JP3275556B2 - 浮揚溶解装置とその運転方法 - Google Patents

浮揚溶解装置とその運転方法

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JP3275556B2
JP3275556B2 JP20942794A JP20942794A JP3275556B2 JP 3275556 B2 JP3275556 B2 JP 3275556B2 JP 20942794 A JP20942794 A JP 20942794A JP 20942794 A JP20942794 A JP 20942794A JP 3275556 B2 JP3275556 B2 JP 3275556B2
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満 藤田
達男 武
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、導電性の被溶解材を
交番磁界中に置いて電磁誘導作用によって誘導加熱する
とともに、磁界を所定の分布にして被溶解材に電磁力に
よる浮揚力を与えて浮揚状態で溶解することによって高
純度の材料を得ることのできる浮揚溶解装置とその運転
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】浮揚溶解装置は、所定の分布になるよう
に生成された交番磁界中に溶解される材料を置き、誘導
加熱と電磁力による浮揚力の双方を同時に与えて材料が
浮いてるつぼなど他の物に接触しない状態で溶解させて
所定の材質と寸法の製品を得る装置である。溶解時に他
の物と接触しないために異物の混入が極めて少ないこ
と、融点の高い材料でも溶解が可能であること、熱伝導
損失が小さい、などの特長があることから、高融点でし
かも高純度が要求される材料、例えば、チタニウム、シ
リコンなどの溶解処理に用いられる。
【0003】図8は浮揚溶解装置の運転状態の全体を示
す縦断面斜視図、図9は図8の初期状態の要部を示す縦
断面斜視図であり、これらの図は特願平4-140811号に示
されているものである。これらの図において、浮揚溶解
装置は、上るつぼ11と下るつぼ12からなるるつぼ1、そ
の外径側に周回して設けられた誘導コイル2、るつぼ1
の上部の開口部から被溶解材5になる小片53を連続的に
投入する連続投入装置3、これを制御する制御装置31及
びこれの制御情報を得るための湯面温度計32、下るつぼ
12を上下方向に駆動する第1の駆動装置4、これを制御
する第1の制御装置41、これの制御情報を得るための湯
面レベル計42などからなっている。駆動装置4や制御装
置41を第1と名付けたのはこの発明において第2の駆動
装置と制御装置を付加するためにこれらを区別するため
に付けたものである。
【0004】誘導コイル2は誘導コイル21,22 からなっ
ていてこれらをそれぞれ励磁するための交流電源23,24
が設けられ、連続投入装置3には小片53をあらかじめ加
熱するための交流電源34で励磁される誘導コイル33が設
けられている。誘導コイル2を2つに分けてそれぞれ異
なる交流電源23,24 で励磁するのは、主に上側の誘導コ
イル21で誘導加熱を、下側の誘導コイル22で浮揚力を、
それぞれ分担して効率よく与えることができるようにす
る場合に採用されるもので、その場合には、誘導コイル
22の方を誘導コイル21に比べて低い周波数で励磁するの
が普通である。ただ、この発明においてはこれら2つの
誘導コイル21,22を区別する必要がないので以下の記載
ではまとめて誘導コイル2として取り扱う。
【0005】上るつぼ11、下るつぼ12はいずれも図示の
ように所定の形状を持つ複数のセグメント111,121 がマ
イカなどの絶縁材を挟んで図示のように上下のるつぼを
合わせたるつぼ1の形状は略底のある円柱状に形成され
るもので、それぞれのセグメント111,121は銅製で内部
に図示しない冷却孔が設けられていて冷却水によって冷
却される構造になっている。
【0006】図8は溶解過程の最終段階に近い状態を示
し、図9は初期の状態を示すもので、初期には小さな被
溶解材5が浮揚した状態になったものが、以下に詳しく
説明する過程で被溶解材5が成長して長くなった状態を
示したのが図8である。実際に被溶解材5が溶解されて
所定の製品が得られる過程を次に説明する。 図9に示すように、最初に小量の被溶解材5を入れて
誘導コイル2を励磁する。これによって、誘導コイル2
の内側空間に交流磁界が発生し電磁誘導作用によってそ
れぞれのセグメント111,121 及び被溶解材5に渦電流が
流れる。るつぼ1内の磁束はるつぼ1の内面に沿った分
布をするが、下るつぼ12のセグメント121が図示のよう
に下に絞られた形状をしているので被溶解材5がある底
部近傍の磁束分布は下から上に向かって開いた分布にな
る。渦電流によって被溶解材5は加熱されるが、一方、
前述のような磁束分布と渦電流の相互作用から詳しい説
明は省略するが被溶解材5には重力に逆らう上向きの電
磁力が働く。図のような下るつぼ12の底部の形状は浮揚
力を発生させるに適した磁束分布が得られるように設定
されているのである。 電磁力は誘導コイル2が励磁されると同時に働き僅か
の時間遅れで被溶解材5は浮揚し重力と電磁力が釣り合
う位置で停止する。一方、被溶解材5の融点は高いので
溶解までに時間がかかり、融点に達した時点ではすでに
浮揚した状態になっている。したがって被溶解材5は何
にも接触していないので不純物が混入することがない。 連続投入装置3によって被溶解材5の小片53を投入す
る。小片53は誘導コイル33による電磁誘導加熱によって
加熱されて融点には達しないが高温になっており、被溶
解材5と接触して熱伝導によって融点以上に加熱されて
