JP3293217B2 - 副室式エンジン - Google Patents

副室式エンジン

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JP3293217B2
JP3293217B2 JP02712893A JP2712893A JP3293217B2 JP 3293217 B2 JP3293217 B2 JP 3293217B2 JP 02712893 A JP02712893 A JP 02712893A JP 2712893 A JP2712893 A JP 2712893A JP 3293217 B2 JP3293217 B2 JP 3293217B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、主燃焼室、副燃焼室
及び該副燃焼室に噴孔を開口する燃料噴射ノズルを有す
る副室式エンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジンの燃焼改善を目的として
渦流室を持つ渦流室式エンジンが開発されている。この
ような渦流室式エンジンは、シリンダヘッドに形成した
渦流室、該渦流室とシリンダ側に形成した主室とを連通
する連絡口及び渦流室内に配置した燃料噴射ノズルを有
しており、連絡口を通じて渦流室に流入する渦流によっ
て渦流室内に噴射された燃料とで混合気を形成させてい
る。
【0003】また、従来ディーゼルエンジンの一例とし
て、実開昭54−53104号公報に開示されたものが
ある。該ディーゼルエンジンは、該ディーゼルエンジン
は、シリンダヘッドからシリンダ内に突設され、同シリ
ンダ内を2室に仕切るとともに、ピストン頂部に形成さ
れたキャビティ内に嵌脱自在な囲壁、上記2室のうち上
記囲壁内に形成された一方の室に臨ませた燃料噴射ノズ
ル、上記2室を連通するとともに機関の圧縮行程中に上
記一方の室内にスワールを発生させるよう上記囲壁に穿
設された連通孔を有するものである。
【0004】また、実開平1−166719号公報に開
示された副室式内燃機関の燃焼室は、副室口金に複数個
の主燃焼室と副燃焼室とを連通する副室噴口を設けると
ともに、前記各副室噴口の主燃焼室側開口部通路面積を
1 とし、副燃焼室側開口通路面積をf2 としたとき、
1 <f2 となるように形成されている。
【0005】本出願人は、上記問題を解決するための副
室式エンジンを開発し、先に特開平4−78142号と
して出願した。該副室式エンジンは、副室ブロックをシ
リンダ中央部に配置させると共に、シリンダヘッド下面
から前記シリンダ側へ突出した前記副室ブロックの周側
面に複数個の連絡孔を形成し、主室を前記連絡孔に対応
してピストンヘッド部に形成した周辺へと延びる凹溝で
構成し、それによって、前記副室で着火燃焼した火炎は
前記副室から連絡孔を通じて前記主室の前記凹溝に沿っ
て吹き出され、シリンダ外周部位まで火炎を到達させ、
火炎を主室全体に拡散させ、火炎を旋回させながら早期
にシリンダ全域に拡散し、燃焼期間を短縮してスモー
ク、パティキュレート等の発生を抑制するものである。
また、連絡孔に対応する副室ブロックの中央底部に曲面
で突出する凸部を形成したので、前記主室から前記副室
へ導入された吸入空気は、シリンダ軸心方向の縦の流れ
即ちスパイラル状の旋回流のスワールが発生し、燃料と
空気との混合が促進され、前記副室での燃焼が良好にな
り、NOX 、スモーク等の発生を抑制できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の副室式エンジン
では、スワールチャンバタイプのもので、副室容積比を
52〜58%、副室連絡孔面積比を1.2〜1.6%程
度で、単噴孔ノズルで燃焼の最適化を図っている。副室
式燃焼室の燃料噴霧と空気との混合は、圧縮行程で圧縮
された空気が絞りとなる副室連絡口を通ることにより、
空気の流速が増し、これが混合気生成エネルギーとな
り、燃料噴霧との混合を促進していると考えられてい
る。また、膨張行程では副室での燃焼と副室連絡口の絞
り効果により、燃焼ガスの副室から主室への噴出エネル
ギーとなり、主室での燃焼を促進していると考えられて
いる。このような副室式エンジンでは、燃焼に重要な混
合気生成エネルギー、及び噴出エネルギーを副室連絡口
の絞りにより形成されているため、連絡口の通路面積を
大きくすることができず、そのためポンプ損失が大き
く、また、混合気生成を激しい空気流動により得ている
ために、副室内の熱伝導率が大きく、冷却水損失が大き
くなっている。
【0007】また、主室と副室を連通する連絡口を副室
壁面の接線方向に角度を持たせて設けることにより、副
室内の空気流動が活発化し、更に着火後、主室への火炎
の噴出エネルギーの減衰がなく、短時間に主室最外周に
火炎が到達するため、空気利用率が向上し、有害ガスの
少ないクリーンな燃焼が可能で出力も向上する。また、
傾斜した副連絡孔を有する副室の場合には、主室内の吸
気流入スワールの影響を考慮しない条件では、流入時と
着火後の噴出時の通過する空気の速度が同じであり、噴
