JP3268095B2 - 樹脂フイルム製造装置における水膜形成方法及びその装置 - Google Patents

樹脂フイルム製造装置における水膜形成方法及びその装置

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JP3268095B2 JP31249793A JP31249793A JP3268095B2 JP 3268095 B2 JP3268095 B2 JP 3268095B2 JP 31249793 A JP31249793 A JP 31249793A JP 31249793 A JP31249793 A JP 31249793A JP 3268095 B2 JP3268095 B2 JP 3268095B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水膜形成装置に関し、
特に回転するドラム上にシート状の溶融樹脂を供給して
樹脂フイルムを製造する樹脂フイルム製造装置に用いら
れる水膜形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂フイルムを高速で生産するための方
法として、キャスティングドラム表面に水の薄膜を形成
して、この水膜の上に溶融樹脂をキャスティングする方
法が知られている。この種の製造方法を実施するための
装置は、一般に、キャスティングドラムと、キャスティ
ングドラムの表面に水膜を形成するための水膜形成部
と、水膜の形成されたキャスティングドラム上にシート
状の溶融樹脂を押し出すための樹脂供給部と、キャステ
ィングドラム表面の水膜を除去するための水膜除去部と
を備えている。
【0003】このような樹脂フイルム製造装置の水膜形
成装置として、特開平1−280527号公報には、水
膜付与部および水膜除去部に不織布を多数枚重畳してな
るロールを備えたものが示されている。
【0004】このように樹脂シートとドラム表面との間
に水膜を介在させることにより、樹脂シートに随伴する
空気が水膜によって排除され、樹脂シートの表面に形成
されやすい微小気泡の発生が大幅に抑えられる。これに
より結果的に生産速度を大幅に上げることが可能であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の樹脂フイル
ム製造装置においては、水膜形成部によって形成される
水膜にむらが生じると、キャスティングドラム上で製造
された樹脂フイルムとキャスティングドラムとの密着む
らが発生するので、水膜の厚みを所定の範囲の厚みに管
理することが重要である。たとえば、水膜の厚みが薄す
ぎる場合には水膜による表面張力が強くなり、樹脂シー
トをキャスティングドラムから分離させる際に剥離しに
くくなって、フイルム切れという現象が生じやすくな
る。したがって、水膜は所定の厚みでしかも均一に形成
されることが重要である。
【0006】とくに、樹脂シートをキャスティングドラ
ムから引き離し後、キャスティングドラム上に残存する
水膜が水膜除去部によって均一に除去されないと、水膜
形成部によって形成される水膜にむらが生じ、それによ
って、キャスティングドラム上で製造された樹脂フイル
ムとキャスティングドラムとの密着むらが発生する。
【0007】本発明は、ドラム上に所望の水膜を均一に
形成できるようにし、樹脂フイルムとドラムとの密着む
らの発生を防止することを目的とする。
【0008】また、本発明の目的は、水膜除去部として
吸引ロールを設け、該吸引ロールをキャステングドラム
に押圧する押圧手段の押圧力と吸引ロールのショア硬度
とを適正化し、さらに吸引ロールのドラムの回転軸に沿
う方向でのロール長さを適正化することで、キャスティ
ングドラムに残存する水膜を均一に除去することができ
る、樹脂フイルム製造装置における水膜形成装置を提供
することにある。
【0009】さらに、本発明において望ましくは、実際
の生産に際して装置の操作性を向上させ、かつ装置のメ
インテナンス性を向上させることで、装置の性能を長期
に渡って良好に維持できるようにする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的に沿う本発明の
樹脂フイルム製造装置における水膜形成方法は、回転す
るドラム表面上に水膜を形成し、該水膜上にシート状の
溶融樹脂を供給して樹脂フイルムを製造する装置におけ
る水膜の形成方法であって、ドラム周方向において、前
記水膜形成前で、かつ前記シート状の溶融樹脂がドラム
から剥離された後の位置にて、不織布を多数枚重畳して
なる、表面のショア硬度が25度以上55度以下の吸引
ロールを用い、ドラムの回転軸に沿う方向に単位幅当り
1000N/m以上4000N/m以下の押圧力で、一
旦残存水膜を除去することを特徴とする方法からなる。
【0011】また、本発明において望ましくは、樹脂フ
イルム製造装置における水膜形成方法として、回転する
ドラム表面上に水膜を形成し、該水膜上にシート状の溶
融樹脂を供給して樹脂フイルムを製造する装置における
水膜の形成方法であって、該水膜を、前記ドラム表面に
向けて湿り空気を噴出することにより形成するととも
に、該湿り空気を噴出する手段を、水膜形成時にはドラ
ム表面に近接させ、水膜を形成しない時には、噴出され
る湿り空気がドラム表面に到達しない程度にドラム表面
から隔離した位置に退避させ、さらに、前記手段を、前
記退避位置からさらに反ドラム側に移動可能に保持する
方法を用いることが好ましい。
【0012】また、本発明に係る樹脂フイルム製造装置
における水膜形成装置は、回転するドラム上にシート状
の溶融樹脂を供給して樹脂フイルムを製造する樹脂フイ
