JP3299164B2 - 計算機システム - Google Patents

計算機システム

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JP3299164B2
JP3299164B2 JP01027698A JP1027698A JP3299164B2 JP 3299164 B2 JP3299164 B2 JP 3299164B2 JP 01027698 A JP01027698 A JP 01027698A JP 1027698 A JP1027698 A JP 1027698A JP 3299164 B2 JP3299164 B2 JP 3299164B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、注意機構を取り入
れた新しい計算機システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】このような分野における発明者による先
行文献として、例えば、(1)生体の科学46(1),
P60〜66「脳の情報処理はいかにして機械の情報処
理と区別されるのか」に開示されるものがある。
【0003】「脳の情報処理」をコンピューターの情報
処理と大きく異なるものにしている機能は、「能動的選
択」である。すなわち、外界の入力に注目したり、特定
の思索に集中/注目したりする機能である。このような
情報処理機構のことは、脳科学で、「注意機構(Att
ention)」と呼ばれるが、この注意機構は、昔か
ら良く知られるWinner−Take−All(WT
A)メカニズムによって実現されていると最近考えられ
るようになってきた。
【0004】このWTAメカニズムは、一番大きな入力
を与えるニューロンからの入力以外の入力が抑制される
ことにより、数ミリ秒後には、そのニューロンだけが活
動をするような状態ができあがるという神経機構であ
る。要するに、最大値の検出を行い、最大の入力を与え
る情報処理だけを許容するというアルゴリズムである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】現在のコンピューター
にも、条件判断をプログラムに組み込む仕組みは備わっ
ているが、これはその条件判断の内容が任意であるた
め、条件判断の内容をプログラマーが詳細にわたり記述
しなければならない。
【0006】しかしながら、脳における条件判断である
注意機構は、たった一種類のWTAメカニズムによって
いるというのである。
【0007】一方、近年、コンピューター産業におい
て、プログラムを部品化することのできる、エージェン
トやオブジェクトを指向するコンピューター言語が応用
されるようになってきている。これらのプログラミング
における部品に相当する単位は、エージェント/オブジ
ェクト(以下、オブジェクトと言う)と呼ばれる。この
オブジェクト同士がメッセージを交換し合うことによっ
て、処理が行われるのが、オブジェクト指向である。こ
こで使われるメッセージの内容が、任意に実装される関
数(メソッド)であるため、このメソッドの内容を詳細
にプログラマーが記述することが必要となる。このこと
が、プログラマーに大きな負担を強いてきているのは、
周知の事実である。
【0008】本発明は、上記問題点を解決するために、
脳の情報処理に学び、注意機構を、コンピューターの情
報処理に組み込んだ、新しい計算機システムを提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、 〔1〕演算処理を行う演算手段と記憶手段とを有し、記
憶手段に記憶されているプログラムに従って記憶手段に
格納されているデータを演算手段で演算する計算機シス
テムであって、複数のJOBの間に上位・下位の関係が
あり、各JOBはそれぞれ、下位JOBの重要度を表す
重みのリストであるウェイト・リストと、全てのJOB
に付けられる通し番号であるIDと、下位JOBのID
リストであるID・イン・リストと、プログラム本体
と、JOBの持つ値であるバリューと、上位JOBのI
DリストであるID・アウト・リストとを記憶手段に記
憶するとともに、各JOBは前記重みとバリューの増減
処理を前記演算手段を用いて行うとともに、上位JOB
から起動要求を受けると、自身の下位にある下位JOB
の各々の前記バリューとその下位JOBに対応付けられ
ている前記重みの積を演算手段で演算して当該積の値が
最大となる下位JOBに起動要求を送るとともに、自身
が有するプログラム本体を実行するか否かを決定するた
めの閾値と自身が有する前記バリューとを前記演算手段
を用いて比較し、比較結果に応じて前記プログラム本体
を実行する処理を行うメソッドを記憶手段に記憶してい
ようにしたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0011】図1は本発明の実施例を示す注意機構を有