出エネルギーを高めるために連絡口の口径を絞った場
合、同時に副室内で発生する空気流動即ちスワールも強
くなる。
【0008】ところが、副室に流入するときの空気流動
が強すぎる場合には、次のような悪影響が発生する。即
ち、まず、副室内で生じるスワール流はオーバースワー
ルの状態となり、NOX の排出量が増加することにな
る。また、副室内の空気流動の速度が増加することによ
り、副室壁面の熱伝導率が上昇し、壁面からの放熱が増
加することにより、出力が低下する。更に、副室内の空
気流動の速度が増加することにより、副室壁面の温度が
上昇するため、圧縮温度が上昇し、着火遅れ時間が短縮
され、燃焼が悪化する。上記のことより、副室から主室
へ噴出する火炎のペネトレーションの増加と、副室内の
燃焼の悪化は、背反する関係になり、副連絡孔の径は両
者がバランスする寸法となり、最適な値はとれない。
【0009】また、エンジンを副室式燃焼室に構成した
場合に、副室式燃焼室の燃焼スピードを直接噴射式燃焼
室の燃焼スピードと同程度まで速くするには、副室と主
室とを連通する連通孔の通路断面積を拡大することが必
要である。ところが、連通孔の通路断面積を大きくする
と、副室から主室へ流出する噴出スピードが低下し、主
室での燃焼が十分に行われない。
【0010】また、渦流室式エンジンでは、副室と主室
とを連通する連絡口が小さいので、該連絡口による絞り
損失が発生し、エンジン出力を低減する原因になる。ま
た、一般に、主室と副室とを連通する連絡口は、シリン
ダ中心部或いは外周部の1つの部位のいずれかに設けら
れているので、噴流の到達しなければならない距離が長
くなり、主室での空気との混合が不十分になり、HC、
スモークの発生原因になる。更に、連絡口は絞られて傾
斜状態に形成されているので、吸気ポートを通じて流入
した吸入空気はシリンダ内でスワール流を形成している
が、該スワール流が連絡口を通じて副室に流入する時
に、副室内にそのスワール流のエネルギーを十分に活か
すことができないという問題を有している。
【0011】そこで、この発明の目的は、上記の課題を
解決することであり、副燃焼室をシリンダヘッド側に構
成し、主燃焼室をシリンダ側に形成し、主燃焼室と副燃
焼室とを連通する連絡口を周方向に複数設けると共にス
ワール流減衰手段となる構造に構成し、副燃焼室内での
スワール流を減衰させてオーバスワールを抑制して適正
化し、副燃焼室から外部への熱放散を防止し、連絡口の
絞り損失を低減し、燃料リッチで燃焼させてNOX の発
生を抑制し、また、副燃焼室をシリンダ中央に配置し且
つ副燃焼室から連絡口を通じて主燃焼室へ噴出する噴流
のシリンダ周辺までの到達距離を短くし、また、副燃焼
室から主燃焼室への噴流を副燃焼室内に形成されている
スワール流と順流方向に噴き出させ、主燃焼室に存在す
るスワール流を利用して主燃焼室の新気との混合を促進
し、燃焼期間を短縮して性能を向上させ、スモーク、H
C、NOX 等の発生を抑制することができる副室式エン
ジンを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記目的を
達成するため、次のように構成されている。即ち、この
発明は、シリンダヘッド側に形成される副燃焼室、シリ
ンダ側に形成される主燃焼室、該主燃焼室と前記副燃焼
室とを連通する連絡口及び前記副燃焼室内に燃料を噴射
する燃料噴射ノズルを有する副室式エンジンにおいて、
前記連絡口は前記副燃焼室中心の周方向に隔置して複数
形成され且つシリンダ軸に対して前記主燃焼室側に形成
されるスワール流の方向と逆方向に周方向斜めに形成さ
れ且つ前記副燃焼室から前記主燃焼室への噴き出し方向
が前記主燃焼室内のスワール流に順流になる方向に形成
され、しかも前記連絡口は前記副燃焼室内に形成される
スワール流を減衰させるため前記主燃焼室から前記副燃
焼室へ流入する空気流に対するスワール流減衰手段とな
る構造に形成されていることを特徴とする副室式エンジ
ンに関する。
【0013】また、この副室式エンジンにおいて、前記
スワール流減衰手段は前記副燃焼室側の通路面積が前記
主燃焼室側の通路面積より大きくなるようにテーパ状通
路に形成されているものである。
【0014】又は、この副室式エンジンにおいて、前記
スワール流減衰手段は前記連絡口の前記副燃焼室側部分
が前記シリンダ軸方向に伸びる屈曲通路に形成され且つ
前記主燃焼室側部分が傾斜したストレート通路に形成さ
れているものである。
【0015】或いは、この副室式エンジンにおいて、前
記スワール流減衰手段は前記主燃焼室側から前記副燃焼
室側へ前記シリンダ軸中心方向に向かってに曲がった螺
旋通路に形成されているものである。
【0016】又は、この副室式エンジンにおいて、前記
スワール流減衰手段は前記副燃焼室内側の開口縁部に前
記主燃焼室から前記副燃焼室への空気流が衝突する凸部
が形成されているものである。
【0017】
【作用】この発明による副室式エンジンは、上記のよう
に構成され、次のように作用する。即ち、この副室式エ
ンジンは、シリンダヘッド側の副燃焼室とシリンダ側の