溶解し被溶解材5と文字通り一体になる。小片53が連続
して投入されるにつれて被溶解材5は大きくなって成長
してゆく。小片53の投入は湯面温度計32が所定の値以上
のときに行い、以下になったときには停止するというよ
うに適宜投入頻度が制御される。 被溶解材5の浮揚力は重量の増加ほどには増加しない
ので被溶解材5の成長とともに浮揚位置が下がってゆき
ついに被溶解材5の下部が下るつぼ12の底部に接触す
る。前述のように下るつぼ12は冷却されて常温近くの低
温に保持されているので接触部はただちに固化する。こ
のようにして固化部52が先ず生成され以後は被溶解材5
の成長とともに固化部52も成長する。溶解部51は常に被
溶解材5の上先端部に存在し、この溶解部51に小片53が
投入される。溶解部51は固化部52の上にあるのでるつ
ぼ1と接触することがないので、不純物が混入しない条
件のまま被溶解材5は大きく成長することができる。 被溶解材5がある程度成長したところで下るつぼ12を
下に向けて移動させて溶解部51が上るつぼ11及び誘導
コイル2に対して一定の位置を保持するように制御され
る。この制御は湯面レベル計42によって被溶解材5の上
面位置を計測しその結果を第1の制御装置41に入力しこ
れに基づいて第1の駆動装置4によって下るつぼ12が駆
動される。 被溶解材5が所定の長さになったところで下るつぼ12
の駆動、小片53の投入、及び誘導コイル2の励磁を止め
ると、図8のように棒状に成長した被溶解材5は全体が
固化するのでこれを取り出して所望の製品が得られる。
この製品の大きさ、特にその長さは下るつぼ12の移動距
離によって決まるので、この浮揚溶解装置はるつぼ1の
容積に比べてはるかに大きな製品を得ることができると
いう特長を持つものである。
【0007】なお、図8では被溶解材5の固化部52と
るつぼ1の内面との間にかなりの隙間があるものとして
図示してあるが、前述の説明からも分かるように固化部
52とるつぼ1の内面との間の隙間は実質的に無しか僅か
なのが実際である。また、溶解部51に凸凹があるように
図示してあるが、これは小片53が溶解部51に入った瞬
間や溶解部が振動して変形するなどの実際の現象を示し
たものであり、小片53の投入の影響がなくなったときの
溶解部51の形状は後述のように軸対称性の安定した形状
を保つのが実際である。
【0008】なお、誘導コイル2の電流は数千アンペア
と非常に大きくしかも周波数は数kHz と高いのでその
導体やリードの断面積が大きいことから誘導コイル2の
上下方向を移動させるのは困難である反面、上るつぼ11
や下るつぼ12は冷却水用の配管がつながるとはいえ、移
動させるのは誘導コイル2に比べてはるかに容易なの
で、実際に採用される構造も誘導コイル2は固定してお
き下るつぼ12を移動可能にされるのが実際である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図9におけ
る上るつぼ11と下るつぼ12とが接する位置は適切に設定
する必要がある。前述のように誘導コイル2は非常に大
きな電流と所定の強度の磁界を発生されるための大きな
アンペアターンを発生させる必要があるので、その軸方
向寸法をなるべく大きく取りたいという要請がある。し
たがって、誘導コイル2の高さ寸法を一定とすると、る
つぼ1の上下が接する位置が誘導コイル2の下面よりも
上にあるために、誘導コイル2の下部が上るつぼ11から
下にはみ出すことになる。このような状態では、図8に
示すように下るつぼ12が下に移動して固化部52にはるつ
ぼ1の内面に接しない部分ができ、その上るつぼ11の近
くの部分が外部から侵入する磁束によって再度溶解して
また固化するという現象が生ずることがあり、被溶解材
5の成長に支障が生ずるという問題が生ずる。また、誘
導コイル2の上るつぼ11からはみ出した部分が高温の被
溶解材5からのふく射熱にさらされて温度が上がり絶縁
材の劣化が促進して寿命が短くなるという問題も生ず
る。したがって、このような問題が生じないようにする
ためには誘導コイル2の下面は上るつぼ11の下面よりも
上に設定しなければならない。このことは、上るつぼ11
と下るつぼ12とが接する面の位置を下の方に設定するこ
とになる。図9のように被溶解材5が浮揚している状態
のときに上るつぼ11と下るつぼ12とが接する面が浮揚状
態にある被溶解材5に近い位置になる。その結果、上る
つぼ11と下るつぼ12が接する面から侵入する磁束が被溶
解材5に影響を与えて接近面に近い部分の被溶解材5が
電磁力によって凹み、形がひょうたん形に変形するなど
不安定な状態になるという問題が生ずる。実際に、これ
ら双方の問題が生じない下るつぼ12と誘導コイル2との
位置関係を適切に設定することが困難な場合がある。
【0010】被溶解材5が前述のチタニウムやジルコニ
ウムの場合、これらは特に活性の高い物質なので空気中
で溶解すると不純物が混入したり酸化皮膜が生じて純度
が低下するという問題が生ずる。したがって、このよう
な材料の場合には真空容器の中に浮揚溶解装置を封入し
て真空中で溶解工程を行う方式が採用される。しかし、
浮揚溶解装置は前述のようにるつぼ1や誘導コイル2を
強力に冷却するための冷却水管や誘導コイル2に電流を
供給するリードなどが外部と接続されなければならず、
これらは真空容器を貫通して内部に接続する必要があ
り、構成が複雑になって高価な装置になるという問題が
ある。
【0011】この発明の目的は、このような問題を解決
して、装置運転の全期間において安定した運転が可能で
しかも安価に品質のよい製品を得ることのできる浮揚溶
解装置とその運転方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
にこの発明によれば、所定の断面形状を持つ良導電金属
