JP3277372B2 - クロレラ培養方法 - Google Patents

クロレラ培養方法

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JP3277372B2
JP3277372B2 JP36769499A JP36769499A JP3277372B2 JP 3277372 B2 JP3277372 B2 JP 3277372B2 JP 36769499 A JP36769499 A JP 36769499A JP 36769499 A JP36769499 A JP 36769499A JP 3277372 B2 JP3277372 B2 JP 3277372B2
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勝巳 石垣
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、日光照射下で酢酸
を炭素源およびエネルギー源とした混合栄養的培養にお
いて、一年を通じて、培養状態が悪化せず、生産性を一
定水準に維持し、クロロフィル含有量を一定水準に維持
できる工業的なクロレラ培養方法を提供することを目的
としたものである。
【0002】
【従来の技術】クロレラは、単細胞緑藻であり、蛋白
質、クロロフィル、食物繊維、豊富なビタミン・ミネラ
ル類を有する食品として知られ、また生産性が高いとい
う利点もあり、工業的な規模で大量に培養され、健康食
品または食品の着色剤、食品素材として利用されてい
る。クロレラは、クロロフィル含有量が多いほど高品質
とされており、クロロフィル含有量が高いことは重要で
ある。クロロフィルには、ダイオキシン等の変異原吸着
活性作用のあることが報告されている。クロレラ培養方
法の形式は、独立栄養、従属栄養、混合栄養に分けられ
る。
【0003】独立栄養は、屋外培養池での炭酸ガスと日
光照射による培養方法であるが、炭酸ガスの利用効率や
生産性に問題があり、現在ほとんど実施されていない。
生産性は8〜13g/m/日とされている。
【0004】従属栄養は、密閉タンクで炭素源およびエ
ネルギー源として有機物を用い、日光照射しない培養方
法である。タンク培養は工業化されているが、密閉タン
クで光照射するのは実用的でないため工業化されていな
い。従属栄養は、細菌感染がないことと価格が安いこと
が特徴である。クロロフィル含有量が1.0〜2.5%
と低く、乾燥藻体の色素が劣化しやすい欠点を有してい
る。
【0005】混合栄養は、屋外培養池での日光照射下で
酢酸を炭素源およびエネルギー源とした培養方法であ
る。工業的には、解放攪拌式培養池が用いられる。従来
の混合栄養では、培養に種苗培養と本培養の区別がな
い。培養状態の良くない培養池からは全量収穫し、培養
状態の良い培養池からは一部の培養液を残して収穫し、
残した培養液を種苗にして次の培養を開始する。一番最
初の種苗を確保するための方法は(本発明においても同
様であるが)、室内培養から始めて小面積培養池へと進
んでスケールアップする方法がとられるが、その後の工
業的培養の生産の主な種苗は上記方法で確保される。工
業的な培養においては屋外培養池に広大な面積を必要と
するため(例えば直径30m)、藻体の生産性は濃度
(g/L)よりも面積あたりの収穫量(g/m)が重
要である。したがって、混合栄養の培養条件に関する記
述は、主にg/mを用いる。例えば培養基質や藻体量
は、主に一定面積あたりの量で示される。
【0006】以下、従来の混合栄養によるクロレラ培養
方法を具体的に述べる。
【0007】培養で与えられる炭素:窒素比は3.5:
1〜4.5:1であり、窒素源が豊富な培地となってい
る。酢酸を補給するための補給培地の炭素:窒素比は
8.0:1〜8.6:1である。培養で与えられる炭
素:窒素比は、基礎培地と補給培地の混合の割合で決
る。
【0008】酢酸補給量の最多設定値は、例えば高水温
期で150g/m/日,低水温期で100g/m
日となる。従来は、季節ごとに水温が変るにつれて、酢
酸補給量を変化させていた。酢酸補給量は、経験的に予
測される一日のクロレラの増殖量から最多補給量を設定
し、細菌感染度によって酢酸補給量を経験的に少なめに
する方法である。培養途中で酢酸補給を停止することも
ある。通常の一日の酢酸補給量は、高水温期は70〜1
50g/m/日とバラツキが大きく、低水温期は60
〜100g/m/日とバラツキがある。年間平均で約
95g/m/日,高水温期の平均で約110g/m
/日,低水温期の平均で約70g/m/日である。
【0009】種苗量の設定値は、40〜70g/m
日である。これは、クロレラの増殖倍率や稼動条件にお
いては種苗量が少ない方が有利であるが、これ以上に少
ないと細菌感染度が高くなりやすいことによる設定値で
ある。
【0010】培養日数は10〜12日に設定されてい
る。
【0011】培養池の水深は10〜30cmで、クロレ
ラの増殖を高めるためには10〜20cmと低めに設定
され、培養の安定化のためには20〜30cmと深めに
設定される(細菌が沈降性となる)。
【0012】収穫の前に、酢酸を全て消費させる目的
で、収穫の前日に酢酸補給を完全停止する方法がとられ
ている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のクロレラ培
養方法には、以下に述べるような問題点があった。
【0014】1つは、生産の計画性が低いことである。
その原因は、種苗培養から収穫まで同じ培養法で連続的
に培養するため、多くの培養池で細菌感染が進行すれ
ば、全量が収穫されることとなり、次回の培養へ回す種
苗がたちまち不足する事態となった。基準の種苗量が確
保されなければ、計画した生産量の達成は困難となる。
【0015】1つは、細菌感染度が高いことである。細
菌感染度(藻体PCVにたいする細菌PCVの割合)
は、しばしば50%から150%に達する。培養が正常
であれば20%以下であるが、細菌感染度が50%以上
になると、培養途中で酢酸補給を停止することで、細菌
