JP3282737B2 - 複合材料用プリフォームの製造方法 - Google Patents

複合材料用プリフォームの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属基複合材料用プリ
フォームの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム、マグネシウムなどの軽合
金材料をマトリックスとし、これに、セラミックス(た
とえばSiC,Si3 4 ,Al2 3 ,K2 O・6T
2 ,9Al2 3 ・2B2 3 等々)のウィスカーや
短繊維で成形したプリフォームを、溶湯鍛造法(高圧凝
固法)によって複合化して、製品の恒温強度、耐熱性な
どを向上させることがおこなわれている。
【0003】この複合化処理においては、複合材料(プ
リフォーム)の部分と、マトリックス部分との間に熱膨
張率の差があり、これを小さくするため、図4に示すよ
うに体積率または材質の異なるプリフォームa,bを層
状に重ねて一体のプリフォームとしたものを用いてい
る。このプリフォームは最初にプリフォームaを成形
し、次にこのプリフォームaをフィルターとして、その
上にプリフォームbを成形る。(注:本発明で体積率
とは、成形したプリフォームの体積に対するウィスカー
や短繊維の体積が占める割合をいう。)なお、プリフォ
ームの成形に関しては、特開昭59−220273号、
特開昭60−240854号、特開昭62−70537
号、特開平1−242736号、および特開平2−25
4127号などが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開昭59−2202
73号、特開昭60−240854号の方法で、プリフ
ォームを製作した場合、得られるプリフォームは単に重
ね合わせた状態となっているため、ウィスカーの体積率
または材質の変化不連続なっている。そのため、溶
湯鍛造法による複合化作業において、図5に示すように
金型dに設置したプリフォームに対して、溶湯eを注湯
してピストンfによって圧力をかけた場合、プリフォー
ムaとプリフォームbとの間の境界に溶湯が侵入し、亀
裂部gが形成される場合がある。また、製品完成後、ヒ
ートショックを与えた場合に、プリフォームaとプリフ
ォームbとの境界で剥離する場合があった。特開昭62
−70537号によると、混合比を変化させた層を何層
にも積み重ねた状態に形成することはできるが、上下方
向に連続した混合状態で形成することはできない。ま
た、特開平1−242736号、特開平254127に
よると、同心円状に中心と外側でウィスカーの体積率や
材質の異なるプリフォームの成形は可能であるが、上下
方向に順次に体積率(vf)や材質の異なるプリフォー
ムの形成はできない。本発明は前記事情に鑑みてなされ
たもので、前記問題点を解消した金属基複合材料用プリ
フォームの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上下方向に配置
された成形型内にスラリーを収容し、該スラリーを吸引
または加圧することによってプリフォームを製作する
において、成形型内に区画板を設けることなく、異種
のスラリーを成形型内に順次収容し、各スラリーの境界
に混合層を形成しながら、上下方向に境界面のない連続
した異種のスラリーからなる成形層を成形することによ
って、前記課題を解決した。以下、本発明について、図
面を参照しながら詳細に説明する。図1はプリフォーム
の成形装置を概念的に示すもので、1は成形型、2は液
槽、5は成形型1の底部に設けたフィルター、6は前記
液槽2に設けた排気口であり、吸引による場合は該排気
口6は真空ポンプ(図示省略)などに連結する。別に、
水と有機溶媒とに夫々異なるウィスカー(短繊維も含
む)を分散してなるスラリーAとBを2種類(必要に応
じて2種類以上)製作する。まず、スラリーAを図1
(a)に示すように前記成形型1に注入する。次いでス
ラリーAの上方より他のスラリーBを注入し、両スラリ
ーの間の一部に混合層ABを形成する。次いで、加圧
(または真空処理)により、前記フィルター5を介して
スラリーをピストン8によって脱水する。
【0006】この結果、図1(b)及び(c)に示すよ
うに成形型1のフィルター5の直上にスラリーAのプ
リフォームA′が形成され、次いで混合したスラリーA
Bによる混合層A′B′をもつプリフォームが、さら
に、その上にプリフォームB′が形成される。この混合
