JP3294335B2 - 結晶性高分子材料の改質方法 - Google Patents

結晶性高分子材料の改質方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高分子材料表面の改質
方法および改質された高分子材料に関する。更に詳しく
は、表面グラフト重合の操作前に溶媒処理により結晶性
を低下させ、基材高分子表面に新規な重合体が導入され
た高分子材料に関する。また、新たに導入された重合体
が基材表面と化学的に結合している安全性の高い医療用
具に関する。
【0002】
【従来の技術】高分子材料表面のグラフト処理による表
面改質法としては、化学的グラフト法、放射線グラ
フト法、放電グラフト法(グロー放電(プラズマ)、
コロナ放電)、オゾングラフト法などがある。化学的
グラフト法は反応性試薬を用いて材料表面にグラフト反
応点(ラジカル)を発生させ、ラジカルを用いて異種の
重合性単量体を供給させてやることによりグラフトポリ
マ−を合成するものである。よく用いられているのはC
4+であり、このほかにもMn3+やV5+など高原子価金
属イオンなどが挙げられる(イー・ビー・バーグレイ
アンド エヌ・ダブル・テイラー、インダストリー ア
ンド エンジニアリング ケミストリー、プロダクトリ
サーチ アンド ディベロップメント(E.B.Bagley and
N.W.Taylor, Ind. Eng.Chem.Prod. Res. Develop.)、
14、105、1975)。
【0003】
【数1】
【0004】いずれにしても大量の溶媒を用いるため、
連続化および大量合成するのは困難であり、また基材の
種類の制限が多く、すべてのポリマ−について応用展開
が図られるとは限らない。放射線グラフト法では、γ線
や中性子線などの照射によりC−H結合などの共有結合
を切断し、生成したラジカルによるグラフト化を行なう
ものである。この方法は、最初基材高分子表面でのみグ
ラフト化が進み、重合性単量体の基材ポリマ−中への拡
散が律速となる。その後、グラフト化が進むと基材の結
晶構造が緩み、重合性単量体の内部への拡散が速くなり
内部グラフト化も進行する。
【0005】したがって、重合が基材マトリックス中に
おいて不均一に反応が進み、ホモポリマ−の洗浄が困難
という報告がある(アイ・サクラダ、ワイ・イカダ、ワ
イ・ニシザキ、ジャーナル オブ サイエンス、パート
シー、(I.Sakurada, Y.Ikada and Y.Nishizaki, J.
Polym. Sci., C )、No. 37、265、1972)。
したがって、基材の物性を損なう可能性があり、基材表
面のみを改質したい場合には適さない方法であった。ま
た、γ線や中性子線を使用するため特別な施設を必要と
したり、誰でもが使用できたりとはいかない欠点を有し
ている。
【0006】一方、グロ−放電(プラズマ)グラフト法
においては、放射線グラフト法と同様にプラズマ照射に
よりC−H結合などの共有結合を切断し、生成したラジ
カルによるグラフト化を行なうものであるが、生成され
るラジカルは極表面のみに限定されており、内部へのグ
ラフト化は進行しない。したがって、放射線グラフト法
と比較すると基材の有している性質や物性の変化は小さ
く、表面のみを改質し、操作性、経済性の点からも優れ
ている方法だと考えられる。
【0007】しかし、これら表面グラフト重合法の問題
点として、操作性、経済性には優れているものの、一般
に結晶性の高い、例えば延伸配向させた結晶性の大きい
ポリエチレンテレフタレ−ト、ナイロン、ポリエチレン
などは無延伸な物と比較しグラフトされる量が少なく
(グラフト重合可能なラジカルの量が少ないと考えられ
る)、期待している効果が得らえられないことが多い。
【0008】例えば、延伸配向させたこれらの高分子材
料の表面改質をプラズマ開始グラフト重合にて行うとす
れば、不可能であるか、または高出力で長時間プラズマ
を照射させる必要があるため、基材に与える損傷は大き
くなり、基材の有している性質や物性を大きく変化させ
てしまうことが多かった。したがって、基材に対して損
