
3において内面がドライアウトすることを防止でき、熱
交換効率を高めることができる。この結果、冷媒蒸発流
路513全域の冷媒と室内空気との熱交換効率を均一に
することができ、冷媒蒸発流路513から吹き出す室内
空気の温度を均一かつ十分に低下させることができる。
【0113】次に他の実施例について説明する。尚、第
1実施例と機能が同一の部分は同一の符号を付けて説明
は省略する。図46に第2実施例の冷凍サイクル装置5
20の構成図を示す。本冷凍サイクル装置520は、圧
縮機(コンプレッサ)501、凝縮器(コンデンサ)5
03、受液器(レシーバ)505、熱交換器509、固
定開度の絞り弁511、および冷媒蒸発流路(エバポレ
ータ)513を備え、膨張弁の代わりに固定開度の絞り
弁527を備えている。
【0114】この様な構成では、熱交換器509から出
てきて圧縮機501へ向かう冷媒の過熱度が、常に所定
の過熱度に維持されるように、圧縮機501の回転速度
を調節することにより、第1実施例と同様な効果を生じ
させることが出来る。また、熱交換器509と冷媒蒸発
流路513との間にある固定開度の絞り弁511の代わ
りに、第1実施例と同じ位置に感温筒を有する膨張弁を
備えれば、第1実施例と同様に冷媒流量の調整が可能と
なる。
【0115】図47に第3実施例の冷凍サイクル装置5
30の構成図を示す。本冷凍サイクル装置530は、第
1実施例と異なり、膨張弁507が備えられていない。
従って、圧縮機501の能力や固定開度の絞り弁511
の開度等の調整、あるいはその他の構成の適宜なされる
設定により、図48に示す冷凍サイクルが実現される。
【0116】この冷凍サイクルでは、圧縮機501によ
り圧縮された(図中線a−b部分)高圧の冷媒は、凝縮
器503で放熱し(図中線b−c部分)、気体状冷媒か
ら液体状冷媒へと相変化する。更に熱交換器509によ
り冷却されて(図中線c−e部分)完全に液化される。
そして、絞り弁511により膨張させている(図中線e
−f部分)。次に冷媒蒸発流路513内で冷媒の一部が
気化しつつ室内空気と熱交換する(図中線f−g部
分)。更に熱交換器509により加熱されて(図中線g
−a部分)、乾き度が1未満から1以上に変化し完全に
気化される。
【0117】本実施例では、熱交換器509で入口冷媒
と出口冷媒を熱交換させることで入口冷媒を冷却して
(c−e線)、冷媒を液相方向へシフトしている。この
ため、冷媒は完全に液体となり、冷媒蒸発流路513内
でも液体状態が十分に維持され(f−g線)、冷媒蒸発
流路513内でドライアウト状態とはならない。従っ
て、冷媒蒸発流路513での熱交換効率を全体に向上さ
せ、かつ均一なものとしている。更に、冷媒蒸発流路5
13から送り出された出口冷媒を熱交換器509で入口
冷媒と熱交換させることによって、出口冷媒にスーパヒ
ートを与えている。このことから、冷媒蒸発流路513
内では冷媒が液相側へシフトしているにもかかわらず、
冷媒は熱交換器509内部で乾き度1未満から1以上に
変化して完全に過熱蒸気となり、圧縮機501に液体状
の冷媒が到達するのを防止できる。
【0118】本実施例の絞り弁511の代わりに、熱交
換器509と圧縮機501との間に感温筒を有する膨張
弁を備えれば、第1実施例と同様に冷媒流量の調整が可
能となる。図49に第4実施例の冷凍サイクル装置54
0の構成図を示す。本冷凍サイクル装置540は、第1
実施例と異なり、膨張弁507の代わりに開度固定の絞
り弁541が備えられている。また、冷媒蒸発流路51
3の上流側の絞り弁511がなく下流側に固定開度の絞
り弁543が設けられている点が異なる。
【0119】従って、圧縮機501の能力や固定開度の
絞り弁541,543の開度等、あるいはその他の構成
の適宜なされる設定により、図50に示す冷凍サイクル
が実現される。この冷凍サイクルでは、圧縮機501に
より圧縮された(図中線a−b部分)高圧の冷媒は、凝
縮器503で放熱し(図中線b−c部分)、気体状冷媒
から液体状冷媒へと相変化する。次に絞り弁541にて
膨張させて(図中線c−d部分)、冷媒は低温の気液二