主燃焼室とを連通する連絡口は、前記副燃焼室中心の周
方向に隔置して複数形成され、且つシリンダ軸に対して
前記主燃焼室側に形成されるスワール流の方向と逆方向
に周方向斜めに形成すると共に、前記副燃焼室内に形成
されるスワール流を減衰するため前記連絡口にスワール
流減衰手段を設けたので、前記副燃焼室内では空気流動
即ちスワール流は減衰され、オーバスワール流が発生せ
ず前記副燃焼室からシリンダヘッドを通じて過度な熱放
散が防止され、連絡口の絞り損失が低減され、熱効率を
向上できる。
【0018】また、前記スワール流減衰手段としては、
副燃焼室内側が屈曲通路に形成したり、副燃焼室側の通
路面積を前記主燃焼室側の通路面積より大きくなる曲面
に形成したり、主燃焼室側から前記副燃焼室側へシリン
ダ軸方向に向かって伸びる屈曲通路に形成したり、シリ
ンダ軸中心に向かう螺旋通路に形成したり、或いは副燃
焼室側の開口縁部に前記副燃焼室への空気流が衝突する
凸部を形成することで構成することができる。
【0019】この副室式エンジンにおいて、前記副燃焼
室がシリンダ中央に位置し、前記連絡口はシリンダ中心
から離れた周方向に前記主燃焼室に開口しているので、
前記主燃焼室では前記連絡口からの噴流の到達距離が短
く、燃焼時間が短くなって性能が向上する。また、副燃
焼室からの噴流の到達距離が短くて済むため、前記連絡
口を複数形成してその通路面積を大きく形成でき、しぼ
り損失を低減でき効率を向上できる。また、前記連絡口
の傾斜方向を外向きに傾斜させると、ピストンの周辺へ
の副燃焼室からの噴流の到達距離が更に短くなり、ピス
トン周辺の新気との混合を促進する。
【0020】特に、副燃焼室から連絡口を通じて吹き出
す噴流が主燃焼室即ちシリンダ内に存在するスワール流
と順流であるため、主燃焼室に形成されているスワール
流のエネルギーを活かすことができ、主燃焼室内での燃
焼火炎及び未燃混合気と新気との混合が促進され良好に
なる。即ち、吸気ポートからシリンダ内即ち主燃焼室に
流入して形成されるスワール流はピストン上昇によって
最初は副室部材中央の挿入孔から吸入空気は副燃焼室に
流入するが、ピストンの突出部が挿入孔に突入してシリ
ンダ内の吸入空気が圧縮されると、その圧縮空気はUタ
ーンして連絡口から最後の押し込みでベクトル流として
副燃焼室内に流入して副燃焼室内に逆方向のスワール流
を形成すると共に、連絡口のスワール流減衰手段でスワ
ール流は減衰される。そこで、燃料噴射ノズルの多噴孔
からアルコール燃料、軽油等の液体燃料が副燃焼室内に
噴射され、副燃焼室内で燃料リッチで燃焼し、NOX
発生を抑制する。
【0021】次いで、副燃焼室内で燃焼火炎は膨張して
連絡口を通じて主燃焼室へ噴出し、連絡口はシリンダ内
のスワール流に順流方向であるので、燃焼火炎と未燃混
合気とはシリンダ内の3割程度残っているスワール流を
有効に利用してそのスワール流に乗って吹き出され、燃
焼火炎と未燃混合気は主燃焼室内に存在する新気と混合
を促進して燃焼スピードをアップする。従って、主燃焼
室でのHC、スモーク等の発生を抑制して燃焼を完結す
る。
【0022】
【実施例】以下、図面を参照して、この発明による副室
式エンジンの実施例を説明する。図1はこの発明による
副室式エンジンの一実施例を示す断面図、及び図2は図
1の副室式エンジンの副燃焼室の下面図である。
【0023】この副室式エンジンは、アルミニウム、ア
ルミニウム合金等の金属材料から成るシリンダブロック
6、該シリンダブロック6に金属ガスケット等のガスケ
ット32を介在して固定されたアルミニウム合金等の金
属材料から成るシリンダヘッド5を有している。シリン
ダブロック6にはエンジンの気筒数に対応する孔部が形
成され、孔部にはシリンダ3を形成するシリンダライナ
19が嵌合されている。また、シリンダヘッド5には、
エンジンの気筒数に対応即ちシリンダ3に対応する吸気
ポート13と排気ポート17が形成され、吸気ポート1
3のバルブシートには吸気弁16が配置され、排気ポー
ト17のバルブシートには排気弁26が配置されてい
る。シリンダライナ19に形成されるシリンダ3には、
ピストン8が往復運動するように組み込まれている。主
燃焼室1は、シリンダヘッド下面14とピストン頂面1
5との間のシリンダ3側に形成されている。また、副燃
焼室2はシリンダヘッド5側に形成されている。燃料噴
射ノズル10はシリンダヘッド5に設けられて副燃焼室
2内に燃料噴射するように構成されている。
【0024】この副室式エンジンは、アルコール燃料、
軽油等の液体燃料を燃料噴射ノズル10から副燃焼室2
内に噴射して燃焼させるディーゼルエンジンであり、特
に、シリンダヘッド5側に副燃焼室2及び複数(図で
は、4個)の連絡口9を設け、連絡口9の形状を傾斜方
向に形成している。シリンダヘッド5に形成した副燃焼
室2の容積比については、圧縮端における全体燃焼室容
積に対する副燃焼室2の容積比は、約40〜65%に設
定されている。また、シリンダヘッド5に形成された穴
部21には副室部材4が配置され、その副室部材4に副
燃焼室2及び連絡口9が形成されている。副室部材4の
