JP3270715B2 - 農産物用洗浄水及びその製造方法 - Google Patents

農産物用洗浄水及びその製造方法

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JP3270715B2
JP3270715B2 JP17632697A JP17632697A JP3270715B2 JP 3270715 B2 JP3270715 B2 JP 3270715B2 JP 17632697 A JP17632697 A JP 17632697A JP 17632697 A JP17632697 A JP 17632697A JP 3270715 B2 JP3270715 B2 JP 3270715B2
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仁一 伊藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農産物に付着した
農薬等を効果的に洗浄除去できる農産物用洗浄水及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】農産物の大部分は農薬を使用して栽培し
ているため、農産物を食するに際しては、付着した農薬
を洗浄しなければならず、その洗浄は、通常の水や、人
体に悪影響の少ない合成洗剤を溶解させた水等を用いて
行っている。
【0003】一方、特公平4−42077号や、特開平
1−180293号には、陽極と陰極との間にイオン透
過性の隔膜を有する電解槽を用いて水を電気分解したと
き、陽極室側から得られる酸性イオン水を、食品や医療
分野の殺菌水として用いることが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、農産物
に付着した農薬は、通常の水では除去することが困難で
あり、また、合成洗剤を用いた場合には、農薬の種類に
よって洗剤の種類を変えるとか、合成洗剤を洗い落とす
ことがまた必要となって作業が大変であり、洗剤の排水
によって河川や湖沼等が汚染されるという問題もあっ
た。
【0005】また、特公平4−42077号や、特開平
1−180293号に開示された酸性イオン水は、原水
にNaClを添加して水の電気伝導度を高めて電解する
ことにより得られるもので、次亜塩素酸(HClO)に
よる殺菌効果を利用したものであった。
【0006】しかし、農作物等の食品に上記酸性イオン
水を利用する場合には、高濃度の苛性ソーダ(NaO
H)、次亜塩素酸(HClO)が付着して残留するとい
う問題があった。また、上記酸性イオン水は、殺菌効果
は認められるものの、農作物の表面に付着する農薬等の
洗浄除去効果は少なかった。
【0007】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、付着した農薬等を効果的に洗浄除去
できると共に、人体に対して安全で、環境汚染等の問題
も生じない農産物用洗浄水及び洗浄方法を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、長年に亙
り、水を電気分解して得られる酸性イオン水及びアルカ
リイオン水について鋭意研究を重ねてきたが、上記酸性
イオン水と上記アルカリイオン水とを混合することによ
り、農産物に付着した農薬を効果的に洗浄除去できる洗
浄水が得られることを見いだし、本発明を完成するに至
った。
【0009】すなわち、本発明の1つは、農産物に付着
した農薬を洗浄除去するための農産物用洗浄水におい
て、陽極と陰極との間にイオン透過性の隔膜を有する電
解槽を用いて水を電解したとき、陰極室側から得られる
アルカリイオン水と、陽極室側から得られる残留塩素濃
度10ppm以下の酸性イオン水との混合水であって、
pH4〜8であることを特徴とする農産物の洗浄水を提
供するものである。
【0010】また、本発明のもう一つは、農産物に付着
した農薬を洗浄除去するための農産物用洗浄水の製造方
法において、陽極と陰極との間にイオン透過性の隔膜を
有する電解槽を用いて水を電解し、陰極室側からpH1
0以上、生成時の酸化還元電位−150〜−850mV
