JP3276587B2 - クリーンルームの空気清浄性能評価方法、装置及びプログラムを記録した可読記録媒体 - Google Patents

クリーンルームの空気清浄性能評価方法、装置及びプログラムを記録した可読記録媒体

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JP3276587B2
JP3276587B2 JP16457697A JP16457697A JP3276587B2 JP 3276587 B2 JP3276587 B2 JP 3276587B2 JP 16457697 A JP16457697 A JP 16457697A JP 16457697 A JP16457697 A JP 16457697A JP 3276587 B2 JP3276587 B2 JP 3276587B2
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幸弘 村上
正司 吉川
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三宝電機株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体、液晶、バ
イオ関連商品等の製造工場等としてクリーンな作業環境
が要求されるクリーンルームの、空気清浄性能を評価す
る方法、装置及び評価プログラムの可読記録媒体に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】クリーンルームにおける空気清浄度は、
この中で製造される半導体などの歩留まりに大きな影響
をもたらすものであるから、その評価には、高い信頼性
が求められる。
【0003】クリーンルームの汚染物質は、ダストのほ
か、金属イオン(Al、B、Ca、Cu、Fe、K、M
g、Na等)、ガス(HF、HCl、Cl2、NO、N
2、SO2、BF3、NH3、HMDS、シロキサン、P
hosphate、Phthalate等)、有機物
(キシレン、トルエン等)、微生物(ウイルス、バクテ
リア、リケッチア等)等があげられる。
【0004】クリーンルームの目的に対応して、対象と
なる汚染物質は変化するが、近年の技術の進歩に対応し
て、求められる空気清浄度が高くなると同時に、対象と
なりうる汚染物質の種類が増えてきている。
【0005】これらのうち、ダストや微生物等の粒子状
の汚染物質を想定したクリーンルームの空気清浄度評価
方法は、日本工業規格JIS-B-9920に規定されているもの
がある。この規格による評価方法は、空気清浄度を測定
するクリーンルームの大きさに応じて複数の測定点を設
定し、それぞれの測定点について所定量以上の空気をサ
ンプリングして、この中に含まれている浮遊粒子をダス
トカウンタ等によりカウントすることによる測定を複数
回ずつ行い、この測定結果を、規格に定められた統計的
方法によって処理することによって、空気中に浮遊する
汚染物質の濃度を求め、空気清浄度を評価するものであ
る。
【0006】粒子状でない汚染物質についても、この方
法に準じて、ICP−MSやGC−MS等の汚染物質測
定装置によって測定を行い、この結果をもとに統計的処
理を行い、空気清浄度の評価が行われることが多い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような空
気清浄度の評価方法は、信頼性の高い評価結果を得るた
めに統計的処理を用いるものであるため、多数のデータ
を必要とする。しかし、測定に用いられるダストカウン
タ等の汚染物質測定装置は一般に高価なものであって、
通常は何台もの汚染物質測定装置を準備することは困難
である。したがって、多くの場合、1台の汚染物質測定
装置によって、この多数のデータを収集することとな
り、この測定作業には、多大な時間と労力が必要であっ
た。
【0008】また、クリーンルームの運転中は、通常、
空気清浄度に変化のない定常状態であるが、実際にクリ
ーンルームにおいて生産活動等を行っている場合には、
突発的な不測の外乱が生じることは多い。
【0009】このような場合には、いかに速やかに空気
清浄度の高い状態に回復するかが重要であり、この空気
清浄度回復能力は、クリーンルームの重要な評価指標の
1つとなるべきものである。
【0010】この空気清浄度回復能力を評価するため、
信頼性の高い統計的処理を行うには、多くのデータが必
要であり、特に、同一時刻における複数点の汚染物質濃
度を知ることが求められる。
【0011】しかし、上述の従来の方法は、長時間にわ
たって測定点を変更しながら測定を行うものであるか
ら、ある特定の時刻における複数点の汚染物質濃度を測
定することはできず、したがって、時刻を特定する必要
のない定常状態における空気清浄度の評価しかできな
い。また、同時に、複数点の汚染物質濃度を測定するた
め、高価なダストカウンタ等の汚染物質測定装置を測定
点の数だけ用意することは、コスト面から現実的には困
難である。
【0012】したがって、従来は、通常、空気清浄度回
復能力を直接に評価せず、外乱が生じた場合にも必要な
空気清浄度を確保するため、定常状態において高い清浄
度が得られるクリーンルームを、回復能力も高いものと
推測していた。このため、クリーンルームに、必要以上
に高い清浄度を実現できることが要求されることも多
く、クリーンルームが高価なものとなる一因ともなって
いた。
【0013】また、コンピュータの発達により容易にな
った気流シミュレーションに、汚染物質を浮遊させるシ
ミュレータを用いてクリーンルームの任意点の汚染物質
濃度(汚染物質分布)を計算することは理論的には可能
である。
【0014】しかし、シミュレータによる汚染物質濃度
計算のみからクリーンルームの空気清浄度を評価するこ
とは、十分な信頼性が得られず、現実的な方法とはされ
ていなかった。
【0015】本発明は、上記の事情を鑑みてなされたも
のであり、クリーンルームの空気清浄性能を、高い信頼
性をもって、迅速かつ簡易に評価する方法及び装置を提
供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1のクリーンルー
ムの空気清浄性能評価方法は、シミュレータによって所
定の時間間隔ごとにクリーンルーム内の複数位置におけ
る汚染物質濃度を計算し、こうして得られた複数の汚染
物質濃度の一部を、これに対応する時刻における前記汚
染物質濃度測定手段により測定されたクリーンルーム内
の汚染物質濃度と比較することによって、前記シミュレ
ータによる複数の時刻にわたる計算の妥当性を判定し、
妥当性が確認された場合に前記シミュレータより計算さ
れる同一時刻の複数位置における汚染物質濃度を用いて
その時刻におけるクリーンルームの空気清浄度を評価す
るものである。
【0017】請求項2は、請求項1記載のクリーンルー
ムの空気清浄性能評価方法において、前記シミュレータ
により計算された汚染物質濃度の一部を、これに対応す
る時刻かつ位置における前記汚染物質濃度測定手段によ
り測定された汚染物質濃度と比較することによって、前
記シミュレータによる複数の時刻にわたる計算の妥当性
を判定するものである。
【0018】請求項3は、請求項1または2に記載のク
リーンルームの空気清浄性能評価方法において、前記シ
ミュレータにより計算される同一時刻の複数位置におけ
る汚染物質濃度に対して統計的な処理を行うことによ
り、その時刻におけるクリーンルームの空気清浄度を評
価するものである。
【0019】請求項4は、請求項1〜3のいずれかに記
載のクリーンルームの空気清浄性能評価方法において、
1または複数の時刻におけるクリーンルームの空気清浄
度の評価に基づいて、さらに、クリーンルームの空気清
浄度の時間変化特性を評価するものである。