相状態となる。更に熱交換器509により冷却されて
(図中線d−e部分)完全に液化される。この熱交換器
509では流路の圧力損失が無視できないため、線d−
eは傾いている。次に、冷媒蒸発流路513内で冷媒の
一部が気化しつつ室内空気と熱交換する(図中線e−f
部分)。次に絞り弁543により膨張させている(図中
線f−g部分)。次に熱交換器509により加熱されて
(図中線g−a部分)、乾き度が1未満から1以上に変
化し完全に気化される。前述したごとく、この熱交換器
509では圧力損失が無視できないため、線g−aは傾
いている。
【0120】本実施例でも第1実施例と同様に、熱交換
器509で入口冷媒と出口冷媒を熱交換させることで入
口冷媒を冷却して(d−e線)、冷媒を液相方向へシフ
トしている。このため、冷媒は完全に液体となり、冷媒
蒸発流路513内でも液体状態が十分に維持され(e−
f線)、冷媒蒸発流路513内でドライアウト状態とは
ならない。従って、冷媒蒸発流路513での熱交換効率
を全体に向上させ、かつ均一なものとしている。更に、
冷媒蒸発流路513から送り出された出口冷媒を、絞り
弁543を介して膨張させた後、熱交換器509で入口
冷媒と熱交換させることによって、出口冷媒にスーパヒ
ートを与えている。このことから、冷媒蒸発流路513
内で冷媒が液相側へシフトしているにもかかわらず、冷
媒は熱交換器509内部で乾き度1未満から1以上に変
化して完全に過熱蒸気となり、圧縮機501に液体状の
冷媒が到達するのを防止できる。
【0121】本実施例の絞り弁541の代わりに、熱交
換器509と圧縮機501との間に感温筒を有する膨張
弁を備えれば、第1実施例と同様に冷媒流量の調整が可
能となる。また、絞り弁541はそのままとして、もう
一方の絞り弁543の代わりに、熱交換器509と圧縮
機501との間に感温筒を有する膨張弁を備えても、第
1実施例と同様に冷媒流量の調整が可能となる。
【0122】尚、熱交換器509内の流路で圧力損失が
ほとんど無い場合には、d−e線およびg−a線はエン
タルピの座標軸に平行になる。図51に第5実施例の冷
凍サイクル装置550の構成図を示す。本冷凍サイクル
装置550は、第1実施例と異なり、膨張弁507の代
わりに冷媒の流動抵抗となる螺旋状のキャピラリ551
が備えられている。また、熱交換器553は入口冷媒流
路553aが流動抵抗が高く設定されている。更にアキ
ュムレータ555が熱交換器553と圧縮機501との
間に設けられている。
【0123】従って、圧縮機501の能力、キャピラリ
551の流動抵抗、熱交換器553の入口冷媒流路55
3aの流動抵抗、あるいはその他の構成の適宜なされる
設定により、図52に示す冷凍サイクルが実現される。
この冷凍サイクルでは、圧縮機501により圧縮された
(図中線a−b部分)高圧の冷媒は、凝縮器503で放
熱し(図中線b−c部分)、気体状冷媒から液体状冷媒
へと相変化する。次にキャピラリ551にて膨張させて
(図中線c−d部分)、冷媒は低温の気液二相状態とな
る。更に熱交換器553により減圧されつつ冷却されて
(図中線d−e部分)完全に液化される。そして、冷媒
蒸発流路513内で冷媒の一部が気化しつつ室内空気と
熱交換する(図中線e−f部分)。次に熱交換器553
により加熱されて(図中線f−a部分)、乾き度が1未
満から1以上に変化し完全に気化される。
【0124】本実施例では、熱交換器553で入口冷媒
と出口冷媒を熱交換させることで入口冷媒を冷却して冷
媒を液相方向へシフトしている(図中線d−e部分)。
このため、冷媒は完全に液体となり、冷媒蒸発流路51
3内でも液体状態が十分に維持され(e−f線)、冷媒
蒸発流路513内でドライアウト状態とはならない。従
って、冷媒蒸発流路513での熱交換効率を全体に向上
させ、かつ均一なものとしている。更に、冷媒蒸発流路
513から送り出された出口冷媒を、熱交換器553で
入口冷媒と熱交換させることによって、出口冷媒にスー
パヒートを与えている。このことから、冷媒蒸発流路5
13内で冷媒が液相側へシフトしているにもかかわら
ず、冷媒は熱交換器553内部で乾き度1未満から1以
