JP3282236B2 - シリコン薄膜の膜厚または屈折率測定方法およびその装置 - Google Patents

シリコン薄膜の膜厚または屈折率測定方法およびその装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はシリコン薄膜の膜厚ま
たは屈折率測定方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】多結晶シリコン薄膜を用いた薄膜半導体
装置を製造する場合、ガラス等からなる透明基板上に堆
積した非晶質シリコン薄膜を多結晶化して多結晶シリコ
ン薄膜とし、あるいはガラス等からなる透明基板上に多
結晶シリコン薄膜を直接堆積することがある。ところ
で、このような非晶質シリコン薄膜や多結晶シリコン薄
膜からなるシリコン薄膜の膜厚および屈折率が設計値通
りでない場合には、薄膜トランジスタ等の薄膜半導体素
子を設計値通りに作成することができないばかりか、そ
れ以後の製造工程が無駄となってしまうことがある。
【0003】そこで、従来では、堆積後の非晶質シリコ
ン薄膜を評価したり、多結晶化後あるいは堆積後の多結
晶シリコン薄膜を評価したりしている。従来のこのよう
な評価方法としては、偏光解析法によってシリコン薄膜
の膜厚および屈折率を測定する方法、X線回折法によっ
てシリコン薄膜の膜厚および屈折率を測定する方法等が
知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、偏光解
析法による測定方法では、反射による光の偏光の変化を
利用する方法であるので、一般に装置が複雑である上、
微妙な軸合わせ等が必要であり、また透明基板上のシリ
コン薄膜の場合実際の反射光が著しく弱く、透明基板裏
面からの反射を誤って取り込むことがあり、信頼性に乏
しく、さらに計測結果からシリコン薄膜の屈折率を求め
るには面倒なデータ処理が必要であるという問題があっ
た。一方、X線回折法による測定方法では、結晶による
ブラッグ反射を利用する方法であるので、この場合も装
置が複雑であり、特に反射角の走査において大がかりな
機構を必要とし、また非晶質シリコン薄膜の評価にはほ
とんど無効であるので、透明基板上に形成した非晶質シ
リコン薄膜とこの非晶質シリコン薄膜を多結晶してなる
多結晶シリコン薄膜とを連続して評価する場合には非晶
質シリコン薄膜の評価を偏光解析法等の別の測定方法で
行なう必要があり、測定工程が煩雑になるという問題が
あった。この発明の目的は、簡単で信頼性の高い測定を
行なうことのできるシリコン薄膜の膜厚または屈折率測
定方法およびその装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の測定方法
は、透明基板上にシリコン薄膜が形成されたシリコン薄
膜試料に所定波長のコヒーレント光を照射してその透過
光の光強度を計測し、この計測結果と予め設定した光強
度の標準値との差分に基づいて前記シリコン薄膜の膜厚
または屈折率の標準値に対する変動分を評価するように
したものである。請求項4記載の測定方法は、透明基板
上にシリコン薄膜が形成されたシリコン薄膜試料に相異
なる波長のコヒーレント光を照射してその各透過光の光
強度を計測し、この計測結果と予め設定した光強度の
標準値との差分に基づいて前記シリコン薄膜の膜厚また
は屈折率の標準値に対する変動分を評価するようにした
ものである。請求項7記載の測定装置は、透明基板上に
シリコン薄膜が形成されたシリコン薄膜試料を支持する
支持手段と、この支持手段の一方側に設けられ、前記シ
リコン薄膜試料に向けてコヒーレント光を出射するコヒ
ーレント光発生手段と、前記支持手段の他方側に設けら
れ、前記コヒーレント光発生手段から出射されて前記シ
リコン薄膜試料を透過したコヒーレント光の光強度を感
知する光強度感知手段と、この光強度感知手段の感知結
と光強度の標準値との差分に基づいて前記シリコン薄
膜の膜厚または屈折率の標準値に対する変動分を評価す
る評価手段とを具備したものである。
【0006】
【作用】この発明によれば、コヒーレント光によりシリ
