JP3284229B2 - 機械識別用紙 - Google Patents

機械識別用紙

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JP3284229B2
JP3284229B2 JP26779893A JP26779893A JP3284229B2 JP 3284229 B2 JP3284229 B2 JP 3284229B2 JP 26779893 A JP26779893 A JP 26779893A JP 26779893 A JP26779893 A JP 26779893A JP 3284229 B2 JP3284229 B2 JP 3284229B2
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浩美 内村
公也 高橋
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財務省印刷局長
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は印刷用紙に関するもので
あり、特に、偽造防止対策を施した機械識別用紙に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、銀行券、有価証券、及び入場券等
の偽造防止を必要とする印刷物に関しては、カラーコピ
ーやカラースキャナー等による複製技術の進歩に伴い、
一般流通過程における真偽判別が容易に確保できる対策
とともに、省力化を目的とする機械識別処理のための真
偽判別が確保できる対策が重要になっている。特に機械
識別処理の対策は、自動券売機や自動換金装置等の普及
と相まって益々その重要性を増している。真偽判別を必
要とする機械識別処理される印刷物には、例えば蛍光イ
ンキを特定された位置に印刷することにより真偽判別に
関わる機能としているが、前記した複製技術の進歩等か
ら偽造防止上の安全対策としては万全ではない。他方、
印刷に供する用紙に関しては、従来より偽造を防止する
ための安全対策を施すことが知られている。例えば線条
を埋設したもの、すき入れ模様を施したもの及び着色繊
維や蛍光繊維等をすき込んだもの等があるが、これらは
いずれも一般流通過程における人間の視覚による真偽判
別を確保するために施されたものであり、これらの手段
は機械識別を対象とした偽造防止上の対策とはならない
という欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した背
景と問題点に鑑みなされたもので、用紙自体に機械識別
処理に対応しうる真偽判別機能として、紫外域又は近赤
外域のある特定波長域では前記用紙の分光反射率と異な
る分光反射率を有する物質を帯状に付与し、機械識別機
能を持たせることにより、この用紙を機械識別処理を対
象とした印刷物に用いた場合は、真偽判別が確実に行わ
れることになる。しかも、前記物質は目視では視認でき
ないことから偽造防止効果が高い。また、このような機
械識別機能を付与した用紙を機械識別処理される印刷物
に使用すれば、さらに偽造防止効果の高い製品になると
の観点から、可視光域では視認されず、紫外域又は近赤
外域において検出可能な機能を有する新規な用紙を提供
することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、例えば本件出願人が既に出願した、特願平
3−284207号(特開平5−98599号)「偽造
防止用紙及びその製法」の円網抄紙機を用いて用紙中の
任意の部分に一定幅ですき込む方法や、あるいは帯状に
塗布する方法などによって、可視光域では用紙の分光反
射率とほぼ同値であるが、紫外域または近赤外域のある
特定波長域では、前記用紙の分光反射率と異なる分光反
射率を有する物質であるとともに、目視では視認できな
い物質を、用紙に対して帯状に付与したことを特徴とす
る。
【0005】
【作用】上記構成の用紙は、可視光域では用紙の分光反
射率とほぼ同値であるが、紫外域または近赤外域のある