ルム製造装置における、前記ドラム表面に水膜を形成す
るための水膜形成装置であって、押圧手段と、前記押圧
手段を用いて前記ドラム表面に押圧可能な不織布を多数
枚重畳してなる吸引ロールとを備え、前記押圧手段の押
圧力が、前記ドラムの回転軸に沿う方向に単位幅当り1
000N/m以上4000N/m以下であり、かつ前記
吸引ロールの表面のショア硬度が、25度以上55度以
下である、ことを特徴とするものからなる。
【0013】上記吸引ロールのショア硬度は、上記ドラ
ムの回転軸に沿う方向でのばらつきが±5度以内である
ことが好ましく、さらに吸引ロールは、ドラムの回転軸
に沿う方向で水膜形成部の端面より、各端面で10mm
以上長尺であることが好ましい。
【0014】さらに、本発明において望ましくは、樹脂
フイルム製造装置における水膜形成装置として、回転す
るドラム上にシート状の溶融樹脂を供給して樹脂フイル
ムを製造する樹脂フイルム製造装置における、前記ドラ
ム表面に水膜を形成するための水膜形成装置であって、
前記ドラム表面に対して接近、離反可能であり、前記ド
ラム表面に湿り空気を噴出する湿り空気噴出手段と、前
記湿り空気噴出手段を、前記湿り空気噴出手段から噴出
された湿り空気が前記ドラム表面に到達しない程度に前
記ドラム表面から隔離した退避位置と、前記ドラム表面
に近接する水膜形成位置との間で移動させる移動手段
と、を備えた装置を用いることが好ましい。
【0015】上記移動手段には、湿り空気噴出手段に湿
り空気を供給するための湿り空気用配管連結機構を備え
ていることが好ましい。
【0016】
【作用】上記のような水膜形成方法および装置において
は、水膜は湿り空気の噴出によって形成されるが、湿り
空気に含有される水分は、極く微細な、かつ均一なもの
にコントロールすることが可能であるので、適切にコン
トロールされた湿り空気をドラム表面に向けて噴出する
ことにより、所望の均一な水膜の形成が可能となる。
【0017】また、水膜形成前に一旦残存水膜を除去す
ることにより、より均一な水膜の形成が可能となる。こ
の水膜除去のための吸引ロールが、不織布を多数枚重畳
して構成され、この吸引ロールを支持する押圧手段の押
圧力と吸引ロールのショア硬度が上記範囲に適正化され
る。したがって、樹脂シートがキャスティングドラムか
ら引き離された後、キャスティングドラム表面上に残存
する水膜を均一に除去することができる。
【0018】また吸引ロールをドラムの回転軸に沿う方
向に、水膜形成部の端面より各端面で10mm以上長尺
とすることで、水膜形成部より形成された水膜が、ドラ
ムの回転軸に沿う方向に多少拡散しても均一に除去する
ことができる。
【0019】また、樹脂フイルム製造装置における水膜
形成装置においては、実際の長期に渡る連続生産では、
水膜形成部や水膜除去部等に異物が付着するため、清掃
作業が必要となり、さらに水膜形成部や水膜除去部の部
品交換が必要になったりする。しかし、キャスティング
ドラム付近では場所等に制約があり、作業性が悪いた
め、水膜形成装置を所定の離れた位置まで移動させる必
要がある。そこで上記移動手段と移載手段を設けること
で、前記水膜形成装置を容易にしかも短時間に所定の離
れた位置まで移動させることができるため、メインテナ
ンス作業が容易となり、その結果、生産性を良好に維持
できる。
【0020】また湿り空気を水膜形成装置に供給するた
めの配管は、一般に高温に保温する必要があるが、移動
手段に湿り空気用配管連結機構を備えることにより、人
手による配管の連結作業が不必要となり、さらに、湿り
空気の漏れ等のトラブルを防止できるため、さらに生産
性を向上できる。
【0021】
【実施例】図1に、本発明の一実施例に係る樹脂フイル
ム製造装置を示す。図において、樹脂フイルム製造装置
は、フイルム製造部1と、フイルム延伸部2と、巻き取
り部3とから主に構成されている。フイルム製造部1
は、キャスティングドラム4と、樹脂供給装置5と、静
電気印加装置6と、水膜形成装置7と、3台の湿り空気
発生装置80(図では1台のみ表示している)と、フイ
ルム送り装置8とを有している。
【0022】キャスティングドラム4は、外周面が平滑
な円筒状の部材であり、図示しない駆動装置により反時
計回りに回転される。また、キャスティングドラム4に
は、冷却水を循環して内周面を冷却するための冷水管が
内蔵されている(図示せず)。
【0023】樹脂供給装置5は、キャスティングドラム
4の上方に配置されかつキャスティングドラム4の軸線
と平行に延びるスリット状の吐出口(図示せず)を有す
る口金からなる。この口金からは、キャスティングドラ
ム4上に一定の厚みのシート状の溶融樹脂5aが供給さ
れる。
【0024】静電気印加装置6は、樹脂供給装置5の図
の左側において、キャスティングドラム4の外周面から
若干離れて配置されている。静電気印加装置6は、キャ
スティングドラム4の軸線と平行に延びる静電気印加ワ
イヤ6aを有している。この静電気印加ワイヤ6aに
は、図示しない電圧印加装置が接続されており、高電圧
が印加される。
【0025】水膜形成装置7は、樹脂供給装置5の図右
側に配置されており、退避装置9によりキャスティング
ドラム4に対して接離可能となっている。
【0026】ここで、図2から図8を参照して、水膜形
成装置7及び退避装置9の詳細を説明する。水膜形成装
置7は、水膜形成部19と、水膜形成部19のフイルム
送り装置8(図1に図示)側に設けられた水膜除去部2
0とを一体に備えたユニット状に構成されている(図
2)。水膜形成部19は、図3に示すように、主湿り空
気吹出し装置21と、該主湿り空気吹出し装置21の両
端部に対応する位置に設けられた、一対の副湿り空気吹
出し装置22、22とから構成されている。主湿り空気
