JP3297751B2 - データ数変換方法、符号化装置及び復号化装置 - Google Patents

データ数変換方法、符号化装置及び復号化装置

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JP3297751B2
JP3297751B2 JP09226392A JP9226392A JP3297751B2 JP 3297751 B2 JP3297751 B2 JP 3297751B2 JP 09226392 A JP09226392 A JP 09226392A JP 9226392 A JP9226392 A JP 9226392A JP 3297751 B2 JP3297751 B2 JP 3297751B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、データ数変換方法、符
号化装置及び復号化装置に関し、特に、音声合成分析装
置(ボコーダ)等において算出されたスペクトルの振幅
データのような可変個数のデータを一定個数のデータに
変換するようなデータ数変換方法と、このデータ数変換
方法を用いた符号化装置及び復号化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】オーディオ信号(音声信号や音響信号を
含む)の時間領域や周波数領域における統計的性質と人
間の聴感上の特性を利用して信号圧縮を行うような符号
化方法が種々知られている。この符号化方法としては、
大別して時間領域での符号化、周波数領域での符号化、
分析合成符号化等が挙げられる。
【0003】音声信号等の高能率符号化の例として、M
BE(Multiband Excitation: マルチバンド励起)符号
化、SBE(Singleband Excitation:シングルバンド励
起)符号化、ハーモニック(Harmonic)符号化、SBC
(Sub-band Coding:帯域分割符号化)、LPC(Linear
Predictive Coding: 線形予測符号化)、あるいはDC
T(離散コサイン変換)、MDCT(モデファイドDC
T)、FFT(高速フーリエ変換)等において、スペク
トル振幅やそのパラメータ(LSPパラメータ、αパラ
メータ、kパラメータ等)のような各種情報データを量
子化する場合に、従来においてはスカラ量子化を行うこ
とが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ビットレー
トを例えば3〜4kbps 程度にまで低減し、量子化効率
を更に向上させようとすると、スカラ量子化では量子化
雑音(歪み)が大きくなってしまい、実用化が困難であ
った。そこで、これらの符号化の際に得られる時間軸デ
ータや周波数軸データやフィルタ係数データ等を個々に
量子化せず、複数個のデータを組(ベクトル)にまとめ
て一つの符号で表現して量子化するベクトル量子化が注
目されている。
【0005】しかしながら、上記MBE、SBE、LP
C等のスペクトル振幅データ等は、ピッチに依存して個
数が変化するため、そのままベクトル量子化しようとす
ると可変次元のベクトル量子化が必要となり、構成が複
雑化するのみならず、良好な特性を得ることが困難であ
る。
【0006】また、量子化の前にデータのブロック(フ
レーム)間差分をとるような場合にも、前後のブロック
(フレーム)内のデータの個数が一致していないと、差
分をとることができない。このように、可変個数のデー
タを一定個数に変換することがデータ処理の過程で必要
とされることがあるが、特性の良好なデータ数変換が望
まれる。
【0007】本発明は、このような実情に鑑みてなされ
たものであり、可変個数のデータを一定個数に変換する
ことができ、端点でリンギング等の発生しない特性の良
好なデータ数変換が行えるようなデータ数変換方法と、
このデータ数変換方法を用いた符号化装置及び復号化装
置の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係るデータ数変
換方法は、ブロック内の波形データ又は波形を表すパラ
メータデータの個数が可変とされたデータをブロック毎
に一定の個数の基準データと比較するために上記可変個
数のデータを上記一定個数に変換するデータ数変換方法
であって、上記ブロック毎に可変の個数のデータにダミ
ーデータを付加してデータ個数を拡大した後、帯域制限
型のオーバーサンプリングを施すことにより、上述の課
題を解決する。本発明に係る符号化装置は、入力オーデ
ィオ信号をブロックに分割して、ブロック内の可変個数
の波形データ又は波形を表すパラメータデータを抽出
し、上記抽出された可変個数のデータをブロック毎に一
定の個数の基準データと比較するために上記可変個数の
データを上記一定個数に変換して符号化する符号化装置
であって、上記一定個数への変換の際、上記ブロック毎
に可変の個数のデータにダミーデータを付加してデータ
個数を拡大した後、帯域制限型のオーバーサンプリング
を施すことにより、上述の課題を解決する。また、本発
明に係る復号化装置は、入力オーディオ信号をブロック
に分割して、ブロック内の可変個数の波形データ又は波
形を表すパラメータデータを抽出し、上記抽出された可
変個数のデータをブロック毎に一定の個数の基準データ
と比較するために上記可変個数のデータを上記一定個数
に変換することにより符号化された符号列を受け取り、
上記符号列から上記一定個数のデータを復号化し、上記
復号化された一定個数のデータから可変個数のデータに
逆変換する復号化装置であって、上記可変個数への逆変
換の際、上記ブロック毎に一定の個数のデータにダミー
データを付加してデータ個数を拡大した後、帯域制限型
のオーバーサンプリングを施すことにより、上述の課題
を解決する。さらに、本発明に係るデータ数変換方法
は、ブロック内の波形データ又は波形を表すパラメータ
データのN個のデータを、ブロック毎にM個のデータに
変換するデータ数変換方法において、上記ブロック毎に
N個のデータにダミーデータを付加してデータ個数を拡