上に変化して完全に過熱蒸気となり、圧縮機501に液
体状の冷媒が到達するのを防止できる。また気液を分離
して、液相のみ送り出すアキュムレータ555が存在し
ているので、一層効果的に、圧縮機501に液体状の冷
媒が到達するのを防止できるし、更に冷媒の流量調節を
実行していなくても、圧縮機501に液体状の冷媒が到
達するのを防止できる。
【0125】尚、本実施例では、熱交換器553で入口
冷媒と出口冷媒を熱交換させることで入口冷媒を冷却し
て冷媒を液相方向へシフトするとともに、流動抵抗によ
る圧力損失を利用して減圧している(図中線d−e部
分)。このように熱交換器553の入口冷媒流路が第2
減圧手段を兼ねているため冷媒蒸発流路513の前後
に絞り弁等を備える必要がない。
【0126】更にキャピラリ551を省略して、熱交換
器553の入口冷媒流路553aに、キャピラリ551
の役目を兼ねさせることもできる。この場合は、圧力の
座標軸に平行なc−d線の行程は無くなる。また本実施
例のキャピラリ551の前後、冷媒蒸発流路513の前
後に、熱交換器553と圧縮機501との間に感温筒を
有する膨張弁を備えれば、第1実施例と同様に冷媒流量
の調整が可能となる。
【0127】図53に第6実施例の冷凍サイクル装置5
60の構成図を示す。本冷凍サイクル装置560は、第
5実施例の熱交換器553の代わりに螺旋状キャピラリ
563aを入口冷媒の流路とした熱交換器563を備え
ている。この螺旋状キャピラリ563aは第5実施例の
入口冷媒流路553aと同様に作用する。
【0128】このため、圧縮機501の能力、キャピラ
リ551の流動抵抗、熱交換器553の入口冷媒の螺旋
状キャピラリ563aの流動抵抗、あるいはその他の構
成の適宜なされる設定により、前述の図52と同様な冷
凍サイクルが実現される。従って、第5実施例と同様な
効果が達成できると共に、同様な変形をして用いること
が出来る。
【0129】図54に第7実施例の冷凍サイクル装置5
70の構成図を示す。本冷凍サイクル装置570は、第
6実施例のキャピラリ551の代わりに、熱交換器56
3と圧縮機501との間に感温筒571aを有する膨張
弁571を備えている。またアキュムレータ555は存
在しない。この構成は、第2発明の積層型蒸発器を適用
した場合に該当する。
【0130】このため、膨張弁571の設定、圧縮機5
01の能力、キャピラリ551の流動抵抗、熱交換器5
53の入口冷媒の螺旋状キャピラリ563aの流動抵
抗、あるいはその他の構成の適宜なされる設定により、
前述の図52と同様な冷凍サイクルが実現される。また
アキュムレータ555がない代わりに、膨張弁571が
熱交換器563から圧縮機501へ向かう冷媒の過熱度
を適切に調節できるので、液体状の冷媒が圧縮機501
へ到達するのを十分防止できる。
【0131】従って、第5実施例と同様な効果が達成で
きる。また、第5実施例と同様な変形をして用いること
が出来る。図55に第8実施例の冷凍サイクル装置58
0の構成図を示す。本冷凍サイクル装置580は、第2
実施例の固定開度の絞り弁527の代わりに、その絞り
弁527の位置にキャピラリ581を備えている。
【0132】このため、圧縮機501の能力、キャピラ
リ581の流動抵抗、固定開度の絞り弁511の開度あ
るいはその他の構成の適宜なされる設定により、図56
に示す冷凍サイクルが実現される。この冷凍サイクルで
は、圧縮機501により圧縮された(図中線a−b部
分)高圧の冷媒は、凝縮器503で放熱し(図中線b−
c部分)、気体状冷媒から液体状冷媒へと相変化する。
更にキャピラリ581により、減圧して(図中線c−d
部分)膨張させ、熱交換器509により冷却されて(図
中線d−e部分)完全に液化される。そして、絞り弁5
11により、減圧して(図中線e−f部分)膨張させて
いる。次に冷媒蒸発流路513内で冷媒の一部が気化し
つつ室内空気と熱交換する(図中線f−g部分)。更に
熱交換器509により加熱されて(図中線g−a部
分)、乾き度が1未満から1以上に変化し完全に気化さ
れる。
【0133】従って、第2実施例と同様な効果を生じる