のアルカリイオン水を得ると共に、陽極室側からpH3
以下、生成時の酸化還元電位1000〜1300mV
残留塩素濃度10ppm以下の酸性イオン水を得た後、
前記アルカリイオン水と前記酸性イオン水とを所定の割
合で混合することを特徴とする農産物用洗浄水の製造方
法を提供するものである。
【0011】本発明の農産物用洗浄水は、水の電気分解
によって形成されるアルカリイオン水と酸性イオン水と
を混合して形成されるが、この混合水は、農産物の表面
に付着している農薬であって、原水や上記アルカリイオ
ン水や上記酸性イオン水では溶出させることができない
ものを溶出させることができることがわかった。混合水
がこのような作用を有する理由は不明であるが、農薬の
種類によって、上記アルカリイオン水等に溶け易いもの
と、上記混合水に溶け易いものとがあると考えられる。
したがって、本発明の洗浄水を用いることにより、農産
物に付着した農薬等をより完全に洗浄除去することが可
能となる。
【0012】本発明の農産物用洗浄水の製造方法によれ
ば、特定のpH及び酸化還元電位のアルカリイオン水
、特定の残留塩素濃度及びpH及び酸化還元電位の
性イオン水とを各種の比率で混合することにより、上記
混合比に応じた各種の酸化還元電位を有するpH4〜8
の混合水を得ることができる。したがって、アルカリイ
オン水と酸性イオン水との混合比によって異なる特性を
有する農産物用洗浄水を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の態様】図1、2には、本発明の洗浄水を
製造するための製造装置の一例が示されている。この製
造装置は、原水導入管1と、その途中に設けたフィルタ
ー槽5と、電解槽12と、アルカリイオン水導出管23
と、酸性イオン水導出管26とで主として構成されてい
る。
【0014】原水導入管1は、減圧弁2、圧力スイッチ
3、電磁弁4を介して、フィルター槽5に連結されてい
る。フィルター槽5は、有底円筒状のケーシング6内
に、同じく有底円筒状のフィルター7を配置し、このフ
ィルター7を蓋体11で支持した構造をなしている。原
水導入管1は、フィルター7の内側に連通する導入路8
に連結され、連結管9は、フィルター7の外側に連通す
る導出路10に連結されている。なお、この実施例にお
いて、フィルター7としては、10μm以上の粒子を捕
捉できる能力を有する「チッソCPフィルター」(商品
名、チッソ株式会社製)を用いた。
【0015】電解槽12は、円筒状のステンレス電極か
らなる陰極13と、この陰極13よりも直径の小さい円
筒状のチタン−白金電極からなる陽極14とを同心状に
配置し、それらの上下端面を環状の蓋体15、16で封
止した構造をなす。また、陰極13と陽極14との間に
は、同じく円筒状の隔膜17がその両端を蓋体15、1
6に支持されて設置されており、電解槽12内を外側の
陰極室18と、内側の陽極室19とに、容積比3:7の
比率で区画している。この隔膜17は、陽イオンを陽極
室19側から陰極室18側に透過させ、陰イオンを陰極
室18側から陽極室19側に透過させる。
【0016】連結管9は、その先端が管9a、9bに分
岐し、一方の管9aは、電解槽12底部の蓋体16に設
けられた陰極室18内への導入路20に連結され、他方
の管9bは、上記蓋体16に設けられた陽極室19内へ
の導入路21に連結されており、いずれも同径で、同圧
の原水が導入される構造とされている。また、電解槽1
2の上部の蓋体15には、陰極室18からアルカリイオ
ン水を取り出すための導出路22が形成され、これにア
ルカリイオン水導出管23が連結され、電磁弁24、流
量制御弁28を介してアルカリイオン水を供給するよう
になっている。更に、上部の蓋体15には、陽極室19
から酸性イオン水を取り出すための導出路25が形成さ
れ、これに酸性イオン水導出管26が連結され、電磁弁
27、流量制御弁29を介して酸性イオン水を供給する
ようになっている。そして、上記流量制御弁28、29
により、陽極室19からの吐出量と、陰極室18からの
吐出量との比が、例えば4.5:5.5となるように調
整されている。
【0017】なお、電解層12には、陽極14と陰極1
3とに電力を供給する電源30と、この電源30からの