傷の少ない表面グラフト重合法が望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、延伸配
向させた結晶性の大きい高分子材料の表面グラフト重合
を行なうには、基材物性の低下や操作性、経済性に問題
があり、有効な効果はあまり期待できないものであっ
た。したがって本発明の目的は上記に挙げた問題点を解
決し、基材高分子の特性や物性を損なうことなく、高分
子材料表面の改質を行なうことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような問題点を解決
するために本発明は、高分子材料の少なくとも一部の表
面を、該高分子材料の良溶媒に接触させた後、該良溶媒
の非存在下で表面グラフト重合を行なうことを特徴とす
る高分子材料表面の改質方法に関するものである。高分
子材料を接触させる溶媒は、その高分子材料の良溶媒を
含有し、極表面のみの結晶性を低下させる溶媒であれ
ば、いかなる溶媒(混合溶媒)でも構わない。操作上望
ましくは低毒性・低沸点が好ましいが、基材の種類によ
っては、それを問わない。具体的にはポリオレフィンに
は、トルエン、ジクロロメタンなどが、またナイロンに
はギ酸、ヘキサフルオロイソプロピルアルコ−ルなど
が、ポリエステルやその共重合体にはクロロホルムやト
ルエンなどが好ましい。また接触させる時間は、その高
分子材料に寸法変化が確認されなければ、いかなる時間
でもよいが、操作上1秒〜5分、好ましくは5秒〜3
分、更に好ましくは10秒〜1分が望ましい。また高分
子材料を良溶媒に接触させる方法としては、高分子材料
を良溶媒中に浸漬、あるいは良溶媒をガスや噴霧状で供
給し該良溶媒の雰囲気中に高分子材料を存在させる等、
いかなる方法でも構わないが、好ましくは高分子材料を
良溶媒中に浸漬するのが望ましい。
【0011】本発明は、表面グラフト重合がプラズマ開
始グラフト重合であることを特徴とする表面改質に関す
る。表面グラフト重合を行なうには、基材表面上に活性
点(ラジカル)さえ生成されれば改質が可能であるが、
基材物性の維持、ドライプロセスでの操作、安全性など
の点を考慮すると、操作が容易であり、ドライプロセス
が可能なプラズマ開始グラフト重合法が好ましい。
【0012】さらに本発明は、高分子材料の少なくとも
一部の表面を、該高分子材料の良溶媒を含有する溶液に
浸漬した後、表面グラフト重合により表面が改質された
ことを特徴とする高分子材料に関する。
【0013】表面グラフト重合の際に供給される物質
は、要求される用途により各種異なるが、いかなる場合
でも表面グラフト重合を行なうことで、基材高分子材料
の力学的強度を維持しながら表面のみの性質を変化さ
せ、種々の機能を付与することができる。具体的には、
擦傷性にはアクリル系やシラン系が、防曇化には親水性
化合物とシラン系化合物が、導電化には金属やイオン性
基を有する単量体などが挙げられる。また、表面の複合
化により2種以上の効果を付与する場合においては、複
数の重合性単量体を供給しても構わない。供給している
時間も要求される機能や効果により異なるが、操作上5
秒〜1時間、好ましくは1分〜30分、更に好ましくは
3分〜10分が望ましい。
【0014】さらに本発明は、基材高分子材料が延伸配
向や熱処理により結晶性を向上させた結晶性ポリマ−の
成形物(延伸配向フィルムなど)に関する。一般にポリ
マ−の溶液状態からポリマ−を析出させる場合、冷却温
度が低く冷却速度が遅いと結晶性は大きくなる。また溶
融状態からポリマ−を析出させる場合、延伸処理によっ
ても結晶性が大きくなる。このように結晶性が大きいポ
リマ−の成形物に、直接表面グラフト重合を行なうと表
面に導入される重合体が少なく(生成されるラジカルの
数が少ないと推察される)、期待している効果が得られ
ないことが多い。したがって本方法により、極表面のみ
を処理することで基材の物性を損なうことなく表面の改
質が可能となる。
【0015】さらに本発明は、改質された高分子材料が
医療用具を構成する部材の少なくとも一部に存在してい
ることを特徴とする医療用具に関するものである。一般
的に、体液もしくは血液と高分子材料とを接触させた場
合、最初見られる吸着反応は高分子材料表面へのタンパ
