JP3218680B2 - 有声音合成方法 - Google Patents

有声音合成方法

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JP3218680B2
JP3218680B2 JP12146392A JP12146392A JP3218680B2 JP 3218680 B2 JP3218680 B2 JP 3218680B2 JP 12146392 A JP12146392 A JP 12146392A JP 12146392 A JP12146392 A JP 12146392A JP 3218680 B2 JP3218680 B2 JP 3218680B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、初期位相が固定された
信号を用いて有声音を合成する有声音合成方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】音声信号の時間領域や周波数領域におけ
る統計的性質と人間の聴感上の特性を利用して信号圧縮
を行うような符号化方法が種々知られている。この符号
化方法としては、大別して時間領域での符号化、周波数
領域での符号化、分析合成符号化等が挙げられる。
【0003】音声信号等の高能率符号化の例として、M
BE(Multiband Excitation: マルチバンド励起)符号
化、SBE(Singleband Excitation:シングルバンド励
起)符号化、ハーモニクス(Harmonic) 符号化、SBC
(Sub-band Coding:帯域分割符号化) 、LPC(Linear
Predictive Coding:線形予測符号化)、あるいはDCT
(離散コサイン変換)、MDCT(モデファイドDC
T)、FFT(高速フーリエ変換)等がある。
【0004】上記MBE符号化等においては、1ブロッ
ク(フレーム)内の音声に対して帯域(バンド)を複数
に分割し、各バンド毎に有声音/無声音の判断を行って
おり、音質の向上が認められる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記MBE
符号化等においては、音声スペクトルの振幅の位相情報
を別途伝送するか又は伝送情報量を減らすため伝送せず
に合成側(復号化側)でピッチ及び過去の位相から位相
情報を予測している。この合成側での位相情報の予測
(以下、位相予測という)には、フレームの初期位相を
0或いはπ/2に固定し、分析側から伝送されてきたピ
ッチに応じてコサイン波を合成する固定位相加算が行わ
れてきた。しかし、この固定位相加算による合成では、
男声等のピッチの低い音声での強い母音で不自然な合成
音となっていた。そこで、符号化側での有声音/無声音
判別で判明した無声音帯域の含有率に応じて、合成側で
は位相に分散の大きな乱数を加算して自然感を出すよう
にしている。しかし、ピッチが低くない女声の位相に分
散の大きな乱数を加算すると、雑音のような感じにな
り、明瞭度が失われてしまうという欠点がある。
【0006】本発明は、このような実情に鑑みてなされ
たものであり、不自然感がなく明瞭度が失われることの
ない高品質の合成音を得られるような有声音合成方法
提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る有声音合成
方法は、入力された音声信号をフレーム単位で区分し、
区分されたフレーム毎にピッチを求め、求められたピッ
チの基本波及びその高調波であって初期位相が固定され
た信号群を用いて有声音を合成する有声音合成方法にお
いて、各フレーム毎にフレーム終端部における上記基本
波及び高調波の位相を予測すると共に各フレーム毎の上
記予測されたフレーム終端部の位相又は上記基本波及び
高調波の少なくとも1つの周波数を上記ピッチに応じて