製のセグメントの複数個が絶縁材を介して密に配置され
てなり上るつぼと下るつぼとに所定の水平面で分割され
たるつぼ、るつぼの外径側に設けられた誘導コイル、誘
導コイルに電流を供給する交流電源、るつぼの上部から
導電性の被溶解材の小片を連続的にるつぼ内に投入する
連続投入装置が備えられてなる浮揚溶解装置において、
被溶解部材の溶解部位置に対して誘導コイルが適正な位
置になるように上るつぼと誘導コイルとの上下方向の相
対位置を変える第2の駆動装置およびこれを制御する第
2の制御装置と、溶解部が上るつぼ内の上限に達したら
上るつぼと誘導コイルとの相対位置を固定し、被溶解部
材の成長に応じて下るつぼと上るつぼとの上下方向の相
対位置を変える第1の駆動装置およびこれを制御する第
1の制御装置とが備えられてなるものとする。また、上
るつぼの内面が下に所定の角度で開く円錐形であるもの
とする。また、上るつぼを回転させる上るつぼ回転装置
を設け、少なくとも被溶解材が成長しかつ上るつぼの内
面に接している期間、上るつぼを回転させるものとす
る。また、下るつぼの上部内径部に少なくとも1つの切
欠部を設けてなるものとする。
【0013】また、上るつぼの上部を覆い不活性ガスを
内部に流入させるガス管が設けられた上ガス導入器と、
るつぼと誘導コイルとの間にこれに同軸に設けられた内
径側にガス流出孔を備えた中空筒部とこの中空筒部の内
部に不活性ガスを流入させるガス管とからなる横ガス導
入器とが設けられてなるものとする。また、溶解部の頂
点近傍の複数の上下方向位置を計測する湯面レベル計、
湯面レベル計の出力信号が入力されて溶解部の頂点の曲
率半径を求める曲率半径演算手段、曲率半径演算手段の
出力信号を基に誘導コイルと上るつぼとの相対位置を適
正に保つよう第2の駆動装置を制御する制御手段を備え
てなり、制御手段が溶解部頂点の曲率半径が所定の値に
一致する制御を行うものとする。
【0014】また、これらの浮揚溶解装置を、次の順序
で運転するものとする。 イ)上るつぼと下るつぼとが接近し誘導コイルが下るつ
ぼの外径側に配置されている状態で少量の被溶解材をる
つぼ内に入れ誘導コイルを励磁する。 ロ)るつぼの上部より被溶解材の小片を連続的に投入す
る。 ハ)小片の投入によって被溶解材が成長してその高さが
高くなるのに合わせて相対的に誘導コイルの位置を移動
し、被溶解材の上先端部の溶解部位置に対して誘導コイ
ルが適正な位置になるよう維持する。 ニ)溶解部が成長して上るつぼ内の上限に達したら上る
つぼと誘導コイルの位置を固定し下るつぼだけを下部に
移動して、上るつぼと誘導コイルを溶解部位置に対して
適正な位置に維持する。 ホ)下るつぼの移動距離が所定の値になったところで下
るつぼを止めるとともに誘導コイルによる励磁を停止す
る。 ヘ)製品としての棒状の被溶解材を取り出す。
【0015】
【作用】この発明の構成において、下るつぼだけを移動
させる第1の駆動装置とその制御を行う第1の制御装置
の他に、上るつぼと誘導コイルとの上下方向の相対位置
を変える第2の駆動装置とその制御を行う第2の装置を
設けることによって、上るつぼ、下るつぼ及び誘導コイ
ルのそれぞれの相対位置を自在に変えることができる。
したがって、小片が連続的に投入されることによって成
長する被溶解材の上先端部の溶解部の位置に合わせて、
誘導コイル、上るつぼ及び下るつぼの相対位置を運転の
初期から最終段階の全運転期間にわたって適切に設定す
ることができる。
【0016】また、上るつぼの内面を所定の角度で下に
開く円錐形にすることによって、上るつぼ内で溶解部の
表面の下端部の上るつぼ内面に接触し固化部に変わる部
分の径寸法はそれより下の上るつぼの内径よりも小さく
なるので上るつぼと固化部との間に隙間ができて固化部
が下るつぼとともに下に移動するときの摩擦抵抗がはる
かに小さくなる。
【0017】また、上るつぼを回転させる上るつぼ回転
装置を設け、被溶解材が成長しかつ上るつぼの内面に接
している期間、上るつぼを回転させることによって、上
るつぼと固化部の接触部は常に移動するので上下方向の
移動に対してもその摩擦抵抗は動摩擦抵抗になるので回
転させない場合が静止摩擦であるのに比べて下るつぼと
ともに被溶解材の下方向への移動が円滑になる。
【0018】また、前述の上るつぼに回転装置を設ける
場合に、下るつぼの上端内径部に少なくとも1つの切欠
部を設けることによって、被溶解材の成長の過程で溶解
部が切欠部を通過するときに固化部が切欠部に侵入して
回転に対する抵抗が非常に大きくなるので、上るつぼで
湯差しが生じて回転力に対する上るつぼと被溶解材との
間の摩擦抵抗が増大したときでも下るつぼと被溶解材と
が滑って回転してしまうことがなくなる。
【0019】また、上るつぼの上部を覆い不活性ガスを
内部に流入させるガス管を設けた上ガス導入器と、るつ
ぼと誘導コイルとの間にこれに同軸に設けた内径側にガ
ス流出孔を備えた中空筒部とこの中空筒部の内部に不活
性ガスを流入させるガス管とからなる横ガス導入器とを
設けて、溶解工程中にこれらのガス導入器に外部から不
活性ガスを流入させると、被溶解部の表面は不活性ガス
に覆われる。
【0020】また、溶解部の頂点近傍の複数の上下方向
位置を湯面レベル計で計測し、その結果としての出力信
号を曲率半径演算手段に入力して溶解部の頂点の曲率半
径を求め、その出力信号が所定の値に一致するように誘
導コイルと上るつぼとの上下方向相対位置を制御するこ
とによって、溶解部の形状を最適に維持して最高効率が
得られる条件を維持することができる。
【0021】また、これらの浮揚溶解装置の運転を次の
順序で行うことによってそれぞれ次のような作用が生ず
る。 イ)上るつぼと下るつぼとが接近し誘導コイルが下るつ
ぼの外径側に配置されている状態で少量の被溶解材をる
