JP4406193B2 - 電力ケーブルの劣化診断方法及び電力ケーブルの劣化診断用装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力ケーブルの劣化診断方法及び電力ケーブルの劣化診断に用いる装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、水トリー等の電力ケーブルの劣化に起因する微弱な高調波電流を検出する方法及びこれに用いる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高電圧の電力ケーブル線路においては、布設および保守管理の容易等から架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブル(以下、CVケーブルという)が主に使用されているが、このCVケーブルには、水トリーによる絶縁劣化の問題がある。水トリーとは、CVケーブルを水に浸した状態にしておくと、その水が、電界の影響を受けて、樹木が成長するような形で、そのケーブルの絶縁物内部に進展し、絶縁破壊を起こす現象である。この絶縁劣化現象は、ケーブル線路を保守管理する上で重要な診断事項となる。
【0003】
水トリー劣化したCVケーブルに電圧を印加すると、高調波電流(特に、印加電圧の周波数(基本波周波数)の3倍高調波電流(3次高調波電流))が流れることが知られている。そこで、従来技術では、CVケーブルを電力系統から切り離したオフラインの状態で、当該CVケーブルに電圧を印加して、3倍高調波電流成分の有無を調べて、当該CVケーブルが水トリー劣化しているかどうかを診断している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のCVケーブルの水トリー劣化診断は、CVケーブルを電力系統から切り離したオフラインの状態で行われており、稼動状態(即ちオンライン)にあるCVケーブルの水トリー劣化診断は、実現されていない。これは、負荷電流(基本波電流)と比較して、高調波電流が極めて微小であることが原因と考えられる。例えば300Aの負荷電流に含まれ得る3倍高調波電流は600μA程度である。そうすると、3倍高調波電流を検出する電流センサには、6桁のダイナミックレンジが求められるが、従来の電流センサを用いて6桁のダイナミックレンジを実現することは困難である。従って、微小な高調波電流を測定するために、単純に電流センサの感度を高めると、高調波電流と比較して極めて大きい負荷電流の値によって電流センサが飽和(オーバフロー、サチレーション)してしまう。
【0005】
そこで本発明は、稼動状態にある電力ケーブルに対しても、水トリー等の電力ケーブルの劣化に起因する微弱な高調波電流を検出できる電力ケーブルの劣化診断方法及び電力ケーブルの劣化診断に用いる装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の電力ケーブルの劣化診断方法は、電力ケーブルの2箇所で測定を行い測定箇所の間の区間における電力ケーブルの劣化を診断する方法であって、各測定箇所毎に、電力ケーブルの中心導体を流れる電流と相関する物理量を得て、当該得られた物理量のうち電力ケーブルの中心導体を流れる基本波電流と相関する成分を除き、当該除かれた後の物理量に基づいて電力ケーブルの中心導体を流れる高調波電流を求め、2箇所の測定箇所について求めた高調波電流の差を求め、当該差がゼロでない或いは当該差の絶対値が一定値以上の場合に2箇所の測定箇所の間の区間における電力ケーブルが劣化していると診断するようにしている。
【0007】
また、請求項2記載の電力ケーブルの劣化診断に用いる装置は、電力ケーブルの2箇所の測定箇所に設置され、請求項1記載の電力ケーブルの劣化診断方法の実施に用いられる装置であって、電力ケーブルの中心導体を流れる電流と相関する物理量を検出する物理量検出手段と、物理量検出手段により検出された物理量のうち電力ケーブルの中心導体を流れる基本波電流と相関する成分を除く基本波成分除去手段と、基本波成分除去手段により電力ケーブルの中心導体を流れる電流の基本波と相関する成分を除かれた物理量に基づいて電力ケーブルの中心導体を流れる高調波電流を求める電流測定手段とを有するようにしている。
【0008】
したがって、電力ケーブルの中心導体を流れる電流と相関する検出された物理量について、電気信号に変換する前に、電力ケーブルの劣化診断に不必要な負荷電流(基本波電流)に基づく成分をキャンセルする。これにより、基本波電流と比較して極めて微弱な高調波電流に基づく電気信号のみを得ることができる。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の電力ケーブルの劣化診断に用いる装置において、物理量検出手段は、光源と、光源が発生する光を伝送し且つ電力ケーブルの中心導体を流れる電流によってファラデー効果を発現する光伝送媒体とを有し、光伝送媒体は、電力ケーブルの中心導体を流れる電流によって光伝送媒体を通る光の偏光面が回転するように配置され、基本波成分除去手段は、補償用電流を発生する補償用電流発生手段と、補償用電流が流れる補償用導線とを有し、補償用導線は、光伝送媒体を通る光の偏光面の回転を、補償用電流によって電力ケーブルの中心導体を流れる基本波電流と相関する分だけ戻すように配置され、電流測定手段は、光伝送媒体を通る光の偏光面の回転角に基づいた電気信号を出力する手段を有するようにしている。