修正することを特徴として上記課題を解決する。
【0008】ここで、ピッチに応じた修正の量は、ピッ
チ周波数が低くなる程、言い換えるとピッチ周期が長く
なる程、予測位相に加える修正値を大きくするというこ
とである。
【0009】また、上記基本波及び高調波の少なくとも
1の周波数をピッチに応じて修正するのは、初期フレー
ムのフレーム終端部における位相のみの修正だけでな
く、他フレームにおいても相対的に上記基本波及び高調
波の重ねの位置を調整するために行われる。
【0010】
【作用】ピッチ周波数が低くなる程、言い換えるとピッ
チ周期が長くなる程、合成側で予測するフレーム終端部
における基本波及び高調波の位相又はそれらの内の少な
くとも1つの周波数の修正の度合いを増すことにより、
不必要なノイズを発生することなく自然な再生音を得ら
れる。
【0011】
【実施例】以下、本発明に係る有声音合成方法を、音声
信号の合成分析符号化装置(いわゆるボコーダ)の一種
であるMBE(Multiband Excitation: マルチバンド励
起)ボコーダに適用した具体例について、図面を参照し
ながら説明する。
【0012】このMBEボコーダは、D. W. Griffin an
d J.S. Lim,"Multiband ExcitationVocoder," IEEE Tra
ns.Acoustics,Speech,and Signal Processing, vol.36,
No.8, pp.1223-1235, Aug.1988 に開示されているも
のであり、従来のPARCOR(PARtial auto-CORrela
tion: 偏自己相関)ボコーダ等では、音声のモデル化の
際に有声音区間と無声音区間とをブロックあるいはフレ
ーム毎に切り換えていたのに対し、MBEボコーダで
は、同時刻(同じブロックあるいはフレーム内)の周波
数軸領域に有声音(Voiced)区間と無声音(Unvoiced)
区間とが存在するという仮定でモデル化している。
【0013】図1は、上記MBEボコーダの合成側(デ
コード側)に本発明を適用した実施例の概略構成を示す
ブロック図である。
【0014】この図1において、入力端子11、12及
び13には後述するMBEボコーダの分析側(エンコー
ド側)から伝送されてくるベクトル量子化された振幅デ
ータ、符号化されたピッチデータ及び有声音(V)/
(無声音)UV判別データが供給される。入力端子11
からの量子化振幅データは、逆ベクトル量子化部14に
送られて逆量子化され、データ数逆変換部15に送られ
て逆変換され、得られた振幅データが有声音合成部16
及び無声音合成部17に送られる。入力端子12からの
符号化ピッチデータは、ピッチ復号化部18で復号化さ
れ、データ数逆変換部15、有声音合成部16、無声音
合成部17、スケールファクタ調整部19及び位相予測
&修正部20に送られる。また入力端子13からのV/
UV判別データは、有声音合成部16及び無声音合成部
17に送られる。
【0015】有声音合成部16では例えば余弦(cosine)
波合成により時間軸上の有声音波形を合成し、無声音合
成部17では例えばホワイトノイズをバンドパスフィル
タでフィルタリングして時間軸上の無声音波形を合成
し、これらの各有声音合成波形と無声音合成波形とを加
算部21で加算合成して、出力端子22より取り出すよ
うにしている。
【0016】ここで、上記位相予測&修正部20では、
上記ピッチ復号化部18からの復号化ピッチデータに基
づいて、位相予測を行う。この位相予測&修正部20
は、時刻0(フレームの先頭)に於ける第m高調波の位
相(フレーム初期位相)をψ0mとすると、フレームの最
後での位相ψLmを、 ψLm=mod2π(ψ0m+m(ω01+ωL1) L/2) ・・・(1) と予測する。この(1)式でmod2π(x)とは、xの主
値を−π〜+πの間で返す関数である。例えば、x=1.