とともに、同様な変形が可能である。図57に第9実施
例の冷凍サイクル装置590の構成図を示す。本冷凍サ
イクル装置590は、第2実施例の固定開度の絞り弁5
27をなくして、熱交換器591の入口冷媒流路591
aを螺旋状のキャピラリとしている。この入口冷媒流路
591aは、第2実施例の固定開度の絞り弁527の作
用も生ずる。
【0134】このため、圧縮機501の能力、入口冷媒
流路591aの流動抵抗、固定開度の絞り弁511の開
度あるいはその他の構成の適宜なされる設定により、図
58に示す冷凍サイクルが実現される。この冷凍サイク
ルでは、圧縮機501により圧縮された(図中線a−b
部分)高圧の冷媒は、凝縮器503で放熱し(図中線b
−c部分)、気体状冷媒から液体状冷媒へと相変化す
る。更に熱交換器591の入口冷媒流路591aにて減
圧されながら冷却される(図中線c−e部分)。そし
て、絞り弁511により、減圧して膨張させている(図
中線e−f部分)。次に冷媒蒸発流路513内で冷媒の
一部が気化しつつ室内空気と熱交換する(図中線f−g
部分)。更に熱交換器509により加熱されて(図中線
g−a部分)、乾き度が1未満から1以上に変化し完全
に気化される。
【0135】従って、熱交換器591の上流に絞り弁が
なくても第2実施例と同様な効果を生じるとともに、同
様な変形が可能である。また、入口冷媒流路591a
は、流動抵抗を強めて、冷媒を更に減圧させるように設
定すれば、絞り弁511の役目も兼ねさせることができ
るので、絞り弁511を省略することもできる。その場
合の冷凍サイクルは図58に示した圧力座標軸に平行な
線e−fがなくなり、一点鎖線で示すごとくになる。
【0136】図59に第10実施例の冷凍サイクル装置
600の構成図を示す。本冷凍サイクル装置600は、
第1実施例に示した入口冷媒と出口冷媒とを直接熱交換
させる熱交換器509をなくして、間接的に入口冷媒と
出口冷媒とを熱交換させる熱交換器601を設けてい
る。
【0137】即ち、熱交換器601は、2つの熱交換器
607,609、空気流通路611および送風装置61
3を備えている。2つの熱交換器607,609は、空
気との熱交換器であり、それぞれ入口冷媒流路603と
出口冷媒流路605に設けられている。更にこれら2つ
の熱交換器607,609は1つの空気流通路611内
に設置され、送風装置613により出口冷媒流路605
側から入口冷媒流路603側へ空気を送っている。この
ことにより、入口冷媒と出口冷媒とが空気を介して間接
的に熱交換される。尚、送風は入口冷媒流路603側か
ら出口冷媒流路605側へ向かってもよい。この送風方
向および送風量は、熱交換に使用される空気の温度に応
じて決定すればよい。
【0138】本実施例はこのように構成されていること
により、第1発明の図15,図22と同様な冷凍サイク
ルが実現され、第1実施例と同様な効果を生じる。更
に、冷凍サイクル装置600の設計上、入口冷媒流路6
03と出口冷媒流路605とが離れていても、熱交換が
可能となる。
【0139】図60に第11実施例の冷凍サイクル装置
620の構成図を示す。本冷凍サイクル装置620は、
第10実施例の熱交換器601の代わりに液体を媒体と
する熱交換器621を設けている。即ち、熱交換器62
1は、液体との2つの熱交換器623,625、ループ
状液体流通路627および循環装置629を備えてい
る。2つの熱交換器623,625は、入口冷媒流路6
03と出口冷媒流路605に、それぞれ設けられてい
る。これら2つの熱交換器623,625は1つのルー
プ状液体流通路627の一部を熱交換のために取り込ん
でいる。このループ状液体流通路627内では、循環装
置629により、図の時計回りに液体を循環させてい
る。このことにより、入口冷媒と出口冷媒とがループ状
液体流通路627内の液体を介して間接的に熱交換され
る。尚、液体の循環方向は反時計まわりでもよい。
【0140】本実施例はこのように構成されていること
により、第1発明の図15,図22と同様な冷凍サイク
ルが実現され、第10実施例と同様な効果を生じる。図
