JP3276018B2 - 静電潜像読み取り装置 - Google Patents

静電潜像読み取り装置

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JP3276018B2
JP3276018B2 JP26864792A JP26864792A JP3276018B2 JP 3276018 B2 JP3276018 B2 JP 3276018B2 JP 26864792 A JP26864792 A JP 26864792A JP 26864792 A JP26864792 A JP 26864792A JP 3276018 B2 JP3276018 B2 JP 3276018B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は静電記録媒体、電子写真
用静電潜像保持媒体などの電荷像保持媒体に形成された
静電潜像の読み取り、または静電荷、分極などの静電気
力を利用した高密度記録装置の信号読み出しなどの、静
電潜像読み取り装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、導電性層上に絶縁層を形成した電
荷保持媒体に、電圧印加露光、イオンフロー、ビーム露
光等により静電潜像を形成することが提案されている。
この電荷保持媒体は極めて高解像度であり、かつ半永久
的な画像情報の保存ができるという長所を有している
が、水等の接触により見かけ上電位が減衰し、検出でき
なくなる。あるいは第3者による画像情報の読み取りが
困難であるが、セキュリティが未だ完全とは言えない状
況にある。
【0003】この対策として本出願人は、静電潜像の電
荷とは逆極性の電荷を付着させ、表面電位を減衰させて
外部からは像情報を読み出すことを不可能とし、画像情
報の読み取りに際しては電荷保持媒体表面にPETフィ
ルム等を密着させ、これを剥離することにより逆極性の
電荷を除去して画像情報を復活させ、読み取り可能にし
たものを既に提案している(特願平3ー110447
号)。
【0004】上記提案を図13により説明する。図中、
1は電荷保持媒体、1cは絶縁層、1bは導電性層、1
dは静電潜像、1eは1dとは逆極性の電荷、1fはP
ETフィルムである。電荷保持媒体1は電極を形成する
導電性層1b上にふっ素樹脂からなる絶縁体(商標名サ
イトップ)1cを厚さ2.6μm程積層したものであ
る。もちろん、電荷保持媒体1は図示しないガラス基板
等に積層するようにしてもよい。このような電荷保持媒
体1に対して従来公知の、例えばコロナ帯電あるいは電
荷保持媒体に対して感光体を対向配置し、導電性層1b
との間に電圧を印加しつつ画像露光する、所謂電圧印加
露光により、図13(a)に示すように静電潜像1dが
記録される。静電潜像を記録した電荷保持媒体1の絶縁
層表面を水等で濡らすか、あるいは電荷保持媒体1を高
湿度の環境下に配置することにより、図13(b)に示
すように、絶縁層1cの表面上には逆極性の電荷1eが
付着する。このとき付着する逆極性の電荷1eは静電潜
像による電位を打ち消し、外部からは表面電位を検出す
ることができず、静電潜像を読み取ることはできない。
このような状態の電荷保持媒体に対して、図13(c)
に示すように、厚さ12μm程のAlを蒸着したPET
フィルム1fのAl蒸着とは反対の面を載せ、圧力を加
えるか、あるいは摩擦させることにより密着させた後剥
離することにより、絶縁層1c上に付着した逆極性の電
荷1eはPETフィルム1fに付着して除去される。こ
の場合、静電潜像1dを形成する電荷は絶縁層1cにト
ラップされているために、PETフィルム1fで逆極性
の電荷を取り除くと顕在化し、静電潜像の読み取りが可
能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、潜像電荷