つぼ内に入れ誘導コイルを励磁する。これによって、被
溶解材は誘導加熱されて温度上昇するとともに、るつぼ
内の磁束分布に応じて被溶解材に上向きの電磁力が働い
て重力に打ち勝って浮揚し一定位置に停止する。誘導コ
イルは被溶解材が入っている下るつぼの外径側にあるの
で誘導加熱と浮揚力の付加とが効率よく行われる。 ロ)るつぼの上部より被溶解材の小片を連続的に投入す
る。小片は溶解状態の被溶解材に混入して温度が上がり
溶解して一体化し、被溶解材は大きくなる。浮揚力は重
量の増加ほどに増加しないので成長とともに被溶解材の
浮揚位置が低下し、ついにるつぼ底部と接触して局部的
に冷却されて固化する。更に被溶解材の成長とともに固
化部が成長しその上先端部だけが溶解した溶解部を形成
する。 ハ)小片の投入によって被溶解材が更に成長してその高
さが高くなるのに合わせて相対的に誘導コイルを移動し
て、被溶解材の上先端部の溶解部位置に対して誘導コイ
ルが適正な位置になるように維持する。これによって溶
解部の移動に係わらず安定した被溶解材の成長が維持さ
れる。 ニ)溶解部が上るつぼ内の上限に達したら上るつぼと誘
導コイルとの相対位置を固定し、これらと溶解部位置と
の位置関係が一定になるように固化部の成長に応じて下
るつぼを下部に移動する。これによって、前項と同様に
被溶解材が安定して成長する。 ホ)下るつぼの移動距離が所定の値になったところで小
片の投入及び誘導コイルによる励磁を停止すると、被溶
解材が加熱されなくなり冷却されるだけになるので溶解
部も固化し棒状の製品が得られる。 ヘ)製品としての被溶解材を取り出して運転を停止す
る。
【0022】
【実施例】以下この発明を実施例に基づいて説明する。
図1はこの発明の実施例を示す浮揚溶解装置が運転中の
4つの状態を示す簡略化した浮揚溶解装置の断面斜視図
である。図1(a) は運転の初期状態を示すもので少量の
被溶解材3が浮揚して溶解している状態である。
【0023】図1(b) は連続投入装置3によって小片53
が上部から投入されて被溶解材5が大分大きくなって下
るつぼ12の底に接触して固化部が形成され始めている。
被溶解材5はまだ下るつぼ12内にあり固化部も図示でき
ない程度に僅かである状態を示す。図1(a) から図1
(b) に移行する間は上るつぼ11と下るつぼ12とは接近し
た状態で相対位置は固定されている。誘導コイル2も概
ね図示の位置にあるが、殆どが溶解状態にある被溶解材
5の平均位置は上に移動するのでこれに伴って誘導コイ
ル2も移動させることもある。被溶解材5の誘導加熱と
浮揚電磁力を与えるためには下るつぼ12の外径側だけに
あってよいので下るつぼ12の高さ寸法と誘導コイル2の
それとはおおよそ同じ寸法に設定されている。
【0024】図1(c) は更に被溶解材5が成長して溶解
部51が上るつぼ11の中にある状態である。誘導コイル2
は溶解部51の上への移動に伴って相対位置を移動させて
いる。実際には数千アンペアの大電流が流れる誘導コイ
ル2とそのリードを自在に上下移動させるのは困難なの
で上るつぼ11と下るつぼ12とを一緒に下方向に移動させ
たのである。勿論、この図に示さない連続投入装置3も
一緒に移動させる。溶解部51の下には固化部52が大きく
成長している。
【0025】図1(d) は溶解部51が上限位置に達したの
で以後は被溶解材5の成長に伴って下るつぼ12だけを下
方向に移動させた状態を示したものである。下るつぼ12
を所定の寸法だけ下方向に移動させたところで実質的な
溶解工程は終了する。下るつぼ12が上るつぼ11から離れ
た後でも誘導コイル2が上るつぼ11の下端部からはみ出
さないよう上るつぼ11の高さ寸法は充分大きい値になっ
ている。なお、上るつぼ11の上部は溶解工程に関係しな
い部分であるが、上るつぼ11を移動したり後述のように
回転させたりするための構造に利用されるので図に示す
程度の寸法にこだわる必要はない。
【0026】前述の説明から明らかなように従来の図
8、図9の浮揚溶解装置との大きな違いは、下るつぼ12
だけではなく上るつぼ11をも誘導コイル2に対して移動
可能にしたことである。誘導コイル2の寸法、いいかえ
ればその電流と巻数はるつぼ1の内径によって大きく依
存し、るつぼ1の高さ寸法に余り影響しない。したがっ
て、るつぼ1の内径を決め、誘導コイル2の諸元を決
め、これに基づいて下るつぼ12、上るつぼ11の高さ寸
法を決めることになる。このとき、図1(d) のように下
るつぼ12が上るつぼ11から離れた状態のときに誘導コイ
ル2が上るつぼ11から出っ張らないようにするために、
前述のように誘導コイル2の高さ寸法に対して上るつぼ
11の高さ寸法を大きく設定し、図1(a) の状態のときに
は下るつぼ12の高さが被溶解材5が浮揚している位置よ
りも充分高い位置に設定することも容易に可能である。
【0027】図1(b) から図1(c) に移行する過程で、
溶解部51は上るつぼ11と下るつぼ12との接近面の近くを
通過することになり、そのために溶解部51が不安定にな
るが、このときには溶解部51は浮揚してはいず固化部52
が発達して機械的に安定しているので大きな影響はな
い。以上、下るつぼ12だけでなく上るつぼ11をも誘導コ
イルに対して移動可能にした浮揚溶解装置の実施例を説
明してきたが、この実施例の装置においては、図8で示
される浮揚溶解装置におけるような誘導コイル2の上る
つぼ11からはみ出した部分が被溶解材5の溶解部51並び
に固化部52からのふく射熱にさらされることがないよう
に、溶解部51が成長して上るつぼ11内で誘導コイル2の
上端位置に達するまでは上るつぼ11と下るつぼ12とを一
緒に誘導コイル2に対して移動させ、溶解部51が上るつ
ぼ11内で誘導コイル2の上端位置に達したら上るつぼ11
は誘導コイル2の位置を固定し下るつぼ12だけを下部に