61に第12実施例の冷凍サイクル装置630の構成図
を示す。本冷凍サイクル装置630は、第10実施例に
示した構成の内、2つの熱交換器607,609がそれ
ぞれ独立した空気流通路607a,609aを有し、そ
れぞれ独立に送風装置607b,609bが設けられて
いる点が異なる。
【0141】このことにより、第10実施例と同様な効
果を生ずるとともに、図15で示す線pおよび線s1+
s2の長さをを自由に設定できるので、冷凍サイクル制
御の自由度を高めることができる。従って、冷凍サイク
ル装置630の運転環境に応じて、2つの熱交換器60
7,609の送風装置607b,609bのいずれかを
停止して運転することもできる。
【0142】図62に第13実施例の冷凍サイクル装置
640の構成図を示す。本冷凍サイクル装置640は、
第2実施例に示した構成の内、熱交換器509をそれぞ
れ独立した冷却装置641および昇温装置645に代え
たものである。冷却装置641は、冷媒蒸発流路513
からのドレン水513aを貯留するタンク643を備
え、そのドレン水513aの中に入口冷媒流路603が
浸漬している。このため入口冷媒は冷却される。昇温装
置645は、第12実施例と同じ熱交換器647と独立
した空気流通路647aとを備えて、凝縮器503の送
風装置503aからの高温の空気を導入している。この
ため出口冷媒流路605は加熱される。このことによ
り、第2実施例と同様な効果を生じる。また送風装置5
03aの運転と、タンク643へのドレン水513aの
供給制御とを独立に行う構成とすれば、実施例12と同
様な運転方法が採用できるので、実施例12と同様な効
果を生ずる。
【0143】各実施例において、特に冷媒蒸発流路の下
流端での冷媒の乾き度が0.7〜0.85の範囲に設定
することが、熱交換性能上好ましい。また冷媒蒸発流路
の上流端での冷媒の乾き度が0.05〜0.2の範囲に
設定することも熱交換性能上好ましい。勿論、冷媒蒸発
流路の上流端での冷媒の乾き度は、0以下でもよい。
【0144】上記実施例1〜11の熱交換器509,5
53,563,591,601,621は、冷却手段と
昇温手段とを組み合わせたものに該当する。また、実施
例12の熱交換器607、実施例13の冷却装置641
が冷却手段に該当し、実施例12の熱交換器609、実
施例13の昇温装置645が昇温手段に該当する。
【0145】以上各発明の実施例について説明したが、
各発明はこのような実施例に何ら限定されるものではな
く、各発明の要旨を変更しない範囲において、当業者が
想到し得る全ての実施例を含む。勿論、各発明の各実施
例も自動車用空気調和装置分野に限らず、冷蔵庫、建築
物用空気調和装置等の分野にも適用できる。
【0146】
【発明の効果】以上詳述したように、第1発明および第
2発明の蒸発器は、適用される冷凍サイクルにおいて、
蒸発器における冷媒の乾き度を低下でき、室内空気との
熱交換効率を向上させることができると共に、液体状の
冷媒が圧縮機に到達するのを防止することができる。
【0147】第3発明の冷凍サイクル装置は、蒸発器と
室内空気との熱交換効率を向上させることができると共
に、液体状の冷媒が圧縮機に到達するのを防止すること
ができる。この結果、各発明とも、室内空気を均一にか
つ十分に冷却することができ、室内に居る者に不快感を
与えることがない。また、第1発明、第2発明、及び第
3発明ともに、蒸発器の上流端に減圧手段(第1の減圧
手段)が設けられ、さらに蒸発器内部に絞り弁等の別の
減圧手段(第2の減圧手段)が設けられている。 このよ
うに2段に減圧する構成を有するため、蒸発器の内部に
一つの減圧手段を設けるタイプの従来の構成と異なり、
蒸発器内の入口流路(熱交換部)を低圧部品にて構成す
ることができる。このため、入口流路の耐圧強度を冷媒
蒸発流路と同程度にまで低く構成することができる。こ
の結果、熱交換部に耐圧強度の高い高価な部品を使用す
る必要がなくなる。 また、このように2段に減圧してそ
の1段目と2段目の間で熱交換をさせる構成となってい
るため、入口流路と出口流路との間に圧力差を設けるこ
とができる。これにより、入口流路と出口流路との間に