特定波長域では、用紙の分光反射率と異なる分光反射率
を有する物質を、用紙に対して帯状に付与しているの
で、用紙自体が機械識別処理に対応できる機能を持つこ
とになる。すなわち、用紙に対して所要の位置に、所要
の幅で、所要の間隔をもって帯状に付与された前記物質
は、通常照明下において肉眼で用紙を観察しても、その
存在を視認することはほとんどできないが、紫外域また
は近赤外域のある特定波長域を利用して、その分光反射
率を検出することができるので用紙の真偽判別を行うこ
とができる。しかも、前記物質は目視では視認できない
ことから偽造防止効果が高い。この結果、本発明の用紙
を用いた印刷物は、印刷または複写による偽造物に対し
て、その真偽判別に有効に作用する。
【0006】
【実施例】実施例によって本発明を更に詳細に説明する
が、本発明はこの例によってなんら限定されるものでは
ない。
【0007】(実施例1)図1(a)は、前記特願平3
−284207号(特開平5−98599号)に記載し
た方法、すなわち円網抄紙機の円網層内の紙料液面と円
網との境界部の上部に、特殊繊維を含有する紙料を流し
込むためのホースの付いたノズルを設置し、特殊繊維を
指定した位置に、指定した幅で、指定した量を混抄する
方法を用いて、この発明の本実施例では二酸化チタンを
所要の位置に帯状に混抄して作製した用紙(A)の平面
図である。図1(a)において、(1)は広葉樹漂白ク
ラフトパルプ80部と針葉樹漂白クラフトパルプ20部
に、少量の填料及び内添薬品を加えて完成紙料とし、抄
紙した用紙部分、(2)は前記完成紙料に二酸化チタン
5部を混合した紙料を、前記完成紙料中に帯状に抄き込
んだ部分(以下、二酸化チタン5部を帯状に混抄した部
分と言う。)、(3)は前記完成紙料に二酸化チタン2
部を混合した紙料を、前記完成紙料中に帯状に抄き込ん
だ部分(以下、二酸化チタン2部を帯状に混抄した部分
と言う。)である。図1(b)については後述する。
【0008】図2は200〜800nmにおける用紙
(A)の分光反射率曲線である。図2において(4)、
(5)及び(6)は、それぞれ図1(a)における前記
用紙部分(1)、前記二酸化チタン5部を帯状に混抄し
た部分(2)及び二酸化チタン2部を帯状に混抄した部
分(3)の分光反射率曲線である。この図において36
5nmでは、前記完成紙料からなる用紙部分の分光反射
率(4)では約70%であるのに対し、二酸化チタンを
5部混抄した部分の分光反射率(5)は約30%であ
り、二酸化チタンを2部混抄した部分の分光反射率
(6)は約40%とそれぞれ低下している。一方肉眼で
物質を視認できる400〜700nmの可視光域では、
前記完成紙料からなる用紙部分の分光反射率(4)、二
酸化チタンを5部混抄した部分の分光反射率(5)及び
二酸化チタンを2部混抄した部分の分光反射率(6)の
分光反射率はいずれも同じ値であり、実際に肉眼で図1
の用紙(A)を観察しても、二酸化チタンを5部混抄し
た部分(2)及び二酸化チタンを2部混抄した部分
(3)を視認することはできない。
【0009】前記図1(b)は図1(a)の用紙(A)
の波長365nmにおける横方向の分光反射量の波形を
示す図である。この図において、二酸化チタンを混抄し
た部分、図1(a)の(2)及び(3)に対応する波形
(2)及び波形(3)は、前記用紙部分(1)の分
光反射量の波形(1)より低下することから、ある一
定の基準レベル(x)と比較することで、前記用紙
(A)の真偽判別を行うことができる。すなわち、前記
用紙(A)を用いた有価証券や入場券等に偽造の疑いが
生じた場合は、分光反射量を測定する機器によって、例
えば、ある一定の基準レベル(x)を設定し、その基準
レベル(x)を下回る分光反射量の波形を検出した場合
は真性品、基準レベル(x)を下回る分光反射量の波形
が検出できない場合は偽造品として容易に真偽判定が可
能である。
【0010】また、図1(b)の前記帯状に混抄した部
分、図1の(2)及び(3)に対応する波形(2)と
波形(3)が示すように、二酸化チタンの添加量を調
整することによって、二酸化チタンを混抄した部分の分