上部には多噴孔11を備えた燃料噴射ノズル10が貫通
固定されている。燃料噴射ノズル10は、ピストン8の
圧縮行程上死点近傍で多噴孔11から副燃焼室2内に燃
料を噴射できるものである。副室部材4は、耐熱性に富
んだ窒化ケイ素、炭化ケイ素、或いはセラミックウィス
カーと金属との複合材料、或いはNi−Cr系の耐熱金
属によって製作され、副燃焼室2は好ましくは遮熱構造
に構成されている。
【0025】更に、この副室式エンジンにおいて、主燃
焼室1と副燃焼室2とを連通するため、副室部材4に副
燃焼室2の中心から離れた周囲即ち副燃焼室2の壁面近
傍に周方向に互いに隔置して複数個(例えば、図2図で
は4個)の連絡口9が形成されている。これらの連絡口
9は、シリンダ軸に対して主燃焼室1側に形成されるス
ワール流S(図2)の方向と逆方向に周方向斜めに形成
され、副燃焼室2から主燃焼室1への噴き出し方向が主
燃焼室1内のスワール流Sに順流になる方向に形成され
ている。即ち、吸入空気が主燃焼室1から連絡口9を通
って副燃焼室2へ流入することによって、吸気ポート1
3から主燃焼室1に流入して形成されるスワール流Sの
方向に対して逆方向のスワール流CSが副燃焼室2内に
形成され、次いで、噴射燃料が燃焼して燃焼ガスが副燃
焼室2から主燃焼室1への噴き出される方向は主燃焼室
1内即ちシリンダ3に形成されているスワール流Sに順
流になる方向となる。
【0026】この副室式エンジンは、上記の連絡口9の
構成に加えて、特に、副燃焼室2内に形成されるスワー
ル流CSを減衰させるため、連絡口9には主燃焼室1か
ら副燃焼室2へ流入する空気流に対するスワール流減衰
手段を有していることである。この実施例では、スワー
ル流減衰手段としては、連絡口9を副燃焼室2側の開口
7の通路面積が主燃焼室1側の開口12の通路面積より
大きくなるようなテーパ通路に構成したものである。
【0027】この副室式エンジンでは、燃焼室の一部を
副燃焼室2に構成することによって、副燃焼室2で初期
燃焼即ち一次燃焼を高当量比即ち燃料リッチで行わせ、
NOX の発生を低減することができ、しかも主燃焼室1
から副燃焼室2へ流入するスワール流は減衰させられる
ので、副燃焼室2からシリンダヘッド5への熱放散を低
減でき、連絡口9を複数設けて連絡口通路面積を大きく
して絞り損失を低減し、熱効率を向上できる。また、副
燃焼室2から主燃焼室1への噴出エネルギーは連絡口9
のテーパ状通路18による絞り込みで大きくなり、主燃
焼室1の周辺まで短期に噴出し、噴流のペネトレーショ
ンが良好になり、主燃焼室1の新気と噴流との混合が促
進して二次燃焼即ち再燃焼を行わせることができる。し
かも、連絡口9の通路面積をトータルとして大きくでき
且つ主燃焼室1に存在する新気と副燃焼室2からの噴流
との混合を促進するため、連絡口9を副室部材4の中央
から隔置した周方向に形成してシリンダ3の壁面への到
達距離を短くして連絡口9から噴出される噴流によって
主燃焼室1に存在する空気と良好に且つ短期間に混合を
行わせることができ、HC、スモーク、NOX 等の発生
を低減する。
【0028】この実施例では、連絡口9のテーパ状通路
18のテーパ角度θは、副燃焼室2に空気が流入する
際、空気が壁面から剥がれて噴流を生じ、強い乱れを生
じるように10度以上に設定されている。副燃焼室2の
上面の中心軸上に多噴孔11を備えた燃料噴射ノズル1
0が設置されているので、圧縮行程中に主燃焼室1から
副燃焼室2に流入する空気は、連絡口9の傾斜角度の効
果により主燃焼室1の吸気スワール流Sとは逆方向のス
ワール流CSを生じ、副燃焼室2内での混合気生成を促
進する。この時、連絡口9のテーパ状通路18の影響に
より壁面付近で、空気の剥離が生じ、乱流を発生するた
め、流速が減少し、副燃焼室2内がオーバスワール状態
になるのを防ぐことができる。燃料噴射ノズル10から
の燃料噴射によって着火し、爆発行程に移行し、副燃焼
室2から主燃焼室1へと火炎は噴出するが、連絡口9の
持つ傾斜角度の効果によって主燃焼室1の半径方向に近
いベクトルを持ち、主燃焼室1内に残留している吸気ス
ワール流Sと同一方向に噴出し、主燃焼室1内の外周付
近まで短期に火炎を到達させる。この時、連絡口9のテ
ーパ状通路18は噴出火炎を絞り込む作用をして噴出速
度は増速することになり、主燃焼室1へ一気に噴出し、
主燃焼室1内の新気との混合を促進する。
【0029】次に、図3、図4、図5、図6及び図7を
参照して、この発明による副室式エンジンの別の実施例
を説明する。図3はこの発明による副室式エンジンの別
の実施例を示す断面図、図4は図3の線A−Aにおける
副燃焼室を構成する副室部材を示す断面図、図5は図4
の線B−Bにおける断面図、図6は図3の副室式エンジ
ンの主燃焼室への噴出方向を示す説明図、及び図7は図
3の副室式エンジンの副燃焼室へのスワール方向を示す
説明図である。この実施例は、上記実施例の副室式エン
ジンと比較して連絡口の構成が相違する以外は、実質的
に同一のものであるので、同一の部品には同一の符号を
付し、重複する説明を省略している。
【0030】この実施例の副室式エンジンにおいて、連