を沈降性細菌とし、培養への悪影響を少なくする。細菌
感染度が100%以上になると、全量が収穫されて、次
回の種苗は確保できない。細菌感染度が高い原因は、基
礎培地にすでに窒素源が豊富であるため、早い段階から
細菌感染が進行しやすい。また、培養で与えられる炭
素:窒素比は、基礎培地と補給培地の混合の割合で決ま
るため、事実上炭素:窒素比の管理はなされておらず、
窒素源が豊富であるため、細菌感染度が高くなり、酢酸
収率を低下させ、培養状態を悪化させていた。また、種
苗量が酢酸補給量に対して少ないため、培養の前半です
でに細菌感染度が高くなり、収穫時点までの間にはさら
に培養状態が悪化していた。また、酢酸補給量が、高水
温期は溶存酸素不足となるため、また、低水温期は種苗
量が少ないため、クロレラの酢酸消費速度よりも多いた
め、酢酸の過剰分は夜間にかけて消費され、夜間の酢酸
がゼロになる時間が短くなるため、生育環境を悪化させ
ていた。
【0016】1つは、生産性が安定していないことであ
る。その原因は、低水温期で約21g/m/日、高水
温期で約32g/m/日、季節による生産性のバラツ
キが大きいため、収穫量が安定せず、計画通りに次の種
苗が確保できない場合が多い。冬場(低温水期)は生産
性が低いため、種苗量の確保が難しく、しばしば種苗量
が設定値以下になる。低水温期においては、酢酸や酸素
が豊富でも、細胞の生理活性が低くなるため、酢酸消費
速度が遅く、増殖速度が遅くなるためである。
【0017】1つは、クロロフィルや蛋白質の含有量が
一定していないことである。その原因は、細菌感染度が
高くて培養が悪化することが多く、細胞の劣化や死細胞
の増加などにより藻体成分の含有量が低くなる。細菌感
染度が高い場合は悪化を最少限にとどめるために、培養
途中での酢酸補給停止や早期収穫(設定培養日数より短
くなる)などの対策をおこなうが、充分な対策ではな
く、培養状態が良好な時と悪化した時で、含有量に大き
なバラツキが生じる。また培養の途中での酢酸補給を停
止(通常40時間)する方法は、酢酸を消費し尽くした
クロレラは完全な飢餓状態となるため、クロレラの生育
に悪影響を与え、藻体成分の品質を悪化させてしまいや
すく、安定してクロロフィル含有量を高めることはでき
なかった。それらの対策や培養の失敗が、酢酸補給量や
種苗量等を不安定にし、加えて水温変化に大きく左右さ
れるため、クロロフィルの含有量は最少で2.0%、条
件が良い場合で5.0%と大きなバラツキがあって安定
せず、また、平均含有量が2.5〜3.5%と少なかっ
た。
【0018】本発明は、上記した従来の混合栄養による
工業的なクロレラ培養方法の有する課題を解決して、培
養状態が悪化せず、細菌感染率が低く、一年を通じて生
産性が安定し、クロロフィル等の藻体成分が多くてしか
も安定した、クロレラ培養方法を提供することを目的と
したものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、日光照
射下で酢酸を炭素源およびエネルギー源とした混合栄養
的培養によりクロレラを工業的に培養する方法におい
て、種苗から収穫にいたる培養を前半の種苗培養と後半
の本培養に分けて培養し、種苗培養を始める基礎培地に
は尿素を含んでおらず、種苗培養において基礎培地に補
給する補給培地には窒素源としての尿素が含まれていて
炭素:窒素比が7.0:1〜7.5:1の範囲であり、
種苗培養を終了した藻体を種として培養する本培養にお
いて基礎培地に補給する補給培地には窒素源としての尿
素が含まれていて炭素:窒素比が4.5:1〜5.5:
1の範囲であることを特徴とするクロレラ培養方法に関
するものである。
【0020】本発明の第2は、日光照射下で酢酸を炭素
源およびエネルギー源とした混合栄養的培養によりクロ
レラを工業的に培養する方法において、培養池の水深を
15〜25cmの範囲とし、種苗から収穫にいたる培養
を前半の種苗培養と後半の本培養に分けて培養し、種苗
培養を始める基礎培地には尿素を含んでおらず、種苗培
養において基礎培地に補給する補給培地には窒素源とし
ての尿素が含まれていて炭素:窒素比が7.0:1〜
7.5:1の範囲であり、種苗培養終了後の本培養にお
いて基礎培地に補給する補給培地には窒素源としての尿
素が含まれていて炭素:窒素比が4.5:1〜5.5:
1の範囲であり、種苗培養並びに本培養における1日分
の補給培地に含まれる酢酸量を培養池1m2当たり10
3g±4gとし、補給培地の補給終了から2時間後のp
H上昇値が0.5以上であり、培養池の日中最高水温が
約17〜22℃の低水温期においては、培養池1m2当
たりの最初の種苗量を175〜200g乾燥藻体、種苗
培養日数を基礎培地での初日を数えず種苗培養用の補給
培地を補給する6日間と酢酸を補給しない最終日の計7
日間、本培養日数を本培養用の補給培地を補給する6日
間と収穫する最終日の計7日間、培養池1m2当たりの
収穫量の上限を330g乾燥藻体以下とし、培養池の日
中最高水温が約22〜28℃の中水温期においては、培
養池1m2当たりの最初の種苗量を150〜175g乾
燥藻体、種苗培養日数を基礎培地での初日を数えず種苗
培養用の補給培地を補給する5日間と酢酸を補給しない
最終日の計6日間、本培養日数を本培養用の補給培地を
補給する5日間と収穫する最終日の計6日間、培養池1
m2当たりの収穫量の上限を385g乾燥藻体以下と
し、培養池の日中最高水温が約28〜38℃の高水温期
においては、培養池1m2当たりの最初の種苗量を12
5〜150g乾燥藻体、種苗培養日数を基礎培地での初
日を数えず種苗培養用の補給培地を補給する4日間と酢
酸を補給しない最終日の計5日間、本培養日数を本培養
用の補給培地を補給する4日間と収穫する最終日の計5
日間、培養池1m2当たりの収穫量の上限を445g乾
燥藻体以下とすることを特徴とするクロレラ培養方法に
関するものである。
【0021】本発明の第3は、日光照射下で酢酸を炭素
源およびエネルギー源とした混合栄養的培養によりクロ
レラを工業的に培養する方法において、培養池の水深を