大した後、帯域制限型のオーバーサンプリングを施すこ
とにより、上述の課題を解決する。
【0009】ここで、上記ブロック毎に可変の個数の非
線形圧縮データに、ブロック内の最後のデータからブロ
ック内の最初のデータまでの値を補間するようなダミー
データを付加してデータ個数を拡大した後、帯域制限型
のオーバーサンプリングを施すようにするのが好まし
い。このブロック内最後のデータからブロック内最初の
データまでの値を補間するようなダミーデータとは、ブ
ロックの端点に急激な値の変化をもたらさないような、
あるいは値が跳んだり不連続となったりしないようなデ
ータのことであり、ブロック内最後のデータ値を一定区
間保持した後にブロック内最初のデータ値に変化させ、
このブロック内最初のデータ値を一定区間保持するよう
な値の変化の形態が挙げられる。上記帯域制限型のオー
バーサンプリングは、FFT(高速フーリエ変換)等の
直交変換をし、オーバーサンプリングの倍数に応じた区
間だけ0を詰め(あるいはローパスフィルタ処理を施
し)た後、IFFT(逆FFT)等の逆直交変換をすれ
ばよい。
【0010】上記非線形圧縮されるデータとしては、音
声信号や音響信号等のオーディオ信号を、周波数軸上デ
ータに変換したものを用いることができ、具体的には、
例えば、MBE(Multiband Excitation: マルチバンド
励起)符号化の場合のスペクトル包絡振幅データや、S
BE(Singleband Excitation:シングルバンド励起)符
号化、ハーモニック(Harmonic)符号化、SBC(Sub-
band Coding:帯域分割符号化)、LPC(Linear Predi
ctive Coding: 線形予測符号化)、あるいはDCT(離
散コサイン変換)、MDCT(モデファイドDCT)、
FFT(高速フーリエ変換)等におけるスペクトル振幅
データやそのパラメータ(LSPパラメータ、αパラメ
ータ、kパラメータ等)データ等を用いることができ
る。また、一定個数に変換されたデータを、ベクトル量
子化することが考えられ、このベクトル量子化の前に、
ブロック毎に一定個数のデータのブロック間の差分をと
り、このブロック間差分データに対してベクトル量子化
を施すようにしてもよい。
【0011】
【作用】一定個数の非線形圧縮データに変換されて基準
データと非線形領域で比較することができ、ブロック間
差分をとってベクトル量子化することが可能となる。ま
た、データ数変換前のブロック内のデータ値の連続性を
高め、ブロック端点でリンギング等の生じない品質の高
いデータ数変換が行える。
【0012】
【実施例】以下、本発明に係るデータ数変換方法、符号
化装置及び復号化装置の実施例について、図面を参照し
ながら説明する。図1は本発明の一実施例となるデータ
数変換方法の概略構成を示している。
【0013】図1において、入力端子11には、後述す
るMBEボコーダにより算出されたスペクトルエンベロ
ープの振幅データ等が供給されている。この振幅データ
は、例えば図2のAに示すようなスペクトルを有する音
声信号を分析して、ピッチ周波数(角周波数)ωを求
め、このピッチ周波数ωに応じたスペクトルの周期性を
考慮して、各高調波(ハーモニックス)位置での振幅を
求め、図2のBに示すようなスペクトル包絡(エンベロ
ープ)を表す振幅データを求める場合に、一定の有効帯
域(例えば200〜3400Hz)内でのこの振幅データ
の個数は、上記ピッチ周波数ωに依存して変化する。そ
こで、一定の固定周波数(角周波数)ωcを想定し、こ
の一定周波数ωc の各高調波位置での上記スペクトル包
絡の振幅データを求めることで、データ個数を一定とす
るものである。
【0014】図1の例では、入力端子11からの可変個
数(mMX+1個)の入力データを、非線形圧縮部12に
て例えばdB領域に圧縮(対数圧縮)した後、データ個
数変換本体部13にて一定個数(M個)のデータに変換
している。データ個数変換本体部13は、ダミーデータ
付加部14と帯域制限型オーバーサンプリング部15と
を有し、帯域制限型オーバーサンプリング部15は直交
変換、例えばFFT(高速フーリエ変換)処理部16、
中間0詰め処理部17、及び逆直交変換、例えばIFF
T(逆FFT)処理部18から成っている。帯域制限型
オーバーサンプリングが施されたデータは、直線補間部
19で直線補間され、間引き処理部20で間引かれて、
一定個数のデータとなり、出力端子21から取り出され
る。
【0015】ここで、後述するMBEボコーダにおいて
算出されるmMX+1個の振幅データ列をa(m) とする。
mは上記高調波(ハーモニックス)の次数あるいはバン
ド番号であり、mMXが最大値であるが、m=0のバンド
の振幅データも含めて、全バンドの振幅データの個数は
MX+1個となる。この振幅データa(m) を、非線形圧
縮部14にて例えばdB領域に変換する。すなわち得ら
れたデータをadB(m)とするとき、 adB(m) =20 log10a(m) ・・・(1) である。この対数変換された振幅データadB(m) の個数
MX+1は、上述したようにピッチに依存して変化する
ため、一定個数(M個)の振幅データbdB(m) に変換す
る。これは一種のサンプリングレート(サンプルレー
ト)変換である。なお、非線形圧縮部12での圧縮処理
は、dB領域への対数圧縮の他に、例えばいわゆるμ-l
awやα-lawのような疑似対数圧縮処理を施してもよい。
このように、振幅を圧縮することにより、能率的な符号
化が実現される。
【0016】MBEボコーダに入力される時間軸上の音
声信号に対するサンプリング周波数fs は、通常8kHz
で、全帯域幅は3.4kHz(ただし有効帯域は200〜
3400Hz)であり、女声の高い方から男声の低い方ま
でのピッチラグ(ピッチ周期に相当するサンプル数)
は、20〜147程度である。従って、ピッチ(角)周
波数ωは、8000/147≒54(Hz)から 8000/20=400
(Hz)程度までの間で変動することになる。従って、周
波数軸上で上記3.4kHzまでの間に約8〜63本のピ
