JP3281596B2 - 表面透過レーダ用アンテナ - Google Patents

表面透過レーダ用アンテナ

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JP3281596B2
JP3281596B2 JP03576698A JP3576698A JP3281596B2 JP 3281596 B2 JP3281596 B2 JP 3281596B2 JP 03576698 A JP03576698 A JP 03576698A JP 3576698 A JP3576698 A JP 3576698A JP 3281596 B2 JP3281596 B2 JP 3281596B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地面またはコンク
リートなどの建造物に向けて電磁波を放射し、地中また
は建造物中に存在する金属製のパイプ、鉄骨、鉄筋など
の目標物で反射される電磁波を受信し、この受信した電
磁波を処理して目標物の位置や形状を検出する表面透過
レーダに使用されるアンテナ、特にモノポールキャビテ
ィアンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】上述した表面透過レーダは既知であり、
例えば特開昭57−3061号公報や特開平8−623
39号公報に記載されている。これらの公報に記載され
ている表面透過レーダにおいては、送信アンテナおよび
受信アンテナとして、多数のアンテナ素子をマトリック
ス状に配列したアレーアンテナが使用されている。しか
しながら、このようなアレーアンテナは構造が複雑で製
作が面倒であるばかりでなく、アンテナとしての性能も
満足すべきものではなく、例えば地中に埋設されている
金属物体を正確に検出することができない。
【0003】一方、アメリカ特許第5,543,799
号明細書には、モノポールキャビティアンテナを用いた
表面透過レーダが開示されている。このモノポールキャ
ビティアンテナは、矩形の送信用キャビティの内部に送
信用モノポールアンテナを配置し、同じく矩形の受信用
キャビティの内部に受信用モノポールアンテナを配置
し、これらの2つのキャビティを隣り合わせたものであ
る。このようなモノポールキャビティアンテナは、上述
した多数のアンテナ素子をマトリックス状に配列したア
ンテナに比べて構成が簡単で製作が容易であるとともに
アンテナとしての性能も優れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した表面透過レー
ダによって、例えば地中の探索を行なう場合、送受信ア
ンテナと地面との間のエアギャップがある程度必要とな
る。すなわち、探索すべき地面は一般に平坦ではなく、
かなりの凹凸があるので、アンテナと地面とを接触させ
ながら探索を行なうことは不可能である。したがって、
アンテナと地面との間にはエアギャップを設ける必要が
ある。
【0005】しかしながら、この種の表面透過レーダに
おいて、エアギャップを広く取ると目標物からの反射波
の振幅は著しく低下してしまい、正確な探索を行なうこ
とができなくなる欠点がある。例えば、上述したアメリ
カ特許第5,543,799号明細書に記載されたモノ
ポールキャビティアンテナでは、エアギャップ10mm
程度までは大きな反射振幅が得られるが、エアギャップ
がそれよりも広くなると反射振幅は急激に低下してしま
うことを確かめた。
【0006】したがって、従来はこのような表面透過レ
ーダを使用する場合には、アンテナを地面またはコンク
リート面すれすれに接近させて使用する必要があった。
しかしながら、実際の探索現場において、このようにエ
アギャップを10mm以下に抑えることは非常に作業性
が悪くなり、実用的ではない。一般に、20〜80mm
のエアギャップを取っても十分大きな反射振幅が得られ
るようなアンテナが望ましいが、従来の表面透過レーダ
用アンテナではこのような要求を満たすことはできなか
った。
【0007】したがって、本発明の目的は、上述した従
来の欠点を除去し、探索すべき目標物を含む媒体の表
面、例えば地面やコンクリート表面との間に作業性を損
なうことがない程度に大きなエアギャップを介在させた
場合にも、十分大きな反射振幅が得られ、したがって正
確な探査を能率良く行なうことができる表面透過レーダ
