JP3280586B2 - 車両用視界拡大装置 - Google Patents

車両用視界拡大装置

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両のリヤウイ
ンドウにフレネル凹レンズを装着して後方視界を拡大さ
せる車両用視界拡大装置に関し、フレネル凹レンズを傾
斜したリヤウインドウに装着することによるレンズの白
濁現象を防止して、視認性を向上させたものである。
【0002】
【従来の技術】車両のリヤウインドウにフレネル凹レン
ズを装着して後方視界を拡大させるようにした車両用視
界拡大装置が従来より提案されている(例えば実開昭5
7−153302号)。これは、図2に示すように、車
両10のリヤウインドウ12の車内側の面に沿って樹脂
製等のフレネル凹レンズ14を貼着することにより、運
転者の視点16から見てリヤウインドウ12による直接
視界で死角となる部分(車両直後下方部分等)をフレネ
ル凹レンズ14を通して視認できるようにしたものであ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】車両のリヤウインドウ
は傾斜しているため、図3に示すように、フレネル凹レ
ンズ14の非レンズ面14a(図3(b))が運転者の
視点16から見える位置関係となり、非レンズ面14a
からの乱反射線18が白濁現象としてレンズ視野内で見
えてしまい、視認性を悪化させていた。特に、板厚およ
びプリズムピッチが一定の一般的なフレネル凹レンズに
おいては、フレネル凹レンズ14の光軸中心14bから
離れたレンズ下部において、プリズム角θが大きくなる
のに伴って非レンズ面14aの幅Dが必然的に長くな
り、白濁が強くなっていた。
【0004】この発明は、前記従来の技術における問題
点を解決して、レンズの白濁現象を防止して視認性を向
上させた車両用視界拡大装置を提供しようとするもので
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明の車両用視界拡
大装置は、上下方向の少なくとも一部が車両前方側に凹
状に湾曲または屈曲して形成された側面形状を有するフ
レネル凹レンズで構成され、上部が車両のリヤウインド
ウの車内側の斜め下方に向けて傾斜した面に沿って装着
され、下部が当該リヤウインドウから離れて下方に垂下
した状態に配置されてなるものである。
【0006】この発明によれば、フレネル凹レンズを上
下方向に湾曲または屈曲した構成にして、プリズム角が
大きいレンズ下部を下方に垂下した状態に配置したの
で、レンズ下部の非レンズ面が運転者の視点から見えず
らくなり、白濁が減少して視認性を向上させることがで
きる。また、図4に示すように、フレネル凹レンズ全体
を平板状に構成して下方に垂下した状態に配置する場合
(二点鎖線)に比べて、フレネル凹レンズを湾曲または
屈曲させることにより、車室内でのレンズの出っ張り量
を少くすることができ、フレネル凹レンズをじゃまにな
らないように配置することができる。
【0007】なお、フレネル凹レンズを湾曲させる場合
の曲率半径は、一定の曲率半径を用いるほか、複数の曲
率半径を複合させて用いる(例えば、上部の曲率半径を
短くし、下部の曲率半径を長くする等)こともできる。
【0008】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態を図1に示
す。車両用視界拡大装置20は、透明樹脂製等のフレネ
ル凹レンズ22で構成されている。フレネル凹レンズ2
2は、一定の板厚dを有し、正面形状が例えば横長四角
形状に形成され、側面形状が上下方向全体にわたり車両
前方側に凹状に湾曲した形状に形成されている。フレネ
ル凹レンズ22は前面(車両前方側の面)22aがレン
ズを形成する凹凸面に形成され、背面22bが平滑面に
形成されている。凹凸面にはレンズの光軸中心24を中
心に同心円状にプリズム32が形成されている。プリズ
ムピッチPは一定である。レンズの光軸中心24はフレ
ネル凹レンズ22の幅方向の中心位置で上下方向の上寄
りの位置に設定されている。プリズム角θは光軸中心か
ら離れるレンズ下部に行くに従い大きくなり、これに伴
い、非レンズ面22cの幅Dはレンズ下部に行くに従い
長くなる。
【0009】フレネル凹レンズ22の湾曲形状は、平板
状のフレネル凹レンズを曲げ加工して形成したり、ある
いは初めから湾曲形状を盛り込んだ金型を用いて、フレ
ネル凹レンズを成型するのと同時に形成することができ
る。
【0010】以上の構成のフレネル凹レンズ22は、上
部がリヤウインドウ12の内面12aに沿って配置され
て透明両面粘着テープ26で装着され、下部がリヤウイ
ンドウ12から離れて下方に垂下している(図1の例で
は、フレネル凹レンズ22の下端部はほぼ垂直下方に垂
下している。)。車両用視界拡大装置20を車室内側か
ら見た状態を図5に示す。(a)はフレネル凹レンズ2
2の上部左右に装着されている留め具38,40(裏面
全体に両面粘着テープが装着されている。)を用いてリ
ヤウインドウ12に装着したもの、(b)はフレネル凹
レンズ22の上部全幅にわたり装着されている留め具3
6(裏面全体に両面粘着テープが装着されている。)を
用いてリヤウインドウ12に装着したものである。
【0011】なお、フレネル凹レンズ22は板厚が2〜
3mm、外形が横200mm×縦150mm程度であれば重量
は100g程度と軽いため、図1や図5に示すように上
部のみ適当な幅の両面粘着テープで貼着するだけで下部
は無支持状態でも充分支持可能である。ただし、必要に
応じて、フレネル凹レンズ22の下部を支持部材でリヤ
ウインドウ12に支持する等揺れ止め対策を施すことも