する計算機システムのJOB(ジョブ)の構成図、図2
はそのJOBの情報処理のフローチャート、図3はその
JOBの連鎖例を示す図である。
【0012】本発明は、注意機構(Attentio
n)を取り入れた新しい計算機システムを構築してお
り、この新しいコンピューター言語の名前については、
ここでは、AOPL(Attention Orien
ted ProgrammingLanguage)と
いう省略名を用いる。
【0013】このAOPLの構成単位は、JOBと呼ば
れるメソッドが画一化されたオブジェクトの一種であ
り、AOPLにおいて、JOB以外の構成単位は存在し
ない。
【0014】そこで、図1に示すように、本発明のJO
Bは、ウエイト・リスト(Weight list)
(1)、ID(2)、ID・イン・リスト(ID IN
list)(3)、プログラム本体(Program
body)(4)、バリュー(Value)(5)、
ID・アウト・リスト(ID OUT list)
(6)からなる。
【0015】ここで、ID(2)は全てのJOBに付け
られる通し番号、ID・イン・リスト(3)は関連する
下位JOBのIDのリスト、ID・アウト・リスト
(6)は上位JOBのIDリスト、バリュー(5)はJ
OBの持つ値であって、0〜1までの実数で示される。
ウエイト・リスト(1)は、下位JOBの重要度を表す
重みのリストであり、0〜1までの実数で示される。プ
ログラム本体(4)は通常のオブジェクトと同様なプロ
グラム本体から構成される。
【0016】次に、あるJOBの情報処理の流れを図2
を参照しながら説明する。
【0017】(1)まず、上位JOBからの実行要求を
受けたか否かをチェックする(ステップS1)。
【0018】(2)上位JOBからの実行要求を受けた
場合には、ID・イン・リストに列記された下位JOB
に値(バリュー)請求を出す(ステップS2)。
【0019】(3)得られたバリュー値とウェイトを掛
けた値の中で最大の値を持つ下位JOBに実行要求を出
す(ステップS3)。
【0020】(4)上記ステップS3の下位JOBの実
行の終了のメッセージを待つ(ステップS4)。
【0021】(5)下位JOBの実行が終了したか否か
をチェックする(ステップS5)。
【0022】(6)正常に終了した場合は、上記ステッ
プS3で選ばれた下位JOBの番号に対応するウエイト
を増加させる(ステップS6)。
【0023】(7)バリュー値が閾値以上であるか否か
をチェックする(ステップS7)。
【0024】(8)ステップS7において、YESの場
合には、プログラム本体を実行する(ステップS8)。
【0025】(9)ステップS8において、プログラム
が実行された場合は、バリューの値を増加させ、上位J
OBに正常終了メッセージを送出する(ステップS
9)。
【0026】(10)ステップS7において、NOの場
合には、上位JOBに異常終了メッセージを送出する
(ステップS10)。
【0027】なお、「実行要求」は、待ち状態の時のみ
受け取り、「バリュー請求」はいつでも受け取るものと
する。すなわち、JOBは実行要求待ちの状態にある時
のみ実行要求を受け取る。もし、JOBが実行要求待ち
の状態に無いときに、上位JOBからの実行要求があっ
た場合は、「異常終了メッセージ」を上位JOBに返
す。
【0028】一方、JOBは、上位JOBからバリュー
請求を受けた時は、いつでも、現在のバリューの値を請
求を出した上位JOBに返す。
【0029】また、ステップS8のプログラム本体の実
行は、全てのJOBに共通な実数値として設定されてい
る閾値とバリュー値との比較において、バリュー値が
値より大きい時にのみ実行され、実行されなかった場合
は「異常終了のメッセージ」が、実行要求を出したプロ
グラムに返される。一方、実行された場合は、「正常終
了のメッセージ」が返される。
【0030】また、ステップS9におけるバリュー値の
増加も、プログラム本体が実行されなかった時は行わな
い。閾値の値としては、0〜1までの実数値であればよ
い。例えば、0.5くらいが考えられる。
【0031】次に、AOPLのプログラミングについて
説明する。
【0032】AOPLにおけるプログラミングは、必要
なJOBを記述してゆくだけの作業となる。JOBの記
述は、そのJOBが選択されたとき実行されるプログラ
ム本体の記述と、そのプログラムを起動すること(呼び
出すこと)のできる上位JOBの選択と、そのプログラ
ムを実行するために予め必要な処理を行うJOBをリス
トすることである。バリューの値や、ウエイト(重み)
の値は一律(0.1程度の初期値を与えておく)。この
ようにして、図3に示すようなJOBの連鎖を構成する
ことが、プログラミング作業である。
【0033】ここで、図3において、下に位置するJO
B程、「上位」であり、上に位置するJOB程、「下
位」である。一番下のJOB(一番上位のJOB)6か
ら中間(二段目)の一番左に位置するJOB4では、I
