JP3297063B2 - 着氷雪軽減・遮光熱型塗装送電線 - Google Patents

着氷雪軽減・遮光熱型塗装送電線

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JP3297063B2
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  • Insulated Conductors (AREA)
  • Non-Insulated Conductors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば豪雪地帯に布設
される電力輸送用の送電線に着氷雪軽減機能を備えさせ
るとともに、豪雪地帯も含めた一般地域に布設される電
力輸送用の送電線に、太陽光による昇温を軽減する機能
を備えた送電線に関する。
【0002】
【従来の技術】周知の如く、豪雪地帯に布設される送電
線に冬期において容易に着氷雪現象が生じ易い。図5
(A)〜(D)はそれぞれ送電線5に対する着雪過程の
一例を示すもので、まず、同図(A)で示すように矢印
Xに対応して風雪がある場合に、送電線5の上部に着雪
1が生じると、この着雪1は同図(B)で示すように、
送電線表面を滑りながら、又は送電線と共に捩じれなが
ら送電線5の下部まで滑り、代って着雪2が生じる。そ
して、図5(C)及び(D)で示すように順次着雪3、
着雪4が生じて、送電線5は雪により筒状に包みこまれ
ることになる。
【0003】また、多導体送電線のように送電線の混触
を防止するため、スペーサで把持されて送電線の捩じれ
を拘束されている場合には、低温下で送電線に着いた過
冷却水滴が氷結し、送電線の風上側に大きく着氷が発達
することがある。これら着氷雪の重みで送電線5の断線
事故や鉄塔の倒壊事故を招く恐れがある。
【0004】そこで、このような送電線5に対する着雪
現象を阻止する手段として、従来、送電線5の表面に滑
り止め用のリングを装着する方法が考えられているが、
このような従来の着雪阻止手段では、十分な着雪阻止効
果が得られない現状にある。又、送電線や鉄塔への着氷
を阻止する手段として、ヒートパイプやヒータ方式が一
部試みられているが、コスト面から見て実用的でない。
【0005】一方、豪雪地帯も含めた一般地域における
夏期等の太陽光による送電線の昇温防止対策は特に施工
されていない。
【0006】しかし、送電線は一般的に昇温による物性
変化を考慮し周囲の気温、風速条件下で線種毎に最高許
容温度が設定されており、その一例を表1に示す。
【0007】
【表1】 なお、送電線の昇温因子としては主に太陽光のエネルギ
ー吸収と送電によるジュール発熱が考慮されている。こ
のため、許容電流容量は太陽光による送電線の昇温分を
差し引いて設定されているのが現状である。
【0008】太陽光による送電線の昇温防止対策が特に
施工されていない現状における連続許容電流容量例を、
図6に示す。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、従
来、送電線への着氷雪阻止・昇温防止対策は、効果的に
行われていないのが現状である。
【0010】即ち、本発明は、送電線に氷雪が付着し、
この着氷雪が送電線を包み込みながら成長して行くのを
阻止するには、送電線表面の着氷雪抑制作用を向上さ
せ、しかも着氷雪した場合でも氷雪付着力を低減させる
ことによる落雪促進作用の向上が課題となる。
【0011】一方、太陽光による送電線の昇温を軽減す
るには、送電線表面の太陽光遮光特性の向上が課題にな
る。
【0012】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、所定のセラミックス粒子を高撥水性樹脂に配合した
塗料を送電線表面に50〜150 μm塗布することにより、
送電線への着氷雪現象を十分に抑制しえるとともに、着
氷雪した場合でも氷雪付着力を低減させて落雪促進作用
を向上しえる着氷雪軽減・遮光熱型塗装送電線を提供す
ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、送電線の表面
に、太陽光を高効率で反射しかつ遠赤外線を高効率で放
射するTiO を主成分としたセラミック粒子をシリコ
ーンゴム、シリコーン又はフッ素系の高撥水性樹脂に3
0〜70重量比で配合した着氷雪軽減及び遮光熱・着氷