用アンテナを提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、表面透過レー
ダに用いられるアンテナであって、内部に送信用モノポ
ールアンテナを配置した送信キャビティと、内部に受信
用モノポールアンテナを配置した受信キャビティとを互
いに隣接して配置し、これら送信用キャビティおよび受
信用キャビティの前面に、探索すべき表面までのエアー
ギャップの変化にも拘らず、安定した反射波振幅が得ら
れる寸法および形状のホーンアダプタを設けたことを特
徴とするものである。
【0009】本発明による表面透過レーダ用アンテナの
好適な実施例においては、前記ホーンアダプタを、先端
に向けて外方に広がる形状とする。この場合、外方に向
けて拡開する形状のホーンアンテナの先端開口の面積
と、基部開口の面積との比と、モノポールアンテナから
ホーンアダプタの先端開口までの距離と、モノポールア
ンテナからホーンアダプタの基部開口までの距離との比
とがほぼ等しくなるようにホーンアダプタを構成するの
が特に好適である。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は、本発明によるホーンアダ
プタアンテナを具える表面透過レーダの全体の構成を示
す斜視図である。長さ1メートル程度のロッド1の先端
に表面透過レーダ本体2を連結する。この表面透過レー
ダ本体2の先端には本発明によるホーンアダプタアンテ
ナ3が取り付けられている。また、ロッド1の他端には
肘掛け用リング4を設け、ここに腕を通したときに手が
来る位置に操作用グリップ5を設け、このグリップの先
端には、レーダのオンオフスイッチ6を設ける。ロッド
1の手元端にバッテリーパック7を設け、これにより表
面透過レーダ本体2およびノートパソコン8を付勢す
る。このノートパソコン8は、表面透過レーダ本体2を
制御するとともに受信した反射波信号を処理して目標物
を画像表示するものである。
【0011】図2は、ホーンアダプタアンテナ3の構成
を示す斜視図である。ホーンアダプタアンテナ3は、主
として2つの部分から構成されている。すなわち、内部
に送信用モノポールアンテナ21を配置した送信用キャ
ビティ22および内部に受信用モノポールアンテナ23
を配置した受信用キャビティ24を互いに隣接して配列
したモノポールキャビティアンテナ25と、このモノポ
ールキャビティアンテナの前面に設けられたホーンアダ
プタ26とで構成されている。なお、モノポールキャビ
ティアンテナ25の上面には、反射検出回路基板27が
設けてあり、また背後には、画像信号の出力端子28お
よび同期信号の出力端子29が設けてある。
【0012】本発明においては、図2に示すように、モ
ノポールキャビティアンテナ25の前面にホーンアダプ
タ26を配置したものであるが、このホーンアダプタの
寸法および形状を適切に設計して、ホーンアダプタの先
端と地面またはコンクリート面との間のエアギャップを
実用的な値に取ったときでも、十分大きな振幅の反射波
を受信することができるようにしたものである。
【0013】次に、ホーンアダプタ26をどのような寸
法および形状とするのが良いのかを見出すために、種々
のアンテナを用いて以下に述べるような実験を行った。
図3に示すように容器31の中に砂32を入れ、その中
の深さ20cmのところに金属板33を埋設し、砂32
の上方に表面透過レーダのアンテナ部分34を砂の表面
までのエアギャップの距離をほぼ零から100mm程度
まで変化させながら、中心周波数2GHzのモノサイク
ルインパルスの電波を送信し、金属板33から反射され
る電波を受信して反射波振幅の大きさを調べた。
【0014】第1の実験では、図4に示すように、ホー
ンアダプタを設けない従来のモノポールキャビティアン
テナ(これは図2に示したモノポールキャビティアンテ
ナと同じ構造であるので、符号25を付けて示した)、
高さ10mmで、先端開口の面積と基部開口の面積とが
同じホーンアダプタ26を設けたモノポールキャビティ
アンテナ、高さ10mmで、先端開口の面積が、基部開
口の面積のほぼ2倍のホーンアダプタ26を設けたモノ
ポールキャビティアンテナ、高さが20mmで、先端開
口の面積が、基部開口の面積のほぼ3倍のホーンアダプ
タ26を設けたモノポールキャビティアンテナの3つの
アンテナを用いた。なお、図4では、ホーンアダプタ2
6の先端開口の面積S1及び基部開口S2の面積を表し