移動させることができる。
【0028】次に、誘導コイル2の高さ寸法に対し上る
つぼ11の高さ寸法を大きく設定した試作装置による実験
例について具体的に説明する。上るつぼ11は外径を100m
m 、内径を60mmとし、誘導コイル2は内径を約106mm、
導体断面積寸法を10mm角とした。そして、図1(d) に示
す状態において、上るつぼ11の下端面が誘導コイル2の
下端面より下方に突出する寸法を、コイル導体断面寸法
の1.5 倍すなわち15mmから35mmまでの範囲で変えて溶融
溶解の実験を行ったところ、少なくとも15mmから35mmの
範囲内では溶解時間に差がないこと及び被溶解材5の溶
解部51並びに固化部52からのふく射熱による誘導コイル
2の絶縁材の劣化が起きないことを確認した。
【0029】図2はこの発明の別の実施例を示す浮揚溶
解装置の要部断面斜視図である。この図において、上る
つぼ11A は内面が下に開く円錐形になっておりこれに合
わせてそれぞれのセグメント111Aが成形されいてる。前
述のように、固化部52は初期はこの図では省略した下る
つぼ12の、途中からは上るつぼ11A の内面に接触して冷
却されたときに生成され成長する。図示のように上るつ
ぼ11A の内径を下ほど大きくなるようにしておくと、溶
解部51の下端の固化する位置での固化部52の径はこの位
置での上るつぼ11A の径に一致する。溶解時と固化時と
の寸法変化が大きい材料では一致するというのは厳密に
は正しくないがこの点については後述する。図2が示す
期間では相対的に溶解部51が上昇しているかその後の一
定位置に止まっていて下るつぼ12が下方向に移動してい
る場合かである。溶解部51が上るつぼ11A の中を上昇し
ていて固化部52と上るつぼ11A との相対位置が固定され
ているときには固化部52は上るつぼ11A の内面に接して
いる。溶解部51の位置が一定位置に止まっているときに
は新たに生成される固化部52の径はその位置の上るつぼ
11A の内径に等しいので、その成長に応じて下に引き下
げられた部分では上るつぼ11A との間に隙間ができる。
したがって、上るつぼ11A と固化部52との接触部は固化
が始まる先端部だけであるので固化部52が成長してゆく
過程で下方に向かって延びていく過程での固化部52と上
るつぼ11A との間の摩擦抵抗が非常に小さくなって被溶
解材5の上るつぼ11A に対する移動が円滑になる。
【0030】上るつぼ11A の内面を円錐形にするときの
角度は一般には小さな値でよい。前述の説明から明らか
なように既に生成された固化部52と上るつぼ11A の内
面との間に僅かでも隙間が生ずればよいからである。た
だ、例えばシリコンのように溶解状態から固化するとき
に膨張する材質のものの場合には、膨張率を考慮してよ
り大きな傾斜角を採用する必要がある。
【0031】この発明の第3の実施例として、上るつぼ
11と被溶解材5との間の摩擦抵抗を小さくするために上
るつぼ11を回転させる回転装置を設けて上るつぼ11を回
転させる方法がある。被溶解材5は下部が下るつぼ12に
接触して回転できない状態にあるので、上るつぼ11を回
転させることによって上るつぼ11と被溶解材5との間の
摩擦抵抗は動摩擦になって低減する。周知のように静止
摩擦に比べて動摩擦は小さいからである。
【0032】図3はこの発明の第4の実施例を示す下る
つぼの断面斜視図である。下るつぼ12B は図8や図9に
示す下るつぼ12に対して、セグメント121Bの上端内径部
の一部を切欠いて切欠部123 を形成した点である。切欠
部123 は隣合うセグメント121Bのそれぞれの切欠部とが
対向して接続部122 ごとに生成される。前述のように接
続部122 にはマイカなどの絶縁材が挿入されているので
あるが、切欠部123 の部分では絶縁材も切欠いておく。
この部分を溶解部51が通過して固化部52を残して行った
ときに、固化部52が切欠部123 に入り込んで回転力に対
して大きな抵抗となり、たとえ上るつぼ11に湯差しが生
じても被溶解材5が上るつぼ11の回転に追従することが
ないので、生じた湯差しは破壊されて瞬間的な摩擦抵抗
の増大があっても以後蓄積することなく正常状態が維持
される。
【0033】図3では切欠部123 を接続部122ごとに設
けた構成を図示してあるが、その数をもっと少なく、極
端には1箇所に限定することもできる。また、切欠き位
置も隣合うセグメント121B同士で対向する位置でなくて
もよい。ただ、切欠部をセグメント121Bの上下方向の中
ほどに設けると製品としての被溶解材5を抜き出すのが
困難になるので上端部に設けるのでなくてはならない。
【0034】図4はこの発明の第5の実施例を説明する
ための溶解部の頂点位置と誘導コイルの上端面との間の
寸法hと溶解部の形状の関係を示す模式的断面図であ
る。図4(a) は溶解部51の頂点位置が誘導コイル2の上
端面よりも高いとき(溶解部51の頂点と誘導コイル2の
上端面との位置差をhとして、h>0)、図4(b)は溶
解部51の頂点位置が誘導コイル2の上端面に一致すると
き(h=0)、図4(c) は溶解部51の頂点位置が誘導コ
イル2の上端面よりも低いとき(h<0)、である。
【0035】図から明らかなように、図4(a) では溶解
部51の頂点は平らになり図4(c) では丸くなり、図4
(c) では尖った形になる。その理由は、概ね次の通りで
ある。図4(a) の場合、誘導コイル2が低いために溶解
部51近傍の磁界強度が小さくなり溶解部51の誘導コイル
2に対する反発力が低下して盛り上がりが少なくなり、
図4(c) の場合は磁界強度が大きくなって反発力が大き
過ぎるために盛り上がりが大きくなり過ぎ尖った形状と
なったものであり、図4(b) はこれらの中間の丁度よい
