JP3276732B2 - 13c標識アミノ酸の製造方法およびその装置 - Google Patents

13c標識アミノ酸の製造方法およびその装置

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JP3276732B2
JP3276732B2 JP22668093A JP22668093A JP3276732B2 JP 3276732 B2 JP3276732 B2 JP 3276732B2 JP 22668093 A JP22668093 A JP 22668093A JP 22668093 A JP22668093 A JP 22668093A JP 3276732 B2 JP3276732 B2 JP 3276732B2
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、13C標識アミノ酸の製
造方法およびその装置、詳しくはメタン資化菌による均
一にラベルされた13C標識アミノ酸の製造方法およびそ
の装置に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】特開昭52−3888号
公報には、サンプルセルが培養室と連通され培養室の混
合気体を循環される赤外線分析器と、この赤外線分析器
により得られた炭酸ガス濃度の電気信号を受け培養室へ
の炭酸ガス流入路に設けられた電磁弁を作動させ培養室
内の炭酸ガス濃度を制御する制御機構とが付設されたこ
とを特徴とする炭酸ガス細胞培養装置が開示されてい
る。しかしながら、特開昭52−3888号公報には、
メタン資化菌を完全閉鎖系において自動的に培養するメ
タン資化菌培養装置については記載されていない。
【0003】特開昭61−174999号公報には、槽
内に上部に気相を、下部に液相を存在させ、その液相中
で有機酸と微生物が関与する反応をさせるようにしたメ
タン発酵槽において、上記液相中の有機酸と準平衡状態
にある上記気相中の当該有機酸を連続的かつ自動的に分
析する手段好ましくは赤外線吸収測定装置を設け、その
分析する手段から得られる分析値により上記液相中の有
機酸を特定し、その結果に基いて自動制御による運転を
可能にしたことを特徴とするメタン発酵槽が開示されて
いる。しかしながら、特開昭61−174999号公報
には、メタン資化菌を完全閉鎖系において自動的に培養
するメタン資化菌培養リアクターについては記載されて
いない。
【0004】特開昭62−130692号公報には、13
CラベルC1 化合物を含む増殖炭素源を含有する栄養培
地中でメチロトローフ性微生物を培養することからな
る、同位体でラベルされた生化学製品の製造方法が開示
されている。特開昭62−130692号公報には、13
Cメタンを増殖炭素源として存在させることができるこ
と、および13C化合物が単独増殖炭素源である場合、得
られたバイオマスおよび/または細胞外代謝産物は、13
C同位体原子で均一にラベルされており、例えば均一に
ラベルされた13C−ヘテロ多糖ポリ54が得られること
が記載されている。しかしながら、特開昭62−130
692号公報において具体的に記載されているのは、同
公報の実施例に記載されているように、13C−メタノー
ルを増殖炭素源として、メチロフィルス・ビスコゲネス
の菌株を培養して13Cラベルエキソ多糖が得られること
であって、13Cメタンを増殖炭素源として、メタン資化
菌を培養して得られる菌体から蛋白質を抽出し、該蛋白
質を加水分解して13Cで均一にラベルされたアミノ酸を
製造する方法については具体的な記載も、それを示唆す
る記載もなく、また上記メタン資化菌の培養を完全閉鎖
系において行なう方法についても具体的な記載も、それ
を示唆する記載もない。
【0005】特開平2−291284号公報には、炭素
源として13C標識炭素源を使用して、アミノ酸発酵菌株
を培養して、全ての炭素原子が13Cであるもの及びカル
ボキシル基の炭素原子のみが13Cであるものを除く、炭
素原子1個以上が13C標識されていることを特徴とする
アミノ酸の製造方法が開示されている。しかしながら、
特開平2−291284号公報には、13Cメタンを増殖
炭素源として、メタン資化菌を培養して得られる菌体か