3 πのときmod2π(x)=−0.7 π、x=2.3 πのとき
mod2π(x)=0.3 π、x=−1.3 πのときmod2π
(x)=0.7 π、等である。また、Lはフレームインタ
ーバル、ω01は、合成フレームの先端(n=0)での基
本角周波数、ωL1は該合成フレームの終端(n=L:次
の合成フレーム先端)での基本角周波数である。また、
上記位相予測&修正部20は、上記予測したフレームの
最後での位相ψLmに対し、上記ピッチ復号化部18から
の復号化ピッチデータを基に上記スケールファクタ調整
部19が調整したスケールファクタを加算し、修正を施
す。すなわち、時刻0(フレームの先頭)に於ける第m
高調波の位相(フレーム初期位相)φ0mを1フレーム前
のφLm(φ(-1)Lm)とすると、この修正の施された予測
位相φLmは、 φLm=ψLm+Sc dp ・・・(2) と示される。ここで、Sc はスケール値を示し、Rdp
2πf(m、M)×(ガウシアン乱数)で示される位相
のランダム値である。また、f(m、M)は周波数に応
じて標準偏差σを変えるための関数である。上記Rdp
±πの範囲を越える時は、±πをクリッピングレベルに
して、Rdpをクリップする。
【0017】具体的には、上記(2)式のスケール値S
c をサンプル数で記述されたピッチのインターバル(周
期)であるピッチラグPr の関数とする。例えば、ピッ
チラグPr が75より小さいときにはスケール値を0.1 、
ピッチラグPr が75以上で85より小さいときにはスケー
ル値を0.2 、ピッチラグPr が85以上で90より小さいと
きにはスケール値を0.3 、ピッチラグPr が90以上で10
0 より小さいときにはスケール値を0.6 、ピッチラグP
r が100 以上のときにはスケール値を0.8 とする。つま
り、ピッチラグPr が大きいとき程、ランダマイズのス
ケールファクタのスケール値を大きな値とする。
【0018】ここで、上述したようにピッチラグPr
大きいとき程、ランダマイズのスケールファクタのスケ
ール値を大きな値とする理由を述べる。ピッチラグPr
が大きいというのは、ピッチ周期が長いことであり、ピ
ッチ内で加算されるハーモニクスの数が多いことを意味
する。これに対し、ピッチラグPr が小さいときという
のは、ピッチ周期が短いことであり、ピッチ内で加算さ
れるハーモニクスの数が少ないことを意味する。つま
り、ピッチ周期の長い時程、長時間分のエネルギーが一
箇所に集中し、図2のAに示すような波形となる。これ
に対し、ピッチ周期が短い時程、エネルギーは一箇所に
集中することはなく図2のBに示すような波形となる。
この図2のAに示すような鋭角的な波形とその繰り返し
は、不自然な再生音を引き起こすので、より大きな位相
をランダムに振ってやる必要がある。これに対し、図2
のBに示すような波形とその繰り返しは、不自然な再生
音を引き起こさず、大きな位相をランダムに振ってやる
必要がない。したがって、ピッチラグPr が大きくなる
程、ランダマイズのスケールファクタのスケール値を大
きくし、ピッチラグPr が小さいときに用いる該スケー
ル値とは異ならせている。
【0019】上記位相予測&修正部20からの修正の施
された予測位相φLmは、上記有声音合成部16に供給さ
れる。この有声音合成部16には、上記修正の施された
予測位相φLmの他にも、上述したように、データ数逆変
換部15からの振幅データ、ピッチ復号化部18からの
ピッチ復号データ及び入力端子13からのV/UV判別
データが供給されている。
【0020】ここで、上記有声音合成部16における有
声音の合成処理を説明する前に入力端子11、12及び
13にベクトル量子化された振幅データ、符号化された
ピッチデータ及び有声音(V)/(無声音)UV判別デ
ータを供給するMBEボコーダの分析側(エンコード
側)について説明する。
【0021】図3は、上記MBEボコーダの分析側(エ
ンコード側)の概略構成を示すブロック図である。この
図3において、入力端子101には音声信号が供給され
るようになっており、この入力音声信号は、HPF(ハ
イパスフィルタ)等のフィルタ102に送られて、いわ
ゆるDC(直流)オフセット分の除去や帯域制限(例え
ば200〜3400Hzに制限)のための少なくとも低域