吹出し装置21は、キャスティングドラム4の軸線と平
行に配置されており、長さが樹脂供給装置5よりも長く
設定されている(図4)。主湿り空気吹出し装置21
は、断面コ字状に形成されており、内部にシーズヒータ
23が鋳込まれたアルミ材からなる本体24を有してい
る。この本体24は、キャスティングドラム4と対向す
る室25を有しており、室25はキャスティングドラム
4の軸線に沿って延びている。なお、室25のキャステ
ィングドラム4の軸線方向と直交する方向の幅Dは、2
0〜300mmが好ましく、さらに50〜100mmが
好ましい。本実施例では、直径1mのキャスティングド
ラム4に対して幅Dは75mmに設定されている。
【0027】室25の上部には、湿り空気を室25内に
噴出するためのパイプ26が配置されている。このパイ
プ26は、下側半分が室25内に突出しており、そこに
は湿り空気を噴出するための小孔26aが所定のピッチ
に千鳥状に穿設されている。さらに、パイプ26の一端
には、湿り空気発生装置80からのフレキシブルチュー
ブ(図示せず)が連結されている。また、室25の開口
部分には、ステンレス製の金網部材29が配置されてい
る。この金網部材29は、線径が0.12mmでありか
つ網目が80メッシュであり、開口率が39.3%に設
定されている。なお、金網部材29は、網目が30メッ
シュ以上であり、開口率が30〜50%であることが好
ましい。また、金網部材29は、樹脂製のメッシュ部材
等によっても構成し得る。
【0028】本体24のキャスティングドラム4側端部
には、アルミ材からなる縁部材28が取り付けられてい
る。この縁部材28は、キャスティングドラム4の軸線
と平行に延びており、キャスティングドラム4側端面が
キャスティングドラム4の表面形状に対応して傾斜して
いる。また、本体24の上部及び両側部には、ガラス繊
維等からなる断熱材27が配置されている。
【0029】一対の副湿り空気吹出し装置22は、主湿
り空気吹出し装置21の樹脂供給装置5側部において、
主湿り空気吹出し装置21の両端部に配置されている
(図4参照)。各副湿り空気吹出し装置22の構成は、
図3に示すように主湿り空気吹出し装置21とほぼ同様
であり、室30を有する本体31と、本体31の上部及
び主湿り空気吹出し装置21と逆側の側部に設けられた
断熱材32と、本体31のキャスティングドラム4側に
設けられた縁部材33と、室30の開口部分に設けられ
たステンレス製の金網34と、湿り空気発生装置80
(後述)からのフレキシブルチューブ(図示せず)が連
結された湿り空気噴出用の、小孔35aを有するパイプ
35とを有している。
【0030】水膜除去部20は、図5に示すように、吸
引ロールとしての、不織布を多数重畳してなる不織布ロ
ール37と、不織布ロール37を回転自在に支持する軸
受け部38と、不織布ロール37をキャスティングドラ
ム4表面に押しつけるための押圧手段としてのエアシリ
ンダ39とを有している。エアシリンダ39の押圧力
は、前記ドラムの回転軸に沿った方向で不織布ロール3
7の単位幅当たりで1000N/m以上4000N/m
以下に設定できる。押圧手段はエアシリンダに限定する
ものではなく、例えばスプリング、油圧シリンダ等でも
良い。不織布ロール37は、キャスティングドラム4の
軸線と平行に延びている(図4参照)。また、不織布ロ
ール37は、図示しないカバーによりその上方が覆われ
ており、また真空ポンプ67aから延びるフレキシブル
チューブ67に連結されている。
【0031】不織布ロールとしては、特公昭60−30
780号公報や特公昭60−36502号公報で示され
る“マスロール”((株)増田製作所製)などで代表さ
れる不織布ロールが適している。不織布としては、種々
なものが考えられるが、特に糸の太さが非常に細く0.
1〜5μmと極細フィラメントを使ったもの、例えば東
レ(株)製の人工皮革“エクセーヌ”のようなものが本
発明にはふさわしい。不織布部分のショア硬度として
は、前記押圧手段の押圧力を前記ドラムの回転軸線に沿
った方向で単位幅当たり1000N/m以上4000N
/m以下に設定すれば、25度以上55度以下が効果的
である。さらに前記ショア硬度の、前記ドラムの回転軸
に沿った方向でのばらつきが±5度以内であれば、前記
ドラムの回転軸に沿った方向で均一に水膜を除去でき
る。ショア硬度が25度以下では、前記押圧手段の押圧
力では不織布部分の変形が過度となり、摩耗が大きく発
塵の原因となる。発塵が生じるとフイルム欠点となる。
またショア硬度が55度以上では不織布部分の変形が少
ないため、水膜の除去が不十分である。
【0032】ここで、不織布ロールのショア硬度が25
度以上55度以下であっても、前記押圧手段の押圧力が
1000N/m以下の場合には、不織布部分の変形が少
ないため、水膜の除去が不十分であり、また、前記押圧
手段の押圧力が4000N/m以上の場合には、前記ド
ラムの回転むらや不織布表面の傷みが大きくなり、発塵
等の弊害を招くものとなる。また、前記ショア硬度の前
記ドラムの回転軸に沿った方向でのばらつきが±5度以
上の場合は、前記ドラムの回転軸に沿った方向での水膜
の除去のばらつきが大きいものとなる。
【0033】不織布ロール37のロール幅は、図4に示
すように前記ドラムの回転軸に沿った方向で湿り空気吹
出し装置21、22の各端面からの寸法Lを10mm以
上長尺となるように設定すれば、湿り空気吹出し装置2
1、22からキャスティングドラム4上に供給された湿
り空気が多少拡散し、湿り空気吹出し装置21、22の
幅より形成された水膜が多少広幅化しても、水膜を全幅
に渡り均一に除去することができる。
【0034】前記水膜形成装置7の長手方向両端部に
