JP3284236B2 - ケーブル探査器 - Google Patents

ケーブル探査器

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正 森
章 進藤
雅夫 坂田
佑一 吉田
和幸 杉山
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株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー関西
ブレン・チャイルド株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通信ケーブル等、
多数のケーブルが並行して設置されている場所で、撤去
のために切断するケーブルを見い出してマークを付けた
り、直接切断したりするために、作業対象となるケーブ
ルを探査するケーブル探査器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、通信ケーブル等、多数のケーブル
が並行して設置されている場所で、撤去のために切断す
るケーブルを見い出してマークを付けたり、直接切断し
たりするために、作業対象となるケーブルを探査するた
めには、探査対象となる通信ケーブルの端部から心線の
2本に交流パイロット信号を注入し、探査位置において
多数のケーブルに個別に磁気センサをあてがい、そのケ
ーブルからパイロット信号に起因する磁束が漏洩してい
ないかどうかを検査し、漏洩磁束があるケーブルを探査
対象ケーブルとしてマークしたり、切断したりする方法
をとっている。
【0003】そして、探査位置でケーブルにあてがう磁
気センサには、ケーブルの周囲に発生する磁界を検出す
るために、ケーブルの周方向の磁束が交差するように巻
かれた磁電変換素子を用い、その磁電変換素子に誘起さ
れる電圧信号を検出アンプによってオーディオ信号に変
換してヘッドホンあるいはスピーカから出力させ、その
オーディオ信号を熟練した検査員が聞いてパイロット信
号が注入された探査対象ケーブルであるかどうかを判断
するようにしている。
【0004】また、交流パイロット信号の注入には、探
査対象ケーブルの端部のシールド外被を剥き、中に詰め
込まれている多数の心線をばらし、任意の2本の心線を
交流パイロット信号の出力端子に接続する方法をとって
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなケーブル探
査に用いられるケーブル探査器には微弱な漏洩磁束を感
度よく検出して正確に探査対象ケーブルを判定するもの
が求められていたが、従来、そのようなものはなかっ
た。
【0006】本発明はこのような従来の問題点に鑑みて
なされたもので、磁気センサが感知する交流パイロット
信号に対応する磁束による電圧信号の周波数スペクトル
分析を行い、周波数毎の強度を加算して周波数スペクト
ル分布を求め、パイロット信号に対応する基準周波数ス
ペクトル分布と比較して探査対象ケーブルであるかどう
か判定することにより、磁気センサの有する各磁電変換
素子の検出する磁束が微弱なものであっても正確にパイ
ロット信号の通電を検出することができ、ケーブル探査
の信頼度を高めることができるケーブル探査器を提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、探査
対象ケーブルに端部から任意の複数本の心線に交流パイ
ロット信号を注入し、探査位置において、任意のケーブ
ルに当該ケーブル探査器をあてがって、前記交流パイロ
ット信号による磁束が当該任意のケーブルから出ている
かどうかを感知することにより当該任意のケーブルが探
査対象ケーブルであるかどうか判定するためのケーブル
探査器にあって、前記任意のケーブルの周面に近接し、
かつ当該任意のケーブルを挟んで互いに反対側となる位
置に、それぞれに対して当該任意のケーブルから径方向
に出る磁束が交差するように配置した少なくとも1対の
磁電変換素子を有する磁気センサと、前記磁電変換素子
それぞれから出力される電圧信号に対して、周波数スペ
クトル分析を行うスペクトルアナライザと、前記スペク
トルアナライザが分析した各周波数毎のスペクトル強度
を加算して周波数スペクトル分布を求める周波数スペク
トル分布演算手段と、前記周波数スペクトル分布演算手
段による周波数スペクトル分布を前記交流パイロット信
号に対応する基準周波数スペクトル分布と比較し、その
類似度に基づいて前記任意のケーブルが前記探査対象ケ
ーブルであるかどうか判定するケーブル判定手段とを備
えたものである。
【0008】請求項1の発明のケーブル探査器では、探
査対象ケーブルに端部から任意の複数本の心線に交流パ
イロット信号を注入し、探査位置において、任意のケー
ブルに当該ケーブル探査器をあてがう。そして磁気セン
サの各極の磁電変換素子により、前記磁電変換素子それ
ぞれから出力される電圧信号に対して、周波数スペクト
ルアナライザによって周波数スペクトル分析を行い、周
波数分布演算手段によってスペクトルアナライザの分析
した各周波数毎のスペクトル強度を加算して周波数スペ
クトル分布を求め、さらに、得られた周波数スペクトル
分布に対して、ケーブル判定手段によって交流パイロッ
ト信号に対応する基準周波数スペクトル分布と比較し、
その類似度に基づいて磁気センサをあてがっているケー
ブルが探査対象ケーブルであるかどうか判定する。
【0009】これにより、磁気センサの各磁電変換素子
が出力する電圧信号を互いにうち消し合うことなく周波
数帯毎に加算した周波数スペクトル分布を得ることがで
きて、交流パイロット信号の周波数分布との波形特性の
比較によって正確に探査対象ケーブルを見つけだすこと
ができる。
【0010】請求項2の発明のケーブル探査器は、請求
項1において、前記交流パイロット信号に複数の異なる
周波数信号を用いるものであり、複数の周波数帯ごとの
波形特性、また複数の周波数帯それぞれのスペクトル分
布態様をパイロット信号のものと比較することができ、
探査対象ケーブルの判定の信頼性をさらに高めることが
できる。