雪防止塗料を、50〜150μmの膜厚に塗布したこと
を特徴とする着氷雪軽減・遮光熱塗装送電線である。
【0014】本発明においては、送電線の一部つまり送
電線(より線)内部への侵入水が避けられない送電線部
分に、(上記塗料により塗装されない)非塗装部を設け
てもよい。これにより、侵入水が避けられない送電線部
分に対して侵入水の除去を行なうことができる。
【0015】本発明において、遮光熱・着氷雪防止塗料
としては、セラミックス粒子としての酸化チタン(Ti
2 )を主成分に酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜
鉛(ZnO)が、着氷雪軽減の面から高い撥水性を有す
る樹脂としてのシリコ−ンゴム、アクリル・シリコーン
樹脂及びフッ素樹脂などに30〜70%の重量比で配合
されたものが好ましい。ここで、セラミックス粒子の樹
脂に対する配合割合をこのように限定するのは、30%
未満の場合は十分な遮光熱特性(反射率,放射率)を確
保することができず、また70%を越えても遮光熱特性
の向上が期待できずかつ樹脂中への混合量も飽和に近い
からである。表2は、上記アクリル・シリコーン樹脂及
びフッ素樹脂の基本物性例を示す。
【0016】
【表2】 本発明において、遮光熱・着氷雪防止塗料の膜厚を50
μm〜150μmに限定したのは、次の理由による。つ
まり、太陽光の反射性能を確保するためには、遮光熱材
料であるセラミックス粒子が一定量以上必要である。こ
のため、膜厚としては50μm以上が望ましい。一方、
膜厚が150μmを越えると、機能特性の向上は見られ
ずかつ塗膜に割れが入り易い。従って、膜厚を上記のよ
うに設定した。
【0017】
【作用】本発明では、送電線に被着され氷雪に対し、上
記塗料の高撥水特性により、塗膜表面と該氷雪における
水分子(H2 O)との間には化学結合部(ボンド)は生
成されにくく、初期着氷雪は抑制される。また、着氷雪
した場合でも、同じく塗料の高撥水特性により上記ボン
ド箇所の増加及びボンドの成長は抑制されるため、塗膜
と氷雪の付着力は小さい。その結果、落氷雪に必要な氷
雪重量は少量でこの氷雪付着力を上回るため、小さな着
氷雪量で落氷雪が可能となる。
【0018】また、送電線(より線)内部への侵入水が
避けられない送電線に対しては、侵入水除去のための非
塗装部を設けているため、冬期においても送電線内の侵
入水、融雪水が氷結、膨脹して送電線外表面の塗膜を破
損することはない。
【0019】一方、上記塗料の高遮光熱特性により、太
陽光エネルギーを効率良く反射することができ、特に夏
期等における送電線の昇温を軽減することが可能とな
る。
【0020】また、上記塗料は、高い遠赤外放射特性を
有しているため、送電によるジュール発熱に対しても遠
赤外線域の電磁波として大気中に放熱可能であり、塗膜
の存在が悪影響を与えない。
【0021】
【実施例】以下、本発明の一実施例について具体的に説
明する。
【0022】1.まず、遮光熱・着氷雪防止塗料の組成
及び基本物性例から説明する。
【0023】本発明の着氷雪軽減・遮光熱型塗装送電線
に塗布する遮光熱・着氷雪防止塗料としては、太陽光を
高効率で反射しかつ遠赤外線を高効率で放射するセラミ
ックス粒子として酸化チタン(TiO2 )を主成分に酸
化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛(ZnO)を、着
氷雪軽減の面から高い撥水性を有する樹脂としてシリコ
−ンゴムに30〜70%の重量比で配合される。膜厚と
しては50〜150μmの厚さに塗布される。
【0024】上記セラミックス粒子の成分配合率(重量
比)は、TiO2 :70〜100%に対し、MgO:0
〜20%、ZnO:0〜20%が配合されている。ここ
で、太陽光(波長:0.2〜2.5μm)を効率良く反
射するとともに、遠赤外線(波長:3μm以上)を効率
良く放射する材料としての主成分は、あくまでもTiO
2 である。そして、更に紫外線(波長:0.4μm以
下)を効率良く反射する材料として適時MgO,ZnO
を混合するものである。
【0025】上記塗料の基本物性例を、表3に示す。
【0026】
【表3】 但し、表3において、セラミックス粒子の組成比は、い
ずれのベ−スとなる樹脂の場合もTiO2 :99%、(M
gO+ZnO):1%である。また、セラミックス粒子