ら蛋白質を抽出し、該蛋白質を加水分解して13Cで均一
にラベルされたアミノ酸を製造する方法については具体
的な記載も、それを示唆する記載もなく、また上記メタ
ン資化菌の培養を完全閉鎖系において行なう方法につい
ても具体的な記載も、それを示唆する記載もない。
【0006】13Cで均一にラベルされた13C標識アミノ
酸は、蛋白工学などにおいて物質の立体構造を解析する
ため、あるいは生体内での代謝などを研究するために有
用であり、その工業的に有利な製造方法の開発が要望さ
れている。
【0007】本発明は、13Cメタンを炭素源としてメタ
ン資化菌を培養し、13Cメタンおよび13C二酸化炭素を
系外に損失させることなく、13Cで均一にラベルされた
13C標識アミノ酸を工業的に有利に製造する方法および
その装置を提供することを目的としている。
【0008】
【問題点を解決するための手段】本発明は、リアクター
内の栄養培地中に13C標識メタンおよび酸素を通しなが
ら、該栄養培地中でメタン資化菌を培養して菌体を得、
得られた菌体から蛋白質を抽出・回収し、回収された蛋
白質を加水分解して13C標識混合アミノ酸を得、好まし
くは該13C標識混合アミノ酸より各アミノ酸を単離する
13C標識アミノ酸の製造方法であって、該メタン資化菌
の培養が完全閉鎖系において自動的に行なわれ、好まし
くは、該メタン資化菌の培養が該リアクターを通して、
13C標識メタン、酸素、該培養によって生成する13C標
識二酸化炭素および必要に応じて添加される窒素ガスよ
りなるガス状成分を循環させて循環ラインを形成させ、
リアクターガス成分出口側の循環ライン上で、該ガス成
分の一部を抜き出して含有されている13C標識二酸化炭
素を完全閉鎖条件下に吸収・回収した後、残りのガスの
全量を循環ラインに再循環させて第1再循環ラインを形
成させ、13C標識二酸化炭素の吸収・回収後の循環ライ
ン上に、ガス圧力変動吸収装置を設け、該ガス圧力変動
吸収装置に新たに13C標識メタンおよび酸素を供給する
と共に該ガス圧力変動吸収装置内のガスの一部を抜き出
し、さらに分枝してそれぞれ13C標識メタン、13C標識
二酸化炭素および酸素を完全閉鎖条件下に分析した後、
合流させて全量を該ガス圧力変動吸収装置に再循環させ
る第2再循環ラインを形成させ、該ガス圧力変動吸収装
置より出るガスの全量をリアクター内の栄養培地中に循
環させ、シーケンサー制御手段により13C標識メタン、
13C標識二酸化炭素および酸素の分析値に基いて新たに
供給される13C標識メタンおよび酸素の量、ならびに第
1再循環ラインのガス量を自動的に制御することにより
行なわれ、得られる13C標識アミノ酸が均一にラベルさ
れていることを特徴とする前記13C標識アミノ酸の製造
方法を提供するものである。本発明は、さらに本発明の
上記13C標識アミノ酸の製造方法に用いられる装置であ
って、好ましくは、栄養培地中に13C標識メタンおよび
酸素を通しながら、該栄養培地中でメタン資化菌を培養
するリアクター;該リアクターを通して13C標識メタ
ン、酸素、該培養によって生される13C標識二酸化炭素
および必要に応じて添加される窒素ガスよりなるガス成
分を循環させる循環ライン;リアクターガス成分出口側
の循環ライン上で該ガス成分の一部を抜き出して含有さ
れている13C標識二酸化炭素を完全閉鎖条件下に吸収・
回収した後、残りのガスの全量を循環ラインに再循環さ
せる第1再循環ライン;13C標識二酸化炭素の吸収・回
収後の循環ライン上に設けられたガス圧力変動吸収装
置;該ガス圧力変動吸収装置に新たに13C標識メタンお
よび酸素を供給するライン;該ガス圧力変動吸収装置内
のガスの一部を抜き出し、さらに分枝してそれぞれ13
標識メタン、13C標識二酸化炭素および酸素を完全閉鎖
条件下に分析した後、合流させて全量を該ガス圧力変動
吸収装置に再循環させる第2再循環ライン;13C標識メ
タン、13C標識二酸化炭素および酸素の分析値に基いて
新たに供給される13C標識メタンおよび酸素の量、なら
びに第1再循環ラインのガス量を自動的に制御するシー
ケンサー制御手段よりなる前記装置を提供するものであ
る。
【0009】図1により、本発明の製造方法およびその
装置について以下説明する。図1において、1は栄養培