と逆極性の電荷を付着することにより、セキュリティの
向上や長期安定保存ができるなどの利点があるものの、
読み取りに際して逆極性の電荷を取り除く必要があるた
めに読み取り操作が面倒であるとともに、電荷除去の際
に像乱れを起こす可能性がある。
【0006】本発明は上記課題を解決するためのもの
で、潜像電荷と逆極性の電荷を付着することにより、セ
キュリティの向上や長期安定保存を可能にするととも
に、潜像読み取りに際して像乱れを生じさせることのな
い静電潜像読み取り装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は電位検出用微小
作用断面積を有するプローブを用い、以下に述べる原
理、手段により潜像読み取りを行うものである。電荷保
持媒体に形成された静電潜像は絶縁層表面に帯電してい
るとは言え、実際には僅かに絶縁層内部に入った位置に
蓄積されている。この電荷保持媒体を水等につけると、
静電潜像上には逆極性の電荷が付着するが、この電荷は
絶縁層表面に付着するため潜像電荷と表面の逆極性の電
荷の間にはサブμmオーダの微小間隔が存在する。この
微小間隔に比して十分離れた距離に電位検出用プローブ
を接近させても静電潜像と表面の逆極性の電荷の影響は
打ち消し合って電気的には何も検出できない。しかし、
プローブを前記微小間隔程度に接近させると、プローブ
には潜像電荷と表面の逆極性の電荷の距離の差に応じて
誘導電荷が誘起される。このとき、例えばプローブとし
て針のように先端が先鋭化されたものを用いれば誘導電
荷はその先端部分に誘起される。
【0008】誘起された誘導電荷と記録媒体間で生じる
電界によってプローブと記録媒体の間に静電気力が働く
ので、プローブが機械的に変位可能であるようにしてお
けば、プローブには撓みなどの機械的変位が生じる。機
械的変位は、静電気力に対応した変位量を示すので、こ
の機械的変位を検出することによって、そこに作用して
いる静電気力、即ちその部分の静電像を読み取ることが
できる。
【0009】さらに、この方法では、誘起された誘導電
荷による静電気力によって、検出可能な程度の機械的変
位が得られれば良いので、プローブの材質、形状、構
成、または機械的変位の検出手段を選択することによっ
て、分子、原子オーダーの大きさまでプローブの分解能
で静電潜像の読み取りを行うことができる。また、記録
媒体、あるいはプローブを2次元的に走査することによ
って、2次元的に静電潜像の読み取りを行うことが可能
である。
【0010】以上は、静止状態のプローブを用いた場合
であるが、強制的に外力で振動させたプローブを記録媒
体に接近させることによっても同様な測定を行うことが
できる。プローブをその機械的固有振動数で一定の振幅
を保つように外力によって振動させながら記録媒体に接
近させる。すると、前述の場合と同様に誘導電荷が誘起
され、プローブには静電気力が働く。プローブの静電気
力という新たな外力が作用することによって、プローブ
の固有振動数、あるいは振幅が変化する。この固有振動
数、あるいは振幅の変化分はプローブに働く静電気力に
対応して変わるので、固有振動数、あるいは振幅を測定
することによって静電気力、即ちその部分の静電潜像を
読み取ることができる。
【0011】2次元走査による読み取り、分解能に関し
ては前述の機械的変位の場合と同様である。以上のごと
く、電位検出用プローブを用い、その機械的変位、固有
振動数の変化、或いは振幅の変化という静電気力によっ
て作用する現象を直接利用する方法により、微小部分の
静電潜像読み取りが実現できる。
【0012】これらの作用は記録媒体の電位によって左
右される以外に、プローブと記録媒体との距離によって
も影響を受ける。記録媒体上を走査しながら測定する際
に、これらの静電気力による作用によってプローブの状
態が変化しないようにプローブ─記録媒体間の距離を制