D・イン・リストにリストされた下位JOB達(図では
一番上に並んでいるJOB)に対して「バリュー請求」
が行われる。
【0034】例えば、図では、JOB1からは、0.2
というバリューがJOB4に対して返され、JOB2か
らは、0.4というバリューがJOB4の「バリュー請
求」に対して返されてくるはずである。この下位JOB
から返されたバリューに、それぞれ対応するウエイト
(JOB4のウエイトリストにリストされている重み)
を掛けた値のうち最大となる下位JOB(図の例では、
JOB2、すなわち、最上段の左から2番目のJOB)
に対して、「実行要求」が送られる。この「実行要求」
が送られたJOB2では、JOB4と同様な手順の処理
が行われるのである。
【0035】このように、「上位」から「下位」に対し
て(図では、下に位置するJOBから、上に位置するJ
OBに対して)は、「実行要求」や、「バリュー請求」
が送られる。一方、「下位」から「上位」に対しては、
請求された「バリュー」や、「プログラム本体の終了メ
ッセージ(プログラム本体が実行されなかった時は異常
終了となる)」が返される。
【0036】「下位JOB」において、主に入出力等、
具体的な概念に相当する詳細な記述がプログラム本体で
なされるべきであり、「上位JOB」では、(「あれを
しなさい」とか「これをしなさい」と言った)抽象的な
概念がプログラム本体に記述されるべきである。
【0037】このようなJOBの連鎖は、通常図3のよ
うな木構造をとるが、必要に応じて、下位JOBが上位
JOBの下位に来るようなプログラミングを禁止するも
のではない。すなわち、JOBの連鎖が、ループや網の
構造をとることもあり得る。
【0038】また、JOBの実行は、「実行要求」や
「バリュー請求」を受け付けることのできるような、J
OBの状態や、待ち状態に入るタイミングが規定されて
いるので、非同期並列的に行われてもよいことに注意す
る。
【0039】また、各JOB内に記述されるプログラム
の本体を記述する言語の仕様はどのようなものであって
もよい。例えば、C言語を用いるという仕様でも、本質
は変わらない。
【0040】更に、重みは、基本的に「獣道のルール」
(何度も通ると増強される)に従う。すなわち、一度実
行される度に、少しずつ増加するようになっている。ま
た、全ての重みは自動的に少しずつ減少してゆくので、
この増加がどこまでも起きることはない。
【0041】また、バリューは、何も指定しなければ、
一度実行される度に増加するように規定しているが、こ
の規定は、プログラム本体の中で自由に設定することが
可能である。
【0042】なお、単純な神経回路網においては、WT
A機構が期待するような注意機構を持つことが報告され
ている。しかしながら、神経回路網では、特定の情報処
理そのものにWTA機構が働くというものではなかっ
た。AOPLは、ある下位JOBの中に記述されたプロ
グラム本体が実行されるかどうかが、競合する下位JO
Bの持つ値と、その下位JOBの重みが大きいかどうか
で決定される。
【0043】通常のプログラムのように、プログラマー
が指定した仕事をするとは限らないが、これはAOPL
で書かれたプログラムが自ら判断と選択を行うことを期
待しているのであるから当然のことである。因みに、プ
ログラマーが指定した仕事をするという用途には、これ
までのコンピューターを用いればよい。
【0044】本発明によれば、重みやバリューの増減機
構によって、神経回路網と同様な自己組織化が生じ、プ
ログラマーが指定しなくても、期待したような情報処理
を行うことができる。
【0045】エージェントとは、自立性を持ったオブジ
ェクトのことであるから、本発明は、いわゆるエージェ
ントを実現するためのコンピューター言語を提供するも
のであると言い換えることもできる。従来のエージェン
ト指向プログラミングと大きく異なる点は、プログラマ
ーがエージェントメソッドのプログラミングを、行う必
要がないという点である。エージェントプログラミング
においては、オブジェクト指向プログラミングと同様
に、自立するメソッドのプログラミングを一々プログラ
マーが行なわなければならなかった。AOPLではメソ
ッドが画一化されて言語のエンジンに組込まれているた
め、メソッドの自己組織化が起こるので、それが必要な
いのである。
【0046】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能
であり、これらを本発明の範囲から排除するものではな
い。
【0047】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、重みやバリューの増減機構によって、神経回路
網と同様な自己組織化が生じ、プログラマーが指定しな
くとも、期待したような情報処理を行うことができる。
【0048】また、メソッドが画一化されているため、
オブジェクト指向プログラミングでいうメソッドのプロ