地を収容し、該培地中でメタン資化菌の培養を行なうリ
アクターであり、2はリアクター1内に設けられた攪拌
機であり、3はリアクター1内に挿入されたpHセンサ
ーであり、4はリアクター1内に挿入された溶存酸素セ
ンサーであり、pHおよび溶存酸素はセンサー3および
4に接続されたレコーダー5により記録される。リアク
ター1を出たガス成分はリフラックス6で含有される水
分が除去され、ライン7、12および15はガス圧力変
動吸収装置13、例えばガスホルダーを介して循環ライ
ンを形成し、コック8、ライン9および10、および13
C二酸化炭素吸収装置11により第1再循環ラインが形
成され、ガス圧力変動吸収装置13中のガスの一部をポ
ンプ25、クーラー26およびライン27を通り、該ラ
イン27を13Cメタン、13C二酸化炭素および酸素を分
析用に分枝し、バルブ28,29および30、フローメ
ーター31,32および33を通って、13Cメタン分析
装置34、例えば赤外線式分析計、13C二酸化炭素分析
装置35、例えば赤外線式分析計、酸素分析装置36、
例えば磁気式酸素計に通し、ガス中の13Cメタン、13
二酸化炭素および酸素を分析した後、合流させて、全量
をライン37を通ってガス圧力変動吸収装置13に再循
環させて第2再循環ラインを形成させる。13C二酸化炭
素の分析値が設定値を越えた場合には、シーケンサー制
御手段38により、制御ライン40および42を通して
前記第1再循環ラインを作動させて13C二酸化炭素の吸
収・回収をアルカリ溶液を用いる公知の手段により自動
的に行ない、13Cメタンおよび酸素の分析値が設定値以
下になると、シーケンサー制御手段38により制御ライ
ン40および41を通して電磁弁19および20を作動
させて、それぞれ酸素供給源17および18より電磁弁
19および20、フローメーター21および22、酸素
供給ライン23および13Cメタン供給ライン24を通っ
て、酸素および13Cメタンが新たにガス圧力変動吸収装
置13に供給される。39はシーケンサー制御手段38
のレコーダーである。ガス圧力変動吸収装置13より出
たガスはポンプ14により循環ライン15を通ってリア
クター1の底部に全量循環させることによりメタン資化
菌の培養を完全閉鎖系において自動的に行なうことがで
きる。
【0010】本発明におけるメタン資化菌の培養は、バ
ッチ方式、一定周期で培地の半量を取り出すと同時に培
地の半量を同時に供給する半連続方式またはリアクター
の一方より培地の一定量を連続的に取り出しながら、リ
アクターの他方に培地の一定量を新たに連続的に供給す
る連続方式により行なうことができる。
【0011】
【発明の効果】本発明によれば、13Cメタンを炭素源と
してメタン資化菌を培養し、13Cメタンおよび13C二酸
化炭素を系外に損失させることなく、13Cで均一にラベ
ルされた13C標識アミノ酸を工業的に有利に製造する方
法およびその装置が提供される。
【0012】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに詳しく説明
する。
【0013】実施例1〜6 図1において、リアクター1として5リットルのリアク
ターを用い、ガスホルダー13として30リットルのガ
スホルダーを用い、メタン資化菌として[メチロモナス
・アルブス(N23)(Methylomonas a
lbus)(実施例1)]、[メチロシヌス・スポリウ
ム(N26)(Methylosinus spori
um)(実施例2)]、[メチロシスティス・パルバム
(N29)(Methylocystis parvu
m)(実施例3)]、[メチロコッカス・カプスラツス
(N32)(Methylococcus capsu
latus)(実施例4)]、MH(実施例5)および
KO(実施例6)を用い、表1に示す培地成分、pHお
よび温度の条件下に、バッチ培養を行なった。MHおよ
びKO以外は、英国のNCIMB社(The Nati
onal Collections of Indus
trial and Marine Bacteria
Ltd)より入手することができる。MH菌は、東京
大学農学部農芸化学科微生物利用学研究室のスクリーニ
ングした菌である。KO菌は、東京瓦斯株式会社鶴見工