15〜25cmの範囲とし、種苗から収穫にいたる培養
を前半の種苗培養と後半の本培養に分けて培養し、種苗
培養を始める基礎培地には尿素を含んでおらず、種苗培
養において基礎培地に補給する補給培地には窒素源とし
ての尿素が含まれていて炭素:窒素比が7.0:1〜
7.5:1の範囲であり、種苗培養終了後の本培養にお
いて基礎培地に補給する補給培地には窒素源としての尿
素が含まれていて炭素:窒素比が4.5:1〜5.5:
1の範囲であり、種苗培養並びに本培養における1日分
の補給培地に含まれる酢酸量を培養池1m2当たり10
3g±4gとし、補給培地の補給終了から2時間後のp
H上昇値が0.5以上であり、本培養の補給最終日にお
ける1日分の補給培地に含まれる培養池1m2当たりの
酢酸補給量を前日までの50〜60%として午前中に補
給を完了させ、培養池の日中最高水温が約17〜22℃
の低水温期においては、培養池1m2当たりの最初の種
苗量を175〜200g乾燥藻体、種苗培養日数を基礎
培地での初日を数えず種苗培養用の補給培地を補給する
6日間と酢酸を補給しない最終日の計7日間、本培養日
数を本培養用の補給培地を補給する6日間と収穫する最
終日の計7日間、培養池1m2当たりの収穫量の上限を
330g乾燥藻体以下とし、培養池の日中最高水温が約
22〜28℃の中水温期においては、培養池1m2当た
りの最初の種苗量を150〜175g乾燥藻体、種苗培
養日数を基礎培地での初日を数えず種苗培養用の補給培
地を補給する5日間と酢酸を補給しない最終日の計6日
間、本培養日数を本培養用の補給培地を補給する5日間
と収穫する最終日の計6日間、培養池1m2当たりの収
穫量の上限を385g乾燥藻体以下とし、培養池の日中
最高水温が約28〜38℃の高水温期においては、培養
池1m2当たりの最初の種苗量を125〜150g乾燥
藻体、種苗培養日数を基礎培地での初日を数えず種苗培
養用の補給培地を補給する4日間と酢酸を補給しない最
終日の計5日間、本培養日数を本培養用の補給培地を補
給する4日間と収穫する最終日の計5日間、培養池1m
2当たりの収穫量の上限を445g乾燥藻体以下とし、
本培養最終日における収穫を午後に実施することを特徴
とするクロレラ培養方法に関するものである。
【0022】本発明の第4は、上記の第1、第2又は第
3の発明に記載されたクロレラ培養方法において、種苗
培養を終了した段階の培養液を二分し、一方を種苗培養
用の種苗に使用して新たな種苗培養を実施し、もう一方
を本培養用の種苗に使用して本培養を実施して全量を収
穫し、この工程を繰り返すことを特徴とするクロレラ培
養方法に関するものである。
【0023】上記した第1の発明によれば、クロレラの
培養を種苗培養と本培養に分け、培養の前半において
は、培養を始める種苗培養用の基礎培地には窒素源であ
る尿素が含まれていないのでスタート時点の培養種苗の
細菌感染度がきわめて低く、種苗培養で与えられる補給
培地の炭素:窒素比が7.0:1〜7.5:1で、窒素
源が少ないため、種苗培養中の蛋白質含有量は40〜5
5%と少ないが、細菌感染度が低い種苗培養をすること
ができ、培養の後半においては、本培養で与えられる補
給培地の炭素:窒素比が4.5:1〜5.5:1で、窒
素源が適度に豊富であるため、本培養中に蛋白質含有量
は60%以上に増加し、窒素源が豊富な期間が短いため
細菌感染度が正常な範囲で培養を終了し、次回の種苗を
計画通りに確保して、正常なクロレラを収穫することが
できる。この方法によれば、基本的には、培養で与えら
れる炭素:窒素比は、補給培地の炭素:窒素比と同じで
あるため、培養の炭素:窒素比の管理が容易にできる。
【0024】上記した第2の発明によれば、クロレラの
培養を種苗培養と本培養に分け、培養の前半において
は、培養を始める種苗培養用の基礎培地には窒素源であ
る尿素が含まれていないのでスタート時点の培養種苗の
細菌感染度がきわめて低く、種苗培養で与えられる補給
培地の炭素:窒素比が7.0:1〜7.5:1で、窒素
源が少ないため、種苗培養中の蛋白質含有量は40〜5
5%と少ないが、細菌感染度が2.0〜10.0%と低
く、1日の生産性が25〜28g/m2の培養をするこ
とができ、培養の後半においては、本培養で与えられる
補給培地の炭素:窒素比が4.5:1〜5.5:1で、
窒素源が適度に豊富であるため、本培養中に蛋白質含有
量は60%以上に増加し、窒素源が豊富な期間が短いた
め細菌感染度が10.0〜25.0%と正常な範囲で培
養を終了し、1日の生産性が25〜28g/m2の培養
をすることができ、次回の種苗を計画通りに確保して、
正常なクロレラを収穫することができる。この方法によ
れば、基本的には、培養で与えられる炭素:窒素比は、
補給培地の炭素:窒素比と同じであるため、培養の炭
素:窒素比の管理が容易にできる。1日分の補給培地に
含まれた酢酸の補給量は、種苗培養も本培養も同じで、
培養池1m2当り103g±4gで一定であり、種苗量
と培養日数を調整することにより酢酸を消費する藻体量
を調節することで、酢酸の消費速度をコントロールし、
クロロフィル含有量を3.5〜4.3%に安定して維持
することができる。1日の酢酸補給終了後2時間のpH
上昇値を0.5以上とするのは、1日分の酢酸補給終了
後の早い時間のうちに酢酸濃度をゼロとして、クロロフ
ィル含有量を増すためである。従来よりも種苗量を多く
設定することで、特に培養の前半において、従来よりも
酢酸の消費量を多く、単位面積あたりの酢酸消費速度を
早くすることができる。また、細胞の増殖速度が遅い低
水温期においても、生産性を高くすることができる。低
水温期の培養であっても、高水温期と同じ酢酸量を補給
し、藻体量を多くし、酢酸の消費量を多く、単位面積あ
たりの酢酸消費速度を早くすることにより、高水温期と
同等の単位面積あたりの生産量を維持することができ
る。また、1日分の酢酸補給終了後の早い時間のうちに
酢酸濃度がゼロとなることと、細胞1個あたりに与えら
れる1日の酢酸量を少なくしたことにより、クロロフィ
ルを安定して高めることができた。これは、細菌感染度
を低くする技術があって初めて実現したことである。本