盛り上がりをしている状態を示すものである。このとき
溶解部51に対する誘導加熱の効率が最高になることが実
験的に確認されている。
【0036】図5は図4の寸法hに対する溶解部の温度
との関係を示す模式的なグラフである。この図におい
て、横軸は図4にも示す溶解部51の頂点と誘導コイル2
の上端面との位置差h、縦軸は図8の湯面温度計で計測
される溶解部51の温度Tである。図4(a) の状態のとき
の寸法hと溶解部温度Tとの関係は(a) 点であり、同じ
ようにして、図4(b) の状態のときが(b) 点、図4(c)
の状態のときが(c) 点である。溶解部温度Tが高いとい
うことは溶解部がより多くの電力が供給されているこ
と、すなわち、効率が良いことを表す。したがって、図
4(b) のh=0のときが最も効率がよいことが分かる。
したがって、適当な制御によって図4(b) の状態を維持
することができれば最高効率を維持することができるこ
とになる。
【0037】図4(b) の特徴はh=0と溶解部51の形状
が丸いということにある。種々の条件で測定した結果に
よると最高効率が得られるのは、h=0のときではなく
溶解531の形状が丸い状態にあるときであることが分か
った。すなわち、誘導コイル2の溶解部51に対する影響
は単に相対位置だけではなく周波数やアンペアターンも
関係するので、h=0のときが最高効率になるとは限ら
ない。
【0038】溶解部51の形状が丸いということは、頂点
部の曲率半径が上るつぼ11の内径の半分ととほぼ等しい
場合であることを表す。図5から分かるように最高効率
の条件から少しずれたとしても効率(図では温度)が大
きく変化するわけではないので最高効率になる曲率半径
を余り厳密に設定する必要はない。いずれにしても、溶
解部51の頂点部の曲率半径が丸くなるように制御するこ
とによって最高効率が得られることになる。
【0039】その方法は、図8の湯面レベル計32で溶解
部51の頂点部近傍の複数点のレベルを測定し、その結果
を基にして図示しない曲率半径演算手段器によって頂点
部の曲率半径を求め、その値が所定値になるようフィー
ドバック制御を行う。これに適した湯面レベル計として
はレーザーを用いた光学距離計が適しており、制御の対
象はるつぼ1と誘導コイル2との相対位置とするのが妥
当である。曲率半径演算手段はアナログ演算器又はコン
ピュータによるディジタル演算であってもよいが、前述
の第1や第2の制御装置に組み込む形で容易に実現する
ことができる。すなわち、図1による誘導コイル2とる
つぼ1との相対位置の制御は第1と第2の制御装置で行
われるのであるが、これらは機能上分離しただけで実際
には1つの制御装置として構成される。この制御装置
に、誘導コイル2の位置をより細かな制御をするため
に、溶解部51の頂点位置と曲率半径の両方を加味したフ
ィドーバック制御を行えばよい。このような制御装置は
従来技術の範囲で種々の形態で実現することができる。
【0040】以上、溶解部51に対する誘導加熱の効率を
最高にするために溶解部51の位置を制御する浮揚溶解装
置の実施例を説明してきたが、要するに、この実施例の
装置においては、溶解部51の頂点位置が常に誘導コイル
の上端にあることにするため、又は溶解部51の頂点部の
曲率半径が上るつぼ11の内径の半分とほぼ等しくなるよ
うにするために、るつぼ1を相対移動することが肝心な
のであって、そのためる上記したような誘導コイル2に
対する溶解部51の位置制御を行う。
【0041】図6はこの発明の第6の実施例を示す浮揚
溶解装置の簡略化した断面斜視図である。この図に示す
浮揚溶解装置が図1に示す浮揚溶解装置と異なる点はガ
ス導入器を設けた点である。すなわち、るつぼ1の上に
上ガス導入器6と、るつぼ1と誘導コイル2との間に同
軸配置で設けられた横ガス導入器60とである。上ガス導
入器6は、上るつぼ11の上部を覆うふた部62、小片53を
投入する投入口としての筒部61及びふた部11に設けられ
て外部から不活性ガス7をるつぼ1内に流入させるガス
管63からなっている。横ガス導入器60は、中が中空で内
径側の壁にガス流出孔66が設けられた中空筒部64と中空
筒部64の中空部67に不活性ガス7を流入させるガス管65
とからなっており、ガス管65から中空部67に入った不活
性ガス7はガス流出孔66からるつぼ1に向かって流出す
る。後述するように、この不活性ガス7は上るつぼ11と
下るつぼ12とが離れてこの部分で表面が露出した被溶解
材5を空気から遮断する役目を果たす。
【0042】ガス管63からるつぼ1内に流入した不活性
ガス7は筒部61や上るつぼ11と下るつぼ12との間の隙間
などから漏れ出すので、連続的に供給する必要がある。
ガス管65も同様である。なお、筒部61からの小片53の投
入はある程度断続的であるので、投入しない期間はふた
をするなどの対策を講じて不活性ガスの漏れ量を小さく
することができる。
【0043】ガス導入器6、60の材質は、電磁誘導作用
による電流が流れないために絶縁物であること、溶解部
51や固化部52の露出部からのふく射熱に耐えるだけの耐
熱性があることという条件を満足するものでなければな
らない。これらの条件を満足する材料としては無機絶縁
物、例えば、石英ガラスやセラミックスなどが適してい
る。
【0044】図7は図6の浮揚溶解装置が運転中の4つ
の状態を示す簡略化した浮揚溶解装置の断面斜視図であ
り、図7(a) 〜図7(d) の4つの分図は図1の4つの分
図と対応しており、括弧内の英字が同じ分図は溶解工程
の同じ時点を表す。すなわち、図7(a) は運転の初期状
態を示すもので少量の被溶解材3が浮揚して溶解してい
る状態、図7(b) は連続投入装置3によって小片53が上
部から投入されて被溶解材5が大分大きくなって下るつ
ぼ12の底に接触して固化部が形成され始めているが、被