電力を制御する制御装置31とが設けられている。ま
た、図2に示すように、陽極室19には、陽極14の軸
方向に沿って平行に、φ2mmのチタン丸棒32が、3
cm間隔で8本配設されている。
【0018】したがって、原水を原水導入管1から、減
圧弁2、圧力スイッチ3、電磁弁4を介して、フィルタ
ー槽5のフィルター7の内部に導入すると、フィルター
7を内側から外側に通過して連結管9より流出する。こ
のとき、10μm以上の大きさの粒子はフィルター7に
捕捉され、電解槽12の隔膜17の目詰まりを防止でき
る。なお、圧力スイッチ3は、常に一定の水圧の原水が
フィルター槽5に供給されるように、水圧を検出して減
圧弁2や電磁弁4を制御するものである。
【0019】連結管9に流出した原水は、分岐管9a、
9bに分流されて、電解槽12の陰極室18及び陽極室
19にそれぞれ同圧、同量で流入する。陽極室19に流
れ込んだ原水は、前記チタン丸棒32によって高流速で
陽極室19内を流れる。電解槽12では、陽極14と陰
極13との間で電圧が印加され、原水の電解が行われ
る。このとき、電圧50〜70V、電流16〜25Aと
なるように制御装置31で電力を調整し、陽極室19か
らは酸性イオン水が2〜5L/分の流速で吐出し、陰極
室18からはアルカリイオン水が5〜8L/分の流速で
吐出するように流量を調整する。
【0020】上記のような方法によって、pH3以下、
残留塩素濃度10ppm以下、酸化還元電位1000〜
1300mVである酸性イオン水、及びpH10以上、
酸化還元電位−150〜−850mVであるアルカリイ
オン水を製造することができる。また、上記方法によっ
て得られる酸性イオン水及びアルカリイオン水は、表面
張力が67ダイン/cm以下であるという特徴を有して
いる。
【0021】本発明の農産物用洗浄水は、上記のアルカ
リイオン水と上記の酸性イオン水とを所定の比率で混合
することにより得られる。この洗浄水のpHは、通常4
〜8の範囲となる。また、アルカリイオン水と酸性イオ
ン水との混合比によって、得られた混合水の酸化還元電
位も変化するが、その値は混合比から計算上求められる
平均値とは必ずしも一致しない。
【0022】本発明の農産物用洗浄水は、アルカリイオ
ン水と酸性イオン水とを混合してpH4〜8に戻した混
合水からなるが、この洗浄水は、最初の原水とは著しく
異なる挙動を示す。すなわち、原水では農産物に付着し
た農薬の洗浄除去効果がほとんど認められないにもかか
わらず、この洗浄水は、農産物に付着した農薬に対する
優れた洗浄除去効果を示す。また、この洗浄除去効果
は、アルカリイオン水にも認められるが、アルカリイオ
ン水と、本発明の洗浄水(混合水)とでは、洗浄効果が
高い農薬の種類が異なる傾向がある。したがって、本発
明の洗浄水(混合水)とアルカリイオン水とを併用して
順次洗浄するか、アルカリイオン水と酸性イオン水との
混合比を変えた複数種類の洗浄水を用いて順次洗浄する
か、あるいは付着した農薬の種類に応じて混合比を設定
した洗浄水を用いて洗浄することにより、より効果的に
農薬を除去することができる。
【0023】本発明の対象とする農産物は、各種の野
菜、果実等、あらゆる農作物を包含する。また、収穫さ
れたばかりの農作物だけでなく、その皮を除去したり、
適当な大きさにカットしたもの等、一次加工を施した生
鮮品であってもよい。
【0024】本発明の洗浄水を用いて、農産物を洗浄す
る方法は特に限定されないが、例えば、超音波洗浄、シ
ャワー洗浄、浸漬洗浄等が好ましく採用される。超音波
洗浄は、通常市販されている超音波洗浄機を用いて行う
ことができ、シャワー洗浄は、例えば家庭用皿洗い機等
を用いて行うことができる。
【0025】図4には、本発明の洗浄水を用いて農産物
を洗浄するための洗浄装置の一例が示されている。
【0026】同図において、41は、図1、2に示した
のと同様なイオン水製造装置、42は、同イオン水製造
装置によって作られた酸性イオン水とアルカリイオン水
との混合水(本発明の洗浄水)の貯留タンク、43は、
同イオン水製造装置によって作られたアルカリイオン水
の貯留タンクである。
【0027】44は、超音波洗浄槽であり、途中にポン
プ46を有する配管45によって酸性イオン水貯留タン