ッチパルス(ハーモニックス)が立つことになる。すな
わち、周波数軸上のdB領域の波形として、8サンプル
乃至63サンプルから成るデータを、一定のサンプル
数、例えば44サンプルに、サンプル数変換を行うわけ
である。これが、図2のCに示すように、一定のピッチ
周波数(角周波数)ωC 毎のハーモニックスの位置のサ
ンプルを求めることに相当する。
【0017】次にダミーデータ付加部14において、上
記mMX+1個の圧縮データadB(m)をFFTし易い数
(2のべき乗等)NF (例えばNF =256)に延長す
る。すなわち、mMX+1からNF までの区間のダミーデ
ータa'dB(m) として、例えば mMX+1≦m<NF /2:a'dB(m) =adB(mMX) NF /2≦m<3NF /4: a'dB(m) =adB(mMX) ×k1 +adB(0) ×k2 ただし、k1 =(3NF /4−n)/(NF /4) k2 =(n−NF /2)/(NF /4) 3NF /4≦m<NF :a'dB(m) =adB(0) ・・・(2) を用いて延長する。これは、図3に示すように、0〜m
MXの区間に元の振幅データadB(m) を配置し、mMX+1
≦m<NF /2の区間ではブロック内の最後のデータで
あるadB(mMX) を保持し、NF /2≦m<3NF /4の
区間は直線的に補間し、3NF /4≦m<NF の区間で
はブロック内の最初のデータadB(0) を保持するような
折線となる。
【0018】すなわち、図3に示すレート変換する原波
形の左端と右端が徐々につながるようにデータを作り込
んで詰めてゆくのである。FFTでは、変換前の波形を
図3の破線に示すように繰り返し波形とみなしているの
で、m=NF の点は、m=0に接続されることになる。
【0019】これは、FFT後に周波数軸上で乗算を行
うようなフィルタリングを行うと、元の図3に示す軸上
でたたみ込みが行われることになる。このため、図4に
示すように原波形以外の部分(mMX<m<NF の区間)
に単純に0詰めを行うと、不連続点にて図4の破線Rに
示すようなリンギングが発生し、良好なレート変換が行
われなくなる。このような不具合を防止するために、上
記図3に示すように、ブロック端点に急激な値の変化を
もたらさないようにダミーデータを詰めてゆくわけであ
る。なお、上記ダミーデータの具体例の他に、図3の破
線Iに示すようにブロックの最後のデータからブロック
の最初のデータまでの全体を直線的に補間するようにし
たり、曲線的に補間するようにしてもよい。
【0020】次に、上記NF 点(NF サンプル)に拡張
された数列(データ列)に対して、帯域制限型オーバー
サンプリング部15のFFT(高速フーリエ変換)処理
部16により、NF 点FFTを施し、図5のAに示すよ
うな0〜NF の数列(スペクトル)を得る。この数列の
0〜πに相当する部分と、π〜2πに相当する部分との
間に、中間0詰め処理部17により、(OS −1)NF
個の0を詰める。このときのOS が、オーバーサンプリ
ングの比率(レシオ)になる。例えばOS =8の場合に
は、図5のBに示すように上記数列の0〜π相当部分と
π〜2π相当部分との間に7NF 個の0を詰め、8NF
点(例えばNF =256のとき2048点)の数列とす
る。
【0021】ここで、上記0詰め操作は、LPF処理と
みることもできる。すなわち、サンプリングレートとし
てOS F の数列に対し、OS F で動作しているディ
ジタルフィルタが、図6のAの太線で示すようなπ/8
のカットオフでローパス処理して、図6のBに示すよう
なサンプル列を得ることになる。このフィルタ操作にお
いて、上記図4の破線Rで示したようなリンギングが発
生する虞れがある。本実施例では、そのリンギングの発
生を防ぐために、原波形の左端と右端とをなだらかに
(微分係数の急激な変化がないように)つなぐようにし
ている。
【0022】次に、IFFT(逆FFT)処理部18に
より、OS F 点(例えば2048点)の逆FFTを行
うと、OS 倍にオーバーサンプルされた図7に示すよう
な振幅データ(ダミーデータも含む)が得られる。この
データ列の有効な部分、すなわち0〜OS ×(mMX
1)を取り出すと、原波形(元の振幅データadB(m) )
がOS 倍の密度となってオーバーサンプルされたものが
得られる。これはまだピッチに応じて可変の個数mMX
1に依存するデータ列である。
【0023】次に、これを固定のデータ数に変換するた
めに、直線補間を行う。例えば、図8のAは、上記mMX
=19(変換前の全バンド数、振幅データの個数が2
0)の場合を示しており、これを、OS =8として8倍
オーバーサンプリングすることにより、図8のBに示す
ように、0〜πの間にOS ×(mMX+1)=160個の
サンプルデータが存在するわけであるが、これを直線補
間部19で一定個数NM、例えばNM =2048に直線
補間する。
【0024】図9のAは、直線補間部19により直線補
間されて得られたた一定個数NM (例えばNM =204
8)のデータを示しており、この2048サンプルのデ
ータを所定のサンプル数M(例えばM=44)に変換す
るために、間引き処理部20により2048点のデータ
を間引いて44点のデータを得ている。ここで、第0〜
第2047番目のサンプルデータの内、DC値(直流デ
ータ値、第0番目のデータ値)は伝送する必要がないの
で、nint(2048/44)・i)の値を間引き値
として採用し、44個のデータを得るようにすればよ
い。ただし、1≦i≦44であり、nintは、neares
t integer 、すなわち最も近い整数値を示す関数であ
る。
【0025】このようにして、一定サンプル数M個のデ
ータに変換した数列bdB(n) 、ただし1≦n≦M、を得
る。この固定データ数の数列を、必要に応じてブロック
間、あるいはフレーム間で差分をとり、ベクトル量子化
を施して、そのインデックスを伝送するようにすればよ
い。
【0026】受信側(合成側あるいはデコーダ側)で
は、そのインデックスより、ベクトル量子化及び逆量子