絡口9に形成したスワール流減衰手段は、副燃焼室2内
側が屈曲通路20に形成されているものである。即ち、
連絡口9は、副燃焼室2の中心軸から偏心した周方向に
隔置して複数形成され、シリンダ軸に対して主燃焼室1
側に形成されるスワール流Sの方向と逆方向に周方向斜
めに即ちピストン頂面15に対して斜めに形成され、副
燃焼室2から主燃焼室1への噴き出し方向が主燃焼室1
内のスワール流Sに順流になる方向に形成されている。
この実施例では、シリンダヘッド5に形成された穴部2
1にはヘッドライナ28が配置されている。ヘッドライ
ナ28はヘッド下面部33とライナ上部34とが高強度
で且つ耐熱性に富んだセラミックスから一体構造に構成
されており、ヘッド下面部33には取付孔29が形成さ
れている。そして、穴部21と取付孔29とに跨がって
副室部材4が配置されている。また、ピストン8は、セ
ラミックスから成るピストンヘッド32と該ピストンヘ
ッド32に固定されたピストンスカート31から構成さ
れている。
【0031】特に、連絡口9は、図3〜図5に示すよう
に、主燃焼室1から連絡口9を通じて副燃焼室2内に流
入するスワール流CSを減衰させるため、主燃焼室1か
ら副燃焼室2へ流入する空気流に対するスワール流減衰
手段として連絡口9の副燃焼室内側部分の連絡口通路が
シリンダ軸方向即ち副燃焼室2の中心軸方向に曲がった
屈曲通路20に形成されている。即ち、連絡口9は、そ
の副燃焼室側部分がシリンダ軸方向に伸びる屈曲通路2
0に形成され且つ主燃焼室側部分が傾斜したストレート
通路22に形成されている。そして、主燃焼室1から連
絡口9を通じて副燃焼室2へ流入する空気流の流れは、
図7に示すように、主燃焼室1での開口12での流入時
のスワール流の半径Lが長く、副燃焼室2での開口7で
のスワール流の副燃焼室中心即ちシリンダ中心Oからの
半径L0 が短く成るようになって、スワール流は減衰し
た流れとなる。また、副燃焼室2から連絡口9を通じて
主燃焼室1へ吹き出す火炎については、図6に示すよう
に、主燃焼室1での開口12での噴出時のスワール流の
シリンダ中心Oからの半径Lが長く、ピストン8周辺へ
と伸びる強い噴出エネルギーの流れとなり、シリンダ3
内のスワール流Sに順流となる。
【0032】更に、この実施例の副室式エンジンでは、
副燃焼室2を形成する副室部材4には、中心部に大径の
大連絡口23を形成し、ピストン8の中央頂面の突部2
4を形成し、ピストン上死点TDC近傍でピストン8の
突部24が大連絡口23を塞ぐ状態になるように構成す
ることもできる。ピストン8の下降に従ってピストン8
の突部24が大連絡口23から離れ、副燃焼室2は大連
絡口23を通じて主燃焼室1に開放され、副燃焼室2内
の噴流は大連絡口23を通じて主燃焼室1へ吹き出され
る。そこで、大連絡口23を通じて主燃焼室1に噴出し
た燃焼火炎と未燃混合気は、主燃焼室1の中央に存在す
る新気と短期に混合し、燃焼期間を短縮して二次燃焼即
ち再燃焼してHC、スモークの発生を低減する。次い
で、排気行程に移行する。
【0033】この実施例の副室式エンジンは、上記構成
によって、連絡口9から斜めに副燃焼室2に流入する空
気によって副燃焼室2内にスワール流CSを作り、その
状態で燃料噴射ノズル10から燃料を噴射することによ
り副燃焼室2内で短時間に混合気を生成し、燃焼スピー
ドのアップを図る。この場合に、副燃焼室2内に形成さ
れるスワール比は、燃料噴射ノズル10の多噴孔11の
噴孔数等により決定され、スワール流CSが強すぎる
と、噴霧が干渉する状態が発生する。この時、副燃焼室
2内に形成されるスワールは連絡口9の偏心量と連絡口
9の通路面積により決まり、特に、連絡口9の通路面積
によって副燃焼室2内のスワール流CSはほぼ決定す
る。一方、主燃焼室1の燃焼を考えた場合には、主燃焼
室1では副燃焼室2からの火炎と混合気の噴出流により
混合し燃焼するが、この混合エネルギーは連絡口9の通
路面積が小さい程大きい。即ち、主燃焼室1の燃焼スピ
ードを上げるには連絡口9の通路面積は小さい方が良
い。従って、副燃焼室2と主燃焼室1との燃焼状態を考
えた場合に、連絡口9の通路面積の最適値はそれぞれ異
なっているので、この実施例では、副燃焼室2内側の連
絡口通路をシリンダ軸方向に曲がった副燃焼室側の屈曲
通路20に構成し、それによって、主燃焼室1から連絡
口9を通じて副燃焼室2へ流入するスワール流を減衰さ
せ、副燃焼室2内のオーバスワールにならない最適スワ
ールを形成し、また、逆に副燃焼室2から連絡口9の主
燃焼室側のストレート通路22を通って主燃焼室1への
火炎の吹き出し即ち噴出エネルギーを与えることができ
るように構成したものである。
【0034】次に、図8、図9、図10、図11及び図
12を参照して、この発明による副室式エンジンの更に
別の実施例を説明する。図8はこの発明による副室式エ
ンジンの更に別の実施例を示す断面図、図9は図8の線
C−Cにおける副燃焼室を構成する副室部材を示す断面
図、図10は図9の線D−Dにおける断面図、図11は
図8の副室式エンジンの主燃焼室への噴出方向を示す説