【0010】
したがって、光源から照射され光伝送媒体内を通過する光の偏光面は、電力ケーブルの中心導体を流れる電流(基本波電流+高調波電流)の影響を受けてファラデー効果により回転するが、補償用電流が補償用導線を流れることにより、基本波電流に相当する分だけ逆回転する。したがって、電流測定手段に入力される光の偏光面の回転角は、基本波電流に相関する分はキャンセルされ、高調波電流に相関するもののみとなる。これにより、基本波電流と比較して極めて微弱な高調波電流に基づく電気信号のみを得ることができる。
【0011】
また、請求項4記載の発明は、請求項2記載の電力ケーブルの劣化診断に用いる装置において、物理量検出手段は、電力ケーブルを囲うように配置され尚且つ電力ケーブルの中心導体を流れる電流によって発生する磁界を検出する物であり、基本波成分除去手段は、補償用電流を発生する補償用電流発生手段と、補償用電流が流れる補償用導線とを有し、補償用導線は、電力ケーブルの中心導体を流れる電流に起因して物理量検出手段で検出された磁界を、補償用電流によって電力ケーブルの中心導体を流れる基本波電流と相関する分だけ打ち消すように物理量検出手段に巻き回され、電流測定手段は、物理量検出手段で検出された磁界の大きさに基づいた電気信号を出力する手段を有するようにしている。
【0012】
この場合、電力ケーブルの中心導体を流れる電流(基本波電流+高調波電流)の影響を受けて発生する磁界が、物理量検出手段により検出される。一方、補償用電流が補償用導線を流れることによって、電力ケーブルの中心導体を流れる電流に起因して物理量検出手段で検出された磁界のうち、電力ケーブルの中心導体を流れる基本波電流と相関する分だけがキャンセルされる。したがって、電流測定手段では、電力ケーブルの中心導体を流れる高調波電流のみに起因して生じた磁界に応じた電気信号が出力される。これにより、基本波電流と比較して極めて微弱な高調波電流に基づく電気信号のみを得ることができる。
【0013】
また、請求項5記載の発明は、請求項3または4に記載の電力ケーブルの劣化診断に用いる装置において、補償用電流発生手段は、電力ケーブルの中心導体を流れる電流と相関する物理量を検出して当該物理量に基づいた電気信号を出力する電気信号生成手段と、電気信号生成手段により得られた電気信号のうち目的とする周波数成分を抽出する手段と、電気信号生成手段により得られた電気信号の位相および振幅を調節する手段とを有するものとしている。したがって、電気信号生成手段では、電力ケーブルの中心導体を流れる電流に対応した電気信号を出力する。この電気信号は、目的とする周波数成分を抽出され、位相が適正化され、振幅(ゲイン)が適正化されて、補償用電流として調整される。
【0014】
また、請求項6記載の発明は、請求項3または4に記載の電力ケーブルの劣化診断に用いる装置において、補償用電流発生手段は、電流測定手段において出力される電気信号を取得する電気信号取得手段と、電気信号取得手段により得られた電気信号のうち目的とする周波数成分を抽出する手段と、電気信号取得手段により得られた電気信号の位相および振幅を調節する手段とを有するものとしている。この場合、電流測定手段が出力する電気信号を利用して補償用電流を生成し、ネガティブフィードバックをかける構成となる。
【0015】
また、請求項7記載の発明は、請求項2から6のいずれかに記載の電力ケーブルの劣化診断に用いる装置において、電流測定手段により電力ケーブルの中心導体を流れる3倍高調波電流を求めるようにしている。したがって、例えば、電力ケーブルの任意の区間ごと(例えば電力ケーブルの接続部ごと)に、3倍高調波電流を測定し、区間の両端で測定された3倍高調波電流の差をとって、当該差の大きさに基づいて、当該区間において電力ケーブルが水トリー劣化しているか否か診断できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1に本発明の電力ケーブルの劣化診断方法及び電力ケーブルの劣化診断に用いる装置(以下、単に劣化診断用装置という)の実施の一形態を示す。本発明の電力ケーブルの劣化を診断する方法は、電力ケーブル1の2箇所で測定を行い測定箇所の間の区間における電力ケーブル1の劣化を診断するものであって、各測定箇所毎に、電力ケーブル1の中心導体を流れる電流と相関する物理量を得て、当該得られた物理量のうち電力ケーブル1の中心導体を流れる基本波電流と相関する成分を除き、当該除かれた後の物理量に基づいて電力ケーブル1の中心導体を流れる高調波電流を求め、2箇所の測定箇所について求めた高調波電流の差を求め、当該差がゼロでない或いは当該差の絶対値が一定値以上の場合に2箇所の測定箇所の間の区間における電力ケーブル1が劣化していると診断するようにしている。
【0018】