化された数列bVQdB(n)なるM点の波形データを
得る。そのデータ列を、同様の方法で、すなわち帯域制
限オーバーサンプリング、直線補間、間引きの操作を施
すことにより、必要なポイント数の上記mMX+1点の
数列に変換する。なお、mMX(あるいはmMX+1)
は、別途伝送するピッチ情報により求めることができ
る。例えばサンプリング周期に対して規格化されたピッ
チ周期をpとするとき、ピッチ周波数(角周波数)ω
は、2π/pで求められ、π/ω=p/2より、mMX
+1=inint(p/2)として算出できる。このm
MX+1点の振幅情報をもとにしてデコード処理を行
う。
【0027】次に、上述したようなデータ数変換方法が
適用可能な、音声信号の合成分析符号化装置(いわゆる
ボコーダ)の一種のMBE(Multiband Excitation: マ
ルチバンド励起)ボコーダの具体例について、図面を参
照しながら説明する。以下に説明するMBEボコーダ
は、D.W. Griffin and J.S. Lim, "MultibandExcitatio
n Vocoder," IEEE Trans.Acoustics,Speech,and Signal
Processing,vol.36, No.8, pp.1223-1235, Aug. 1988
に開示されているものであり、従来のPARCOR(PA
Rtial auto-CORrelation: 偏自己相関)ボコーダ等で
は、音声のモデル化の際に有声音区間と無声音区間とを
ブロックあるいはフレーム毎に切り換えていたのに対
し、MBEボコーダでは、同時刻(同じブロックあるい
はフレーム内)の周波数軸領域に有声音(Voiced)区間
と無声音(Unvoiced)区間とが存在するという仮定でモ
デル化している。
【0028】図10は、上記MBEボコーダに本発明を
適用した実施例の全体の概略構成を示すブロック図であ
る。この図10において、入力端子101には音声信号
が供給されるようになっており、この入力音声信号は、
HPF(ハイパスフィルタ)等のフィルタ102に送ら
れて、いわゆるDC(直流)オフセット分の除去や帯域
制限(例えば200〜3400Hzに制限)のための少な
くとも低域成分(200Hz以下)の除去が行われる。こ
のフィルタ102を介して得られた信号は、ピッチ抽出
部103及び窓かけ処理部104にそれぞれ送られる。
ピッチ抽出部103では、入力音声信号データが所定サ
ンプル数N(例えばN=256)単位でブロック分割さ
れ(あるいは方形窓による切り出しが行われ)、このブ
ロック内の音声信号についてのピッチ抽出が行われる。
このような切り出しブロック(256サンプル)を、例
えば図11のAに示すようにLサンプル(例えばL=1
60)のフレーム間隔で時間軸方向に移動させており、
各ブロック間のオーバラップはN−Lサンプル(例えば
96サンプル)となっている。また、窓かけ処理部10
4では、1ブロックNサンプルに対して所定の窓関数、
例えばハミング窓をかけ、この窓かけブロックを1フレ
ームLサンプルの間隔で時間軸方向に順次移動させてい
る。
【0029】このような窓かけ処理を数式で表すと、 xw (k,q) =x(q) w(kL-q) ・・・(3) となる。この(1)式において、kはブロック番号を、
qはデータの時間インデックス(サンプル番号)を表
し、処理前の入力信号のq番目のデータx(q) に対して
第kブロックの窓(ウィンドウ)関数w(kL-q)により窓
かけ処理されることによりデータxw (k,q) が得られる
ことを示している。ピッチ抽出部103内での図11の
Aに示すような方形窓の場合の窓関数wr (r) は、 wr (r) =1 0≦r<N ・・・(4) =0 r<0,N≦r また、窓かけ処理部104での図11のBに示すような
ハミング窓の場合の窓関数wh (r) は、 wh (r) = 0.54 − 0.46 cos(2πr/(N-1)) 0≦r<N ・・・(5) =0 r<0,N≦r である。このような窓関数wr (r) あるいはwh (r) を
用いるときの上記(3)式の窓関数w(r) (=w(kL-
q))の否零区間は、 0≦kL−q<N これを変形して、 kL−N<q≦kL 従って例えば上記方形窓の場合に窓関数wr (kL-q)=1
となるのは、図12に示すように、kL−N<q≦kL
のときとなる。また、上記(3)〜(5)式は、長さN
(=256)サンプルの窓が、L(=160)サンプル
ずつ前進してゆくことを示している。以下、上記(4)
式、(5)式の各窓関数で切り出された各N点(0≦r
<N)の否零サンプル列を、それぞれxwr(k,r) 、xwh
(k,r) と表すことにする。
【0030】窓かけ処理部104では、図13に示すよ
うに、上記(5)式のハミング窓がかけられた1ブロッ
ク256サンプルのサンプル列xwh(k,r) に対して17
92サンプル分の0データが付加されて(いわゆる0詰
めされて)2048サンプルとされ、この2048サン
プルの時間軸データ列に対して、直交変換部105によ
り例えばFFT(高速フーリエ変換)等の直交変換処理
が施される。
【0031】ピッチ抽出部103では、上記X
wr(k,r)のサンプル列(1ブロックNサンプル)
に基づいてピッチ抽出が行われる。このピッチ抽出法に
は、時間波形の周期性や、スペクトルの周期的周波数構
造や、自己相関関数を用いるもの等が知られているが、
本実施例では、センタクリップ波形の自己相関法を採用
している。このときのブロック内でのセンタクリップレ
ベルについては、1ブロックにつき1つのクリップレベ
ルを設定してもよいが、ブロックを細分割した各部(各
サブブロック)の信号のピークレベル等を検出し、これ
らの各サブブロックのピークレベル等の差が大きいとき
に、ブロック内でクリップレベルを段階的にあるいは連
続的に変化させるようにしている。このセンタクリップ
波形の自己相関データのピーク位置に基づいてピッチ周
を決めている。このとき、現在フレームに属する自己
相関データ(自己相関は1ブロックNサンプルのデータ