発明の補給培地による酢酸補給方法、設定された種苗
量、培養日数は、酢酸補給の過不足のない方法であり、
適切な藻体量を収穫して、計画通りに次回の種苗を確保
することができるのである。酢酸が過剰供給にならない
設定値なので、細菌感染度が低い理由の1つにもなって
いる。種苗量が従来よりも多く設定されていることも、
細菌感染度が低い理由である。本発明は、培養期間にお
ける日中の最高水温が約17〜38℃の年間を通して実
施できる。年間を高水温期(約28〜38℃)、中水温
期(約22〜28℃)、低水温期(約17〜22℃)の
3つの時期に分けて、それぞれの条件を設定して培養が
行なわれる。水温は一応の目安であり、培養期間中の水
温が全てこの範囲でなければいけないということではな
い。培養日数を長くするほど、藻体量は増加し、藻体量
が多いほどクロロフィル含有量が高く酢酸収率が低くな
る傾向にある。培養藻体量の上限を設定し調整すること
で、クロレラの生産性と収穫されたクロロフィル含有量
を良好に維持することができる。また、培養池の水深は
15〜25cmで、この範囲は藻の高い増殖率と低い細
菌感染度を両立することができる。
【0025】上記した第3の発明によれば、クロレラの
培養を種苗培養と本培養に分け、培養の前半において
は、培養を始める種苗培養用の基礎培地には窒素源であ
る尿素が含まれていないのでスタート時点の培養種苗の
細菌感染度がきわめて低く、種苗培養で与えられる補給
培地の炭素:窒素比が7.0:1〜7.5:1で、窒素
源が少ないため、種苗培養中の蛋白質含有量は40〜5
5%と少ないが、細菌感染度が2.0〜10.0%と低
く、1日の生産性が25〜28g/m2の培養をするこ
とができ、培養の後半においては、本培養で与えられる
補給培地の炭素:窒素比が4.5:1〜5.5:1で、
窒素源が適度に豊富であるため、本培養中に蛋白質含有
量は60%以上に増加し、窒素源が豊富な期間が短いた
め細菌感染度が10.0〜25.0%と正常な範囲で培
養を終了し、1日の生産性が25〜28g/m2の培養
をすることができ、次回の種苗を計画通りに確保して、
正常なクロレラを収穫することができる。この方法によ
れば、基本的には、培養で与えられる炭素:窒素比は、
補給培地の炭素:窒素比と同じであるため、培養の炭
素:窒素比の管理が容易にできる。1日分の補給培地に
含まれた酢酸の補給量は、種苗培養も本培養も同じで、
培養池1m2当り103g±4gで一定であり、種苗量
と培養日数を調整することにより酢酸を消費する藻体量
を調節することで、酢酸の消費速度をコントロールし、
クロロフィル含有量を4.0〜5.0%に安定して維持
することができる。1日の酢酸補給終了後2時間のpH
上昇値を0.5以上とするのは、1日分の酢酸補給終了
後の早い時間のうちに酢酸濃度をゼロとして、クロロフ
ィル含有量を増すためである。従来よりも種苗量を多く
設定することで、特に培養の前半において、従来よりも
酢酸の消費量を多く、単位面積あたりの酢酸消費速度を
早くすることができる。また、細胞の増殖速度が遅い低
水温期においても、生産性を高くすることができる。低
水温期の培養であっても、高水温期と同じ酢酸量を補給
し、藻体量を多くし、酢酸の消費量を多く、単位面積あ
たりの酢酸消費速度を早くすることにより、高水温期と
同等の単位面積あたりの生産量を維持することができ
る。また、1日分の酢酸補給終了後の早い時間のうちに
酢酸濃度がゼロとなることと、細胞1個あたりに与えら
れる1日の酢酸量を少なくしたことと、補給最終日の酢
酸補給量を前日までの50〜60%としたことにより、
クロロフィルを安定して高めることができた。これは、
細菌感染度を低くする技術があって初めて実現したこと
である。本発明の補給培地による酢酸補給方法、設定さ
れた種苗量、培養日数は、酢酸補給の過不足のない方法
であり、適切な藻体量を収穫して、計画通りに次回の種
苗を確保することができる。酢酸が過剰供給にならない
設定値なので、細菌感染度が低い理由の1つにもなって
いる。種苗量が従来よりも多く設定されていることも、
細菌感染度が低い理由である。本発明は、培養期間にお
ける日中の最高水温が約17〜38℃の年間を通して実
施できる。年間を高水温期(約28〜38℃)、中水温
期(約22〜28℃)、低水温期(約17〜22℃)の
3つの時期に分けて、それぞれの条件を設定して培養が
行なわれる。水温は一応の目安であり、培養期間中の水
温が全てこの範囲でなければいけないということではな
い。培養日数を長くするほど、藻体量は増加し、藻体量
が多いほどクロロフィル含有量が高く酢酸収率が低くな
る傾向にある。培養藻体量の上限を設定し調整すること
で、クロレラの生産性と収穫されたクロロフィル含有量
を良好に維持することができる。また、培養池の水深は
15〜25cmで、この範囲では藻の高い増殖率と低い
細菌感染度を両立することができる。
【0026】上記した第4の発明によれば、上記第1〜
第3の発明が種苗培養と本培養に分かれているので、種
苗培養を完了した培養液の一部をもとに別のプール(培
養池)で新たな種苗培養を行ない、残った培養液を種に
本培養を行なって全量を収穫することが可能であり、非
常に能率的で、計画的な培養ができる。
【0027】上記した第2〜第3の発明で、水温の違い
によって本培養収穫時の藻体量(g/m)の上限を設
定しているのは、生産性を維持するための数値である。
【0028】上記した第2〜第3の発明で、酢酸補給後
2時間におけるpH上昇値を計測することにより、種苗
量を多めに設定して酢酸の消費速度が溶存酸素によって
制限されている培養において、溶存酸素濃度と酢酸濃度
を計測しなくとも、酢酸補給量が過剰でないことを確認
できる。なお、1日の培養池1mあたりの酢酸補給量
が103g±4g以上では、溶存酸素不足により1日の
酢酸補給終了後2時間のpH上昇値が0.5以下とな
り、夜間の酢酸ゼロの時間が短くなるため、クロロフィ
ル含有量が高まらない。逆に、103g±4g以下で
は、酢酸が少ない分だけ生産性も低下する。最良の値が