場の活性汚泥よりスクリーニングしたものであり、単一
菌ではなく二種の菌の共生したものである。
【0014】
【表1】
【0015】リアクターでバッチ培養を行う前に種菌を
前培養した。100mlの坂口フラスコに各培地をリア
クター培地容量の5%入れ、保存菌をその培地量の1%
添加し、気相ガスを交換して1日振とう培養した。リア
クターへの通気ガス組成を13Cメタン10容量%、酸素
10容量%、その他のガス、例えば窒素ガス80容量%
に維持し、13C二酸化炭素は5容量%以下に保持した。
リアクターでの計測は、温度、pHおよび溶存酸素濃度
について行なった。攪拌機2の攪拌数は培養初期に20
0rpmで、OD(540nm)が1を超えると400
〜600rpmに変化させた。
【0016】実施例5の前記培地を用いた場合、図2に
示されるようにODが5で生育がストップし、図3に示
されるようにpHも生育とともに低下したが、その原因
が培地中のアンモニアから亜硝酸の生合成によるもので
あることが判明したので、培地中からアンモニアを除い
て培養したところ、図2および図3に示されるように、
ODが10をこえる生育をみせ、pHの急激な低下もみ
られず、亜硝酸も生合成されないことが確認された。
【0017】MH菌(実施例5)以外の各メタン資化菌
をバッチ培養して得られた生育曲線を図4に示した。3
日間の培養で定常期に達したのはN23(実施例1)、
N26(実施例2)、KO(実施例6)、N32(実施
例4)およびN29(実施例3)であり、制限因子はい
ずれも硝酸イオンであった。ただし、KOだけは制限因
子が不明である。制限因子の判明した菌は、硝酸イオン
の濃度を上げることにより、高濃度培養の検討が可能と
なる。生育曲線より最大比増殖速度μ(max)を求
め、その結果を表2に示した。表2には、各菌体につい
ての菌体収量(g/l)、蛋白含量(%)、糖含量
(%)および供給13Cメタンに対する菌体収率(%)を
示した。N29(実施例3)は、菌体収量および菌体収
率が高く、菌体生産に利用するのに優れている。KO
(実施例6)およびMH(実施例5)は、蛋白含量が高
かったが、菌体収率は25%と低かった。どのメタン資
化菌も収率は40%以下であった。菌体に固定されなか
った13Cメタンは、13C二酸化炭素に変換される。菌に
よって菌体収率が異なっているのは炭素固定経路の違い
によるものと思われる。その経路とは、燃焼した13C二
酸化炭素を資化することのできるセリン経路と、資化し
ないリブロースモノリン酸経路である。N26(実施例
2)はセリン経路で、N32(実施例4)はリブロース
モノリン酸経路をもつことが知られている。N26(実
施例2)の菌体収率は32%で、N32(実施例4)の
菌体収率は23%となっており、セリン経路をもつ菌の
収率が高い。菌体収率により、他菌の代謝経路を分類す
ると、セリン経路がN23(実施例1)およびN29
(実施例3)で、リブロースモノリン酸経路をもつ菌が
MH(実施例5)およびKO(実施例6)であると推定
される。表2において、N23(実施例1)およびN2
6(実施例2)は糖含量が50%を超えた。N29(実
施例3)以外は、蛋白含量と糖含量の合計が75%以上
であった。残りの25%未満は細胞膜などの脂質であろ
う。
【0018】
【表2】
【0019】表3には、各菌のアミノ酸組成のモル比を
示した。すべてメタン資化菌ということもあるためか、
アミノ酸組成のモル比に大きな違いは認められなかっ
た。
【0020】
【表3】
【0021】実施例7 実施例5のバッチ培養に代えて連続培養実験を行なった
以外、実施例5と同様の実験を行なった。得られた結果
を表4に示す。表4に示されるように、菌体収量は5
7.1gであった。これに対し、バッチ培養において
は、1サイクル6日間で凍結乾燥菌体収量7.5gであ
り、18日間では22.5gになり、連続培養に比べて
少ない。図5および図6に、生育曲線、蛋白含量、糖含
量、硝酸、硫酸、リン酸、マグネシウムおよびカルシウ
ムの濃度について経時変化を示した。蛋白含量の経時変
化は、やや増加する傾向がみられた。糖含量は、蛋白含
量と逆の傾向を示した。図7に菌体中の必須アミノ酸の
経時変化を示した。11日目にロイシンが増加し、メチ