を対象として求められる)から複数のピークを求めてお
き、これらの複数のピークの内の最大ピークが所定の閾
値以上のときには該最大ピーク位置をピッチ周期とし、
それ以外のときには、現在フレーム以外のフレーム、例
えば前後のフレームで求められたピッチに対して所定の
関係を満たすピッチ範囲内、例えば前フレームのピッチ
を中心として±20%の範囲内にあるピークを求め、こ
のピーク位置に基づいて現在フレームのピッチを決定す
るようにしている。このピッチ抽出部103ではオープ
ンループによる比較的ラフなピッチのサーチが行われ、
抽出されたピッチデータは高精度(ファイン)ピッチサ
ーチ部106に送られて、クローズドループによる高精
度のピッチサーチ(ピッチのファインサーチ)が行われ
る。
【0032】高精度(ファイン)ピッチサーチ部106
には、ピッチ抽出部103で抽出された整数(インテジ
ャー)値の粗(ラフ)ピッチデータと、直交変換部10
5により例えばFFTされた周波数軸上のデータとが供
給されている。この高精度ピッチサーチ部106では、
上記粗ピッチデータ値を中心に、0.2〜0.5きざみで±
数サンプルずつ振って、最適な小数点付き(フローティ
ング)のファインピッチデータの値へ追い込む。このと
きのファインサーチの手法として、いわゆる合成による
分析 (Analysis by Synthesis)法を用い、合成されたパ
ワースペクトルが原音のパワースペクトルに最も近くな
るようにピッチを選んでいる。
【0033】このピッチのファインサーチについて説明
する。先ず、上記MBEボコーダにおいては、上記FF
T等により直交変換された周波数軸上のスペクトルデー
タとしてのS(j)を S(j)=H(j)|E(j)| 0<j<J ・・・(6) と表現するようなモデルを想定している。ここで、Jは
ω /4π=f./2に対応し、サンプリング周波数
ω /2πが例えば8kHzのときには4kHz
に対応する。上記(6)式中において、周波数軸上のス
ペクトルデータS(j)が図14のAに示すような波形
のとき、H(j)は、図14のBに示すような元のスペ
クトルデータS(j)のスペクトル包絡線(エンベロー
プ)を示し、E(j)は、図14のCに示すような等レ
ベルで周期的な励起信号(エキサイテイション)のスペ
クトルを示している。すなわち、FFTスペクトルS
(j)は、スペクトルエンベロープH(j)と励起信号
のパワースペクトル|E(j)|との積としてモデル化
される。
【0034】上記励起信号のパワースペクトル|E(j)
|は、上記ピッチに応じて決定される周波数軸上の波形
の周期性(ピッチ構造)を考慮して、1つの帯域(バン
ド)の波形に相当するスペクトル波形を周波数軸上の各
バンド毎に繰り返すように配列することにより形成され
る。この1バンド分の波形は、例えば上記図13に示す
ような256サンプルのハミング窓関数に1792サン
プル分の0データを付加(0詰め)した波形を時間軸信
号と見なしてFFTし、得られた周波数軸上のある帯域
幅を持つインパルス波形を上記ピッチに応じて切り出す
ことにより形成することができる。
【0035】次に、上記ピッチに応じて分割された各バ
ンド毎に、上記H(j) を代表させるような(各バンド毎
のエラーを最小化するような)値(一種の振幅)|Am
|を求める。ここで、例えば第mバンド(第m高調波の
帯域)の下限、上限の点をそれぞれam 、bm とすると
き、この第mバンドのエラーεm は、
【0036】
【数1】 で表せる。このエラーεを最小化するような|A
は、
【0037】
【数2】 となり、この(8)式の|A|のとき、エラーε
最小化する。このような振幅|A|を各バンド毎に求
め、得られた各振幅|A|を用いて上記(7)式で定
義された各バンド毎のエラーεを求める。次に、この
ような各バンド毎のエラーωの全バンドの総和値Σω
を求める。さらに、このような全バンドのエラー総和
値Σεを、いくつかの微小に異なるピッチについて求
め、エラー総和値Σεが最小となるようなピッチを求
める。
【0038】すなわち、上記ピッチ抽出部103で求め
られたラフピッチを中心として、例えば 0.25 きざみで
上下に数種類ずつ用意する。これらの複数種類の微小に
異なるピッチの各ピッチに対してそれぞれ上記エラー総
和値Σεm を求める。この場合、ピッチが定まるとバン
ド幅が決まり、上記(8)式より、周波数軸上データの
パワースペクトル|S(j) |と励起信号スペクトル|E
(j) |とを用いて上記(7)式のエラーεm を求め、そ
の全バンドの総和値Σεm を求めることができる。この
エラー総和値Σεm を各ピッチ毎に求め、最小となるエ
ラー総和値に対応するピッチを最適のピッチとして決定
するわけである。以上のようにして高精度ピッチサーチ
部106で最適のファイン(例えば 0.25 きざみ)ピッ
チが求められ、この最適ピッチに対応する振幅|Am
が決定される。
【0039】以上ピッチのファインサーチの説明におい
ては、説明を簡略化するために、全バンドが有声音(Vo
iced)の場合を想定しているが、上述したようにMBE
ボコーダにおいては、同時刻の周波数軸上に無声音(Un
voiced)領域が存在するというモデルを採用しているこ
とから、上記各バンド毎に有声音/無声音の判別を行う
ことが必要とされる。
【0040】上記高精度ピッチサーチ部106からの最
適ピッチ及び振幅|Am |のデータは、有声音/無声音
判別部107に送られ、上記各バンド毎に有声音/無声
音の判別が行われる。この判別のために、NSR(ノイ
ズtoシグナル比)を利用する。すなわち、第mバンド
のNSRは、
【0041】
【数3】 と表せ、このNSR値が所定の閾値(例えば0.3)より
大のとき(エラーが大きい)ときには、そのバンドでの
|Am ||E(j) |による|S(j) |の近似が良くない
(上記励起信号|E(j) |が基底として不適当である)
と判断でき、当該バンドをUV(Unvoiced、無声音)と
判別する。これ以外のときは、近似がある程度良好に行
われていると判断でき、そのバンドをV(Voiced、有声
