JP3293019B2 - ディスク基板の成形方法 - Google Patents

ディスク基板の成形方法

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JP3293019B2
JP3293019B2 JP10686295A JP10686295A JP3293019B2 JP 3293019 B2 JP3293019 B2 JP 3293019B2 JP 10686295 A JP10686295 A JP 10686295A JP 10686295 A JP10686295 A JP 10686295A JP 3293019 B2 JP3293019 B2 JP 3293019B2
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    • B29C45/17Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C45/46Means for plasticising or homogenising the moulding material or forcing it into the mould
    • B29C45/56Means for plasticising or homogenising the moulding material or forcing it into the mould using mould parts movable during or after injection, e.g. injection-compression moulding
    • B29C45/561Injection-compression moulding

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  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、改善された構造のディ
スク基板の成形方法に係り、特に品質の改善されたディ
スク基板、なかでも光学ディスクを安定的に、また成形
性良く製造するためのディスク基板の成形方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ディスクの成形方法は、射出成形
方法と、射出圧縮成形方法の二通りの方法がある。一方
の射出成形方法は、可動盤を移動することにより、固定
盤との間で金型の開閉を行うとともに、さらに大きな力
で金型を圧締した状態で製品キャビティ内に溶融した樹
脂材料を射出、充填し、この樹脂材料を所定の冷却時間
をおいて固化し、金型を開いて成形品を取り出す。
【0003】そして、この射出成形方法では、樹脂材料
が金型に充填されても型が開かないだけの型締力が必要
とされており、ディスク基板を成形する場合、例えば、
直径120mmのディスク基板では、40トン以上の型締
力を必要とし、直径300mmのディスク基板では200
トン以上の型締力が必要となる。また、より良い製品を
作るために、作動工程において、例えば、型閉動作の完
了後、増圧し、型締保持圧を維持した状態で、射出充
填、射出保持圧、さらに冷却の各工程を経て一連の成形
サイクルを行うようになっている。また、型締保持圧
を、複数のタイマの設定により、第1型締圧、第2型締
圧、さらに、多段(3〜n回)の型締圧を上下させる制
御を行っている。
【0004】このような従来の射出成形方法において、
CDディスクのように薄い製品を製造する場合、成形条
件の幅が狭く、かつ射出時に上記のように大きな型締圧
力がかかっているために、残留応力による製品の内部ひ
ずみが残り、成形品の複屈折を低減させることが困難で
あり、製品間の良否のばらつきが大きく、歩留りも悪い
という問題点が生じる。
【0005】また、狭いキャビティ内に樹脂を充填する
ために、高射出圧で射出する方法が取られているが、溶
融樹脂の圧力分布を均等にすることができず、成形され
るディスク基板の周縁部に圧力縞ができ、圧力差による
製品の品質がその内周側と外周側との間において、ばら
つき、特に製品の複屈折が±100nm以上となる場合
が多い。このため、金型温度及び樹脂温度を上げること
により樹脂の流動性を高めて射出する方法が取られてい
るが、これも金型温度がその樹脂の熱変形温度付近とな
るので、製品がひねり変形を起こし、ディスクとしての
機能を果たすことができない。
【0006】このように、ディスク基板の成形におい
て、重要な項目としては、転写、複屈折、そりや平面等
の機械的特性の向上が求められるが、ディスク基板のよ
うに薄くて、投影面積の大きい成形において、それら特
性をすべて満足させるのは困難であり、しかも今後ディ
スク基板の応用性が拡大され、仕様値も厳しくなり、将
来的に現在の1.2mm厚みがさらに薄くなる方向であ
り、0.6mm厚のものを貼り合わせて2枚重ねで使用す
る等の利用も検討されている現状では、従来の成形方法
において、要求される仕様に対応した製品を通常の射出
成形で製造することには限界がある。
【0007】他方の射出圧縮成形方法は、樹脂材料の冷
却、固化に伴う収縮を見込んで、予め定められた所定の
コンプレッションストロークだけ金型を開いた状態で、
製品キャビティ内に樹脂材料を射出、充填し、その後、
金型を圧締して樹脂材料を圧縮することによって、残留
応力による複屈折の低減を得るようにしている。
【0008】しかし、この場合、コンプレッションスト
ロークだけ金型を開く装置が必要となり、成形機の価格
が高価になるとともに、その作動時間のために成形品の
サイクルタイムが長くなり、それに伴って生産効率が低
下するという問題点がある。
【0009】このため、特公平3−12530号公報に
記載の射出圧縮成形機では、第1の液圧シリンダにより
金型が型閉めされた状態でキャビティ内に樹脂材料の射
出、充填を行い、樹脂材料の射出圧が可動盤に作用する
時点で、可動盤を押返すための第2の液圧シリンダを含
む押返し手段を作動させて、射出圧による型開き力と押
返し手段の押返し力との作用により、可動盤が第1の液
圧シリンダの型閉め力に抗して固定盤から離間する方向
に押し返され、金型を所定の距離だけ開いて製品キャビ
ティの容積が増加するとともにその製品キャビティにさ
らに樹脂材料が充填されるようになっている。
【0010】この成形方法においては、樹脂材料の射出
に先立って金型を開く必要がなく、第1の液圧シリンダ
による型閉め後、ただちに樹脂材料の射出を行うことが
できるが、その後金型を所定のコンプレッションストロ
ークだけ開いて樹脂の充填が行われた後で金型が圧締さ
れるので、実質的に射出圧縮成形と同程度のサイクル時
間を要し、押返し手段として、金型取付け側に第2の液
圧シリンダ及び一対の離間装置を設ける必要があるの
で、5〜6秒程度の単位サイクルで成形されるディスク
基板の製造を満足させることができない。
【0011】また、特公平2−19774号公報には、
型締力よりわずかに大きな型開力を可動金型に作用させ
る射出一次圧力にて、樹脂材料を製品キャビティ内に射
出し、目的とするディスク基板を形成するのに必要な樹
脂量を製品キャビティに射出せしめたとき、可動金型に
作用する型開力が型締力よりも小さくなる射出二次圧力
に射出圧力を切り換えるようにすることにより、射出さ
れた樹脂材料を型締力にて製品キャビティ内に充填せし
めると共に、かかる充填に伴って、押し出される製品キ
ャビティ内の気体が、スタンパ押え部材の内側面と固定
金型側の段部立ち上り壁面との間の隙間から排出される
ようにしたことを特徴とするディスク基板の射出成形方
法が提案されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
成形方法は、型閉完了後に、増圧して型締圧力をある圧
力まで上昇させて型締圧力の制御を行う方法であり、ま
た、射出圧縮成形では、射出充填後、射出保持圧をかけ
ながら型締圧力を上げたり下げたりする方法であるた
め、圧力変動および油圧回路の圧力制御弁の制御精度の
影響を受けていた。
【0013】さらに、上記公報に係る発明においても、
圧力制御のコントロールを正確に行う必要があり、型開
力としての射出一次圧及び二次圧と、型締力との圧力バ
ランスの調整が難しい場合がある。
【0014】したがって、このような成形方法では、射
出圧力の制御が難しく、ディスクの板厚が0.6mmの
ように薄い基板成形において、複屈折を仕様値内に保つ
には型温を樹脂の熱変形温度近く(ポリカーボネート樹
脂で120℃以上)にセットし、しかも冷却時間を長く
とる必要がある。しかし、この場合でも、でき上がった
成形品の複屈折は、ダブルパスで60〜80nmの範囲内に抑
えるのが限界であり、しかもその製品のチルト(基板の
レーザー光入反射部分の微小なソリ)等の機械的特性
は、規格値をかなり越えてしまう。また、ディスク成形
においては、今後、高密度ディスクの規格がもっと厳し
くなるとの状況下にある。
【0015】このような事情に鑑みて、本発明の目的
は、樹脂及び金型の温度を高温に保持することなく、良
好な複屈折が得られるようにしたディスク基板の成形方
法を提供することであり、また、成形のサイクルタイム
を短くして機械的特性を向上させたディスク基板を製造
する方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の本発明のディスク基板の成形方法は、成
形機の可動盤と固定盤に、ディスク基板用金型の可動金
型と固定金型をそれぞれ取付け、型締シリンダを介して
前記可動盤を移動する型閉動作により、前記可動金型が
固定金型に対して0〜0.5mmの予め定められた距離
まで移動した際に、射出装置のノズルから前記ディスク
基板用金型のキャビティ内に充填される溶融樹脂の射出
を開始し、前記可動金型が固定金型に当接したことを検
出して、前記型締シリンダの型締側に供給する油圧を調
整して型締力が定格型締力の略10〜40%に相当する
予め定めた値を維持するようにし、射出工程終了後、前
記型締シリンダの型締側に供給する油圧を昇圧して、1
段または複数段の型締圧力制御を行うと共に、キャビテ
ィ内の溶融樹脂の冷却工程を行うようにしたことを特徴
としている。
【0017】また、請求項2の構成において、型締シリ
ンダにブースターラムを付加した型締装置を用いて、ブ
ースターラムのみによる型締力を下限とし、さらに、型
締シリンダに供給する調整油圧を加えた上限の型締力が
定格型締力の略40%に相当する値である設定範囲の予
め定めた型締力を維持するようにしている。
【0018】また、請求項3の構成において、射出充填
時において、射出装置における加熱筒内のスクリュは、
その移動可能限界まで前進し溶融樹脂のクッション量を
なくして、一定量の溶融樹脂を射出することを特徴とし
ている。
【0019】
【作用】本発明によれば、まだ型締力が働いていない型
閉動作の完了直前、もしくは型閉完了時、すなわち、所
定の金型の開き量が0〜0.5mmの所定値まで達した
際に、射出工程が開始されて、キャビティ内に溶融樹脂
が充填される。
【0020】これにより、この射出の開始時には型締力
が作用しておらず、しかもその後の射出工程の動作中に
おいて、可動金型が固定金型に当接したことを検出した
信号に基づいて型締力が定格型締力の略10〜40%に
相当する予め定めた値に維持され、さらに、射出工程終
了後に所定の型締圧力に昇圧される。
【0021】この結果、射出充填の際には、キャビティ
内の溶融樹脂に均等な圧力分布がかかるので、できた製
品は、複屈折が良好となる。そして、この場合、極めて
低い型締圧力によりキャビティ内の溶融樹脂の流動性が
抑えられることがなく、金型温度及び樹脂温度を高くす
る必要がなくなり、製品が0.6mmの厚さであっても
製品の内部ひずみが緩和される。
【0022】また、射出充填時には、型締力が定格型締
力の略10〜40%に相当する予め定めた値となるた
め、型締力と射出圧とのバランスにより、その移動可能
限界まで前進させることが可能となり、樹脂のクッショ
ン量をなくすので、キャビティに充填される射出量の計
量が確実となるため、金型の開き量を安定させることが
できる。
【0023】
【実施例】本発明の成形方法の実施例を説明する前に、
図1ないし図3に基づいて、この成形方法が用いられる
従来のディスク金型とこの金型を取り付ける成形機につ
いてその構造を簡単に説明する。
【0024】ビデオディスク、コンパクトディスクのよ
うな光学ディスク等を製作するディスク金型は、図1に
示すように可動金型1と固定金型2にて形成される製品
キャビティ3内に所定のスタンパ4を配置し、このスタ
ンパ4の内周縁と外周縁をそれぞれスタンパ押えリング
5,6で固定するようになっている。また、スタンパの
表面4aには、記録情報データをディスクに転写させる
ために、らせん状あるいは同心円状に凹凸のピットが形
成されている。
【0025】また、上記キャビティ3内へのスタンパ4
の取付けは、通常、ドーナツ形状をなすスタンパの内周
縁部分において、それが適当な固定手段にて可動金型1
に固定せしめられるとともに、その外周縁部は、図1に
示すようなスタンパ押えリング6にて拘束され、また、
固定金型2の鏡面板7とスタンパ表面4aとの間のキャ
ビティ内に、所定の樹脂材料が充填されるに際して、押
し出されるキャビティ内のガスを外部に排出するための
ガス抜き部8が、スタンパ押えの角度αが約7°で所定
の間隙をもって形成されている。
【0026】本発明の成形方法で使用する金型では、好
ましくは、キャビティ内に溶融樹脂を充填する際のガス
抜き対策として、スタンパ外周縁に設けたスタンパ押え
リングのスタンパ押えの角度α(図1参照)を従来の7
°から3.5°に変更する工夫が講じられており、これ
により、バリの発生を抑制することができるようになっ
ている。
【0027】図2は、本方法を実行するために使用され
る従来の成形機における型締装置と加熱筒の基本機構図
であり、図3は他の型締装置の構造を示す断面図であ
る。
【0028】図2において、射出成形機の型締装置は、
タイバー9の前端部に固定盤10を取付け、タイバーの
後端部に型締シリンダ11が固定され、油圧により駆動
される型締シリンダ11の型締ラム12により、タイバ
ー上を摺動する可動盤13を固定盤10に対して離間接
近させるものであり、この可動盤13に可動金型1が取
付けられ、固定盤10に固定金型2が取付けられる。
【0029】そして、この型締装置に型締油圧を供給す
るために、油圧源40と型締シリンダのポート14aと
を結ぶ管路にサーボバルブ41が設けられている。この
サーボバルブ41は、閉ループによるフィードバック制
御により駆動されるもので、型締力設定器42に設定し
た油圧設定値と、型締シリンダ11の油圧を検出する圧
力検出器43のフィードバック信号とを比較器44で比
較して、その差信号を増幅器45でPID演算するとと
もに電流信号に変換してサーボバルブ41に出力する回
路構成を備えている。
【0030】このサーボバルブ41の作動により、型締
動作が行われ、また、図示していない油圧供給装置から
の油圧を型締シリンダ11のポート14bに供給して、
型締ラム12を後退させて金型の型開動作を行う。
【0031】一方、射出装置は、加熱筒15内にスクリ
ュ16を配置して、溶融樹脂を混練しながらスクリュ前
端部16a側に所定の樹脂量を供給してスクリュ16を
後退させ、固定金型のスプルブッシュ前面に突き当てら
れるノズル17を介して金型のキャビティ内に溶融樹脂
を射出充填するものである。
【0032】また、図3の他の型締装置は、型締シリン
ダ20にブースターラム21を備えた型締装置で、型締
シリンダ20に可動盤13に連結されている型締ラム2
2を摺動自在に配置するとともに、ブースターラム21
の一端側を型締ラム22の中心孔内に挿入し、他端側を
型締シリンダ20の後部から突出させて、型締シリンダ
内に供給される油圧とは別にブースターラム21の後端
部のポート23から油圧を供給して型締ラム22を押圧
し、可動盤13を高速で型閉動作する構造となってい
る。
【0033】このブースターラム式型締装置において
も、上述のサーボバルブ41によるフィードバック制御
が行われる。すなわち、ブースターラム21のポート2
3は油圧源24に接続された管路が接続され、型締シリ
ンダ20における型締ラム22の後側ポート25は逆止
弁26を介してタンクに通じ、油圧源24からの管路と
型締シリンダ20の型締用ポート27を結ぶ管路にサー
ボバルブ41が配置され、このサーボバルブ41は型締
力設定器42からの油圧設定値とポート27の型締シリ
ンダ油圧を検出する圧力検出器43からの信号とを比較
し、その差信号をPID演算を行う増幅器45を介して
得られた電流信号により閉ループで制御される。
【0034】なお、本実施例では、上記のような型締装
置を用いているが、他の形式、例えば、サイドシリンダ
式型締装置、増圧シリンダ式型締装置等を利用すること
もできる。また、型締装置の制御にサーボバルブによる
フィードバック制御を行うことにより、最適な製品を得
るようにしているが、従来の電磁リリーフバルブを用い
ることも可能である。
【0035】次に、上述の金型及び成形機を使用して、
本発明の成形方法を説明する。図4は本発明に係る一実
施例のディスク基板の成形方法の過程を説明するための
作動手順工程図である。
【0036】ディスク基板の成形は、射出成形機の可動
盤13と固定盤10に、ディスク基板用金型の可動金型
1と固定金型2をそれぞれ所定位置に取付ける本発明の
第1ステップである準備作業から始まる。
【0037】そして、この準備作業には、金型が閉じら
れ密着した際にリミットスイッチもしくは後述の位置検
知手段により型閉動作完了位置等を定める型閉位置の調
整、さらに、成形作業に合わせて、予め加熱筒15内の
溶融樹脂を設定温度に加熱し、また金型が所定の金型温
度に維持されるように、操作盤上の温度、圧力等の設定
や金型温調機の温度管理が含まれる。
【0038】このような準備作業の後、図4および図5
で示すように、本発明の第2,3ステップである型閉動
作と射出充填が行われる。すなわち、第2ステップにお
いて、型締シリンダ11に油圧を供給して可動盤13を
固定盤10に接近する方向に移動し、可動金型1と固定
金型2を合わせる型閉動作を進行させ、型閉高速に続く
型閉低速の完了直前、もしくは型閉完了時のまだ型締力
が働いていない型閉動作位置、すなわち、可動金型を固
定金型に対して0〜0.5mmの予め定められた距離に
移動させる。そして、第3ステップにおいて、加熱筒内
のスクリュ16により一定量の溶融樹脂を、射出装置の
ノズル17からディスク基板用金型のキャビティ内に射
出充填する射出工程を開始する。
【0039】したがって、第2ステップでは、型閉動作
完了位置を0とした場合、その直前0〜0.5mmの位
置の予め定めたスケール位置は、金型の開き量が0〜
0.5mmの範囲であることと対応している。そして、
図2に示すように、このスケール位置を、センサ30で
検知し、かつその検知信号を位置設定比較装置31とし
てのアンプを介して成形機の制御装置に送るようになっ
ている。これにより、金型の開き量の位置制御が容易に
行われる。本発明の実施例では、そのスケール位置は、
0.15mm〜0.2mmの位置が望ましい。
【0040】このような位置検知手段は、例えば、上記
のセンサ30,アンプ31、スケール32から構成され
る磁気式測長装置(商品名:ソニーマグネスケール)、
あるいはエンコーダ、ポテンショメータ等を使用するこ
とが可能である。
【0041】ここで、第3ステップにおける射出充填の
開始は、上記予め定められた距離(スケール位置)まで
可動金型が固定金型に移動した際に生じるものであり、
本実施例のように、型閉動作中に射出を行うことも、ま
た、型閉動作完了時に作動することも可能である。さら
に、溶融樹脂の射出充填は、可動金型と固定金型が当接
した時点から計時する射出開始タイマの計時完了後に行
うようにすることもできる。
【0042】特に、本発明において重要なのは、正規の
型締力が作用しない時点で射出充填を開始させることで
あり、射出工程中は、型締力が定格型締力の略10〜4
0%に相当する予め定めた値となっている第4ステップ
の状態にあることである。なお、ここで、定めた数値範
囲における下限(10%)及び上限(40%)はそれぞ
れ±数%の誤差を含むものとする。
【0043】この型締力を定格型締力の略10〜40%
相当で成形が可能になる理由は、従来の射出圧縮成形で
は、金型キャビティ内の平均樹脂圧が100〜200k
g/cm2 で金型が開くようにこの型締力を設定してい
たのに対し、本発明では、型締力を低く抑えて、金型キ
ャビティの平均樹脂圧が100kg/cm2 以下で射出
可能となったためである。
【0044】この第4ステップにおいて、型締シリンダ
の型締側に供給する油圧を調整して、型締力が定格型締
力の略10〜40%に相当する予め定めた値を維持する
ための方法を以下に説明する。
【0045】本発明の方法に使用する成形機の型締シリ
ンダに140kg/cm2 の油圧がかかっている場合、
定格型締力は、計算で求めると25トンとなる。このた
め、定格型締力が25トンの成形機において、定格型締
力の40%は10トンになり、この場合の供給油圧は1
40×0.4=56kg/cm2 となる。また、10%
の型締力に設定するためには、型締力は2.5トンとな
り、この場合の供給油圧は140×0.1=14kg/
cm2 となる。このようにして、簡単に型締シリンダの
型締側に供給する油圧を調整することにより、型締力を
定格型締力の略10〜40%に相当する設定範囲の予め
定めた値に維持することができる。
【0046】この第4ステップでは、図4に示すよう
に、可動金型が固定金型に当接した時、すなわち、型閉
完了時に、第1タイマが作動する。そして、この型閉完
了時には上述の位置検知手段により可動金型が固定金型
に当接したことを感知した信号に基づいて、供給油圧回
路の制御弁が作動するので、この制御弁の切換速度及び
油温の影響により定まる所定の時間の経過後に、型締シ
リンダを介して、型締力が定格型締力の略10〜40%
に相当する予め定めた状態になる。そして、第1タイマ
が計時中では、この型締力が維持され、この第1タイマ
作動時間内に、第3ステップの溶融樹脂の射出充填およ
び射出保持圧の工程が終了する。
【0047】また、本実施例では、射出充填の開始後
に、型締力が定格型締力の略10〜40%に相当する予
め定めた状態になるようにしているが、これを、可動金
型と固定金型が当接する時点、すなわち型閉完了と同時
に計時する射出開始タイマ(図示略)を作動させて、所
定の設定時間の間(例えば、0.1秒)、型締油圧が所
定の設定値まで上昇するのを待って射出充填をこのタイ
マの計時完了後に行うようにすることもできる。
【0048】この場合、図3に示すように、型締ラム2
2とブースターラム21を備えている形式の型締装置で
は、メインの型締シリンダ20への供給油圧をサーボバ
ルブ41から供給し、ブースターラム21には最大供給
油圧を供給する。そして、この実施例では、ブースター
ラム21にかかる油圧のシリンダ面積が型締ラム22に
かかる油圧のシリンダ面積のほぼ10%以下で、ブース
ターラムに140kg/cm2 の油圧をかけると、約
2.27トンの型締力となり、さらに、サーボバルブ4
1により型締シリンダ20に48kg/cm2 の油圧を
かければ、ブースターラム21と型締ラム22との合計
の型締力が10トンにすることができ、ブースターラム
21と型締ラム22の一方もしくは両方への油圧供給、
すなわち、型締シリンダの型締側に供給する油圧を調整
して、型締力を略10〜40%に相当する範囲に定める
ことができる。
【0049】また、図3に示すブースターラム21で型
閉中は、型締シリンダ20にはタンクからの作動油が逆
止弁26を経由してポート25から吸引される。そし
て、型閉動作が完了すると、型締シリンダ20への作動
油は、サーボバルブ41を介して型締用ポート27から
供給され、閉ループのフィードバック制御系により制御
されるようになっている。
【0050】こうして、本発明では、射出工程終了まで
供給油圧を調節して定格型締力の略10〜40%に相当
する範囲で型締力を低圧に保持することができる。
【0051】以上説明した第4ステップは、第1タイマ
がタイムアップすると終了して、次の第5ステップが開
始される。すなわち、第1タイマの計時後、第2タイマ
が作動して増圧工程が開始され、第1型締を行うために
型締油圧を昇圧する。また、第2タイマの作動と同時も
しくはその前に完了する射出保持圧工程を含む射出工程
終了後に続く冷却工程が開始される。
【0052】そして、好ましくはさらに、第2タイマの
計時動作後に続く第3〜第nタイマの各計時中に、1段
または複数段の型締力制御を行うと共に、キャビティ内
の溶融樹脂の冷却工程を行うようになっている。この冷
却工程により、キャビティの片面に露出したスタンパ表
面4a(図1参照)の情報を固化される樹脂材料に転写
してディスク基板が成形される。
【0053】本実施例では、射出充填時における加熱筒
内のスクリュ16は、機械的に移動可能限界、すなわ
ち、スクリュ先端部16aが微小な間隙をもってノズル
内端部17a(図2参照)に突き当てられて溶融樹脂の
クッション量をなくすまで前進する。このため、金型の
キャビティへの樹脂充填量より多く射出されると金型は
より多く開くことになるので、その開き量は、射出スト
ロークで加減する。ここでは、射出充填された金型の型
開き量が、0.5mm以下、好ましくは0.15〜0.
2mmとなるように一定量の溶融樹脂が射出される。
【0054】次に、樹脂を固化するための冷却工程は、
射出充填完了とともに開始され、第1タイマの計時終了
後型締工程が始まる。通常、射出充填後、約0.2秒後
に冷却工程と同時進行の形で型締工程を始める。型締工
程は、初め型締増圧があり、第1型締圧が第2タイマの
設定時間の間で維持される。次に第3タイマの設定時間
で、第1型締圧より設定圧力を下げて第2型締動作が行
われる。さらに第4ないし第nタイマを用いて、多段階
の第3〜第n型締動作を続行することもできる。
【0055】本実施例では、図5に示すように、第1型
締油圧は110kg/cm2 であり、第2型締油圧は、
60kg/cm2 と設定され、2段階の型締動作であ
る。なお、型締油圧140kg/cm2 で型締力25ト
ンとなる。また、タイマの設定時間は、第1タイマが
0.3秒、第2タイマが1.6秒、第3タイマが1.0
秒である。
【0056】また、金型位置が0.2mmに到達したと
き射出開始し、射出時の型締力がほぼ10型締力がほぼ
10%の条件において、溶融樹脂を射出する射出装置の
射出速度及び射出圧力が、図5の下部に示されており、
射出速度は4段で、射出圧力は3段である。射出一次圧
1 における射出速度V1 ,V2 ,V3 は、それぞれ、
最大速度(99%で最大速度)となるように設定され、
4 はこの最大速度の14%に設定し、さらに射出保持
圧のP2 ,P3 では最大速度の13%に設定されてい
る。
【0057】また、射出一次圧P1 、射出保持圧のP
2 ,P3 は、初めから終わりまで圧力設定値が設定器の
最大値を示す最大状態に維持されており、各設定時間
は、順次0.16秒、0秒、0.02秒に設定されてP
2 の射出二次圧をなくして射出圧は2段で行うようにし
ている。なお、上記設定条件は、樹脂材料がポリカーボ
ネート樹脂で、型温は115度、射出充填された金型の
型開き量が0.15mm〜0.2mmである。
【0058】このような構成によって、従来の型締油圧
が繰り返し精度が悪い電磁リリーフバルブで制御されて
いるために型締力のわずかな差が品質に影響を与えてい
たのに比べ、本発明は、機構上繰り返し精度がよいサー
ボバルブを用い、かつ閉ループで制御して低圧の型締力
を得ているので、ディスクの厚さに関係なく極めて安定