また、電力ケーブル1の劣化診断用装置は、電力ケーブル1の2箇所の測定箇所に設置され、上記の電力ケーブルの劣化診断方法の実施に用いられるものであって、電力ケーブル1の中心導体を流れる電流と相関する物理量を検出する物理量検出手段2と、物理量検出手段2により検出された物理量のうち電力ケーブル1の中心導体を流れる基本波電流と相関する成分を除く基本波成分除去手段3と、基本波成分除去手段3により電力ケーブル1の中心導体を流れる電流の基本波と相関する成分を除かれた物理量に基づいて電力ケーブル1の中心導体を流れる高調波電流を求める電流測定手段4とを有して構成される。
【0019】
水トリー劣化したCVケーブルの中心導体には、3倍高調波電流が流れることが知られている。従って、例えば、CVケーブルの任意の区間ごと(例えばCVケーブルの接続部ごと)に、3倍高調波電流を測定し、区間の両端で測定された3倍高調波電流の差をとって、当該差がゼロでなければ、或いは当該差の絶対値が一定値以上であれば、当該区間においてCVケーブルが水トリー劣化していると考えられる。本実施形態では、対象となる電力ケーブルをCVケーブル1とし、対象となる劣化態様を水トリーとして、本発明をCVケーブル1の水トリー劣化診断方法及びCVケーブル1の水トリー劣化診断用装置として具現化する例について説明する。本実施形態では、電流測定手段4によりCVケーブル1の中心導体を流れる3倍高調波電流を求めるようにしている。例えば本実施形態において、CVケーブル1の印加電圧の基本波周波数は50Hzであり、3倍高調波電流とは150Hzの周波数成分のみを有する電流成分のことを指す。
【0020】
本実施形態における物理量検出手段2は、光源5と、その光源5が発生する光を伝送し且つ電力ケーブル1の中心導体を流れる電流(以下、単に電力ケーブル1を流れる電流という)によってファラデー効果を発現する光伝送媒体6とを有するものとしている。光源5は、特に限定されるものではなく、例えば半導体レーザなどの周知の光源を採用して良い。光伝送媒体6は、例えば光ファイバである。光伝送媒体6としての光ファイバは、電力ケーブル1を流れる電流によって光伝送媒体6を通る光の偏光面が回転するように、電力ケーブル1に巻き付けるように配置される。光伝送媒体6としての光ファイバを電力ケーブル1に巻き付けることにより、周回積分したことになり、電力ケーブル1を流れる電流に応じた信号を検出することができる。例えば本実施形態では、電流測定手段4の感度を高めるために、光伝送媒体6としての光ファイバを電力ケーブル1の周囲に複数回巻き回すようにしている。
【0021】
本実施形態における基本波成分除去手段3は、補償用電流を発生する補償用電流発生手段7と、補償用電流が流れる補償用導線8とを有するものとしている。補償用導線8は、光伝送媒体6を通る光の偏光面の回転を、補償用電流によって電力ケーブル1の中心導体を流れる基本波電流(以下、単に電力ケーブル1を流れる基本波電流という)と相関する分だけ戻すように、光伝送媒体6と直交するように配置される。ここで、本実施形態では、補償用電流を小さく抑える等のために、光伝送媒体6を補償用導線8の周囲に複数回巻き回すようにしている。尚、光伝送媒体6を補償用導線8の周囲に複数回巻き回すと共に、補償用導線8を更に光伝送媒体6に複数回巻き回すようにしても良い。また、光伝送媒体6を補償用導線8の周囲に巻き回さずに、補償用導線8を光伝送媒体6に複数回巻き回すようにしても良い。
【0022】
光伝送媒体6を電力ケーブル1の周囲に巻き回す巻数、光伝送媒体6を補償用導線8の周囲に巻き回す巻数、補償用導線8を光伝送媒体6に巻き回す巻数、補償用電流の大きさは、電力ケーブル1を流れる電流に起因する光伝送媒体6を通る光の偏光面の回転を、補償用電流によって、電力ケーブル1を流れる基本波電流と相関する分だけ戻すことができるように調整される。例えば、光伝送媒体6を電力ケーブル1の周囲に巻き回す巻数n1と、光伝送媒体6を補償用導線8の周囲に巻き回す巻数n2と、補償用導線8を光伝送媒体6に巻き回す巻数n3と、電力ケーブル1を流れる負荷電流(基本波電流)の大きさI1と、補償用電流の大きさI2との関係は、次式が成立するように設定される。
【0023】
【数1】
I1×n1=I2×n2×n3
【0024】
また、光伝送媒体6を補償用導線8の周囲に巻き回す方向、補償用導線8を光伝送媒体6の周囲に巻き回す方向、補償用電流の方向は、電力ケーブル1を流れる電流に起因する光伝送媒体6を通る光の偏光面の回転を、補償用電流によって、電力ケーブル1を流れる基本波電流と相関する分だけ戻すように、設定される。
【0025】
光伝送媒体6における光の進行方向の端は、電流測定手段4に接続される。この電流測定手段4は、光伝送媒体6を通る光の偏光面の回転角を検出し、当該回転角に基づいて電気信号を出力する光検出器9を有している。尚、この光検出器9には、ファラデー効果を利用した周知の電流計に用いられ、偏光ビームスプリッタ、偏光子、フォトダイオード等を備えるO/E(光・電気)変換回路など有して構成される周知の装置を採用して良い。また、本実施形態の電流測定手段4は、光検出器9より出力された電気信号を増幅する増幅器10と、光検出器9より出力された電気信号のうち目的とする周波数成分を抽出する手段11と、電気信号をデジタル化して記憶する記憶装置12とを更に有するようにしている。増幅器には、例えば周知のアンプ10を採用して良い。光検出器9より出力された電気信号のうち目的とする周波数成分を抽出する手段には、例えば本実施形態では、3倍高調波成分である150Hzを中心とする狭帯域のバンドパスフィルタ11を用いている。また、記憶装置12は、例えば図示しないが、周知のA−D変換器と、周知の書換可能なメモリとで構成される。