は、図6に示すように、それぞれ受け台41が固定され
ている。受け台41のキャスティングドラム4側部に
は、フランジ部42が設けられている。フランジ部42
には、主湿り空気用穴50、各副湿り空気用穴51、5
1、水膜除去用穴52が設けられている。主湿り空気用
穴50は、パイプ26の一端と連結されており(図示せ
ず)、各副湿り空気用穴51、51は、パイプ35、3
5の一端と連結されている(図示せず)。さらに、水膜
除去用穴52は、不織布ロール37の一端と連結されて
いる(図示せず)。また、水膜形成装置7からは、退避
装置9に向けて一対のブラケット43、43が平行に突
出している。各ブラケット43には、ピン孔43aが設
けられている。
【0035】退避装置9は、移動部9aとドッキング装
置60とから主に構成されている(図1参照。なお、ド
ッキング装置については図7にその詳細を示す)。図2
及び図6を参照して、移動部9aの詳細を説明する。移
動部9aは、移動ブロック44と、この移動ブロック4
4の上部に固定された移動フレーム45とを有してい
る。
【0036】移動ブロック44は、水膜形成装置7から
突出する一対のブラケット43、43間に配置されてい
る。そして、移動ブロック44の両端部から突出する一
対のピン54、54が対応するブラケット43のピン孔
43a、43aに嵌入しており、これにより移動ブロッ
ク44は水膜形成装置7を支持している。なお、ピン5
4、54は、移動ブロック44内に設けられた図示しな
いシリンダにより移動ブロック44から出入可能に構成
されている。
【0037】移動フレーム45の側端面には、二組の移
動用コロ46が回転自在に設けられている。そして、こ
の移動用コロ46は、図2に示すように、支持枠47に
より支持された水平方向のガイドレール48上に配置さ
れている。また、支持枠47には、移動用エアシリンダ
49が固定されており、そのロッド先端49aには、移
動フレーム45が支持されている。移動部9aでは、移
動用エアシリンダ49によって移動フレーム45がガイ
ドレール48に沿って往復移動し得る。
【0038】ドッキング装置60は、キャスティングド
ラム4の両端部に配置されており、キャスティングドラ
ム4を回転可能に支持するための固定フレーム(図示せ
ず)に取り付けられている。
【0039】ドッキング装置60は、図7に示すよう
に、当接部63と、当接部63を昇降させるためのエア
シリンダ62とから主に構成されている。当接部63
は、水膜形成装置7のフランジ部42が当接し得る形状
に形成されている。
【0040】また当接部63には、フランジ部42が当
接した場合に、図6に示す主湿り空気用穴50と各副湿
り空気用穴51、51に対応する位置に、各湿り空気発
生装置80からのフレキシブルチューブ77、78、7
8が連結されている。そして、フレキシブルチューブ7
7、78、78の一端には、材質がシリコン等で形成さ
れたシール部73、74、74が設けられており、当接
部63とフランジ部42が当接した場合に、シール部7
3、74、74が押圧変形することで、湿り空気用経路
が漏れることなく連結される。同じく水膜除去用穴52
に対応する位置には、真空ポンプ67aからのフレキシ
ブルチューブ(図示せず)が連結され、フレキシブルチ
ューブの一端には、材質がシリコン等で形成されたシー
ル材(図示せず)が設けられている。そのため、当接部
63とフランジ部42が当接した場合には、水膜を除去
する際に吸引した空気の経路が漏れることなく連結され
る。
【0041】このようなドッキング装置60により、水
膜形成装置7は図1の一点鎖線で示す退避位置と、実線
で示す、キャスティングドラム4に近接する水膜形成位
置とを取り得るようになっている。ここで、昇降用エア
シリンダ62のシリンダストロークは、退避位置に水膜
形成装置7が移動させられたときには各湿り空気吹出し
装置21、22の下端がキャスティングドラム4の表面
から50mm以上となるように設定されており、また水
膜形成位置に移動したときには図3に示す縁部材28、
33の先端面とキャスティングドラム4表面との隙間E
が5mm以下、好ましくは1〜3mmとなるように設定
されている。隙間Eが5mmを超える場合は、キャステ
ィングドラム4への水膜形成動作(後述)において、ド
ラム4の随伴気流により湿り空気がキャスティングドラ
ム4に到達するのが阻害され、良好な水膜形成動作が行
えない。なお、退避位置は、キャスティングドラム4表
面から100mm、あるいはそれ以上が望ましい。また
水膜形成位置は、2mmに設定するのが均一な水膜を形
成する上で望ましい。また、エアシリンダ62のエア流
量は、水膜形成装置7を退避位置と水膜形成位置との間
で移動させる速度が0.1m/秒以上に設定できるよう
調整されている。この移動速度は、0.2m/秒が好ま
しい。
【0042】各湿り空気発生装置80は、図8に示すよ
うに、密閉容器81を有している。密閉容器81内に
は、密閉容器81内に水を供給するための水供給管82
の一端が配置されている。水供給管82は、昇温タンク
83と電磁弁84とを有している。昇温タンク83は、
内部の水を温めるためのヒータ85を有している。ま
た、昇温タンク83には、図示しない温度センサが取り
付けられている。
【0043】密閉容器81の底部には、エア供給管86
が配置されている。エア供給管86は、コントロールバ
ルプ87を有しており、コンプレッサ等の圧縮空気供給
装置(図示せず)から圧力が一定の圧縮空気が供給され
る。このエア供給管86は、密閉容器81内において、
圧縮空気を噴出するための多数の小孔を有している(図
示せず)。この小孔は、直径が5mm以下(好ましくは
3mm以下)に設定されている。さらに、密閉容器81
