JP3283783B2 - 磁束制御形可変変圧器 - Google Patents

磁束制御形可変変圧器

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JP3283783B2
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紘一 三田村
満 前田
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
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    • H01F29/00Variable transformers or inductances not covered by group H01F21/00
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】近年の経済発展に伴う電力需
要の増大、負荷の多様化等により電圧の変動等に対応で
きるフレキシブルな電力設備が求められつつある。この
発明は、電力系統の電圧の安定化に寄与する、配電用変
電所等における負荷時タップ切換変圧器の無タップ化、
配電線系統における負荷時タップ切換電圧調整器の無タ
ップ化,柱上変圧器の二次電圧一定機能を付加した無タ
ップ電圧調整等の、静止形電圧調整器に関する。
【0002】
【従来の技術】電力系統の電圧の安定化に寄与する従来
の技術は、図18に示すような変圧器のタップ切換形電
圧調整器で対処していた。この変圧器のタップ切換形電
圧調整器は、タップ接触部とタップ切換機構があり、タ
ップ接触部の磨耗,接触不良等の他、タップ切換機構の
動作による電圧制御の時間的遅れや機構の磨耗など、保
守・性能上から基本的に使用上の制約があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来
の、変圧器のタップ切換形電圧調整器は、タップ接触部
とタップ切換機構が存在するために生ずる、タップ接触
部の磨耗や、タップ切換機構の磨耗など保守上の課題
と、タップ切換機構の機械的動作による電圧制御の時間
的遅れなどの性能的な課題がある。
【0004】そこで、本発明は、変圧器の電圧調整用タ
ップを設けないで、電圧を高速制御する磁束制御形可変
変圧器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、第1
の磁気回路と第2の磁気回路を有し、第1の磁気回路
は、第1のU形カットコアと第2のU形カットコアと
を、そのカット面同志を互いに対向させ、かつ、一方の
カットコアに対して他方のカットコアを捩れ方向に90
°回転させて接触させて構成し、該第1の磁気回路の前
記第1のU形カットコアと前記第2の磁気回路とに共通
の一次巻線を巻回し、第2の磁気回路には二次巻線を巻
回し、第1の磁気回路の前記第2のカットコアには制御
巻線を巻回し、該制御巻線に通電される励磁電流の値を
変え、一次巻線が巻回された第1の磁気回路の磁気抵抗
を変化させることにより、前記一次巻線と二次巻線との
鎖交磁束を制御し、二次巻線の電圧を連続的に可変する
ことを特徴とするものである。
【0006】請求項2の発明は、第1の三相磁気回路と
第2の三相磁気回路を有し、第1の三相磁気回路は、第
1の三相E形カットコアと第2のU形カットコアとを、
そのカット面同志を互いに対向させ、かつ、一方のカッ
トコアに対して他方のカットコアを捩れ方向に90°回
転させて接触させて構成し、該第1の磁気回路の前記第
1のE形カットコアと前記第2の三相磁気回路とに共通
の一次巻線を巻回し、第2の三相磁気回路には二次巻線
を巻回し、第1の磁気回路の前記第2のU形カットコア
には制御巻線を巻回し、該制御巻線に通電される励磁電
流の値を変え、一次巻線が巻回された第1の三相磁気回
路の磁気抵抗を変化させることにより、前記一次巻線と