【0026】
また、本実施形態における補償用電流発生手段7は、電力ケーブル1を流れる電流と相関する物理量を検出して当該物理量に基づいた電気信号を出力する電気信号生成手段13と、電気信号生成手段13により得られた電気信号のうち目的とする周波数成分を抽出する手段14と、電気信号生成手段13により得られた電気信号の位相および振幅を調節する手段15,16とを有するようにしている。
【0027】
電気信号生成手段13は、電力ケーブル1を切断等することなく、稼動状態即ちオンラインの状態にある電力ケーブル1を流れる電流に応じた電気信号を得ることができる手段である。この電気信号生成手段13の構成は、特に限定されるものではない。例えば、図示を省略するが、光源と、この光源が発生する光を伝送し且つ電力ケーブル1を流れる電流によってファラデー効果を発現する光ファイバと、この光ファイバを通る光の偏光面の回転角に基づいて電気信号を出力する光検出器とを備えた周知のファイバ形電流計を、電気信号生成手段13として利用できる。また、図示を省略するが、電力ケーブル1を囲うように配置されると共に開閉可能に構成される環状鉄心に、コイルを巻いて、当該コイルから電磁誘導に起因する電気信号を得る周知の鉄心型CTまたはクランプ電流計を、電気信号生成手段13として利用できる。さらに、図示を省略するが、電力ケーブル1を囲うように配置されると共にギャップ(隙間)部が設けらている環状鉄心と、環状鉄心のギャップ部に配置されて環状鉄心内の磁束を測定するホール素子と、環状鉄心に巻き回されるコイルとを有し、環状鉄心中内に磁束が生じないように環状鉄心に巻き回されたコイルに流れる電流を調整する周知のクリップオン電流計を、電気信号生成手段13として利用できる。さらに、図示を省略するが、電力ケーブル1を囲うように配置されると共にギャップ(隙間)部が設けらている環状鉄心と、環状鉄心のギャップ部に配置されて当該ギャップ部における磁界の強さに応じた光量の光信号を出力する光CTセンサと、この光信号を電気信号に変換するO/E(光・電気)変換回路等を有する周知のギャップ付鉄心形光CT(光電流変成器)を、電気信号生成手段13として利用できる。例えば本実施形態では、鉄心型CTを電気信号生成手段13として用いている。
【0028】
電気信号生成手段13により得られた電気信号のうち目的とする周波数成分を抽出する手段として、例えば本実施形態では、3倍高調波(本実施形態においては150Hz)よりも下の周波数を通過させるローパスフィルタ14を用いている。これにより、基本波成分(本実施形態においては50Hz周波数成分)の電気信号を得るようにしている。但し、ローパスフィルタ14を用いるものに限定されず、基本波成分の電気信号を得るために、既知または新規のフィルタを単独でまたは組み合わせて用いても良い。また、電気信号生成手段13により得られた電気信号の位相を調節する手段として、例えば本実施形態では、フェーズシフタ15を用いている。また、電気信号生成手段13により得られた電気信号の振幅(ゲイン)を調節する手段として、周知の増幅器(アンプ)16を用いている。本実施形態における補償用導線8は、補償用電流が流れる閉回路を構成するようにアンプ16に電気的に接続される。
【0029】
以上のように構成される電力ケーブル1の劣化診断用装置によれば、次のようにして、電力ケーブル1の中心導体を流れる3倍高調波電流(以下、単に電力ケーブル1を流れる3倍高調波電流という)を検出することができる。ここで、電力ケーブル1を流れる電流には、基本波電流(負荷電流)に3倍高調波電流が重畳されているとする。
【0030】
即ち、光源5から照射され光伝送媒体6内を通過する光の偏光面は、光伝送媒体6が電力ケーブル1に巻き回されたコイル部17において、電力ケーブル1を流れる電流(基本波電流+3倍高調波電流)の影響を受けてファラデー効果により回転する。
【0031】
一方、電気信号生成手段13では、電力ケーブル1を流れる電流(基本波電流+3倍高調波電流)に対応した電気信号を出力する。この電気信号は、ローパスフィルタ14を通過することにより、3倍高調波以上の成分が除去される。更に、この電気信号は、フェーズシフタ15により位相が適正化され、アンプ16により振幅(ゲイン)も適正化され、これにより補償用電流が生成される。そして、この補償用電流は補償用導線8を流れる。
【0032】
光伝送媒体6が補償用導線8に巻き回されたコイル部18において、電力ケーブル1を流れる電流(基本波電流+3倍高調波電流)の影響を受けて回転した光の偏光面が、基本波電流に相当する分だけ逆回転する。したがって、光検出器9に入力される光の偏光面の回転角は、基本波電流に相関する分はキャンセルされ、3倍高調波電流に相関するもののみとなる。光検出器9では、電力ケーブル1を流れる3倍高調波電流に起因する光の偏光面の回転角が電気信号に変換される。光検出器9より出力される電気信号は、必要な検出感度を実現するために増幅器10で増幅され、バンドパスフィルタ11により3倍高調波成分以外の電気信号が除去され、デジタル化されて記憶装置12に記憶される。従って、記憶装置12に記憶された情報に基づいて、2箇所の測定箇所についての3倍高調波電流の有無を調べてそれらの差を求め、当該差がゼロでない或いは当該差の絶対値が一定値以上の場合に2箇所の測定箇所の間の区間におけるCVケーブル1が水トリー劣化していると診断することができる。