【0011】請求項3の発明のケーブル探査器は、請求
項1又は2において、前記磁気センサにおける前記磁電
変換素子を前記任意のケーブルの円周方向に沿って90
度ずつ離れた4カ所に配置し、かつ、前記磁電変換素子
各々を互いに円周方向に隣接し、直列接続された複数の
分割磁電変換素子で構成し、前記任意のケーブルを挟ん
で相対する2カ所の磁電変換素子同士の電圧信号をアナ
ログ的に加算した後、前記スペクトルアナライザに入力
するものであり、磁束の向き、強度分布に偏りがあって
も、いずれかの位置の磁電変換素子で感度よく検出する
ことができ、微弱な磁束を感度よく検出することができ
て探査対象ケーブルの検出精度をさらに高めることがで
きる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に
基づいて詳説する。
【0013】まず、一般的なケーブル探査方法の原理を
説明する。図1に示すように、電話線のような多心通信
ケーブル15は、局16から地下の埋設管を通し、住宅
街では電柱に架設し、分岐18させながら端子箱10ま
で配線し、端子箱10でさらに細かく分岐させて各加入
者に接続する。このような通信ケーブル15は、撤去が
必要になればマンホールMH1,MH2の部分に作業者
が入り、短く切断して取出す。
【0014】しかしながら、地下の埋設管には1本の通
信ケーブル15だけが埋設されているのではなく、多数
本の同様の通信ケーブルや電力ケーブルが並行して埋設
されている。そして、多数の埋設されているケーブル類
は他のものと外観だけでは全く識別することができな
い、同仕様のものが多い。そのため、撤去対象となる通
信ケーブルをそれらの他のケーブルと間違いなく識別
し、対象となる通信ケーブル15だけを切断しなけれ
ば、活線状態の通信ケーブルを誤切断して広範囲の地域
の電話を不通にしてしまうといった問題が起きる。
【0015】このため、各マンホールMH1,MH2内
では、図1に示したケーブル探査方法によって、多数の
埋設ケーブルの中から撤去対象となる通信ケーブル15
を探査してマークをつけて行き、あるいは切断対象とな
る通信ケーブル15を探査するとその場で同時に切断し
て行く作業を行う。
【0016】このケーブル探査方法の原理は、探査対象
ケーブルの一端の多数の心線のすべてを短絡(終端短絡
処理)しておき、他端において、ケーブル15内の多数
の心線の中から任意に選んだ複数本にパイロット信号発
生器12から交流パイロット信号を注入する。そして、
パイロット信号注入部に近い方のマンホールMH2内
で、多数のケーブルそれぞれに磁気センサ13をあてが
い、パイロット信号が心線を流れることによりケーブル
からパイロット信号による磁束を漏洩しているケーブル
を見つけだし、そのケーブルにマークをつけたり、ケー
ブルの探査と同時に切断したりする。
【0017】見つけだした探査対象ケーブルにマークを
付けていく場合には、次のマンホールMH1において
も、同様の方法で多数のケーブルの中からパイロット信
号による磁束を漏洩しているケーブルを見つけだしてマ
ークを付ける。以下、この作業を、終端短絡処理を施し
た最端部まで順次に繰り返す。
【0018】ケーブルを切断する場合には、その切断端
面においてケーブルのシールド外被を剥がし、最初に端
子箱10のところで行った同様に、任意の複数本の心線
にパイロット信号を注入し、次のマンホールMH1内で
上記と同様にケーブル探査を行い、パイロット信号によ
る磁束を漏洩しているケーブルを見つけだして切断す
る。以下、この作業を、終端短絡処理を施した最端部ま
で順次に繰り返す。
【0019】次に、図2〜図4に基づき、一般的な通信
ケーブル15の構造について説明する。通信ケーブル1
5は、図2に示したようにシールド外被20内にシース
21を内張し、このシース21内に多数本の心線23
を、例えば50本ずつを1束22とし、多数束を詰め込
んだ構造である。そして、通信ケーブル15の場合、図
3に示したように星型配置の2対4本1組の心線30a
〜30dをカッド30と称し、このカッド単位でケーブ
ルの一端から他端まで通信信号を流している。
【0020】通信ケーブル15の軸方向の構造は、図4
に示したように、各カッド30を構成する4本の心線3
0a〜30dは撚ってあり、その多数のカッド30もま
たシールド外被20内で螺旋状に撚った状態にしてあ
る。
【0021】このような構造のケーブルを前提にして、
以下、本発明のケーブル探査方法、ケーブル探査器、及
びケーブル探査用のパイロット信号注入器について説明
する。
【0022】図5〜図8は、上述した星型カッド30の
心線30a〜30dに対して交流パイロット信号を注入
する方法、及び注入装置を示している。
【0023】カッド30を構成する4本の心線30a〜
30dのうち、縦横においてそれぞれ相対する心線30
a,30bの1対と心線30c,30dの1対に対し
て、それぞれ、図6に示すように2相多周波数の交流パ
イロット信号を注入する。
【0024】この実施の形態では、パイロット信号F
1,F2として用いる交流信号は、通信ケーブルの場
合、例えば制御信号と重複しない周波数で、かつ互いに
高調波が干渉しない周波数として、5種類の周波数ω1
=500Hz,ω2=1850Hz,ω3=2650H
z,ω4=3450Hz,ω5=4300Hzを用い、
しかも、F1に対してF2を90度だけ位相を遅らせて
いる。
【0025】上述した2相多周波数の交流パイロット信
号を注入するためのパイロット信号発生器12は、図7
に示す構成である。このパイロット信号発生器12は2
相多周波数信号発生器と、第1信号(F1)出力アンプ
及び第2信号(F2)出力アンプから構成されている。
【0026】そして2相多周波数信号発生器において
は、2相多周波数信号生成ロジック回路51において、
発振器OSCの発生するマスタークロックを用いてF1
の周波数に対応するディジタル信号f1と、F2の周波
数に対応するディジタル信号f2を生成する。これらの
ディジタル信号を生成する演算式は次のものである。
【0027】
【数1】 この2相多周波数信号生成ロジック回路51の出力であ