成分(200Hz以下)の除去が行われる。このフィルタ
102を介して得られた信号は、ピッチ抽出部103及
び窓かけ処理部104にそれぞれ送られる。ピッチ抽出
部103では、入力音声信号データが所定サンプル数N
(例えばN=256)単位でブロック分割され(あるい
は方形窓による切り出しが行われ)、このブロック内の
音声信号についてのピッチ抽出が行われる。このような
切り出しブロック(256サンプル)を、例えば図4の
Aに示すようにLサンプル(例えばL=160)のフレ
ーム間隔で時間軸方向に移動させており、各ブロック間
のオーバラップはN−Lサンプル(例えば96サンプ
ル)となっている。また、窓かけ処理部104では、1
ブロックNサンプルに対して所定の窓関数、例えばハミ
ング窓をかけ、この窓かけブロックを1フレームLサン
プルの間隔で時間軸方向に順次移動させている。
【0022】このような窓かけ処理を数式で表すと、 xw (k,q) =x(q) w(kL-q) ・・・(3) となる。この(3)式において、kはブロック番号を、
qはデータの時間インデックス(サンプル番号)を表
し、処理前の入力信号のq番目のデータx(q) に対して
第kブロックの窓(ウィンドウ)関数w(kL-q)により窓
かけ処理されることによりデータxw (k,q) が得られる
ことを示している。ピッチ抽出部103内での図4のA
に示すような方形窓の場合の窓関数wr (r) は、 wr (r) =1 0≦r<N ・・・(4) =0 r<0,N≦r また、窓かけ処理部104での図4のBに示すようなハ
ミング窓の場合の窓関数wh (r) は、 wh (r) = 0.54 − 0.46 cos(2πr/(N-1)) 0≦r<N ・・・(5) =0 r<0,N≦r である。このような窓関数wr (r) あるいはwh (r) を
用いるときの上記(3)式の窓関数w(r) (=w(kL-
q))の否零区間は、 0≦kL−q<N これを変形して、 kL−N<q≦kL 従って、例えば上記方形窓の場合に窓関数wr (kL-q)=
1となるのは、図5に示すように、kL−N<q≦kL
のときとなる。また、上記(3)〜(5)式は、長さN
(=256)サンプルの窓が、L(=160)サンプル
ずつ前進してゆくことを示している。以下、上記(4)
式、(5)式の各窓関数で切り出された各N点(0≦r
<N)の否零サンプル列を、それぞれxwr(k,r) 、xwh
(k,r) と表すことにする。
【0023】窓かけ処理部104では、図6に示すよう
に、上記(5)式のハミング窓がかけられた1ブロック
256サンプルのサンプル列xwh(k,r) に対して179
2サンプル分の0データが付加されて(いわゆる0詰め
されて)2048サンプルとされ、この2048サンプ
ルの時間軸データ列に対して、直交変換部105により
例えばFFT(高速フーリエ変換)等の直交変換処理が
施される。
【0024】ピッチ抽出部103では、上記xwr(k,r)
のサンプル列(1ブロックNサンプル)に基づいてピッ
チ抽出が行われる。このピッチ抽出法には、時間波形の
周期性や、スペクトルの周期的周波数構造や、自己相関
関数を用いるもの等が知られているが、本実施例では、
センタクリップ波形の自己相関法を採用している。この
ときのブロック内でのセンタクリップレベルについて
は、1ブロックにつき1つのクリップレベルを設定して
もよいが、ブロックを細分割した各部(各サブブロッ
ク)の信号のピークレベル等を検出し、これらの各サブ
ブロックのピークレベル等の差が大きいときに、ブロッ
ク内でクリップレベルを段階的にあるいは連続的に変化
させるようにしている。このセンタクリップ波形の自己
相関データのピーク位置に基づいてピッチ周期を決めて
いる。このとき、現在フレームに属する自己相関データ
(自己相関は1ブロックNサンプルのデータを対象とし
て求められる)から複数のピークを求めておき、これら
の複数のピークの内の最大ピークが所定の閾値以上のと
きには該最大ピーク位置をピッチ周期とし、それ以外の
ときには、現在フレーム以外のフレーム、例えば前後の
フレームで求められたピッチに対して所定の関係を満た
すピッチ範囲内、例えば前フレームのピッチを中心とし
て±20%の範囲内にあるピークを求め、このピーク位