コン薄膜および透明基板を透過した透過光の光強度を計
測し、この計測結果に基づいてシリコン薄膜の膜厚また
は屈折率を求めることになるので、簡単で信頼性の高い
測定を行なうことができる。
【0007】
【実施例】図1はこの発明の一実施例における測定装置
の概略構成を示したものである。この測定装置は、ガラ
ス等からなる透明基板上にシリコン薄膜が形成されたシ
リコン薄膜試料1を支持するための支持手段(図示せ
ず)を備えている。支持手段の一方側にはコヒーレント
光発生源2が設けられ、他方側には光強度感知センサ3
が設けられている。コヒーレント光発生源2は、CPU
4から制御信号の供給を受けて、コヒーレント光をシリ
コン薄膜試料1に向けて出射する。光強度感知センサ3
は、コヒーレント光発生源2から出射されてシリコン薄
膜試料1を透過したコヒーレント光の光強度を感知し、
この感知した光強度に応じた光強度アナログ信号を送出
する。光強度感知センサ3から送出された光強度アナロ
グ信号はAD変換器5によって光強度デジタル信号に変
換される。CPU4はコヒーレント光発生源2のほかに
AD変換器5等を制御し、さらに後述するデータ処理を
行なう。ROM6はCPU4によるデータ処理のための
プログラムおよびそのために必要な基礎データを書き込
んだものである。RAM7はデータ処理の各過程でデー
タを一時的に記憶するためのものである。入力部8は測
定およびデータ処理に必要なパラメータを入力するため
のものである。表示部9は測定およびデータ処理の操作
上のプロンプトやデータ処理結果等を表示するためのも
のである。
【0008】次に、この測定装置でシリコン薄膜試料1
のシリコン薄膜の膜厚および屈折率を測定する場合につ
いて説明する。コヒーレント光発生源2は、CPU4か
ら制御信号の供給を受けて、1.2〜2.6μmの範囲
内のある1つの波長または相異なる2つ以上の波長の近
赤外光をビーム状に出射する。近赤外光を用いるのは、
その波長範囲における標準的なシリコン(非晶質シリコ
ンあるいは多結晶シリコン)の光吸収がほとんど無く、
したがってシリコン薄膜の膜厚や屈折率がわずかに変動
するとそれが干渉効果の変化としてシリコン薄膜の透過
率に大きく反映され、光強度感知センサ3による変動の
検出感度を大きくすることができるからである。この詳
細は特願平3−183604号に記載されているので参
照されたい。
【0009】ところで、吸収係数を0としたときのシリ
コン薄膜の透過率Tは次の式(1)で表される。
【式1】 ただし、nはシリコン薄膜の屈折率、n0は空気の屈折
率、n1は透明基板の屈折率、r0は光が空気中からシリ
コン薄膜に入射する際の振幅反射率、r1は光がシリコ
ン薄膜から透明基板に入射する際の振幅反射率、δは光
がシリコン薄膜中を進行する際の位相のずれ、δ0は光
が空気中からシリコン薄膜に入射する際の位相のずれ、
δ1は光がシリコン薄膜から透明基板に入射する際の位
相のずれである。
【0010】このうち振幅反射率r0、r1および位相の
ずれδ、δ0、δ1は、シリコン薄膜、空気、透明基板の
各屈折率n、n0、n1、シリコン薄膜の膜厚dおよび光
の波長λを用いて、次の式(2)〜式(4)のように表
すことができる。
【式2】
【式3】
【式4】
【0011】ここで、ある近赤外光の波長λに対する空
気および透明基板の各屈折率n0、n1の値は、事前測定
により一義的に決まるので、その波長分散とともにRO
M6に書き込まれている。したがって、式(2)〜式
(4)で計算した値を式(1)に代入すると、シリコン
薄膜の透過率Tは、シリコン薄膜の屈折率n、膜厚dお
よび近赤外光の波長λの関数T(n,d,λ)として表
すことができる。そして、ある製造工程において、シリ
コン薄膜の標準屈折率、標準膜厚をn0、d0とすると、
測定すべきシリコン薄膜の屈折率n、膜厚dはこの標準
値n0、d0を中心にして変動する。そこで、あるシリコ
ン薄膜においてこの変動がΔn、Δdであったとする
と、これに伴うTの変化ΔTはおよそ次の式(5)で表
される。
【式5】
【0012】次に、具体的な例について説明する。シリ
コン薄膜試料1として、Si26とH2との混合ガスを