【0020】請求項5は、請求項1〜4のいずれかに記
載のクリーンルームの空気清浄性能評価方法において、
前記汚染物質濃度測定手段により測定された汚染物質濃
度を、前記シミュレータによる計算の初期値として用い
るものである。
【0021】請求項6は、請求項1〜5のいずれかに記
載のクリーンルームの空気清浄性能評価方法において、
シミュレータによって所定の時間間隔ごとに得られた複
数位置における汚染物質濃度の一部から所定の時刻にお
ける所定の時間幅の汚染物質濃度の時間平均値を求め、
これに対応する時刻における前記汚染物質濃度測定手段
により測定されたクリーンルーム内の汚染物質濃度の時
間平均値と比較することによって、前記シミュレータに
よる複数の時刻にわたる計算の妥当性を判定するもので
ある。
【0022】請求項7のクリーンルームの空気清浄性能
評価装置は、所定の時間間隔ごとにクリーンルーム内の
複数位置における汚染物質濃度を計算するシミュレータ
と、クリーンルーム内の少なくとも1点において汚染物
質濃度を測定する汚染物質濃度測定手段と、前記シミュ
レータによって計算された複数の汚染物質濃度の一部
を、これに対応する時刻における前記汚染物質濃度測定
手段により測定された汚染物質濃度と比較することによ
って、前記シミュレータによる複数の時刻にわたる計算
の妥当性を判定する判定手段と、妥当性が確認された場
合に前記シミュレータより計算される同一時刻の複数位
置における汚染物質濃度を用いてその時刻におけるクリ
ーンルームの空気清浄度を評価する評価手段とを備えた
ものである。
【0023】請求項8のプログラムを記録した可読記録
媒体は、コンピュータを、所定の時間間隔ごとにクリー
ンルーム内の複数位置における汚染物質濃度を計算する
シミュレーション手段と、こうして得られた複数の汚染
物質濃度の一部を、これに対応する時刻における前記汚
染物質濃度測定手段により測定されたクリーンルーム内
の汚染物質濃度と比較することによって、前記シミュレ
ータによる複数の時刻にわたる計算の妥当性を判定する
判定手段と、妥当性が確認された場合に前記シミュレー
タより計算される同一時刻の複数位置における汚染物質
濃度を用いてその時刻におけるクリーンルームの空気清
浄度を評価する評価手段として機能させるためのもので
ある。
【0024】上記構成の空気清浄性能評価システムによ
れば、シミュレータによる計算によって得られる汚染物
質濃度(以下「シミュレーション結果」という)のう
ち、その一部を、汚染物質濃度測定手段によって得られ
る実際の汚染物質濃度(以下「実測結果」という)と比
較してその妥当性を確認することにより、シミュレータ
による計算そのものの信頼性が得られる。
【0025】このように、シミュレーション結果の一部
を実測結果と比較検討することによって、シミュレータ
による計算全体が信頼性を得られるのは、シミュレータ
の計算の基礎となる既存の理論体系に、もともと一定の
信頼性があることと、シミュレーション結果と実測結果
が偶然に一致することは確率的に低いと考えられること
による。
【0026】したがって、比較検討の対象とするシミュ
レーション結果と実測結果のデータ量や、妥当性の判定
基準によっては、信頼性の度合いは変動する。
【0027】たとえば、請求項2のように、シミュレー
ション結果である複数位置の汚染物質濃度の一部を、対
応する位置における実測結果である汚染物質濃度と比較
することとすれば、シミュレータの計算の信頼性は高い
ものとなる。
【0028】このようにして、シミュレータによる計算
に信頼性が得られれば、この信頼性の獲得に要した実測
結果のデータ量以上の、一定の信頼性を有するシミュレ
ーション結果が得られる。このため、一定量の信頼性の
あるデータを得るために必要となる、実際の汚染物質濃
度測定に要する手間や時間は大幅に減少する。
【0029】さらに、シミュレーション結果は、クリー
ンルーム内の複数位置の汚染物質濃度であるから、請求
項3のように、統計的処理を行うことにより、クリーン
ルームの汚染物質濃度のばらつきの度合いや平均濃度を
求め、さらには日本工業規格等の既存の規格に応じた評
価が得られる。
【0030】また、クリーンルームの空気清浄度が時間
とともに変化している場合に、実測によって、特定時刻
におけるクリーンルームの空気清浄度を評価すること
は、測定点の数と同じ数の高価なダストカウンタ等の汚
染物質測定装置が必要となり、現実的ではない。
【0031】しかし、請求項1〜3のように、特定時刻
におけるクリーンルームの空気清浄度を、シミュレータ
を介して評価するものとすれば、必ずしもこの特定時刻
における複数位置の実測結果を用いずとも、シミュレー
タによる複数の時刻にわたる計算の信頼性を獲得するこ
とができるため、多くの汚染物質測定装置を必要とせ
ず、例えば1台の汚染物質測定装置によっても、特定時
刻の空気清浄度を評価できる。
【0032】さらに、このようにして、1または複数の
時刻におけるクリーンルームの空気清浄度の評価が得ら
れれば、これに基づいて、請求項4のように、さらにク
リーンルームの空気清浄度の時間変化特性の評価が得ら
れる。この時間変化特性から、不測の外乱によりクリー
ンルーム空気清浄度が悪化した場合に速やかに空気清浄
度の高い状態へ復帰する能力(空気清浄度回復能力)の
評価が得られる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。なお、ここでは、汚染物質としてダストを想
定した場合を例としている。
【0034】まず、クリーンルーム内の互いに異なる複
数位置の汚染物質濃度(汚染物質分布)を計算するため
に構築したシミュレータの概要を理論面から説明する。
このシミュレータは、クリーンルーム内の気流の分布を
求め(気流シミュレーション)、この空気の流れに汚染
物質(ダスト)を乗せて、任意の時刻におけるクリーン
ルーム内の任意位置の汚染物質濃度を求める(汚染物質
濃度分布シミュレーション)ものである。以下、主要な
概念についてそれぞれ説明する。
【0035】「気流シミュレーション」 クリーンルームにおける空気の流れは、単一方向流ある
いは非単一方向流と呼ばれるが、これらは流体力学で総
称される乱流と考えて差し支えない。
【0036】乱流状態は細かく分裂した渦の集合体であ
り、コンピュータを使用して直接計算するためには、膨
大なメモリと計算時間を要するが、工学的に流れ場を検
討する場合、問題となるのは、微小な渦の構造ではな
く、平均的な流れの分布および熱の移動である。乱流状
態にある流れを適当な時間(流れが平滑化される時間)
で平均操作すると、平均的な流れの分布を取り出すこと
ができる。
【0037】このような乱流状態にある流れを平均操作
によって解析する場合、一般に、渦動粘性係数と呼ばれ
る係数が用いられる。この渦動粘性係数とは、経験上、
乱流状態にある流れを平均の速度分布でみると、層流状
態にある流れの粘性係数が大きくなった状態に似ている
ことから考え出されたものであり、層流状態にある流れ
の粘性係数に相当するが、これより大きな値となり、空
間的、時間的に変化するものである。
【0038】乱流シミュレーションの代表モデルとして
は、半経験的なモデルであるk−ε乱流モデル(2方程
式モデル)が有名である。このモデルは、直接、渦動粘
性係数を求める代わりに、乱れの大きさを表す乱流エネ
ルギーkと、乱れの減衰率を表す乱流消失率εという別
の量をまず求めて、その2つの量から渦動粘性係数を求
める方法である。しかし、渦動粘性係数を求めるため
の、乱流エネルギーkと乱流消失率εは平均速度分布か
ら求められるものであり、渦動粘性係数は、この平均速
度分布を求めるために必要になるという関係がある。こ
のため、これらの値を求めるには、適当な初期値を与え
て、この初期値から収束条件を満足するまで繰り返し計