二次巻線との鎖交磁束を制御し、二次巻線の電圧を連続
的に可変することを特徴とするものである。
【0007】請求項3の発明は、請求項1の発明におい
て、前記第1の磁気回路の第1のU形カットコアに補助
巻線を巻回したことを特徴とするものである。
【0008】請求項4の発明は、請求項2の発明におい
て、前記第1の三相磁気回路の第1の三相E形カットコ
アに補助巻線を巻回したことを特徴とするものである。
【0009】請求項5の発明は、請求項3又は4の発明
において、前記補助巻線にリアクトルを接続したことを
特徴とするものある。
【0010】請求項6の発明は、請求項5の発明におい
て、前記リアクトルが可変リアクトルであることを特徴
とするものである。
【0011】請求項7の発明は、請求項3又は4又は5
の発明において、制御巻線の励磁電源を補助巻線から得
ることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、変圧器の一次巻線と二
次巻線の鎖交磁束量を変化させ、二次巻線の誘起電圧を
制御するものである。
【0013】本発明の基本構成は、第1の磁気回路と第
2の磁気回路に共通の一次巻線を巻回し、第2の磁気回
路には二次巻線を巻回する。第1の磁気回路は、第1の
U形カットコアと第2のU形カットコアとを、そのカッ
ト面同志を互いに対向させ、かつ、一方のカットコアに
対して他方のカットコアを捩じれ方向に90°回転させ
て接触させた磁気回路で構成する。第2のU形カットコ
アには、制御巻線を巻回する。
【0014】三相変圧器の場合は、第1の三相磁気回路
と第2の三相磁気回路に共通の三相一次巻線を巻回し、
第2の三相磁気回路には三相二次巻線を巻回する。第1
の三相磁気回路は、第1の三相E形カットコアと第2の
U形カットコアとを、そのカット面同志を互いに対向さ
せ、かつ、一方のカットコアに対して他方のカットコア
を捩じれ方向に90°回転させて接触させた磁気回路で
構成する。第2のU形カットコアには、制御巻線を巻回
する。
【0015】制御用電源は、前記磁束制御形可変変圧器
の第1磁気回路の第1U形カットコア、又は三相電圧磁
束制御形可変変圧器の第1三相E形カットコアに補助巻
線を巻回して、これに整流回路を接続し、整流回路に
は、電圧制御回路または電圧制御回路と電圧波形制御回
路を接続した電気回路で構成する。前記補助巻線にリア
クトル又は可変リアクトルを接続することにより二次巻
線誘起電圧の歪を抑制する。
【0016】上記のような構成によれば、まず、一次巻
線に電圧e1を印加することにより、第1の磁気回路に
磁束φ1−1,第2の磁気回路に磁束φ1−2が発生す
る。一次巻線には、第1の磁気回路に磁束φ1−1,第
2の磁気回路に磁束φ1−2が発生するための励磁電流
i1が流れる。第2の磁気回路に巻回された二次巻線に
誘起する電圧は、第2の磁気回路の磁束に応じた電圧e
2が発生する。ここで、二次巻線に二次(負荷)電流i
2が流れると、第2の磁気回路には一次巻線磁束φ1−
2とは反対方向の磁束φ2が発生し、これを打消すよう
に一次巻線に負荷電流が流れるが、第2の磁束回路の磁
束φ1−2が減少して二次電圧e2は低下する。このと
き、第1の磁気回路の磁束φ1−1は、一次巻線の印加
電圧と誘起電圧が平衡するため、第2の磁気回路の磁束
φ1−2の減少相当分増加する。
【0017】ここで、第2のカットコアに巻回された制
御巻線に電流icを流すと、制御巻線の巻数と制御電流
icを掛けた起磁力(アンペアターン)で生じる制御磁
束φcが第1,第2のU形カットコアの接触面を通る。
第1,第2のU形カットコアの接触面は磁束φcと磁束
φ1−1の共通磁路になっており、この共通磁路の磁気
抵抗が増加し、一次巻線の印加電圧による磁束φ1−1
の通過が抑制され減少する。すると、一次巻線の印加電
圧と誘起電圧が平衡するため、第1の磁気回路の磁束φ