できる。
【0012】以上のようなフレネル凹レンズ22の構造
および配置によれば、白濁現象を起こしやすいフレネル
凹レンズ22の下部はリヤウインドウ12から離れて下
方に垂下した状態となるので、図1(b)に示すよう
に、非レンズ面22cが水平面に近い姿勢に配置されて
運転者の視点から見えずらくなり、白濁現象が低減され
て視認性が向上する。
【0013】
【他の発明の実施の形態】前記図1の実施の形態のよう
にフレネル凹レンズ22の全体を一定の曲率半径で湾曲
させた場合、曲率半径が短いとレンズ下部の収差が大き
くなることがある。この問題を解決したこの発明の実施
の形態を図6に示す。この車両用視界拡大装置34は、
フレネル凹レンズ22の曲率半径を上側で短く、下側で
長く設定したものである。この例では曲率半径を2段階
に変化させているが、より多段階に、さらには無段階に
変化させることもできる。このように曲率半径を変化さ
せることにより、レンズ下部の収差が軽減される。ま
た、全体を一定の曲率半径で湾曲させた場合に比べて、
車室内でのレンズの出っ張り量をより少くすることがで
きる。
【0014】この発明のさらに別の実施の形態を図7に
示す。この車両用視界拡大装置28は、フレネル凹レン
ズ22の上部のみ湾曲させて、下部は平板状にして下方
に垂下させたものである。上部の湾曲部の曲率半径を前
記図6と同様に変化させる(下側ほど短くする)ことも
できる。
【0015】このようなフレネル凹レンズ22の構造お
よび配置によっても、白濁現象を起こしやすいフレネル
凹レンズ22の下部は下方に垂下した状態となるので、
非レンズ面が水平面に近い姿勢に配置されて運転者の視
点から見えずらくなり、白濁現象が低減されて視認性が
向上する。また、図6の実施の形態に比べて車室内での
レンズの出っ張り量をより少くすることができる。
【0016】
【実施例】図1、図6、図7のフレネル凹レンズ22の
具体例として、図8に示すように、外寸が横170mm×
縦120mmで、光軸中心24が幅方向の中心で上端から
17mmの位置にあり、焦点距離が−217mmのフレネル
凹レンズを作製し、湾曲状態を様々に設定して視認状態
の実験を行った。その結果を以下に示す。 (実験1) 図1の構成において、上下方向に全体を半
径150mmで湾曲させたところ、白濁量が低減した。 (実験2) 図6の構成において、上1/2を半径12
0mmで湾曲させ、下1/2を半径250mmで湾曲させた
ところ、白濁量が低減した。 (実験3) 図7の構成において、上1/3をほ半径7
0mmで湾曲させ、残り2/3の部分を平坦に形成したと
ころ、白濁量が低減した。
【0017】なお、前記実施の形態ではフレネル凹レン
ズの全体または一部を湾曲させた場合について示した
が、図9の車両用視界拡大装置30に示すように、平板
状のフレネル凹レンズ22をその上下方向の途中で屈曲
させた側面形状に形成することもできる。また、前記実
施の形態ではフレネル凹レンズの下部を垂直下方に垂下
した状態に配置した場合について示したが、必ずしも垂
直下方に垂下した状態に配置する必要はなく、斜め下方
に垂下した状態に配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 フレネル凹レンズの上下方向の全体を湾曲さ
せるようにしたこの発明の実施の形態を示す図で、フレ
ネル凹レンズの光軸中心で切った断面側面図である。
【図2】 フレネル凹レンズによる視界範囲を示す図で
ある。
【図3】 従来装置を示す断面側面図およびその一部拡
大図である。
【図4】 この発明のフレネル凹レンズを使用した場合
と平板状のフレネルレンズを垂下配置した場合の、フレ
ネル凹レンズの車室内での出っ張り量の違いを説明する
図である。
【図5】 図1の車両用視界拡大装置20の配設状態を
示す車室内側から見た斜視図である。
【図6】 フレネル凹レンズの湾曲の曲率半径を上部は
短く下部は長く設定したこの発明の他の実施の形態を示
す図で、フレネル凹レンズの光軸中心で切った断面側面
図である。
【図7】 フレネル凹レンズの上部のみ湾曲させるよう
にしたこの発明の他の実施の形態を示す図で、フレネル
凹レンズの光軸中心で切った断面側面図である。
【図8】 この発明で使用されるフレネル凹レンズの寸
法例を示す斜視図である。
【図9】 平板状フレネル凹レンズの途中を屈曲させる
ようにしたこの発明の他の実施の形態を示す図で、フレ
ネル凹レンズの光軸中心で切った断面側面図である。
【符号の説明】
10 車両 20,28,30,34 車両用視界拡大装置 22 フレネル凹レンズ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60R 1/00 G02B 3/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上下方向の少なくとも一部が車両前方側に
    凹状に湾曲または屈曲して形成された側面形状を有する
    フレネル凹レンズで構成され、上部が車両のリヤウイン
    ドウの車内側の斜め下方に向けて傾斜した面に沿って装
    着され、下部が当該リヤウインドウから離れて下方に垂
    下した状態に配置されてなる車両用視界拡大装置。
  2. 【請求項2】前記湾曲を、複数の曲率半径を複合させて
    構成してなる請求項1記載の車両用視界拡大装置。
  3. 【請求項3】前記湾曲の曲率半径を、前記フレネル凹レ
    ンズの上側で短く、下側で長く設定してなる請求項2記
    載の車両用視界拡大装置。
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