るディジタル信号f1,f2それぞれはD/A変換器5
2−1,52−2によってD/A変換し、ローパスフィ
ルタ(LPF)53−1,53−2を通して高調波を除
去してからF1出力アンプ、F2出力アンプそれぞれに
出力する。
【0028】2相多周波数信号発生器とF1,F2それ
ぞれの出力アンプとの間にはアイソレーショントランス
54−1,54−2を設けてあり、これによって両者間
を絶縁し、かつ、LPF53−1,53−2の出力する
アナログ信号をF1,F2出力アンプそれぞれに伝達す
る。
【0029】F1出力アンプ、F2出力アンプでは、ア
ッテネータ55−1,55−2それぞれによって、帰還
アンプ57−1,57−2を経てフィードバックされる
信号により2相多周波数信号発生器側からの交流信号を
適当な振幅の波形にし、これを出力アンプ56−1,5
6−2によって増幅し、シャント抵抗58−1,58−
2を通してそれぞれ、F1パイロット信号、F2パイロ
ット信号として出力する。このF1,F2パイロット信
号が上述したカッド30の4心線に注入されるのであ
る。
【0030】上述の構成により、ケーブル15に注入す
るパイロット信号F1,F2の電流はケーブル15の線
径、敷設長等による線路抵抗とは無関係な一定とするこ
とができる。
【0031】こうしてケーブル15の選択されたカッド
30に2相多周波数のパイロット信号F1,F2が注入
されると、図8に示したように、カッド30の心線30
a〜30dを流れる交流パイロット信号F1,F2によ
ってそれらの周りに発生する磁界Bは、長さ方向(ケー
ブル15の軸方向)のどの位置においても一様な回転磁
界となる。
【0032】いま図8の(A)の状態で、心線30aの
信号が最大値(位相=90度)にあれば、これと対をな
す心線30bの信号は最小値(位相=−90度)をと
り、残りの心線30cの信号は心線30aの信号よりも
90度位相が遅れているので0(位相=0度)となり、
またこれを対をなす心線30dの信号も0(位相=−1
80度)である。
【0033】これから45度位相が進み、(B)の状態
になれば、心線30aの位相=135度であり、また心
線30cの位相=45度となり、共に1/√2となる。
そして心線30bの位相=−45度、心線30dの位相
=−135度となり、これらは共に1/√2となる。
【0034】以下、同様にして(C)の状態〜(H)の
状態へと順次進み、再び(A)の状態に戻る。
【0035】こうして、カッド30の周りに発生する磁
界Bは、長さ方向(ケーブル15の軸方向)のどの位置
においても回転磁界となるので、通信ケーブル15から
漏洩する磁束もその向きが回転するものとなる。このこ
とは、ケーブル15の周囲に磁気センサ40を置くと
き、この磁気センサ40に図9に示すような構造のもの
を用いれば、ある期間Tの間継続して磁束を計測するこ
とにより、それらのX軸検出コイルPX1,PX2、Y
軸検出コイルPY1,PY2にはそれらのコイルを必ず
透過する漏洩磁束を検出することができるようになる。
【0036】上記の磁気センサ40は図6に示し、また
図11にも示すパイロット信号受信器41と共にケーブ
ル探査器を構成するものである。この磁気センサ40の
構造は、次の通りである。外部からの磁気の影響を遮断
するためのリング状のシールド外殻42内に、周方向に
90度ずつ離れた4カ所の位置それぞれに、径方向の磁
束と交差するようにコア付きの検出コイルPX1,PY
1,PX2,PY2が配置してある。いま、ここでは説
明の便宜のために、横方向をX軸、縦方向をY軸とする
と、検出コイルPX1,PX2はX軸方向に相対し、検
出コイルPY1,PY2はY軸方向に相対する。
【0037】そしてX軸側の1対の検出コイルPX1,
PX2はそれらに同じ向きの磁束が透過するときに誘導
電圧の向きが加算されるように線を巻き、かつ両者を直
列に接続してある。同様に、Y軸側の1対の検出コイル
PY1,PY2についても、それらに同じ向きの磁束が
透過するときに誘導電圧の向きが加算されるように線を
巻き、かつ両者を直列に接続してある。そして、X軸側
の検出コイルPX1とY軸側の検出コイルPY1との線
の巻き方向は同じであり、またX軸側の検出コイルPX
2とY軸側の検出コイルPY2との線の巻き方向は同じ
である。
【0038】いま、図10に示すようにパイロット信号
がケーブル内のカッド30に流れていて(ここでは、簡
略化のために2本の心線のみが示してあるが、上述した
ようにカッド30に2相多周波数パイロット信号を流
す)、ある瞬間に図示した分布の磁束が生成されている
とする。
【0039】この場合、Y軸側の検出コイルPY1,P
Y2に対してカッド30から出たばかりで、磁束密度が
大きい径方向の磁束が透過し、これらの検出コイルPY
1,PY2に電圧(ここでは+側とする)を誘起し、そ
の重畳した大きな電圧信号がY軸出力として出力され
る。反対にX軸出力はほぼ0である。
【0040】また、図8で説明したように、これから位
相が90度進めば、磁束の向きも90度回転し、今度は
X軸側の検出コイルPX1,PX2に対してカッド30
から出たばかりで、磁束密度が大きい径方向の磁束が透
過し、これらの検出コイルPX1,PX2に電圧を誘起
し、その重畳した大きな電圧信号がX軸出力として出力
される。そしてY軸出力はほぼ0になる。
【0041】さらに位相が90度進めば、Y軸側の検出
コイルPY1,PY2に対して、先ほどとは逆向きの大
きな電圧信号(上記とは反対に−側)がY軸出力として
出力される。X軸出力は再びほぼ0となる。
【0042】そしてさらに90度位相が進めば、X軸側
の検出コイルPX1,PX2に対して、逆向きの大きな
電圧信号(−側)がX軸出力として出力される。Y軸出
力は再びほぼ0となる。
【0043】このようにして、2相交流パイロット信号
がカッド30に注入されているケーブル15に対して磁
気センサ40を当てれば、X軸出力、Y軸出力それぞれ
として、パイロット信号と周波数がほぼ一致する交流電
圧信号を取出すことができるのである。しかも、パイロ
ット信号が上述したように多周波数であれば、それぞれ