1−1の減少相当分が第2の磁気回路の磁束φ1−2の
増加となり、第2の磁気回路上に巻回された一次巻線と
二次巻線の鎖交磁束が増加するので、二次電圧e2は増
加する。次に、二次巻線の負荷が減少して二次電流i2
が減少すると、第2の磁気回路では一次巻線の磁束φ1
−2とは反対方向の磁束φ2が減少するので、磁束φ1
−2が増加して一次巻線と二次巻線の鎖交磁束が増加
し、二次電圧e2が上昇する。
【0018】ここで、第2のカットコアに巻回された制
御巻線の電流icを減少させると、制御巻線の巻数と制
御電流icを掛けた起磁力(アンペアターン)が減少し
て、第1,第2のU形カットコアの接触面の前記共通磁
路の磁気抵抗が減少し、一次巻線の印加電圧e1による
磁束φ1−1の通過が緩和され増加する。すると、一次
巻線の印加電圧e1と誘起電圧が平衡するため、磁束は
一次巻線の印加電圧e1に応じて一定であり、第1の磁
気回路の磁束φ1−1の増加相当分が第2の磁気回路の
磁束φ1−2の減少となり、第2の磁気回路上に巻回さ
れた一次巻線と二次巻線の鎖交磁束が減少し、二次電圧
e2が低下する。
【0019】ここで、第1の磁気回路の磁束φ1−1
は、第2のカットコアに巻回された制御巻線に電流ic
を流すと、制御電流icの値が二次電圧e2の可変範囲
内(共通磁路が磁気飽和しない範囲)以下では、制御電
流icによる共通磁路の磁気抵抗の変化によって波形が
乱される。このため、入力電圧波形が正弦波の場合に、
入力電圧による発生磁束は第1磁気回路の磁束φ1−1
と第2の磁気回路の磁束φ1−2との合成値が正弦波で
あればよいことになるが、第1磁気回路の磁束φ1−1
に歪が生ずると第2磁気回路の磁束φ1−2にも歪が生
じ、二次電圧e2に高調波が生ずる。従って、二次電圧
e2の高調波を除去するためには第1の磁気回路の磁束
φ1−1の波形歪を基本波成分に整える必要がある。
【0020】そこで、第1の磁気回路の磁束φ1−1の
波形整形は、第1の磁気回路に巻回した補助巻線にリア
クトルまたは可変リアクトルを接続し、電流を流すと補
助巻線には、第1の磁気回路の磁束φ1−1とは反対方
向の磁束φ3が発生し、第1の磁気回路の磁束密度を低
下させて高調波電流が抑制され基本波成分の多い電流が
流れる。補助巻線に流れる電流によって生じる磁束φ3
を打消すように一次巻線に電流が流れるが、この電流は
高調波成分が抑制された基本波成分が多い電流である。
すると、第2の磁気回路の磁束φ1−2の波形も改善さ
れ、二次電圧波形から高調波が除去されて電力の品質が
保全される。
【0021】次に、前記補助巻線に整流回路を接続して
第2カットコアに巻回された制御巻線電流icの電源と
して用いれば、負荷電流の変化による二次電圧の変動を
補償するように作用する。二次電流が増加すると第一磁
気回路への移行磁束が増加するが、それによって補助巻
線の誘起電圧e3が増大し、制御電流icを増加させ、
移行磁束を抑止するように作用する。また、二次電流が
減少した場合は、同様に、制御電流を減少させる。すな
わち、二次電流の変動に対し二次電圧の変動を補償する
ように制御電流を自動調整することができる。
【0022】以上のように、第2のU形カットコアの前
記制御巻線の励磁電流の値を変え、一次巻線の第1の磁
気回路の磁気抵抗を変化させて、前記一次巻線と前記二
次巻線の鎖交磁束を制御し、二次巻線電圧を連続的に可
変することができる。
【0023】三相変圧器においても同様に、第2のU形
カットコアの前記制御巻線の励磁電流の値を変え、一次
巻線の第1の三相磁気回路の磁気抵抗を変化させて、前
記三相一次巻線と前記三相二次巻線の三相の鎖交磁束を
一括制御し、三相二次巻線電圧を連続的に可変すること
ができる。
【0024】(実施例)以下、本発明の実施の形態につ
いて図面を参照して詳細に説明する。本発明の基本構成
は、図1において、第1のU形カットコア13と第2の
U形カットコア11で構成する第1の磁気回路と、カッ