御すると、この制御量がプローブに働く静電気力に対応
する量となるので、この値を測定しながら走査すること
によっても静電潜像の読み取りを行うことができる。
【0013】また、プローブ─記録媒体間に働く静電気
力は、記録媒体によって生じる電界以外に、プローブ─
記録媒体間に外部から電圧を印加することによっても作
用させることができる。そこで、記録媒体上を走査しな
がら測定する際に、プローブ─記録媒体間にバイアス電
圧を印加し、記録媒体より生じる静電気力によってプロ
ーブの状態が変化しないようにバイアス電圧を制御する
ようにすると、この制御量はプローブに働く静電気力に
対応する量となり、この値から静電潜像を読み取ること
ができる。
【0014】
【作用】本発明は電位検出用プローブを用い、静電潜像
上に潜像電荷と逆極性の電荷が付着された記録媒体に接
近させたとき作用する静電気力によるプローブの機械的
変位、固有振動数の変化、或いは振幅の変化を利用し、
また、静電気力による作用によってプローブの状態が変
化しないようにプローブ─記録媒体間の距離、プローブ
─記録媒体間のバイアス電圧を制御したときの制御量か
ら、従来の誘導電荷を直接測定する方式を越える細かい
分解能で逆極性の電荷により遮蔽された静電潜像を読み
取ることが可能となる。
【0015】
【実施例】図1は以下の各実施例で説明する記録媒体及
びプローブによる静電潜像読み取りの基本的構成を示す
図である。図1(a)に示すように、記録媒体1は、支
持体1a上に導電層1bを挟み電荷保持層1cが積層さ
れ、電荷保持層1cに記録電荷が形成されている。この
ような構成の記録媒体に限らず、静電荷、誘導電荷、双
極子分極等によって電位分布を有している媒体であれば
本発明における測定対象となり得る。このような記録媒
体1を水等につけるか、湿気の多い環境に配すると、図
1(b)に示すように記録電荷が形成された表面にのみ
逆極性のシールド電荷1eが付着する。このような記録
媒体1に対して、図1(c)に示すように、記録電荷1
dとシール電荷1e間の微小間隔程度、例えば0.1μ
m程にプローブ2を接近させると、プローブ2には記録
電荷とシールド電荷とが作用し、両方の作用力の差に基
づく電荷が誘導されて静電気力が働く。この静電気力に
よる作用を利用して記録媒体1の記録電荷1dの読み取
りを行う。
【0016】〔実施例1〕図2はプローブの機械的変位
から記録媒体の静電潜像を読み取る実施例を示す図であ
る。図中、1は記録媒体、2はプローブ、3はプローブ
固定治具、4は機械的変位測定装置、5はZ方向移動装
置、6はX−Y走査装置、7はZ方向制御装置、8はX
−Y走査制御装置、9は記録処理装置である。記録媒体
1はX−Y面で走査するとともにプローブ2と接近させ
るため、X−Y走査装置6及びZ方向移動装置5の上に
設置される。このとき、記録媒体1がカード状形態のも
のであれば、X−Y走査装置6は圧電素子、電磁モータ
等を駆動源としたX−Yステージ等が利用できる。記録
媒体1がディスク形状であれば、X−Y走査装置6は回
転機構と回転中心方向への移動装置、また、記録媒体1
がドラム等に形成された円筒形状であれば、X−Y走査
装置6は回転機構と回転軸に平行な方向への移動装置と
なる。Z方向移動装置5は圧電素子、電磁モータ等を駆
動源としたZステージが利用できる。
【0017】X−Y走査装置6、Z方向移動装置5はそ
れぞれX−Y走査制御装置8、Z方向制御装置7に接続
されて駆動制御される。なお、X−Y走査装置6とZ方
向移動装置5は、図2に示すように分離されている場合
以外にも、圧電素子等で構成されたX,Y,Z方向に移
動可能な一体化されたものを用いても構わない。
【0018】プローブ2はプローブ固定治具3によって
一端を固定された状態で記録媒体1の近傍に設置され
る。プローブ2の材質、形態は、電界が存在する場にプ