の周波数を含む交流電圧信号として取出すことができ
る。
【0044】そこで、磁気センサ40が出力するX軸、
Y軸の検出信号に対して、図11に示す構成のパイロッ
ト信号受信器41によって信号処理し、磁気センサ40
をあてがっているケーブルがパイロット信号の注入され
ている探査対象ケーブル15であるかどうかを判定す
る。
【0045】このパイロット信号受信器41は、磁気セ
ンサ40のX軸出力をX入力とし、Y軸出力をY入力と
する。そして前置アンプ43x,43yは、微弱なX入
力、Y入力それぞれを増幅し、バンドパスフィルタ44
x,44yによってパイロット信号の周波数帯域(ここ
では、500〜4500Hz帯域)以外の周波数信号を
除去し、中段アンプ45x,45yによってさらに増幅
し、マルチプレクサ46に渡す。
【0046】マルチプレクサ46は、所定の周期で中段
アンプ45x,45yのいずれかの信号をパスするよう
に切り替わり、X入力信号、Y入力信号を交互に一定期
間ずつアンチエイリアシングフィルタ47を経てA/D
変換器48に渡す。このアンチエイリアシングフィルタ
47は4500Hz以下の信号のみを通すローパスフィ
ルタである。A/D変換器48はマルチプレクサ46か
ら来るX信号、Y信号それぞれをA/D変換処理し、信
号処理部49に渡す。
【0047】信号処理部49は図12、図13に示す機
能構成である。まず、入力される多周波数ディジタル信
号に対して周波数スペクトルアナライザ49−1によっ
て各周波数毎のスペクトル強度を解析し(ステップS0
5)、スペクトル強度加算器49−2によって周波数毎
のスペクトル強度を一定時間だけ加算して周波数スペク
トル分布を求め、その結果を比較処理部49−3に渡す
(ステップS10,S15)。
【0048】比較処理部49−3は、記憶させてある2
相多周波数パイロット信号に対応する基準スペクトル分
布特性と、スペクトル強度加算器49−2から入力され
る、計測スペクトル分布特性とを比較し(ステップS1
6,S17)、その分布特性の類似度がよく一致してい
ればパイロット信号を磁気センサ40が検出しているも
のとして、探査対象となるケーブルの検出信号を出力す
る(ステップS18)。
【0049】比較処理部49−3によるケーブルの評価
は、図14による。図14は、磁気センサ40の検出す
る電圧信号をf1〜f10の10種類の周波数スペクト
ルに分析した結果を模式的に示したものである。周波数
f1〜f10のうち、パイロット信号として用いる周波
数はf1,f3,f5,f7,f9である。
【0050】(A)周波数スペクトル分析の結果が、図
14(A)に示すように、ノイズレベルが低く(例え
ば、スペクトル強度平均にして24dB以上の差があ
り)、かつ、パイロット信号周波数に対応する周波数ス
ペクトルがほぼ均一な強度を示す(例えば、5周波数の
スペクトル強度間の差が6dB以内である)場合には、
磁気センサ40をあてがっているケーブルが探査対象ケ
ーブルであると判定する。
【0051】(B)図14(B)に示すように、f2,
f4,f6,f8,f10の周波数スペクトル強度が大
きい場合(ノイズレベルが高い場合)には、活線状態の
ケーブルを磁気センサ40によって検査しているものと
見なすことができ、対象ケーブルではないと判定する。
【0052】(C)図14(C)に示すように、全周波
数のスペクトル強度が低い場合には、パイロット信号も
他の信号も流れていないケーブルであり、探査対象ケー
ブルではないと判定する。
【0053】こうして、磁気センサ40で検出した交流
電圧信号を周波数軸上で加算することにより、検出信号
の周波数分布特性を正確に計測し、パイロット信号に対
応する基準周波数分布特性との比較による探査判定の精
度を高めることができるのである。
【0054】なお、上記の磁気センサ40の4個の検出
コイルPX1,PX2,PY1,PY2のそれぞれは、
単体のコア付きのコイルであったが、これには、図15
〜図17に示す構造の磁気センサ400を採用すること
ができ、それによって、パイロット信号の検出感度をさ
らに向上させることができる。
【0055】この磁気センサ400は、PX1,PX
2,PY1,PY2それぞれに相当する検出コイルを周
方向に隣接する3つの分コイル405に分割し、かつそ
れらを直列に接続した構成にしている。これらの3つず
つの分コイル405で構成される検出コイルPX1,P
X2,PY1,PY2それぞれは、外部ケース401内
に収容してある。
【0056】外部ケース401は半リング状のケース半
体403−1,403−2の一端同士をヒンジ404に
よって結合し、それらの他端側にクランパ402を取り
付けた構造であり、開閉自在にして、かつリング状の閉
状態でクランパ402によって固定できるようにしてい
る。
【0057】外部ケース401の内部には、図16に詳
しく示したようなリング状で、かつ、径方向の中心に向
いて開口する断面凹字状をした磁気シールドケース40
7が収容してある。この磁気シールドケース407も外
部ケース401と同様に、半リング状のケース半体40
3−1,403−2それぞれの内部に収容した半リング
状のシールドケース半体407−1,407−2によっ
て構成される。
【0058】そして各シールドケース半体407−1,
407−2は、図16(b)に詳しいように、シールド
ケースA407A、シールドケースB407B及びシー
ルドケースC407Cの3層にして、断面形状が凹字状
となるようにしてある。
【0059】3つずつの分コイル405で構成される検
出コイルPX1,PX2,PY1,PY2それぞれは、
断面凹字状のシールドケース407の内側に開口する厚
み方向の中央の凹溝部分408内に、上述した所定の位
置関係にして取り付けてある。なお、各分コイル405
は、コイル405−1をコア405−2の周囲にケーブ
ル15の径方向の磁束と交差する向きに巻き付けた構造
である。
【0060】この磁気センサ400は、図17に示した
ように、ケーブル15に対して取り付ける際には、クラ
ンパ402を外してケース半体403−1,403−2
を開き、中にケーブルをくわえ込ませた後に、ケース半