トコア16で構成する第2の磁気回路に共通の一次巻線
14を巻回し、第2の磁気回路には二次巻線17を巻回
する。第1の磁気回路は、第1のU形カットコア13と
第2のU形カットコア11とを、そのカット面同志を互
いに対向させ、かつ、一方のカットコアに対して他方の
カットコアを捩じれ方向に90°回転させて接触させた
磁気回路で構成する。第2のU形カットコア11には、
制御巻線12を巻回する。
【0025】図2は、図1に示した磁束制御形可変変圧
器の等価回路を示す回路構成を表示したものであり、×
印は2個の磁心が90°回転させた状態で接触されてい
ることを示し、‖印は通常の変圧器の磁心のように2個
の磁心が平行状態で接触されていることを示す記号であ
る。
【0026】図3は、図1に示した変圧器を三相接続し
た磁束制御形可変変圧器の回路構成の等価回路を表示し
たものである。図4は、三相変圧器の基本構成を示す図
で、第1のE形カットコア13と第2のU形カットコア
11で構成する第1の三相磁気回路と、カットコア16
で構成する第2の三相磁気回路に共通の三相一次巻線1
4を巻回し、第2の三相磁気回路には三相二次巻線17
を巻回する。第1の三相磁気回路は、第1の三相E形カ
ットコア13と第2のU形カットコア11とを、そのカ
ット面同志を互いに対向させ、かつ、一方のカットコア
に対して他方のカットコアを捩じれ方向に90°回転さ
せて接触させた磁気回路で構成する。第2のU形カット
コア11には、制御巻線12を巻回する。図5は、図4
の三相変圧器用磁束制御形可変変圧器の等価回路を示す
回路構成を表示したものである。
【0027】上記のような構成によれば、まず、図1に
おいて、一次巻線14に電圧e1を印加することによ
り、第1の磁気回路に磁束φ1−1,第2の磁気回路に
磁束φ1−2が発生する。一次巻線14には、第1の磁
気回路に磁束φ1−1,第2の磁気回路に磁束φ1−2
が発生するための励磁電流i1が流れる。第2の磁気回
路に巻回された二次巻線17に誘起する電圧は、第2の
磁気回路の磁束に応じた電圧e2である。
【0028】ここで、二次巻線17に電流i2が流れる
と第2の磁気回路には一次巻線14の磁束φ1−2とは
反対方向の磁束φ2が発生して第2の磁気回路の磁束φ
1−2は減少し、二次電圧e2は低下する。このとき、
第1の磁気回路の磁束φ1−1は、一次巻線14の印加
電圧e1と誘起電圧が平衡する磁束を必要とするため、
第2の磁気回路の磁束φ1−2の減少相当分増加する。
【0029】ここで、第2のカットコア11に巻回され
た制御巻線12に電流icを流すと、第1,第2のU形
カットコアの接触面共通磁路15の磁気抵抗の増加によ
って、一次巻線14の印加電圧e1による磁束φ1−1
の通過が抑制され減少する。すると、一次巻線14の印
加電圧e1と誘起電圧が平衡するため、第1の磁気回路
の磁束φ1−1の減少相当分が第2の磁気回路の磁束φ
1−2の増加となり、第2の磁気回路上に巻回された一
次巻線14と二次巻線17の鎖交磁束が増加し、二次電
圧e2は増加する。
【0030】次に、二次巻線17の負荷が増加して二次
電流i2が増加すると、前述のように、第2の磁気回路
には一次巻線14の磁束φ1−2とは反対方向の磁束φ
2が増加して第2の磁気回路の磁束φ1−2は減少し、
二次電圧e2は低下する。このとき、第1の磁気回路の
磁束φ1−1は、一次巻線14の印加電圧e1と誘起電
圧が平衡する磁束を必要とするため、第2の磁気回路の
磁束φ1−2の減少相当分増加する。ここで、第2のカ
ットコアに巻回された制御巻線12の電流icを増加さ
せると、第1,第2のU形カットコアの接触面共通磁路
15の磁気抵抗が更に増加し、一次巻線14の印加電圧
e1による磁束φ1−1の通過が抑制され減少する。す
ると、一次巻線14の印加電圧e1と誘起電圧が平衡す
る磁束を必要とするため、第1の磁気回路の磁束φ1−
1の減少相当分が第2の磁気回路の磁束φ1−2の増加