ローブが置かれた際に誘導電荷が誘起され、静電気力に
よる作用で機械的変位が生じるものであれば良い。図3
に導電性を有する金属箔(Ni等)を用いて作成したプ
ローブの一例を示す。金属箔の厚さは10μmであり、
先端部分は測定時の横方向分解能を上げるため先鋭化さ
れている。これ以外に、ワイヤー形状の金属線、強誘電
性を有する材料を用いた針など、電界によって機械的変
位を生じるものであれば本装置のプローブとして利用す
ることができる。
【0019】プローブとして金属など導電性を有する材
料を用いた際には、静電気力による効果を上げるため、
図2に示すようにプローブ2と記録媒体1の導電層1b
を短絡しても良い。また、短絡するかわりに、両者をそ
れぞれアースに接続しても構わない。これにより、導電
層1bに誘起されている記録電荷と逆極性の電荷がプロ
ーブに分配されるので静電気力を増加させることができ
る。図2では、プローブ固定治具3に移動機構は設けら
れていないが、記録媒体1が設置されているX−Y走査
装置6、Z方向移動装置5は、それぞれプローブ固定治
具3に設けても良い。無論、両者に設けられていても構
わない。
【0020】記録媒体1とプローブ2は、Z方向移動装
置5により、両者の相互作用によって静電気力が働く距
離まで接近させる。プローブ2は、一端をプローブ固定
治具3によって固定され、先端部分は記録媒体との相互
作用による静電気力によって力を受けるため撓みなどの
機械的変位を生じる。これを機械的変位測定装置4で検
出する。
【0021】機械的変位検出装置4は、一般にAFM
(原子間力顕微鏡)で用いられる手法などが利用でき
る。すなわち、プローブ2の上部にトンネル電流検出用
の針を設け、プローブ2とトンネル電流検出用の針との
トンネル電流からプローブ2の変位を検知するSTM
(走査型トンネル顕微鏡)の原理を利用した手法、ま
た、プローブ2の上面に任意の一方向からレーザビーム
等の光線を照射し、その反射光の位置的変位を測定する
ことによりプローブ2の変位を知る光てこ法、レーザ光
をプローブ上面に照射し、その反射光との干渉現象より
プローブ2の変位を知る光波干渉法などを用いることが
できる。
【0022】機械的変位検出装置4の出力される変位信
号、及びX−Y走査制御装置8より出力される位置信号
は記録処理装置9に取り込まれる。記録処理装置として
はレコーダ、コンピュータなどが使用される。ここで変
位信号を記録媒体上の電位に換算し、X−Y走査制御装
置8から得られる位置信号に対応させることによって記
録媒体上の任意の位置における静電潜像を読み取ること
ができる。なお、位置信号は、X−Y走査制御装置を利
用せず、プローブと記録媒体の相対的位置を測定する独
立した装置を設け、そこから得られる信号を使用しても
良い。
【0023】任意の位置における測定を行った後、X−
Y走査装置6で記録媒体1を走査する。走査方法として
は、一点を測定後、次の位置へ移動し、停止した後測定
を行う、という間欠的な走査方法と共に、停止させずに
連続して移動している状態で測定を行う方法も可能であ
る。また、実際に移動させるのは、記録媒体、プローブ
のいずれであっても、またその両方であっても構わな
い。以上、プローブの機械的変位を検出する例について
述べてきたが、記録媒体の形状、走査方向などによっ
て、本発明の主旨を変えない範囲で別の構成も可能であ
る。
【0024】〔実施例2〕図4はプローブを振動させ、
その振幅から電位分布を測定する実施例を示す図で、基
本構成は〔実施例1〕と同じであり、これに振動励起装
置10と振幅測定装置11が加えられている。振動励起
装置10は、プローブ2をその固有振動数で振動させる
ためのものである。振動させる手段としては圧電素子等
をプローブ2、あるいはプローブ固定治具3に接続し、
圧電素子に固有振動数に相当する周波数で圧電パルスを