【0033】
本実施形態の電力ケーブル1の劣化診断方法及び電力ケーブル1の劣化診断用装置によれば、電力ケーブル1を流れる電流と相関する検出された物理量(本実施形態では光信号)について、電気信号に変換する前に、電力ケーブル1の劣化診断に不必要な負荷電流(基本波電流)に基づく成分をキャンセルしている。従って、基本波電流と比較して極めて微弱な高調波電流に基づく電気信号のみを得ることができ、微弱な高調波電流に基づく電気信号を高感度で検出することができる。また、光伝送媒体6として常磁性体である光ファイバを採用することで、ファラデー回転(ファラデー効果による光の偏光面の回転)自体が飽和することがないので、光伝送媒体6としての光ファイバを電力ケーブル1に巻き回す回数を多くして検出感度を上げても、飽和(オーバフロー、サチレーション)の問題は生じない。即ち、バックグラウンドに大きな負荷電流が存在していても、微弱な高調波電流を高感度で検出することが可能となる。しかも、本発明の構成によれば、高調波電流を検出するために、電力ケーブル1を電力系統から切り離す等の必要は無い。従って、稼動状態(即ちオンライン)にあるCVケーブル1の水トリー劣化診断が可能となる。例えば、地中に布設してしまうCVケーブル1を、オンラインで常時または定期監視することも可能となる。
【実施例】
CVケーブル1の代わりに試験用導線を用い、当該試験用導線に、ファンクションジェネレータで作った模擬電流(50Hz成分1A+150Hz成分約1mA)を流し、図1に示す構成の電力ケーブル1の劣化診断用装置により、150Hz成分の電流の検出を行った。ここで、本実施例では、光伝送媒体6としての光ファイバを試験用導線に30回巻き回し、更に、試験用導線を光ファイバに対して、100回巻き回して、高感度化した。図2中の符号20は、記憶装置12に記録された150Hz成分の電気信号を表す出力波形を、オシロスコープ上で512回取り込み、平均化して表示したものである。出力波形を平均化することにより、出力波形のふらつきを低減できる。尚、図2中の符号21は、試験用導線に流した模擬電流の波形を表す。図2の出力波形20にFFT(高速フーリエ変換)をかけると、図3に示す特性が得られる。また、図4は、FFT後の150Hz成分の振幅と、模擬電流中の150Hz成分の大きさとの関係を示す。1mAより下の範囲では、バックグランドのノイズが存在する等のために検出感度が制限されているが、これは50Hz信号の補償精度や模擬電流作製時に混入したノイズ等に起因すると考えられるので、原理的にはさらに小さい電流も測定できると予想される。また図4のレベルでも3桁下の信号を検出しているので、記憶装置12によるデジタルストレージを長時間行う等により、等価的なダイナミックレンジを6桁程度まで上げることは可能と考えられる。
【0034】
次に、図5を用いて、本発明の第2の実施形態について説明する。尚、図5中で、既に説明した実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0035】
本実施形態における物理量検出手段は、電力ケーブル1を囲うように配置され尚且つ電力ケーブル1を流れる電流によって発生する磁界を検出する物であり、例えば鉄心2’である。この鉄心2’は、例えば閉路を成す環状であり、開閉不能であっても良いが、電力ケーブル1への取り付けが簡単であるように開閉可能であるものが好ましい。また、本実施形態における電流測定手段4は、物理量検出手段としての鉄心2’に生じた磁界の大きさに基づいた電気信号を出力する手段であり、例えば鉄心2’に巻き回されたコイル23を有している。但し、物理量検出手段および電流測定手段4の構成は、本実施形態の例に限定されるものではない。例えば、図示しないが、物理量検出手段を、電力ケーブル1を囲うように配置されると共にギャップ(隙間)部が設けらている環状鉄心とし、電流測定手段4を、環状鉄心のギャップ部に配置されて当該ギャップ部における磁界の強さに応じた光量の光信号を出力する光CTセンサと、光CTセンサが出力する光信号を電気信号に変換するO/E(光・電気)変換回路とを有するものとしても良い。また、本実施形態の電流測定手段4は、上述の実施形態と同様に、コイル23より出力された電気信号を増幅する増幅器10と、コイル23により出力された電気信号のうち目的とする周波数成分を抽出する手段(例えばバンドパスフィルタ)11と、電気信号をデジタル化して記憶する記憶装置12とを有するようにしている。
【0036】
基本波成分除去手段3は、補償用電流を発生する補償用電流発生手段7と、補償用電流が流れる補償用導線8’とを有している。この補償用導線8’は、電力ケーブル1を流れる電流に起因して鉄心2’で検出された磁界を、補償用電流によって電力ケーブル1を流れる基本波電流と相関する分だけ打ち消すように鉄心2’に巻き回されている。本実施形態では、補償用電流を小さく抑える等のために、補償用導線8’を鉄心2’に複数回巻き回すようにしている。