明図、及び図12は図8の副室式エンジンの副燃焼室へ
のスワール方向を示す説明図である。この実施例は、上
記各実施例の副室式エンジンと比較して連絡口の構成が
相違する以外は、実質的に同一のものであるので、図3
に示す部品と同一の部品には同一の符号を付し、重複す
る説明を省略している。
【0035】この実施例の副室式エンジンにおいて、連
絡口9に形成したスワール流減衰手段は、主燃焼室1側
から副燃焼室2側へ主燃焼室軸中心方向に向かって曲が
った通路25、即ち、副燃焼室2の周辺から中心へ周方
向に曲がって伸びる通路25で形成されている。即ち、
連絡口9は、主燃焼室側から副燃焼室側へシリンダ軸中
心方向に向かってに曲がった螺旋通路25に形成されて
いる。この実施例の副室式エンジンでは、図示していな
いが、図3〜図5に示す実施例のものと同様に、副室部
材4の中央に大連絡口を形成し、ピストン8の中央頂面
に突部を設けることもできる。そして、主燃焼室1から
連絡口9を通じて副燃焼室2へ流入する空気流の流れ
は、図12に示すように、主燃焼室1での開口12での
流入時のスワール流のシリンダ中心Oからの半径L1
長く、副燃焼室2での開口7でのスワール流の副燃焼室
中心即ちシリンダ中心Oからの半径L2 が短くなるよう
な螺旋状に縮小する通路となってスワール流CSは減衰
した流れとなる。また、副燃焼室2から連絡口9を通じ
て主燃焼室1へ吹き出す火炎については、副燃焼室2で
の開口7での吹き込むスワール流のシリンダ中心Oから
の半径L2 は短いが、主燃焼室1での開口12での噴出
時のスワール流Sのシリンダ中心Oからの半径L1 は長
くなり、螺旋状に拡大する通路となってピストン周辺へ
と伸びる強い噴出エネルギーの流れとなり、シリンダ3
内のスワール流Sに順流となり、上記実施例と同等の作
用を発揮することができる。即ち、この実施例では、主
燃焼室1から副燃焼室2へ流入する空気流はシリンダ軸
中心方向である副燃焼室2の中心に向う螺旋通路25に
よって副燃焼室2内のスワール流は減衰され、且つ副燃
焼室2から主燃焼室1への噴出火炎は螺旋通路25によ
って大きく拡大する方向に増強され、シリンダ3内に残
っているスワール流に乗って新気との混合が促進され
る。
【0036】次に、図13及び図14を参照して、この
発明による副室式エンジンの他の実施例を説明する。図
13はこの発明による副室式エンジンの他の実施例を示
す断面図、及び図14は図13の線E−Eにおける副室
部材を示す断面図である。この実施例は、上記各実施例
の副室式エンジンと比較して連絡口の構成が相違する以
外は、実質的に同一のものであるので、図3に示す部品
と同一の部品には同一の符号を付し、重複する説明は省
略している。
【0037】この実施例の副室式エンジンにおいて、連
絡口9に形成したスワール流減衰手段は、副燃焼室1内
側の開口7の縁部に主燃焼室1から副燃焼室2への空気
流が衝突する凸部27が形成されているものである。即
ち、この実施例の副室式エンジンは、シリンダ3のほぼ
中心軸上に副燃焼室2を設け、副燃焼室2の中央上部に
多噴孔11を備えた燃料噴射ノズル10を設置する。副
燃焼室2と主燃焼室1とを連通する連絡口9を複数設
け、これらの連絡口9は副燃焼室2の中心軸に対して偏
心し且つピストン頂面に対して斜めに形成され、副燃焼
室2内に形成されるスワール流CSを減衰させるため連
絡口9の副燃焼室2側の開口7に近接して凸部27を形
成している。
【0038】この実施例の副室式エンジンでは、連絡口
9から斜めに副燃焼室2に流入する空気によって副燃焼
室2内に減衰させたスワール流CSを発生させ、燃料噴
射ノズル10からの噴霧により、該燃料を副燃焼室2内
で短期間に混合気を生成させて燃焼スピードをアップさ
せる。この時、副燃焼室2内に形成されるスワール比は
燃料噴射ノズル10の多噴孔11の噴孔数等によって決
定されるが、副燃焼室2内のスワール流が強すぎると、
噴霧間での干渉が発生する現象が起こるが、この実施例
の副室式エンジンでは連絡口9が上記の構成を有するこ
とにより、上記現象は避けられ、主燃焼室1から連絡口
9を通じて副燃焼室2に流入する空気流は特に凸部27
に衝突してスワール流CSは減衰される。
【0039】一方、主燃焼室1の燃焼を考えた場合、主
燃焼室1は副燃焼室2からの火炎と混合気の噴出流によ
り混合燃焼を行なうが、この混合エネルギーは連絡口面
積が小さい程大きい。即ち、主燃焼室1の燃焼スピード
を上げるには連絡口面積は小さい程良い。主燃焼室1と
副燃焼室2とを連通する連絡口面積の最適値は、それぞ
れ異なることになる。そこで、この実施例の副室式エン
ジンは、副燃焼室2内のスワールを減衰させる凸部27
を設け、連絡口面積を絞ることによって、副燃焼室2に
は適正なスワールが形成され、主燃焼室1には大きい噴
出エネルギーを与えることができるものである。
【0040】
【発明の効果】この発明による副室式エンジンは、上記
のように構成されており、次のような効果を有する。こ
の副室式エンジンは、シリンダヘッド側の副燃焼室とシ
リンダ側の主燃焼室とを連通する連絡口は、前記副燃焼