体4−3−1,403−2を閉じ、クランパ402を嵌
ることにより行う。
【0061】磁気センサ400の回路構成は、図18及
び図19に示すものとなる。各検出コイルを構成する分
コイル405は同じ向きに巻かれており、かつ直列に接
続されている。そして、X軸に相対する検出コイルPX
1,PX2間、また、Y軸に相対する検出コイルPY
1,PY2間それぞれで巻き線の向きは、同じ向きの磁
束が透過するときに誘導電圧の向きが加算される向きで
あり、かつ両者を直列に接続してある。
【0062】このような磁気センサ400を用いても、
図9に示した磁気センサ40と同様の働きをする。しか
もこの磁気センサ400の場合には、次のような理由で
磁束検出特性が改善される。すなわち、図20(a)に
示すように、パイロット信号が流れているカッド30が
ケーブル15の中心位置にある場合、中央の分コイルと
共にその両側の分コイルにも磁束が交差するので、単体
の検出コイルの場合よりも感度が高くなる。
【0063】そして図20(b)に示すように、図9及
び図10に示した構造の磁気センサ40では、ケーブル
の最側面に信号線がある場合、例えば、検出コイルPX
1,PY1間のちょうど中間点にパイロット信号の流れ
ているカッド30が位置して、カッド30から検出コイ
ルPX1,PY1までのそれぞれの距離がカッド30か
ら磁気シールド42までの距離に比して大きい場合、カ
ッド30から放出される漏洩磁束は検出コイルPX1,
PY1を通る有効な磁束とはならず、磁気シールド42
内を通る成分が大となって感度が下がる。
【0064】つまり、図20(b)において、カッド3
0から出る漏洩磁束の大部分を占める磁束 (i)は紙面の
表裏それぞれの側に存在する磁気シールド(図示せず)
と図示した磁気シールド42内を通る磁束となり、わず
かな磁束(ii)が検出コイルPX1,PY1それぞれを通
る磁束となり、磁束 (iii)は無効磁束となり、さらに、
磁束(iv)は場合によっては他の検出コイルPX2,PY
2を通る可能性があるが、これはごく僅かであり、高い
感度を望めないのである。
【0065】これを補償するためには、各検出コイルP
X1,PX2,PY1,PY2の周方向の幅を広くして
各コイル間の距離、例えば、検出コイルPX1,PY1
間の距離を小さくすることが考えられる。しかしなが
ら、実際のパイロット信号が作る等価な小磁極はカッド
30の各対線が作るループの距離によって決まり、幅
0.5mm〜1.0mm程度の小さなものである。この
磁界が検出コイルの中心軸付近で接するような位置関係
のとき、信号磁界は検出コイルの有効な磁束としては作
用せず、感度が低下してしまうことになる。
【0066】そこで、これらの2つの問題点を解決する
ために、図20(a)に示すように各検出コイルPX
1,PX2,PY1,PY2それぞれを周方向に隣接す
る複数の分コイル405によって構成するのが有効なの
である。これにより、全体として、図9及び図10に示
した構造の磁気センサ40の場合よりも、分コイルで各
検出コイルPX1,PX2,PY1,PY2を構成して
いる本磁気センサ400の方がカッド30の位置によら
ず一様な感度を示し、より正確に探査対象ケーブル15
の検出ができるのである。
【0067】なお、図9に示す磁気センサ40、図15
〜図19に示す磁気センサ400のいずれにあっても、
探査パイロット信号に2相以上の交流信号を用いる場
合、そのコイルの厚み(つまり、ケーブルの長手方向の
厚み)dは探査対象ケーブル15内に通されている対撚
り線又はカッド30の撚りピッチLに対して小さければ
小さいほど感度を高めることができるが、最大でもd/
Lを1/3以下、実用上はd/Lを1/4以下にするの
が好ましい。その理由は次による。
【0068】図6に示したように探査対象ケーブル15
内の任意のカッド30に2相パイロット信号を注入した
場合、ケーブル15の断面位置においてパイロット信号
の流れているカッド30に発生する磁界は図8に示した
ように時間の推移と共に回転する回転磁界であるが、カ
ッド30は図4に示したようにケーブル15内で40m
m〜300mmのピッチの撚り構造になっているため、
ケーブル15の長手方向においても、同じ2相パイロッ
ト信号によってある瞬間瞬間に螺旋状の回転磁界を発生
させている。
【0069】このケーブル15の長手方向における回転
磁界は撚りピッチLの半分の距離だけ離れた2点では位
相が逆になっている。そこで、厚みdが撚りピッチの半
分程度、つまり、d=L/2程度であれば互いに逆相と
なっている磁界を同時に同じ検出コイルで検出すること
になり、検出出力はほとんど0になる。そこで、磁気セ
ンサ40,400の各検出コイルの厚みdは撚りピッチ
Lに対して、上述したように最大でもd/L≦1/3、
実用上はd/L≦1/4にすることにより、パイロット
信号の流れているカッド30又は対撚り線からの径方向
の漏洩磁束に対する指向性を良くすることができる。
【0070】さらに、磁気センサ40,400において
は、図16(b)の断面構造に見られるように、外殻の
磁気シールド407を断面凹字状にし、厚み方向の中央
部の凹部408の中に検出コイルPX1,PX2,PY
1,PY2(図9に示す磁気センサ40の場合),検出
コイル405(図15以下に示す磁気センサ400の場
合)それぞれが嵌り込み、その両側を磁気シールド40
7−A,407−Cによってすっぽり塞ぐ構造にするこ
とにより、側方や外周方向から入り込もうとする外部磁
束を遮断し、これらの検出コイルがその位置においてケ
ーブル15からその径方向に出てくる漏洩磁束のみを検
出することができ、この点からもセンサの径方向の漏洩
磁束に対する指向性を良くすることができる。
【0071】なお、上記の理論は検出コイル2極のセン
サにあっても同様に適用することができる。また、ホー
ル素子、磁気抵抗素子などの磁電変換素子を検出コイル
の代わりに採用した磁気センサにあっても等しく適用す
ることができる。
【0072】次に、ケーブル探査のために探査対象ケー
ブル15の端部から任意の近接する4本の心線(以下、