103gである。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を実施例にも
とづき説明するが、下記実施例にのみ限定されるもので
ないことはいうまでもない。
【0030】本発明を適用できるクロレラについては、
特に制限はなく、日光照射下で酢酸を炭素源とした混合
栄養的培養で増殖可能な、通常の株を用いることができ
る。
【0031】培養池は、屋外に設置された、直径30m
で面積706.5mの開放攪拌式培養池を用いた。培
養時期は7月、種苗培養期間中の降雨量10.3mmで
日中の最高水温は32.4〜36.9℃、本培養期間中
の降雨量12.6mmで日中の最高水温は31.2〜3
6.5℃の高水温期であった。
【0032】種苗から収穫にいたる培養を前半の種苗培
養と後半の本培養に分けて培養する。種苗培養培養日数
には数えない初日は、培養池の水深が15cm、培養液
量が106m、1m当りの酢酸0g、尿素0g、リ
ン酸−カリ9.91g、硫酸マグネシュウム・7水塩1
4.15g、微量金属溶液(A)0.28L、硫酸第
一鉄・7水塩0.6gが含まれた基礎培地に、種苗の藻
体量が141.5g乾燥藻体/mである。種苗培養の
1日目から4日間目までは、地下水1L当り、酢酸56
g、尿素6.8g、リン酸−カリ1.60g、硫酸マグ
ネシュウム・7水塩1.60g、硫酸第一鉄・7水塩
0.96gが含まれた1300Lの補給培地を6時間か
けて補給する。1m当りの1日の酢酸補給量は103
gであり、補給培地の炭素:窒素比は7.06:1であ
る。酢酸補給終了後2時間のpH上昇値は0.5以上で
あった。補給培地を補給する初日、すなわち種苗培養1
日目は、種苗の藻体量が142g乾燥藻体/m、藻体
PCVが5.9ml/L、総藻体量が100kgであ
り、細菌類PCVが0.3ml/L、細菌感染度が5.
1%であった。種苗培養2日目の培養は、培養池の水深
が16cm、培養液量が113m、藻体量が177g
/m、藻体PCVが7.0ml/L、総藻体量が12
5kgであり、細菌類PCVが0.4ml/L、細菌感
染度が5.7%であった。種苗培養3日目の培養は、培
養池の水深が16.5cm、培養液量が117m、藻
体量が212g/m、藻体PCVが8.0ml/L、
総藻体量が150kgであり、細菌類PCVが0.5m
l/L、細菌感染度が6.3%であった。種苗培養4日
間目の培養は、培養池の水深が18.0cm、培養液量
が127m、藻体量が248g/m、藻体PCVが
8.6ml/L、総藻体量が175kgであり、細菌類
PCVが0.5ml/L、細菌感染度が5.8%であっ
た。種苗培養5日間目最終日の培養は、培養池の水深が
20.0cm、培養液量が141m、藻体量が283
g/m、藻体PCVが8.9ml/L、総藻体量が2
00kgであり、細菌類PCVが0.5ml/L、細菌
感染度が5.6%であった。1日目〜4日間目の酢酸補
給後2時間のpH上昇値は0.5以上であった。1L当
りの乾燥藻体は種苗培養で0.94gから1.42gに
なった。藻体成分は、培養初日でクロロフィル2.8
%、蛋白質48%であり、培養5日間目はクロロフィル
2.7%、蛋白質46%であった。生産性は平均で2
8.3g/mであった。細菌感染度測定は、顕微鏡観
察とPCV(細胞容量)測定によった。細菌はクロレラ
より比重が軽いので、遠心分離を使用して観測できる。
種苗培養終了後、培養液の半分を別のプール(培養池)
に移して新たに種苗培養工程を繰り返し、残る半分を種
として次の本培養工程に移行する。
【0033】本培養開始の前日、すなわち種苗培養最終
日に、前記種苗培養で残った、水深が10cm、種苗の
藻体量が141.5g/m、藻体PCVが8.9ml
/L、総藻体量が100kg、細菌類PCVが0.5m
l/L、細菌感染度が5.6%、クロロフィル含有量
2.7%、蛋白質含有量46%の培養液に、1m当り
の酢酸0g、尿素21.23g、リン酸−カリ9.91
g、硫酸マグネシュウム・7水塩14.15g、微量金
属溶液(A)0.28L、硫酸第一鉄・7水塩0.6
gが含まれた基礎培地を投与して、水深を15cmとし
た。本培養の1日目から4日間目までは、地下水1L当
り、酢酸56g、尿素6.8g、リン酸−カリ1.60
g、硫酸マグネシュウム・7水塩1.60g、硫酸第一
鉄・7水塩0.96gが含まれた補給培地を補給する。
補給培地の炭素:窒素比は7.06:1である。1日目
〜3日目は1300Lの補給培地を6時間かけて補給
し、1m当りの1日の酢酸補給量は103gである。
4日間目は700Lの補給培地を3時間かけて補給し、
1m当りの1日の酢酸補給量は前日までの約54%の
55.6gである。酢酸補給終了後2時間のpH上昇値
は0.5以上であった。1日目の培養は、培養池の水深
が15cm、培養液量が106m、藻体量が100g
/m、藻体PCVが5.9ml/L、総藻体量が14
2kgであり、細菌類PCVが0.3ml/L、細菌感
染度が5.1%であり、含有蛋白質が57%、含有クロ
ロフィルが3.2%であった。2日目の培養は、培養池
の水深が15.5cm、培養液量が110m、藻体量
が177g/m、藻体PCVが7.1ml/L、総藻
体量が125kgであり、細菌類PCVが0.4ml/
L、細菌感染度が5.6%であり、含有蛋白質が62
%、含有クロロフィルが3.4%であった。3日目の培
養は、培養池の水深が17.0cm、培養液量が120
、藻体量が217g/m、藻体PCVが8.0m
l/L、総藻体量が153kgであり、細菌類PCVが
0.6ml/L、細菌感染度が7.5%であり、含有蛋
白質が66%、含有クロロフィルが3.7%であった。
酢酸補給最終日である4日間目の培養は、培養池の水深
が18.5cm、培養液量が131m、藻体量が25
2g/m、藻体PCVが8.5ml/L、総藻体量が
178kgであり、細菌類PCVが1.0ml/L、細
菌感染度が11.8%であり、含有蛋白質が67%、含
有クロロフィルが4.0%であった。収穫日の5日間目
の培養は、培養池の水深が20.0cm、培養液量が1
41m、藻体量が269g/m、藻体PCVが8.