光反射量の低下量が相違することから、この特性を利用
し、前記の基準レベル(x)に、新たに一定の基準レベ
ル(y)を設定することによって、前記真偽判別の例に
加えて、より精度の高い真偽判定と識別が可能である。
すなわち前記用紙(A)を用いた有価証券や入場券等
に、偽造の疑いが生じ真偽判定をしようとする場合は、
あらかじめ把握してある前記用紙(A)の、二酸化チタ
ンを混抄した部分の分光反射量が低下する量を基準とし
てレベルを設定し、偽造の疑いが生じた該当品の分光反
射量を比較する方法であり、図1(b)で例えれば、前
記帯状に混抄した部分、すなわち図1(a)の(2)及
び(3)に対応する波形(2)と波形(3)の何れ
もが基準レベル(x)を下回り、かつ前記波形(2
は前記基準レベル(y)を下回り、さらに前記波形(3
)は前記基準レベル(x)と(y)の間に位置するも
のを真性品、前記条件を満たさないものを偽造品とすれ
ば、容易に精度の高い真偽判定が可能である。
【0011】また二酸化チタンの付与量を変化させ、前
述のある一定の基準レベル(x)(y)に加え、基準レ
ベル(z)及び基準レベル(w)を新たに設定すること
で、真偽判定基準に用いる分光反射量と基準レベルの比
較組み合わせは多様化し、緻密な判定が可能となる。そ
の前記多様化した組み合わせを、例えば回数券等に、市
場流通地域や製造履歴などとして情報化し付与すること
によって、この用紙(A)を用いた製品の、印刷面の偽
造・改ざんが発生した場合の追跡にも用いることがで
き、ひいては偽造・改ざんの抑止効果が得られる。こう
した分光反射量の低下量が相違する波形(2)と波形
(3)を具備した識別用紙(A)は偽造防止効果の極
めて高い用紙となる。
【0012】(実施例2)図3(a)は前述した実施例
1に記載した前記特願平3−284207号(特開平5
−98599号)「偽造防止用紙及びその製法」の方法
を用いて、前記、例1(a)の(3)と同様、用紙に対
して二酸化チタン2部を帯状に混抄した部分(3)の、
付与本数と付与間隔を変えて作製した用紙(A)の平
面図であり、図3(b)は、この用紙(A)の波長3
65nmにおける横方向の分光反射量の波形を示す図で
ある。図3(b)から明らかなように、二酸化チタンの
付与本数及び付与間隔に応じて分光反射量の低下する部
分が現れることから、付与本数と付与間隔を組み合わせ
ることで、これら用紙(A)の種類判別を行うことが
できる。例えば付与間隔を、あらかじめ定めて図3
(a)のように作製した場合、この用紙(A)の横方
向を、分光反射量を測定する機器を用いて測定すると、
前記二酸化チタン2部を混抄した部分(3)の波形(3
)は、図3(b)のように現れる。このことは前述図
1(b)の、二酸化チタンを混抄した部分の分光反射量
は、完成紙料の用紙部分より低下するという作用と同様
であり、あらかじめ把握できる。したがって、偽造の疑
いが生じた該当品の分光反射量の波形と、あらかじめ把
握できている波形、すなわち図3(b)に示す基準レベ
ル(k)と基準レベル(m)の間隔、基準レベル(k)
と基準レベル(n)の間隔、同じく基準レベル(k)と
基準レベル(p)、基準レベル(k)と基準レベル
(s)、基準レベル(k)と基準レベル(q)の間隔と
を照合することで、真偽判別や種類判別などの識別がで
きる。
【0013】このように、真偽判定の方法及び情報識別
の方法並びにその効果的用法については前述した実施例
1と同様であるが、製法については、二酸化チタンを帯
状にかつ付与量を変化させる方法の前述実施例1と、付
与本数と付与間隔を変えた前述実施例2の、単独もしく
は併用が可能であり、特に前述実施例1と前述実施例2
の併用による製法、すなわち二酸化チタンを帯状にしか
も付与量を変化させ、かつ付与本数と付与間隔を変えた
用紙(図示せず)の用法は飛躍的に拡大する。
【0014】(実施例3)多層塗工が可能な塗布機を用
いて、カオリンを主体とする塗工液を既製紙全面に下塗
りした後、二酸化チタンを主体とする塗工液と、炭酸カ
ルシウムを主体とした塗工液を、既製紙の進行方向に沿
って所要の位置に、所要の幅で、所要の間隔をもって帯