加えることによって振動させる。また、レーザビーム、
発熱素子等でプローブの一部に固有振動数に相当する周
波数で熱パルスを加え、周波数に熱膨張を生じさせて振
動させる方法などがある。
【0025】Z方向移動装置5によって、記録媒体1と
振動状態にあるプローブ2を接近させる。プローブ2を
静電気力が働く距離まで近づけたとき、プローブの振動
状態は静電気力によって変化し、振幅が変わる。これら
の変化は機械的変位検出装置4によって検知され、振幅
測定装置11を経由し、振幅信号として記録処理装置9
に取り込まれる。振幅測定装置11は、例えば、入力さ
れた信号の交流成分を検出するような回路で構成されて
いるものである。記録処理装置9において入力された振
幅信号を記録媒体上の電位に換算することで静電潜像の
読み取りが可能となる。以上、述べた以外は〔実施例
1〕の場合と同じである。
【0026】〔実施例3〕図5はプローブを振動させ、
その固有振動数から電位分布を測定する実施例を示す図
で、基本構成は〔実施例2〕と同じであり、〔実施例
2〕の振幅測定装置のかわりに固有振動数測定装置12
が加えられている。Z方向移動装置5によって、記録媒
体1と振動状態にあるプローブ2を接近させ、プローブ
2に静電気力が働く距離まで近づけたとき、プローブの
固有振動数は静電気力の強さに応じて変化する。これを
固有振動数測定装置12によって測定する。手法として
は、例えば機械的変位測定装置4によって振動状態をモ
ニタしながら、振動励起装置10でプローブを振動させ
る周波数を走査し、最大振幅が得られる周波数を選択す
ることで固有振動数を決定する方法などがある。固有振
動数測定装置12で得られた固有振動数の情報は、記録
処理装置9に伝達される。記録処理装置9において入力
された信号を記録媒体上の電位に換算することで静電潜
像の読み取りが可能となる。以上、述べた以外は〔実施
例1〕の場合と同じである。
【0027】〔実施例4〕図6は機械的変位を検出し、
その値が一定値を保つように記録媒体─プローブ間の間
隔を制御し、その制御量から電位分布を測定する実施例
を示す図で、基本構成は〔実施例1〕と同じであるが、
機械的変位検出装置4の信号がZ方向制御装置7に入
り、Z方向制御装置7の制御信号が記録処理装置9に取
り込まれる構成になっている。プローブ2と記録媒体1
との相互作用による静電気力によって、プローブ2は機
械的変位を生じるが、この変位量は、プローブと記録媒
体間の間隔を変えることによっても変化する。すなわ
ち、記録媒体上の電位が同じであっても、プローブとの
間隔によって働く静電気力の大きさが異なるからであ
る。
【0028】Z方向制御装置7では、初期に設定した変
位量と異なる値が機械的変位検出装置4より入力された
場合、初期に設定した変位量になるように、Z方向移動
装置5によってプローブ─記録媒体間の間隔を制御す
る。この制御量は、プローブ─記録媒体間に働く静電気
量に対応する。このとき移動させるものは、記録媒体、
またはプローブ、あるいはその両方であっても構わな
い。そして、制御量信号は記録処理装置9に送られ、こ
こで記録媒体上の電位に換算される。以上、述べた以外
は〔実施例1〕の場合と同じである。
【0029】〔実施例5〕図7はプローブを振動させ、
その振幅を一定に保つようにプローブ─記録媒体間の間
隔を制御することによって電位分布を測定する実施例を
示す図であり、基本構成は〔実施例2〕の場合と同じで
あるが、振幅測定装置11の出力信号がZ方向制御装置
7に入り、その制御信号が記録装置9に取り込まれるよ
うになっている。
【0030】プローブ2と記録媒体1との相互作用によ
る静電気力によって、プローブの振動状態は変化して振
幅が変わるが、この振幅変化量はプローブと記録媒体間
の間隔を変えることによっても変化する。すなわち、記
録媒体上の電位が同じであっても、プローブとの間隔に