用いたプラズマCVD法により透明基板上に多結晶シリ
コン薄膜を直接堆積してなるものを用意する。この場合
の多結晶シリコン薄膜の膜厚dと屈折率nの成膜条件依
存性は図2〜図6に示すようになる。すなわち、まず図
2(A)、(B)はSi26流量依存性を示したもので
あり、膜厚dはSi26流量が増大するに従って厚くな
り、屈折率nはSi26流量3CCMを境にしてそれぞ
れの領域でほぼ一定である。この場合、X線回折法によ
りSi26流量が3CCM以下であると結晶化すること
が確認されているので、Si26流量を3CCM以下と
すると屈折率nがほぼ3.4となる。次に、図3
(A)、(B)は成膜温度依存性を示したものである。
この場合、使用ガス流量をSi26/H2=3CCM/
495CCMとした。この図3(A)、(B)から明ら
かなように、膜厚dはほとんど変化せず、屈折率nも
3.4近傍においてほとんど変化しない。次に、図4
(A)、(B)は成膜RFパワー(プラズマパワー)依
存性を示したものであり、膜厚dはRFパワーが増大す
るに従って厚くなり、屈折率nは3.4近傍においてほ
とんど変化しない。次に、図5(A)、(B)はH2
量依存性を示したものであり、200CCM以上である
と、膜厚dはほとんど変化せず、屈折率nはほぼ3.4
となる。次に、図6(A)、(B)は圧力依存性を示し
たものであり、膜厚dはほとんど変化せず、屈折率nは
0.7Torr以下であるとほぼ3.4となる。
【0013】以上のことから、シリコン薄膜試料1とし
て、例えば使用ガス流量をSi26/H2=3CCM/
495CCMとし、圧力を0.5Torrとしたプラズ
マCVD法により透明基板上に多結晶シリコン薄膜を直
接堆積してなるものを用いる場合には、多結晶シリコン
薄膜の屈折率nがほぼ3.4と安定性が良く、したがっ
てこの屈折率nを定数と見做すことができる。そこで、
この場合の測定すべき多結晶シリコン薄膜の屈折率nを
定数とすると、式(5)から、透過率の変動ΔTは膜厚
の変動Δdを直接反映することとなり、したがって透過
率の変動ΔTが分かると膜厚の変動Δdを察知すること
ができることになる。
【0014】そして、この場合には、入力部8を操作し
て、この測定装置を、透明基板上に直接堆積した多結晶
シリコン薄膜の屈折率nを定数と見做すことのできるモ
ード(1点測定モード)とする。すると、CPU4は、
コヒーレント光発生源2を制御して、コヒーレント光発
生源2からある1つの波長(例えば2.0μm)の近赤
外光を出射させる。この出射された近赤外光はシリコン
薄膜試料1を透過し、この透過光の光強度が光強度感知
センサ3によって感知される。光強度感知センサ3はこ
の感知した光強度に応じた光強度アナログ信号を送出
し、この光強度アナログ信号はAD変換器5によってシ
リコン薄膜試料1中の多結晶シリコン薄膜の透過率に応
じた光強度デジタル信号に変換される。CPU4は、こ
の光強度デジタル信号を取り込んで、この取り込んだ光
強度デジタル信号を予めROM6に書き込まれた標準透
過率に対応した標準光強度デジタル信号と比較し、その
差すなわち透過率の変動ΔTを算出する。そして、この
透過率の変動ΔTが入力部8を操作してRAM7に予め
記憶しておいた許容範囲内であれば、表示部9に膜厚の
変動Δdが許容範囲内であることを示す例えば〇印が表
示され、許容範囲外であれば、許容範囲外であることを
示す例えば×印が表示される。
【0015】ところで、プラズマCVD法により透明基
板上に多結晶シリコン薄膜を直接堆積する場合には、S
26とH2のガスのほかにCF4、F2、SiF4等の添
加ガスを混合して結晶性の良い多結晶シリコン薄膜を得
ることもある。このような場合には、混合ガスの流量比
により多結晶シリコン薄膜の膜厚dだけでなく、屈折率
nも大きく変動する。例えば、図7(A)、(B)はそ
れぞれ添加ガスにCF4を選んだ場合の多結晶シリコン
薄膜の膜厚dと屈折率nのCF4流量依存性を示したも
のであり、膜厚dだけでなく、屈折率nも大きく変化す
る。また、図8(A)、(B)はそれぞれ添加ガスにF