4ml/L、総藻体量が190kgであり、細菌類PC
Vが1.2ml/L、細菌感染度が14.3%であり、
含有蛋白質が66%、含有クロロフィルが4.7%であ
った。生産性は平均で25.5g/mであった。収穫
前日の酢酸補給を午前中に完了させ、本培養最終日にお
ける収穫を、前日の酢酸補給終了から30時間経過した
午後に実施し、全量を収穫した。
【0034】なお、培養池の水深15cm〜25cmの
範囲内で培養し、種苗培養も本培養も、好ましくは15
cmで培養を開始して、培養終了時で20cmとするの
が望ましい。
【0035】なお、上記実施例は高水温期における培養
例を示したが、低水温期や中水温期においても、第1の
発明と第2の発明に示した培養条件に設定すれば、高水
温期とほぼ同じ各種の結果が得られ、一年を通して安定
したクロレラ培養ができる。一年を通して種苗培養段階
では、蛋白質含有量40〜55%、クロロフィル含有量
2.4〜3.0%、細菌感染度2〜10%、クロレラは
正常で、生産性25〜28g/m/日である。一年を
通して本培養段階で、蛋白質含有量60%以上、クロロ
フィル含有量4.0〜5.0%、細菌感染度10〜25
%、クロレラは正常で、生産性25〜28g/m/日
である。
【0036】
【発明の効果】上記した請求項1の発明によれば、クロ
レラの培養を種苗培養と本培養に分け、培養の前半にお
いては、培養を始める種苗培養用の基礎培地には窒素源
である尿素が含まれていないのでスタート時点の培養種
苗の細菌感染度がきわめて低く、種苗培養で与えられる
補給培地の炭素:窒素比が7.0:1〜7.5:1で、
窒素源が少ないため、種苗培養中の蛋白質含有量は40
〜55%と少ないが、細菌感染度が低い種苗培養をする
ことができ、培養の後半においては、本培養で与えられ
る補給培地の炭素:窒素比が4.5:1〜5.5:1
で、窒素源が適度に豊富であるため、本培養中に蛋白質
含有量は60%以上に増加し、窒素源が豊富な期間が短
いため細菌感染度が正常な範囲で培養を終了し、次回の
種苗を計画通りに確保して、正常なクロレラを収穫する
ことができる。この方法によれば、基本的には、培養で
与えられる炭素:窒素比は、補給培地の炭素:窒素比と
同じであるため、培養の炭素:窒素比の管理が容易にで
きる。
【0037】上記した請求項2の発明によれば、クロレ
ラの培養を種苗培養と本培養に分け、培養の前半におい
ては、培養を始める種苗培養用の基礎培地には窒素源で
ある尿素が含まれていないのでスタート時点の培養種苗
の細菌感染度がきわめて低く、種苗培養で与えられる補
給培地の炭素:窒素比が7.0:1〜7.5:1で、窒
素源が少ないため、種苗培養中の蛋白質含有量は40〜
55%と少ないが、細菌感染度が2.0〜10.0%と
低く、1日の生産性が25〜28g/m2の培養をする
ことができ、培養の後半においては、本培養で与えられ
る補給培地の炭素:窒素比が4.5:1〜5.5:1
で、窒素源が適度に豊富であるため、本培養中に蛋白質
含有量は60%以上に増加し、窒素源が豊富な期間が短
いため細菌感染度が10.0〜25.0%と正常な範囲
で培養を終了し、1日の生産性が25〜28g/m2の
培養をすることができ、次回の種苗を計画通りに確保し
て、正常なクロレラを収穫することができる。この方法
によれば、基本的には、培養で与えられる炭素:窒素比
は、補給培地の炭素:窒素比と同じであるため、培養の
炭素:窒素比の管理が容易にできる。1日分の補給培地
に含まれた酢酸の補給量は、種苗培養も本培養も同じ
で、培養池1m2当り103g±4gで一定であり、種
苗量と培養日数を調整することにより酢酸を消費する藻
体量を調節することで、酢酸の消費速度をコントロール
し、クロロフィル含有量を3.5〜4.3%に安定して
維持することができる。1日の酢酸補給終了後2時間の
pH上昇値を0.5以上とするのは、1日分の酢酸補給
終了後の早い時間のうちに酢酸濃度をゼロとして、クロ
ロフィル含有量を増すためである。従来よりも種苗量を
多く設定することで、特に培養の前半において、従来よ
りも酢酸の消費量を多く、単位面積あたりの酢酸消費速
度を早くすることができる。また、細胞の増殖速度が遅
い低水温期においても、生産性を高くすることができ
る。低水温期の培養であっても、高水温期と同じ酢酸量
を補給し、藻体量を多くし、酢酸の消費量を多く、単位
面積あたりの酢酸消費速度を早くすることにより、高水
温期と同等の単位面積あたりの生産量を維持することが
できる。また、1日分の酢酸補給終了後の早い時間のう
ちに酢酸濃度がゼロとなることと、細胞1個あたりに与
えられる1日の酢酸量を少なくしたことにより、クロロ
フィルを安定して高めることができた。これは、細菌感
染度を低くする技術があって初めて実現したことであ
る。本発明の補給培地による酢酸補給方法、設定された
種苗量、培養日数は、酢酸補給の過不足のない方法であ
り、適切な藻体量を収穫して、計画通りに次回の種苗を
確保することができるのである。酢酸が過剰供給になら
ない設定値なので、細菌感染度が低い理由の1つにもな
っている。種苗量が従来よりも多く設定されていること
も、細菌感染度が低い理由である。本発明は、培養期間
における日中の最高水温が約17〜38℃の年間を通し
て実施できる。年間を高水温期(約28〜38℃)、中
水温期(約22〜28℃)、低水温期(約17〜22
℃)の3つの時期に分けて、それぞれの条件を設定して