音)と判別する。
【0042】次に、振幅再評価部108には、直交変換
部105からの周波数軸上データ、高精度ピッチサーチ
部106からのファインピッチと評価された振幅|Am
|との各データ、及び上記有声音/無声音判別部107
からのV/UV(有声音/無声音)判別データが供給さ
れている。この振幅再評価部108では、有声音/無声
音判別部107において無声音(UV)と判別されたバ
ンドに関して、再度振幅を求めている。このUVのバン
ドについての振幅|Am UVは、
【0043】
【数4】 にて求められる。
【0044】この振幅再評価部108からのデータは、
データ数変換(一種のサンプリングレート変換)部10
9に送られる。このデータ数変換部109は、上記ピッ
チに応じて周波数軸上での分割帯域数が異なり、データ
数(特に振幅データの数)が異なることを考慮して、一
定の個数にするためのものである。すなわち、例えば有
効帯域を3400kHzまでとすると、この有効帯域が上
記ピッチに応じて、8バンド〜63バンドに分割される
ことになり、これらの各バンド毎に得られる上記振幅|
m |(UVバンドの振幅|Am UVも含む)データの
個数mMX+1も8〜63と変化することになる。このた
めデータ数変換部109では、この可変個数mMX+1の
振幅データを一定個数M(例えば44個)のデータに変
換している。
【0045】ここで本実施例においては、上記図1〜図
9と共に説明したように、周波数軸上の有効帯域1ブロ
ック分の振幅データに対して、ブロック内の最後のデー
タからブロック内の最初のデータまでの値を補間するよ
うなダミーデータを付加してデータ個数をNF 個に拡大
した後、帯域制限型のOS 倍(例えば8倍)のオーバー
サンプリングを施すことによりOS 倍の個数の振幅デー
タを求め、このOS 倍の個数((mMX+1)×OS 個)
の振幅データを直線補間してさらに多くのNM個(例え
ば2048個)に拡張し、このNM 個のデータを間引い
て上記一定個数M(例えば44個)のデータに変換して
いる。
【0046】このデータ数変換部109からのデータ
(上記一定個数M個の振幅データ)がベクトル量子化部
110に送られて、所定個数のデータ毎にまとめられて
ベクトルとされ、ベクトル量子化が施される。ベクトル
量子化部110からの量子化出力データは、出力端子1
11を介して取り出される。また、上記高精度のピッチ
サーチ部106からの高精度(ファイン)ピッチデータ
は、ピッチ符号化部115で符号化され、出力端子11
2を介して取り出される。さらに、上記有声音/無声音
判別部107からの有声音/無声音(V/UV)判別デ
ータは、出力端子113を介して取り出される。これら
の各出力端子111〜113からのデータは、所定の伝
送フォーマットの信号とされて伝送される。
【0047】なお、これらの各データは、上記Nサンプ
ル(例えば256サンプル)のブロック内のデータに対
して処理を施すことにより得られるものであるが、ブロ
ックは時間軸上を上記Lサンプルのフレームを単位とし
て前進することから、伝送するデータは上記フレーム単
位で得られる。すなわち、上記フレーム周期でピッチデ
ータ、V/UV判別データ、振幅データが更新されるこ
とになる。
【0048】次に、伝送されて得られた上記各データに
基づき音声信号を合成するための合成側(デコード側)
の概略構成について、図15を参照しながら説明する。
この図15において、入力端子121には上記ベクトル
量子化された振幅データが、入力端子122には上記符
号化されたピッチデータが、また入力端子123には上
記V/UV判別データがそれぞれ供給される。入力端子
121からの量子化振幅データは、逆ベクトル量子化部
124に送られて逆量子化され、データ数逆変換部12
5に送られて逆変換される。このデータ数逆変換部12
5では、上述した図1〜図9の説明と同様な変換が行わ
れ、得られた振幅データが有声音合成部126及び無声
音合成部127に送られる。入力端子122からの符号
化ピッチデータは、ピッチ復号化部128で復号化さ
れ、データ数逆変換部125、有声音合成部126及び
無声音合成部127に送られる。また入力端子123か
らのV/UV判別データは有声音合成部126及び無声
音合成部127に送られる。
【0049】有声音合成部126では例えば余弦(cosin
e)波合成により時間軸上の有声音波形を合成し、無声音
合成部127では例えばホワイトノイズをバンドパスフ
ィルタでフィルタリングして時間軸上の無声音波形を合
成し、これらの各有声音合成波形と無声音合成波形とを
加算部129で加算合成して、出力端子130より取り
出すようにしている。この場合、上記振幅データ、ピッ
チデータ及びV/UV判別データは、上記分析時の1フ
レーム(Lサンプル、例えば160サンプル)毎に更新
されて与えられるが、フレーム間の連続性を高める(円
滑化する)ために、上記振幅データやピッチデータの各
値を1フレーム中の例えば中心位置における各データ値
とし、次のフレームの中心位置までの間(合成時の1フ
レーム)の各データ値を補間により求める。すなわち、
合成時の1フレーム(例えば上記分析フレームの中心か
ら次の分析フレームの中心まで)において、先端サンプ
ル点での各データ値と終端(次の合成フレームの先端)
サンプル点での各データ値とが与えられ、これらのサン
プル点間の各データ値を補間により求めるようにしてい
る。
【0050】以下、有声音合成部126における合成処
理を詳細に説明する。上記V(有声音)と判別された第
mバンド(第m高調波の帯域)における時間軸上の上記
1合成フレーム(Lサンプル、例えば160サンプル)
分の有声音をVm (n) とするとき、この合成フレーム内
の時間インデックス(サンプル番号)nを用いて、 Vm (n) =Am (n) cos(θm (n)) 0≦n<L ・・・(11) と表すことができる。全バンドの内のV(有声音)と判
別された全てのバンドの有声音を加算(ΣVm (n) )し
て最終的な有声音V(n) を合成する。