ク42及びアルカリイオン水貯留タンク43とにぞれぞ
れ連結され、酸性イオン水貯留タンク42から供給され
る酸性イオン水とアルカリイオン水貯留タンク43とか
ら供給されるアルカリイオン水とが所定の比率で混合さ
れて、貯留されるようになっている。また、超音波洗浄
槽44の内部には、超音波発振機47に連結された超音
波発振子48と、ヒーター49とが設置されている。更
に、超音波洗浄槽44には、オーバーフローした酸性イ
オン水を油水分離機50を介して排出させる排水管51
が連結されている。
【0028】52は、シャワー洗浄装置であり、途中に
ポンプ53を有する配管54によってアルカリイオン水
貯留タンク43に連結され、アルカリイオン水貯留タン
ク43からアルカリイオン水が供給され、このアルカリ
イオン水を農産物に噴霧する構造になっている。なお、
噴霧されたアルカリイオン水は、油水分離機55を有す
る排水管56によって排水されるようになっている。
【0029】61は、一次乾燥機であり、空気供給管6
2によって供給される空気を農産物に吹き付ける構造を
なしている。また、63は、二次乾燥機であり、ヒータ
ー64によって加熱され、温風供給管65によって供給
される温風を農産物に吹き付ける構造をなしている。
【0030】71は、バケットコンベアであり、例えば
ネット状のバケットに農産物を収容して、図中矢印Aで
示すように昇降しながら上記の各装置に順次移動して、
農産物を上記の各装置によって順次処理させるものであ
る。
【0031】したがって、農産物をバケットコンベア7
1に載せると、バケットコンベア71は、まず農産物を
超音波洗浄槽44内に浸漬させる。そして、超音波発振
機47の超音波発振子48によって混合水(本発明の洗
浄水)を振動させ、農産物を混合水で洗浄する。
【0032】次に、農産物は、バケットコンベア71に
よって、シャワー洗浄装置52に導入され、そこでアル
カリイオン水を吹き付けられて洗浄される。
【0033】更に、農産物は、バケットコンベア71に
よって、一次乾燥機61に導入され、そこでエアーを吹
き付けられて、表面に付着している水滴を吹き飛ばすよ
うにして除去される。
【0034】最後に、農産物は、バケットコンベア71
によって、二次乾燥機63に導入され、そこで温風を吹
き付けられてほぼ完全に乾燥される。
【0035】図5、6には、本発明の洗浄水を用いて農
産物を洗浄するための洗浄装置の他の例が示されてい
る。
【0036】図5は、洗浄槽81を示し、この洗浄槽8
1は、底部中央に洗浄水を矢印イの方向から導入する導
入管82が連結され、側面上部に、洗浄水を矢印ロの方
向に排出する排出管83が設けられている。また、底部
には載置台84が配置され、農産物を入れたバケット7
5を載置できるようにされている。
【0037】バケット75には、例えば多数の孔76、
76…が設けられて、洗浄水が通過できるようにされて
いる。
【0038】図6は、脱水槽91を示し、この脱水槽9
1には、底部中央を貫通する回転軸92の回転により回
転する回転台93が設けられ、回転台93にバケット7
5を載置できるようにされている。回転軸92は脱水槽
91の外部において、モータ95の駆動軸にベルト94
で連結され、モータ95を作動させると、回転軸92及
び回転台93が矢印ハで示すように回転する。勿論、矢
印ハの回転方向は逆でもよい。また、脱水槽91の底部
付近の側面には、洗浄水を矢印ニの方向に排出する排出
管96が連結されている。
【0039】この洗浄装置を用いて、農産物を洗浄する
には、農産物をバケット75に入れて、洗浄水が満たさ
れた洗浄槽81に入れ、その載置台84上に載置し、導
入管82から洗浄水を導入すると共に、排出管83から
オーバーフローした洗浄水を排出しながら洗浄を行う。
洗浄水は、バケット75の孔76、76…を通過するの
で、農産物は、洗浄水に浸漬した状態となり洗浄され
る。所望時間経過後、バケット75を、洗浄槽81から
引き上げる。この際、バケット75中で、農産物に接触
していた洗浄水の大部分は、孔76、76…から排出さ
れる。
【0040】なお、洗浄槽81を2個以上用意してお
き、それぞれの洗浄槽に順次浸漬して上記洗浄操作を繰
り返すことにより、本発明の洗浄水とアルカリイオン水