は、水を温めるためのヒータ88と、水温を測定するた
めの温度センサ89と、液面を検知するための液面セン
サ90とを内部に有している。液面センサ90は、密閉
容器81の底面から300mm以上の高さに配置されて
いる。液面センサ90の高さの上限は、特に限定される
ものではないが、通常は、他の装置との関係で制限され
る、密閉容器81の高さにより規制される。
【0044】密閉容器81の上部には、湿り空気供給管
91が取り付けられている。湿り空気供給管91は、供
給管本体92と、保温用のヒータ93とから主に構成さ
れている。供給管本体92は、一端が密閉容器81の上
端に接続されており、密閉容器81内に開口している。
供給管本体92は、密閉容器81から上方に延びてお
り、途中で上がり勾配となるように屈曲されている。そ
して、その他端は、湿り空気吹出し装置に湿り空気を供
給するためのフレキシブルチューブの他端に連結されて
いる。ヒータ93は、供給管本体92の外周部を覆うよ
うに配置されており、図示しない温度センサーにより温
度コントロールされる。
【0045】フイルム送り装置8は、サクションロール
10と、一組のガイドロール11、12とから主に構成
されている。サクションロール10は、キャスティング
ドラム4の近傍に配置されており、キャスティングドラ
ム4の軸線と平行に延びている。また、サクションロー
ル10は、図示しない駆動装置により時計回りに回転さ
れ得る。このサクションロール10は、ロール表面に多
数の吸引孔を有しており、真空ポンプ13に連結されて
いる。一組のガイドロール11、12は、サクションロ
ール10の下流側に配置されており、サクションロール
10と平行に配置されている。
【0046】フイルム延伸部2は、フイルム製造部1の
下流側に配置されており、縦延伸部14と、横延伸部1
5とをこの順に有している。縦延伸部14は、平行に配
置された多数のロール群から構成されており、フイルム
製造部1からの樹脂フイルムFに搬送方向の張力を加え
て樹脂フイルムFを縦方向(長手方向)に延伸する。横
延伸部15は、樹脂フイルムFの両側縁を把持して幅方
向の延伸処理を行う。
【0047】巻き取り部3は、巻き取りロール16を有
している。巻き取りロール16とフイルム延伸部2との
間には、フイルム延伸部2からの樹脂フイルムFを巻き
取りロール16へ案内するための一対のガイドロール1
7、18が配置されている。
【0048】次に、上記樹脂フイルム製造装置による二
軸延伸樹脂フイルムの製造方法について説明する。フイ
ルム製造部1では、キャスティングドラム4に冷却水を
供給し、ドラムの表面温度を例えば25℃に設定する。
そして、図示しない駆動装置により、キャスティングド
ラム4を反時計回りに回転させる。
【0049】回転するキャスティングドラム4上には、
樹脂供給装置5の口金からシート状の溶融樹脂5aを押
し出す。口金からの溶融樹脂5aは、キャスティングド
ラム4の表面に接触すると冷却されて固化し、樹脂フイ
ルムFとなる。この樹脂フイルムFは、静電気印加装置
6によりキャスティングドラム4表面に密着する。ここ
では、静電気印加ワイヤ6aに高電圧を印加すると静電
気印加装置6近傍の空気がイオン化されるので、キャス
ティングドラム4表面が帯電し、樹脂フイルムFが密着
する。
【0050】キャスティングドラム4で得られた樹脂フ
イルムFは、キャスティングドラム4の回転に伴って移
動し、キャスティングドラム4から離れてフイルム送り
装置8へ搬送される。フイルム送り装置8において、キ
ャスティングドラム4からの樹脂フイルムFは、サクシ
ョンロール10の表面に密着し、サクションロール10
の駆動によりガイドロール11へ送り出される。そし
て、樹脂フイルムFは、ガイドロール11、12により
案内されてフイルム延伸部2へ搬送される。ここで、樹
脂フイルムFは、縦延伸部14及び横延伸部15におい
てそれぞれ縦方向及び横方向に延伸されて二軸延伸樹脂
フイルムになる。この二軸延伸樹脂フイルムは、巻き取
り部3へ搬送され、ガイドロール17、18により案内
されて巻き取りロール16に巻き取られる。
【0051】上述の製造工程において、製造開始時に、
樹脂フイルムFの先端が縦延伸部14を通過すると、キ
ャスティングドラム4の表面に水膜を形成し始める。こ
の水膜の形成動作について説明する。
【0052】まず、水膜形成装置7は、退避位置から所
定の距離まで離れた位置にあり、前記位置は、水膜の形
成動作前に水膜形成装置7に付着した異物等を除去する
作業位置であり、また部品交換等の作業を行うための位
置でもある。そして、水膜の形成動作を始めるに当た
り、移載手段として退避装置9のうちの移動部9aの移
動用エアシリンダ49を作動して、移動ブロック44を
図1に実線で示す位置から一点鎖線で示す位置に移動さ
せる。この場合、まずキャスティングドラム4を昇降装
置(図示せず)により、予め定められた位置まで移動さ
せておく必要がある。そして、この位置では、移動ブロ
ック44により支持された水膜形成装置7の各湿り空気
吹出し装置21、22の縁部材28、33の先端は、キ
ャスティングドラム4の表面から100mm程度離れて
いる。このように、移載手段として退避装置9に移動部
9aを設けることで、水膜形成前に必要とする水膜形成
装置7へのメインテナンス作業位置から、水膜の形成動
作開始準備位置である退避位置まで、水膜形成装置7の
移動が容易にしかも短時間で可能となる。そのため、実
際のフイルムの生産性を良好に維持することができる。
【0053】この状態で、キャスティングドラム4の両
端に配置されたドッキング装置60、60の昇降用のエ
アシリンダ62を作動して、そのロッドを突出させる