置に基づいて現在フレームのピッチを決定するようにし
ている。このピッチ抽出部103ではオープンループに
よる比較的ラフなピッチのサーチが行われ、抽出された
ピッチデータは高精度(ファイン)ピッチサーチ部10
6に送られて、クローズドループによる高精度のピッチ
サーチ(ピッチのファインサーチ)が行われる。
【0025】高精度(ファイン)ピッチサーチ部106
には、ピッチ抽出部103で抽出された整数(インテジ
ャー)値の粗(ラフ)ピッチデータと、直交変換部10
5により例えばFFTされた周波数軸上のデータとが供
給されている。この高精度ピッチサーチ部106では、
上記粗ピッチデータ値を中心に、0.2〜0.5きざみで±
数サンプルずつ振って、最適な小数点付き(フローティ
ング)のファインピッチデータの値へ追い込む。このと
きのファインサーチの手法として、いわゆる合成による
分析 (Analysis by Synthesis)法を用い、合成されたパ
ワースペクトルが原音のパワースペクトルに最も近くな
るようにピッチを選んでいる。
【0026】このピッチのファインサーチについて説明
する。先ず、上記MBEボコーダにおいては、上記FF
T等により直交変換された周波数軸上のスペクトルデー
タとしてのS(j) を S(j) =H(j) |E(j) | 0<j<J ・・・(6) と表現するようなモデルを想定している。ここで、Jは
ω s /4π=fs /2に対応し、サンプリング周波数f
s ω s /2πが例えば8kHzのときには4kHzに対応
する。上記(6)式中において、周波数軸上のスペクト
ルデータS(j) が図7のAに示すような波形のとき、H
(j) は、図7のBに示すような元のスペクトルデータS
(j) のスペクトル包絡線(エンベロープ)を示し、E
(j) は、図7のCに示すような等レベルで周期的な励起
信号(エキサイテイション)のスペクトルを示してい
る。すなわち、FFTスペクトルS(j) は、スペクトル
エンベロープH(j) と励起信号のパワースペクトル|E
(j) |との積としてモデル化される。
【0027】上記励起信号のパワースペクトル|E(j)
|は、上記ピッチに応じて決定される周波数軸上の波形
の周期性(ピッチ構造)を考慮して、1つの帯域(バン
ド)の波形に相当するスペクトル波形を周波数軸上の各
バンド毎に繰り返すように配列することにより形成され
る。この1バンド分の波形は、例えば上記図6に示すよ
うな256サンプルのハミング窓関数に1792サンプ
ル分の0データを付加(0詰め)した波形を時間軸信号
と見なしてFFTし、得られた周波数軸上のある帯域幅
を持つインパルス波形を上記ピッチに応じて切り出すこ
とにより形成することができる。
【0028】次に、上記ピッチに応じて分割された各バ
ンド毎に、上記H(j) を代表させるような(各バンド毎
のエラーを最小化するような)値(一種の振幅)|Am
|を求める。ここで、例えば第mバンド(第m高調波の
帯域)の下限、上限の点をそれぞれam 、bm とすると
き、この第mバンドのエラーεm は、
【0029】
【数1】
【0030】で表せる。このエラーεm を最小化するよ
うな|Am |は、
【0031】
【数2】
【0032】となり、この(8)式の|Am |のとき、
エラーεm を最小化する。このような振幅|Am |を各
バンド毎に求め、得られた各振幅|Am |を用いて上記
(7)式で定義された各バンド毎のエラーεm を求め
る。次に、このような各バンド毎のエラーεm の全バン
ドの総和値Σεm を求める。さらに、このような全バン
ドのエラー総和値Σεm を、いくつかの微小に異なるピ
ッチについて求め、エラー総和値Σεm が最小となるよ
うなピッチを求める。
【0033】すなわち、上記ピッチ抽出部103で求め
られたラフピッチを中心として、例えば 0.25 きざみで
上下に数種類ずつ用意する。これらの複数種類の微小に
異なるピッチの各ピッチに対してそれぞれ上記エラー総
和値Σεm を求める。この場合、ピッチが定まるとバン
ド幅が決まり、上記(8)式より、周波数軸上データの
パワースペクトル|S(j) |と励起信号スペクトル|E
(j) |とを用いて上記(7)式のエラーεm を求め、そ
の全バンドの総和値Σεm を求めることができる。この