算を行うという方法が採られる。
【0039】上記の乱流モデルは、具体的には、解析空
間全体をメッシュ分割して、流れ場に固定した仮想的な
微小空間を考える。このようなメッシュ分割は、上記の
平均操作を行うことによって小さな渦を平滑化するため
に、乱流モデルであっても、小さな渦とは無関係にメッ
シュ分割を行うことができる。
【0040】そして、それぞれの微小空間において、質
量や熱等の物理量の発生量、蓄積量と流入、流出量との
保存関係を定式化した有限体積法を用いることにより解
くことができる。
【0041】発生量とは、微小空間において発生した物
理量であって、「発生項」と呼ばれる。例えば、物理量
として熱を考えた場合には、微小空間における発熱量が
その微小空間における「発生項」となり、物理量として
汚染物質濃度(ダスト濃度)を考えた場合には、微小空
間における汚染物質(ダスト)の発生量がその微小空間
における「発生項」となる。
【0042】蓄積量は、微小空間における物理量の単位
時間あたり変化量であって、「時間項」と呼ばれる。例
えば、物理量として熱を考えた場合には、微小空間にお
ける蓄熱量がその微小空間における「時間項」となる。
【0043】流入、流出量は、微小空間に流入、流出す
る物理量であるが、性質の違いから「移流項」と「拡散
項」の2つに分けることができる。
【0044】「移流項」とは、流体の流れによって運ば
れる量を表し、例えば、物理量として熱を考えた場合に
は、エアコンの吹き出し口から温風にのって運ばれ、微
小空間に流入する熱などがこれにあたる。
【0045】一方、「拡散項」とは、流体の流れによらず
に微小空間に流入、流出する物理量を表し、例えば、物
理量として熱を考えた場合、固体内における熱の伝導に
顕著に表れるように、温度の高いところから低いところ
へ流体の流れがなくとも移動する熱などがこれにあた
る。この移動量は温度の勾配の大きさに比例し、全体を
均一にしようと働く。
【0046】このような関係は、以下の基礎方程式(1)
〜(5)として記述される。
【0047】
【数1】
【0048】
【数2】
【0049】
【数3】
【0050】
【数4】
【0051】
【数5】
【0052】ただし、
【0053】
【数6】
【0054】
【数7】
【0055】
【数8】
【0056】
【数9】
【0057】
【数10】
【0058】ui:速度成分、p:圧力、ρ:密度、
g:重力加速度、T:温度、ST:熱の生成項、k:乱
流エネルギー、ε:乱流消失率、Γt、ΓT、Γk、Γ
ε:拡散係数、νt:粘性係数、β:体積膨張率、R
e:レイノルズ数、C1、C2、C3、Cμ、σt、σT
σk、σε:経験定数である。また、経験定数の値を以
下に示す。
【0059】
【表1】
【0060】なお、(1)〜(4)式は、X、Y、Zの3方向
(対応する風速成分は、U、V、W)について、テンソル
表示されている。
【0061】以上の基礎方程式(1)〜(5)を差分化し、適
当な境界条件を与え数値解析することにより、気流分布
が得られる。
【0062】ここでは、壁面境界条件に関しては、速度
は1/7乗則、乱流エネルギーkにfree-slip、乱流消
失率εに壁面法則を採用している。
【0063】「汚染物質濃度分布シミュレーション」 汚染物質濃度分布のシミュレーションでは、上記k−ε
乱流モデルを用いて得られた気流分布をもとに、汚染物
質濃度の輸送方程式を示す次式により汚染物質の拡散計
算を行う。
【0064】
【数11】
【0065】ただし、C0:汚染物質の発生項、C:汚
染物質の平均濃度、ΓC:拡散係数である。
【0066】この式(6)において、左辺第1項は汚染物
質濃度の単位時間あたりの変化量、第2項は空気の流れ
によって移動する汚染物質濃度、右辺第1項は汚染物質
濃度勾配によって移動する汚染物質濃度、第2項は微小
領域内における汚染物質の発生量を示している。
【0067】このシミュレーションでは、汚染物質の発
生する微小空間(汚染物質発生源を含む微小空間)にお
いて、空気と等比重の汚染物質が吐出速度0で発生する
ものと仮定している。
【0068】なお、気流分布をもとに汚染物質分布を得
るためのシミュレーションとしては、(6)式に示す汚染
物質濃度の輸送方程式を用いる方法のほか、汚染物質が
粒子状のものである場合には、この汚染物質粒子自身を
気流分布に乗せることにより、実際の濃度を想定する方
法を用いることも可能である。ただし、この場合は、シ
ミュレーションを行うコンピュータの計算能力に応じ
て、気流分布に乗せる汚染物質粒子の数を制限すること
が望まれる。
【0069】「シミュレータによる計算の手順」 以上の基礎方程式(1)〜(6)を用いて、解析対象となるク
リーンルームの条件の下に計算を行う。
【0070】まず、以下の事項等をシミュレータに入力
する。 ・クリーンルームの形状データ ・メッシュ分割の疎密 ・吸気口および排気口等の位置、これらの吸気量および
排気量(風速)、 ・クリーンルームに流入する空気の温度、乱流エネルギ
ー、汚染物質濃度(フィルタの汚染物質透過率)、 ・作業者、生産装置及び証明装置などの発熱源の位置、
発熱量、 ・汚染物質発生源の位置、汚染物質の発生量等 ・初期条件(時刻0における気流分布、温度分布、汚染
物質濃度分布など) これらの入力条件のうち、初期条件(初期値)は、実際の
クリーンルームと適合を図るためには、実際の測定によ
って求められる値を用いることが望ましい。
【0071】しかし、時刻0の瞬間の気流分布状態等を
測定することは、不可能である。
【0072】そこで、求められるシミュレーションの精
度に応じて、一部の初期条件のみ実際の測定から得るも
のとし、他の条件は経験的に適当とされる条件を用いる
ことが適当である。
【0073】たとえば、クリーンルームのある1点にお
ける汚染物質濃度を測定し、この汚染物質濃度を基準と
して、一定の法則に従い、クリーンルームの汚染物質分
布を仮定するなどの方法がある。
【0074】あるいは、クリーンルーム運転開始から、
十分な時間が経過した後の定常状態におけるクリーンル
ーム内の空気清浄度を評価する場合にあっては、初期条
件の影響は小さいため、経験的に適当と思われる値を用
いてもよい。
【0075】しかし、クリーンルームの空気清浄度の時
間変化特性を評価する場合には、他のクリーンルームと
の比較のため、一定の初期状態から解析を行うように統
一することが望ましい。
【0076】そこで、初期状態として、クリーンルーム
の運転をしていない空気清浄度が低い定常状態を用い
て、クリーンルームの運転開始と同時に解析を始めるも
のとすれば、常にほぼ同じ初期状態が再現できる。
【0077】あるいは、クリーンルーム運転中の定常状
態を初期状態としておき、ここに何らかの外乱を付加し
て、これに対する影響から、空気清浄度の時間変化特性
を評価することとしても、入力する初期条件への依存度
の低い評価が可能となる。
【0078】初期条件の入力後は、所定のステップ時間
ごとに、各微小空間の状態の計算を行う。具体的には、
ステップ時間ごとに、以下の一連の手順1〜5を収束解
が得られるまで繰り返し行う。 1.乱流拡散係数を算定する。 2.速度成分について、NS拡散方程式を解く。 3.圧力残差を求め、連続条件を満たすよう速度場を修
正する。 4.乱流エネルギーk、乱流消失率εの輸送方程式を解
く。 5.温度場、汚染物質の輸送方程式を解く。
【0079】なお、計算のステップ時間は、必ずしも一
定とする必要はなく、例えば、シミュレーションの初期
段階などの状態の変動が激しいときは、間隔を短くして
詳しく解析するなど、ステップ時間を可変としてもよ
い。
【0080】また、ここでは、シミュレータによる汚染
物質濃度計算の1つの方法を示したが、本発明は、この
方法に限定されるものではなく、他の理論に基づくシミ
ュレータを用いてもよい。