状に上塗りする。図4は200〜800nmにおける既
製紙部分の分光反射率曲線(7)とカオリンを下塗りし
た部分の分光反射率曲線(9)及び二酸化チタンを上塗
りした部分の分光反射率曲線(10)並びに炭酸カルシ
ウムを上塗りした部分の分光反射率曲線(8)を比較し
た図である。この図から、例えば365nmでは、既製
紙部分の分光反射率(7)とカオリンを下塗りした部分
の分光反射率(9)はいずれも約60%であるのに対
し、二酸化チタンを上塗りした部分の分光反射率(1
0)は約10%と低下し差が生じているので、この製法
によっても用紙の識別が可能であることが分かる。な
お、図4から、この分光反射率の差は波長365nmに
限らず、それ以下の波長域でも生じていることが明らか
である。炭酸カルシウムを上塗りした部分の分光反射率
曲線(8)は後述する。図5(a)は前述した要領で作
製した塗布紙(B)の平面図であり、図5(b)は前記
塗布紙(B)の波長254nmにおける横方向の分光反
射量の波形を示す図である。図5(b)の(12
は、図5(a)の二酸化チタンを帯状に上塗りした部分
(12)の分光反射量を示したものである。{図5
(a)の炭酸カルシウムを上塗りした部分(13)及び
図5(b)の波形(13)は後述する。}この図から
二酸化チタンを上塗りした部分の分光反射量(12
は、カオリンを下塗りした用紙部分の分光反射量(11
)より低下することが分かるので、前述実施例1に示
した分光反射量の低下量を具備した用紙(A)と同様の
用法で用紙の真偽判別を行うことができる。さらに、用
紙に二酸化チタンを上塗りする本数を変えることによっ
て、また用紙に二酸化チタンを上塗りする間隔を変える
ことによって、前述実施例2で説明した図3(a)の用
紙(A)と同様の機能を有する用紙として、多様な識
別を行うことができる。
【0015】図4の(8)は前述した炭酸カルシウムを
主体とする塗工液を、既製紙の進行方向に沿って上塗り
した部分の、200〜800nmにおける分光反射率曲
線を示した図である。この図が示すように、365nm
では、前記既製紙部分の分光反射率(7)と、既製紙に
カオリンを下塗りした部分の分光反射率(9)は60%
であるのに対し、前記炭酸カルシウムを上塗りした部分
の分光反射率(8)は、80%と上昇していることか
ら、前述実施例1及び実施例2と同様、一定の基準レベ
ルを用い、真偽判別や種類の識別が可能であることが分
かる。また分光反射率を測定する装置の、測定波長域を
254nmにすれば、前記既製紙部分の分光反射率
(7)と既製紙にカオリンを下塗りした部分の分光反射
率(9)が約40%であるのに対し、前記炭酸カルシウ
ムを上塗りした部分の分光反射率(8)は90%と上昇
し、その差異が大きいことから、より容易に識別が可能
である。図5(a)の(13)は炭酸カルシウムを上塗
りした部分であり、図5(b)の(13)は前記炭酸
カルシウムを上塗りした部分(13)の波長254nm
における分光反射量を示したものである。この図から、
炭酸カルシウムを上塗りした部分の分光反射量(1
)は、前記既製紙にカオリンを下塗りした用紙の分
光反射量(11)より上昇することが分かる。したが
って前述の分光反射量が低下する二酸化チタンと、分光
反射量が上昇する炭酸カルシウムを、前記既製紙にカオ
リンを下塗りした用紙上に帯状に上塗りした塗布紙、図
5(a)の用紙(B)の横方向の分光反射量は、図5
(b)のとおりとなり、前記既製紙にカオリンを下塗り
した部分(11)の分光反射量(11)を境に上下に
分光反射するという新たな特徴を有するため、前述実施
例1及び実施例2に示した一定の基準レベルを用いた識
別方法より、一層多様な識別を行うことができる。なお
前述した実施例1及び実施例2に用いた、紫外線吸収物
質である二酸化チタンは製紙用材料として、また紫外線
反射物質である炭酸カルシウムは塗工剤として、それぞ
れ一般に広く用いられている物質であるが、この他にも
同様の特性を有する物質として、紫外線吸収物質には、
例えば硫化亜鉛.硫化亜鉛カドミウム.硫化カルシウ
