JP3301088B2 - 耐疲労性に優れたばね - Google Patents
耐疲労性に優れたばねInfo
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- JP3301088B2 JP3301088B2 JP14016791A JP14016791A JP3301088B2 JP 3301088 B2 JP3301088 B2 JP 3301088B2 JP 14016791 A JP14016791 A JP 14016791A JP 14016791 A JP14016791 A JP 14016791A JP 3301088 B2 JP3301088 B2 JP 3301088B2
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- wire
- polishing
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジン用その他の耐
疲労性を高度に要求されるばねに関する。
疲労性を高度に要求されるばねに関する。
【0002】
【従来技術】従来のばねは、綱線の線引き工程、もしく
は焼入れ焼戻し工程のパスラインで線材表面に微小疵が
発生するのは避けられない。このうち10μm以上の微
小疵は、製品化されたばねで応力集中が起こって疲労破
壊の起点となり、耐疲労性低下の原因となる。
は焼入れ焼戻し工程のパスラインで線材表面に微小疵が
発生するのは避けられない。このうち10μm以上の微
小疵は、製品化されたばねで応力集中が起こって疲労破
壊の起点となり、耐疲労性低下の原因となる。
【0003】このため、従来、線引き又は線引き後焼入
れ焼戻し処理されたばね用綱線をばねに成形する前又は
後に、ばねの耐疲労性向上のために線表面部圧縮残留応
力を付与する目的で、ショットピーニング処理してい
る。
れ焼戻し処理されたばね用綱線をばねに成形する前又は
後に、ばねの耐疲労性向上のために線表面部圧縮残留応
力を付与する目的で、ショットピーニング処理してい
る。
【0004】また、さらに耐疲労性を上げるために、前
述のショットピーニング処理した後に、さらに電解研磨
処理し、線表面を平滑化して疲労強度を向上させること
が提案されている(特開昭63−52729号)。
述のショットピーニング処理した後に、さらに電解研磨
処理し、線表面を平滑化して疲労強度を向上させること
が提案されている(特開昭63−52729号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、線引き又は
線引き後焼入れ焼戻し処理されたばね用綱線をばねに成
形する前又は後に、ショットピーニング処理したもの
は、ショットピーニングによる微小疵が応力集中の原因
となり、またこの微小疵を取り除くためにさらに電解研
磨したものは、同時に耐疲労性向上に有効なショットピ
ーニング処理による圧縮残留応力層をも除去してしまう
という問題があった。
線引き後焼入れ焼戻し処理されたばね用綱線をばねに成
形する前又は後に、ショットピーニング処理したもの
は、ショットピーニングによる微小疵が応力集中の原因
となり、またこの微小疵を取り除くためにさらに電解研
磨したものは、同時に耐疲労性向上に有効なショットピ
ーニング処理による圧縮残留応力層をも除去してしまう
という問題があった。
【0006】本発明は、これらの問題を解決し、ショッ
トピーニング処理後に電解研磨や化学研磨を行わない従
来のものに比べても線表面が平滑であり、しかもショッ
トピーニング後に電解研磨することによる圧縮残留応力
層の損失がなく、優れた耐疲労性を有するコイルばねを
提供することを目的とする。
トピーニング処理後に電解研磨や化学研磨を行わない従
来のものに比べても線表面が平滑であり、しかもショッ
トピーニング後に電解研磨することによる圧縮残留応力
層の損失がなく、優れた耐疲労性を有するコイルばねを
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、線表面を電解研磨又は化学研磨により線
表面の10μm以上、50μm未満研磨して表面粗さを
JIS B−0601の十点平均粗さ(Rz)で5μm
以下に仕上げた、線引き後又は焼入れ焼戻し後の鋼線を
用い、この鋼線をばねに成形する前又は後に、ショット
ピーニング処理してばねを構成した。
に、本発明は、線表面を電解研磨又は化学研磨により線
表面の10μm以上、50μm未満研磨して表面粗さを
JIS B−0601の十点平均粗さ(Rz)で5μm
以下に仕上げた、線引き後又は焼入れ焼戻し後の鋼線を
用い、この鋼線をばねに成形する前又は後に、ショット
ピーニング処理してばねを構成した。
【0008】
【作用】上記の手段により、電解研磨又は化学研磨して
表面粗さをJIS B−0601の十点平均粗さ(R
z)で5μm以下にすると、ばねに成形の前又は後に、
ショットピーニング処理を施しても、その表面粗さは、
あらかじめ研磨をしていないもののそれに比べて非常に
平滑となり、疵による応力集中発生の低減、すなわち耐
疲労性の向上に大きく寄与する。