よって働く静電気力の大きさが異なるからである。
【0031】Z方向制御装置7では、初期に設定した振
動の振幅と異なる振幅が振幅測定装置11より入力した
場合、初期に設定した振幅となるように、Z方向移動装
置5によってプローブ─記録媒体間の間隔を制御する。
この制御量は、プローブ─記録媒体間に働く静電気量に
対応する。このとき移動させるものは、記録媒体、また
はプローブ、あるいはその両方であっても構わない。そ
して、制御量信号は記録処理装置9に送られ、ここで記
録媒体上の電位に換算される。以上、述べた以外は〔実
施例1〕の場合と同じである。
【0032】〔実施例6〕図8はプローブを振動させ、
その固有振動数を一定に保つようにプローブ─記録媒体
間の間隔を制御することによって電位分布を測定する実
施例を示す図で、基本構成は〔実施例3〕の場合と同じ
であるが、固有振動数測定装置12の出力信号がZ方向
制御装置7に入り、その制御信号が記録装置9に取り込
まれるようになっている。プローブ2と記録媒体1との
相互作用による静電気力によって、プローブの固有振動
数は変わるが、この変化量はプローブと記録媒体間の間
隔を変えることによっても変化する。すなわち、記録媒
体上の電位が同じであっても、プローブとの間隔によっ
て働く静電気力の大きさが異なるからである。
【0033】Z方向制御装置7では、初期に設定した固
有振動数と異なる振動数が固有振動数測定装置12より
入力した場合、初期に設定した振動数となるように、Z
方向移動装置5によってプローブ─記録媒体間の間隔を
制御する。この制御量は、プローブ─記録媒体間に働く
静電気量に対応する。このとき移動させるものは、記録
媒体、またはプローブ、あるいはその両方であっても構
わない。そして、制御量信号は記録処理装置9に送ら
れ、ここで記録媒体上の電位に換算される。以上、述べ
た以外は〔実施例1〕の場合と同じである。
【0034】〔実施例7〕図9は機械的変位を検出し、
その値を一定値に保つように記録媒体─プローブ間のバ
イアス電圧を制御し、その制御量から電位分布を測定す
る実施例を示す図で、基本構成は〔実施例1〕と同じで
あるが、機械的変位検出装置4の信号がバイアス電圧制
御装置13に入り、バイアス電圧制御装置13の制御信
号が記録処理装置9に取り込まれ、プローブ2と記録媒
体1の誘電層1bの間にバイアス電圧が印加される構成
になっている。
【0035】プローブ2と記録媒体1との相互作用によ
る静電気力によってプローブ2は機械的変位を生じる
が、この変位量はプローブと記録媒体の間にバイアス電
圧を印加することによっても変化する。すなわち、記録
媒体上の電位が同じであっても、外部バイアス電圧によ
って、プローブに働く静電気力の大きさが異なるからで
ある。
【0036】バイアス電圧制御装置13では、初期に設
定した変位量と異なる値が機械的変位検出装置4より入
力された場合、初期に設定した変位量になるように、プ
ローブ─記録媒体間のバイアス電圧を制御する。この制
御量は記録媒体上の電位に対応する。制御量信号は記録
処理装置9に送られ、ここで記録媒体上の電位に換算さ
れる。以上述べた以外は〔実施例1〕と場合と同じであ
る。
【0037】〔実施例8〕図10はプローブを振動さ
せ、その振幅を一定に保つようにプローブ─記録媒体間
のバイアス電圧を制御することによって電位分布を測定
する実施例を示す図で、基本構成は〔実施例2〕の場合
と同じであるが、振幅測定装置11の出力信号がバイア
ス電圧制御装置13に入り、その制御信号が記録処理装
置9に取り込まれ、プローブ2と記録媒体1の誘電層1
bの間にバイアス電圧が印加できるようになっている点
である。
【0038】プローブ2と記録媒体1との相互作用によ
る静電気力によって、プローブの振動状態は変化して振
幅が変わるが、この振幅変化はプローブと記録媒体の間