A′B′では、プリフォームA′のウィスカーの体
積率がB′側に近づくにつれて順次に小さくなり、プリ
フォームB′の体積率A′側よりも小さくなる。ま
た、必要に応じてスラリーBの上部に他のスラリーを注
ぎ、プリフォームを3層以上に形成する。なお、上記各
A,Bのスラリーの混合層A′B′を形成させる場合、
スラリーの溶媒同じでもよいが、スラリーBの溶媒は
スラリーAよりも比重が小さく、しかもスラリーAの溶
媒を一部混合したものが好ましい。それによって、プリ
フォームにおけるウィスカーの体積率または材質を、上
下方向になだらかに変化さ せることができる。
【0007】
【実施例】まず、水900gにシリコン・カーバイド
(SiC)ウィスカー100gを均一分散させたスラ
リーAを作成する。一方、ブタノール900gにアルミ
ナ(Al2 3 )短繊維100gを均一分散させて、
スラリーBを作成する。このようにして、まず底面にフ
ィルターを設け、内部に区画板を設けない内径φ60の
プリフォーム成形型に前記スラリーAを100g注入
する。次いでスラリーAの上部に前記スラリーBを10
0g注入する。これによってスラリーA及びBは自然に
一部が混合する。ブタノールの比重が0.809だから
である。攪拌等によってその混合層の幅より広くしても
よい。これを真空または加圧により脱水したあと、60
〜120℃で乾燥する。こして成形したプリフォーム
は直径60mm,高さ10mmで、図2に示すように中
間に混合層A′B′が存在していた。次に、このプリフ
ォームを用い、マトリックス合金としてJIS Al合
金AC8Aを用いて複合化をおこない、2サイクル用ピ
ストンを製造した。図3に示すようにこのピストンの
上面UはSiCウィスカーで強化され、リング溝部Rは
アルミナ短繊維で強化したものが製造できた。従ってリ
ング溝部の耐摩耗性の向上と同時にピストンヘッド部の
熱間強度が向上したピストンが得られた。
【0008】
【発明の効果】本発明の方法によれば、各スラリーの材
質を変えることにより、少なくとも2種類以上の材料か
らなる、境界面のない連続的なプリフォームが得られ
る。また同じ材質のものでも、プリフォーム化する時に
ウィスカーの体積率異なるスラリーを用いることで、
1つのプリフォーム内で連続的に体積率の異なるプリフ
ォームが得られる。したがって、これらのプリフォーム
金属溶湯とによって複合化処理をする時に、プリフォ
ームに従来のように境界がないため、溶湯侵入によるプ
リフォームの割れがない。また、ヒートショックによる
割れも発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a),(b),(c)は本発明に係る方
法の実施要領の説明図である。
【図2】本発明の方法で製作したプリフォームの斜視説
明図である。
【図3】本発明の方法で製作したプリフォームを用いて
製造したピストンの説明図である。
【図4】従来の方法で製作したプリフォームの斜視説明
図である。
【図5】従来の方法で製作したプリフォームを用いてお
こなう溶湯鍛造法の説明図である。
【符号の説明】
1 成形型 5 フィルター A,B スラリー A′,B′ プリフォーム

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下方向に配置された成形型内にスラリ
    ーを収容し、該スラリーを吸引または加圧することによ
    ってプリフォームを製作する方法において、成形型内に
    区画板を設けることなく、異種のスラリーを成形型内に
    順次収容し、各スラリーの境界に異種のスラリーの混合
    層を形成しながら、上下方向に境界面のない連続した異
    種のスラリーからなる成形層を成形することを特徴とす
    る複合材料用プリフォームの製造方法。
  2. 【請求項2】 上下方向に配置された成形型内にスラリ
    ーを収容し、これを吸引または加圧することによってプ
    リフォームを製作する方法において、成形型内に区画板
    を設けることなく、互いに比重の異なる溶媒を用いた異
    種のスラリーを成形型内に順次収容し、各スラリーの境
    界に異種のスラリーの混合層を形成しながら、上下方向
    に境界面のない連続した異種のスラリーからなる成形す
    ることを特徴とする複合材料用プリフォームの製造方
    法。
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