ム.タングステン酸カルシウムなどの無機物質や、イミ
ダゾール系.ジアミノジフェニル系.チアゾール系.ク
マリン系.ナフタールイミド系等の有機物質があり、紫
外線反射物質としては、例えば硫酸バリウム.二酸化ケ
イ素.アルミナ.酸化ジルコン.酸化マグネシウム.炭
酸マグネシウムなどが用いられ得る。
【0016】(実施例4)この例では、広葉樹漂白クラ
フトパルプ80部と針葉樹漂白クラフトパルプ20部に
少量の填料、内添薬品及び染料{商品名Kayarus
Cupro Green G(日本化薬株式会社
製)}を0.5部加えた完成紙料と、前記完成紙料に赤
外線吸収特性を有するアミニウム化合物{商品名Kay
asorb IRG−002(日本化薬株式会社製)}
を0.1部程度添加した紙料とを、前記特願平3−28
4207号(特開平5−98599号)に記載した方法
を用いて、前記アミニウム化合物を帯状に混抄した用紙
を作製した。(図示せず)。図6は400〜1500n
mにおける前記用紙の分光反射率曲線である。この図で
(14)は完成紙料部分、(15)は前記アミニウム化
合物を混抄した部分の分光反射率曲線である。この図に
おいて、可視光域(400〜700nm)での前記完成
紙料部分の分光反射率(14)と前記アミニウム化合物
を混抄した部分の分光反射率(15)には、ほとんど差
がなく、肉眼でも視認することはできないが、1000
nm付近での分光反射率は、完成紙料部分の分光反射率
(14)が約100%であるのに対し、アミニウム化合
物を混抄した部分の分光反射率(15)は約50%と低
下していることから、前述実施例1及び実施例2に示し
た一定の基準レベルを用いた識別方法によって、用紙の
真偽判別が可能であることが分かる。なお当該例に用い
た前記アミニウム化合物と同様の特性を有する赤外線吸
収物質としては、アミニウム系の他に、アントラキノン
系.ポリメチン系.シアニン系.ジイモニウム系の化合
物があり、日本化薬株式会社製では、この例に用いた商
品名 [Kayasorb IRG−002]の他に、型
式IR−750.IRG−023.CY−2.CY−9
等が市販されており、これらの物質を用いることも可能
である。
【0017】このアミニウム化合物は、前述した二酸化
チタンや炭酸カルシウムを付与した部分と、前記物質を
付与していない部分の用紙表面の分光反射率が、可視光
域(400〜700nm)ではほぼ差がなく視認でき
ず、ある波長域での分光反射率に大きな差異が生じると
いう点では、前述の実施例1の図2及び実施例3の図4
における説明と同様であり、識別方法や用法について
も、前述の図1(b)や図3(b)での説明と同様であ
る。しかし二酸化チタンや炭酸カルシウムは、付与した
部分と付与していない部分の用紙表面の分光反射率に差
が生じる波長域が、前記、図2及び図4のとおり、紫外
域の200から400nmであるのに対し、前記アミニ
ウム化合物を付与した部分の分光反射率(15)と、ア
ミニウム化合物を付与していない完成紙料部分の分光反
射率(14)は、近赤外域で分光反射率に差が生じると
いう特徴を有している。このことから例えば、前述の特
願平3−284207号(特開平5−98599号)に
記載した方法を用いた製法によって、二酸化チタンとア
ミニウム化合物とを組み合わせ、帯状にしかも付与量を
変化させ、かつ付与本数と付与間隔を変えて混抄するこ
とも可能であり、こうして作製した識別用紙(図示せ
ず)は高い偽造防止機能を保持した用紙となる。
【0018】
【発明の効果】紫外域又は近赤外域のある特定波長にお
いて、用紙の分光反射率と異なる分光反射率を有する物
であるとともに、目視では視認できない物質を用紙に
帯状に付与するため、印刷用紙自体に機械識別機能を持
たせることができる。また、肉眼で用紙を観察しても、
帯状に付与した物質の存する部分を視認することができ
ないので、この用紙を用いた機械識別用印刷物は、この
印刷物の偽造に対して防止効果が高い。さらに帯状に付
与する物質については、用紙の所要の位置に、所要の幅
で、所要の間隔をもって付与することができるため、付
与本数や付与間隔から用紙の種類判別を行うことも可能