表面粗さをJIS B−0601の十点平均粗さ(R
z)で5μm以下にすると、ばねに成形の前又は後に、
ショットピーニング処理を施しても、その表面粗さは、
あらかじめ研磨をしていないもののそれに比べて非常に
平滑となり、疵による応力集中発生の低減、すなわち耐
疲労性の向上に大きく寄与する。
【0009】ここで、研磨後の表面粗さRzをJIS
B−0601の十点平均粗さ(Rz)で5μm以下とし
たのは以下のためである。図1は、研磨後の表面粗さ
(Rz)と、研磨後にショットピーニング処理を施して
中村式回転曲げ疲労試験により求めた耐疲労強度の関係
を示す。この図より表面粗さ(Rz)が5μmを越える
と耐疲労強度が急激に低くなり、5μm以下は高い耐疲
労強度を有することがわかる。
B−0601の十点平均粗さ(Rz)で5μm以下とし
たのは以下のためである。図1は、研磨後の表面粗さ
(Rz)と、研磨後にショットピーニング処理を施して
中村式回転曲げ疲労試験により求めた耐疲労強度の関係
を示す。この図より表面粗さ(Rz)が5μmを越える
と耐疲労強度が急激に低くなり、5μm以下は高い耐疲
労強度を有することがわかる。
【0010】
【実施例】実施例として、焼入れ焼戻し綱線SWOSC
−V(C 0.6%、Si 1.4%、Cr 0.7%、Mn
0.7%、残部Fe及び不可避的不純物)、線径4.1mm
φを用い、該綱線を表1に示した電解研磨条件で電解研
磨して、表面粗さをJISB−0601の十点平均粗さ
(Rz)で2.7μmに仕上げた後に、コイリング成形
(自由長64mm、中心径24.5mm、有効巻数4.5巻)
し、さらにショットピーニング処理した。
−V(C 0.6%、Si 1.4%、Cr 0.7%、Mn
0.7%、残部Fe及び不可避的不純物)、線径4.1mm
φを用い、該綱線を表1に示した電解研磨条件で電解研
磨して、表面粗さをJISB−0601の十点平均粗さ
(Rz)で2.7μmに仕上げた後に、コイリング成形
(自由長64mm、中心径24.5mm、有効巻数4.5巻)
し、さらにショットピーニング処理した。
【0011】この実施例と、電解研磨していない上記綱
線を用いてコイリング成形後にショットピーニング処理
しただけの比較例1、電解研磨していない上記綱線を用
いてコイリング成形後ショットピーニング処理し、さら
に表1に示した電解研磨条件で電解研磨した比較例2の
3種について、ばね疲労試験(中村式回転曲げ疲労試
験)を行った結果を表2に示す。この表により、実施例
のばねは、比較例1、2のいずれのばねよりも、極めて
耐疲労性に優れていることがわかる。
線を用いてコイリング成形後にショットピーニング処理
しただけの比較例1、電解研磨していない上記綱線を用
いてコイリング成形後ショットピーニング処理し、さら
に表1に示した電解研磨条件で電解研磨した比較例2の
3種について、ばね疲労試験(中村式回転曲げ疲労試
験)を行った結果を表2に示す。この表により、実施例
のばねは、比較例1、2のいずれのばねよりも、極めて
耐疲労性に優れていることがわかる。
【0012】また表3は、上記実施例と比較例1のショ
ットピーニング処理の前後について、線表面のJIS
B−0601の十点平均粗さ(Rz)の測定結果を示す
ものである。この表から、実施例は、比較例1と比べて
ショットピーニング処理前はもとより、ショットピーニ
ング処理後も線表面はより平滑であり、ショットピーニ
ング処理しても、電解研磨の効果は十分残っていること
がわかる。
ットピーニング処理の前後について、線表面のJIS
B−0601の十点平均粗さ(Rz)の測定結果を示す
ものである。この表から、実施例は、比較例1と比べて
ショットピーニング処理前はもとより、ショットピーニ
ング処理後も線表面はより平滑であり、ショットピーニ
ング処理しても、電解研磨の効果は十分残っていること
がわかる。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
【表3】
【0016】なお、図2は、綱線の線表面の電解研磨量
と、研磨後の表面粗さをJIS B−0601により測
定した十点平均粗さ(Rz)の関係を示すものである。
この図により、線表面の十点平均粗さ(Rz)を確実に
5μm以下にするためには、線径にして10μm以上研
磨を行う必要があることがわかる。さらに研磨量が増え
るにしたがって、十点平均粗さ(Rz)は緩やかに減少
するものの、50μm以上の研磨は、その効果よりも経
済上のデメリットの方が大きいので、線表面の研磨量は
10〜50μmとするのがよい。化学研磨の場合も同様
の傾向を示す。
と、研磨後の表面粗さをJIS B−0601により測
定した十点平均粗さ(Rz)の関係を示すものである。
この図により、線表面の十点平均粗さ(Rz)を確実に
5μm以下にするためには、線径にして10μm以上研
磨を行う必要があることがわかる。さらに研磨量が増え
るにしたがって、十点平均粗さ(Rz)は緩やかに減少
するものの、50μm以上の研磨は、その効果よりも経
済上のデメリットの方が大きいので、線表面の研磨量は
10〜50μmとするのがよい。化学研磨の場合も同様
の傾向を示す。
【0017】
【効果】本発明は、上記の通りに構成したので、極めて