室中心の周方向に隔置して複数形成され且つシリンダ軸
に対して前記主燃焼室側に形成されるスワール流の方向
と逆方向に周方向斜めに形成され、前記連絡口は前記副
燃焼室内に形成されるスワール流を減衰させるため前記
主燃焼室から前記副燃焼室へ流入する空気流に対するス
ワール流減衰手段を備えているので、前記副燃焼室内で
はスワール流を減衰させることによってオーバスワール
状態になるのを防止でき、前記副燃焼室からシリンダヘ
ッドへの熱放散を防止でき、燃料噴射ノズルから噴射さ
れる噴霧間の干渉が生じることがなく、燃料リッチで燃
焼させてNOX の発生を抑制できる。また、前記副燃焼
室から前記主燃焼室へ大きな噴出エネルギーを与えるこ
とができ、前記副燃焼室から前記主燃焼室への噴き出し
方向が前記主燃焼室内のスワール流に順流になる方向に
形成されているので、前記主燃焼室での新気との混合を
促進でき、燃焼を短期に完結し、スモーク、HC、NO
X 等の発生を低減でき、熱効率を向上できる。
【0041】また、この副室式エンジンにおいて、前記
スワール流減衰手段は前記副燃焼室側の通路面積が前記
主燃焼室側の通路面積より大きくなるようにテーパ状通
路に形成されているので、前記主燃焼室から前記副燃焼
室へ流入する空気流を膨張させて有効に減衰でき、且つ
前記副燃焼室から前記主燃焼室への噴出エネルギーを絞
って有効に増強することができる。即ち、前記連絡口の
テーパ角度及び直径即ち通路面積を適正に設定すると、
前記副燃焼室から前記主燃焼室への噴出速度と前記副燃
焼室内への流入速度を別々に制御することができ、前記
副燃焼室への流入時の流速を適当に減衰させ、オーバス
ワール状態になるのを防止しつつ、噴出時の速度を増大
させ、火炎のペネトレーションを増加させ、前記主燃焼
室内での燃焼スピードを短縮し、効率を向上させること
ができる。
【0042】又は、この副室式エンジンにおいて、前記
スワール流減衰手段は前記連絡口の前記副燃焼室内側部
分が副燃焼室中心方向に曲がった屈曲通路に形成されて
いるので、前記主燃焼室から前記副燃焼室へ流入する空
気流は前記副燃焼室に入る直前で曲げられて壁面との衝
突干渉で速度を減衰され、且つ前記副燃焼室から前記主
燃焼室への火炎は前記連絡口の方向に噴出され、充分な
エネルギーで噴出してシリンダ内に残っているスワール
流に乗って新気との混合が促進される。
【0043】或いは、この副室式エンジンにおいて、前
記スワール流減衰手段は前記主燃焼室側から前記副燃焼
室側へ前記シリンダ軸中心方向に向かって曲がった螺旋
通路に形成されているので、前記主燃焼室から前記副燃
焼室へ流入する空気流は前記副燃焼室の中心に向かって
スワール流は減衰され、且つ前記副燃焼室から前記主燃
焼室への噴出火炎は大きく拡大する方向に増強され、シ
リンダ内に残っているスワール流に乗って新気との混合
が促進される。
【0044】又は、この副室式エンジンにおいて、前記
スワール流減衰手段は前記副燃焼室内側の開口縁部に前
記主燃焼室から前記副燃焼室への空気流が衝突する凸部
が形成されているので、前記主燃焼室から前記副燃焼室
へ流入する空気流は前記凸部に衝突干渉してスワール流
は減衰され、且つ前記副燃焼室から前記主燃焼室への噴
出火炎は干渉されることなくスムースに噴出して増強さ
れ、シリンダ内に残っているスワール流に乗って新気と
の混合が促進される。
【0045】この副室式エンジンは、副室式燃焼室であ
るので、前記副燃焼室で燃料リッチで燃焼させてNOX
の発生を低減でき、しかも前記副燃焼室からシリンダヘ
ッドを通じて外部への熱放散を防止でき、熱効率を向上
させることができる。即ち、副燃焼室式エンジンの冷却
損失が高いのは、副燃焼室を設けることにより、表面積
が増大し、副燃焼室内の空気流動が大きく、熱伝達率が
高く、放熱量が大になるからである。そこで、副燃焼室
を遮熱構造に構成することにより、放熱を防止すること
ができ、熱効率を大幅に向上させることができる。
【0046】また、副燃焼室がシリンダヘッドの中央に
位置し、前記連絡口からの噴流の到達距離が短く、燃焼
時間が短くなって性能が向上する。また、前記副燃焼室
からの噴流の到達距離が短くて済むため、前記連絡口の
通路面積を大きく形成でき、しぼり損失を低減でき効率
を向上できる。また、前記主燃焼室と前記副燃焼室との
通路面積を前記副燃焼室の外周囲に形成した多数の前記
連絡口の合計で全体として大きく形成でき、しぼり損失
を低減できる。また、前記連絡口の傾斜方向を外向きに
傾斜させると、ピストン周辺への前記副燃焼室からの噴
流の到達距離が更に短くなり、ピストン周辺の新気との
混合を促進する。
【0047】また、前記連絡口の傾斜方向は、吸気ポー
トから前記主燃焼室に流入して形成されるスワール流の
方向に対して逆方向であり、前記副燃焼室から前記主燃
焼室への噴き出し方向が前記主燃焼室内のスワール流に
順流になる方向であるので、前記主燃焼室に形成されて
いるスワール流のエネルギーを活かすことができ、前記
主燃焼室内での燃焼火炎及び未燃混合気と新気との混合
が促進され良好になる。
【0048】従って、この副室式エンジンは、前記副燃