【0037】
補償用導線8’を鉄心2’に巻き回す巻数、補償用電流の大きさは、電力ケーブル1を流れる電流に起因して鉄心2’で検出された磁界を、補償用電流によって電力ケーブル1を流れる基本波電流と相関する分だけ打ち消すように、調整される。例えば、補償用導線8’を鉄心2’に巻き回す巻数N2と、補償用電流の大きさI2と、電力ケーブル1を流れる負荷電流(基本波電流)の大きさI1との関係は、次式が成立するように設定される。
【0038】
【数2】
I1=I2×N2
【0039】
補償用電流発生手段7は、例えば、電力ケーブル1を流れる電流と相関する物理量を検出して当該物理量に基づいた電気信号を出力する電気信号生成手段13と、電気信号生成手段13により得られた電気信号のうち目的とする周波数成分を抽出する手段(例えばローパスフィルタ)14と、電気信号生成手段13により得られた電気信号の位相および振幅を調節する手段(例えばフェーズシフタとアンプ)15,16とを有する上述の実施形態と同様の構成のものである。
【0040】
以上のように構成される電力ケーブル1の劣化診断用装置によれば、次のようにして、電力ケーブル1を流れる高調波電流を検出することができる。ここで、電力ケーブル1を流れる電流には、基本波電流(負荷電流)に3倍高調波電流が重畳されているとする。即ち、電力ケーブル1を流れる電流(基本波電流+3倍高調波電流)の影響を受けて電力ケーブル1の周囲に磁界が発生し、鉄心2’により当該磁界が検出(ピックアップ)される。一方、補償用電流発生手段7により補償用電流が生成され、この補償用電流が補償用導線8’を流れる。補償用電流が補償用導線8’を流れることによって、電力ケーブル1を流れる電流に起因して鉄心2’で検出された磁界のうち、電力ケーブル1を流れる基本波電流と相関する分だけがキャンセルされる。したがって、コイル23では、電力ケーブル1を流れる3倍高調波電流に起因して生じた磁界に応じた電気信号が出力される。この電気信号は、必要な検出感度を実現するために増幅器10で増幅され、バンドパスフィルタ11により3倍高調波成分以外の電気信号が除去され、デジタル化されて記憶装置12に記憶される。従って、記憶装置12に記憶された情報に基づいて、2箇所の測定箇所についての3倍高調波電流の有無を調べてそれらの差を求め、当該差がゼロでない或いは当該差の絶対値が一定値以上の場合に2箇所の測定箇所の間の区間におけるCVケーブル1が水トリー劣化していると診断することができる。
【0041】
本実施形態の電力ケーブル1の劣化診断方法及び電力ケーブル1の劣化診断用装置によれば、電力ケーブル1を流れる電流と相関する検出された物理量(本実施形態では磁気信号)について、電気信号に変換する前に、電力ケーブル1の劣化診断に不必要な負荷電流(基本波電流)に基づく成分をキャンセルしている。従って、基本波電流と比較して極めて微弱な高調波電流に基づく電気信号のみを得ることができ、微弱な高調波電流に基づく電気信号を高感度で検出することができる。磁気信号を電気信号に変換する前に、磁気信号の基本波成分をキャンセルしているので、コイル23の巻数を多くして検出感度を上げても、飽和(オーバフロー、サチレーション)の問題は生じない。即ち、バックグラウンドに大きな負荷電流が存在していても、微弱な高調波電流を高感度で検出することが可能となる。しかも、本発明の構成によれば、高調波電流を検出するために、電力ケーブル1を電力系統から切り離す等の必要は無い。従って、稼動状態(即ちオンライン)にあるCVケーブル1の水トリー劣化診断も可能となる。例えば、地中に布設してしまうCVケーブル1を、オンラインで常時または定期監視することも可能となる。
【0042】
次に、図6を用いて、本発明の第3の実施形態について説明する。尚、図6中で、既に説明した実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0043】
本実施形態における補償用電流発生手段7は、電流測定手段4において出力される電気信号を取得する電気信号取得手段24と、電気信号取得手段24により得られた電気信号のうち目的とする周波数成分を抽出する手段14と、電気信号取得手段24により得られた電気信号の位相および振幅を調節する手段15,16とを有するようにしている。
【0044】
電流測定手段4は、例えば第1の実施形態のおいて既に説明した光検出器9を有するものである。目的とする周波数成分を抽出する手段は、例えば既に説明したローパスフィルタ14である。電気信号の位相を調節する手段は、例えば既に説明したフェーズシフタ15である。電気信号の振幅を調節する手段は、例えば既に説明した増幅器(アンプ)16である。例えば本実施形態における電気信号取得手段24は、光検出器9とローパスフィルタ14とを電気的に接続する導線である。光検出器9は、増幅器10に対して電気信号を出力すると共に、補償用電流発生手段7の構成要素であるローパスフィルタ14に対しても電気信号を出力する。
【0045】