と、ドッキング装置60の当接部63が水膜形成装置7
方向に移動して水膜形成装置7の受け台41のフランジ
部42に当接する。ここで、ドッキング装置60の保持
用のエアシリンダ72が作動し、そのロッドが突出す
る。これにより、当接部63両端の保持用リンク70、
70がそれぞれ回動し、その先端のクランプ用ローラ7
1部分で水膜形成装置7のフランジ部42を当接部63
に圧接し、両者を強固に連結する。そして、シール部7
3、74、74が押圧変形することで、各湿り空気発生
装置80と、主湿り空気吹出し装置21及び一対の副湿
り空気吹出し装置22の連結が完了する。同じく真空ポ
ンプ67aからのフレキシブルチューブの一端のシール
部(図示せず)も押圧変形することで、真空ポンプ67
aと、不織布ロール37との連結が完了する。このよう
に水膜形成装置7の移動手段として、ドッキング装置6
0を設けることで、水膜形成の開始準備位置である退避
位置に水膜形成装置7を保持することが可能となり、さ
らにドッキング装置60の当接部63に、湿り空気用配
管連結機構として各湿り空気発生装置80からのフレキ
シブルチューブ77、78、78の一端にシール部7
3、74、74を設けることで、各湿り空気発生装置8
0と、主湿り空気吹出し装置21及び一対の副湿り空気
吹出し装置22の連結が容易に短時間で可能となり、生
産性を良好にすることができる。また湿り空気の配管は
一般には高温に保温されているので、湿り空気用配管連
結機構を設けることで、人手による作業がなく、安全を
維持することができる。
【0054】そして、移動ブロック44において、ピン
動作用のシリンダ(図示せず)によりピン54を移動ブ
ロック44内に移動させてブラケット43のピン孔43
aから抜き出す。これにより、移動ブロック44による
水膜形成装置7の支持が解除される。そして、移動用エ
アシリンダ49を動作してそのロッドを後退させると、
移動ブロック44は退避位置から所定の距離まで離れた
位置に戻る。
【0055】上述のように、ドッキング装置60へ水膜
形成装置7の受け渡し動作が完了すると、次に主湿り空
気吹出し装置21及び副湿り空気吹出し装置22、22
に湿り空気発生装置80から湿り空気を供給し始める。
【0056】ここでは、まず湿り空気発生装置80によ
る湿り空気の供給動作について説明する。湿り空気発生
装置80の水供給管82では、まず昇温タンク83内に
水が蓄えられる。昇温タンク83内に蓄えられた水は、
ヒータ85により加熱される。こうして加熱された昇温
タンク83内の水は、電磁弁84を開けると水供給管8
2を通って密閉容器81内に連続的に供給される。これ
により、密閉容器81内では、液面センサ90の高さま
で水供給管82からの水が貯留される。密閉容器81内
の水面が液面センサ90の高さに到達すると、液面セン
サ90からの信号にしたがって電磁弁84が閉鎖し、密
閉容器81内への水の供給が停止される。なお、密閉容
器81内に供給する水は、通常の飲料水でも良いが、イ
オン交換水が好ましい。これは、飲料水に含まれるカル
シウム分等によりエア供給管86の小孔(図示せず)が
目詰まりを起こしやすいためである。
【0057】密閉容器81内に貯留された水供給管82
からの水は、81〜90℃の範囲の一定温度になるよう
ヒータ88により加熱する。ここでは、ヒータ88は、
温度センサ89からの信号にしたがって作動し、密閉容
器内の水温を一定に維持する。
【0058】密閉容器81内の温水が一定温度に設定さ
れると、次にエア供給管86内に図示しない圧縮空気供
給装置から圧力が一定の圧縮空気を供給し始める。な
お、圧縮空気の供給量は、ゲージ圧が1〜50N/cm
2 の範囲で7〜30リットル/分に設定するのが好まし
い。この圧縮空気は、コントロールバルブ87を開ける
と図示しない小孔から温水中に噴出する。噴出した空気
は、温水中を上昇して吸湿し、湿り空気となって密閉容
器81の上部に蓄えられる。ここでは、上述のようにエ
ア供給管86の小孔の孔径が上述の範囲に設定されてい
るため、エア供給管86からの空気は細かな泡状となっ
て温水中を上昇する。また、温水の水深が上述の範囲に
設定されているため、温水中での空気の滞留時間が十分
確保される。さらに、温水中の空気は、水温が上述の温
度範囲に設定されているため、効率よく吸湿する。この
ため、エア供給管86からの空気は、飽和状態の安定し
た湿り空気となって密閉容器81の上部に蓄えられる。
【0059】密閉容器81の上部に蓄えられた湿り空気
は、湿り空気供給管91を通って対応する湿り空気吹出
し装置に供給される。ここでは、湿り空気が供給管本体
92内を上昇し、フレキシブルチューブを経由して湿り
空気吹出し装置に供給される。供給管本体92内の湿り
空気は、ヒータ93により保温される。このため、湿り
空気は、供給管本体92内で凝縮するのが防止される。
また、仮に供給管本体92内で凝縮しても、供給管本体
92が上がり勾配であるため、凝縮した水は密閉容器8
1内に戻る。これらの結果、水膜形成装置7には水分量
が一定の湿り空気が安定に供給できる。
【0060】密閉容器81内の温水が減少して液面が低
下すると、液面センサ90が作動して電磁弁84が開
き、水供給管82から水が補給される。ここで補給する
水は、密閉容器81内に貯留されている温水の温度まで
昇温タンク83において予め加熱しておく。こうする
と、新たな温水が密閉容器81内に供給されても、密閉
容器81内の温水の温度は変化しにくい。この結果、湿
り空気発生装置80では、湿度の一定した湿り空気を安
定に供給し続けることができる。
【0061】水膜形成装置7に供給された湿り空気は、
主湿り空気吹出し装置21及び副湿り空気吹出し装置2
2、22のパイプ26、35内に供給され、それぞれの