焼室での燃焼状態を燃料リッチで燃焼させ且つ直接噴射
式燃焼室と同等の燃焼スピードを確保でき、NOX の発
生を抑制できる。また、前記副燃焼室をシリンダの中央
部に形成して前記副燃焼室の外周から噴出する火炎と混
合気とは、前記シリンダの全周即ち前記主燃焼室に存在
する新気に対して距離が短くなるので、前記主燃焼室で
の混合が促進され、燃焼スピードを速くして燃焼期間を
短縮でき、NOX 、HC、スモークの発生を抑制できる
燃焼を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による副室式エンジンの一実施例を示
す断面図である。
【図2】図1の副室式エンジンの副燃焼室の下面図であ
る。
【図3】この発明による副室式エンジンの別の実施例を
示す断面図である。
【図4】図3の線A−Aにおける副燃焼室を構成する副
室部材を示す断面図である。
【図5】図4の線B−Bにおける断面図である。
【図6】図3の副室式エンジンの主燃焼室への噴出方向
を示す説明図である。
【図7】図3の副室式エンジンの副燃焼室へのスワール
方向を示す説明図である。
【図8】この発明による副室式エンジンの更に別の実施
例を示す断面図である。
【図9】図8の線C−Cにおける副燃焼室を構成する副
室部材を示す断面図である。
【図10】図9の線D−Dにおける断面図である。
【図11】図8の副室式エンジンの主燃焼室への噴出方
向を示す説明図である。
【図12】図8の副室式エンジンの副燃焼室へのスワー
ル方向を示す説明図である。
【図13】この発明による副室式エンジンの他の実施例
を示す断面図である。
【図14】図13の線E−Eにおける副室部材を示す断
面図である。
【符号の説明】
1 主燃焼室 2 副燃焼室 3 シリンダ 4 副室部材 5 シリンダヘッド 6 シリンダブロック 7 副燃焼室側開口 8 ピストン 9 連絡口 10 燃料噴射ノズル 11 多噴孔 12 主燃焼室側開口 13 吸気ポート 14 シリンダヘッド下面 15 ピストン頂面 16 吸気バルブ 18 テーパ状通路 19 シリンダライナ 20 屈曲通路 21 穴部 22 ストレート通路 25 螺旋通路 27 凸部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−240048(JP,A) 特開 平4−148020(JP,A) 実開 平4−65921(JP,U) 実開 昭59−172223(JP,U) 実開 平1−166719(JP,U) 実開 昭58−67929(JP,U) 実開 昭60−178323(JP,U) 実開 昭54−53104(JP,U) 実開 昭57−139630(JP,U) 実開 平4−105941(JP,U) 実開 平4−59338(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02B 19/00 - 19/18

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダヘッド側に形成される副燃焼
    室、シリンダ側に形成される主燃焼室、該主燃焼室と前
    記副燃焼室とを連通する連絡口及び前記副燃焼室内に燃
    料を噴射する燃料噴射ノズルを有する副室式エンジンに
    おいて、前記連絡口は前記副燃焼室中心の周方向に隔置
    して複数形成され且つシリンダ軸に対して前記主燃焼室
    側に形成されるスワール流の方向と逆方向に周方向斜め
    に形成され且つ前記副燃焼室から前記主燃焼室への噴き
    出し方向が前記主燃焼室内のスワール流に順流になる方
    向に形成され、しかも前記連絡口は前記副燃焼室内に形
    成されるスワール流を減衰させるため前記主燃焼室から
    前記副燃焼室へ流入する空気流に対するスワール流減衰
    手段となる構造に形成されていることを特徴とする副室
    式エンジン。
  2. 【請求項2】 前記スワール流減衰手段は前記副燃焼室
    側の通路面積が前記主燃焼室側の通路面積より大きくな
    るようにテーパ状通路に形成されていることを特徴とす
    る請求項1に記載の副室式エンジン。
  3. 【請求項3】 前記スワール流減衰手段は前記連絡口の
    前記副燃焼室側部分が前記シリンダ軸方向に伸びる屈曲
    通路に形成され且つ前記主燃焼室側部分が傾斜したスト
    レート通路に形成されていることを特徴とする請求項1
    に記載の副室式エンジン。
  4. 【請求項4】 前記スワール流減衰手段は前記主燃焼室
    側から前記副燃焼室側へ前記シリンダ軸中心方向に向か
    ってに曲がった螺旋通路に形成されていることを特徴と
    する請求項1に記載の副室式エンジン。
  5. 【請求項5】 前記スワール流減衰手段は前記副燃焼室
    内側の開口縁部に前記主燃焼室から前記副燃焼室への空
    気流が衝突する凸部が形成されていることを特徴とする
    請求項1に記載の副室式エンジン。
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