優れた耐疲労性を示す。したがって、自動車エンジンの
弁ばね等の高い耐疲労性を要求されるばねとして従来品
より一層適し、またばねの小形化、軽量化を図ることが
できる。
優れた耐疲労性を示す。したがって、自動車エンジンの
弁ばね等の高い耐疲労性を要求されるばねとして従来品
より一層適し、またばねの小形化、軽量化を図ることが
できる。
【図1】綱線の研磨後の表面粗さ(Rz)と、研磨後に
ショットピーニング処理して中村式回転曲げ疲労試験に
より求めた耐疲労強度の関係を示す図
ショットピーニング処理して中村式回転曲げ疲労試験に
より求めた耐疲労強度の関係を示す図
【図2】綱線表面の電解研磨量とJIS B−0601
により測定した十点平均粗さ(Rz)の関係を示す図
により測定した十点平均粗さ(Rz)の関係を示す図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 平1−127634(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21F 35/00 F16F 1/02
Claims (1)
- 【請求項1】 線表面を電解研磨又は化学研磨により線
表面の10μm以上、50μm未満研磨して表面粗さを
JIS B−0601の十点平均粗さ(Rz)で5μm
以下に仕上げた、線引き後又は焼入れ焼戻し後の鋼線を
用い、この鋼線をばねに成形する前又は後に、ショット
ピーニング処理して成るばね。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14016791A JP3301088B2 (ja) | 1991-06-12 | 1991-06-12 | 耐疲労性に優れたばね |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14016791A JP3301088B2 (ja) | 1991-06-12 | 1991-06-12 | 耐疲労性に優れたばね |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04367346A JPH04367346A (ja) | 1992-12-18 |
JP3301088B2 true JP3301088B2 (ja) | 2002-07-15 |
Family
ID=15262444
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14016791A Expired - Fee Related JP3301088B2 (ja) | 1991-06-12 | 1991-06-12 | 耐疲労性に優れたばね |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3301088B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20160039873A (ko) * | 2014-10-02 | 2016-04-12 | 현대모비스 주식회사 | 스프링 제조방법 |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH06240408A (ja) * | 1993-02-17 | 1994-08-30 | Sumitomo Electric Ind Ltd | ばね用鋼線及びその製造方法 |
WO2001081642A1 (fr) * | 2000-04-24 | 2001-11-01 | Kawasaki Steel Corporation | Acier de forme lineaire presentant d'excellentes caracteristiques de fatigue au niveau des joints, et procede de production correspondant |
DE102008015061A1 (de) * | 2008-03-19 | 2009-09-24 | Christian Bauer Gmbh & Co. Kg | Verfahren zur Oberflächenbehandlung einer Feder |
-
1991
- 1991-06-12 JP JP14016791A patent/JP3301088B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20160039873A (ko) * | 2014-10-02 | 2016-04-12 | 현대모비스 주식회사 | 스프링 제조방법 |
KR102274667B1 (ko) * | 2014-10-02 | 2021-07-08 | 현대모비스 주식회사 | 스프링 제조방법 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04367346A (ja) | 1992-12-18 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |