JP3288328B2 - ビタビ復号器のトレースバック処理の高速化装置およびその高速化方法 - Google Patents

ビタビ復号器のトレースバック処理の高速化装置およびその高速化方法

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JP3288328B2 JP06194399A JP6194399A JP3288328B2 JP 3288328 B2 JP3288328 B2 JP 3288328B2 JP 06194399 A JP06194399 A JP 06194399A JP 6194399 A JP6194399 A JP 6194399A JP 3288328 B2 JP3288328 B2 JP 3288328B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビタビ復号器のト
レースバック処理時に溯るべき状態遷移履歴の数を削減
することにより、トレースバック処理の高速化を図るビ
タビ復号器のトレースバック処理の高速化装置およびそ
の高速化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビタビ復号は畳み込み符号に対する最尤
復号法の一般的なアルゴリズムの一つであり、誤り訂正
能力が高いことから、通信分野において多く使用されて
いる。従来、ビタビ復号装置は専用LSIやデジタルシ
グナルプロセッサで構成されることが多かったが、近年
のマイクロプロセッサの高性能化にともない、マイクロ
プロセッサ上のソフトウェアとして実現することも可能
となってきている。それに伴い、処理性能の高速化がよ
り重要となっていた。
【0003】ここで、図面を参照しながら従来のビタビ
復号器について説明する。
【0004】図15は、従来のビタビ復号器30の構成
例を示す図である。図15に示すように、従来のビタビ
復号器30は、点線で示す前段の畳み込み符号器20か
ら受信したデータをもとに前時刻の状態から現時刻の状
態に至るすべてのパスについて、そのブランチメトリッ
クスを算出し出力するブランチメトリック処理部31
と、ブランチメトリック処理部31で算出されたブラン
チメトリックと、与えられたパスメトリックにより現時
刻の各状態へ至るパスの中から最も尤もらしいパスを選
択し、そのパスが選択された場合の復号データ候補32
b、更新されたパスメトリック32cを出力し、デコー
ドデータメモリ15に復号データ候補と前時刻の復号デ
ータ候補を同一の行に格納できない場合は、状態遷移履
歴32aを記憶するパスメモリ33に状態遷移履歴32
aを追加記憶させるACS(Add-Compare-Select)処理部
32と、復号データ候補32bを記憶するデコードデー
タメモリ34と、更新されたパスメトリック32cを記
憶し、これをACS処理部32へ供給するパスメトリッ
クメモリ35と、パスメトリックメモリ35に記憶され
ているパスメトリックから、現在の時刻において最も尤
もらしいパスを推定し、パスメモリ33中の状態遷移履
歴を溯れるトレースバック処理部36と、から構成され
ている。
【0005】なお、ブランチメトリックとパスメトリッ
クについては後述する(1)ブランチメトリック処理と
(2)ACS処理で詳述する。
【0006】それでは、畳み込み符号器20および従来
のビタビ復号器30の各部の処理について以下に説明す
る。
【0007】(1)畳み込み符号器 ビタビ復号器は畳み込み符号の復号法の一つである。そ
こで、まず畳み込み符号器について説明する。図16
は、拘束長3、符号化率1/2の畳み込み符号器20の
構成例である。図16より畳み込み符号器20は3個の
レジスタb0〜b2から構成されるシフトレジスタ21
と各レジスタb0〜b2出力を入力する排他的論理和ゲ
ート22,およびb0,b2を入力する排他的論理和ゲ
ート23により構成されることがわかる。畳み込み符号
器20に1ビットの入力がある度に時刻がt0,t1,t
2,…と進むものとすると、畳み込み符号器20では、
各時刻ごとにOut1,Out0の2ビットの出力が得
られる。
【0008】なお、拘束長とは、畳み込み符号器20の
シフトレジスタ21の段数(図16に示されている例で
は3段)のことであり、拘束長が長ければ長いほど復号
精度が向上する。また、符号化率とは、入力ビット数に
対する出力ビット数の割合(入力ビット数/出力ビット
数)のことである。
【0009】畳み込み符号器20の出力はシフトレジス
タ21内のビット(b1,b0)の内容と、入力データ
により決定される。このときシフトレジスタ21内のビ
ット(b1,b0)の組み合わせを状態と考えると、拘
束長3の畳み込み符号器20はs0=(0,0),s1
=(0,1),s2=(1,0),s3=(1,1)の4
つの状態をとることができ、出力は畳み込み符号器20
の状態と入力データにより決定される。各状態におけ
る、入力データと出力符号および次の時刻に遷移する状
態の関係を図17に示す。
【0010】各時刻における状態とそこから遷移可能な
状態を結ぶと図18のようになる。図18のように遷移
元の状態と遷移先の状態を結んだ図はトレリス線図と呼
ばれる。図18中では入力データが0のときの遷移を点
線で、入力データが1のときの遷移を実線で示してあ
る。図18より、入力データによって、遷移先の状態が
定まることがわかる。
【0011】なお、図18中に記載された00,01,
10,11の2桁の数字は、状態が遷移したときに出力
される符号である。
【0012】s0〜s3の状態とも入力値によりそれぞ
れ2つの状態に遷移することができる。例えば、時刻t
0で、状態s0のときに“0”が入力すると、時刻t1
における出力は00になり、“1”が入力すると、出力
は11になる。時刻t0、状態s0から開始して時刻t
0で1,t1で0,t2で1,t3で0,t4で1,t
5で0というふうに“1”と“0”が交互に入力したと
すると、各時刻における出力は、t1で状態s1に遷移
し出力は11、t2で状態s2に遷移し出力は01,t
3で状態s1に遷移し出力は11,t4で状態s2に遷
移し出力は01,t5で状態s1に遷移し出力は00と
なる。また、極端な場合であるが、時刻t0〜t5です
べて“0”が入力するとその出力はすべて00となり、
“1”が入力するとその出力は11100101010
1となる。
【0013】(2)ビタビ復号器 上述のように、畳み込み符号器20では入力データによ
って遷移先の状態が定まる。これは逆にいえば、状態遷
移がわかれば、畳み込み符号器20の入力データがわか
るということである。ビタビ復号器30は畳み込み符号
器20の出力符号を受信して、畳み込み符号器20の状
態遷移を推定し、復号データ(畳み込み符号器20の入
力)を得るものである。
【0014】ビタビ復号器30は、図15に示したよう
に、ブランチメトリック処理部31、ACS処理部3
2、パスメモリ33、デコードデータメモリ34、パス
メトリックメモリ35、トレースバック処理部36と、
から構成され、各部位に対応したブランチメトリック処
理、ACS処理、復号データの格納処理、トレースバッ
ク処理が行われる。
【0015】ブランチメトリック処理のフローチャート
を図20に、ACS処理のフローチャートを図23に、
復号データの格納処理のフローチャートを図25に、ト
レースバック処理のフローチャートを図28に示す。ま
た、以下では具体例として、現在の時刻をt4とし、時
刻t4においてビタビ復号器30が受信データとして0
0を受け取った場合を例にとり説明を行う。なお、前時
刻t3までの処理により、図19に示すように生き残り
パス、パスメトリックメモリ35、デコードデータメモ
リ34、パスメモリ33が構成されていると仮定する。
【0016】(2.1)ブランチメトリック処理 ブランチメトリックとは、2元対称通信路あるいは自己
ガウス白色通信路における受信系列と符号系列のハミン
グ距離あるいはユークリッド距離を求めるために用いら
れる。ブランチメトリックは、そのパスの尤もらしさを
表す値であり、ブランチメトリックが小さいほど、畳み
込み符号器20においてそのパスがたどられた可能性が
高いことを示す。ブランチメトリックは、上述した通信
路の種類によってその算出方法が異なるが、本例におい
ては、受信データと、パスがたどられた場合の出力符号
とのハミング距離で表される。ハミング距離とは、ビッ
ト列の同一ビット位置ごとに比較を行った際の異なるビ
ット数の総和である。
【0017】ここで、ハミング距離の算出方法について
簡単に触れる。
【0018】二つの符号uとvの間のハミング距離は、 dH=(ui,vj)={0(u=v),1(u≠v)}……………………( 1) で表される。
【0019】例えば、u=101100,v=0001
10とすると、uとvは1,3,5番目が異なっている
ので(1)式よりハミング距離は3となる。
【0020】ブランチメトリック処理について、図2
0,図21,図22を参照して説明する。
【0021】ビタビ復号器30において復号処理が開始
されると、まず、ブランチメトリック処理部31に受信
データ(畳み込み符号器20の出力符号)が渡される
(ステップS400)。ブランチメトリック処理部31
では、前時刻の状態から現時刻の状態へ至るパスを一つ
選択し(ステップS401)、ブランチメトリックを算
出する(ステップS402)。ブランチメトリックは、
前時刻の状態から現時刻の状態へ遷移可能なすべてのパ
スについて算出される(ステップS403)。
【0022】具体例として、時刻t3における状態s0
から時刻t4における状態s0への遷移を挙げると、図
21のトレリス線図例より状態s0から状態s0へ遷移
する場合の出力符号は00となることがわかる。時刻t
4における受信データが00である場合は、出力符号と
受信データのハミング距離は0となり、ブランチメトリ
ックも0となる。同様に、時刻t3における状態s2か
ら時刻t4における状態s0への遷移で考えると、状態
s2から状態s0へ遷移した場合の出力符号は11とな
るので受信データが00である場合のハミング距離は
2、ブランチメトリックも2となる。時刻t4において
00を受信した場合の各パスのブランチメトリックを図
22に示す。
【0023】(2.2)ACS処理 ACS処理では、パスメトリックを算出しているが、パ
スメトリックとは、ブランチメトリック処理で算出した
ブランチメトリックの累積和であり、各状態へ至るパス
の尤もらしさを表す値である。
【0024】 Y=(u1,v1)+(u2,v2)+…(ui,vj)………………(2) ACS処理について、図23,図24を参照して説明す
る。
【0025】ブランチメトリック処理部31において、
遷移の可能性のあるすべてのパスについてブランチメト
リックが算出されると、算出されたブランチメトリック
はACS処理部32に出力され、ACS処理が行われ
る。ACS処理は現時刻の各状態に至るパスの尤もらし
さを比較し、各状態へ至るパスを、最も尤もらしいパス
を1つに絞り込む処理である。絞り込まれた結果残るパ
スは生き残りパスと呼ばれる。
【0026】上記のように、ACS処理はすべてのブラ
ンチメトリックの算出(Add)、現時刻の各状態に至る
パスの尤もらしいものを比較(Compare)、最も尤もら
しいパスの選択(Select)の過程を経るので、この名が
ある。
【0027】ACS処理が開始されると、まず、現時刻
の状態が一つ選ばれる(ステップS500)。次に、選
択した状態へ至るパスが一つ選択され(ステップS50
1)、そのパスの前時刻までのパスメトリックがパスメ
トリックメモリ35から読み出される(ステップS50
2)。読み出されたパスメトリックは、選択されたパス
のブランチメトリックと加算され、現時刻までのパスメ
トリックが算出される(ステップS503)。パスメト
リックの算出は、選択した状態へ至るすべてのパスにつ
いて行われる(ステップS504)。選択された状態へ
至るパスのパスメトリックがすべて求められると、その
値が比較され、最も小さいパスメトリックを持つパスが
生き残りパスとして選択される(ステップS505)。
選択された状態へ至る生き残りパスが選択されると、現
時刻の他の状態へ至る生き残りパスについても同様に処
理される(ステップS506)。すべての状態へ至る生
き残りパスが選択された後で、パスメトリックメモリ3
5に格納されているパスメトリックの値は、現時刻の生
き残りパスのパスメトリックの値に更新される(ステッ
プS507)。
【0028】具体例として、時刻t4の状態s0へ至る
生き残りパスを選択する場合を挙げる。図21を参照す
ると、状態s0へ遷移する可能性のある前時刻の状態は
状態s0と状態s2であることがわかる、そのため、時
刻t4の状態s0へ至るパスは時刻t3において状態s
0を経由するパスと、状態s2を経由するパスの2通り
となる。時刻t3に状態s0を経由するパスのパスメト
リックは、前述のブランチメトリック処理部31で算出
された状態s0から状態s0へのパスのブランチメトリ
ックと、パスメトリックメモリ14から読み出された時
刻t3の状態s0までのパスのパスメトリックとを加算
することで求められる。
【0029】図19(a)〜(d)は、生き残りパス、
パスメトリックメモリ35、デコードデータメモリ34
およびパスメモリ33の具体的な構成を示す図である。
ここに示す例では、時刻t3までのパスメトリックが
1、ブランチメトリック0であるため、時刻t4までの
パスのパスメトリックは、1+0=1であることがわか
る。同様にして時刻t3に状態s2を経由するパスのパ
スメトリックを求めると、2+2=4となる。求めたパ
スメトリック同士を比較すると、他の状態への生き残り
パスも同様にして求められる。すべての状態について生
き残りパスが選択された後で、パスメトリックメモリ3
5に格納されている時刻t3までのパスメトリックは、
時刻t4までのパスメトリックに置き換えられる。時刻
t4おけるACS処理後の生き残りパスと、ACS処理
後のパスメトリックメモリ35を図24に示す。
【0030】(2.3)復号データ候補の格納処理 復号データの格納処理では、復号データ候補のデコード
データメモリ34への格納と、パスメモリ33へのポイ
ンタの追加の2つの作業が行われる。
【0031】図25を参照すると、まず、現時刻の状態
が一つ選択され(ステップS600)、その状態の復号
データ候補が、デコードデータメモリ34に格納される
(ステップS601)。この際、状態s0の復号データ候
補はデコードデータメモリ34の0行めに、状態1の復
号データ候補はデコードデータメモリ34の1行目にと
いったように、復号データ候補は、デコードデータメモ
リ34中の予め定められた行位置に格納される。次に、
選択された状態へ至る生き残りパスから、選択した状態
の前時刻の状態が調べられ、パスメモリ33にポインタ
の追加が行われる(ステップS602)。従来方式では
必ずパスメモリ33にポインタを追加する。
【0032】選択した状態について、復号データ候補の
デコードデータメモリ34への格納処理と、パスメモリ
33へのポインタの追加が終わると、現時刻の他の状態
が選択され、同様に処理される(ステップS603)。
【0033】具体例として、現時刻を時刻t4とし、時
刻t4のACS処理により図19に示すような生き残り
パスが構成された場合を挙げて説明する。時刻t3まで
の処理により、デコードデータメモリ34とパスメモリ
33が、図26(a),(b)のように構成されている
と仮定する。この場合、まずs0の復号データ候補であ
る0がデコードデータメモリ34の0行目の位置に格納
され、パスメモリ33の時刻t4、状態s0に対応する
位置には、生き残りパスの遷移情報が格納される。時刻
t4の状態s0の遷移元の状態は時刻t3の状態s0で
あるため、パスメモリ33の0行目に、時刻t3の状態
s0へのポインタが格納される。
【0034】状態s0の復号データ候補と状態遷移情報
の格納が終わると、次に、状態s1が選択され、状態s
0のときと同様に、デコードデータメモリ34の1行目
に復号データ候補である1が格納され、パスメモリ33
の時刻t4、状態s1の位置には、遷移元状態である時
刻t3、状態s2へのポインタが格納される。時刻t4
の状態s2、状態s3に関しても同様に処理される。時
刻t4における復号データ候補格納処理終了後の、デコ
ードデータメモリ34とパスメモリ33を図27
(a),(b)に示す。
【0035】(2.4)トレースバック処理 トレースバック処理について図28を参照して説明す
る。まず、パスメトリックメモリ35を参照してパスメ
トリックが最小となるパスを持つ現時刻の状態を選択す
る(ステップS700)。次に、選択された状態の現時
刻のパスメモリ33から、ポインタがたどられる(ステ
ップS701)。パスメモリ33のポインタは、トレー
スバック長と同数溯られる(ステップS702)。ポイ
ンタをトレースバック長分溯った先のパスメモリ33の
行位置が、復元すべき復号データが格納されているデコ
ードデータメモリ34の行位置であるので、デコードデ
ータメモリ34から復号データの読み出しが行われ(ス
テップS703)、ビタビ復号器30の出力として出力
される(ステップS704)。
【0036】具体例として、トレースバック長を16、
現時刻を状態t17とし、現時刻におけるパスメトリッ
クメモリ35、デコードデータメモリ34、パスメモリ
33が図29に示すように構成されている場合を仮定し
て説明すると、まず、パスメトリックメモリ35より、
現時刻において最小のパスメトリックを持つ状態がs1
であることがわかる。次に、パスメモリ33の時刻t1
7、状態s1の位置から、ポインタが、トレースバック
長だけたどられる。トレースバック長は16であるの
で、最終的に、パスメモリ33の時刻t1、状態s0の
位置に到達する。復号データが、時刻t1、状態s0の
復号データであることが判明したので、デコードデータ
メモリ35より、時刻t1、状態s0の復号データであ
る1が読み出され、ビタビ復号器30の出力として出力
される。この例のトレースバック処理においてたどられ
るポインタを抜き出して、図30に示す。
【0037】
【発明が解決しようとする課題】従来のビタビ復号器3
0は、復号データ格納処理において、パスメモリ33に
必ずポインタを追加していた。そのため、トレースバッ
ク処理時に必ずトレースバック長だけポインタを溯る必
要があり、データの復号時に時間がかかるという問題点
があった。
【0038】本発明は上述したような従来の問題点に鑑
みなされたものであって、トレースバック処理時に、溯
るべき状態遷移履歴の数を削減することにより、高速に
復号データを得ることが可能なビタビ復号器のトレース
バック処理の高速化装置およびその高速化方法を提供す
ることを目的とする。
【0039】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ため、本発明によれば、前時刻の状態から現状態に至る
すべてのパスについてブランチメトリックスを算出し出
力するブランチメトリック処理部と、ブランチメトリッ
ク処理部で算出されたブランチメトリックおよびパスメ
トリックにより現時刻の各状態へ至るパスの中から最も
尤もらしいパスを選択し、そのパスが選択された場合の
復号データ候補、復号データの格納位置、更新されたパ
スメトリックを出力し、状態遷移履歴を追加するACS
処理部と、ACS処理部から出力された状態遷移履歴を
記憶するパスメモリと、ACS処理部から出力された復
号データの格納位置を記憶する復号データ格納位置メモ
リと、ACS処理部から出力された各時刻の復号データ
候補を記録するデコードデータメモリと、ACS処理部
から出力された更新されたパスメトリックを記憶するパ
スメトリックメモリと、パスメトリックメモリに記憶さ
れているパスメトリックから、現在の時刻において最も
尤もらしいパスを推定し、復号データ格納位置メモリの
参照により得られるパスメモリ中のエントリノードから
パスメモリ中の状態遷移履歴を溯れるトレースバック処
理部と、を有し、トレースバック処理部は、パスメトリ
ックメモリを参照してパスメトリックが最小となるパス
の現時刻の状態を選択し、続いて、復号データ格納位置
メモリを参照し、選択した状態に対応するパスメモリの
エントリノードを検索して得たエントリノードからパス
メモリのポインタをたどることを特徴とする。
【0040】また、復号データ格納メモリは、状態数m
の要素を持つ一次元配列で構成され、前時刻の復号デー
タ候補を格納したデコードデータメモリ中の行位置情報
を格納し、デコードデータメモリに格納された復号デー
タ候補の格納位置を指すポインタの役割を果たしている
ことを特徴とする。
【0041】また、パスメモリは、復号データ格納位置
メモリ中の復号データ格納位置を示す復号データ格納位
置情報と、デコードメモリに復号データが格納されると
きに作成されるノードのノード作成時刻と、ポインタで
構成されるノードを連結したリストから構成され、復号
データ格納位置は、復号データ格納位置メモリと同じ内
容が格納されていることを特徴とする。
【0042】また、パスメモリは、前時刻の同一状態か
ら遷移する状態が複数ある場合にのみ、状態遷移履歴が
追加されることを特徴とする。
【0043】また、デコードデータメモリは、状態数m
×トレースバック長nの要素を持つ二次元配列で構成さ
れ、現時刻の復号データ候補は遷移元の状態の復号デー
タ候補と同一の行に格納され、復号データ候補を前時刻
の復号データ候補と同一の行に格納できない場合は、復
号データ候補を遷移先状態を持たない前時刻の復号デー
タ候補と同一の列に格納し、パスメモリに遷移元状態へ
のポインタを含む状態遷移履歴を追加することを特徴と
する。
【0044】また、パスメトリックメモリを参照してパ
スメトリックが最小となるパスの現時刻の状態を選択
し、続いて、復号データ格納位置メモリを参照し、選択
した状態に対応するパスメモリのエントリノードを検索
して得たエントリノードから該パスメモリのポインタを
たどることを特徴とする。
【0045】上記のような構成をとることにより、トレ
ースバック処理の時間を短縮できることである。
【0046】従来のトレースバック処理では、トレース
バック長だけポインタを溯る必要があった。しかし本発
明においては、パスメモリにノードが追加されるのは、
現時刻の複数の状態が、前時刻の同一の状態から遷移し
た場合に限られるため、トレースバック時に溯るべきポ
インタの数を削減することができる。溯るべきポインタ
の数は、受信データによって異なるが、その数は、1以
上、トレースバック長n+1以下となる。発明の実施の
形態のトレースバック処理で挙げた例でみると、トレー
スバック長が16であるので、従来方式では、16回ポイ
ンタを溯る必要があるが、本方式を用いると、パスメモ
リのノードに格納されたポインタを5回溯るだけで復号
データを得ることができる。
【0047】パスメモリの構成に必要なメモリ容量を削
減できるということである。従来では、状態数m×トレ
ースバック長nのメモリを必ず必要としていたが、本発
明方式では、復号データ候補を遷移元の前時刻の復号デ
ータと同一の行に格納出来ない場合のみにパスメモリに
ノードを追加するため、メモリ容量の削減が可能であ
る。状態数4のビタビ復号器では、単位時刻ごとに追加
されるノード数は最大でも2であるため、パスメモリ中
のノードの最大数はエントリノードを含めても、4+2
×トレースバック長nとなる。そのため、ノードの構成
要素に復号データ格納位置情報や、ノード作成時刻情報
が加わることを考えても、メモリ容量の削減が可能であ
る。
【0048】上記のように本発明は、ビタビ復号器のト
レースバック処理時に溯るべき状態遷移履歴の数を削減
することにより、トレースバック処理の高速化を図るも
のである。
【0049】ACS処理によって生き残りパスが選択さ
れると、現時刻の復号データ候補は、二次元配列で構成
されるデコードデータメモリにおいて、遷移元の状態の
復号データ候補と同一の行に格納される。また、現時刻
の複数の状態が同一の遷移元状態を持つために、復号デ
ータ候補を前時刻の復号データ候補と同一の行に格納で
きない場合は、復号データ候補を、遷移先状態を持たな
い前時刻の復号データ候補と同列に格納し、パスメモリ
に遷移元状態へのポインタを含む状態遷移履歴の追加を
行う。このような処理とすることで、パスメモリに追加
される状態遷移履歴数を削減し、これにより、トレース
バック処理時に、溯るべき状態遷移履歴数が減少するた
め、高速に復号データを得ることが可能となる。
【0050】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を説明
する。
【0051】図1は、本発明によるビタビ復号器10の
一実施例の構成を示すブロック図である。
【0052】図1に示すように、本実施例は、畳み込み
符号器20からの受信データについて、前時刻の状態か
ら現時刻の状態に至るすべてのパスについて、ブランチ
メトリックスを算出し出力するブランチメトリック処理
部11と、ブランチメトリック処理部11で算出された
ブランチメトリックと、与えられたパスメトリックによ
り現時刻の各状態へ至るパスの中から最も尤もらしいパ
スを選択し、そのパスが選択された場合の復号データ候
補12b、復号データの格納位置12c、更新されたパ
スメトリック12dを出力し、デコードデータメモリ1
5に復号データ候補を前時刻の復号データ候補と同一の
行に格納できない場合は、状態遷移履歴12aを追加す
るACS処理部12と、ACS処理部12から出力され
た状態遷移履歴12aを格納するパスメモリ13と、
復号データ候補の格納位置12cを記憶する復号データ
格納位置メモリ14と、復号データ候補12bを記憶す
る復号データ格納位置メモリ14と、ACS処理部12
から出力された更新されたパスメトリック12dを記憶
するとともに記憶すパスメトリックをACS処理部12
へ与えるパスメトリックメモリ16と、パスメトリック
メモリ16に記憶されているパスメトリックから、現在
の時刻において最も尤もらしいパスを推定し、復号デー
タ格納位置メモリ14の参照により得られるパスメモリ
13中のエントリノードからパスメモリ13中の状態遷
移履歴を溯れるトレースバック処理部17と、から構成
されている。
【0053】図1において、ブランチメトリック処理部
11は、前時刻の状態から現時刻の状態へ至るすべての
パスについて、ブランチメトリックを算出し、ACS処
理部12に出力する。
【0054】ACS処理部12は、ブランチメトリック
処理部11で算出されたブランチメトリックと、パスメ
トリックメモリ16に記憶されているパスメトリックよ
り、現時刻の各状態へ至るパスの中から、最も尤もらし
いパスを選択し、そのパスが選択された場合の復号デー
タ候補をデコードデータメモリ15に、復号データ候補
の格納位置を復号データ格納位置メモリ14に、更新さ
れたパスメトリックをパスメトリックメモリ16に、ま
た、デコードデータメモリ15に復号データ候補を前時
刻の復号データ候補と同一の行に格納できない場合は、
パスメモリ13に状態遷移履歴の追加を行う。
【0055】トレースバック処理部17は、パスメトリ
ックメモリ16に記憶されているパスメトリックから、
現在の時刻において最も尤もらしいパスを推定し、復号
データ格納位置メモリ14を参照して得られるパスメモ
リ13中のエントリノードからパスメモリ13の状態遷
移履歴を溯る。これにより、復号データ候補の格納され
ているデコードデータメモリ15中の位置が判明するの
で、デコードデータメモリ15から復号データ候補を取
り出し出力する。
【0056】図2は、パスメトリックメモリ13の構成
を示す図である。図2に示すように、パスメトリックメ
モリ16は、状態数mの要素を持つ一次元配列で構成さ
れ、各状態の生き残りパスのパスメトリックを格納して
おり、トレースバック処理部17のトレースバック処理
時に参照される。パスメトリックは生き残りパスの尤も
らしさを表す値である。
【0057】図3は、デコードデータメモリ15の構成
を示す図である。図3に示すように、デコードデータメ
モリ15は状態数m×トレースバック長nの要素を持つ
二次元配列で構成される。デコードデータメモリ15に
は各時刻の復号データ候補が格納される。トレースバッ
ク長はトレースバック処理時に溯るべき単位時間数を表
す。
【0058】図4は、復号データ格納位置メモリ14の
構成を示す図である。図4に示すように、復号データ格
納位置メモリ14は状態数mの要素を持つ一次元配列で
構成される。復号データ格納位置メモリ14は、前時刻
の復号データ候補を格納したデコードデータメモリ15
中の行位置情報を格納している。また、復号データ格納
位置メモリ14中の情報は、トレースバック処理開始時
に、パスメモリ17のエントリノードを決定する際にも
用いられる。
【0059】図5は、パスメモリ13の構成を示す図で
ある。図5に示すように、パスメモリ13は、復号デー
タ格納位置情報と、ノード作成時刻と、ポインタで構成
されるノードを連結したリストで構成される。パスメモ
リ13を構成するノードは、トレースバック処理時に、
過去の時刻の復号データが格納されているデコードデー
タメモリ15中の位置を得るために参照される。パスメ
モリ13のポインタには、遷移元状態のパスメモリノー
ドへの実アドレスまたはオフセットアドレスが格納され
る。図5中ではポインタの示すノードを、矢印で表現し
ている。パスメモリ13のリストの初期状態は、パスメ
モリのエントリノードのみで、他のノードはビタビ復号
の処理の中で適宜追加される。
【0060】図6は、上述した各メモリの関連を示す図
である。復号データ格納位置メモリ14には、前時刻の
復号データ候補を格納したデコードデータメモリ15中
の行位置情報が格納され、復号データ格納処理時に参照
される。パスメトリックメモリ16にはパスメトリック
値が格納され、トレースバック処理時に、パスメトリッ
ク値が最小の状態に対応するエントリノードを復号デー
タ格納位置メモリ14から得る。また、パスメモリ13
を構成する各ノードの復号データ格納位置にも復号デー
タ格納メモリ14と同じ情報が格納される。
【0061】つまり、復号データ格納メモリ14は、デ
コードデータメモリ15中の復号データの格納位置を示
すポインタの役割を果たしているといえる。
【0062】図7は、本実施例のビタビ復号器10の基
本動作を示すフローチャートである。図7に示すよう
に、本実施例のビタビ復号器10は、時刻tiの状態s
iから次の時刻ti+1の状態si+1へ遷移するとき
の、すべてのブランチメトリックを求め(ステップS1
00)、生き残りパスとブランチメトリックとを加算し
(ステップS101)、ステップS101で求めた和を
比較して、最小の生き残りパスとブランチとを選択する
(ステップS102)。
【0063】以上が本実施例のビタビ復号器10の基本
動作である。
【0064】続いて、本実施例のビタビ復号器10のト
レースバック処理の高速化装置の動作について図を参照
して説明する。
【0065】なお、本実例のビタビ復号器10のブラン
チメトリック処理、ACS処理については、従来例の処
理と同様であるため説明は省略する。以下では、従来の
ビタビ復号器30と本実施例のビタビ復号器10で処理
の異なる復号データ候補の格納処理およびトレースバッ
ク処理について説明する。
【0066】(1)復号データ候補の格納処理 復号データ候補の格納処理について、図1,図8〜図1
1を参照して説明する。
【0067】ACS処理により選択された生き残りパス
の、時刻t[n−1]から時刻t[n]の状態遷移よ
り、時刻t[n]における復号データ候補が推定でき
る。推定された復号データ候補は、デコードデータメモ
リ15に格納されるが、この処理は、大きく2通りの場
合に分けられる。一つはパスメモリ13へのノードの追
加を伴わない場合であり、もう一つはパスメモリ13へ
のノードの追加を伴う場合である。復号データ候補の格
納処理は、まずパスメモリ13へのノードの追加を伴わ
ない場合について行われ、その後でパスメモリ13への
ノードの追加を伴う場合について処理される。以下で、
それぞれの場合の処理について順に説明する。
【0068】(2)パスメモリ13へのノードの追加を伴
わない場合(ステップS200〜S204) 復号データ候補の格納を行う場合、まず、現状態の状態
が一つ選択される(ステップS200)。次に、復号デ
ータ格納位置メモリ14を参照し、選択した状態の遷移
元状態の復号データが格納されているデコードデータメ
モリ15の行が調べられる(ステップS201)。デコ
ードデータメモリ15の調べた行位置に既に現時刻の他
の状態の復号データが格納されている場合、パスメモリ
13へのノードの追加を行う必要があるため、復号デー
タ候補の格納は保留される(ステップS202)。デコ
ードデータメモリ15の該当行位置に、まだ、現時刻の
復号データ候補が格納されていない場合には、デコード
データメモリ15の前時刻の復号データ候補が格納され
ている行に、現時刻の復号データ候補を格納する(ステ
ップS203)。一つの状態について復号データ候補の
格納(または、保留)が終わると、別の状態が選択さ
れ、すべての状態について処理が行われるまで、同様に
処理される(ステップS204)。保留された復号デー
タ候補の格納は、パスメモリ13へのノードの追加を伴
わない復号データ候補の格納がすべて終了した後でまと
めて行われる。 時刻t4に00を受信した例では、状
態s0、状態s1、状態s2の復号データ候補がパスメ
モリ13へのノードの追加を伴わない場合に相当する。
【0069】時刻t4の状態s0の復号データ候補を格
納する場合、まず復号データ格納位置メモリ14を参照
し、遷移元の状態である時刻t3の状態s0の復号デー
タ候補の格納位置を調べる。復号データ格納位置メモリ
14の状態s0に対応する位置には2が格納されている
ため、時刻t3の状態s0の復号データ候補は、デコー
ドデータメモリ15の2行目に格納されていることがわ
かる。デコードデータメモリ15の2行目には、まだ、
現時刻の復号データが格納されていないので、時刻t4
の状態s0の復号データ候補はデコードデータメモリ1
5の2行目に格納される。状態s1、状態s2の復号デ
ータ候補についても、状態s0の復号データ候補と同様
に処理され、それぞれデコードデータメモリ15の1行
目、0行目に格納される。復号データ候補格納後のデコ
ードデータメモリ15の内容を図9に示す。
【0070】(3)パスメモリへのノードの追加を伴う場
合(ステップS205〜S208) パスメモリ13へのノードの追加を伴わないすべての場
合について、復号データ候補が格納されると、パスメモ
リ13へのノードの追加を伴う場合の処理が始められ
る。まず、復号データ候補が格納されていない状態が一
つ選択される(ステップS205)。次に、デコードデ
ータメモリ15から、まだ現時刻の復号データ候補が格
納されていない行が検索され、その行に現時刻の復号デ
ータ候補が格納される(ステップS206)。その後、
パスメモリ13のノードを一つ作成し、作成したノード
の復号データ候補格納位置情報に、復号データを格納し
たデコードデータメモリ15の行情報を、ノード作成時
刻格納位置に現時刻を格納する。また、作成したノード
をパスメモリ13に追加するために、パスメモリ13の
エントリノードのポインタに、作成したノードへのポイ
ンタが格納され、作成したノードのポインタには、遷移
元状態に対応するパスメモリ13のエントリノードのポ
インタがコピーされる(ステップS207)。なお、各
状態に対応するパスメモリ13のエントリノードは、デ
コードデータメモリ15に、復号データ候補を格納した
際の行位置により決定される。復号データ候補の格納
は、格納が保留されていた復号データ候補をすべて格納
するまで繰り返される(ステップS108)。
【0071】時刻t4に00を受信した例では、時刻t
4の状態s3の遷移元の状態と時刻t4の状態s2の遷
移元の状態が同一の状態となっている(図24参照)。
そのため、時刻t4の状態s2の復号データ候補が既に
デコードデータメモリ15に格納されており、状態s3
の復号データ候補は、遷移元状態の復号データ候補と同
一行に格納することができない。この場合、まず、デコ
ードデータメモリ15を参照し、現時刻の復号データが
格納されていない行が検索される。この時点でデコード
データメモリ15は図9のようになっており、3行目に
まだデータが格納されていないことがわかる。そのた
め、状態s3の復号データ候補は、デコードデータメモ
リ15の3行目に格納される。次に、パスメモリ13の
ノードを作成し、復号データ格納位置に、復号データ候
補を格納した行である3を、ノード作成時刻に、現時刻
である時刻t4を書き込む。また、状態s3の復号デー
タを格納したデコードデータメモリ15の行位置は3行
目であるので、状態s3に対応するパスメモリ13のエ
ントリノードも3行目となる。そのため、パスメモリ1
3の3行目のエントリノードのポインタに、作成したノ
ードへのポインタがコピーされる。状態s3への遷移元
状態である状態s1のパスメモリ13のエントリノード
は、復号データ格納位置メモリ16の参照により0行目
であることがわかるので、作成したノードのポインタに
は、0行目のパスメモリ13のエントリノードのポイン
タの内容がコピーされる。これにより、作成ノードのパ
スメモリ13への追加が完了する。ノード追加後のパス
メモリ13は図10のようになる。
【0072】現時刻のすべての状態について復号データ
候補の格納処理が終わると、復号データ候補格納位置メ
モリ14が更新される(ステップS108)。時刻t4
に00を受信した例では、更新後の復号データ候補格納
位置メモリ16は図11のようになる。
【0073】(4)トレースバック処理 トレースバック処理について、図1,図12〜図14を
参照して説明する。
【0074】トレースバック処理は、現時刻における最
も尤もらしいパスをたどり、トレースバック長前の時刻
の復号データ候補を得る処理である。トレースバック処
理では、まず、パスメトリックメモリ16を参照してパ
スメトリックが最小となるパスを持つ現時刻の状態を選
択する(ステップS300)。次に、復号データ格納位
置メモリ14を参照し、選択した状態に対応するパスメ
モリ13のエントリノードを検索する(ステップS30
1)。そして、得られたエントリノードから、パスメモ
リ13のポインタがたどられる(ステップS302)。
パスメモリ13のポインタは、ノード作成時刻がトレー
スバック長前の時刻よりも新しい( ノード作成時刻 >
現時刻 − トレースバック長 )限りたどられる(ステ
ップS303)。こうしてたどりついたノードの復号デ
ータ格納位置が、復元すべき復号データの格納されてい
る行であるので、デコードデータメモリ15から、得ら
れた行位置、トレースバック長前の時刻の列の復号デー
タが読み出され(ステップS304)、ビタビ復号器1
0の出力として出力される(ステップS305)。
【0075】例として、トレースバック長を16、現時
刻を時刻t17とし、時刻t17までの処理により、図
13に示すように、パスメトリックメモリ16、デコー
ドデータメモリ15、復号データ格納位置メモリ14、
パスメモリ13が構成されている場合を挙げる。まず、
パスメトリックメモリ16の参照により、状態s1のパ
スメトリックの値が0と最小であることがわかる。次
に、復号データ格納位置メモリ14を参照し、状態s1
に対応するのパスメモリ13のエントリノード(1行
目)を得る。エントリノードが得られると、ノード作成
時刻がトレースバック長前の時刻である時刻t1よりも
新しい間、ポインタがたどられる。この例では、5回ポ
インタをたどった先のノードの作成時刻が時刻t0であ
るので、このノードまでポインタがたどられる。この時
たどられるパスメモリ13のノードを図13に示し、最
終的にたどったポインタのパスを図14に示す。最終的
にたどりついたノードの復号データ格納位置には2が格
納されているので、復号すべきデータの格納位置が2行
目であることが判明する。そのため、デコードデータメ
モリ15の2行目、時刻t1に対応する位置より、復号
データ0が読み出され、ビタビ復号器10の出力として
出力される。
【0076】以上のように、本発明によれば、従来のト
レースバック処理では、トレースバック長だけポインタ
を溯る必要があったが、パスメモリ17にノードが追加
されるのは、現時刻の複数の状態が、前時刻の同一の状
態から遷移した場合に限られるので、トレースバック時
に溯るべきポインタの数を削減して、トレースバック処
理の時間を短縮できる。
【0077】また、従来では、状態数m×トレースバッ
ク長nのメモリを必ず必要としていたが、本実施例で
は、復号データ候補を遷移元の前時刻の復号データと同
一の行に格納できない場合のみにパスメモリ17にノー
ドを追加するので、パスメモリの構成に必要なメモリ容
量を削減できる。
【0078】なお、上記において復号方式としてビタビ
復号方式を用いたが、代わりに遂次復号方式を用いても
よい。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
以下のような顕著な効果を奏する。
【0080】(1)従来のトレースバック処理では、ト
レースバック長だけポインタを溯る必要があったが、パ
スメモリ17にノードが追加されるのは、現時刻の複数
の状態が、前時刻の同一の状態から遷移した場合に限ら
れるため、トレースバック時に溯るべきポインタの数を
削減して、トレースバック処理の時間を短縮できる。
【0081】溯るべきポインタの数は、受信データによ
って異なるが、その数は、1以上、トレースバック長n
+1以下となる。発明の実施の形態のトレースバック処
理で挙げた例でみると、トレースバック長が16である
ので、従来方式では、16回ポインタを溯る必要がある
が、本方式を用いると、パスメモリ17のノードに格納
されたポインタを5回溯るだけで復号データを得ること
ができる。
【0082】(2)従来では、状態数m×トレースバッ
ク長nのメモリを必ず必要としていたが、本実施例で
は、復号データ候補を遷移元の前時刻の復号データと同
一の行に格納できない場合のみにパスメモリ17にノー
ドを追加するため、パスメモリの構成に必要なメモリ容
量を削減できる。
【0083】メモリ容量の削減が可能である。状態数4
のビタビ復号器では、単位時刻ごとに追加されるノード
数は最大でも2であるため、パスメモリ17中のノード
の最大数はエントリノードを含めても、4+2×トレー
スバック長nとなる。そのため、ノードの構成要素に復
号データ格納位置情報や、ノード作成時刻情報が加わる
ことを考えても、メモリ容量の削減が可能である。
【0084】トレースバック長は一般に拘束長の5〜6
倍とされるため、拘束長3のビタビ復号器で15〜18
程度となる。トレースバック処理は1処理時間分のデー
タを復号する度に行われるため、この処理時間を短縮す
ることは全体の処理性能の向上に貢献する。特に、拘束
長の長いビタビ復号器では、トレースバック長も増加す
るため、トレースバック処理の処理時間短縮による効果
は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成を示すブロック図であ
る。
【図2】パスメトリックメモリの構成を示す図である。
【図3】デコードデータメモリの構成を示す図である。
【図4】復号データ格納位置メモリの構成を示す図であ
る。
【図5】パスメモリの構成を示す図である。
【図6】各メモリの関連を示す図である。
【図7】本実施例のビタビ復号器の基本動作を示すフロ
ーチャートを示す図である。
【図8】復号データ格納処理のフローチャートを示す図
である。
【図9】復号データ格納処理終了後のデコードデータメ
モリを示す図である。
【図10】復号データ格納処理終了後のパスメモリを示
す図である。
【図11】復号データ格納処理終了後の復号データ格納
位置メモリを示す図である。
【図12】トレースバック処理のフローチャートを示す
図である。
【図13】トレースバック処理前のパスメトリックメモ
リ、デコードデータメモリ、復号データ格納位置メモ
リ、パスメモリの構成例を示す図である。
【図14】図13のパスメモリ中のトレースバック処理
でたどられるノードを示す図である。
【図15】従来のビタビ復号器の構成例を示す図であ
る。
【図16】畳み込み符号器の構成例を示す図である。
【図17】図16に示す畳み込み符号器における入出力
および状態遷移の対応表である。
【図18】トレリス線図例を示す図である。
【図19】具体例における生き残りパス、パスメトリッ
クメモリ、デコードデータメモリ、パスメモリの構成を
示す図である。。
【図20】ブランチメトリック処理のフローチャートを
示す図である。
【図21】トレリス線図例を示す図である。
【図22】00受信後の各パスのブランチメトリックを
示す図である。
【図23】ACS処理のフローチャートを示す図であ
る。
【図24】ACS処理後の生き残りパス、パスメトリッ
クメモリを示す図である。
【図25】復号データ格納処理のフローチャートを示す
図である。
【図26】復号データ格納処理前のデコードデータメモ
リとパスメモリを示す図である。
【図27】復号データ格納処理後のデコードデータメモ
リとパスメモリを示す図である。
【図28】トレースバック処理を示すフローチャートで
ある。
【図29】トレースバック処理前のパスメトリックメモ
リ、デコードデータメモリ、パスメモリの構成を示す図
である。
【図30】図30中のパスメモリ中のトレースバック処
理でたどられるポインタを示す図である。
【符号の説明】
10,30 ビタビ復号器 11,31 ブランチメトリック処理器 12,32 ACS処理部 12a,32a パス 12b,32b 復号データ候補 12c,32c 復号データの格納位置 12d,32d パスメトリック 13,33 トレースバック処理部 14,34 パスメトリックメモリ 15,35 デコードデータメモリ 16 復号データ格納位置メモリ 17,37 パスメモリ 20 シフトレジスタ 21 排他的論理和
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03M 13/00 G06F 11/10 330 H04L 1/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前時刻の状態から現状態に至るすべての
    パスについてブランチメトリックスを算出し出力するブ
    ランチメトリック処理部と、 前記ブランチメトリック処理部で算出されたブランチメ
    トリックおよびパスメトリックにより現時刻の各状態へ
    至るパスの中から最も尤もらしいパスを選択し、そのパ
    スが選択された場合の復号データ候補、復号データの格
    納位置、更新されたパスメトリックを出力し、状態遷移
    履歴を追加するACS処理部と、 前記ACS処理部から出力された状態遷移履歴を記憶す
    るパスメモリと、 前記ACS処理部から出力された復号データの格納位置
    を記憶する復号データ格納位置メモリと、 前記ACS処理部から出力された各時刻の復号データ候
    補を記録するデコードデータメモリと、 前記ACS処理部から出力された更新されたパスメトリ
    ックを記憶するパスメトリックメモリと、 前記パスメトリックメモリに記憶されているパスメトリ
    ックから、現在の時刻において最も尤もらしいパスを推
    定し、前記復号データ格納位置メモリの参照により得ら
    れる前記パスメモリ中のエントリノードから前記パスメ
    モリ中の状態遷移履歴を溯れるトレースバック処理部
    と、を有し、前記トレースバック処理部は、前記パスメ
    トリックメモリを参照してパスメトリックが最小となる
    パスの現時刻の状態を選択し、続いて、前記復号データ
    格納位置メモリを参照し、選択した状態に対応する前記
    パスメモリのエントリノードを検索して得た該エントリ
    ノードから該パスメモリのポインタをたどることを特徴
    とするビタビ復号器のトレースバック処理の高速化装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のビタビ復号器のトレー
    スバック処理の高速化装置において、 前記復号データ格納メモリは、状態数mの要素を持つ一
    次元配列で構成され、前時刻の復号データ候補を格納し
    た前記デコードデータメモリ中の行位置情報を格納し、
    前記デコードデータメモリに格納された復号データ候補
    の格納位置を指すポインタの役割を果たしていることを
    特徴とするビタビ復号器のトレースバック処理の高速化
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のビタビ復号器のトレー
    スバック処理の高速化装置において、 前記パスメモリは、前記復号データ格納位置メモリ中の
    復号データ格納位置を示す復号データ格納位置情報と、
    前記デコードメモリに復号データが格納されるときに作
    成されるノードのノード作成時刻と、ポインタで構成さ
    れるノードを連結したリストから構成され、該復号デー
    タ格納位置は、前記復号データ格納位置メモリと同じ内
    容が格納されていることを特徴とするビタビ復号器のト
    レースバック処理の高速化装置。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載のビタビ復号器
    のトレースバック処理の高速化装置において、 前記パスメモリは、前時刻の同一状態から遷移する状態
    が複数ある場合にのみ、状態遷移履歴が追加されること
    を特徴とするビタビ復号器のトレースバック処理の高速
    化装置。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のビタビ復号器のトレー
    スバック処理の高速化装置において、 前記デコードデータメモリは、状態数m×トレースバッ
    ク長nの要素を持つ二次元配列で構成され、現時刻の復
    号データ候補は遷移元の状態の復号データ候補と同一の
    行に格納され、復号データ候補を前時刻の復号データ候
    補と同一の行に格納できない場合は、該復号データ候補
    を遷移先状態を持たない前時刻の復号データ候補と同一
    の列に格納し、前記パスメモリに遷移元状態へのポイン
    タを含む状態遷移履歴を追加することを特徴とするビタ
    ビ復号器のトレースバック処理の高速化装置。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載のビタビ復号器のトレー
    スバック処理の高速化装置の高速化方法であって、 パスメトリックメモリを参照してパスメトリックが最小
    となるパスの現時刻の状態を選択し、続いて、復号デー
    タ格納位置メモリを参照し、選択した状態に対応するパ
    スメモリのエントリノードを検索して得た該エントリノ
    ードから該パスメモリのポインタをたどることを特徴と
    するビタビ復号器のトレースバック処理の高速化装置の
    高速化方法。
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