ク質の吸着であることが知られている(例えば、ダブル
・ノルデ、ジェイ・ルクレマ、ジャーナル オブ コロ
イド アンド インターフェイス サイエンス(W.Nord
e and J.Lyklema, J. Colloid Interface Sci.)、6
6,257,266,267,285,295,197
8;71、3501979)。よって、タンパク質の吸
着は、後に続く血栓生成を左右する因子であり、抗血栓
性材料を設計するうえできわめて重要になってくる。こ
のような表面を得るために、通常高含水ハイドロゲル、
アルブミンやリポプロテインの被覆などが用いられてい
る(丹沢 宏,バイオメディカルポリマ−(今西,高
倉,丹沢編 化学増刊 84),(1980))。した
がって本方法によれば、基材表面に強固に結合したグラ
フト鎖が水可溶性、水膨潤性化合物であれば高含水ハイ
ドロゲルが得られることになり、またエポキシ基、イソ
シアナ−ト基、酸ハロゲン基、ヒドロキシル基などの反
応性官能基を含む単量体を構成成分とするグラフト鎖を
導入し、各々の反応性基を用いてアルブミンやリポプロ
テインあるいは水膨潤性化合物を固定化することによ
り、抗血栓性を有した表面が得られることになる。
【0016】さらに本発明は、医療用具が、カテ−テル
である医療用具をしめすものである。一般的に、気管、
消化管、尿道、血管、その他の体腔あるいは組織中に挿
入されるカテ−テルなどの医療用具、さらにはこれらに
挿入されるガイドワイヤ−、スタイレットなどの医療用
具の基材表面には血栓、組織接着、組織障害、異物反応
が多く認められ、したがってこれらの医療用具は組織を
損傷せず、確実に目的部位にまで挿入を可能にする表面
潤滑性が必要となり、さらに組織内に留置している間
に、摩擦によって粘膜を損傷したり、炎症を引き起こし
たりすることを避けるために優れた潤滑性を有すること
が必要となってくる。したがって、本方法により溶媒処
理を行なった基材に対して表面グラフト重合を行なうこ
とにより、湿潤時に潤滑性を発現する重合体の基材表面
への固定化が可能となる。湿潤時に潤滑性を発現する重
合体は、吸水して膨潤あるいは溶解する高分子のことで
あり、唾液、消化液、血液などの体液や生理食塩水、水
などの水系溶媒中で低摩擦性を有するものであれば特に
限定されず、具体的には、無水マレイン酸系高分子やア
クリルアミド系高分子、多糖類が挙げられる。
【0017】無水マレイン酸系高分子としては無水マレ
イン酸ホモポリマ−であってもよいが、特にメチルビニ
ルエ−テル−無水マレイン酸共重合体が好適に使用され
る。このようなものとしては、G.A.F.(ジー・エイ
・エフ)コ−ポレ−ションから(ガンツレッツ エーエ
ヌ)GANTREZ ANとして市販されているほぼ1:1の共重
合体が挙げられる。また、無水マレイン酸系高分子の誘
導体としては、水溶解性に限定されず、無水マレイン酸
系高分子を基本構成としていれば不溶化されたものにつ
いても、湿潤時に潤滑性を発現するものであればよい。
アクリルアミド系高分子については操作性、安全性、経
済性などを考慮するとN、N−ジメチルアクリルアミド
を主成分とする重合体が好ましい。また、湿潤時に潤滑
性を発現する多糖類としては、具体的には、動物組織や
体液に多く存在するヒアルロン酸、コンドロイチン、コ
ンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ケラタンポリ硫酸、
ヘパラン酸およびこれらの塩であるムコ多糖や通常人が
摂取しているアルギン酸およびその塩が挙げられ、これ
らの多糖類は医療用具に使用する際に高い安全性が期待
できるので、非常に好ましい。
【0018】また、医療用具を構成する部材のすべてに
ついて処理を行なっても構わないが、経済性、操作性な
どを考慮し、効果が発現するように部材の一部のみを処
理しても構わない。具体的には、カテ−テルを構成する
シャフトの先端部やバル−ンのテ−パ−部のみの処理が
挙げられる。このように処理されたカテ−テルは未処理
のものと比較し、血管挿入時に抵抗値が小さく操作性に
優れたカテ−テルとなる。
【0019】
【作用】本発明の方法を用いることにより、従来表面グ