溶解材5はまだ下るつぼ12内にあり固化部も図示できな
い程度に僅かである状態、図7(c) は更に被溶解材5が
成長して溶解部51が上るつぼ11の中にある状態、図7
(d) は溶解部51が上限位置に達したので以後は被溶解材
5の成長に伴って下るつぼ12だけを下方向に移動させた
状態をそれぞれ示したものである。下るつぼ12を所定の
寸法だけ下方向に移動させたところで実質的な溶解工程
は終了する。
【0045】上ガス導入器6のガス管63から供給される
不活性ガス7はるつぼ1内に充満して空気を追い出すの
で高温の被溶解材5が直接空気に接触して酸化すること
がない。したがって、これらの工程中は主に上ガス導入
器6から不活性ガス7を供給する。図7(a) から図7
(c) までの工程では上るつぼ11と下るつぼ12とは接近し
ているので横ガス導入器60からの不活性ガス7の供給は
余り効果はない。図7(c) の状態から図7(d) に移行す
る過程から被溶解材5の成長に伴って上るつぼ11と下る
つぼ12とが離れてゆき被溶解材5がこの部分で露出す
る。図から明らかなように露出部分は固化部52であり溶
解部51に比べれば温度は下がっているがそれでも充分高
いので、露出した表面が空気に触れて酸化膜を形成する
のを防ぐために横ガス導入器60によって不活性ガス7を
供給する効果が現れる。
【0046】不活性ガス7としてはアルゴンガスなどが
適している。被溶解材5が窒素と反応しない材料であれ
ば安価な窒素ガスの方が適していることもある。浮揚溶
解装置を真空容器に収納する方式の代わりにこのように
ガス導入器6,60を設けて被溶解材5を不活性ガスで覆
って空気と直接接触しない構成と運転方法を採用するこ
とによって構成が簡単になりしたがって安価な浮揚溶解
装置で品質の良い製品を得ることができる。
【0047】
【発明の効果】この発明は前述のように、下るつぼだけ
を移動させる第1の駆動装置とその制御を行う第1の制
御装置の他に、上るつぼと誘導コイルとの相対位置を変
える第2の駆動装置とその制御を行う第2の制御装置を
追加して設ける。これによって、運転初期の被溶解材が
浮揚しながら溶解状態にあるとき、運転終期の固化部が
成長して下るつぼが上るつぼから大きく離れていると
き、及び初期と終期の間の中間期においても被溶解材の
上先端部にある溶解部の位置に応じて、誘導コイル、上
るつぼ及び下るつぼの相対位置を適切に設定することが
できる。従って、上るつぼと下るつぼの高さ寸法は誘導
コイルのそれに制約されることがなくなり、高く設定す
ることが可能になる。その結果、運転初期において下る
つぼと上るつぼとの間の隙間から漏れ出す磁束によって
浮揚と溶解状態にある被溶解材に悪影響を与えることは
なくなり、上るつぼから誘導コイルが下にはみ出して近
くにある被溶解材の固化部を再度溶解させたり、溶解部
並びに固化部からのふく射熱によって誘導コイルの絶縁
材の劣化が促進されるということもなく、安定した運転
が可能になるとともに信頼性の高い浮揚溶解装置になる
という効果が得られる。
【0048】また、上るつぼの内面を所定の角度で下に
開く円錐形にすることによって、上るつぼ内で溶解部の
表面の下端部の上るつぼ内面に接触し固化部に変わる部
分の径寸法はそれより下の上るつぼの内径よりも小さく
なるので、上るつぼと固化部との間に隙間ができて固化
部が下るつぼとともに下に移動するときの摩擦抵抗がは
るかに小さくなり、下るつぼを移動して長い棒状の固化
部を円滑に製作することができる。
【0049】また、上るつぼを回転させる上るつぼ回転
装置を設けて上るつぼを回転させると、被溶解材の固化
部は下るつぼに固定されているので、上るつぼの内面と
これに接触する固化部の外面とは擦れ合いながら移動す
るのでこれらの間の摩擦抵抗は動摩擦になり、これは静
止摩擦に比べて抵抗が小さいので被溶解材の成長に応じ
て被溶解材を下方向に移動させるのが円滑になり安定し
た運転が可能になるという効果が得られる。
【0050】また、前述のように上るつぼの回転装置を
設ける場合に、下るつぼの上部内径側に少なくとも1つ
の切欠部を設けると、被溶解材がこの切欠部に入り込ん
で固化するので回転に対する抵抗が非常に大きくなる。
したがって、湯差しなどで上るつぼと被溶解材との間の
回転力に対する摩擦抵抗が増大したときでも下るつぼと
被溶解材とが滑って回転してしまうことがなくなるの
で、上るつぼと被溶解材との間を安定して動摩擦の状態
に維持することができ運転の安定性に貢献するという効
果が得られる。
【0051】また、前述のようなガス導入器を設けて溶
解工程中にるつぼ内に不活性ガスを供給して被溶解材が
直接空気に接触しない構成を採用することによって、真
空容器に浮揚溶解装置を封入する方式に比べて構成が簡
単になりしたがって安価になってしかも品質のよい製品
が得られる。また、溶解部の頂点近傍の曲率を求め、そ
の値が所定の値に一致するように誘導コイルとるつぼと
の相対位置を制御すると、溶解部の頂点の曲率半径がる
つぼの内径半径に近いときに最高効率が得られるので、
この状態を前述の制御により維持することによって固化
部が生成された後の期間中において最高効率を維持した
運転をすることができるという効果が得られる。
【0052】また、その運転を前述のイ)からホ)まで
の各項の順序に従って行うことによって、前述の効果を
より確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例を示す浮揚溶解装置が
運転中の4つの状態を示す簡略化した断面斜視図で、図
1(a) は運転初期の状態、図1(b) 、図1(c) は運転途
中の状態、図1(d) は運転終期の状態
【図2】この発明の第2の実施例を示す浮揚溶解装置の
要部断面斜視図
【図3】この発明の第3の実施例を示す下るつぼの断面