エラー総和値Σεm を各ピッチ毎に求め、最小となるエ
ラー総和値に対応するピッチを最適のピッチとして決定
するわけである。以上のようにして高精度ピッチサーチ
部106で最適のファイン(例えば 0.25 きざみ)ピッ
チが求められ、この最適ピッチに対応する振幅|Am
が決定される。
【0034】以上ピッチのファインサーチの説明におい
ては、説明を簡略化するために、全バンドが有声音(Vo
iced)の場合を想定しているが、上述したようにMBE
ボコーダにおいては、同時刻の周波数軸上に無声音(Un
voiced)領域が存在するというモデルを採用しているこ
とから、上記各バンド毎に有声音/無声音の判別を行う
ことが必要とされる。
【0035】上記高精度ピッチサーチ部106からの最
適ピッチ及び振幅|Am |のデータは、有声音/無声音
判別部107に送られ、上記各バンド毎に有声音/無声
音の判別が行われる。この判別のために、NSR(ノイ
ズtoシグナル比)を利用する。すなわち、第mバンド
のNSRは、
【0036】
【数3】
【0037】と表せ、このNSR値が所定の閾値(例え
ば0.3)より大のとき(エラーが大きい)ときには、そ
のバンドでの|Am ||E(j) |による|S(j) |の近
似が良くない(上記励起信号|E(j) |が基底として不
適当である)と判断でき、当該バンドをUV(Unvoice
d、無声音)と判別する。これ以外のときは、近似があ
る程度良好に行われていると判断でき、そのバンドをV
(Voiced、有声音)と判別する。
【0038】次に、振幅再評価部108には、直交変換
部105からの周波数軸上データ、高精度ピッチサーチ
部106からのファインピッチと評価された振幅|Am
|との各データ、及び上記有声音/無声音判別部107
からのV/UV(有声音/無声音)判別データが供給さ
れている。この振幅再評価部108では、有声音/無声
音判別部107において無声音(UV)と判別されたバ
ンドに関して、再度振幅を求めている。このUVのバン
ドについての振幅|Am UVは、
【0039】
【数4】
【0040】にて求められる。
【0041】この振幅再評価部108からのデータは、
データ数変換(一種のサンプリングレート変換)部10
9に送られる。このデータ数変換部109は、上記ピッ
チに応じて周波数軸上での分割帯域数が異なり、データ
数(特に振幅データの数)が異なることを考慮して、一
定の個数にするためのものである。すなわち、例えば有
効帯域を3400Hzまでとすると、この有効帯域が上記
ピッチに応じて、8バンド〜63バンドに分割されるこ
とになり、これらの各バンド毎に得られる上記振幅|A
m |(UVバンドの振幅|Am UVも含む)データの個
数mMX+1も8〜63と変化することになう。このため
データ数変換部109では、この可変個数mMX+1の振
幅データを一定個数Nc (例えば44個)のデータに変
換している。
【0042】ここで周波数軸上の有効帯域1ブロック分
の振幅データに対して、ブロック内の最後のデータから
ブロック内の最初のデータまでの値を補間するようなダ
ミーデータを付加してデータ個数をNF 個に拡大した
後、帯域制限型のKOS倍(例えば8倍)のオーバーサン
プリングを施すことによりKOS倍の個数の振幅データを
求め、このKOS倍の個数((mMX+1) ×KOS個)の振幅
データを直線補間してさらに多くのNM 個(例えば20
48個)に拡張し、このNM 個のデータを間引いて上記
一定個数NC (例えば44個)のデータに変換する。
【0043】このデータ数変換部109からのデータ
(上記一定個数NC の振幅データ)がベクトル量子化部
110に送られて、所定個数のデータ毎にまとめられて
ベクトルとされ、ベクトル量子化が施される。ベクトル
量子化部110からの量子化出力データは、出力端子1
11を介して取り出される。また、上記高精度のピッチ
サーチ部106からの高精度(ファイン)ピッチデータ
は、ピッチ符号化部115で符号化され、出力端子11
2を介して取り出される。さらに、上記有声音/無声音
判別部107からの有声音/無声音(V/UV)判別デ
ータは、出力端子113を介して取り出される。
【0044】そして、出力端子111、112及び11
3から取り出されたベクトル量子化された振幅データ、