グラミングの必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す注意機構を有する計算機
システムのJOB(ジョブ)の構成図である。
【図2】本発明の実施例を示すJOBの情報処理のフロ
ーチャートである。
【図3】本発明の実施例を示すJOBの連鎖例を示す図
である。
【符号の説明】
1 ウエイト・リスト(Weight list) 2 ID 3 ID・イン・リスト(ID IN list) 4 プログラム本体(Program body) 5 バリュー(Value:値) 6 ID・アウト・リスト(ID OUT lis
t)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 今井、永嶋,「ロボットとの状況依存 インタラクションに関する研究」,情報 処理学会研究報告,日本,社団法人情報 処理学会・発行,1996年7月27日,Vo l.96,No.74(96−SLP−12), pp.25−32,特許庁CSDB文献番 号:CSNT200000592005 橋本、福島,「選択的注意機構による 顔の部分パターンの認識と切出し」,電 子情報通信学会論文誌,日本,社団法人 電子情報通信学会・発行,1997年8月25 日,Vol.J80−D−II,No. 8,pp.2194−2202,特許庁CSDB 文献番号:CSNT199700171018 和田、岡田,「グラフ最短路問題にお ける自律型エージェントモデルの研究 (4)−鉄道網の最適経路探索システム の構築」,電子情報通信学会技術研究報 告,日本,社団法人電子情報通信学会・ 発行,1995年3月14日,Vol.95,N o.575(KBSE95−50〜57),pp. 25−32,特許庁CSDB文献番号:CS NT199900838003 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G06N 1/00 - 7/00 G06F 9/44 G06F 9/46 JSTファイル(JOIS) CSDB(日本国特許庁)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 演算処理を行う演算手段と記憶手段とを
    有し、記憶手段に記憶されているプログラムに従って記
    憶手段に格納されているデータを演算手段で演算する計
    算機システムであって、複数のJOBの間に上位・下位
    の関係があり、各JOBはそれぞれ、下位JOBの重要
    度を表す重みのリストであるウェイト・リストと、全て
    のJOBに付けられる通し番号であるIDと、下位JO
    BのIDのリストであるID・イン・リストと、プログ
    ラム本体と、JOBの持つ値であるバリューと、上位J
    OBのIDリストであるID・アウト・リストとを記憶
    手段に記憶するとともに、各JOBは前記重みとバリュ
    ーの増減処理を前記演算手段を用いて行うとともに、上
    位JOBから起動要求を受けると、自身の下位にある下
    位JOBの各々の前記バリューとその下位JOBに対応
    付けられている前記重みの積を演算手段で演算して当該
    積の値が最大となる下位JOBに起動要求を送るととも
    に、自身が有するプログラム本体を実行するか否かを決
    定するための閾値と自身が有する前記バリューとを前記
    演算手段を用いて比較し、比較結果に応じて前記プログ
    ラム本体を実行する処理を行うメソッドを記憶手段に記
    憶していることを特徴とする計算機システム。
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Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
今井、永嶋,「ロボットとの状況依存インタラクションに関する研究」,情報処理学会研究報告,日本,社団法人情報処理学会・発行,1996年7月27日,Vol.96,No.74(96−SLP−12),pp.25−32,特許庁CSDB文献番号:CSNT200000592005
和田、岡田,「グラフ最短路問題における自律型エージェントモデルの研究(4)−鉄道網の最適経路探索システムの構築」,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会・発行,1995年3月14日,Vol.95,No.575(KBSE95−50〜57),pp.25−32,特許庁CSDB文献番号:CSNT199900838003
橋本、福島,「選択的注意機構による顔の部分パターンの認識と切出し」,電子情報通信学会論文誌,日本,社団法人電子情報通信学会・発行,1997年8月25日,Vol.J80−D−II,No.8,pp.2194−2202,特許庁CSDB文献番号:CSNT199700171018

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