オニンが減少した程度で、他のアミノ酸についても大き
な変化を示さなかった。この培養で安定したアミノ酸が
生産されることが示された。
【0022】
【表4】
【0023】実施例8 実施例5で得られた菌体より、各アミノ酸を分離する実
験を行なった。すなわち、得られた菌体から、アミノ酸
のポリマーである蛋白質を抽出し、それを加水分解して
混合アミノ酸とし、その混合物から高速液体クロマトグ
ラフィーで各アミノ酸を単離する実験を行なった。蛋白
回収量を上げるのに有効な因子は、温度:80℃と、抽
出酸の種類:トリクロロ酢酸であることが判明した。一
方、阻害物質となる糖の量を減少させるのに有効な因子
は、すべての因子が有効であり、抽出時間・30分、抽
出温度・90℃、抽出酸の種類・過塩素酸、酸濃度・1
0%という抽出条件が最も有効であることが判明した。
しかし、この条件では蛋白含量が他の条件のおよそ半分
程度となってしまう。糖含量を下げると、蛋白含量も下
がってしまう。今回の実験結果より、糖を少なくすると
蛋白質の回収率が極端に減り、一方、蛋白質を多く回収
しようとすると糖含量が多くなる、という相反する2つ
の条件を1度に満たす条件を見い出すことはできないこ
とが、明らかになった。そこで、なるべく蛋白含量を多
く回収することを第一に、次にその中でなるべく糖含量
の少ない条件を選択することにする。結果の中からこれ
らの条件を満たすものをピックアップしたのが表5であ
る。表5より総アミノ酸量に差がないことが分かる。N
o.1,2は、抽出物中の蛋白含量は多いが、糖含量も
多いので塩酸加水分解を行う際に損失が大きいことがわ
かる。総アミノ酸に差がないので、次の評価値である糖
含量について見ると、適当な抽出条件は、No.3とN
o.6ということになる。No.3とNo.6の抽出条
件を比較すると、酸の種類・(トリクロロ酢酸)、濃度
・(10%)は共通で、時間・(30分と15分)、温
度・(80℃と90℃)となっている。温度が低い場合
は抽出時間が長くなり、温度が高い場合は抽出時間が短
くなるという温度と時間が逆転しており、温度と時間は
この抽出にとって同一の状況を生む因子であり、相関が
あることが示された。酸加水分解条件としては、塩酸濃
度:4N、塩酸容量:抽出蛋白1g当たり100ml、
分解温度115℃、分解時間:24時間が良いことが明
らかになった。そして、得られた酸加水分解液中の各種
アミノ酸は特開平4−104053号公報記載の高速液
体クロマトグラフィーで分取することが可能となった。
【0024】
【表5】
【0025】分析方法 菌体濃度は、抜き出した培養液を適当に希釈して、OD
(540nm)が0.1〜0.6の範囲におさまるよう
にして分光分析した。集菌後に凍結乾燥を行い、その重
量を測定して菌体収量(g/l)を算出した。菌体、及
び、酸抽出の蛋白含量(重量%)は、Lowryの変法
を用いた。それらの糖含量(重量%)は、フェノールー
硫酸法を用いた。それらのアミノ酸組成(モル%)は、
ウォーターズ(株)製のピコタグワークステーションで
サンプルを酸加水分解処理後、高速液体クロマトグラフ
ィーを用いたポスト−OPA法で分析を行った。各菌体
の対13Cメタン収率は、100×{(得られた菌体量)
×0.7/13}/(消費13Cメタン量)で算出した。
菌体中の13C炭素含量は、70(重量%)である。培地
中の各種無機イオンについては、イオンクロマト装置に
より分析した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に用いられる装置の一態様を示す
略図である。
【図2】培地成分の相違による発酵時間と生育量との関
係を示すグラフである。
【図3】培地成分の相違による発酵時間とpHとの関係
を示すグラフである。
【図4】各菌について、発酵時間と生育量との関係を示
すグラフである。
【図5】MH菌の連続培養における発酵時間と無機イオ
ンの残留率との関係を示すグラフである。
【図6】MH菌の連続培養における発酵時間と生育量あ
るいは蛋白および糖の含有量との関係を示すグラフであ
る。
【図7】MH菌の連続培養における発酵時間と各アミノ