はこの圧力差に伴う温度差が生じる。また、1段の減圧
手段により減圧する従来の構成と異なり段階的に減圧す
ることができるため、1段目の減圧手段による圧力の低
減量を小さくすることができる。このため、入口流路に
おいて冷媒が気液二相状態である領域を設けることがで
き、その間の熱伝達率を高く保持することができる。以
上の結果、良好な熱交換性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1発明の第1実施例における蒸発器の動作
を説明する模式図である。
【図2】 上記実施例の蒸発器の平面図である。
【図3】 上記蒸発器の正面図である。
【図4】 上記蒸発器のプレートの正面図である。
【図5】 上記プレートの図4A−A線断面図である。
【図6】 上記プレートの図4B−B線断面図である。
【図7】 上記プレートの図4A−A線での積層状態を
表す断面平面図である。
【図8】 上記プレートの図4B−B線での積層状態を
表す断面平面図である。
【図9】 上記実施例の蒸発器を図3D−E線から見た
矢視図である。
【図10】 上記蒸発器を図3D−F線から見た矢視図
である。
【図11】 上記蒸発器を図3D−G線から見た矢視図
である。
【図12】 上記蒸発器のプレートの平面図である。
【図13】 上記蒸発器の冷媒蒸発部の図2H−H線で
の断面正面図である。
【図14】 上記冷媒蒸発部の図13J−J線での断面
平面図である。
【図15】 上記実施例の冷媒の状態を表すモリエ線図
である。
【図16】 第1発明の第2実施例の蒸発器を図3D−
E線から見た矢視図である。
【図17】 上記実施例のプレートの平面図である。
【図18】 上記実施例における蒸発器の動作を説明す
る模式図である。
【図19】 第1発明の第3実施例の蒸発器を図3D−
E線から見た矢視図である。
【図20】 第1発明の第4実施例の平面図である。
【図21】 チューブに絞り部を形成する説明図で、a
は斜視図、bは側面図である。
【図22】 第1発明の第4実施例のモリエル線図であ
る。
【図23】 第1発明の第5実施例の正面図である。
【図24】 上記実施例における冷媒流の斜視図であ
る。
【図25】 第2発明の第1実施例の積層型蒸発器を模
式的に示す説明図である。
【図26】 積層型蒸発器の平面図である。
【図27】 積層型蒸発器の正面図である。
【図28】 プレートの正面図である。
【図29】 プレートの図28A−A線断面図である。
【図30】 プレートの図28B−B線断面図である。
【図31】 積層型蒸発器を図27D−E線から見た矢
視図である。
【図32】 積層型蒸発器を図27D−F線から見た矢
視図である。
【図33】 積層型蒸発器を図27D−G線から見た矢
視図である。
【図34】 プレートの平面図である。
【図35】 冷媒蒸発部の図26H−H線断面での断面
正面図である。
【図36】 冷媒蒸発部の図35J−J線断面での断面
平面図である。
【図37】 積層型蒸発器を用いた冷凍システムでの冷
媒の状態を表すモリエル線図である。
【図38】 第2発明の第2実施例に用いられるプレー
トの正面図である。
【図39】 プレートの図38A−A線断面図である。
【図40】 プレートの図38B−B線断面図である。
【図41】 プレートの図38C−C線断面図である。
【図42】 図31に対応する第2実施例の矢視断面図
である。
【図43】 熱交換部の図38B−B線矢視断面に対応
した断面及び蒸発部の部分平面を示す図である。
【図44】 図32に対応する第2実施例の矢視断面図
である。
【図45】 第3発明の第1実施例の冷凍サイクル装置
の構成図である。
【図46】 第3発明の第2実施例の冷凍サイクル装置
の構成図である。
【図47】 第3発明の第3実施例の冷凍サイクル装置
の構成図である。
【図48】 第3実施例のモリエル線図である。
【図49】 第3発明の第4実施例の冷凍サイクル装置
の構成図である。
【図50】 第4実施例のモリエル線図である。
【図51】 第3発明の第5実施例の冷凍サイクル装置
の構成図である。
【図52】 第5実施例のモリエル線図である。