「擬似カッド」と称する。厳密なカッドを構成する4本
1組の心線それぞれに接触ピンそれぞれが接触するわけ
ではないが、後述する理由で正規の星型カッドに接触さ
せたものと同等の作用効果を期待することができる。)
に対してパイロット信号を注入するためのパイロット信
号注入装置60について、図21以下を用いて説明す
る。ケーブル15のシールド外被に添わせて全体を支持
するためのベース61に対して第1アーム63Aがねじ
止めされ、この第1アーム63Aの先端に、ジョイント
62により短尺の第2アーム63Bが結合されている。
ジョイント62には第1アーム63Aに対して第2アー
ム63Bを垂直面内で回転させ、かつ、任意の角度で固
定するための第1調節ねじ64が設けられており、ま
た、ジョイント62に対して第2アーム63Bをその軸
周りに回転させ、かつ任意の向きに固定するための第2
調節ねじ65が設けられている。
【0073】第2アーム63Bの先端部にはヘッド部材
66が取り付けられ、このヘッド部材66に、4個の接
触ピン67a〜67dが取り付けられている。図23に
詳しいように、この接触ピン67a〜67bのそれぞれ
は、ヘッド部材66に対して軸方向に弾性的に進退でき
るように、スプリングを内蔵するプローブピンの構造を
有している。そして各接触ピン67a〜67dには、図
7に示したようなパイロット信号発生器12に接続して
パイロット信号を導くためのリード線69a〜69dが
接続されている。
【0074】接触ピン67a〜67dそれぞれの先端は
丸くして心線の端面に確実に接触できるようにしてあ
る。また同じ心線に対して2個の接触ピンが同時に接触
しない配置にしてある。
【0075】図22に詳しいように、ベース61はケー
ブルに添接させる部分を直角な内コーナーの形状にし、
かつ、その部分にシリコーンゴムを貼って滑り止め68
としている。また図21に示すように、第1アーム63
Aには、ケーブルに添接して全体を手早く固定するため
に、マジックファスナー付きベルト(マジックバンド)
70を固定具として取り付けてある。
【0076】上記の構造のパイロット信号注入装置60
は、探査対象ケーブルにその端部からパイロット信号を
注入するために使用する。図24に示すように、使用に
際しては探査対象ケーブル15の端部の側面にベース6
1をあてがい、マジックバンド70をケーブル15に回
して固定する。
【0077】そして、第1調節ねじ64と第2調節ねじ
65によってヘッド部材66のケーブル15の端面に対
する位置を調節し、接触ピン67a〜67dを任意の位
置の擬似カッドを構成する4本の心線それぞれに圧接さ
せる。
【0078】この作業の後、パイロット信号発生器15
によりパイロット信号を供給することにより、接触ピン
67a〜67d各々が接触している心線に対してパイロ
ット信号を注入する。
【0079】ここで、任意の位置の擬似カッドを構成す
る4本の心線とは次のものである。図2〜図4に示した
ように、ケーブル15内において正規の星型カッドは、
例えば、100対単位(心線の径によってその数は異な
る)で1束のカッド束22としてまとめられ、これが、
例えば、ケーブル15の中心部に1束、そして、その周
囲に密接するように5〜7束、そしてさらにその外周に
密接して多くの束数のカッド束22が配置され、これら
がケーブル15のシールド外被20によって被覆された
構造であるので、1つの同一のカッド束22内に存在す
る心線23は長尺のケーブル15においてその長さ方向
のどの位置においてもほぼ近接した位置関係を保ってい
る。したがって、厳密に正規のカッドを構成する4本の
心線それぞれにパイロット信号を注入しなくても、カッ
ド束22内で近接する4本の心線を選択してパイロット
信号を注入するようにすれば、上述したケーブル探査方
法と同様にケーブル探査ができることになるのである。
【0080】このように、このパイロット信号注入装置
60は、簡単に探査対象ケーブル15の端部に手早く取
り付けてパイロット信号を注入することができ、特に、
ケーブル撤去作業などでは許されている短時間の内に撤
去対象となるケーブルを探索して切断、撤去する必要が
あるが、このパイロット信号注入装置60を採用するこ
とによってパイロット信号注入の準備作業が短時間の内
に簡単に行える。
【0081】なお、上記のパイロット信号注入装置で
は、ケーブルに対する固定のための固定具にマジックバ
ンド70を採用したが、手早く固定する手段として、他
に、ベースの内側に剣山を設け、ケーブルの外被に食い
込ませて固定するようにしたもの、オーバーセンターバ
ックルを備えたベルト、吸盤などを採用することができ
る。
【0082】また、上記の実施の形態では4本の心線そ
れぞれに2相交流パイロット信号を注入するためのもの
を示したが、これに限らず、2本の心線に単相交流パイ
ロット信号を注入するために用いる場合、接触ピンを2
個だけ備えたものにすることができ、また3本の心線に
3相交流パイロット信号を注入するために用いる場合、
接触ピンを3個だけ備えたものにすることもできる。
【0083】次に、本発明によるケーブル探査方法によ
るシミュレーション結果を表1〜表8及び図25〜図2
8のグラフによって説明する。
【0084】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】 表1は、2本撚り線(Pair)に単相交流パイロット
信号を注入し、4極それぞれに3分割コイルを配した磁
気センサ400を用いてケーブル探査を行った場合
(「3×4pole,Pair 単相ドライブ」、以下
同じ)で、パイロット信号の流れている2本撚り線がケ
ーブル中心(0mm,0mm)に位置した場合、中心か
らX軸方向(横軸)、Y軸方向(縦軸)それぞれにずれ
た各位置に位置する場合の探査のシミュレーション結果
を示している。これをグラフにしたものが、図25であ
る。
【0085】表2は、同じく4極それぞれに3分割コイ
ルを配した磁気センサ400を用い、カッドに2相交流
パイロット信号を注入してケーブル探査を行った場合
(「3×4pole,Quad 2相ドライブ」、以下