【0081】あるいは、上記の計算方法による場合で
も、適当な仮定をおいて、計算を単純なものとしてもよ
い。例えば、実験的に、温度場が空気清浄度に与える影
響は小さいことが知られているため、温度場は常に定常
状態が保たれるものと仮定すれば、クリーンルームの運
転(空調装置の運転)開始と同時にシミュレータによる
計算を開始する場合であっても、温度場に関する非定常
状態が回避されるため、計算速度の向上を図ることがで
きる。
【0082】「クリーンルームの構成」 実際にクリーンルームに、空気清浄性能評価を行った具
体的な実施形態について説明する。
【0083】図1に、このクリーンルーム1の立面図
を、図2に同平面図を示す。
【0084】クリーンルーム1の中には、生産装置4が
設置されており、それぞれに作業者3が介在して作業を
している。これらはダスト(汚染物質)発生源である。
これらのほか、床や天井等から発生したダストがクリー
ンルーム1内を浮遊している。
【0085】まず、この系における空気の大きな流れに
ついて説明する。
【0086】クリーンルーム1の空気の一部は、クリー
ンルーム1の床近くの壁面に設けられた2つのリターン
空気吸込口5から、リターンダクト6を通って、空調装
置2に送られる。
【0087】また、屋外との壁面に設けられた外気吸込
口7から、外気ダクト8を通り、外気ファン9によっ
て、屋外からの空気が空調装置2に導入される。外気吸
込口7には、外気処理フィルタF1が設置されており、
取り込まれる外気中の大きなごみ等が除かれる。
【0088】空調装置2の中には、循環ファン10、冷
却コイル11、再熱コイル12、中間フィルタF2が設
置されている。空調装置2に送られた空気は、設定され
た適温に調整され、また、中間フィルタF2によって大
半のダストが除去される。
【0089】空調装置2で温調された空気は、サプライ
ダクト13を通って、クリーンルーム1の天井に設けら
れた2つのサプライ空気供給口14よりクリーンルーム
1に供給される。このサプライ空気供給口14には、最
終フィルタF3が設置されており、クリーンルーム1に
供給される空気中のほとんどのダストが除去される。
【0090】また、クリーンルーム1の天井近くの壁面
には、排気口15が設けられており、クリーンルームの
空気の一部は、排気ファン17によって、この排気口1
5から排気ダクト16を通り屋外に排気される。
【0091】また、このクリーンルーム1は、天井近く
の壁面に設けられた微差圧調整ダンパー18を介して、
図示しない空気清浄度のやや低い準クリーンルームであ
る隣室とつながっており、清浄度が高いクリーンルーム
1の圧力が清浄度の低い隣室の圧力より常に高くなるよ
うに調整されている。
【0092】このクリーンルーム内の発熱源としては、
作業者3、生産装置4、壁・床・天井からの貫流熱のほ
か、このクリーンルーム1の天井に設置された照明装置
(蛍光灯)19がある。
【0093】次に、このクリーンルームのダスト濃度
(汚染物質濃度)を測定するために設けられたダスト濃
度測定手段(汚染物質濃度測定手段)について説明す
る。
【0094】このクリーンルーム1内には、図中A〜D
で示す4つのダスト濃度測定点が設けられている。これ
ら4つの測定点には、それぞれサンプリングチューブ2
0が敷設されており、ロータリマニホールド21を介し
てダストカウンタ(汚染物質測定装置)22に接続され
ている。
【0095】各測定点の空気は、サンプリングチューブ
20からブロアユニット23によって、常時吸引されて
おり、この各測定点から吸引される空気は、ロータリマ
ニホールド21によって、1分ごとに測定点を切り替え
ながらダストカウンタ22に送られる。
【0096】そして、ダストカウンタ22で1分間にカ
ウントされたダスト量を、この1分間に吸引された空気
量で除することにより、この時刻におけるこの測定点の
ダスト濃度が算出される。
【0097】このような多点監視装置を用いることによ
って、大きなダスト発生源となる測定者を排除すること
ができ、クリーンルームにおける実際の操業状態により
近い状態でのダスト濃度測定が可能となる。
【0098】図3に、このクリーンルーム1の空気清浄
性能を評価するため、構築した装置の概念図を示す。こ
の図において矢印は、主として情報の流れを示してい
る。
【0099】クリーンルーム1の実際の汚染物質濃度
(ダスト濃度)は、上述の汚染物質測定装置(ダストカ
ウンタ)22等からなる汚染物質濃度測定手段(ダスト
濃度測定手段)30により測定される。
【0100】この実測結果のうち、時刻0における汚染
物質濃度が、初期値として、シミュレータに入力され
る。また、クリーンルーム1の形状データ等もシミュレ
ータ40に入力され、シミュレータ40により、各時刻
におけるクリーンルーム内の汚染物質濃度の分布が計算
される。
【0101】ここでは、クリーンルーム1の運転開始前
の定常状態を時刻0の初期状態とし、クリーンルームの
運転の開始と同時に時刻を進めることとした。
【0102】こうして、シミュレータ40により得られ
たシミュレーション結果の一部、及び、汚染物質濃度測
定手段30により得られた実測結果は、判定手段50に
入力され、シミュレータ40による計算の妥当性が判定
される。
【0103】シミュレータ40による計算が妥当なもの
でないと判定されれば、調整手段51により、シミュレ
ータ40による計算の一部の条件等を変更される。
【0104】シミュレータ40による計算が妥当なもの
と判定されれば、空気清浄度の評価手段41により、シ
ミュレーション結果を用いてクリーンルームの空気清浄
度が評価される。
【0105】さらに、この空気清浄度の評価に基づい
て、時間変化特性評価手段42により、クリーンルーム
の空気清浄度の時間変化特性が評価される。
【0106】なお、シミュレータ40、判定手段50、
調整手段51、空気清浄度評価手段41および時間変化
特性評価手段は、計算機上に構築することができるが、
人が介在して、このような操作を行うものとしてもよ
い。
【0107】以下、これらの具体的内容についてそれぞ
れ説明する。
【0108】「判定手段」 シミュレーション結果の一部と、実測結果とから、シミ
ュレータ40による計算の妥当性を判定する判定手段5
0における処理について説明する。
【0109】この判定処理により、シミュレータによる
計算は、信頼性が得られる。
【0110】なお、この実施形態においては、4つの測
定点の実測結果を用いるが、測定点は1点であっても一
定の信頼性は得ることができる。あるいは、測定点の数
を多くすればさらに信頼性の高い比較検証を行うことも
可能である。
【0111】シミュレーション結果としては、任意時刻
におけるクリーンルーム内の任意位置のダスト濃度(汚
染物質濃度)が得られるが、上記の実測結果と比較する
ため、ダストカウンタによる測定を行う4つの測定点に
対応する位置のダスト濃度を用いて比較を行う。
【0112】この4点におけるシミュレーション結果を
図4に示す。
【0113】(定常状態における計算の妥当性の判定) まず、シミュレータによる計算のうち、定常状態におけ
る計算の妥当性の判定を行う。
【0114】このため、クリーンルーム運転開始より一
定の時間が経過し、ダスト濃度変化がほとんどなくなっ
た状態におけるシミュレーション結果を検討する。図4
においては、時刻20分以降がこの状態に相当する。
【0115】この検討に必要な実測結果は、定常状態に
おける実測結果であれば特に時刻を特定する必要はない
ので、上述のダスト濃度測定手段により、時刻20分か
ら、各測定点を順次測定した結果を用いる。定常状態に
おけるシミュレーション結果と実測結果を、表2に示
す。
【0116】
【表2】
【0117】一般に、シミュレータによるシミュレーシ
ョン結果と、ダストカウンタによる実測結果が、完全に