した品質のディスク成形品を得ることができる。
【0059】この低圧の型締力は、上述したように約1
0トン以下であるが、型締力2.27トンでの成形によ
る複屈折のデータ(曲線A)は、図6に示すように、従
来の成形方法に比較し非常に良い結果が得られた。
【0060】図6は、ディスクの板厚が0.6mmで、
直径が120mmの場合における、本発明と従来の成形
方法における複屈折の測定データをプロットしたもので
ある。曲線Aは本発明の場合で、その条件は、型温10
0〜110℃、成形サイクル3.5秒、変形なしであ
り、曲線Bは、従来の射出成形の場合で、その条件は、
型温140℃、成形サイクル15.0 秒、変形あり、
曲線Cは、射出圧縮成形の場合で、その条件は、型温1
30℃、成形サイクル15.0秒、変形わずかにあり、
とのデータが得られた。
【0061】この本発明の成形方法では、射出した樹脂
圧に抗して可動金型が0.15mm〜0.2mm開いた
とき良好なディスク成形品が得られた。また、曲線Aで
は、複屈折が両端で負方向に偏位しているが、これは、
キャビティ内で樹脂が十分先端部までまわって充填され
ていることを示しており、これは、ディスク成形品の形
状に関するそりや平面及び強度等の機械的特性が優れて
いることを証明している。
【0062】図7及び図8は、従来成形と本実施例の成
形による反り特性の測定結果を示すものであり、図7の
従来例では、射出時の型締力が50%の場合であり、デ
ィスク半径位置20〜40mmにおいて、反り角度が−
1°〜+1.5°の範囲で変動している。これに対し
て、図8の本実施例では、金型密着時の射出開始型締力
は10%に設定されており、その反り特性は、従来成形
の場合と同様のディスク半径位置において、ほとんど変
化がないことが示されている。
【0063】このような結果から、型締力を定格型締力
の略10〜40%相当に設定することが適切であること
が推測されるが、型締力は、型締ラムのパッキン類の抵
抗等によっても変化するので、実際の金型に作用させる
型締力の数値範囲を定量的に決めることは難しい。
【0064】なお、本実施例では、型締力が、ブースタ
ーラムのみが作用する場合の2.27トン(定格型締力
の約9%)より小さいと型開き量が大きくなり過ぎ、そ
れを射出工程後の型締で押圧してつぶすため、スタンパ
により転写されるビットのずれが大きくなり、いわゆる
転写性が悪くなる。逆に射出時の型締力が大きければ型
開き量が小さく、圧縮成形の効果が得られず、複屈折が
大きくなると考えられる。
【0065】型閉位置の検出は、リミットスイッチ、近
接スイッチ等の場合は、射出開始用と金型当接用をそれ
ぞれ有し、エンコーダ、ポテンショメータ、磁気検出器
等の場合は、射出開始用と金型当接用さらには、型開閉
速度の切換え位置用をも含んで構成することができる。
【0066】さらに、射出をクッションなしで行うのが
実施例では良好であったが、クッションありの従来の成
形つまりP2 ,P3 の射出保持圧力を極力低くして充填
から射出保持圧力に切り換えたスクリュ位置において、
押し残しを設けることも可能である。
【0067】このように、本発明の実施例によれば、型
締力が定格型締力の略10〜40%に相当する状態で、
射出充填を行い、さらには、スクリュを加熱筒内の溶融
樹脂のクッション量をなくすように押し切ることで、射
出装置の圧力制御でクッション量をコントロールする必
要がなくなり、射出量を極めて安定にさせることがで
き、射出保持圧P2 ,P3 を下げる圧力制御弁の作動も
必要がなくなるので、射出圧は初めから終わりまで、圧
力設定器の目盛が最大状態のままで良く、圧力制御弁の
精度に依存することなく、高精度に一定量の射出充填が
可能であり、射出速度の変化だけで対応できる。
【0068】また、本発明の実施例によれば、型閉動作
の完了前に射出充填を開始できるので、その分、サイク
ルタイムを短縮することができ、さらに、成形サイクル
の冷却時間は、図5から明らかなように、0.2 秒+1.6
秒+1.0 秒=2.8 秒であり、従来、同等の成形品を得る
のに最低でも7秒かかっていたのに比較して短縮されて
いる。
【0069】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明のディスク基板の成形方法によれば、超薄型のデ
ィスクが樹脂の熱変形温度よりかなり低い型温で、良好
な複屈折を得ることができ、転写や機械特性も規格をク
リアし、ショット間のばらつきも従来よりはるかに向上
させることができる。また、成形サイクルに関して、本
発明によれば、型閉動作中に射出を開始することが可能
となり、低圧の型締力の作用と射出時の樹脂圧の低下に
伴なって冷却時間を短縮できるので、全体の成形サイク
ルをさらに短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る成形方法に使用するディスク金型
の要部を示す断面図である。
【図2】本発明の成形方法を実行するための成形機の要
部を示す構成図である。
【図3】他の型締装置の要部を示す構成図である。
【図4】本発明に係るディスク基板の成形方法を示す作
動工程図である。
【図5】図4に係るディスク基板の成形方法における型
締動作と射出動作のタイム経過における圧力及び速度の
設定値を示す作動状態図である。
【図6】本発明の成形方法と従来例の2つの成形方法に
よって、各々得られた測定データをプロットしたグラフ
図である。
【図7】従来成形による反り特性を示す図である。
【図8】本発明の実施例の成形による反り特性を示す図
である。
【符号の説明】
1 可動金型 2 固定金型 3 キャビティ 10 固定盤 11,20 型締シリンダ 12,22 型締ラム 13 可動盤 14a,14b ポート 15 加熱筒 16 スクリュ 17 ノズル 21 ブースターラム 23,25,27 ポート 24,40 油圧源 26 逆止弁 30 センサ 31 位置設定比較装置 32 スケール 41 サーボバルブ 42 型締力設定器 43 圧力検出器 44 比較器 45 増幅器
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−237894(JP,A) 特開 平3−153330(JP,A) 特開 平4−62128(JP,A) 特開 昭62−109618(JP,A) 特開 昭61−22917(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/46 - 45/82 B29C 43/02 - 43/20 B29C 43/32 - 43/42 B29C 43/58 B29D 17/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】成形機の可動盤と固定盤に、ディスク基板
    用金型の可動金型と固定金型をそれぞれ取付け、 型締シリンダを介して前記可動盤を移動する型閉動作に
    より、前記可動金型が固定金型に対して0〜0.5mm
    の予め定められた距離まで移動した際に、 射出装置のノズルから前記ディスク基板用金型のキャビ
    ティ内に充填される溶融樹脂の射出を開始し、 前記可動金型が固定金型に当接したことを検出して、前
    記型締シリンダの型締側に供給する油圧を調整して型締
    力が定格型締力の略10〜40%に相当する予め定めた
    値を維持するようにし、 射出工程終了後、前記型締シリンダの型締側に供給する
    油圧を昇圧して、1段または複数段の型締圧力制御を行
    うと共に、キャビティ内の溶融樹脂の冷却工程を行うよ
    うにしたことを特徴とするディスク基板の成形方法。
  2. 【請求項2】成形機の可動盤と固定盤に、ディスク基板
    用金型の可動金型と固定金型をそれぞれ取付け、 ブースターラムを介して前記可動盤を移動する型閉動作
    により、前記可動金型が固定金型に対して0〜0.5m
    mの予め定められた距離まで移動した際に、 射出装置のノズルから前記ディスク基板用金型のキャビ
    ティ内に充填される溶融樹脂の射出を開始し、 前記可動金型が固定金型に当接したことを検出して、前
    記ブースターラムのみによる型締力を下限とし、さら
    に、型締シリンダの型締側に供給する調整油圧を加えた
    上限の型締力が定格型締力の略40%に相当する値であ
    る設定範囲の予め定めた型締力を維持するようにし、 射出工程終了後、前記型締シリンダの型締側に供給する
    油圧を昇圧して、1段または複数段の型締圧力制御を行
    うと共に、キャビティ内の溶融樹脂の冷却工程を行うよ
    うにしたことを特徴とするディスク基板の成形方法。
  3. 【請求項3】射出充填時において、射出装置における加
    熱筒内のスクリュは、その移動可能限界まで前進し溶融
    樹脂のクッション量をなくして、一定量の溶融樹脂を射
    出することを特徴とする請求項1または2のディスク基
    板の成形方法。
  4. 【請求項4】型締シリンダの油圧を調整する手段がサー
    ボバルブであることを特徴とする請求項1ないし3のい
    ずれかに記載のディスク基板の成形方法。
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