酸の含有量との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:01) C12R 1:01)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リアクター内の栄養培地中に13C標識メ
    タンおよび酸素を通しながら、該栄養培地中でメタン資
    化菌を培養して菌体を得、得られた菌体から蛋白質を抽
    出・回収し、回収された蛋白質を加水分解して13C標識
    混合アミノ酸を得る13C標識アミノ酸の製造方法であっ
    て、該メタン資化菌の培養が、該リアクターを通して、
    13 C標識メタン、酸素、該培養によって生成する 13 C標
    識二酸化炭素および必要に応じて添加される窒素ガスよ
    りなるガス状成分を循環させて循環ラインを形成させ、
    リアクターガス成分出口側の循環ライン上で、該ガス成
    分の一部を抜き出して含有されている 13 C標識二酸化炭
    素を完全閉鎖条件下に吸収・回収した後、残りのガスの
    全量を循環ラインに再循環させて第1再循環ラインを形
    成させ、 13 C標識二酸化炭素の吸収・回収後の循環ライ
    ン上に、ガス圧力変動吸収装置を設け、該ガス圧力変動
    吸収装置に新たに 13 C標識メタンおよび酸素を供給する
    と共に該ガス圧力変動吸収装置内のガスの一部を抜き出
    し、さらに分枝してそれぞれ 13 C標識メタン、 13 C標識
    二酸化炭素および酸素を完全閉鎖条件下に分析した後、
    合流させて全量を該ガス圧力変動吸収装置に再循環させ
    る第2再循環ラインを形成させ、該ガス圧力変動吸収装
    置より出るガスの全量をリアクター内の栄養培地中に循
    環させ、シーケンサー制御手段により 13 C標識メタン、
    13 C標識二酸化炭素および酸素の分析値に基いて新たに
    供給される 13 C標識メタンおよび酸素の量、ならびに第
    1再循環ラインのガス量を自動的に制御し、完全閉鎖系
    において自動的に行なわれ、得られる 13 C標識アミノ酸
    が均一にラベルされていることを特徴とする前記 13 C標
    識アミノ酸の製造方法
  2. 【請求項2】 該メタン資化菌の培養が、リアクターの
    一方より培地の一定量を連続的に取り出しながら、リア
    クターの他方に培地の一定量を新たに連続的に供給する
    連続方式により行なわれることを特徴とする請求項1記
    載の製造方法
  3. 【請求項3】 該13C標識混合アミノ酸より各アミノ酸
    を単離することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 栄養培地中に13C標識メタンおよび酸素
    を通しながら、該栄養培地中でメタン資化菌を培養する
    リアクター;該リアクターを通して13C標識メタン、酸
    素、該培養によって生される13C標識二酸化炭素および
    必要に応じて添加される窒素ガスよりなるガス成分を循
    環させる循環ライン;リアクターガス成分出口側の循環
    ライン上で該ガス成分の一部を抜き出して含有されてい
    13C標識二酸化炭素を完全閉鎖条件下に吸収・回収し
    た後、残りのガスの全量を循環ラインに再循環させる第
    1再循環ライン;13C標識二酸化炭素の吸収・回収後の
    循環ライン上に設けられたガス圧力変動吸収装置;該ガ
    ス圧力変動吸収装置に新たに13C標識メタンおよび酸素
    を供給するライン;該ガス圧力変動吸収装置内のガスの
    一部を抜き出し、さらに分枝してそれぞれ13C標識メタ
    ン、13C標識二酸化炭素および酸素を完全閉鎖条件下に
    分析した後、合流させて全量を該ガス圧力変動吸収装置
    に再循環させる第2再循環ライン; 13C標識メタン、
    13C標識二酸化炭素および酸素の分析値に基いて新たに
    供給される13C標識メタンおよび酸素の量、ならびに第
    1再循環ラインのガス量を自動的に制御するシーケンサ
    ー制御手段よりなる請求項記載の方法に用いられる装
    置。
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