た正面図をも示した。また、送信用モノポールアンテナ
21及び受信用モノポールアンテナ23は、いずれのモ
ノポールキャビティアンテナにおいても、基部開口から
10mm内側に入った位置に設けられている。
【0015】図5A,B,C及びDは、上述した4つの
アンテナについて、受信反射波の振幅とエアギャップと
の関係をそれぞれ示すものである。図5Aに示すホーン
アダプタを持たない従来のモノポールキャビティアンテ
ナでは、エアギャップの増大とともに反射波の振幅は急
激に減少し、エアギャップが40mm以上となると反射
波の振幅は非常に小さくなる。また、ホーンアダプタが
外方に向けて拡開していないアンテナでは、図5Bに示
すようにエアギャップが10mmを越えると反射波の振
幅はほぼ一定となるが、その値が小さいので目標物体の
正確な検出が困難である。これに対し、外方に向けて拡
開したホーンアダプタを設けたアンテナでは、図5Cお
よびDに示すように、反射波の振幅がほぼ一定となり、
しかも振幅の値も大きい安定領域があり、この領域では
正確な検出を行なうことができることが分かった。特
に、図5Cに示すアンテナでは、20〜80mmといっ
た実用的なエアギャップにおいて安定な領域が得られて
おり、きわめて好適であることが分かった。
【0016】次に第2の実験として、図6に示すように
寸法が異なる相似形のホーンアダプタ26を有するアン
テナを製作し、これらの特性を調べた。図7は反射波の
振幅がエアギャップの長さによってどのように変化する
のかを示すものであり、曲線Aは、ホーンアダプタを持
たない従来のモノポールキャビティアンテナの特性を示
し、曲線Bは図6の右側に示すアンテナの特性を示し、
曲線Cは図6の中央に示すアンテナの特性を示し、曲線
Dは図6の左側に示すアンテナの特性をそれぞれ示すも
のである。
【0017】図7のグラフから明らかなように、曲線A
で示す従来のアンテナでは、エアギャップの増大ととも
に反射波の振幅は急激に減少し、エアギャップが20m
m以上となると、振幅は非常に小さく、正確な探索を行
なうことができない。これに対し、外方に向かって拡開
するホーンアダプタを有する本発明によるアンテナで
は、最初はエアギャップの増大とともに反射波の振幅は
小さくなるが、20mm以上となっても安定な領域が得
られることが分かった。したがって、この安定領域では
正確な探索を行なうことができる。ただし、ホーンアダ
プタ26の高さをモノポールアンテナと基部開口までの
距離の2倍の20mmとし、先端開口の面積を、基部開
口の面積のほぼ3倍とした図6の左側のアンテナでは、
大きな振幅の反射波が得られるが、不要反射波の振幅も
大きくなることが分かった。したがって、不要反射波に
よる影響が小さい環境下では有効に使用できることが分
かった。
【0018】これに対し、ホーンアダプタ26の高さを
モノポールアンテナと基部開口までの距離と等しい10
mmとし、ホーンアダプタの先端開口の面積を基部開口
の面積の2倍とした図6の中央のアンテナでは、安定領
域において十分な反射波の振幅が得られ、しかも不要反
射波も十分小さいことが分かった。すなわち、本発明に
おいては、外方に向けて拡開する形状のホーンアンテナ
の先端開口の面積と、基部開口の面積との比を、モノポ
ールアンテナからホーンアダプタの先端開口までの距離
と、モノポールアンテナからホーンアダプタの基部開口
までの距離との比がほぼ等しくなるようにホーンアダプ
タを構成するのが最も好適であり、このようなホーンア
ダプタを有するモノポールキャビティアンテナは種々の
環境下において目標物体を正確に検出することができる
ことが確かめられた。
【0019】次に、上述した不要反射について説明す
る。図8Aは不要反射のない理想的な場合を示すもので
あり、時刻aにおいて、モノサイクルパルスの電波を送
信すると、アンテナから被検物体までの距離に応じた時
間τ後の時刻bにおいて、同じくモノサイクルパルスの
反射波が受信される。このように、不要反射波がない場
合には、受信反射波の波形も正確なものとなり、上述し
た時間τの計測を正確に行なうことができ、したがって
被検物体の位置や形状も正確に知ることができる。しか
し、一般に送信された電波は被検物体のみによって反射
されるのではなく、周囲の種々の物体でも反射された
り、被検物体によって反射された電波が他の物体で再度
反射されてアンテナで受信されることもあり、図8Aに
示すような理想的な受信信号波形は得られない。図8B