のベ−スとなる樹脂に対する重量比は、シリコ−ンゴ
ム:40%、アクリル・シリコ−ン:40%、フッ素樹脂:
30%である。
【0027】2.実験値に基づき「着氷雪軽減効果例」
について説明する。
【0028】(1)着氷力軽減効果 表3で示した遮光熱・着氷雪防止塗料塗装材の高撥水特
性による着氷力軽減効果例を、表4に示す。試験方法と
しては、低温恒温槽内の所定温度で氷結後、図7に示す
氷付着力の試験方法にてオートグラフDSS2000
(島津製)を用いて着氷力を測定した。表4から遮光熱
・着氷雪防止塗料塗装材は氷付着力が小さく、つまり容
易に離氷することが確認できた。
【0029】
【表4】 (2)塗装送電線の着雪量軽減効果例 北陸地区豪雪地帯のフィールドテストとして、着氷雪軽
減型塗装送電線と従来の裸送電線を用いて、平成2年1
2月から平成3年3月の冬期間着雪量を測定した。塗装
送電線の構成としては、一部非塗装タイプ(図1参照)
と全外周塗装タイプ(図2参照)で実施した。
【0030】まず、図1に基づき一部非塗装タイプから
説明すると、同図において、11は直径28.5mmの送
電線(鋼心アルミより線)である。この送電線11の全
長は260mであり、表2で示した遮光熱・着氷雪防止
塗料12を長さ10m毎に非塗装部13を10cmずつ
けている。膜厚は100μmに塗布した。なお、前記非
塗装部13は、塗装塗膜と送電線の間に端部等から雨
水、融雪水等が侵入することを考慮して設けたものであ
る。
【0031】その結果を表5に示す。着雪量測定法とし
ては、着雪重量による電線の張力変化量から評価した。
表5に示す様に、塗装送電線の撥水性効果より初期着雪
量が抑制されるとともに、着雪した場合にも落雪が促進
される結果、定常的に塗装送電線の着雪量が小さいこと
が明らかになった。
【0032】
【表5】 非塗装部の着雪状態は以下の通りであった。
【0033】a.初期段階には非塗装部の着雪が塗装部
よりも多めに見受けられた。
【0034】b.その後、塗装部にも着雪が進み落雪に
至る際には、非塗装部を挟んだ両側の塗装部の雪と一体
となって落雪した。
【0035】c.非塗装部には、結果的には裸送電線の
ような大きな着雪は認められなかった。
【0036】なお、図1には非塗装部13の例として送
電線全周非塗装の例を示したが、送電線同一長手線上に
連続あるいは断続に非塗装部とする方式、あるいは螺施
状に連続あるいは断続に非塗装部とする方式でもよい。
これらの場合、塗料の機能発揮のためには非塗装部面積
としては送電線全外表面積の10%以下が好ましい。
【0037】次に、図2に基づき全外周塗装タイプにつ
いて説明する。
【0038】前記遮光熱・着雪防止塗料12を塗布した
送電線11は、取付金具(本実施例では圧縮型引留クラ
ンプ)14で固着されており、同金具14の端部(送電
線挿入口)15には、例えば抱き込み塗装や自己融着テ
ープ等により防水処理が施されている。この全外周塗装
送電線を用いて着雪状態を実験した。着雪量測定法は、
図1と同様の方法で評価したが、その結果は表5とほぼ
同様であった。
【0039】この実験結果から送電線の端部、鉄塔取付
部等には、防水処理を行う必要があることが判明した。
【0040】(3)塗装鉄塔の着雪量軽減効果例 上記北陸地区豪雪地帯のフィールドテストにおいて鉄塔
に関しても同様に遮光熱・着氷雪防止塗料を塗布した鉄
塔と、従来の市販塗料を塗布した鉄塔を用いて着氷雪の
軽減確認試験を実施した。
【0041】その結果は、以下の通りである。
【0042】a.遮光熱・着氷雪防止塗料を塗布した鉄
塔は、表6に示す撥水性効果により、従来の市販塗料を
塗布した鉄塔に比べ、着氷雪を軽減できることが認めら
れた。 b.鉄塔の各部材の中では、特に傾斜部材にお
いて著しい効果が認められ、僅かな着雪量で落雪を生じ
た。
【0043】c.自然条件としては風の効果も大きく、
風力と本発明に係わる塗装鉄塔の撥水性による相乗効果
によって落雪が促進されることも判明した。
【0044】
【表6】 3.実験値及びその解析に基づき「遮光熱等の効果例」
について説明する。
【0045】(1)模擬太陽光による遮光熱効果の実験
例 表3で説明した遮光熱・着氷雪防止塗料を塗布した塗装
送電線の高遮光熱特性(太陽光低吸収率)による効果例
を、下記表7に示す。
【0046】試験方法は、模擬太陽光として赤外線ラン