とを併用して洗浄してもよく、アルカリイオン水と酸性
イオン水との混合比を変えた複数種類の洗浄水で順次洗
浄してもよい。
【0041】洗浄が終了した後、バケット75を、脱水
槽91の回転台93に載せ、モータ95を作動させて、
回転軸92と共に回転台93を回転させる。すると、バ
ケット75も回転して、農産物に付着していた洗浄水
が、遠心力により孔76、76…から排出されて脱水さ
れる。
【0042】
【実施例】
参考例1 原水として水道水を用いて、図1に示した装置を用い、
電圧60V、電流20A、酸性イオン水の流量4L/
分、アルカリイオン水の流量4L/分の条件で電解を行
い、酸性イオン水及びアルカリイオン水を製造した。こ
うして得られたアルカリイオン水、酸性イオン水、及び
一般水道水について、それぞれ表面張力、酸化還元電位
(ORP)、残留塩素濃度(ppm)、pHを測定し
た。また、水道水とアルカリイオン水については、NM
Rスペクトル半値幅(Hz)も測定した。その結果を表
1及び図3に示す。なお、図3は、核磁気共鳴法によっ
て測定したNMRスペクトルであり、図中Aはアルカリ
イオン水、Bは水道水の結果を示す。
【0043】pH及び酸化還元電位は、ハンナインスツ
ルメンツ・ジャパン株式会社製の「ウォータテスター」
(商品名)を用いて測定した。また、表面張力は、太平
理化工業株式会社製のデュヌーイ氏表面張力計を用い
て、20℃における表面張力を測定した。更に、残留塩
素濃度は、オルトトリジン法・ヨウ化カリウム試薬によ
る検定法によって測定した。
【0044】
【表1】
【0045】表1の結果から、酸性イオン水、アルカリ
イオン水とも、水道水と比較して表面張力が低いことが
わかる。また、アルカリイオン水は、水道水より、NM
Rスペクトルの半値幅が小さいことがわかる。
【0046】なお、NMRスペクトルの半値幅W1/2
と、粒子半径rと、拡散定数Dとの間には、下記数1の
関係があるとされている。
【0047】
【数1】
【0048】したがって、半値幅W1/2 が小さいほど、
粒子半径rが小さく、すなわち水のクラスターが小さ
く、拡散定数Dが大きくなる。このように、アルカリイ
オン水は、表面張力が低いことから濡れ性に優れ、ま
た、クラスターが小さいことから拡散性、浸透性に優れ
ている。
【0049】参考例2 原水として水道水を用いて、図1に示した装置を用い、
電圧50V、電流60A、酸性イオン水の流量3L/
分、アルカリイオン水の流量5L/分の条件で電解を行
い、酸性イオン水及びアルカリイオン水を製造した。こ
うして得られたアルカリイオン水、酸性イオン水につい
て、20℃、40℃、80℃におけるpH、酸化還元電
位(ORP)、残留塩素濃度(ppm)を測定し、温度
変化によって特性が変化するかどうかをみた。アルカリ
イオン水や酸性イオン水を洗浄水として用いる際に、場
合によっては加熱することもあるので、高温時において
もその特性が変化しないもののほうがよい。その結果を
表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】表2の結果から、温度が変化しても、アル
カリイオン水及び酸性イオン水の特性は、ほとんど変化
しないことがわかる。したがって、高温下で用いてもそ
の洗浄効果は変わらないことがわかる。
【0052】実施例1 原水として水道水を用いて、図1に示した装置を用い、
電圧60V、電流20A、酸性イオン水の流量4L/
分、アルカリイオン水の流量4L/分の条件で電解を行
い、酸性イオン水及びアルカリイオン水を製造した。更
に、得られたアルカリイオン水と酸性イオン水とを同量
ずつ混合して混合水を製造した。
【0053】原水、アルカリイオン水、酸性イオン水、
及び混合水について、pH、酸化還元電位(mV)、温度
(℃)を測定した。この結果を表8に示す。
【0054】
【表3】
【0055】次に、これらの水を用いて、米(ササニシ
キ)を浸漬し、浸漬時間の変化に伴う含水率の変化、浸
漬時間の変化に伴う固体分溶出量の変化、農薬溶出量の
変化を測定した。
【0056】なお、含水率は、米を水に浸漬する前の重
量及び含水率と、米を所定時間水に浸漬した後の水切り
後の重量とを測定して求めた。また、固体分溶出量は、