ラフト重合が困難であった延伸処理された高分子材料に
対しても表面グラフト重合が可能となる。さらに 、化
学的に基材高分子材料表面に結合しているため、表面か
らの剥離や溶出といったことはなく永続的な機能や効果
などが期待できる。さらに、本方法を医療用具に対して
応用展開を図ることにより、表面からの剥離や溶出がほ
とんどないといった医療用具として安全性の高いものが
供給可能となる。
【0020】
【実施例】本発明に用いられる基材の材質に関しては、
いかなるものであっても良くそれが1種類もしくはそれ
以上であってもさしつかえない。また、基材の形状に関
しても単独形状または複合形状のいずれでもさしつかえ
ない。
【0021】(実施例1〜4)ポリエチレンテレフタレ
−トシ−ト(H100、ダイアホイル(株)製)を熱延伸
させ配向し(2軸方向に5倍)、結晶性を変化させたシ
−トに対して室温にてトルエン、もしくはジクロロメタ
ンに10秒間浸漬後、低温プラズマ(Ar、0.1to
rr)を10秒間照射し、288Kの温度で10分間表
面グラフト重合を行った。該シ−トはグラフト鎖の良溶
媒にて1日間洗浄を行い試料を得た(表1)。
【0022】(比較例1.2)実施例1〜4と同様なシ
−トにたいして溶媒処理を行なわずにプラズマ開始グラ
フト重合を同条件にて行った(表1)。
【0023】(実施例5〜8)ポリアミドエラストマ−
(グリラックス、大日本インキ化学(株)製)を30℃で
ギ酸に溶解して、濃度20%の原液を得た。この原液を、
ガラス上にキャストし、70℃の水/メタノ−ル(5/
5)の混合溶媒を用いて析出させ、孔径0.02μの多
孔質体を得た。この、多孔質体を室温にてギ酸/水(1
/10)もしくはヘキサフルオロイソプロピルアルコ−ル
/水(1/10)の混合溶媒に10秒間浸漬後、低温プラ
ズマ(Ar、0.1torr)を10秒間照射し、28
8Kの温度で10分間表面グラフト重合を行った。該シ
−トはグラフト鎖の良溶媒にて1日間洗浄を行い試料を
得た(表2)。
【0024】(比較例3.4)実施例1〜4と同様な多
孔質体にたいして溶媒処理を行なわずにプラズマ開始グ
ラフト重合を同条件にて行った(表2)。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】(実施例9.10)ポリエチレンテレフタ
レ−トシ−ト(H100、ダイアホイル株製)を熱延伸
させ配向し(2軸方向に5倍)、結晶性を変化させたシ
−トに対して室温にてトルエン、もしくはジクロロメタ
ンに10秒間浸漬後、低温プラズマ(Ar、0.1to
rr)を10秒間照射し、288Kの温度で10分間表
面グラフト重合を行った。該シ−トはグラフト鎖の良溶
媒にて1日間洗浄を行い試料を得た。この試料を2×5
cmに切断してポリエチレン製板に接着し、水中にて重
さ100gの鉄製円柱状の錘を静かに乗せ、傾斜角を徐
々に上げていったときに錘が動きだす角度θを求め、潤
滑性の指標として摩擦抵抗=tanθとした(表3)。
【0028】(比較例5)実施例9と同様なシ−トにた
いして、溶媒処理を行なわずに同様なグラフト処理を行
なった。また、潤滑性の指標として同様な試験を行なっ
た(表3)。
【0029】
【表3】
【0030】(実施例11)ナイロン(MXD6−61
21、三菱ガス化学(株)製)を2軸延伸させることによ
り、図1のようなバル−ンを作製した。また、ポリプロ
ピレン(ハイポ−ルF401、 三井石油化学工業(株)
製)30重量部とポリブテン(ビュ−ロン、三井石油化
学工業(株)製)70重量部を2軸混練させ、内径0.8
5mm、 外径1.00mmをチュ−ブを作製した。得ら
れたバル−ンを室温にてヘキサフルオロイソプロピルア
ルコ−ル/酢酸エチル (1/10) に図2に示す斜線部を1
0秒間浸漬させ、乾燥後低温プラズマ(Ar、0.1t
orr)を10秒間照射し、288Kの温度でジメチル
アクリルアミドを10分間表面グラフト重合を行った。
このバル−ンを図3のようにシャフトと接着し、図4の
ような試験方法により島津製作所(株)製オ−トグラフA
GS−100Aを用いて潤滑性の評価を行なった(表