2を選んだ場合の多結晶シリコン薄膜の膜厚dと屈折率
nのF2流量依存性を示したものであり、この場合も膜
厚dだけでなく、屈折率nも大きく変化する。
【0016】このように、混合ガスの流量比により多結
晶シリコン薄膜の膜厚dだけでなく、屈折率nも大きく
変動する場合には、透過率の変動ΔTが分かっても膜厚
の変動Δdを察知することができない。すなわち、未知
数が膜厚の変動Δdと屈折率の変動Δnの2つとなるの
で、式(5)では解を求めることができない。そこで、
このような場合には、次の式(6)で解を求めることに
なる。
【式6】 ただし、ΔT1はコヒーレント光発生源2から出射され
た近赤外光の波長がλ1の場合の透過率の変動、ΔT2
コヒーレント光発生源2から出射された近赤外光の波長
がλ2の場合の透過率の変動である。
【0017】以上のことから、シリコン薄膜試料1とし
て、Si26とH2のガスのほかにCF4、F2、SiF4
等の添加ガスを混合してなる混合ガスを用いたプラズマ
CVD法により透明基板上に多結晶シリコン薄膜を直接
堆積してなるものを用いる場合には、入力部8を操作し
て、この測定装置をそれに対応するモード(2点測定モ
ード)とする。すると、CPU4は、コヒーレント光発
生源2を制御して、コヒーレント光発生源2から相異な
る2つの波長λ1、λ2の近赤外光をある時間差をおいて
順次出射させる。この出射された2つの近赤外光はシリ
コン薄膜試料1を透過し、これら透過光の光強度が光強
度感知センサ3によってある時間差をおいて順次感知さ
れる。光強度感知センサ3はこの感知した2つの光強度
にそれぞれ応じた光強度アナログ信号をある時間差をお
いて順次送出し、これら光強度アナログ信号はAD変換
器5によってシリコン薄膜試料1中の多結晶シリコン薄
膜の各透過率にそれぞれ応じた光強度デジタル信号に変
換される。CPU4は、これら光強度デジタル信号をあ
る時間差をおいて順次取り込み、この取り込んだ2つの
光強度デジタル信号を予めROM6に書き込まれた各標
準透過率にそれぞれ対応した標準光強度デジタル信号と
比較し、その各差すなわち2つの透過率の変動ΔT1
ΔT2をそれぞれ算出し、次いで式(6)から、膜厚の
変動Δdおよび屈折率の変動Δnを算出する。そして、
膜厚の変動Δdの許容範囲を例えば±20nmとすると
ともに、屈折率の変動Δnの許容範囲を例えば±0.2
とし、これらの数値を入力部8を操作してRAM7に記
憶させておくと、共に許容範囲内であれば、表示部9に
は両者の値と共に許容範囲内であることを示す例えば〇
印が表示され、少なくとも一方が許容範囲外であれば、
表示部9には両者の値と少なくとも一方が許容範囲外で
あることを示す例えば×印が表示される。また、少なく
とも一方が許容範囲外である場合には、表示部9に表示
された両者の値から、何が許容範囲外であるかを知るこ
ともできる。
【0018】次に、シリコン薄膜試料1として、プラズ
マCVD法により透明基板上に非晶質シリコン薄膜を堆
積してなるものを用いる場合について説明する。図9は
非晶質シリコン薄膜の屈折率nのH2流量依存性を示し
たものであり、基板温度が例えば200℃あるいは30
0℃というように一定の場合には、H2流量が200C
CM以上であると屈折率nはほぼ一定である。したがっ
て、この場合には式(5)を用いた1点測定も可能であ
り、正確を期するなら式(6)を用いた2点測定を行な
ってもよい。図10は非晶質シリコン薄膜の屈折率nの
基板温度依存性を示したものであり、基板温度が変われ
ば屈折率nが変わる。したがって、この場合には式
(6)を用いた2点測定を行なうことになる。
【0019】次に、シリコン薄膜試料1として、プラズ
マCVD法により透明基板上に堆積した非晶質シリコン
薄膜を炉アニールによる固相成長法で多結晶化して多結
晶シリコン薄膜としてなるものを用いる場合について説
明する。この場合には、多結晶シリコン薄膜の膜厚dお
よび屈折率nが共に変動するので、式(6)を用いた2
点測定を行なうことになる。
【0020】ところで、図11は多結晶シリコン薄膜の
屈折率nのアニール時間依存性を示し、図12はアニー
ル後の結晶性(X線回折強度)を非晶質シリコン薄膜堆