同じ)で、表1の場合と同じようにカッドがケーブル中
心(0mm,0mm)に位置した場合、中心からX軸方
向(横軸)、Y軸方向(縦軸)それぞれにずれた各位置
に位置する場合の探査のシミュレーション結果を示して
いる。これをグラフにしたものが、図26である。
【0086】この「3×4pole,Quad 2相ド
ライブ」、「3×4pole,Pair 単相ドライ
ブ」のシミュレーション結果より、同じ仕様の磁気セン
サ400を用いて同じ場所でパイロット信号を探査した
場合、カッド又は2本撚り線が(±30mm,±30m
m)の位置にある場合(各グラフにおける4隅の位置に
ある場合)の検出特性を見ると、2相交流パイロット信
号を注入した方が高い感度を示していることが分かり、
より正確にケーブル探査ができることが明らかである。
【0087】表3は、カッドに2相交流パイロット信号
を注入し、4極それぞれに単体コイルを配した磁気セン
サ40を用いてケーブル探査を行った場合(「1×4p
ole,Quad 2相ドライブ」、以下同じ)で、パ
イロット信号の流れているカッドがケーブル中心(0m
m,0mm)に位置した場合、中心からX軸方向(横
軸)、Y軸方向(縦軸)それぞれにずれた各位置に位置
する場合の探査のシミュレーション結果を示している。
これをグラフにしたものが、図27である。
【0088】表4は、同じく4極それぞれに単体コイル
を配した磁気センサ40を用い、2本撚り線に単相交流
パイロット信号を注入してケーブル探査を行った場合
(「1×4pole,Pair 単相ドライブ」、以下
同じ)で、表3の場合と同じように2本撚り線がケーブ
ル中心(0mm,0mm)に位置した場合、中心からX
軸方向(横軸)、Y軸方向(縦軸)それぞれにずれた各
位置に位置する場合の探査のシミュレーション結果を示
している。これをグラフにしたものが、図28である。
【0089】この「1×4pole,Quad 2相ド
ライブ」、「1×4pole,Pair 単相ドライ
ブ」のシミュレーション結果からは、同じ仕様の磁気セ
ンサ40を用いて同じ場所でパイロット信号を探査した
場合、2相交流パイロット信号を注入した方が、ケーブ
ル内のパイロット信号の流れている位置によらずほぼ均
一な検出値が得られることが分かり、信頼性の高いケー
ブル探査ができることが明らかである。
【0090】さらに、表1及び図25と表4及び図28
との比較、また表2及び図26と表3及び図27との比
較により、「3×4pole」の磁気センサ400の場
合、パイロット信号が単相である場合でも2相である場
合でも、「1×4pole」の磁気センサ40の場合よ
りも高い検出値を得ると共にカッド又は2本より線の位
置によらず一様な感度を示していることが分かる。
【0091】以上により、本発明によれば、次のことが
結論できる。
【0092】(1)パイロット信号として3本以上の心
線を用いて多相交流パイロット信号を注入してケーブル
探査を行う方が、2本線に対して単相交流パイロット信
号を注入してケーブル探査を行うよりも信頼度の高いケ
ーブル探査ができる。
【0093】そして、この場合、磁気センサに2極コイ
ルのもの、4極コイルのもの、さらには2極、4極それ
ぞれに分割コイルを用いたもののいずれにあっても同様
の結果が得られる。
【0094】(2)同じ多相交流パイロット信号の注入
によるケーブル探査の場合には、多周波数信号を用いる
方が、外来の雑音磁束による影響を受けにくく、信頼度
の高いケーブル探査ができる。
【0095】そして、この場合にも、磁気センサに2極
コイルのもの、4極コイルのもの、さらには2極、4極
それぞれに分割コイルを用いたもののいずれにあっても
同様の結果が得られる。
【0096】(3)2極コイルで構成される磁気センサ
よりも、4極コイルで構成される磁気センサの方が感度
が高く、また安定しており、信頼度の高いケーブル探査
ができる。
【0097】(4)磁気センサに2極コイルのもの、4
極コイルのもののいずれを用いる場合でも、それらの各
極のコイルが単体コイル構成であるよりも、分割コイル
構成である方が感度がよい。
【0098】なお、上記の説明では心線やカッドからの
漏洩磁束をコア付きの検出コイルによって検出すること
にしているが、漏洩磁束の検出はかかる構造のものに限
定されることはなく、例えば、ホール素子や磁気抵抗素
子のような磁電変換素子を各極に単体で、もしくは複数
を隣接させた配置にして用いることもでき、同様の作用
効果を奏する。
【0099】
【発明の効果】請求項1の発明のケーブル探査器によれ
ば、磁気センサの各磁電変換素子が出力する電圧信号を
互いにうち消し合うことなく周波数帯毎に加算した周波
数スペクトル分布を得ることができて、交流パイロット
信号の周波数分布との波形特性の比較によって正確に探
査対象ケーブルを見つけだすことができる。
【0100】請求項2の発明のケーブル探査器によれ
ば、複数の周波数帯ごとの波形特性、また複数の周波数
帯それぞれのスペクトル分布態様をパイロット信号のも
のと比較することができ、探査対象ケーブルの判定の信
頼性をさらに高めることができる。
【0101】請求項3の発明のケーブル探査器によれ
ば、磁束の向き、強度分布に偏りがあっても、いずれか
の位置の磁電変換素子で感度よく検出することができ、
微弱な磁束を感度よく検出することができて探査対象ケ
ーブルの検出精度をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なケーブル探査方法の原理を示す説明
図。
【図2】通信ケーブルの断面図。
【図3】カッドの断面図。
【図4】通信ケーブル内のカッドの位置変化と、カッド
の撚りを示す説明図。
【図5】カッドに対するパイロット信号の注入方法を示
す断面図。
【図6】カッドにパイロット信号を注入してケーブル探
査を行う探査原理を示す回路図。
【図7】ケーブルのカッドにパイロット信号を注入する
ために使用する2相多周波数パイロット信号発生器の回
路図。
【図8】カッドに対して2相交流パイロット信号を注入
した場合に、カッドに生じる回転磁束の動きを示す説明
図。
【図9】ケーブル探査に用いるケーブル探査器における