プを使用し、照射量を夏季太陽光エネルギー相当(75
0kcal/m2 ・Hr)に調整した。送電線は、ACSR4
10(28.5mmφアルミより線)を使用した。
【0047】
【表7】 表7に示すように、照射前後の昇温量を比較すると、塗
装送電線は21℃であるのに対し裸送電線は36℃も昇
温し、塗装送電線の遮光熱効果の大きいことが確認でき
た。
【0048】なお、表7は塗装送電線を全外周塗装した
場合を示しているが、非塗装部を設けた場合でも、非塗
装部面積を全外表面積の10%以下、好ましく2%以下
にすれば、非塗装部の温度の影響は極めて小さいことが
確認されている。
【0049】(2)遮光熱効果等の各種解析例 現行、裸送電線の電線電流と温度上昇の関係は「架空送
電規程」(日本電気協会電気技術基準調査委員会)等で
次式(1)のように示されている。
【0050】
【数1】 但し、式(1)において、 Ic :許容電流(A) D :電線の外径(cm) θ :許容温度上昇(℃) hr は放射による熱放散係数(ステファン・ボルツマン
の法則)で、次式 (2)のように示される。
【0051】
【数2】 但し、式(2)において、Tは周囲温度(℃)=40、
w は対流伝導による熱放散係数(ライスの実験式)
で、次式(3)のように示される。
【0052】
【数3】但し、式(3)において、 V :風速(m/sec)=0.5 Ws :日射量(W/cm2 )=0.1 η :表面の輻射係数比 Rdc:使用温度における導体の直流抵抗(Ω/km) β :交直抵抗比交流 の場合には、次に示す表皮効果係数β1 と鉄損係数
β2 とからなる交直抵抗比βを考慮する。
【0053】β=β1 ・β2 ここで、本発明の塗装送電線に使用する遮光熱・着氷雪
防止塗料は、表3に示すように、遠赤外線放射率(0.
90)と太陽光吸収率(0.17)は異なった性質を持
つため、式(1)の適用に当たっては表面の輻射係数比
(η)について、外部へ放射による熱放散係数(hr)
にかかるものをη1 (0.90)、日射量にかかるもの
をη2 (0.17)として、次式(4)に置換できる。
【0054】
【数4】 以下、鋼心アルミ線について式(1)を用いた裸送電線
と式(4)を用いて本発明の塗装送電線の電流−温度特
性例を図3に示す。
【0055】a.本塗装送電線の送電時の温度抑制効果
検討例 図3から各送電線温度は線種毎に違いがあるものの、現
行の最高許容温度:90℃における許容電流値で比較し
た場合、本塗装送電線は現行裸送電線に比べ、各送電線
共12〜13℃(図3中のt)低温化できる。これは、
日射量及び送電によるジュール発熱、大気中への放熱等
の熱的主要因を全て織り込んだ結果である。このことか
らも本塗装送電線の温度抑制効果を確認できる。
【0056】上記により、本塗装送電線の温度抑制によ
る波及効果として次のことがあげられる。
【0057】(イ)送電線弛度の軽減 送電線温度が低くなる分だけ熱膨張による送電線伸びが
少なくなる。つまり、送電線の弛みが減少し、送電線の
地上高が高くなり送電線付近での建物、建設等土地利用
空間が増加する。
【0058】図4は、鋼心アルミ線(ACSR410:
28.5mmφ)の温度−弛度特性例である。図3から
現行裸送電線の90℃における許容電流値の場合、本塗
装送電線の温度は78℃となり、この結果、弛度が35
cm軽減できる(図4参照)。
【0059】(ロ)送電損失の軽減 送電線温度が低下すれば送電線抵抗が小さくなるため、
送電損失が軽減され省資源化にも寄与できる。
【0060】送電損失(PL )は、送電電流(I)、送
電線電気抵抗(R)及び通電時間(H)により次式
(5)で表される。
【0061】 PL =I2 RH …式(5) 今、鋼心アルミ線ACSR410の3相1回線、送電線
長さ(L):100km、送電電流(I):500Aで
日射のある昼間3時間送電線温度を12℃下げた場合の
1ケ月の送電損失軽減量(PL )は、次式(6)から求
められる。 PL =I2 (R90−R78)H …式(6) ここで、 R90−R78=[R20]・β・α・t・L 但し、 [R20]:20℃における送電線直流抵抗(Ω/km) β:交直抵抗比 α:送電線の抵抗温度係数(1/℃) t:送電線の温度差(℃)この場合12 式(4)から送電損失軽減量は、約23000kWHと
なる。この送電損失軽減量は、一般家庭の消費電力を3
00kWHとした場合、約77戸分相当の節約が可能と