積時の基板温度についてプロットしたものである。図1
2から、アニール後の結晶性を良くするには非晶質シリ
コン薄膜堆積時の基板温度を100℃に設定すればよい
ことが分かる。また、図11から、アニール時間0つま
りアニール前の時点では、非晶質シリコン薄膜堆積時の
基板温度が100℃の場合屈折率nが3.1程度とな
り、非晶質シリコン薄膜堆積時の基板温度が200〜3
00℃の場合の屈折率n=3.5程度よりも小さいこと
が分かる。このことは、アニール後の結晶性を良くする
ために非晶質シリコン薄膜堆積時の基板温度を100℃
に設定したにも拘らず、アニール前つまり非晶質シリコ
ン薄膜堆積後に、この発明の測定方法により測定してみ
て屈折率nが3.1から大きくずれている場合には、基
板温度が何らかの理由により上昇したことを意味する。
したがって、この場合の非晶質シリコン薄膜をアニール
しても良い結晶性を期待することはできないことにな
る。この結果、アニールする前に非晶質シリコン薄膜の
屈折率nを評価し、それが許容範囲外である場合には、
ここで製造工程を終了すると、それ以後の製造工程例え
ば30時間程度要するアニール工程等の無駄な製造工程
を省略することができる。
【0021】また、図13は非晶質シリコン薄膜堆積時
の基板温度が100℃と50℃の場合の多結晶シリコン
薄膜のアニール時間依存性を示したものである。この図
から明らかなように、基板温度が100℃程度で数十時
間アニールすると、屈折率nは3.4程度に落ち着く
が、基板温度が50℃程度だったものはアニール後の屈
折率nが3.6程度の異常値となる。このことは、間接
的ながら、透過光の光強度の変動の測定により結晶化の
状態も判定できることを意味する。
【0022】なお、上記実施例では、式(5)を用いた
1点測定の場合、シリコン薄膜の屈折率を定数と見做し
ているが、屈折率ではなく膜厚の安定性が十分に保証さ
れている場合には、膜厚を定数と見做し、式(5)を用
いた1点測定により屈折率を評価するようにすることも
できる。また、上記実施例では、透過率の測定を1つま
たは2つの波長で行なっているが、より多くの波長で多
点測定を行ない、これにより得られた透過率データと理
論式T(d,n,λ)を次の式(7)による最小2乗法
で適合することにより、測定すべきシリコン薄膜の膜厚
と屈折率を求めるようにしてもよい。
【式7】 ただし、Tkはコヒーレント光発生源2から出射された
近赤外光の波長がλkの場合のシリコン薄膜の透過率で
ある。この場合、測定ノイズ等の影響による評価誤差を
軽減することができるので、より信頼性の高い測定を行
なうことができる。また、上記実施例では、シリコン薄
膜と透明基板を透過したコヒーレント光の光強度を測定
し、これを標準値と比較して透過率を求めた上、膜厚と
屈折率を求めているが、測定した光強度を直接標準値と
比較してその評価を行なうようにしてもよい。この場合
には、膜厚または屈折率の許容差を対応する光強度に換
算してRAM7に記憶させておき、測定された試料の光
強度がこの許容範囲内か否かを評価すればよい。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、コヒーレント光によりシリコン薄膜及び透明基板を
透過した透過光の光強度を計測し、この計測結果と予め
設定した光強度の標準値との差分に基づいてシリコン薄
膜の膜厚または屈折率の標準値に対する変動分を求めて
いるので、簡単で信頼性の高い測定を行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例における測定装置の概略構
成図。
【図2】(A)、(B)はそれぞれ多結晶シリコン薄膜
の膜厚と屈折率のSi26流量依存性を示す図。
【図3】(A)、(B)はそれぞれ多結晶シリコン薄膜
の膜厚と屈折率の成膜温度依存性を示す図。
【図4】(A)、(B)はそれぞれ多結晶シリコン薄膜
の膜厚と屈折率の成膜RFパワー(プラズマパワー)依
存性を示す図。
【図5】(A)、(B)はそれぞれ多結晶シリコン薄膜
の膜厚と屈折率のH2流量依存性を示す図。