磁気センサの説明図。
【図10】磁気センサによる磁気検出動作の説明図。
【図11】ケーブル探査器の検出アンプの回路図。
【図12】上記の検出アンプにおける信号処理部の内部
構成を示すブロック図。
【図13】上記の信号処理部によるケーブル評価処理を
示すフローチャート。
【図14】上記の信号処理部による周波数スペクトル分
布に基づくケーブル評価処理を示す説明図。
【図15】分割コイルを備えた磁気センサの平面図及び
正面図。
【図16】上記の磁気センサの内部構造を示す平面図及
び一部破断正面図。
【図17】上記の磁気センサの使用説明図。
【図18】上記の磁気センサの回路図。
【図19】上記の磁気センサの磁気回路の説明図。
【図20】上記の磁気センサの磁束検出動作の説明図。
【図21】パイロット信号注入装置の斜視図。
【図22】上記のパイロット信号注入装置の正面図及び
側面図。
【図23】上記のパイロット信号注入装置のヘッド部材
と接触ピンの構造を示す断面図及び側面図。
【図24】上記のパイロット信号注入装置の使用方法を
示す説明図。
【図25】3分割コイル4極構造の磁気センサによる2
相パイロット信号に対する検出特性のグラフ。
【図26】3分割コイル4極構造の磁気センサによる単
相パイロット信号に対する検出特性のグラフ。
【図27】単体コイル4極構造の磁気センサによる2相
パイロット信号に対する検出特性のグラフ。
【図28】単体コイル4極構造の磁気センサによる単相
パイロット信号に対する検出特性のグラフ。
【符号の説明】
12 パイロット信号発生器 13 ケーブル探査器 15 通信ケーブル 20 シールド外被 23 心線 30 カッド 30a〜30d 心線 40 磁気センサ 41 検出アンプ 43x,43y 前置アンプ 44x,44y バンドパスフィルタ 45x,45y 中段アンプ 46 マルチプレクサ 47 アンチエイリアシングフィルタ 48 A/D変換器 49 信号処理部 49−1 スペクトルアナライザ 49−2 スペクトル強度加算器 49−3 比較処理部 400 磁気センサ 401 外部ケース 402 クランパ 403−1,403−2 ケース半体 405 分コイル 407 シールドケース 60 パイロット信号注入装置 61 ベース 62 ジョイント 63A 第1アーム 63B 第2アーム 64 第1調節ねじ 65 第2調節ねじ 66 ヘッド部材 67a〜67d 接触ピン 70 マジックバンド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 正 東京都新宿区西新宿8丁目14番24号 エ ヌ・ティ・ティ・ファネット・システム ズ株式会社内 (72)発明者 進藤 章 東京都新宿区西新宿8丁目14番24号 エ ヌ・ティ・ティ・ファネット・システム ズ株式会社内 (72)発明者 坂田 雅夫 大阪府大阪市中央区島之内2丁目14番11 号 株式会社エヌ・ティ・ティ・テレコ ムエンジニアリング関西内 (72)発明者 吉田 佑一 神奈川県相模原市鹿沼台1丁目9番15号 310 ブレン・チャイルド株式会社内 (72)発明者 杉山 和幸 神奈川県相模原市鹿沼台1丁目9番15号 310 ブレン・チャイルド株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−211057(JP,A) 特開 平4−350591(JP,A) 特開 昭62−261075(JP,A) 特開 昭59−677(JP,A) 特開 平9−15287(JP,A) 特開 平6−342025(JP,A) 特開 平10−2927(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01R 31/02 G01V 3/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 探査対象ケーブルに端部から任意の複数
    本の心線に交流パイロット信号を注入し、探査位置にお
    いて、任意のケーブルに当該ケーブル探査器をあてがっ
    て、前記交流パイロット信号による磁束が当該任意のケ
    ーブルから出ているかどうかを感知することにより当該
    任意のケーブルが探査対象ケーブルであるかどうか判定
    するためのケーブル探査器にあって、 前記任意のケーブルの周面に近接し、かつ当該任意のケ
    ーブルを挟んで互いに反対側となる位置に、それぞれに
    対して当該任意のケーブルから径方向に出る磁束が交差
    するように配置した少なくとも1対の磁電変換素子を有
    する磁気センサと、 前記磁電変換素子それぞれから出力される電圧信号に対
    して、周波数スペクトル分析を行うスペクトルアナライ
    ザと、 前記スペクトルアナライザが分析した各周波数毎のスペ
    クトル強度を加算して周波数スペクトル分布を求める周
    波数スペクトル分布演算手段と、 前記周波数スペクトル分布演算手段による周波数スペク
    トル分布を前記交流パイロット信号に対応する基準周波
    数スペクトル分布と比較し、その類似度に基づいて前記
    任意のケーブルが前記探査対象ケーブルであるかどうか
    判定するケーブル判定手段とを備えて成るケーブル探査
    器。
  2. 【請求項2】 前記交流パイロット信号に複数の異なる
    周波数信号を用いることを特徴とする請求項1に記載の
    ケーブル探査器。
  3. 【請求項3】 前記磁気センサにおける前記磁電変換素
    子を前記任意のケーブルの円周方向に沿って90度ずつ
    離れた4カ所に配置し、かつ、前記磁電変換素子各々を
    互いに円周方向に隣接し、直列接続された複数の分割磁
    電変換素子で構成し、 前記任意のケーブルを挟んで相対する2カ所の磁電変換
    素子同士の電圧信号をアナログ的に加算した後、前記ス
    ペクトルアナライザに入力することを特徴とする請求項
    1又は2に記載のケーブル探査器。
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