培養が行なわれる。水温は一応の目安であり、培養期間
中の水温が全てこの範囲でなければいけないということ
ではない。培養日数を長くするほど、藻体量は増加し、
藻体量が多いほどクロロフィル含有量が高く酢酸収率が
低くなる傾向にある。培養藻体量の上限を設定し調整す
ることで、クロレラの生産性と収穫されたクロロフィル
含有量を良好に維持することができる。また、培養池の
水深は15〜25cmで、この範囲は藻の高い増殖率と
低い細菌感染度を両立することができる。
【0038】上記した請求項3の発明によれば、クロレ
ラの培養を種苗培養と本培養に分け、培養の前半におい
ては、培養を始める種苗培養用の基礎培地には窒素源で
ある尿素が含まれていないのでスタート時点の培養種苗
の細菌感染度がきわめて低く、種苗培養で与えられる補
給培地の炭素:窒素比が7.0:1〜7.5:1で、窒
素源が少ないため、種苗培養中の蛋白質含有量は40〜
55%と少ないが、細菌感染度が2.0〜10.0%と
低く、1日の生産性が25〜28g/m2の培養をする
ことができ、培養の後半においては、本培養で与えられ
る補給培地の炭素:窒素比が4.5:1〜5.5:1
で、窒素源が適度に豊富であるため、本培養中に蛋白質
含有量は60%以上に増加し、窒素源が豊富な期間が短
いため細菌感染度が10.0〜25.0%と正常な範囲
で培養を終了し、1日の生産性が25〜28g/m2の
培養をすることができ、次回の種苗を計画通りに確保し
て、正常なクロレラを収穫することができる。この方法
によれば、基本的には、培養で与えられる炭素:窒素比
は、補給培地の炭素:窒素比と同じであるため、培養の
炭素:窒素比の管理が容易にできる。1日分の補給培地
に含まれた酢酸の補給量は、種苗培養も本培養も同じ
で、培養池1m2当り103g±4gで一定であり、種
苗量と培養日数を調整することにより酢酸を消費する藻
体量を調節することで、酢酸の消費速度をコントロール
し、クロロフィル含有量を4.0〜5.0%に安定して
維持することができる。1日の酢酸補給終了後2時間の
pH上昇値を0.5以上とするのは、1日分の酢酸補給
終了後の早い時間のうちに酢酸濃度をゼロとして、クロ
ロフィル含有量を増すためである。従来よりも種苗量を
多く設定することで、特に培養の前半において、従来よ
りも酢酸の消費量を多く、単位面積あたりの酢酸消費速
度を早くすることができる。また、細胞の増殖速度が遅
い低水温期においても、生産性を高くすることができ
る。低水温期の培養であっても、高水温期と同じ酢酸量
を補給し、藻体量を多くし、酢酸の消費量を多く、単位
面積あたりの酢酸消費速度を早くすることにより、高水
温期と同等の単位面積あたりの生産量を維持することが
できる。また、1日分の酢酸補給終了後の早い時間のう
ちに酢酸濃度がゼロとなることと、細胞1個あたりに与
えられる1日の酢酸量を少なくしたことと、補給最終日
の酢酸補給量を前日までの50〜60%としたことによ
り、クロロフィルを安定して高めることができた。これ
は、細菌感染度を低くする技術があって初めて実現した
ことである。本発明の補給培地による酢酸補給方法、設
定された種苗量、培養日数は、酢酸補給の過不足のない
方法であり、適切な藻体量を収穫して、計画通りに次回
の種苗を確保することができる。酢酸が過剰供給になら
ない設定値なので、細菌感染度が低い理由の1つにもな
っている。種苗量が従来よりも多く設定されていること
も、細菌感染度が低い理由である。本発明は、培養期間
における日中の最高水温が約17〜38℃の年間を通し
て実施できる。年間を高水温期(約28〜38℃)、中
水温期(約22〜28℃)、低水温期(約17〜22
℃)の3つの時期に分けて、それぞれの条件を設定して
培養が行なわれる。水温は一応の目安であり、培養期間
中の水温が全てこの範囲でなければいけないということ
ではない。培養日数を長くするほど、藻体量は増加し、
藻体量が多いほどクロロフィル含有量が高く酢酸収率が
低くなる傾向にある。培養藻体量の上限を設定し調整す
ることで、クロレラの生産性と収穫されたクロロフィル
含有量を良好に維持することができる。また、培養池の
水深は15〜25cmで、この範囲では藻の高い増殖率
と低い細菌感染度を両立することができる。
【0039】上記した請求項4の発明によれば、上記第
1〜第3の発明が種苗培養と本培養に分かれているの
で、種苗培養を完了した培養液の一部をもとに別のプー
ル(培養池)で新たな種苗培養を行ない、残った培養液
を種に本培養を行なって全量を収穫することが可能であ
り、非常に能率的で、計画的な培養ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特公 昭50−11466(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 1/12 JICSTファイル(JOIS)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 日光照射下で酢酸を炭素源およびエネル
    ギー源とした混合栄養的培養によりクロレラを工業的に
    培養する方法において、種苗から収穫にいたる培養を前
    半の種苗培養と後半の本培養に分けて培養し、種苗培養
    を始める基礎培地には尿素を含んでおらず、種苗培養に
    おいて基礎培地に補給する補給培地には窒素源としての
    尿素が含まれていて炭素:窒素比が7.0:1〜7.