符号化されたピッチデータ及び有声音(V)/(無声
音)UV判別データが図1に示した合成側の入力端子1
1、12及び13に供給される。
【0045】次に、図1に示した有声音合成部16にお
ける合成処理を詳細に説明する。上記V(有声音)と判
別された第mバンド(第m高調波の帯域)における時間
軸上の上記1合成フレーム(Lサンプル、例えば160
サンプル)分の有声音をVm (n) とするとき、この合成
フレーム内の時間インデックス(サンプル番号)nを用
いて、 Vm (n) =Am (n) cos(θ(n)) 0≦n<L ・・・(11) と表すことができる。全バンドの内のV(有声音)と判
別された全てのバンドの有声音を加算(ΣVm (n) )し
て最終的な有声音V(n) を合成する。
【0046】この(11)式中のAm (n) は、上記合成フ
レームの先端から終端までの間で補間された第m高調波
の振幅である。最も簡単には、フレーム単位で更新され
る振幅データの第m高調波の値を直線補間すればよい。
すなわち、上記合成フレームの先端(n=0)での第m
高調波の振幅値をA0m、該合成フレームの終端(n=
L:次の合成フレームの先端)での第m高調波の振幅値
をALmとするとき、 Am (n) = (L-n)A0m/L+nALm/L ・・・(12) の式によりAm (n) を計算すればよい。
【0047】このように、上記有声音合成部16は、上
記データ数変換部15からのデータ数変換データ、ピッ
チ復号化部18からのピッチ復号データ、入力端子13
からのV/UV判別情報及び上記位相予測&修正部20
からの修正を施された予測位相を元に有声音を合成す
る。
【0048】ここで、図8のAは、音声信号のスペクト
ルの一例を示しており、バンド番号(ハーモニクスナン
バ)mが8、9、10の各バンドがUV(無声音)とさ
れ、他のバンドはV(有声音)とされている。このV
(有声音)のバンドの時間軸信号が上記有声音合成部1
6により合成され、UV(無声音)のバンドの時間軸信
号が無声音合成部17で合成されるわけである。
【0049】以下、無声音合成部17における無声音合
成処理を説明する。ホワイトノイズ発生部31からの時
間軸上のホワイトノイズ信号波形を、所定の長さ(例え
ば256サンプル)で適当な窓関数(例えばハミング
窓)により窓かけをし、STFT処理部32によりST
FT(ショートタームフーリエ変換)処理を施すことに
より、図8のBに示すようなホワイトノイズの周波数軸
上のパワースペクトルを得る。このSTFT処理部32
からのパワースペクトルをバンド振幅処理部33に送
り、図8のCに示すように、上記UV(無声音)とされ
たバンド(例えばm=8、9、10)について上記振幅
|Am UVを乗算し、他のV(有声音)とされたバンド
の振幅を0にする。このバンド振幅処理部33には上記
振幅データ、ピッチデータ、V/UV判別データが供給
されている。バンド振幅処理部33からの出力は、IS
TFT処理部34に送られ、位相は元のホワイトノイズ
の位相を用いて逆STFT処理を施すことにより時間軸
上の信号に変換する。ISTFT処理部34からの出力
は、オーバーラップ加算部35に送られ、時間軸上で適
当な(元の連続的なノイズ波形を復元できるように)重
み付けをしながらオーバーラップ及び加算を繰り返し、
連続的な時間軸波形を合成する。オーバーラップ加算部
35からの出力信号が上記加算部21に送られる。
【0050】このように、各合成部16、17において
合成されて時間軸上に戻された有声音部及び無声音部の
各信号は、加算部21により適当な固定の混合比で加算
され、出力端子22より再生された音声信号として取り
出される。
【0051】したがって、本発明に係る有声音合成方法
の実施例は、例えば、ピッチの長い男声とピッチの短い
女声の予測位相への修正値をピッチに応じて変化させる
ことにより、不必要にノイズ感を増すことなくより自然
な生成音を得られる。
【0052】なお、上記図3の音声分析側(エンコード
側)の構成や図1の音声合成側(デコード側)の構成に
ついては、各部をハードウェア的に記載しているが、い
わゆるDSP(ディジタル信号プロセッサ)等を用いて
ソフトウェアプログラムにより実現することも可能であ
る。