にバイアス電圧を印加することによっても変化する。す
なわち、記録媒体上の電位が同じであっても、外部バイ
アス電圧によって、プローブに働く静電気力の大きさが
異なるからである。
【0039】バイアス電圧制御装置13では、初期に設
定した振幅と異なる振幅が振幅測定装置11より入力さ
れた場合、初期に設定した振幅となるように、プローブ
─記録媒体間のバイアス電圧を制御する。この制御量は
記録媒体上の電位に対応する。制御量信号は記録処理装
置9に送られ、ここで記録媒体上の電位に換算される。
以上述べた以外は〔実施例1〕と場合と同じである。
【0040】〔実施例9〕図11はプローブを振動さ
せ、その固有振動数を一定に保つようにプローブ─記録
媒体間のバイアス電圧を制御することによって電位分布
を測定する実施例を示す図で、基本構成は〔実施例3〕
の場合と同じであるが、固有振動数測定装置12の出力
信号がバイアス電圧制御装置13に入り、その制御信号
が記録処理装置9に取り込まれ、プローブ2と記録媒体
1の誘電層1bの間にバイアス電圧が印加できるように
なっている。
【0041】プローブ2と記録媒体1との相互作用によ
る静電気力によって、プローブの固有振動数は変化する
が、この振動数の変化はプローブと記録媒体の間にバイ
アス電圧を印加することによっても変化する。すなわ
ち、記録媒体上の電位が同じであっても、外部バイアス
電圧によって、プローブに働く静電気力の大きさが異な
るからである。
【0042】バイアス電圧制御装置13では、初期に設
定した固有振動数と異なる振動数が固有振動数測定装置
12より入力された場合、初期に設定した固有振動数と
なるように、プローブ─記録媒体間のバイアス電圧を制
御する。この制御量は記録媒体上の電位に対応する。制
御量信号は記録処理装置9に送られ、ここで記録媒体上
の電位に換算される。以上述べた以外は〔実施例1〕と
場合と同じである。
【0043】次に、図8で説明した実施例5に基づいて
測定した例について説明する。図8の具体的システム構
成は図12に示す通りである。記録媒体1に相当するサ
ンプル21としては、絶縁層/ITO/ガラスの層構成
とし、絶縁層はFEP(Fluoro Ethylene propylene )
フィルムを使用し、電位約−80Vの静電潜像(20μ
m幅のライン&スペース)を形成した。サンプル21
は、電源27で駆動制御されるピエゾアクチュエータ2
5でZ方向に、X−Yコントローラ28で駆動されるX
−Yステージ26でX−Y方向に走査し、プローブを構
成するカンチレバー22に対してファンクション・ジェ
ネレータ31で駆動されるレーザダイオード(830n
m)から熱パルスを与えて振動させた。振動の検出は光
てこ法を使用し、レーザダイオード24a(670n
m)を照射し、その反射光をPSD24bで検出した。
検出出力はロックインアンプ32で位相検波し、検波出
力でアンプ33を通して電源27よりピエゾアクチュエ
ータ25を駆動し、間隔制御してカンチレバーの振幅が
一定になるように制御した。このときのアンプ33の出
力、X−Yコントローラ28から得られる位置情報をコ
ンピュータ29に入力してプロットしたところ、図13
に示すような結果が得られた。図13はX300μm、
Y150μmの領域の静電潜像(電位分布)を示してい
る。
【0044】
【発明の効果】以上のように、静電潜像上に潜像電荷と
逆極性の電荷が付着された状態で高分解能で静電潜像読
み取りが可能となる。本発明は、記録媒体とプローブと
の静電気力を利用するものであり、静電荷量分布、誘導
電荷分布、分極状態分布、誘電率分布などの記録媒体外
部の電場を変化させるものであれば測定可能である。
【0045】また、上記の現象をメモリとして利用した
記録システムの読み出し装置としても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の記録媒体及びプローブによる静電潜