【図6】(A)、(B)はそれぞれ多結晶シリコン薄膜
の膜厚と屈折率の圧力依存性を示す図。
【図7】(A)、(B)はそれぞれ添加ガスにCF4
選んだ場合の多結晶シリコン薄膜の膜厚と屈折率のCF
4流量依存性を示す図。
【図8】(A)、(B)はそれぞれ添加ガスにF2を選
んだ場合の多結晶シリコン薄膜の膜厚と屈折率のF2
量依存性を示す図。
【図9】非晶質シリコン薄膜の屈折率のH2流量依存性
を示す図。
【図10】非晶質シリコン薄膜の屈折率の基板温度依存
性を示す図。
【図11】多結晶シリコン薄膜の屈折率のアニール時間
依存性を示す図。
【図12】アニール後の結晶性(X線回折強度)をアニ
ール前の基板温度についてプロットした図。
【図13】多結晶シリコン薄膜の屈折率のアニール時間
依存性を示す図。
【符号の説明】
1 シリコン薄膜試料 2 コヒーレント光発生源 3 光強度感知センサ 4 CPU
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01B 11/00 - 11/30 102 G01N 21/17 - 21/61 H01L 21/64 - 21/66

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板上にシリコン薄膜が形成された
    シリコン薄膜試料に所定波長のコヒーレント光を照射し
    てその透過光の光強度を計測し、この計測結果と予め設
    定した光強度の標準値との差分に基づいて前記シリコン
    薄膜の膜厚または屈折率の標準値に対する変動分を評価
    することを特徴とするシリコン薄膜の膜厚または屈折率
    測定方法。
  2. 【請求項2】 前記コヒーレント光は、1.2〜2.6
    μmの範囲内のある1つの波長の近赤外光であることを
    特徴とする請求項1記載のシリコン薄膜の膜厚または屈
    折率測定方法。
  3. 【請求項3】 前記シリコン薄膜はSiとH
    の混合ガスを用いたプラズマCVD法により前記透明基
    板上に直接堆積した多結晶シリコン薄膜からなることを
    特徴とする請求項1記載のシリコン薄膜の膜厚または屈
    折率測定方法。
  4. 【請求項4】 透明基板上にシリコン薄膜が形成された
    シリコン薄膜試料に相異なる波長のコヒーレント光を照
    射してその各透過光の光強度を計測し、この計測結果
    と予め設定した光強度の標準値との差分に基づいて前記
    シリコン薄膜の膜厚または屈折率の標準値に対する変動
    を評価することを特徴とするシリコン薄膜の膜厚また
    は屈折率測定方法。
  5. 【請求項5】 前記コヒーレント光は、1.2〜2.6
    μmの範囲内の相異なる2つの波長の近赤外光であるこ
    とを特徴とする請求項4記載のシリコン薄膜の膜厚また
    は屈折率測定方法。
  6. 【請求項6】 前記シリコン薄膜はSiとH
    ほかにF、SiF、CF等のガスを混合してなる
    混合ガスを用いたプラズマCVD法により前記透明基板
    上に直接堆積した多結晶シリコン薄膜からなることを特
    徴とする請求項4記載のシリコン薄膜の膜厚または屈折
    率測定方法。
  7. 【請求項7】 透明基板上にシリコン薄膜が形成された
    シリコン薄膜試料を支持する支持手段と、この支持手段
    の一方側に設けられ、前記シリコン薄膜試料に向けてコ
    ヒーレント光を出射するコヒーレント光発生手段と、前
    記支持手段の他方側に設けられ、前記コヒーレント光発
    生手段から出射されて前記シリコン薄膜試料を透過した
    コヒーレント光の光強度を感知する光強度感知手段と、
    この光強度感知手段の感知結果と光強度の標準値との差
    に基づいて前記シリコン薄膜の膜厚または屈折率の標
    準値に対する変動分を評価する評価手段とを具備するこ
    とを特徴とするシリコン薄膜の膜厚または屈折率測定装
    置。
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