一致することは望めないため、これらの差違が一定の範
囲に収まれば、シミュレーション結果が妥当なものであ
ると、ひいては、シミュレータによる計算が妥当なもの
であると判定できる。
【0118】この判定基準としては、たとえば、以下の
ようなものがあげられ、これらの基準を満たすならば、
シミュレーションによる計算が妥当なものであると判断
すればよい。シミュレーション結果の±10%以内に
実測結果が収まること表2に示したシミュレーション結
果および実測結果は、次式を満たす場合に、この基準を
満たしていると判定できる。
【0119】
【数12】
【0120】シミュレーション結果の+5%、−10
%以内に実測結果が収まることこの基準は、シミュレー
ション結果が、実測結果より汚染物質濃度が低い評価と
なる場合を厳しく扱うものである。この基準は、次式に
表現される。
【0121】
【数13】
【0122】なお、上記判定基準及びは例示であっ
て、これらの基準に限定するものではなく、シミュレー
ション結果と実測結果との比較し、シミュレータによる
計算の妥当性を判定する基準であれば採用することがで
きる。
【0123】(非定常状態における計算の妥当性の判
定) 次に、クリーンルームの空気清浄度が時間とともに変化
している非定常状態における、シミュレータによる計算
の妥当性を検討する。
【0124】この場合、クリーンルームの空気清浄度
は、時間とともに変化するものであるため、時刻を特定
してシミュレーション結果を検討する必要があり、複数
の時刻について検討することが望ましい。
【0125】ここでは、1台のダストカウンタで、1分
ごとに測定点を変更しながらダスト濃度を測定するた
め、同一時刻には、1つの測定点のダスト濃度しか測定
できない。このようなダスト濃度測定によれば、図5に
示すようなダスト濃度の実測結果が得られる。
【0126】この実測結果であるダスト濃度は、吸引時
間単位である1分間の積算ダスト量を、吸引空気量で除
したものであるから、この吸引時間中の平均値(時間平
均値)となる。しかし、クリーンルームの空気清浄度
(ダスト濃度)は、外乱等によって汚された空気がクリ
ーンルームの運転によって清浄化されていく場合、等差
的に回復するのではなく、等比的に回復していくことが
経験的に知られている。このことから、上記ダスト濃度
の時間平均値は、吸引時間の中央の時刻における瞬間的
なダスト濃度でもない。
【0127】これに対して、図4に示す、シミュレーシ
ョン結果であるダスト濃度は、各時刻における瞬間的な
ダスト濃度(瞬間値)である。したがって、空気清浄度
の非定常状態において、シミュレーション結果を実測結
果と比較するためには、これらの表現を統一する必要が
ある。
【0128】この場合、実測結果は、1分ごとに測定点
を変更するものであるから時間平均値を瞬間値に変換す
ることは困難であるが、シミュレーション結果を時間平
均値に変換することは、比較的容易である。
【0129】たとえば、シミュレーションによりある地
点におけるダスト濃度が、図6に示すように変化してい
るとするとき(縦軸は対数軸ではない)、時刻t−Δt
から時刻tの平均ダスト濃度(以下、これを時刻tにお
けるダスト濃度の時間平均値と呼ぶ)は、図に示すよう
に、縦軸方向に表されたダスト濃度をこの時間の幅で均
したものとなる。具体的には、ダスト濃度を時刻t―Δ
tから時刻tまで積分し、これを時間幅Δtで除すれ
ば、時刻tにおける時間平均値が求められる。
【0130】このような時間平均値は、連続的なダスト
濃度変化が得られているならば、連続的に求めることが
できる。
【0131】上述の実測結果に合わせるには、時間幅Δ
tを1分とすればよい。
【0132】ここでは、シミュレーション結果として、
ダスト濃度の連続的変化が得られることを前提とした
が、離散的なデータも補間すれば、擬似的に連続的変化
が得られるため、上記方法を用いることができ、より厳
密な時間平均値が得られる。
【0133】ただし、実際的には、時間幅Δtに対して
シミュレーションにおけるステップ時間が十分に小さい
ときは、時間幅Δt中のステップ時間毎のダスト濃度を
合計し、これを時間幅Δt中のステップ時間の数で割る
ことにより得られる、時間平均値の近似値を用いればよ
い。例えば、時間幅Δtが1分(60秒)に対して、ス
テップ時間が1秒であるならば、1秒毎のダスト濃度の
瞬間値の合計を60で割れば、実測結果と比較してシミ
ュレータによる計算の妥当性を判定するのに十分な精度
の時間平均値が得られる。
【0134】このようにして、図4に示した瞬間値とし
てのシミュレーション結果を、時間平均値に変換したも
のを図7に示す。
【0135】この図7は、図4の瞬間値のグラフとほぼ
同じ形となり、このグラフを横軸の正方向にスライドし
たものとなるので、図7においても、時刻0分からおよ
そ時刻20分までが非定常状態、それ以降が定常状態に
該当する。
【0136】図5に示す実測結果と、図7に示すシミュ
レーション結果は、ともに、1分間のダスト濃度の時間
平均値であるので、直接に比較することができる。
【0137】この比較によって、非定常状態におけるシ
ミュレーション結果の妥当性を判定するが、判断基準と
しては、たとえば、以下のようなものがあげられる。
【0138】シミュレーション結果の±10%以内に
実測結果が収まること定常状態における検討で示した基
準と同様であるが、非定常状態では、時刻を特定して比
較する必要がある。
【0139】この判断基準を説明するための概念図を図
8に示す。
【0140】この図8において、実線はある測定点Cに
おけるシミュレーション結果であり、斜線部はその±1
0%以内の領域を示している。また、○印は測定点Cに
おける実測結果を示している。このように、対応する実
測結果がこの領域からはみ出さなければ、シミュレーシ
ョン結果は妥当なものと判定できる。
【0141】このような比較検証をすべての測定点ごと
に行い、この判断基準が満たされるならば、シミュレー
タによる計算は妥当なものと判定できる。
【0142】ただし、各時刻のダスト濃度は、クリーン
ルーム内の作業者の動き等によっても変動するものであ
ることを考慮すると、非定常状態を対象とする検討で
は、特に、シミュレーション結果と実測結果が一致する
ことは困難である。
【0143】したがって、シミュレーション結果と実測
結果のうち、たとえば1割が上記判断基準を満たさない
ような場合であっても、この程度の不一致は不可避のも
のとして、シミュレーション結果を妥当なものと判断し
てもよい。
【0144】シミュレーション結果の+5%、−10
%以内に実測結果が収まること定常状態における検討で
示した基準と同じ趣旨のものであり、上記判断基準と
同様に、各時刻ごとにシミュレーション結果と実測結果
を比較すればよい。
【0145】シミュレーション結果の最悪値と最良値
の間に実測結果が収まることこの判断基準は、シミュレ
ーション結果の妥当性を簡易に検証するためのものであ
る。
【0146】このような判断基準によりシミュレーショ
ンの妥当性を検証できるのは、一般的なクリーンルーム
では、リターン空気吸入口がほぼ均等に配置されるため
に、クリーンルーム内のほとんどの位置において換気効
率が近似することが経験的に見出されており、かつ空気
清浄度を高めるため、クリーンルームは、一般に、高い
換気効率を実現しうるように造られていることによる。
このことは、例えば、図7等において、各測定点のダス
ト濃度の減少速度(図7における曲線の右下がりの勾
配)が近似しており、かつこの減少速度が大きいことか
らも確認できる。
【0147】したがって、実測結果のすべてが、対応す
る時刻のシミュレーション結果における最も低いダスト
濃度と最も高いダスト濃度とのほぼ内側に入ることが示
されれば、このシミュレーションにおけるダスト濃度分