斜視図
【図4】この発明の第4の実施例を説明するための溶解
部の頂点位置と誘導コイルの上端面との間の寸法hと溶
解部の形状の関係を示す模式的な断面図で、図4(a) は
h>0のとき、図4(b) はh=0のとき、図4(c) はh
<0のとき
【図5】図4の寸法hに対する溶解部の温度Tの関係を
示す模式的なグラフ
【図6】この発明の第5の実施例を示す浮揚溶解装置の
簡略化した断面斜視図
【図7】図6の浮揚溶解装置が運転中の4つの状態を示
す簡略化した断面斜視図で、図7(a) は運転初期の状
態、図7(b) 、図7(c) は運転途中の状態、図7(d) は
運転終期の状態
【図8】浮揚溶解装置の運転状態の全体を示す縦断面斜
視図
【図9】図8の初期状態の要部を示す縦断面斜視図
【符号の説明】
1…るつぼ、11,11A,11B …上るつぼ、111,111A…セグ
メント、12,12B…下るつぼ、121,121B…セグメント、12
2 …接続部、123 …切欠部、2… 誘導コイル、3…連
続投入装置、4…第1の駆動装置、41…第1の制御装
置、42…湯面レベル計、5… 被溶解材、51…溶解部、
52…固化部、53…小片、6…上ガス導入器、61…筒部、
62…ふた部、63…ガス管、60…横ガス導入器、64…中空
筒部、65…ガス管、66…ガス流出孔、7…不活性ガス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 誠 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−287729(JP,A) 特開 平4−123844(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 6/32 F27B 14/04 F27D 11/06 C30B 13/14

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の断面形状を持つ良導電金属製のセグ
    メントの複数個が絶縁材を介して密に配置されてなり上
    るつぼと下るつぼとに所定の水平面で分割されたるつ
    ぼ、るつぼの外径側に設けられた誘導コイル、誘導コイ
    ルに電流を供給する交流電源、るつぼの上部から導電性
    の被溶解材の小片を連続的にるつぼ内に投入する連続投
    入装置が備えられてなる浮揚溶解装置において、被溶解部材の溶解部位置に対して誘導コイルが適正な位
    置になるように上るつぼと誘導コイルとの上下方向の相
    対位置を変える第2の駆動装置およびこれを制御する第
    2の制御装置と、 溶解部が上るつぼ内の上限に達したら上るつぼと誘導コ
    イルとの相対位置を固定し、被溶解部材の成長に応じて
    下るつぼと上るつぼとの上下方向の相対位置を変える第
    1の駆動装置およびこれを制御する第1の制御装置とを
    備えた ことを特徴とする浮揚溶解装置。
  2. 【請求項2】上るつぼの内面が下に所定の角度で開く円
    錐形であることを特徴とする請求項1記載の浮揚溶解装
    置。
  3. 【請求項3】上るつぼを回転させる上るつぼ回転装置を
    設け、少なくとも被溶解材が成長しかつ上るつぼの内面
    に接している期間、上るつぼを回転させることを特徴と
    する請求項1又は2記載の浮揚溶解装置。
  4. 【請求項4】下るつぼの上部内径部に少なくとも1つの
    切欠部を設けてなることを特徴とする請求項3記載の浮
    揚溶解装置。
  5. 【請求項5】上るつぼの上部を覆い不活性ガスを内部に
    流入させるガス管が設けられた上ガス導入器と、るつぼ
    と誘導コイルとの間にこれに同軸に設けられた内径側に
    ガス流出孔を備えた中空筒部及びこの中空筒部の内部に
    不活性ガスを流入させるガス管とからなる横ガス導入器
    とが設けられてなることを特徴とする請求項1,2,3
    又は4記載の浮揚溶解装置。
  6. 【請求項6】溶解部の頂点近傍の複数の上下方向位置を
    計測する湯面レベル計、湯面レベル計の出力信号が入力
    されて溶解部の頂点の曲率半径を求める曲率半径演算手
    段、曲率半径演算手段の出力信号を基に誘導コイルと上
    るつぼとの相対位置を適正に保つよう第2の駆動装置を
    制御する制御手段を備えてなり、制御手段が溶解部頂点
    の曲率半径が所定の値に一致する制御を行うことを特徴
    とする請求項1,2,3,4又は5記載の浮揚溶解装
    置。
  7. 【請求項7】請求項1,2,3,4,5又は6記載の浮
    揚溶解装置を、次の順序で運転することを特徴とする浮
    揚溶解装置の運転方法。 イ)上るつぼと下るつぼとが接近し誘導コイルが下るつ
    ぼの外径側に配置されている状態で少量の被溶解材をる
    つぼ内に入れ誘導コイルを励磁する。 ロ)るつぼの上部より被溶解材の小片を連続的に投入す
    る。 ハ)小片の投入によって被溶解材が成長してその高さが
    高くなるのに合わせて相対的に誘導コイルの位置を移動
    し、被溶解材の上先端部の溶解部位置に対して誘導コイ
    ルが適正な位置になるよう維持する。 ニ)溶解部が成長して上るつぼ内の上限に達したら上る
    つぼと誘導コイルの位置を固定し下るつぼだけを下部に
    移動して、上るつぼと誘導コイルを溶解部位置に対して
    適正な位置に維持する。 ホ)下るつぼの移動距離が所定の値になったところで下
    るつぼを止めるとともに誘導コイルによる励磁を停止す
    る。 ヘ)製品としての棒状の被溶解材を取り出す。
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