以上のように構成される電力ケーブル1の劣化診断用装置では、電流測定手段4が出力する電気信号を利用して補償用電流を生成し、ネガティブフィードバックをかける構成となる。図1に示す電力ケーブル1の劣化診断用装置のように、電気信号生成手段13を設ける必要がないので、コストや施工上で有利である。電力ケーブル1を流れる高調波電流を検出する動作原理及び効果は、図1に示す電力ケーブル1の劣化診断用装置と同様である。
【0046】
次に、図7を用いて、本発明の第4の実施形態について説明する。尚、図7中で、既に説明した実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0047】
本実施形態における補償用電流発生手段7は、電流測定手段4において出力される電気信号を取得する電気信号取得手段24と、電気信号取得手段24により得られた電気信号のうち目的とする周波数成分を抽出する手段14と、電気信号取得手段24により得られた電気信号の位相および振幅を調節する手段15,16とを有するようにしている。電流測定手段4は、例えば第2の実施形態のおいて既に説明したコイル23を有するものである。目的とする周波数成分を抽出する手段は、例えば既に説明したローパスフィルタ14である。電気信号の位相を調節する手段は、例えば既に説明したフェーズシフタ15である。電気信号の振幅を調節する手段は、例えば既に説明した増幅器(アンプ)16である。例えば本実施形態における電気信号取得手段24は、光検出器9とローパスフィルタ14とを電気的に接続する導線である。コイル23は、増幅器10に対して電気信号を出力すると共に、補償用電流発生手段7の構成要素であるローパスフィルタ14に対しても電気信号を出力する。
【0048】
以上のように構成される電力ケーブル1の劣化診断用装置によれば、電流測定手段4が出力する電気信号を利用して補償用電流を生成し、ネガティブフィードバックをかける構成となる。図5に示す電力ケーブル1の劣化診断用装置のように、電気信号生成手段13を設ける必要がないので、コストや施工上で有利である。電力ケーブル1を流れる高調波電流を検出する動作原理及び効果は、図5に示す電力ケーブル1の劣化診断用装置と同様である。
【0049】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本発明において対象となる劣化の態様は水トリーには必ずしも限らない。また、検出対象となる高調波電流は必ずしも3倍高調波電流には限らない。例えば、ファラデー効果を利用したセンサは応答周波数範囲が広いことに着目して、部分放電信号など他の劣化信号を同時に検出するようにしても良い。また、本発明において対象となる電力ケーブル1は、CVケーブルに必ずしも限らない。本発明は、水トリー等の劣化に起因して微弱な高調波電流を生じ得る電力ケーブル1に対して適用可能である。
【0050】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1記載の電力ケーブルの劣化診断方法および請求項2記載の電力ケーブルの劣化診断用装置によれば、基本波電流と比較して極めて微弱な高調波電流に基づく電気信号のみを得ることができ、微弱な高調波電流に基づく電気信号を高感度で検出することができる。即ち、バックグラウンドに大きな負荷電流が存在していても、微弱な高調波電流を高感度で検出することが可能となる。しかも、高調波電流を検出するために、電力ケーブルを電力系統から切り離す等の必要は無い。従って、稼動状態(即ちオンライン)にある電力ケーブルの劣化診断が可能となる。例えば、地中に布設してしまう電力ケーブルを、オンラインで常時または定期監視することも可能となる。
【0051】
さらに、請求項3記載の電力ケーブルの劣化診断用装置によれば、鉄心等を用いた電流センサと比較して空間占有率を低減できる効果がある。また、光伝送媒体として常磁性体である光ファイバを採用することで、ファラデー回転(ファラデー効果による光の偏光面の回転)自体が飽和することがないので、検出感度を上げても、飽和(オーバフロー、サチレーション)の問題は生じない。
【0052】
また、請求項4記載の電力ケーブルの劣化診断用装置によれば、鉄心等を用いて安価に劣化診断用装置を構成できる。
【0053】
さらに、請求項5記載の電力ケーブルの劣化診断用装置によれば、フィードバックを構成しないため、信号処理に遅延を生じることなく、リアルタイムに近い処理が可能になる。
【0054】
さらに、請求項6記載の電力ケーブルの劣化診断用装置によれば、電流測定手段が出力する電気信号を利用して補償用電流を生成するので、電気信号生成手段を別途設ける必要がなく、コストや施工上で有利である。
【0055】
さらに、請求項7記載の電力ケーブルの劣化診断用装置によれば、3倍高調波電流の有無を調べることにより、電力ケーブルの水トリー劣化の診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電力ケーブルの劣化診断用装置の実施の一形態を示す概略構成図である。
【図2】電力ケーブルを流れる電流と、上記装置で検出された電気信号との関係を表すグラフである。
【図3】図2に示す検出された電気信号に対して高速フーリエ変換をかけた結果を示す。