室25、30内に排出される。ここでは、各湿り空気吹
出し装置21、22の本体24、31をシーズヒータ2
3、36により予め加熱しておく。こうすると、湿り空
気はパイプ26、35内で結露してしまうことなく室2
5、30内に排出される。パイプ26、35から排出さ
れた湿り空気は、室25、30の出口部分に金網部材2
9、34が配置されているため、室25、30内に均一
に拡散され得る。なお、水膜形成装置7は、上述のよう
にキャスティングドラム4表面から十分に離れているの
で、各湿り空気吹出し装置21、22からの湿り空気は
キャスティングドラム4表面に到達しにくい。このた
め、キャスティングドラム4表面では、湿り空気吹出し
装置21、22から漏れる湿り空気による結露は起こり
にくい。
【0062】次に、主湿り空気吹出し装置21及び副湿
り空気吹出し装置22、22の室25、30内に湿り空
気が十分拡散した時点で、水膜形成装置7を図1に一点
鎖線で示す位置から実線で示す位置に移動させる。ここ
では、各ドッキング装置60の昇降用エアシリンダ62
を作動してそのロッドを後退させると、水膜形成装置7
が退避位置からキャスティングドラム4表面に近接した
水膜形成位置に移動する。このとき、昇降用のエアシリ
ンダ62のエア供給量は、水膜形成装置7の移動速度が
0.2m/秒になるように設定されているので、各湿り
空気吹出し装置21、22が急速にキャスティングドラ
ム4表面に近づく。この水膜形成位置では、各湿り空気
吹出し装置21、22の縁部材28、33の下端とキャ
スティングドラム4表面との隙間E(図3)は2mmと
なっている。
【0063】この状態で、湿り空気吹出し装置21、2
2の室25、30からステンレス製の金網29、34を
通してキャスティングドラム4上に供給された湿り空気
は、キャスティングドラム4に触れて冷却され、結露し
て水膜を形成する。このとき、各湿り空気吹出し装置2
1、22の下端とキャスティングドラム4表面との隙間
は2mm程度に設定されているので、キャスティングド
ラム4表面に均一な水膜が形成されることとなる。さら
に、各湿り空気吹出し装置21、22をキャスティング
ドラム4表面に接近させる際に、エアシリンダ62が各
湿り空気吹出し装置21、22を0.2m/秒の移動速
度で高速にて接近させるので、水膜が形成されていない
部分と形成された部分との境界を明確にすることがで
き、水膜の厚みむらを抑えることができる。
【0064】また、キャスティングドラム4表面に連続
的に水膜が形成されるが、主湿り空気吹出し装置21の
室25の開口部の幅は、軸方向にフイルム長さ以上で、
しかもそれと交差する方向に75mmに設定されている
ので、回転するキャスティングドラム4に対しても湿り
空気が十分な時間接触し、より均一な水膜を形成するこ
とができる。また、主湿り空気吹出し装置21により形
成された水膜の両端部には、副湿り空気吹出し装置22
による水膜が重ねて形成される。このため、キャスティ
ングドラム4上の水膜は、両端部の乾燥が抑制され、中
央部と両端部の厚みが均一に保たれる。
【0065】キャスティングドラム4表面に配置された
水膜は、口金からの溶融樹脂5aに随伴してキャスティ
ングドラム4との接触部に流れ込む空気を排除する。こ
の結果、樹脂フイルムFとキャスティングドラム4との
密着性がさらに向上するので、キャスティングドラム4
では樹脂フイルムFがさらに高速生産できる。
【0066】樹脂フイルムFが剥離された後のキャステ
ィングドラム4では、キャスティングドラム4と樹脂フ
イルムFとの間に配置されていた水膜が水滴となって残
留する。この水滴は、キャスティングドラム4の回転に
したがって水膜形成装置7方向に移動し、水膜形成装置
7内の不織布ロール37により除去される。ここで、不
織布ロール37は、エアシリンダ39によりキャスティ
ングドラム4表面に押しつけられて回転し、キャスティ
ングドラム4表面の水膜を吸水する。この吸引ロールと
しての不織布ロール37は、不織布を多数枚重畳して構
成されているので、その毛細管現象により、さらには真
空ポンプ67aによる吸引力により、極めて効率よく吸
水される。不織布ロール37に吸水された水分は、フレ
キシブルチューブ67を介して真空ポンプ67aにより
吸引されて除去される。
【0067】不織布ロール37により水滴が除去された
キャスティングドラム4表面には、再び湿り空気吹出し
装置21、22により水膜が形成される。このとき、上
述のように不織布ロール37によって水膜が除去されて
いるので、厚みむらの少ない均一な水膜が形成できる。
このため、フイルム製造部1では、樹脂フイルムFとキ
ャスティングドラム4との密着性が良好に維持できるの
で、樹脂フイルムFの剥離むらによるフイルム切れが起
こりにくく、樹脂フイルムFが高速に連続生産できる。
【0068】なお、上記実施例では、移動手段としての
ドッキング装置60及び移載手段としての移動部9a
は、アクチュエーターとしてエアシリンダを用いたが、
本発明はこれに限らない。アクチュエーターは、たとえ
ばモーターや油圧シリンダでもよい。またドッキング装
置60の水膜形成装置7の保持方法も、リンク機構で示
したが、本発明はこれに限らず、フランジ部42を直接
把持するものでも良く、またピンを挿入するタイプでも
よい。同じく移載手段としての移動部9aの水膜形成装
置7の保持方法を、本発明ではピンを挿入するタイプで
示したが、本発明はこれに限らず、水膜形成装置7を直
接保持する方式や、下から持ち上げる方式であっても良
い。また、不織布ロール37も非駆動ロールで示した
が、駆動させ、キャスティングドラム4と場合によって
は速度差を設けて制御する方法であっても良い。