布の変化と、実際のクリーンルームにおけるダスト濃度
分布の変化とは、近似したものであると判断できること
となる。
【0148】この判断基準により、上記シミュレーショ
ン結果の妥当性の検証を行う説明のための概念図を図9
に示す。図9において、斜線部は、各時刻におけるシミ
ュレーション結果のうち、最も低いダスト濃度と最も高
いダスト濃度に挟まれた領域を示している。実測結果が
この領域からはみ出さなければ、シミュレーション結果
は、妥当なものと判定できる。
【0149】なお、上記判断基準〜は例示であっ
て、これらの基準に限定するものではない。
【0150】また、ここでは、1台のダストカウンタに
よって、実際のダスト濃度測定を行ったため、同一時刻
には、1つの測定点のダスト濃度しか得られなかった
が、たとえば、4台のダストカウンタを用いて、各時刻
における4点すべてのダスト濃度を測定して、この実測
結果を用いてシミュレータによる計算の妥当性を判定し
てもよい。このようにすれば、シミュレータによる計算
は、さらに信頼性の高いものとなる。
【0151】「調整手段」 判定手段50によって、シミュレーション結果が、妥当
でないと判断される場合には、調整手段51により、シ
ミュレータの計算条件や経験的に入力した初期値などを
変更して、実測結果と適合するように調整を行う。
【0152】この調整手段51は、計算機により自動的
に行われるものとして構成することが望ましいが、調整
の対象となりうるものが多く、調整操作は経験によると
ころが大きいため、計算機と対話的に、あるいは完全に
人の手によって行うものとしてもよい。
【0153】調整手段51を計算機により自動的に行わ
れるものとした場合には、判定手段50から調整手段5
1にシミュレーション結果と実測結果の不一致の程度な
どを出力し、これに応じて、たとえば、拡散係数の値
や、機械や作業者等から発生するダスト量などを変更す
ることで調整を行えばよい。
【0154】人が介在して調整を行う場合には、モニタ
やプリンタ等の出力手段60に、判定手段50における
判定結果、さらに望ましくは、上記不一致の程度などを
出力して、これに応じて試行錯誤的に調整を行えばよ
い。
【0155】「評価手段」 上述の判定手段50によって、シミュレータによる計算
が妥当であると判定されたならば、この計算により得ら
れるシミュレーション結果の全体が一定の信頼性のある
ものとなる。
【0156】そこで、シミュレータ40により得られた
シミュレーション結果を用いて、空気清浄度評価手段4
1により、このクリーンルームの空気清浄度の評価を行
う。この評価結果は、必要に応じて、出力手段60に出
力することが望ましい。得られたシミュレーション結果
である任意位置のダスト濃度(ダスト分布)は、クリー
ンルーム内でも、特に高い空気清浄度が求められる作業
台近辺のダスト濃度を得ることができるなどの点で、利
用価値の高いものである。
【0157】一方、従来より、クリーンルームの空気清
浄度は、日本工業規格に規定するような統計的方法で処
理することによって得られる清浄度クラスで評価される
ことが多い。
【0158】このような統計的処理を行うためには、多
くのデータを必要とするが、信頼性の得られたシミュレ
ーション結果の全体は、このような統計的処理に十分な
データ量を提供することができる。すなわち、このよう
な統計的処理を行うには足りない実測結果を、シミュレ
ーション結果の妥当性の判定に用い、このシミュレーシ
ョン結果を用いて統計的処理を行うものである。
【0159】以下、シミュレーション結果を用いて、ク
リーンルームの空気清浄度を、統計的処理による表現か
ら、評価する例について説明する。
【0160】(定常状態における評価) まず、定常状態におけるシミュレーション結果が妥当な
ものであると判定された場合に、このクリーンルームの
定常状態における空気清浄度を、日本工業規格に規定さ
れる統計的処理を用いて評価を行う方法を説明する。
【0161】この規格によれば、クリーンルーム中の作
業面と同じ高さに20〜30の測定点を等間隔に設け
て、これらの測定点におけるダスト濃度からクリーンル
ームの空気清浄度を評価するものである。
【0162】シミュレーション結果からは、互いに異な
る複数位置のダスト濃度が得られるため、ここでは、上
述のクリーンルーム1に対し、統計的処理に用いる24
の測定点を等間隔に設けた場合を例として、説明する。
【0163】また、この規格では、各測定点において3
回以上の測定を要する。
【0164】そこで、ここでは、上記24の測定点それ
ぞれについて、定常状態となった時刻20分以降の、例
えば時刻20分、21分、22分におけるシミュレーシ
ョン結果であるダスト濃度を用いて、定常状態における
評価を行う。
【0165】この規格のうち、正規の評価方法によれ
ば、すべての測定点における平均ダスト濃度が、ある清
浄度クラスの上限濃度以下であることが、その清浄度ク
ラスと評価されるための必要条件となる。
【0166】測定点iにおけるj回目の測定のダスト濃
度をCijとすれば、この測定点iにおける平均ダスト濃
度Ciは次式により求められる。
【0167】
【数14】
【0168】ただし、mは各測定点における測定回数で
あり、ここではm=3である。
【0169】さらに、信頼係数95%で求められた各測
定点の平均ダスト濃度の平均の上側信頼限界が、ある清
浄度クラスの上限濃度以下であれば、このクリーンルー
ムは、その清浄度クラスであると評価される。
【0170】各測定点の平均ダスト濃度の平均値Xは、
次式によって求められる。
【0171】
【数15】
【0172】ただし、nは全測定点数であり、ここでは
n=24である。
【0173】Xの95%上側信頼限界Xuは、式(7)
により求められる全測定点における平均ダスト濃度Ci
の標準偏差sを用いて、式(8)により求められる。
【0174】
【数16】
【0175】
【式17】
【0176】ただし、全測定点数n=24であり、パラ
メータTはn=24の場合、T=1.7である。
【0177】(非定常状態における評価) 上述の日本工業規格による評価方法は、それぞれの測定
点について3回以上の測定を行うことから定常状態の評
価をするためのものである。
【0178】しかし、一般に、クリーンルームの空気清
浄度は、この規格の表現が用いられることが多いため、
非定常状態の空気清浄度もこの表現に準じた表現をとる
ことが望まれる。
【0179】そこで、ここでは、上記定常状態と同じ2
4の測定点のシミュレーション結果を用いて、日本工業
規格の方法に準じて、各時刻の空気清浄度を評価するこ
ととする。
【0180】非定常状態におけるシミュレーション結果
が妥当なものであると判断された場合、このシミュレー
ション結果から、非定常状態の各時刻における上記24
の測定点のダスト濃度が得られる。ここでは、各時刻の
瞬間の状態を評価するため、ダスト濃度の時間平均値で
はなく、瞬時値を用いることが望ましい。
【0181】時刻tにおける空気清浄度が、日本工業規
格のある清浄度クラスと評価されるためには、この時刻
tにおけるすべての測定点のダスト濃度が、このクラス
の上限濃度以下であることが必要である。
【0182】さらに信頼係数95%で求められた各測定
点のダスト濃度の平均の上側信頼限界が、ある清浄度ク
ラスの上限濃度以下であれば、この時刻においては、こ
の清浄度クラスであると評価できる。
【0183】この95%上側信頼限界は、式(7)およ
び式(8)を用いて、定常状態の場合と同様にして求め
ればよい。
【0184】なお、ここでは、日本工業規格に準じた統
計的処理方法を示したが、各時刻のすべての測定点のダ
スト濃度の単純な平均値をとり、この平均値から各時刻
の空気清浄度を評価してもよい。