浸漬液の当初の固形分含量と、浸漬液の浸漬後の固形分
含量とを、それぞれの一定量を採取して蒸発乾固させ、
固形分重量を測定することにより求めた。更に、農薬溶
出量は、浸漬液の一定量を液体クロマトグラフィーにか
けて測定した。
【0057】浸漬時間の変化に伴う含水率の変化を測定
した結果を図7に示す。図7において、aは原水、bは
混合水、cはアルカリイオン水、dは酸性イオン水であ
る。この結果によると、アルカリイオン水において、や
や水の浸透速度が速い傾向が見られる。
【0058】浸漬時間の変化に伴う固体分溶出量の変化
を測定した結果を図8に示す。図8において、aは原
水、bは混合水、cはアルカリイオン水、dは酸性イオ
ン水である。この結果によると、アルカリイオン水>混
合水>原水>酸性イオン水の順で、固体物質の溶出量が
多くなることがわかる。
【0059】浸漬時間の変化に伴う農薬溶出量の変化を
測定した結果を図9に示す。図9において、左側から順
に原水、混合水、アルカリイオン水、酸性イオン水の結
果が示されている。また、それぞれの区画において、横
軸に記載された数字は、浸漬時間(分)を表している。
更に、各区画の各浸漬時間毎に記載された棒線グラフ
は、左側から順に、アシュラム、オキシン銅、チウラ
ム、チウラム、イプロジオンを表している。
【0060】図9に示されるように、オキシン銅に対し
ては、混合水が顕著な溶出効果を示し、アシュラムに対
しては、アルカリイオン水が顕著な溶出効果を示す。イ
プロジオンに対しては、アルカリイオン水が最も溶出効
果が高く、次に混合水が溶出効果が高い。このように、
混合水とアルカリイオン水の溶出効果が高いが、混合水
とアルカリイオン水とでは、高い溶出効果を示す農薬の
種類が異なっている。農薬は、水に可溶とするため、ナ
トリウム塩などにしてあるケースもあり、その溶解度は
pHにより大きく変わるものがある。一方、酸化や還元
により化学構造が変化する可能性のある農薬もあり、高
酸化還元電位又は低酸化還元電位の電解水では、農薬の
化学構造が変化して溶解度も変化することがある。した
がって、農薬の種類によって、溶出しやすい特定のpH
や酸化還元電位が存在すると考えられ、アルカリイオン
水と酸性イオン水との混合比を目的とする農薬に応じて
設定することにより、最適な洗浄水を提供できると考え
られる。
【0061】実施例2 原水として水道水を用いて、図1に示した装置を用い、
電圧60V、電流20A、酸性イオン水の流量4L/
分、アルカリイオン水の流量4L/分の条件で電解を行
い、酸性イオン水及びアルカリイオン水を製造した。更
に、得られた酸性イオン水とアルカリイオン水とを各種
の比率で混合して混合水を製造した。
【0062】こうして得られた各種の混合水、酸性イオ
ン水及びアルカリイオン水の酸化還元電位(ORP)を
経時的に測定した結果を図10に示す。図10におい
て、●−●は酸性イオン水、■−■はアルカリイオン
水、○−○は酸性イオン水:アルカリイオン水=1:1
の混合水、□−□は酸性イオン水:アルカリイオン水=
2:1の混合水、△−△は酸性イオン水:アルカリイオ
ン水=1:2の混合水を表し、○は酸性イオン水:アル
カリイオン水=1:1で混合した場合の計算によって求
められる酸化還元電位(加重平均)、□は酸性イオン
水:アルカリイオン水=2:1で混合した場合の計算に
よって求められる酸化還元電位(加重平均)、△は酸性
イオン水:アルカリイオン水=1:2で混合した場合の
計算によって求められる酸化還元電位(加重平均値)で
ある。
【0063】図10に示すように、酸性イオン水及びア
ルカリイオン水の酸化還元電位は比較的安定している
が、両者を混合した混合水は、酸化還元電位が30分間
の間に大きく変化することがわかり、両者の混合による
酸化還元反応が瞬時には進行しないことがわかる。ま
た、混合水の最終的な酸化還元電位は、計算によって求
められる加重平均値とも異なっており、このような非平
衡状態を利用すれば、pHと酸化還元電位について、農
薬洗浄のさらに最適な条件の組合せを得ることができ
る。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の洗浄水