は、このような目標物体以外からの反射波を含む受信波
を示すものであり、実線は本来の被検物体による反射波
を示し、破線は不要反射波を示すものである。このよう
に、不要反射波が含まれると、本来の反射波の振幅が大
きくても、本来の反射波の位置を正確に検出することが
できず、したがって正確な探索を行なうことはできな
い。
【0020】上述したように、本発明においては、外方
に向けて拡開する形状のホーンアンテナの先端開口の面
積と、基部開口の面積との比と、モノポールアンテナか
らホーンアダプタの先端開口までの距離と、モノポール
アンテナからホーンアダプタの基部開口までの距離との
比とがほぼ等しくなるようにホーンアダプタを構成する
のが最も好適であることを確かめたが、これはこのよう
な条件を満足することによってアンテナのキャビティ内
のインピーダンスと、アンテナと地面またはコンクリー
ト表面との間に介在する空気層のインピーダンスとのマ
ッチングが良好に取れるためであると考えられる。
【0021】
【発明の効果】上述したように、本発明の表面透過レー
ダ用アンテナによれば、モノポールキャビティアンテナ
の前面に、探索すべき表面までのエアーギャップの変化
にも拘らず、安定した反射波振幅が得られる寸法および
形状のホーンアダプタを設けたものであるから、エアギ
ャップが大きく変化するにも拘らず、大きくしかも安定
した反射波を受信することができる。したがって、エア
ギャップに殆ど気を使うことなく探索を行なうことがで
きるので、現場での探索作業は著しく容易となり、しか
も正確な探索を行なうことができる。
【0022】特に外方に拡開するホーンアダプタを、そ
の先端開口の面積と、基部開口の面積との比が、モノポ
ールアンテナからホーンアダプタの先端開口までの距離
と、モノポールアンテナからホーンアダプタの基部開口
までの距離との比とほぼ等しくなるように構成した場合
には、十分大きなほぼ一定の振幅を有する反射波が広範
囲のエアギャップに亘って得られ、しかも不要反射波の
影響が小さい安定領域を得ることができるので、特に正
確な探索を容易に行なうことができ、その実用上の効果
はきわめて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明によるアンテナを有する表面透
過レーダの一例を示す斜視図である。
【図2】図2は、同じくそのアンテナの構成を示す斜視
図である。
【図3】図3は、本発明によるアンテナの効果を実証す
るための実験装置の概略を示す線図である。
【図4】図4は、第1の実験に使用した種々のアンテナ
の構造を示す線図である。
【図5】図5A〜5Dは、第1の実験結果を示すグラフ
である。
【図6】図6は、第2の実験に使用した種々のアンテナ
の構造を示す線図である。
【図7】図7は、同じくその実験結果を示すグラフであ
る。
【図8】図8AおよびBは、不要反射を含まない受信電
波および不要反射を含む受信電波の波形を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
21 送信用モノポールアンテナ、 22 送信用キャ
ビティ、 23 受信用モノポールアンテナ、 24
受信用キャビティ、 25 モノポールキャビティアン
テナ、 26 ホーンアダプタ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面透過レーダに用いられるアンテナで
    あって、内部に送信用モノポールアンテナを配置した送
    信キャビティと、内部に受信用モノポールアンテナを配
    置した受信キャビティとを互いに隣接して配置し、これ
    ら送信用キャビティおよび受信用キャビティの前面に、
    先端に向けて外方へ広がる形状としたホーンアダプタを
    設け、このホーンアダプタの先端開口面積と、基部開口
    の面積との比と、モノポールアンテナからホーンアダプ
    タの先端開口までの距離と、モノポールアンテナからホ
    ーンアダプタの基部開口までの距離との比とをほぼ等し
    くしたことを特徴とする表面透過レーダ用アンテナ。
JP03576698A 1998-02-18 1998-02-18 表面透過レーダ用アンテナ Expired - Fee Related JP3281596B2 (ja)

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