【0185】(空気清浄度の時間変化特性の評価) 空気清浄度評価手段41により求められた、非定常状態
における日本工業規格に準じた清浄度クラスによる評
価、あるいは、各時刻の単純なダスト濃度の平均値を用
いれば、時間変化特性評価手段42により、さらにクリ
ーンルームの空気清浄度の時間変化特性を評価すること
ができる。この評価結果も、出力手段60により、出力
することが望ましい。
【0186】この評価は、例えば、以下のような基準に
よればよい。
【0187】外乱により空気清浄度が低下した後、所
定の清浄度クラスに達するまでの時間外乱のあった後、
いかに速やかに所望の空気清浄度まで回復するかを評価
する基準である。
【0188】この基準を用いる場合、付加される外乱の
大きさを規定しておくことが望ましい。
【0189】あるいは、クリーンルームの運転をしてい
ない空気清浄度が低い定常状態を初期状態として、クリ
ーンルームの運転開始と同時に解析を始めるるものとし
てもよい。こうすれば、外乱の大きさは、常にほぼ同じ
ものが再現できるまた、解析上の時刻0分に外乱があっ
たものとみなすことができるため、所望の清浄度クラス
に達した解析上の時刻が、そのままこの基準にいう時間
に相当することとなり、評価が容易である。
【0190】さらに、クリーンルーム運転開始からどれ
だけの時間で、生産作業等に耐えるだけの空気清浄度が
確保されるかが表現される基準と捉えることができる。
【0191】外乱により空気清浄度が低下した後、所
定時間内に所定の清浄度クラスに達するか否か外乱の扱
いについては、評価基準と同様である。
【0192】この基準は、クリーンルームが、必要な清
浄度回復能力を有しているか否かを評価するものであ
る。
【0193】外乱により空気清浄度が低下した後、所
定時間経過時の空気清浄度たとえば、外乱から5分後の
状態をもって、クリーンルームの空気清浄度を評価する
ものである。
【0194】ここにいう空気清浄度は、日本工業規格の
清浄度クラス、ダスト濃度の平均値、あるいは、ダスト
濃度分布のばらつきなどを適宜用いればよい。
【0195】また、外乱の扱いについては、評価基準
と同様である。
【0196】外乱により空気清浄度が低下した後の、
空気清浄度の回復する速度勾配付加される外乱の大きさ
に無関係に、空気清浄度の回復性能を評価しようとする
ものである。
【0197】たとえば、時刻2分のダスト濃度の平均値
が8万個/ft3、時刻5分のダスト濃度の平均値が1
万個/ft3とすれば、3分間でダスト濃度の平均値
は、1/8になっている。一般に、空気清浄度(ダスト
濃度)は、等比的に回復するものであるから、この場
合、1分間あたりの平均ダスト濃度の回復速度勾配を、
1分あたり、1/8の3乗根1/2と評価すればよい。
【0198】「シミュレータの用途」 クリーンルーム1の空気清浄度の評価結果が思わしくな
いものであるときなどには、通常、クリーンルーム1の
形状はそのままで、生産装置4の配置や空調装置2から
の送風量を変更するなどの対策が採られる。このような
変更に伴う影響を、その都度、実際のクリーンルームを
試作して、清浄度評価を行うこととすれば大変な労力が
必要となる。
【0199】一方、判定手段50による比較検証によ
り、一定の信頼性を得たシミュレータ40であれば、多
少の条件の変更に対しても、その計算はある程度の信頼
性があるものとなる。
【0200】したがって、このような多少の条件の変更
に対する影響であれば、シミュレータ40による計算、
および、空気清浄度評価手段41による評価、さらに
は、時間変化特性評価手段42による評価のみから、あ
る程度の信頼性をもって検討することができる。
【0201】すなわち、クリーンルームの空気清浄度を
厳密に評価するためには、実測を伴う評価が必要であっ
ても、簡易な評価をシミュレータのみで行うことができ
るため、少ない労力及び時間で、多くの配置の変更等を
検討することができる。
【0202】また、さらには、信頼性の得られたシミュ
レータ40は、クリーンルームの設計構想段階において
も、設計案としてのクリーンルームのおよその空気清浄
性能の評価に用いることができ、設計作業の補助として
クリーンルーム設計の効率化に寄与することができる。
【0203】また、信頼性の得られたシミュレータ40
によるシミュレーション結果と、実測結果が適合しない
場合には、未知のダスト発生源を推定することができる
など、シミュレータ40をクリーンルームの解析に用い
ることもできる。
【0204】さらに、シミュレーションにより得られ
る、ダスト濃度の分布の時間変化を検討することによ
り、乱流型クリーンルーム内のダスト拡散性状につい
て、以下のような一般的な知見を得ることもできる。
【0205】吹き出し気流部でダストが発生した場合
には、ダスト発生位置の下方で特にダスト濃度が高くな
るほか、ダストは広く室内に拡散する。
【0206】上昇流部でダストが発生した場合には、
ダストは広範囲に拡散し、クリーンルーム全体のダスト
濃度が高くなる。
【0207】吸い込み口に向かう気流部でダストが発
生した場合、ダストは速やかに排出され、ダストが他の
位置で発生した場合と比較して、クリーンルームのダス
ト濃度は低く保たれる。
【0208】
【発明の効果】上記のように本発明によるときは、シミ
ュレータにより計算されたシミュレーション結果の一部
を、汚染物質濃度測定手段による実測結果と比較してそ
の妥当性を確認することにより、シミュレータによる計
算そのものの信頼性を得ることができる。
【0209】さらに、シミュレーション結果を、これに
対応するクリーンルーム内の位置における実測結果と比
較することとすれば、シミュレータによる計算につい
て、一段と高い信頼性を得ることができる。
【0210】シミュレータによる計算に信頼性が得られ
たならば、シミュレーション結果全体が信頼できること
となる。したがって、シミュレーション結果である複数
位置の汚染物質濃度(汚染物質分布)から、クリーンル
ーム内でも特に高い清浄度が求められる位置の汚染物質
濃度を得ることができる。
【0211】さらに、この複数位置の汚染物質濃度に対
して統計的処理を行うことにより、クリーンルームの汚
染物質濃度のばらつきや汚染物質濃度の平均値を求め、
さらには日本工業規格等の既存の規格に応じた表現によ
りクリーンルームの空気清浄度を評価を行うことができ
る。
【0212】また、実際の汚染物質濃度測定により得る
必要のある実測結果のデータは、シミュレーション結果
の一部と比較するためのものであるから、クリーンルー
ムの空気清浄度の評価に用いられるシミュレーション結
果のデータ量と比べて少ないデータ量で済む。このた
め、実際の汚染物質濃度測定に要する手間や時間の大幅
な減少が図れる。
【0213】さらに、所定の時間間隔ごとに汚染物質濃
度を計算できるシミュレータを用いて、シミュレーショ
ン結果を対応する時刻の実測結果と比較検証するため、
複数の時刻にわたるシミュレータの計算の信頼性が獲得
でき、この結果を用いて、特定時刻におけるクリーンル
ームの空気清浄度を評価することができる。
【0214】特に、この場合には、実測結果から直接に
特定時刻の空気清浄度を評価するために必要な、同一時
刻の複数位置の実測結果(汚染物質濃度)を得ることが
困難であるが、シミュレータを介して評価を行うのであ
れば、その計算の妥当性を確認するために必要となる実
測結果は、必ずしも同一時刻のものでなくとも良いた
め、実測が容易なもので済む。
【0215】また、このようにして、1または複数の時
刻におけるクリーンルームの空気清浄度の評価が得られ
れば、これに基づいて、さらに空気清浄度の時間変化特
性を評価することができる。この時間変化特性から、不
測の外乱により、クリーンルームの空気清浄度が悪化し
た場合に、速やかに空気清浄度の高い状態へ復帰する能
力(空気清浄度回復能力)を評価することができる。