像読み取りの基本的構成を示す図である。
【図2】 機械的変位より静電潜像の読み取りを行う実
施例を説明する図である。
【図3】 プローブの一例を示す図である。
【図4】 振動振幅より静電潜像の読み取りを行う実施
例を説明する図である。
【図5】 固有振動数より静電潜像の読み取りを行う実
施例を説明する図である。
【図6】 機械的変位を一定に保つためのプローブ─記
録媒体間の間隔制御量から静電潜像の読み取りを行う実
施例を示す図である。
【図7】 振動振幅を一定に保つためのプローブ─記録
媒体間の間隔制御量から静電潜像の読み取りを行う実施
例を示す図である。
【図8】 固有振動数を一定に保つためのプローブ─記
録媒体間の間隔制御量から静電潜像の読み取りを行う実
施例を示す図である。
【図9】 機械的変位を一定に保つためのバイアス電圧
制御量より静電潜像の読み取りを行う実施例を示す図で
ある。
【図10】 振動振幅を一定に保つためのバイアス電圧
制御量より静電潜像の読み取りを行う実施例を示す図で
ある。
【図11】 固有振動数を一定に保つためのバイアス電
圧制御量より静電潜像の読み取りを行う実施例を示す図
である。
【図12】 図8の具体的システム構成を示す図であ
る。
【図13】 既提案の静電潜像読み取り方法を説明する
図である。
【符号の説明】
1…記録媒体、1a…支持体、b…誘電層、1c…電荷
保持層、2…プローブ、3…プローブ固定治具、4…機
械的変位検出装置、5…Z方向移動装置、6…X−Y走
査装置、7…Z方向制御装置、8…X−Y走査制御装
置、9…記録処理装置、10…振動励起装置、11…振
幅測定装置、12…固有振動数測定装置、13…バイア
ス電圧制御装置。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録媒体に形成された静電潜像上に潜像
    電荷と逆極性の電荷が付着された静電潜像の読み取り装
    置であって、電位検出用プローブと記録媒体との相対的
    位置関係を3次元的に変える移動手段と、プローブと記
    録媒体上の電荷との間に働く静電気力の作用を検知する
    検知手段と、プローブ─記録媒体間にバイアス電圧を印
    加するとともに、プローブに働く静電気力の作用を一定
    に保つようにバイアス電圧を制御するバイアス電圧制御
    手段を備え、前記移動手段により静電潜像電荷と前記逆
    極性の電荷間の距離近傍までプローブと記録媒体とを接
    近させ、記録媒体あるいはプローブを2次元的に走査し
    てプローブに働く静電気力の作用を検知するとともに、
    バイアス電圧制御手段による制御量より静電潜像を読み
    取ることを特徴とする静電潜像読み取り装置。
  2. 【請求項2】 請求項記載の装置において、前記バイ
    アス電圧制御手段は、プローブの機械的変位を一定に保
    つようにプローブ─記録媒体間のバイアス電圧を制御す
    ることを特徴とする静電潜像読み取り装置。
  3. 【請求項3】 請求項記載の装置において、さらにプ
    ローブをその固有振動数で振動させる振動励起手段を備
    え、前記バイアス電圧制御手段は、プローブの振動振幅
    を一定に保つようにプローブ─記録媒体間のバイアス電
    圧を制御することを特徴とする静電潜像読み取り装置。
  4. 【請求項4】 請求項記載の装置において、さらにプ
    ローブをその固有振動数で振動させる振動励起手段を備
    え、前記バイアス電圧制御手段は、プローブの固有の振
    動数を一定に保つようにプローブ─記録媒体間のバイア
    ス電圧を制御することを特徴とする静電潜像読み取り装
    置。
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