となり、第2の磁気回路上に巻回された一次巻線14と
二次巻線17の鎖交磁束が増加し、二次電圧e2が増加
する。
【0031】また、二次巻線17の負荷が減少して二次
電流i2が減少すると、第2の磁気回路には一次巻線1
4の磁束φ1−2とは反対方向の磁束φ2が減少する。
従って、第2の磁気回路の磁束φ1−2が増加して一次
巻線14と二次巻線17の鎖交磁束が増加し、二次電圧
e2は上昇する。ここで、第2のカットコア11に巻回
された制御巻線12の電流icを減少させると、第1,
第2のU形カットコアの接触面共通磁路15の磁気抵抗
が減少し、一次巻線14の印加電圧e1による磁束φ1
−1の通過が緩和され増加する。すると、一次巻線14
の印加電圧e1と誘起電圧が平衡するため、磁束は、一
次巻線14の印加電圧e1に応じて一定であり、第1の
磁気回路の磁束φ1−1の増加相当分が第2の磁気回路
の磁束φ1−2の減少となり、第2の磁気回路上に巻回
された一次巻線14と二次巻線17の鎖交磁束が減少
し、二次電圧e2が低下する。一次巻線の印加電圧e1
を一定とした場合の制御電流と二次電圧の関係は図6の
icとe2のようになる。
【0032】ここで、第1の磁気回路の磁束φ1−1
は、第2のカットコアに巻回された制御巻線に電流電流
icを流すと、icの瞬時値によって共通磁路の磁気抵
抗が変化するので制御電流icが二次電圧の可変範囲内
以下では、制御電流icによって図7に示すように波形
が乱される。このため、前述のように、第2磁気回路の
磁束φ1−2にも歪が生じ、二次電圧e2には高調波が
生ずる。
【0033】図8は、二次電圧e2の高調波を除去する
磁束制御形可変変圧器の一実施例を示す斜視図を示す。
図9は、図8に示した磁束制御形可変変圧器の等価回路
を示す回路構成を表示したものである。第1の磁気回路
に巻回した補助巻線18にリアクトル19を接続して、
負荷電流i2や制御電流icに応じて補助巻線18に発
生する誘起電圧e3をリアクトル19に印加し、リアク
トル19に電流を流すと補助巻線18には、第1の磁気
回路の磁束φ1−1とは反対方向の磁束φ3が発生し、
第1の磁気回路の磁束密度を低下させ高調波電流が抑制
され基本波成分の多い電流i3が流れ、前述のように、
第2の磁気回路の磁束φ1−2の波形も改善され、二次
電圧e2の波形から高調波が除去されて電力の品質が保
全される。
【0034】図10は、補助巻線に接続するリアクトル
を可変リアクトルとして二次電圧の調整に伴いリアクト
ル19のインダクタンスを調整可能としたものである。
補助巻線18に可変リアクトルの主巻線22と整流回路
20を接続し、整流回路20を制御電源とした波形制御
回路24で構成する。可変リアクトルの制御巻線23へ
通電する励磁電流を波形制御回路24で抑制して可変リ
アクトルを最適値に調整する。図11は、リアクトル1
9の接続による二次電圧波形の改善を示すオシログラフ
である。
【0035】図12及び図13は、前記補助巻線18に
接続した整流回路20を制御電源として第2カットコア
に巻回された制御巻線電流icの電源として用いる実施
例である。図6は、二次巻線の負荷をパラメータとした
制御電流ic対二次電圧e2,補助巻線電圧e3特性を
示し、これにより、二次巻線の負荷と制御電流icと二
次電圧e2,補助巻線電圧e3との相互関係が理解でき
る、即ち、二次巻線の電圧は負荷の増加で低下し制御電
流icの増加で上昇する。また、補助巻線電圧e3は負
荷の増加で上昇し制御電流icの増加で低下する特性を
有し、常に、負荷の変動に応じて補助巻線電圧e3は変
化するが、制御電流icを必要とする範囲で電源供給の
条件を満している。図6により、負荷電流i2の変動に
よる二次電圧e2と補助巻線電圧e3の変化が逆である
ことが分かる。つまり、補助巻線電圧e3を制御電流i
cの電源とすることにより、負荷の増加によって二次電
圧e2が低下した場合、補助巻線電圧e3が増大して制