【図53】 第3発明の第6実施例の冷凍サイクル装置
の構成図である。
【図54】 第3発明の第7実施例の冷凍サイクル装置
の構成図である。
【図55】 第3発明の第8実施例の冷凍サイクル装置
の構成図である。
【図56】 第8実施例のモリエル線図である。
【図57】 第3発明の第9実施例の冷凍サイクル装置
の構成図である。
【図58】 第9実施例のモリエル線図である。
【図59】 第3発明の第10実施例の冷凍サイクル装
置の構成図である。
【図60】 第3発明の第11実施例の冷凍サイクル装
置の構成図である。
【図61】 第3発明の第12実施例の冷凍サイクル装
置の構成図である。
【図62】 第3発明の第13実施例の冷凍サイクル装
置の構成図である。
【図63】 第1発明の第1,2,3実施例における蒸
発器の説明図であり、(a)はその正面図、(b)は側
面図である。
【図64】 従来の中央配管取出しの蒸発器における冷
媒流の斜視図である。
【符号の説明】
1,110,120,301,402…積層型蒸発器、 20,121,320,420…熱交換部、 44,344,444a,444b,444c,553
a,591a,603…入口冷媒流路、 40…上入口冷媒タンク部、41,341…上出口冷媒
タンク部、 42…下入口冷媒タンク部、43,343,443…下
出口冷媒タンク部、 45,345…出口冷媒流路、50,122,350…
冷媒蒸発部、 53,353…入口タンク、54,354…出口タン
ク、 60,113,124,160,190…絞り部、 70…入口タンク部、71…出口タンク部、 80,182a,380,513…冷媒蒸発流路、81
…流路、 100,400,507,571…膨張弁、 101,401,507a,571a…感温筒、 112a…入口チューブ、112b…出口チューブ、 123…入口流路、125…分岐冷媒蒸発流路、 127…出口流路、326b、329b…接続タンク、 340…上入口冷媒室、341a…上出口冷媒タンク、 342,342a,442…下入口冷媒室、 343a,443a…下出口冷媒タンク、 345,445,605…出口冷媒流路、 370…入口タンク部、371…出口タンク部、 457…流路部、 500,520,530,540,550,560,5
70,580,590,600,620,630,64
0…冷凍サイクル装置、 501…圧縮機、503…凝縮器、503a…送風装
置、 509,553,563,591,601,607,6
09,621,623,647…熱交換器、 511,527,541,543…絞り弁、513a…
ドレン水、 551,563a,581…螺旋状キャピラリ、555
…アキュムレータ、 607a,611,647a…空気流通路、607b,
613…送風装置、 627…ループ状液体流通路、629…循環装置、64
1…冷却装置、 643…タンク、645…昇温装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平3−303566 (32)優先日 平成3年11月19日(1991.11.19) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 長谷川 恵津夫 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (72)発明者 吉井 桂一 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−80169(JP,A) 実開 昭63−168772(JP,U) 実開 昭50−103256(JP,U) 実開 昭54−177652(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F25B 39/02 F25B 1/00 331 F25B 40/00 F25B 39/02

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷媒を循環させる冷凍サイクルに適用さ