【0051】この(11)式中のAm (n) は、上記合成フ
レームの先端から終端までの間で補間された第m高調波
の振幅である。最も簡単には、フレーム単位で更新され
る振幅データの第m高調波の値を直線補間すればよい。
すなわち、上記合成フレームの先端(n=0)での第m
高調波の振幅値をA0m、該合成フレームの終端(n=
L:次の合成フレームの先端)での第m高調波の振幅値
をALmとするとき、 Am (n) = (L-n)A0m/L+nALm/L ・・・(12) の式によりAm (n) を計算すればよい。
【0052】次に、上記(11)式中の位相θ(n)
は、 θ (n)=mω01n+nm(ωL1−ω01)/2L+φ0m+Δωn ・・・(13) により求めることができる。この(13)式中で、φ
0mは上記合成フレームの先端(n=0)での第m高調
波の位相(フレーム初期位相)を示し、ω01は合成フ
レーム先端(n=0)での基本角周波数、ωL1は該合
成フレームの終端(n=L:次の合成フレーム先端)で
の基本角周波数をそれぞれ示している。上記(13)式
中のΔωは、n=Lにおける位相φLmがθ(L)に
等しくなるような最小のΔωを設定する。
【0053】以下、任意の第mバンドにおいて、それぞ
れn=0、n=LのときのV/UV判別結果に応じた上
記振幅Am (n) 、位相θm (n) の求め方を説明する。第
mバンドが、n=0、n=LのいずれもV(有声音)と
される場合に、振幅Am (n) は、上述した(12)式によ
り、伝送された振幅値A0m、ALmを直線補間して振幅A
m (n) を算出すればよい。位相θm (n) は、n=0でθ
m (0) =φ0mからn=Lでθm (L) がφLmとなるように
Δωを設定する。
【0054】次に、n=0のときV(有声音)で、n=
LのときUV(無声音)とされる場合に、振幅Am (n)
は、Am (0) の伝送振幅値A0mからAm (L) で0となる
ように直線補間する。n=Lでの伝送振幅値ALmは無声
音の振幅値であり、後述する無声音合成の際に用いられ
る。位相θm (n) は、θm (0) =φ0mとし、かつΔω=
0とする。
【0055】さらに、n=0のときUV(無声音)で、
n=LのときV(有声音)とされる場合には、振幅Am
(n) は、n=0での振幅Am (0) を0とし、n=Lで伝
送された振幅値ALmとなるように直線補間する。位相θ
m (n) については、n=0での位相θm (0) として、フ
レーム終端での位相値φLmを用いて、 θm (0) =φLm−m(ωO1+ωL1)L/2 ・・・(14) とし、かつΔω=0とする。
【0056】上記n=0、n=LのいずれもV(有声
音)とされる場合に、θm (L) がφLmとなるようにΔω
を設定する手法について説明する。上記(13)式で、n
=Lと置くことにより、 θm (L) =mωO1L+L2 m(ωL1−ω01)/2L+φ0m+ΔωL =m(ωO1+ωL1)L/2+φ0m+ΔωL =φLm となり、これを整理すると、Δωは、 Δω=(mod2π((φLm−φ0m) − mL(ωO1+ωL1)/2)/L ・・・(15) となる。この(15)式でmod2π(x) とは、xの主値を−
π〜+πの間の値で返す関数である。例えば、x=1.3
πのときmod2π(x) =−0.7π、x=2.3πのときmod2
π(x) =0.3π、x=−1.3πのときmod2π(x) =0.7
π、等である。
【0057】ここで、図16のAは、音声信号のスペク
トルの一例を示しており、バンド番号(ハーモニクスナ
ンバ)mが8、9、10の各バンドがUV(無声音)と
され、他のバンドはV(有声音)とされている。このV
(有声音)のバンドの時間軸信号が上記有声音合成部1
26により合成され、UV(無声音)のバンドの時間軸
信号が無声音合成部127で合成されるわけである。
【0058】以下、無声音合成部127における無声音
合成処理を説明する。ホワイトノイズ発生部131から
の時間軸上のホワイトノイズ信号波形を、所定の長さ
(例えば256サンプル)で適当な窓関数(例えばハミ
ング窓)により窓かけをし、STFT処理部132によ
りSTFT(ショートタームフーリエ変換)処理を施す
ことにより、図16のBに示すようなホワイトノイズの
周波数軸上のパワースペクトルを得る。このSTFT処
理部132からのパワースペクトルをバンド振幅処理部
133に送り、図16のCに示すように、上記UV(無
声音)とされたバンド(例えばm=8、9、10)につ
いて上記振幅|Am UVを乗算し、他のV(有声音)と
されたバンドの振幅を0にする。このバンド振幅処理部
133には上記振幅データ、ピッチデータ、V/UV判
別データが供給されている。バンド振幅処理部133か
らの出力は、ISTFT処理部134に送られ、位相は
元のホワイトノイズの位相を用いて逆STFT処理を施
すことにより時間軸上の信号に変換する。ISTFT処
理部134からの出力は、オーバーラップ加算部135
に送られ、時間軸上で適当な(元の連続的なノイズ波形
を復元できるように)重み付けをしながらオーバーラッ
プ及び加算を繰り返し、連続的な時間軸波形を合成す
る。オーバーラップ加算部135からの出力信号が上記
加算部129に送られる。
【0059】このように、各合成部126、127にお
いて合成されて時間軸上に戻された有声音部及び無声音
部の各信号は、加算部129により適当な固定の混合比
で加算して、出力端子130より再生された音声信号を
取り出す。
【0060】なお、上記図10の音声分析側(エンコー
ド側)の構成や図15の音声合成側(デコード側)の構
成については、各部をハードウェア的に記載している
が、いわゆるDSP(ディジタル信号プロセッサ)等を
用いてソフトウェアプログラムにより実現することも可
能である。
【0061】なお、本発明は上記実施例のみに限定され
るものではなく、例えば、音声信号のみならず、音響信
号を入力信号として用いることもできる。
【0062】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係るデータ数変換方法によれば、ブロック内で可変個