御電流icが増大し二次電圧e2の低下を抑制するよう
に作用し、二次電圧e2の電圧変動を補償する。
【0036】以上のように、第2のU形カットコア11
の前記制御巻線12の励磁電流icの値を変え、一次巻
線14の第1の磁気回路の磁気抵抗を変化させて、前記
一次巻線14と前記二次巻線17の鎖交磁束を制御し、
二次巻線電圧e2を連続的に可変することができる。
【0037】図14は、本発明の一実施例である磁束制
御形可変変圧器を用いた静止形電圧調整器の回路構成を
示したもので、図14に示す通り、二次電圧e2の調整
を巻線間の鎖交磁束制御により行っていることから、高
速制御が可能になり、接触機構等の摩耗は存在しない。
機器の構成は、磁心と巻線とからなる銅鉄製静止機器
で、耐久性・保守性・性能上から高信頼性が求められる
電力系統電圧安定化機器として提供できるものである。
【0038】図15は、三相変圧器用磁束制御形可変変
圧器を適用した静止形電圧調整器の回路構成を表示した
ものである。図16は、磁束制御形可変変圧器の二次電
圧制御特性例を示したものである。これは、図15に示
した三相変圧器用磁束制御形可変変圧器を静止形電圧調
整器へ適用した一実施例の回路構成における、二次電圧
e2制御特性を示したもので、制御巻線12の制御電流
icによって二次電圧e2を連続的に可変できることが
了解できる。
【0039】図17は、磁束制御形可変変圧器の定電圧
制御特性例を示したものである。これは、図15に示し
た三相変圧器用磁束制御形可変変圧器を静止形電圧調整
器へ適用した一実施例の回路構成における、二次電圧e
2の定電圧制御特性を示したもので、一次電圧の変化を
連続的に二次電圧e2を一定に制御するための制御巻線
12の制御電流icを示すものである。
【0040】本発明の要旨は、変圧器の電圧調整用タッ
プを設けないで、電圧を高速制御する磁束制御形可変変
圧器を提供することを目的としたもので、その基本構成
は、変圧器の一次巻線と二次巻線の鎖交磁束量を可変イ
ンダクタンスを用いて変化させ、二次巻線の誘起電圧を
制御するものであるが、この他、本発明の要旨を逸脱し
ない範囲で種々変形して実施することができる。
【0041】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によれ
ば、近年の電力需要の増大や負荷の多様化により、系統
電圧の変動等の負荷の多様化に対応できるフレキシブル
な電力設備の提供がはかられ、電力系統の電圧の安定化
に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 磁束制御形可変変圧器の一実施例を示す斜視
図である。
【図2】 磁束制御形可変変圧器の等価回路を示す回路
構成図である。
【図3】 三相接続した磁束制御形可変変圧器の等価回
路を示す回路構成図である。
【図4】 三相変圧器用磁束制御形可変変圧器の一実施
例を示す斜視図である。
【図5】 三相変圧器用磁束制御形可変変圧器の等価回
路を示す回路構成図である。
【図6】 二次巻線の負荷をパラメータとした制御電流
対二次電圧,補助巻線電圧特性を示す図である。
【図7】 制御電流による二次電圧波形歪の観測波形を
示す図である。
【図8】 二次電圧e2の高調波を除去する磁束制御形
可変変圧器の一実施例を示す斜視図である。
【図9】 同磁束制御形可変変圧器の等価回路を示す回
路構成図である。
【図10】 図9のリアクトルを可変リアクトルに変え
た回路構成図である。
【図11】 二次電圧,電流の観測波形を示す図であ
る。
【図12】 高調波を除去する磁束制御形可変変圧器の
制御電源の一実施例を示す斜視図である。
【図13】 同三相変圧器用磁束制御形可変変圧器の等
価回路を示す回路構成図である。
【図14】 磁束制御形可変変圧器を適用した静止形電
圧調整器の一実施例を示す回路構成図である。