    れる蒸発器において、 上記冷媒の圧力を所定量減圧させるための減圧手段と、 上記減圧手段から流出した冷媒を導入して所定距離通過
    させる入口流路と、 上記入口流路に絞り部を介して連通する冷媒蒸発流路
    と、 上記冷媒蒸発流路の下流端から流出した気液二相冷媒を
    所定距離通過させて送り出す出口流路と、 を備えると共に、 上記入口流路の冷媒と上記出口流路の冷媒とを熱交換可
    能に上記入口流路と上記出口流路とを近接配置したこ
    と、 を特徴とする蒸発器。
  2. 【請求項2】 冷媒を循環させる冷凍サイクルに適用さ
    れる蒸発器において、 上記冷媒の圧力を所定量減圧させるための減圧手段と、 前記減圧手段から流出する冷媒を導入し所定距離通過さ
    せて該冷媒を蒸発圧力まで減圧する入口流路と、 前記入口流路の下流端側から複数に分岐し、冷媒の蒸発
    領域となる複数の分岐流路と、 前記各分岐流路の下流端から流出した気液二相冷媒を所
    定距離通過させて送り出す出口流路と、 を備えると共に、 前記入口流路と前記出口流路とを近接配置して、前記入
    口流路の冷媒と前記出口流路の冷媒とを熱交換させるこ
    とを特徴とする蒸発器。
  3. 【請求項3】 圧縮機、凝縮器および蒸発器を備え、冷
    媒を循環させる冷凍サイクル装置において、 上記蒸発器が、上記冷媒の圧力を所定量減圧させるための第1の減圧手
    段と、 上記第1の減圧手段から流出する冷媒を導入し 所定距離
    通過させる入口流路と、 上記入口流路に連通する冷媒蒸発流路と、 上記冷媒蒸発流路の下流端から流出した冷媒を所定距離
    通過させて送り出す出口流路と、 上記入口流路内の冷媒を冷却する冷却手段と、 上記冷却手段の内部、上記冷却手段と上記冷媒蒸発流路
    との間、または上記冷媒蒸発流路内の上流端近傍に設け
    られた第2の減圧手段と、 上記出口流路内の冷媒を昇温する昇温手段と、 を備えるとともに、上記第1の減圧手段又は上記第2の減圧手段による減圧
    量を調整することにより、 上記出口流路内で、冷媒の乾
    き度が1未満から1以上に変化するよう設定されたこと
    を特徴とする冷凍サイクル装置。
  4. 【請求項4】 上記冷却手段と上記昇温手段とが、上記
    入口流路の冷媒と上記出口流路の冷媒とを熱交換可能に
    上記入口流路と上記出口流路とを近接配置されてなるこ
    とにより、実現されていることを特徴とする請求項3記
    載の冷凍サイクル装置。
  5. 【請求項5】 上記冷媒蒸発流路の下流端での冷媒の乾
    き度が0.7〜0.85の範囲に設定してなることを特
    徴とする請求項3または4記載の冷凍サイクル装置。
  6. 【請求項6】 上記冷媒蒸発流路の上流端での冷媒の乾
    き度が0.05〜0.2の範囲に設定してなることを特
    徴とする請求項3〜5のいずれか記載の冷凍サイクル装
    置。
  7. 【請求項7】 上記第1の減圧手段及び上記第2の減圧
    手段の少なくとも一方が、開度固定の絞り弁である請求
    項3〜6のいずれか記載の冷凍サイクル装置。
  8. 【請求項8】 上記第1の減圧手段及び上記第2の減圧
    手段の少なくとも一方が、キャピラリである請求項3〜
    6のいずれか記載の冷凍サイクル装置。
  9. 【請求項9】 上記第2の減圧手段が、上記出口流路よ
    り下流の冷媒過熱度に応じて冷媒流量を調整する膨張弁
    または開度固定の絞り弁として構成され、上記入口流路
    と上記冷媒蒸発流路との間に設けられたことを特徴とす
    る請求項3〜8のいずれか記載の冷凍サイクル装置。
  10. 【請求項10】 上記第1の減圧手段が、開度固定の絞
    り弁、または上記昇温手段から流出する冷媒の過熱度に
    応じて開度が調節される膨張弁として構成され、上記入
    口流路の上流端に設けられたことを特徴とする請求項3
    〜9のいずれか記載の冷凍サイクル装置。
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