【0053】また、本発明に係る有声音合成方法は、位
相予測の際の初期位相を0としてコサイン波を加算する
ようにしていたが、初期位相をπ/2にすると例えばD
SP(ディジタルシグナルプロセッサ)で演算を行う場
合、ダイナミックレンジが減少するという点で有利であ
る。初期位相を0にするかπ/2にするかの違いは、合
成された波形が偶関数になるか奇関数になるかの違いで
ある。すなわち、合成はコサイン波で行われるので初期
位相0のときは、合成波形もコサイン波であり、偶関数
となり、初期位相π/2のときは、コサイン波をπ/2
だけずらすことになり、合成波形は、サイン波となり、
奇関数になる。ここで、サイン波を合成することによっ
て得られる合成波形のピーク値は、偶関数を用いたとき
の合成波形のピーク値よりも小さくなる。演算のスケー
リングは、ピーク値で決まるので、例えばDSP(ディ
ジタルシグナルプロセッサ)で演算を行う場合、ダイナ
ミックレンジが減少するという点で初期位相をπ/2と
すると有利である。
【0054】
【発明の効果】本発明に係る有声音合成方法は、各フレ
ーム毎にフレーム終端部における上記基本波及び高調波
の位相を予測すると共に各フレーム毎の上記予測された
フレーム終端部の位相又は上記基本波及び高調波の少な
くとも1つの周波数を上記ピッチに応じて修正すること
により、不必要なノイズを発生することなく自然な再生
音を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有声音合成方法が適用される装置
の具体例としての音声信号の合成分析符号化装置の合成
側(デコード側)の概略構成を示す機能ブロック図であ
る。
【図2】ピッチ周期の長短による再生音の違いを説明す
るための波形図である。
【図3】本発明に係る有声音合成方法が適用される装置
の具体例としての音声信号の合成分析符号化装置の分析
側(エンコード側)の概略構成を示す機能ブロック図で
ある。
【図4】窓かけ処理を説明するための図である。
【図5】窓かけ処理と窓関数との関係を説明するための
図である。
【図6】直交変換(FFT)処理対象としての時間軸デ
ータを示す図である。
【図7】周波数軸上のスペクトルデータ、スペクトル包
絡線(エンベロープ)及び励起信号のパワースペクトル
を示す図である。
【図8】音声信号を合成する際の無声音合成を説明する
ための図である。
【符号の説明】 14・・・・・逆ベクトル量子化部 15・・・・・データ数逆変換部 16・・・・・有声音合成部 17・・・・・無声音合成部 18・・・・・ピッチ復号化部 19・・・・・スケールファクター調整部 20・・・・・位相予測&修正部 21・・・・・加算部
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−282800(JP,A) 特開 平3−53300(JP,A) 特開 平2−58100(JP,A) 特開 平2−84700(JP,A) 特開 平3−43800(JP,A) 特開 平5−265486(JP,A) 特開 昭63−273898(JP,A) 特開 平3−144700(JP,A) 特公 昭59−36278(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10L 19/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力された音声信号をフレーム単位で区
    分し、区分されたフレーム毎にピッチを求め、求められ
    たピッチの基本波及びその高調波であって初期位相が固
    定された信号群を用いて有声音を合成する有声音合成方
    法において、 各フレーム毎にフレーム終端部における上記基本波及び
    高調波の位相を予測すると共に各フレーム毎の上記予測
    されたフレーム終端部の位相又は上記基本波及び高調波
    の少なくとも1つの周波数を上記ピッチに応じて修正す
    ることを特徴とする有声音合成方法。
  2. 【請求項2】上記ピッチに応じた修正の量は、ピッチ周
    波数が低い程大きくされることを特徴とする請求項1記
    載の有声音合成方法。
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