【図4】上記高速フーリエ変換後の150Hz成分の振幅と、電力ケーブルを流れる電流中の150Hz成分の大きさとの関係を示す。
【図5】本発明の電力ケーブルの劣化診断用装置の他の実施形態を示す概略構成図である。
【図6】本発明の電力ケーブルの劣化診断用装置の更に他の実施形態を示す概略構成図である。
【図7】本発明の電力ケーブルの劣化診断用装置の更に他の実施形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 CVケーブル(電力ケーブル)
2 物理量検出手段
2’ 鉄心(物理量検出手段)
3 基本波成分除去手段
4 電流測定手段
5 光源
6 光ファイバ(光伝送媒体)
7 補償用電流発生手段
8,8’ 補償用導線
9 光検出器(光の偏光面の回転角に基づいた電気信号を出力する手段)
13 電気信号生成手段
14 ローパスフィルタ(目的とする周波数成分を抽出する手段)
15 フェーズシフタ(位相を調節する手段)
16 アンプ(振幅を調節する手段)
23 コイル(磁界の大きさに基づいた電気信号を出力する手段)
24 電気信号取得手段
Claims (7)
- 電力ケーブルの2箇所で測定を行い測定箇所の間の区間における電力ケーブルの劣化を診断する方法であって、各測定箇所毎に、前記電力ケーブルの中心導体を流れる電流と相関する物理量を得て、当該得られた物理量のうち前記電力ケーブルの中心導体を流れる基本波電流と相関する成分を除き、当該除かれた後の物理量に基づいて前記電力ケーブルの中心導体を流れる高調波電流を求め、前記2箇所の測定箇所について求めた高調波電流の差を求め、当該差がゼロでない或いは当該差の絶対値が一定値以上の場合に前記2箇所の測定箇所の間の区間における電力ケーブルが劣化していると診断することを特徴とする電力ケーブルの劣化診断方法。
- 電力ケーブルの2箇所の測定箇所に設置され、請求項1記載の電力ケーブルの劣化診断方法の実施に用いられる装置であって、前記電力ケーブルの中心導体を流れる電流と相関する物理量を検出する物理量検出手段と、前記物理量検出手段により検出された物理量のうち前記電力ケーブルの中心導体を流れる基本波電流と相関する成分を除く基本波成分除去手段と、前記基本波成分除去手段により前記電力ケーブルの中心導体を流れる電流の基本波と相関する成分を除かれた物理量に基づいて前記電力ケーブルの中心導体を流れる高調波電流を求める電流測定手段とを有することを特徴とする電力ケーブルの劣化診断に用いる装置。
- 前記物理量検出手段は、光源と、前記光源が発生する光を伝送し且つ前記電力ケーブルの中心導体を流れる電流によってファラデー効果を発現する光伝送媒体とを有し、前記光伝送媒体は、前記電力ケーブルの中心導体を流れる電流によって前記光伝送媒体を通る光の偏光面が回転するように配置され、前記基本波成分除去手段は、補償用電流を発生する補償用電流発生手段と、前記補償用電流が流れる補償用導線とを有し、前記補償用導線は、前記光伝送媒体を通る光の偏光面の回転を、補償用電流によって前記電力ケーブルの中心導体を流れる基本波電流と相関する分だけ戻すように配置され、前記電流測定手段は、前記光伝送媒体を通る光の偏光面の回転角に基づいた電気信号を出力する手段を有することを特徴とする請求項2記載の電力ケーブルの劣化診断に用いる装置。
- 前記物理量検出手段は、前記電力ケーブルを囲うように配置され尚且つ前記電力ケーブルの中心導体を流れる電流によって発生する磁界を検出する物であり、前記基本波成分除去手段は、補償用電流を発生する補償用電流発生手段と、前記補償用電流が流れる補償用導線とを有し、前記補償用導線は、前記電力ケーブルの中心導体を流れる電流に起因して前記物理量検出手段で検出された磁界を、補償用電流によって前記電力ケーブルの中心導体を流れる基本波電流と相関する分だけ打ち消すように前記物理量検出手段に巻き回され、前記電流測定手段は、前記物理量検出手段で検出された磁界の大きさに基づいた電気信号を出力する手段を有することを特徴とする請求項2記載の電力ケーブルの劣化診断に用いる装置。
- 前記補償用電流発生手段は、電力ケーブルの中心導体を流れる電流と相関する物理量を検出して当該物理量に基づいた電気信号を出力する電気信号生成手段と、前記電気信号生成手段により得られた電気信号のうち目的とする周波数成分を抽出する手段と、前記電気信号生成手段により得られた電気信号の位相および振幅を調節する手段とを有することを特徴とする請求項3または4に記載の電力ケーブルの劣化診断に用いる装置。
- 前記補償用電流発生手段は、前記電流測定手段において出力される電気信号を取得する電気信号取得手段と、前記電気信号取得手段により得られた電気信号のうち目的とする周波数成分を抽出する手段と、前記電気信号取得手段により得られた電気信号の位相および振幅を調節する手段とを有することを特徴とする請求項3または4に記載の電力ケーブルの劣化診断に用いる装置。
- 前記電流測定手段により前記電力ケーブルの中心導体を流れる3倍高調波電流を求めるようにしたことを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載の電力ケーブルの劣化診断に用いる装置。
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