【0216】クリーンルームの空気清浄度回復能力が適
正に評価できることにより、クリーンルームへ必要以上
に高い定常状態における空気清浄度が求められることが
防止され、必要十分な性能を有するクリーンルームを提
供することも容易となる。
【0217】また、実測結果との比較検証を経て、一定
の信頼性を得たシミュレータであれば、多少の条件の変
更に伴う影響を、シミュレータによる計算のみから簡易
に評価することができるため、少ない労力及び時間で、
さまざまな変更等を検討することができる。
【0218】さらに、信頼性の得られたシミュレータ
は、クリーンルームの設計構想をたてる段階において
も、設計案としてのクリーンルームのおよその空気清浄
性能の評価に用いることができ、設計作業の補助として
クリーンルーム設計作業の効率化、ひいては工事の手戻
りの減少、工期の短縮に寄与することができる。
【0219】また、シミュレーションにより得られる、
汚染物質分布の時間変化を検討することにより、クリー
ンルーム内の汚染物質拡散性状についての一般的な知見
を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる空気清浄性能評価を
行ったクリーンルームの概略を示す平面図である。
【図2】同立面図である。
【図3】本発明の実施形態にかかるクリーンルームの空
気清浄性能評価装置の概念図である。
【図4】シミュレーション結果による測定点A〜Dのダ
スト濃度(瞬時値)を示すグラフである。
【図5】ダスト濃度測定手段による測定点A〜Dのダスト
濃度(時間平均値)を示すグラフである。
【図6】瞬時値で表現されたダスト濃度の時間平均値へ
の変換を説明するための概念図である。
【図7】シミュレーション結果による測定点A〜Dのダス
ト濃度を、時間平均値に変換して表現したグラフであ
る。
【図8】非定常状態における判定基準により、測定点
Cにおけるシミュレーション結果の妥当性について判定
を行った説明図である。
【図9】非定常状態における判定基準により、シミュ
レーション結果の妥当性について判定を行った説明図で
ある。
【符号の説明】
1 クリーンルーム 2 空調装置 3 作業者 4 生産装置 5 リターン空気吸込口 7 外気吸込口 14 サプライ空気供給口 15 排気口 18 微差圧調整ダンパ― 19 照明装置 20 サンプリングチューブ 21 ロータリマニホールド 22 ダストカウンタ F1 外気処理フィルタ F2 中間フィルタ F3 最終フィルタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F24F 7/06

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シミュレータによって所定の時間間隔ご
    とにクリーンルーム内の複数位置における汚染物質濃度
    を計算し、こうして得られた複数の汚染物質濃度の一部
    を、これに対応する時刻における汚染物質濃度測定手段
    により測定されたクリーンルーム内の汚染物質濃度と比
    較することによって、前記シミュレータによる複数の時
    刻にわたる計算の妥当性を判定し、妥当性が確認された
    場合に前記シミュレータより計算される同一時刻の複数
    位置における汚染物質濃度を用いてその時刻におけるク
    リーンルームの空気清浄度を評価することを特徴とする
    クリーンルームの空気清浄性能評価方法。
  2. 【請求項2】 請求項記載のクリーンルームの空気清
    浄性能評価方法において、前記シミュレータにより計算
    された汚染物質濃度の一部を、これに対応する時刻かつ
    位置における前記汚染物質濃度測定手段により測定され
    た汚染物質濃度と比較することによって、前記シミュレ
    ータによる複数の時刻にわたる計算の妥当性を判定する
    ことを特徴とするクリーンルームの空気清浄性能評価方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項またはに記載のクリーンルー
    ムの空気清浄性能評価方法において、前記シミュレータ
    により計算される同一時刻の複数位置における汚染物質
    濃度に対して統計的な処理を行うことにより、その時刻
    におけるクリーンルームの空気清浄度を評価することを
    特徴とするクリーンルームの空気清浄性能評価方法。
  4. 【請求項4】 請求項のいずれかに記載のクリー
    ンルームの空気清浄性能評価方法において、1または複
    数の時刻におけるクリーンルームの空気清浄度の評価に
    基づいて、さらに、クリーンルームの空気清浄度の時間
    変化特性を評価することを特徴とするクリーンルームの
    空気清浄性能評価方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜のいずれかに記載のクリー
    ンルームの空気清浄性能評価方法において、前記汚染物
    質濃度測定手段により測定された汚染物質濃度を、前記
    シミュレータによる計算の初期値として用いることを特
    徴とするクリーンルームの空気清浄性能評価方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載のクリー
    ンルームの空気清浄性能評価方法において、シミュレー
    タによって所定の時間間隔ごとに得られた複数位置にお
    ける汚染物質濃度の一部から所定の時刻における所定の
    時間幅の汚染物質濃度の時間平均値を求め、これに対応
    する時刻における前記汚染物質濃度測定手段により測定
    されたクリーンルーム内の汚染物質濃度の時間平均値と
    比較することによって、前記シミュレータによる複数の
    時刻にわたる計算の妥当性を判定することを特徴とする
    クリーンルームの空気清浄性能評価方法。
  7. 【請求項7】 所定の時間間隔ごとにクリーンルーム内
    の複数位置における汚染物質濃度を計算するシミュレー
    タと、クリーンルーム内の少なくとも1点において汚染
    物質濃度を測定する汚染物質濃度測定手段と、前記シミ
    ュレータによって計算された複数の汚染物質濃度の一部
    を、これに対応する時刻における前記汚染物質濃度測定
    手段により測定された汚染物質濃度と比較することによ
    って、前記シミュレータによる複数の時刻にわたる計算
    の妥当性を判定する判定手段と、妥当性が確認された場
    合に前記シミュレータより計算される同一時刻の複数位
    置における汚染物質濃度を用いてその時刻におけるクリ
    ーンルームの空気清浄度を評価する評価手段とを備えた
    ことを特徴とするクリーンルームの空気清浄性能評価装
    置。
  8. 【請求項8】 コンピュータを、所定の時間間隔ごとに
    クリーンルーム内の複数位置における汚染物質濃度を計
    算するシミュレーション手段と、こうして得られた複数
    の汚染物質濃度の一部を、これに対応する時刻における
    前記汚染物質濃度測定手段により測定されたクリーンル
    ーム内の汚染物質濃度と比較することによって、前記シ
    ミュレータによる複数の時刻にわたる計算の妥当性を判
    定する判定手段と、妥当性が確認された場合に前記シミ
    ュレータより計算される同一時刻の複数位置における汚
    染物質濃度を用いてその時刻におけるクリーンルームの
    空気清浄度を評価する評価手段として機能させるための
    プログラムを記録した可読記録媒体。
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