    5:1の範囲であり、種苗培養を終了した藻体を種とし
    て培養する本培養において基礎培地に補給する補給培地
    には窒素源としての尿素が含まれていて炭素:窒素比が
    4.5:1〜5.5:1の範囲であることを特徴とする
    クロレラ培養方法。
  2. 【請求項2】 日光照射下で酢酸を炭素源およびエネル
    ギー源とした混合栄養的培養によりクロレラを工業的に
    培養する方法において、培養池の水深を15〜25cm
    の範囲とし、種苗から収穫にいたる培養を前半の種苗培
    養と後半の本培養に分けて培養し、種苗培養を始める基
    礎培地には尿素を含んでおらず、種苗培養において基礎
    培地に補給する補給培地には窒素源としての尿素が含ま
    れていて炭素:窒素比が7.0:1〜7.5:1の範囲
    であり、種苗培養終了後の本培養において基礎培地に補
    給する補給培地には窒素源としての尿素が含まれていて
    炭素:窒素比が4.5:1〜5.5:1の範囲であり、
    種苗培養並びに本培養における1日分の補給培地に含ま
    れる酢酸量を培養池1m2当たり103g±4gとし、
    補給培地の補給終了から2時間後のpH上昇値が0.5
    以上であり、培養池の日中最高水温が約17〜22℃の
    低水温期においては、培養池1m2当たりの最初の種苗
    量を175〜200g乾燥藻体、種苗培養日数を基礎培
    地での初日を数えず種苗培養用の補給培地を補給する6
    日間と酢酸を補給しない最終日の計7日間、本培養日数
    を本培養用の補給培地を補給する6日間と収穫する最終
    日の計7日間、培養池1m2当たりの収穫量の上限を3
    30g乾燥藻体以下とし、培養池の日中最高水温が約2
    2〜28℃の中水温期においては、培養池1m2当たり
    の最初の種苗量を150〜175g乾燥藻体、種苗培養
    日数を基礎培地での初日を数えず種苗培養用の補給培地
    を補給する5日間と酢酸を補給しない最終日の計6日
    間、本培養日数を本培養用の補給培地を補給する5日間
    と収穫する最終日の計6日間、培養池1m2当たりの収
    穫量の上限を385g乾燥藻体以下とし、培養池の日中
    最高水温が約28〜38℃の高水温期においては、培養
    池1m2当たりの最初の種苗量を125〜150g乾燥
    藻体、種苗培養日数を基礎培地での初日を数えず種苗培
    養用の補給培地を補給する4日間と酢酸を補給しない最
    終日の計5日間、本培養日数を本培養用の補給培地を補
    給する4日間と収穫する最終日の計5日間、培養池1m
    2当たりの収穫量の上限を445g乾燥藻体以下とする
    ことを特徴とするクロレラ培養方法。
  3. 【請求項3】 日光照射下で酢酸を炭素源およびエネル
    ギー源とした混合栄養的培養によりクロレラを工業的に
    培養する方法において、培養池の水深を15〜25cm
    の範囲とし、種苗から収穫にいたる培養を前半の種苗培
    養と後半の本培養に分けて培養し、種苗培養を始める基
    礎培地には尿素を含んでおらず、種苗培養において基礎
    培地に補給する補給培地には窒素源としての尿素が含ま
    れていて炭素:窒素比が7.0:1〜7.5:1の範囲
    であり、種苗培養終了後の本培養において基礎培地に補
    給する補給培地には窒素源としての尿素が含まれていて
    炭素:窒素比が4.5:1〜5.5:1の範囲であり、
    種苗培養並びに本培養における1日分の補給培地に含ま
    れる酢酸量を培養池1m2当たり103g±4gとし、
    補給培地の補給終了から2時間後のpH上昇値が0.5
    以上であり、本培養の補給最終日における1日分の補給
    培地に含まれる培養池1m2当たりの酢酸補給量を前日
    までの50〜60%として午前中に補給を完了させ、培
    養池の日中最高水温が約17〜22℃の低水温期におい
    ては、培養池1m2当たりの最初の種苗量を175〜2
    00g乾燥藻体、種苗培養日数を基礎培地での初日を数
    えず種苗培養用の補給培地を補給する6日間と酢酸を補
    給しない最終日の計7日間、本培養日数を本培養用の補
    給培地を補給する6日間と収穫する最終日の計7日間、
    培養池1m2当たりの収穫量の上限を330g乾燥藻体
    以下とし、培養池の日中最高水温が約22〜28℃の中
    水温期においては、培養池1m2当たりの最初の種苗量
    を150〜175g乾燥藻体、種苗培養日数を基礎培地
    での初日を数えず種苗培養用の補給培地を補給する5日
    間と酢酸を補給しない最終日の計6日間、本培養日数を
    本培養用の補給培地を補給する5日間と収穫する最終日
    の計6日間、培養池1m2当たりの収穫量の上限を38
    5g乾燥藻体以下とし、培養池の日中最高水温が約28
    〜38℃の高水温期においては、培養池1m2当たりの
    最初の種苗量を125〜150g乾燥藻体、種苗培養日
    数を基礎培地での初日を数えず種苗培養用の補給培地を
    補給する4日間と酢酸を補給しない最終日の計5日間、
    本培養日数を本培養用の補給培地を補給する4日間と収
    穫する最終日の計5日間、培養池1m2当たりの収穫量
    の上限を445g乾燥藻体以下とし、本培養最終日にお
    ける収穫を午後に実施することを特徴とするクロレラ培
    養方法。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載のクロレラ培養
    方法において、種苗培養を終了した段階の培養液を二分
    し、一方を種苗培養用の種苗に使用して新たな種苗培養
    を実施し、もう一方を本培養用の種苗に使用して本培養
    を実施して全量を収穫し、この工程を繰り返すことを特
    徴とするクロレラ培養方法。
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