【0069】実施例1〜4、比較例1、2 不織布ロール37のショア硬度とエアシリンダ39の押
圧力に関し、本発明に係る水膜形成装置と他の比較例に
ついて、水膜の除去性能と不織布部分の摩耗による発塵
性について比較テストした。結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】表1の示す通り、不織布ロール37の不織
布部分のショア硬度を25度以上55度以下に設定し、
エアシリンダ39の押圧力を前記ドラムの回転軸に沿う
方向で単位幅当たり1000N/m以上4000N/m
以下に設定すれば、水膜が均一に除去でき、不織布部分
での発塵もなかった。しかし、押圧力が1000N/m
以下の場合は、水膜の除去が不十分となり、また、40
00N/m以上では不織布部分の摩耗のため発塵し、フ
イルム欠点となった。さらに不織布部分のショア硬度が
ドラムの回転軸に沿った方向でばらつきが±5度以上の
場合、水膜の均一除去ができなかった。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるとき
は、適切な条件にコントロールされた湿り空気噴出によ
ってドラム上に水膜を形成するようにしたので、所望の
均一な水膜を容易に形成することが可能となる。
【0073】また、本発明では、吸引ロールを支持する
押圧手段の押圧力と吸引ロールのショア硬度を適正化し
ており、さらにドラムの回転軸に沿った方向で吸引ロー
ルの長さを適正化しているので、ドラムに残存する水膜
を均一に除去でき、フイルムがドラムから離れる際の剥
離性能を向上させることができる。
【0074】さらに、本発明において、移動手段と移載
手段とを設けるようにすれば、湿り空気噴出手段を、湿
り空気噴出手段から漏れた湿り空気がドラム表面に到達
しない程度に退避させ、さらに水膜形成装置をメンテナ
ンス等の作業をするための位置まで容易にしかも短時間
で移動させることで、フイルムの生産性を向上すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る樹脂フイルム製造装置
の概略構成図である。
【図2】図1の装置の退避装置部分の側面図である。
【図3】図1の装置の水膜形成部の拡大縦断面図であ
る。
【図4】図1のキャスティングドラム部分の拡大概略平
面図である。
【図5】図1の装置の水膜除去部の概略構成図である。
【図6】前記退避装置と前記水膜形成部との連結部の部
分斜視図である。
【図7】前記退避装置のドッキング装置部分の概略構成
図である。
【図8】図1の装置に用いる湿り空気発生装置部分の概
略構成図である。
【符号の説明】
4 キャスティングドラム 5 樹脂供給装置 7 水膜形成装置 9a 移動部 19 水膜形成部 20 水膜除去部 21 主湿り空気吹出し装置 22 副湿り空気吹出し装置 26、35 パイプ 37 吸引ロールとしての不織布ロール 38 エアシリンダ 60 ドッキング装置 62 エアシリンダ 73、74 シール部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 富田 浩史 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ 株式会社 滋賀事業場内 (56)参考文献 特開 平6−71679(JP,A) 特開 平1−241413(JP,A) 特開 平3−16715(JP,A) 特開 平3−16714(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 41/26 B29C 41/34

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転するドラム表面上に水膜を形成し、
    該水膜上にシート状の溶融樹脂を供給して樹脂フイルム
    を製造する装置における水膜の形成方法であって、ドラ
    ム周方向において、前記水膜形成前で、かつ前記シート
    状の溶融樹脂がドラムから剥離された後の位置にて、不
    織布を多数枚重畳してなる、表面のショア硬度が25度
    以上55度以下の吸引ロールを用い、ドラムの回転軸に
    沿う方向に単位幅当り1000N/m以上4000N/
    m以下の押圧力で、一旦残存水膜を除去することを特徴
    とする、樹脂フイルム製造装置における水膜形成方法。
  2. 【請求項2】 回転するドラム上にシート状の溶融樹脂
    を供給して樹脂フイルムを製造する樹脂フイルム製造装
    置における、前記ドラム表面に水膜を形成するための水
    膜形成装置であって、 押圧手段と、 前記押圧手段を用いて前記ドラム表面に押圧可能な不織
    布を多数枚重畳してなる吸引ロールとを備え、 前記押圧手段の押圧力が、前記ドラムの回転軸に沿う方
    向に単位幅当り1000N/m以上4000N/m以下
    であり、かつ前記吸引ロールの表面のショア硬度が、2
    5度以上55度以下である、 ことを特徴とする 樹脂フイルム製造装置における水膜形
    装置。
  3. 【請求項3】 前記吸引ロールのショア硬度の前記ドラ
    ムの回転軸に沿う方向でのばらつきが±5度以内であ
    る、請求項2に記載の樹脂フイルム製造装置における水
    膜形成装置。
  4. 【請求項4】 前記吸引ロールが、前記ドラムの回転軸
    に沿う方向に、前記水膜形成部の両端面よりそれぞれ1
    0mm以上長い、請求項2又は3に記載の樹脂フイルム
    製造装置における水膜形成装置。
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