4)。測定条件を以下に示す。 ・測定条件 ・ ロ−ドセル 5kgf ・ストロ−ク長 10mm ・ストロ−ク速度 100mm/min ・ストロ−ク回数 100回 なお、その材料の摩擦抵抗値(gf)として、ストロ−クを
100回行ない、その直後の抵抗値を採用した
【0031】(実施例12)実施例11と同じバル−ン
を図5に示す斜線部をヘキサフルオロイソプロピルアル
コ−ル/酢酸エチル (1/10) に10秒間浸漬させ、乾燥
後低温プラズマ(Ar、0.1torr)を10秒間照
射し、288Kの温度でジメチルアクリルアミドを10
分間表面グラフト重合を行った。このバル−ンを図3の
ようにシャフトと接着し、実施例11と同じ試験方法に
より潤滑性の評価を行なった(表4)。
【0032】(比較例6)実施例11および12と同じ
バル−ンを溶媒処理を行なわずに低温プラズマ(Ar、
0.1torr)を10秒間照射し、288Kの温度で
ジメチルアクリルアミドを10分間表面グラフト重合を
行った。このバル−ンを図3のように固定し、図4のよ
うな試験方法で潤滑性の評価を行なった(表4)。
【0033】
【表4】
【0034】(実施例13、14)ポリエチレンテレフ
タレ−トシ−ト(H100、ダイアホイル株製)を熱延
伸させ配向し(2軸方向に5倍)、結晶性を変化させた
シ−トに対して室温にてトルエン、もしくはジクロロメ
タンに10秒間浸漬後、低温プラズマ(Ar、0.1t
orr)を10秒間照射し、288Kの温度でメタアク
リロイルオキシエチルイソシアネートを30分間表面グ
ラフト重合を行った。該シ−トをメチルビニルエーテル
−無水マレイン酸共重合体(ガンツレッツ、ジー・エイ
・エフ コーポレーション)2重量部含むトルエン溶液
に室温にて30秒間浸漬後、50℃で一昼夜乾燥し、炭
酸水素ナトリウムを含む生理食塩水で中和した。該シ−
トをポリメタアクリロイルオキシエチルイソシアネート
およびメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体
の良溶媒にて1日間洗浄を行い試料を得た。この試料を
2×5cmに切断してポリエチレン製板に接着し、水中
にて重さ100gの鉄製円柱状の錘を静かに乗せ、傾斜
角を徐々に上げていったときに錘が動きだす角度θを求
め、潤滑性の指標として摩擦抵抗=tanθとした(表
5)。
【0035】(比較例7)実施例13と同様なシ−トに
対して、溶媒処理を行なわずに同様なグラフト処理を行
なった。また、潤滑性の指標として同様な試験を行なっ
た(表5)。
【0036】
【表5】
【0037】
【発明の効果】本発明の高分子材料の表面改質方法は、
従来表面グラフト重合が困難であった延伸処理された高
分子材料に対しても表面改質が可能となる。
【0038】
【図面の簡単な説明】
図1はバルーン、図2、図5は表面処理を行うバルーン
の処理部分、図3はシャフトに接続したバルーンを表
す。また、図4に潤滑性(摩擦抵抗)の試験方法を示
す。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶性高分子材料の少なくとも一部の表面
    を該高分子材料の良溶媒に接触させ、該良溶媒を除去さ
    せた後、プラズマ開始グラフト重合を行うことを特徴と
    する結晶性高分子材料の改質方法。
  2. 【請求項2】前記結晶性高分子材料が延伸配向された高
    分子材料である請求項1記載の結晶性高分子材料の改質
    方法。
  3. 【請求項3】前記結晶性高分子材料がポリオレフィンで
    あり、前記良溶媒がトルエンまたはジクロロメタンであ
    る請求項1または2記載の結晶性高分子材料の改質方
    法。
  4. 【請求項4】前記結晶性高分子材料がナイロンであり、
    前記良溶媒がギ酸またはヘキサフルオロイソプロピルア
    ルコールである請求項1または2記載の結晶性高分子材
    料の改質方法。
  5. 【請求項5】前記結晶性高分子材料がポリエチレンテレ
    フタレートであり、前記良溶媒がトルエンまたはジクロ
    ロメタンである請求項1または2記載の結晶性高分子材
    料の改質方法。
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