は、水を電気分解して得られる特定性状のアルカリイオ
ン水と特定性状の酸性イオン水との混合水からなるの
で、農産物の表面に付着する農薬等を効果的に洗い落と
すことができ、pHが中性付近にあることから、人体や
農作物に対して全く無害であり、環境汚染を起こすこと
もない。また、アルカリイオン水と酸性イオン水との混
合比を変えることにより、農薬の種類に応じて洗浄効果
を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の洗浄水を製造するための装置の一例を
示す概略断面図である。
【図2】図1の装置における電解槽の横断面図である。
【図3】本発明の洗浄水と、水道水とのNMRスペクト
ルを示す図表である。
【図4】本発明の洗浄水を用いて洗浄するための装置の
一例を示す説明図である。
【図5】本発明の洗浄水を用いて洗浄するための装置の
他の例における洗浄槽を示す断面図である。
【図6】同洗浄装置における脱水槽を示す断面図であ
る。
【図7】ササニシキ米を各種の水に浸漬したときの浸漬
時間の変化に伴う含水率の変化を測定した結果を示す図
表である。
【図8】ササニシキ米を各種の水に浸漬したときの浸漬
時間の変化に伴う固体分溶出量の変化を測定した結果を
示す図表である。
【図9】ササニシキ米を各種の水に浸漬したときの浸漬
時間の変化に伴う農薬溶出量の変化を測定した結果を示
す図表である。
【図10】酸性イオン水、アルカリイオン水、及びそれ
らを各種の比率で混合した混合水の酸化還元電位を経時
的に測定した結果を示す図表である。
【符号の説明】
1 原水導入管 5 フィルター槽 7 フィルター 9 連結管 12 電解槽 13 陰極 14 陽極 17 隔膜 18 陰極室 19 陽極室 23 アルカリイオン水導出管 26 酸性イオン水導出管 28、29 流量制御弁 30 電源 31 制御装置 32 チタン丸棒 41 イオン水製造装置 42 酸性イオン水の貯留タンク 43 アルカリイオン水の貯留タンク 44 超音波洗浄槽 47 超音波発振機 48 超音波発振子 52 シャワー洗浄装置 61 一次乾燥機 63 二次乾燥機 71 バケットコンベア 75 バケット 81 洗浄槽 91 脱水槽
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−149395(JP,A) 特開 平8−117753(JP,A) 特開 平4−94788(JP,A) 特開 平10−66553(JP,A) 特開 平8−131141(JP,A) 特開 平9−154557(JP,A) 特開 平6−292711(JP,A) 特開 平6−286735(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C11D 7/00 - 7/60 C02F 1/46 A23L 3/34 - 3/3598 A23N 12/00 - 12/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 農産物に付着した農薬を洗浄除去するた
    めの農産物用洗浄水におて、陽極と陰極との間にイオン
    透過性の隔膜を有する電解槽を用いて水を電解したと
    き、陰極室側から得られるアルカリイオン水と、陽極室
    側から得られる残留塩素濃度10ppm以下の酸性イオ
    ン水との混合水であって、pH4〜8であることを特徴
    とする農産物用洗浄水。
  2. 【請求項2】 農産物に付着した農薬を洗浄除去するた
    めの農産物用洗浄水の製造方法において、陽極と陰極と
    の間にイオン透過性の隔膜を有する電解槽を用いて水を
    電解し、陰極室側からpH10以上、生成時の酸化還元
    電位−150〜−850mVのアルカリイオン水を得る
    と共に、陽極室側からpH3以下、生成時の酸化還元電
    位1000〜1300mV、残留塩素濃度10ppm以
    の酸性イオン水を得た後、前記アルカリイオン水と前
    記酸性イオン水とを所定の割合で混合することを特徴と
    する農産物用洗浄水の製造方法。
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