なる。
【0062】b.本塗装送電線の許容電流増大化検討例 図3から鋼心アルミ線(ACSR410:28.5mm
φ)を例にとると、許容温度を90℃に設定した場合、
現行裸送電線の許容電流は830Aであるが、本塗装送
電線では、遮光熱効果等による温度低下分(図3中の
t)相当の電流相当の電流増大(図3中のi=130
A)が可能となり960Aとなる。つまり、約16%の
送電量増大化が図られ省資源化に寄与できる。
【0063】
【発明の効果】本発明の着氷雪軽減・遮光熱型塗装送電
線は、着氷雪防止性と遮熱性を兼ね備えているため、冬
期の豪雪地帯においても送電線への着氷雪現象を十分に
抑制することが可能となる。特に、本発明では送電線
(より線)内部への浸入水が避けられない送電線に対し
ては、非塗装部を具備しているので、送電線(より線)
内部へ浸水した場合でも非塗装部から自然排水されるた
め、浸入水が送電線内部で氷結、膨脹することはなく、
送電線塗膜のクラックや剥離のおそれはない。
【0064】また、本発明の着氷雪軽減・遮光熱型塗装
電線は、夏期には太陽からの熱エネルギーを遮断するた
め、送電線の昇温を軽減(12〜13℃)させることが
できると同時に、結果として昇温軽減量に相当する送電
容量の増大(約16%)が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る一部非塗装タイプの着
氷雪軽減・遮光熱型塗装送電線の説明図。
【図2】本発明の他の実施例に係る全外周塗装タイプの
着氷雪軽減・遮光熱型塗装送電線の説明図。
【図3】送電線(鋼心アルミ線)の電流−温度特性の比
較を示す線図。
【図4】送電線(鋼心アルミ線)の電流−弛度特性を示
す線図。
【図5】従来の着雪程度を示す送電線の断面図。
【図6】従来の送電線に対する連続許容電流例を示す線
図。
【図7】遮光熱・着氷雪防止塗装材の氷付着力の試験方
法の説明図。
【符号の説明】
11…送電線、12…塗料、13…非塗装部、14…取
付金具、15…端部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 冨沢 信夫 石川県金沢市玉鉾4丁目111 倉庫精練 株式会社内 (72)発明者 松本 清 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番 1号 三菱重工業株式会社神戸造船所内 (72)発明者 鎌田 勇二郎 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番 1号 三菱重工業株式会社神戸造船所内 (72)発明者 名島 憲治 兵庫県高砂市荒井町新浜二丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (56)参考文献 特開 昭48−72673(JP,A) 特開 昭58−102405(JP,A) 特開 昭53−114885(JP,A) 特開 昭61−223468(JP,A) 実開 昭63−2321(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 5/08 H01B 7/28 H01B 7/42

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 送電線の表面に、太陽光を高効率で反射
    しかつ遠赤外線を高効率で放射するTiO を主成分と
    したセラミック粒子をシリコーンゴム、シリコーン又は
    フッ素系の高撥水性樹脂に30〜70重量比で配合した
    着氷雪軽減及び遮光熱・着氷雪防止塗料を、50〜15
    0μmの膜厚に塗布したことを特徴とする着氷雪軽減・
    遮光熱塗装送電線。
  2. 【請求項2】 前記の着氷雪軽減及び遮光熱・着氷雪防
    止塗料が送電線全長にわたり均一に塗装する場合とは別
    に、送電線内に侵入水が避けられない送電線部に対し一
    非塗装部を設けたことを特徴とする請求項1記載の着
    氷雪軽減・遮光熱塗装送電線。
JP27628091A 1991-09-30 1991-09-30 着氷雪軽減・遮光熱型塗装送電線 Expired - Fee Related JP3297063B2 (ja)

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