【図15】 三相変圧器用磁束制御形可変変圧器を適用
した静止形電圧調整器の一実施例を示す回路構成図であ
る。
【図16】 磁束制御可形変変圧器の二次電圧制御特性
例を示す図である。
【図17】 磁束制御形可変変圧器の定電圧制御特性図
である。
【図18】 従来のタップ切換形電圧調整器の回路構成
図である。
【符号の説明】
11…第2のカットコア、12…制御巻線、13…第1
のカットコア、14…一次巻線、15…カットコア面同
志の接触面、16…カットコア、17…二次巻線、18
…補助巻線、19…リアクトル、20…整流回路、21
…電圧制御回路、22…可変リアクトルの主巻線、23
…可変リアクトルの制御巻線、24…波形制御回路。
フロントページの続き (72)発明者 坂本 雅昭 宮城県仙台市青葉区中山七丁目2番1号 東北電力株式会社 研究開発センター 内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 29/14,30/00 H02M 5/10

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の磁気回路と第2の磁気回路を有
    し、第1の磁気回路は、第1のU形カットコアと第2の
    U形カットコアとを、そのカット面同志を互いに対向さ
    せ、かつ、一方のカットコアに対して他方のカットコア
    を捩れ方向に90°回転させて接触させて構成し、該第
    1の磁気回路の前記第1のU形カットコアと前記第2の
    磁気回路とに共通の一次巻線を巻回し、第2の磁気回路
    には二次巻線を巻回し、第1の磁気回路の前記第2のカ
    ットコアには制御巻線を巻回し、該制御巻線に通電され
    る励磁電流の値を変え、一次巻線が巻回された第1の磁
    気回路の磁気抵抗を変化させることにより、前記一次巻
    線と二次巻線との鎖交磁束を制御し、二次巻線の電圧を
    連続的に可変することを特徴とする磁束制御形可変変圧
    器。
  2. 【請求項2】 第1の三相磁気回路と第2の三相磁気回
    路を有し、第1の三相磁気回路は、第1の三相E形カッ
    トコアと第2のU形カットコアとを、そのカット面同志
    を互いに対向させ、かつ、一方のカットコアに対して他
    方のカットコアを捩れ方向に90°回転させて接触させ
    て構成し、該第1の磁気回路の前記第1のE形カットコ
    アと前記第2の三相磁気回路とに共通の一次巻線を巻回
    し、第2の三相磁気回路には二次巻線を巻回し、第1の
    磁気回路の前記第2のU形カットコアには制御巻線を巻
    回し、該制御巻線に通電される励磁電流の値を変え、一
    次巻線が巻回された第1の三相磁気回路の磁気抵抗を変
    化させることにより、前記一次巻線と二次巻線との鎖交
    磁束を制御し、二次巻線の電圧を連続的に可変すること
    を特徴とする磁束制御形可変変圧器。
  3. 【請求項3】 前記第1の磁気回路の第1のU形カット
    コアに補助巻線を巻回したことを特徴とする請求項1記
    載の磁束制御形可変変圧器。
  4. 【請求項4】 前記第1の三相磁気回路の第1の三相E
    形カットコアに補助巻線を巻回したことを特徴とする請
    求項2記載の磁束制御形可変変圧器。
  5. 【請求項5】 前記補助巻線にリアクトルを接続したこ
    とを特徴とする請求項3又は4記載の磁束制御形可変変
    圧器。
  6. 【請求項6】 前記リアクトルが可変リアクトルである
    ことを特徴とする請求項5記載の磁束制御形可変変圧
    器。
  7. 【請求項7】 制御巻線の励磁電源を補助巻線から得る
    ことを特徴とする請求項3又は4又は5記載の磁束制御
    形可変変圧器。
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