数のデータを非線形圧縮し、一定個数に変換しているた
め、ブロック間(フレーム間)の差分をとることやベク
トル量子化等が可能となり、符号化効率を高める上で有
効であり、また、データ数変換(サンプル数変換)のた
めの帯域制限型オーバーサンプリング処理を施す際に、
処理前のブロック内データの最後のデータ値と最初のデ
ータ値との間を補間するようなダミーデータを付加して
データ個数を拡大しているため、後のフィルタ処理等に
より端点にリンギングが発生するような不具合を回避で
き、良好な符号化、特に効率の高いベクトル量子化が実
現できる。また、このようなデータ数変換方法が適用さ
れた本発明に係る符号化装置及び復号化装置も、上述と
同様な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るデータ数変換方法を説明するため
の概略構成を示すブロック図である。
【図2】データ数変化の一例を説明するための波形図で
ある。
【図3】FFT前のデータ数拡大した波形の一例を示す
図である。
【図4】FFT前のデータ数拡大した波形の比較例を示
す図である。
【図5】FFT後の波形とオーバーサンプリング操作を
説明するための図である。
【図6】FFT後の波形に対するフィルタリング操作を
説明するための図である。
【図7】IFFT後の波形を示す図である。
【図8】オーバーサンプリングによるサンプル数変換の
一例を示す図である。
【図9】直線補間及び間引き処理を説明するための図で
ある。
【図10】本発明に係るデータ数変換方法が適用される
装置の具体例としての音声信号の合成分析符号化装置の
分析側(エンコード側)の概略構成を示す機能ブロック
図である。
【図11】窓かけ処理を説明するための図である。
【図12】窓かけ処理と窓関数との関係を説明するため
の図である。
【図13】直交変換(FFT)処理対象としての時間軸
データを示す図である。
【図14】周波数軸上のスペクトルデータ、スペクトル
包絡線(エンベロープ)及び励起信号のパワースペクト
ルを示す図である。
【図15】本発明に係るデータ数変換方法が適用される
装置の具体例としての音声信号の合成分析符号化装置の
合成側(デコード側)の概略構成を示す機能ブロック図
である。
【図16】音声信号を合成する際の無声音合成を説明す
るための図である。
【符号の説明】
12・・・・・非線形圧縮部 13・・・・・データ個数変換本体部 14・・・・・ダミーデータ付加部 15・・・・・帯域制限型オーバーサンプリング部 16・・・・・FFT(高速フーリエ変換)処理部 17・・・・・中間0詰め処理部 18・・・・・IFFT(逆FFT)処理部 19・・・・・直線補間部 20・・・・・間引き処理部 103・・・・・ピッチ抽出部 104・・・・・窓かけ処理部 105・・・・・直交変換(FFT)部 106・・・・・高精度(ファイン)ピッチサーチ部 107・・・・・有声音/無声音(V/UV)判別部 108・・・・・振幅再評価部 109・・・・・データ数変換(データレートコンバー
ト)部 110・・・・・ベクトル量子化部 126・・・・・有声音合成部 127・・・・・無声音合成部

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブロック内の波形データ又は波形を表す
    パラメータデータの個数が可変とされたデータをブロッ
    ク毎に一定の個数の基準データと比較するために上記可
    変個数のデータを上記一定個数に変換するデータ数変換
    方法であって、 上記ブロック毎に可変の個数のデータにダミーデータを
    付加してデータ個数を拡大した後、帯域制限型のオーバ
    ーサンプリングを施すことを特徴とするデータ数変換方
    法。
  2. 【請求項2】 上記ダミーデータは、ブロック内の最後
    のデータからブロック内の最初のデータまでの値を補間
    するようなダミーデータであることを特徴とする請求項
    1記載のデータ数変換方法。
  3. 【請求項3】 入力オーディオ信号をブロックに分割し
    て、ブロック内の可変個数の波形データ又は波形を表す
    パラメータデータを抽出し、上記抽出された可変個数の
    データをブロック毎に一定の個数の基準データと比較す
    るために上記可変個数のデータを上記一定個数に変換し
    て符号化する符号化装置であって、 上記一定個数への変換の際、上記ブロック毎に可変の個
    数のデータにダミーデータを付加してデータ個数を拡大
    した後、帯域制限型のオーバーサンプリングを施すこと
    を特徴とする符号化装置。
  4. 【請求項4】 入力オーディオ信号をブロックに分割し
    て、ブロック内の可変個数の波形データ又は波形を表す
    パラメータデータを抽出し、上記抽出された可変個数の
    データをブロック毎に一定の個数の基準データと比較す
    るために上記可変個数のデータを上記一定個数に変換す
    ることにより符号化された符号列を受け取り、上記符号
    列から上記一定個数のデータを復号化し、上記復号化さ
    れた一定個数のデータから可変個数のデータに逆変換す
    る復号化装置であって、 上記可変個数への逆変換の際、上記ブロック毎に一定の
    個数のデータにダミーデータを付加してデータ個数を拡
    大した後、帯域制限型のオーバーサンプリングを施すこ
    とを特徴とする復号化装置。
  5. 【請求項5】 ブロック内の波形データ又は波形を表す
    パラメータデータのN個のデータを、ブロック毎にM個
    のデータに変換するデータ数変換方法において、 上記ブロック毎にN個のデータにダミーデータを付加し
    てデータ個数を拡大した後、帯域制限型のオーバーサン
    プリングを施すことを特徴とするデータ数変換方法。
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