である。このほか、用いる物質の紫外域及び近赤外域で
の分光反射量と、前記付与方法を組み合わせ情報化して
おけば、その情報を判別することも可能である。以上の
構成からなる用紙は、偽造防止効果が極めて高い機械識
別用紙であることから、付加価値の高い製品、例えば、
銀行券、有価証券、秘密文書、回数券、入場券等多様な
製品に適用ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】二酸化チタンを所要の位置に混抄した用紙の平
面図と、用紙の分光反射量の波形及び波形を識別する一
定の基準レベルを示す図。
【図2】二酸化チタンを所要の位置に混抄した用紙の分
光反射率曲線を示す図。
【図3】二酸化チタンの付与本数及び付与間隔を変えた
用紙の平面図と、用紙の分光反射量の波形及び波形を識
別する一定の基準レベルを示す図。
【図4】既製紙部分とカオリンを下塗りした部分及び二
酸化チタンを上塗りした部分と、炭酸カルシウムを上塗
りした部分の分光反射率曲線を示す図。
【図5】二酸化チタンと炭酸カルシウムを上塗りした塗
布紙の平面図と、用紙の分光反射量の波形を示す図。
【図6】アミニウム化合物を混抄した用紙の分光反射率
曲線を示す図。
【符号の説明】
1:完全紙料からなる用紙部分。 2,3:二酸化チタンを混抄した部分。 4,14:完全紙料からなる用紙部分の分光反射率曲
線。 5,6:二酸化チタンを混抄した部分の分光反射率曲
線。 7:既製紙の分光反射率曲線。 8:炭酸カルシウムを上塗りした部分の分光反射率曲
線。 9:既製紙にカオリンを下塗りした部分の分光反射率曲
線。 10:二酸化チタンを上塗りした部分の分光反射率曲
線。 11:既製紙にカオリンを下塗りした部分。 12:二酸化チタンを上塗りした部分。 13:炭酸カルシウムを上塗りした部分。 15:アミニウム化合物を混抄した部分の分光反射率曲
線。 A:二酸化チタンを帯状に混抄して作製した用紙の平面
図。 A:二酸化チタンを帯状に混抄した部分の付与本数
と、付与間隔を変えた用紙の平面図。 B:塗布紙の平面図。 1:完全紙料からなる用紙部分の分光反射量を示す波
形。 2,3:二酸化チタンを混抄した部分の分光反射量
を示す波形。 11:既製紙にカオリンを塗布した部分の分光反射量
を示す波形。 12:二酸化チタンを上塗りした部分の分光反射量を
示す波形。 13:炭酸カルシウムを上塗りした部分の分光反射量
を示す波形。 x,y,z,w,k,m,n,p,s,q:一定の基準
レベル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 11/00 - 27/42

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可視光域では用紙の分光反射率とほぼ同
    値であるが、紫外域又は近赤外域のある特定波長域では
    用紙の分光反射率と異なる分光反射率を有する物質であ
    るとともに、目視では視認できない物質を、用紙に対し
    て付与したことを特徴とする機械識別用紙。
  2. 【請求項2】 前記用紙が、抄造中に前記特性を有する
    物質を付与した用紙であることを特徴とする請求項1記
    載の機械識別用紙。
  3. 【請求項3】 前記用紙が、前記特性を有する物質を塗
    布した用紙であることを特徴とする請求項1記載の機械
    識別用紙。
  4. 【請求項4】 前記物質が、二酸化チタンであることを
    特徴とする請求項2又は請求項3記載の機械識別用紙。
  5. 【請求項5】 前記物質が、炭酸カルシウムであること
    を特徴とする請求項3記載の機械識別用紙。
  6. 【請求項6】 前記物質が、アミニウム系化合物である
    ことを特徴とする請求項2記載の機械識別用紙。
  7. 【請求項7】 前記物質が、用紙に対して帯状に複数本
    付与してなることを特徴とする請求項2又は請求項3記
    載の機械識別用紙。
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